Noismというマレビト、その身体に徹頭徹尾魅了され尽くした客席♪(『マレビトの歌』新潟公演中日)

前日、劇場版としてその全貌を現した『マレビトの歌』ですが、明けて2025年12月6日(土)にも、それが有する力能を遺憾なく解放して、会場を大きな感動で包み込みました。それを可能にしたものは、勿論、Noism0とNoism1の舞踊家全員の圧巻のパフォーマンスであったことは言を俟ちません。踊るほどに発光するかのような身体、そして身体。アルヴォ・ペルトの音楽に乗って、舞台上は一切夾雑物のない『マレビトの歌』の世界観で染め上げられていきました。そして放たれた濃密な空気が客席の全ての隅にまで及ぶことになります。

初夏と冬、年に2度のみ訪れるNoismというマレビトが、この日、その舞踊家の身体で徹頭徹尾客席を魅了し尽くしたと言えます。

深く長い余韻を残すラストシーン、やがて緞帳が下りてきます。そして遂にそれが下り切ってしまっても、まだ拍手は出ません。前日と同様に。しかし、この日が前日と異なったのはその後でした。劇場内を覆い尽くした未だ張り詰めた空気のなか、誰ひとりとして、静寂を破ろうとする「勇者」(なのか?)は現れません。静まり返ったままの場内に、その静けさの故に、緞帳の向こう側、舞台上、カーテンコールに備えて並ぼうとする舞踊家たちの足音や衣擦れの音が聞こえてきます。それをきっかけにして、漸く、まるで金縛りが解けたかのように、大きな拍手が湧き起こったのでした。それは再び緞帳が上がる直前だったように記憶しています。私たちはそんな奇跡のような、濃密この上ない空気と時間とを体験し、共有したのでした。

今日のブログは、主にアフタートークのご紹介かなと思っておりましたので、少し先を急ぎ過ぎた感もありますね。それ以外のことも書き残しておきたいと思います。

「靴下屋さん」とのコラボソックスに関しては、Noism2リハーサル監督の浅海侑加さんが前日とはがらり雰囲気を異にしながらも、物販コーナーにて、素敵な笑顔で販促に努めておられました。

そして、入場時に手渡されるチラシのなか、皆さんに手渡されるもののひとつに、「さわさわ会」の会報誌(vol.10)もあります。表紙を含む全12頁には、井関さん(とNoism)の魅力がたっぷりで、美しい一冊です。

ここからはこの日の終演後に開催されたアフタートークについてのご紹介を試みようと思います。(寄る年波、聞きながらメモするのがちょっとままならなくなってきてしまってます(涙)。かいつまんでのお届けということでご了承ください。)

この日は『マレビトの歌』を踊ったNoism1の舞踊家10人が登壇してのアフタートークです。舞台上、下手(しもて)側から、順に、司会の上杉晴香さん(Noismスタッフ)、坪田光さん、樋浦瞳さん、庄島さくらさん、庄島すみれさん、春木有紗さん、中尾洸太さん、兼述育見さん、糸川祐希さん、松永樹志さん、そして一番上手(かみて)に太田菜月さんが並び、18:14にアフタートークは始まりました。

Q1: 音楽のアルヴォ・ペルトを知ったのはいつ頃か?どのようにして知ったか?
 -坪田光さん
 これがペルトと知ったのは、『Fratres III』で、初めて曲と世界観に触れた。みんなの中央で、ひとりで踊る穣さん(金森さん)の姿に、もう恐ろしいなと思った。
 樋浦瞳さん 穣さんが帰国して、Noismが作られる前、『ノマディック・プロジェクト』のDVDで。
 -司会・上杉さん: 因みに、このなかに『Fratres I』を踊った人はいません。
 中尾洸太さん 『春の祭典』・『Fratres III』・『Adagio Assai』のとき。みんなが踊っているなか、ひとりポンッと入って、「やれっ!」って感じだったので、知った瞬間は特に考える余裕もなく、忙殺されていた。今は毎年、やっていて、聴くところ、聴き方が変わってきている。聞こえ方が変わると、踊りも変わる。

Q2: スロベニア公演で『マレビトの歌』はどのように評されたのか?
 -司会・上杉さん: スロベニア日刊新聞に、東洋と西洋の融合。見たこともない身体表現。「マレビト」は外から来る未知のもので、不安を伴う。強い説得力をもち、考えさせられた。身体の動きが揃っていたことも印象的、と。
 糸川祐希さん 直接、現地の人とのやりとりこそなかったが、集団性のあるカンパニーと受け取られたことに、こういう作品はそうそうないのだなという手応えを感じ、自信に繋がった。
 庄島さくらさん 海外にいた頃の友人のご両親から、なかなか見ることのない作品で、容易には言い表せないものがあるが、(音楽・照明を含めて)舞台の世界観が凄い、と。

Q3: 『マレビトの歌』、黒部、利賀、スロベニアと実演を重ねてきての変化は?
 -庄島さくらさん: 『マレビト』全て踊ってきているが、毎回違っている。今回だと、「火皿」や背景。人が灯した火の皿の意味、儀式、「導く」など、違った意味が増えて、新しい解釈で臨んだ。
 庄島すみれさん スロベニアは縦長で広い舞台だった。舞台も違うし、ストーリー性もちょっとずつ違ってきている。穣さんのなかでも、黒部での初演時とは変化が出て来ているのかなぁと。
 松永樹志さん 今回、初参加。踊るたびに違う気持ち。毎回新鮮な感じ。

Q4: スロベニア公演と新潟公演に関して
 太田菜月さん 5年目になる新潟は慣れ親しんだ場所。地面も空気も空も全てが心に落とし込まれている。対して、スロベニアでは心がザワザワした。慣れるのに少し時間がかかったが、踊るのが好きなので、舞台はどこでも落ち着く場所。
 兼述育見さん 慣れることと踊ることの両立に時間がかかった。あわあわしているうちに本番になり、雑念が多かった。新潟ではルーティーンでやれるが、同時に、緊張するし、気配が怖くなったりもする。
 春木有紗さん 新潟では、幕がしまっていても、直前になると静かになるが、スロベニアは、直前になってもざわざわ集中していないので、ルーティーンが崩されていった。新しい発見があり、体感した。

Q5: 一人ひとり進化が感じられる。身体の変化や身体への思いを聞かせて欲しい。
 -坪田光さん: 作品毎に筋肉も、精神的にも変わってきている。『マレビトの歌』は「外」からの影響。それにどう挑むか、その日によって違って楽しい。
 -樋浦瞳さん: 今日の踊りで気付いたことだが、目が合うときに、その人の身体、自分の身体を感じる。その瞬間、ビビっと感じるのが楽しい。
 -庄島さくらさん: 現在、35歳。若い頃は全力を注いで踊っていたが、今は、「ここは40%、ここは30%」等と、身体と思考を分散させて見えるようになってきた。
 -庄島すみれさん: 『Fratres』のハードルは高かった。中に入って踊るのは衝撃だった。今は、「ここはどう踊ろう」という気持ちに。目が合うと、やはり良いなと思う。
 -春木有紗さん: 『マレビトの歌』は自分にとって特別な作品。黒部でNoism2としても、準メンバーとしても、Noism1としても踊っている。見ていられない踊りしかしていなかったなと。
 -中尾洸太さん: 自分に、そして相手に集中するだけ。ただただ生き切るだけ。眠れない夜もあるが、それも愛して舞台に立つ。
 -兼述育見さん: ストーリーはないが、一つひとつの動きを、誰に対して何を見せたくて、どう動くのか、大切にしなくちゃいけないと感じている。
 -糸川祐希さん: これまでも新しい発見をしてきた。これからも怠らず、進化し続けたい。
 -松永樹志さん: 3年目。本番にどう集中していくか考えて臨んできた。今は、本番直前までなるべくぼうっとしていることにした。そうでないと、アドレナリンが出過ぎてしまって、もたなくなる。今は作品に集中出来ている。
 -太田菜月さん: 『マレビトの歌』のフード、視覚が削られる。ダンサーとして、人間として、感覚が磨かれる。普段から明るいキャラクターだが、自分も本番前はぼうっとしている。今日はそれがちょっと上手くいったかなと。

…と、18:46に終了したこの日のアフタートークですが、まあそんな感じだったでしょうか。

待ちに待った『マレビトの歌』公演ですが、早いもので、新潟公演は12/7が楽日、全5公演の折り返しとなります。Noismにとっても熟成に熟成を重ねてきた、正真正銘エポックメイキングな舞台です。ストーリーがないにも拘わらず、突出した身体がもたらす説得力は目撃してみなければ、想像し得ないものと言い切りましょう。

また同時に、見詰める私たち一人ひとりがどのような見方で臨もうとも、全ての見方を許容してしまう強靭な包容力、或いは強度を有する類い稀なる舞台とも言い切りましょう。

これまでのNoismの歩みがここに収斂し、この先のNoismの歩みはここから始まることになるのだろう、そんな舞台です。『マレビトの歌』、どうぞお見逃しなく!

(shin)

濃密な闇に蠢く身体、その光芒(サポーター 公演感想)

2023年5月に富山県黒部市の前沢ガーデンで初演された『セレネ、あるいはマレビトの歌』の衝撃は今なお鮮明だ。野外劇場と芝生の丘の高低差を活かしきる金森穣さんの演出と照明美、アルヴォ・ペルトの身体の奥底に響く楽曲とNoismメンバーとの共振、そして近年の代表作『Fratres』シリーズをまた異なる文脈で作品に盛り込み、「来訪者」「異邦人」への迫害・抑圧を超えた先にある連帯を見出すヒューマニズム。前沢ガーデンという得難い環境と密接に結びついた作品だけに、他の空間での公演は難しいかと思っていたが、今年12月のりゅーとぴあ・劇場公演に加え、鈴木忠志氏率いる「SCOT」のSUMMER SEASON 2025での利賀公演、更にスロベニア公演が発表され、「果たして金森さんはどのように作品を再創造するのか?」と期待が膨らんでいた。

8月29日(金)、列車や新幹線、南砺市利賀村行きのシャトルバス(狭隘な山道を進む故、時折悲鳴を上げつつ)を乗り継ぎ、利賀芸術公園内の茅葺き住宅を改装した「新利賀山房」を目指した。『マレビトの歌』は29、30、31日の3回公演だったが、より多くの方が鑑賞できるよう「一人一回」のみの鑑賞制限があった。りゅーとぴあでの公演まで再び観られないとあって、何時にも増して舞台の一瞬も見逃すまいと、気合を入れて開演を待った。

漆黒の新利賀山房の舞台。今回加えられた井関佐和子さんと山田勇気さんのデュオから、一気に客席の空気が変質し、情感と凄絶さが同居するその身体に引き込まれてゆく。約1時間の公演中、殆ど休むことなく舞い続ける井関さんは勿論、躍進著しい若きNoismメンバーたちの鬼気迫る表情、汗に濡れていく衣装を、手が届くほどの距離で見つめることの得難さ。観客もまた舞台の共犯者であり、それは一瞬の気の緩みで崩壊してしまうことを突きつけてくる。

メンバーひとりひとりの名前を挙げたいくらいだが、糸川祐希さんの殺気に溢れる表情と身のこなし、春木有紗さんの目力と透き通るような肢体で見せる舞踊の迫力を特筆したい。

漆黒の空間に置き換えられた『マレビトの歌』は、野外劇場の空間とその広がりとは何もかも違う、より濃密かつ人間の闇とその先にある光芒を見つめる作品に変貌したように思う。「来訪者」と魂を通わせ合う女性たちと、暴力・男権によって支配下に置こうとする男たち、彼らの閉鎖的な集団性を打破する女性たちの連帯。この国に暮らすルーツを異にする人々を排斥する現代に、楔を打つようなヒューマニズムは、より切実なものとして胸に刺さった。

初演時、若干の不満を覚えた終幕も、テンポよく再構成されており、りゅーとぴあでの公演までに更に深化されるだろうと、これもまた楽しみ。
終演後、会場のそこかしこから「凄かった」「緊張した」の声が聞こえたが、Noismと向き合うことは観客それぞれの内奥と対峙することだと、改めて思わされた。

久志田渉(新潟・市民映画館鑑賞会副会長、「安吾の会」事務局長、舞踊家・井関佐和子を応援する会「さわさわ会」役員)

Noism『アルルの女』/『ボレロ』埼玉で迎えた大千穐楽(「箱推し」の推し活ブログ風)

2025年7月13日(日)、Noism0+Noism1『アルルの女』/『ボレロ』公演が、埼玉は彩の国さいたま芸術劇場で大千穐楽を迎え、大評判のうちに、全6公演のその幕をおろしました。ここまで、ネタバレなしにレポートのような、感想のようなブログをあげてきましたが、今日は様々な偶然、それもとても嬉しい偶然が重なったことから、これまでとはまるで違うタッチのブログを残そうという気持ちになりました。敢えて、そのタッチを言い表すなら、「箱推し」の推し活ブログ、とでもなりましょうか。多分に個人的な色彩も強いものになるかもしれませんが、よろしければ、お付き合いください。

朝、宿泊した横浜から、Noism20周年記念の黒Tシャツを着込んで、彩の国さいたま芸術劇場を目指しました。前日の過ごし易さとは打って変わった焦げるように暑い日曜日です。JR与野本町駅からほんの12〜13分歩くだけではあるのですが、それがかなり堪える「苦行」に感じられたため、「着いたら、カフェに行って、冷たいものを飲もう」、そう同行の家族に言うことでやっと辛抱して汗をかきかき歩くことが出来たようなものでした。

劇場前の横断信号を渡って、ガレリアに通ずる入り口を入って、何気なく振り返ると、そこに見覚えのある女性の姿が!その女性、かつて、Noism1メンバーとして活動しておられた西澤真耶さんではありませんか!西澤さんと言えば、映像舞踊版の『ボレロ』に出演しておられるといった点に、今回の公演との繋がりが見出せたりもします。最近は東京で活躍されておられて、なんとかこの日の公演を観に来ることが出来たとのことでした。また、Noism在籍当時に、気さくに接してくださったお母様によろしくお伝えくださいとお願い出来たことも含めて、嬉しい偶然(1)でした。

ミックスジュース、アイスカフェラテ、大人のコーヒーゼリーアフォガード(早くも溶け始めている…)

でも、そのカフェ(Cafe Palette)に着いてみると、みんな考えることは一緒で、3人で座れる席が見つかりません。相席をお願いしようと、連れ合いがお顔も見ずに声をかけさせて貰ったご夫婦が、「えっ!えええっ!」、なんとNoism1の糸川祐希さんのご両親だったのでした。それから約30分間、思いがけずも、糸川さんのこと(今日に通ずる「出発点」Noismのオーディションを受けるに至った経緯なども!)やら、今回の公演のことやらを中心に様々話しながら過ごすことが出来た、スペシャルな時間が持てたのでした。これが嬉しい偶然(2)です。

そして、14:30開場。スーツケースをクロークに預けて「87」の札を受け取った後も、ホワイエに留まり、サポーターズ仲間たちと合流して、大千穐楽開演前の華やぎの中に身を置きながら、入り口付近で外の様子に目をやる金森さんの姿を見続けていると、やがて外に向けて手招きをし始めた金森さん。すると、今年も来月に「サラダ音楽祭」でコラボする東京都交響楽団コンサートマスターの矢部達哉さんが入って来られて、ハグをして、それから親密に話される様子などワクワク見詰めたりしていました。

15:00開演。『アルルの女』です。音楽が耳に届いてくると、緞帳の手前、客席に背中を向けた「アルルの女」井関さんと抱き合う「フレデリ」糸川さん、その目の半端ない色気にうっとりしながら、そこから始まる約50分間の「悲劇」を、この日もカタルシスをもって堪能しました。

全6公演が終わった今だから書けること、繰り返される4度の「死」について。あのインパクトある表現は、かつて、劇的舞踊vol.4『ROMEO & JULIETS』(2018)で用いられ、大いに衝撃を受けたもの!今回、公開リハーサル時に、舞台の手前に、舞台高と同じ高さで黒く立ち上がり、ピットを隠すようにめぐらされた目隠し状のそれを目にした時から、「もしかしたら、また、鳥肌が立ったあの表現が見られるのではないか」、そう微かな期待感を抱いたのでしたが、実際に、時を隔てて再び目にした「死」の表現としての「落下」は、微塵もその破壊力を減じることのなく、この演目においても見どころのひとつとして機能し、やはり今回も鳥肌ものだったことを認めたいと思います。

モロに「ネタバレ」になってしまうため、ご紹介を控えていたのですが、新潟公演でのアフタートーク(6/28)において、その「落下」後のコツについて、質問があり、ピットには無数のウレタンスポンジが敷き詰められていて衝撃を和らげてはくれるものの、出来るだけ大きな面で受け止められるように落ちるのがダメージが少ない、そう金森さんが説明してくれたことをここに書き記しておきます。

見事に可視化されていく妄想やら、妄執やら、不在の現前やら。瓦解する精神性が命とりになってしまう様子やら、その表現の巧みさとそれを支える身体の迫真性があって初めて、ラスト、微動だにせず、ただ小首を傾げる「ジャネ」(太田菜月さん)の姿に、あのカタルシスが宿る訳です。この日は埼玉の中日(そして初日)のような「静けさ」「静寂」から始まるリアクションとは別物の、大千穐楽という、謂わば「祝祭空間」がもたらしたのだろう即応性の高い熱烈な拍手が、緞帳が下り切る前に劇場内に谺することになりました。その後の休憩時間にあっては、観終えた観客の多くが、入場時に手にしたパンフレットに、さも興味深げに、目を落としていました。

そして、『ボレロ — 天が落ちるその前に』。ひとり、真上からのダウンライトを浴びて、特権的な赤を纏う井関さんを除くと、他は全員、『Fratres』シリーズ(2019-2020)の黒の衣裳で登場してきます。やがて、ひとり、またひとりとそれを脱ぎ捨て、あれは「キナリ」でしょうか、手足を露出させつつ、「脱皮」或いは「メタモルフォーゼ」を遂げていきます。それはベジャール振付の名高い『ボレロ』とは異なり、中心から周囲への「伝播」の方向性をとるものであり、Noismの集団性を謳いあげるベクトルを感じさせるものと言えると思います。やがて、シンクロして踊る身体を見詰める醍醐味が横溢するでしょう。その美しさ!少し先を急ぎ過ぎました。

加えてこの演目で、その美しさをもって、観る者を圧倒しにかかるのは、徐々に顕しとなっていく最後方、金色のホリゾント幕です。下の方からその金色が見えてくる様子自体が陶酔を誘うひとつのハイライトを形作っている、そう言っても過言ではないでしょう。有無を言わせぬ圧倒的な美そのものです。それは、かつて、『Liebestod — 愛の死』(2017)で用いられた装置であり、ここでも、ラストにいたって、あのときの「屋台崩し」に似た場面が再現され、その頽れる美の有り様で私たちを虜にしてしまうでしょう。またしても、急ぎ過ぎてしまっているようです。

「魔曲」にのって、自らの身体(メディア)をチューニングし、上方、天に向かって、両の腕を伸ばす舞踊家たち。祈りと献身は、中央の井関さんに発して、フォーメーションを変化させながら、やがて、集団へと「伝播」し、全員のものとなっていく。しなやかで強靭な身体。力強くも繊細な身体。優美ながらも艶かしささえ立ち上げる身体。エロス(生)と同時にタナトス(死)、刹那と同時に永遠さえ表象してしまう身体。およそあらゆる二分法が無効化され、止揚されて、迎えることになるラストの一瞬。その陶酔。

この日も客席からは爆発的な拍手が湧き起こり、「ブラボー!」の声が飛び交ったことは言うまでもないことでしょう。

この火を吹くような『ボレロ』の終演後、興奮を抑えることが出来ないサポーターズ仲間に混じって、前出の糸川さんのお母様が、終盤の盛り上がる場面で、中央の井関さんが両脇に目配せして、「最後、思いっ切り踊り切ろう」という感じで誘いかける様子を目撃したと話されると、確かにそう見えたと応じる人もいました。私自身は、しかと目にしてはいなかったのですが、そうだとしても、何ら不思議ではありませんから、「なるほど」と聞いていました。同時に、「全てを観るためには目はふたつでは足りないな。情報量が多過ぎる」、とも。本当に魂から揺さぶられ通しの、圧倒的な大千穐楽だった訳です。

しかし、偶然はまだここで終わりではなかったのです。新潟に向かう新幹線に乗ろうとJR大宮駅まで行き、やや時間をもて余し気味に、新幹線待合室で過ごしていて、ペットボトルの水でも買おうかと売店まで赴いたとき、目を疑うような偶然(3)があり、驚いたのでした。なんとそこには、先程まで踊っていた庄島さくらさん・すみれさんの姿があったからです。またしてもの「えっ!えええっ!」体験です。私の目はハート型になっていたに違いありません。もうテンパってしまったことは容易に察して頂けるものと思います。感動の舞台のお礼を伝えたのち、テンパっていたのをいいことに、「連れ合いも連れて来ていいですか」など口走って、結果、4人で立ち話をする時間を手に入れてしまった訳です。お疲れのところにも拘らず、(同じ新幹線に乗車予定だったため、)まだ少し時間があると、優しく応じてくれたおふたりには感謝しかありません。

そこで件の『ボレロ』における井関さんの目配せについて訊いてしまいました。訊いちゃったんです、実際に。すると、確かに盛り上がりのところで目配せはあったと教えてくれました。しかし、それはこの日だけではなしに、埼玉入りしてから始まったことだったのだとも。で、その目配せで気持ちが通じていることが嬉しかった、そう教えてくださいました。テンパっていたから訊けたことですよね。で、テンパりついでに、『ボレロ』終盤でのおふたりのポジションについても、下手(しもて)側がさくらさん、上手(かみて)側がすみれさんだったことも確認させて頂き、胸のつかえがとれました。今回は髪の色も同じ、髪型も同じということで、見分けるのが極めて困難だったのですが、そんな私の失礼と言えば、失礼でしかない質問に対しても、「そうですよね、見分けはつき難いですよね」、微笑みながら、そう言ってくださっただけでなく、「穣さんも間違ったりしましたから」とまで付け加えてくださる気遣いにホント感動しました。(おまけに、4人で自撮り写真まで撮らせて頂きました。それ、もう宝物です。)更に更に「推し」ていく他ないじゃありませんか!

そんな夢みたいな時間を過ごして、新潟に向かう新幹線に乗り込み、荷物を棚に上げたりなどしていると、通路を歩いて来る男性が、私の苗字に「さん」付けで呼び掛けてくるではありませんか!偶然(4)はここにも。それは山田勇気さんでした。山田さんも同じ新幹線だったのですね。虚を突かれて、「あっ!どうもです」くらいしか言えず、トイレに向かった連れ合いに知らせに行くと、驚いた連れ合いも大した挨拶も出来なかったような始末。常に平常心でキチンと応じることの出来る人にならねば、この日の締め括りにそんな思いを強くしたような次第です。

思いがけず、様々な嬉しい偶然に恵まれたことで、これを書いている今もまだ「Noismロス」に見舞われずに済んでいました。

ということで、このような「箱推し」の推し活ブログ、長々とお読み頂き、誠に恐縮、並びに心より感謝です。

(shin)

この夜は中尾さんと糸川さんがFM-NIIGATAの「NAMARA MIX」に出演♪

2025年6月3日(火)、FM-NIIGATAのラジオ番組「NAMARA MIX」(20:14~)にNoism1の中尾洸太さんと糸川祐希さんが出演されました。同番組は新潟のお笑い集団「NAMARA」の江口歩代表さんとオダニハジメさんがパーソナリティを務めるトーク番組で、以前にはこのブログでも、井関さん(2024/11/5)山田勇気さん(2025/2/18)、それぞれの登場回を紹介させて貰ったことがあります。ラジオ出演ということでは、先日、井関さんがBSNラジオ「サロン・ド・かおり」に出演されたばかりで、今度は中尾さんと糸川さん。Noismのメディア露出が続いており、嬉しい限りですね。

おふたりが出演されたのは「NAMARA MIX 30分1本勝負」で、「青コーナー」の挑戦者として、江口さん、オダニさんとやりとりされました。語られた内容をかいつまんでご紹介します。その江口さん、「NAMARA」事務所の脇に、Noismの稽古場があり、いつも覗きたい、覗きたいと思っていると語り出しました。

*朝10:30から「Noismバレエ」「Noismメソッド」、12:00から18:00頃までが次の公演に向けたリハーサルというNoismの毎日。

*Noismバレエ・Noismメソッド: 垂直軸を意識して、「外側に開いていく」ことを基本とする西洋発祥のクラシックバレエ。東洋的な水平軸を意識しながら融合・発展させていこうとするNoismバレエ・Noismメソッド。(糸川さん)

*Noism所属の経緯:
*中尾さん: 5歳からバレエを始める。その後、ドイツで学び、2020年2月にオーディションを受けようとするも、一足先に「コロナ禍」に見舞われた欧州ではオーディション全てがなくなってしまう。その前、フランスでのオーディションで出会ったアジア人の元NoismメンバーからNoismの話を聞き、自分でも調べて、4月に日本でのオーディションを受けて、Noism1メンバーとなった。
*中尾さんが感じるNoism: 所属した頃は、ある意味「宗教」チックで、思想や身体的なテーマ性があると感じ、それをどう自分に溶け込ませて、血肉にしていくか考えていた。最近はそれに加えて、Noismという「家族」になっていると感じている。
*糸川さん: アメリカに留学していたが、やはり「コロナ禍」で日本に帰らざるを得なくなった。そのタイミングで出会ったバレエの先生からNoismのことを聞き、すぐオーディションを受けたいと思い、単身、新潟に来て、オーディションを受けて、Noism2に所属した(2021年)。
*糸川さんが感じるNoism: 舞踊に全てを賭けている人たちの集まり。みんな、一日をほぼ舞踊に費やして、ひたすら身体に向き合っている。

*舞踊家が身体と向き合うこと: イメージしたもの、与えられた振りを身体で実践できるように、一致させるように身体を研ぎ澄ませていく作業。一朝一夕にはいかない、時間がかかる。(糸川さん)
イメージしたものに、運動神経的なもので辿り着けても、柔軟性的には辿り着けない部分もある。思い描いた通りに身体が動いたとしても、身体がその形になっていないみたいなリアリティとの闘いも常にある。(中尾さん)
共通の価値基準・身体言語としてのNoismメソッド、それはNoismとして高めていくべきものであり、身体と向き合っての身体表現は各々が向き合っていくべきもの。その中で、他者から影響を受けることになり、イコール、他者と向き合うことは自分と向き合うことになる。(中尾さん)

*ふたりがお互いに凄いと思うところ:
*糸川さんから見た中尾さん: 自分が持っていないものを持っていて、結構、影響を受けている。体つきも違うし、得意とする身体の使い方も異なっていて、凄い勉強になる。
*中尾さんから見た糸川さん: 没入力。何かに没頭する、その入り込み方。リハーサルの段階から表れている。

(倉木麻衣さんの『Body talkin’』を挟んで、後半へ。)

*「アルルの女/ボレロ」公演: 
*『アルルの女』: 糸川さんは「フレデリ」役(主役)、中尾さんは「村人」役。中心にくる「家族」はキャラクターに基づいて配役された感じ。
*台詞はなし。(メンバーは見せられていないが)台本のようなものは金森さんは持っている。振付・所作・動きの中で(身体で)表現していく。
*「アルルの女」は登場しない。「フレデリ」にしか見えていない幻想かも、何かが起こした妄想かもしれないが、その女性に取り憑かれて、追いかけてしまう。(糸川さん)
*初日に何も見ずにピュアなかたちで観て、その後、色々調べたりして、2日目・3日目にまた来て貰えるというのがよいのでは。(中尾さん)
*ストーリー以外にも、舞踊家の身体から出てくるエネルギーは強いので、それを感じて貰えたら嬉しい。(糸川さん)
*その瞬間が忘れられないものになれば、ということがメンバー全員が強く思っていること。(中尾さん)
*観客は常に意識している。「見てくれるお客さんありき」なので。どうやったら身体で伝えられるかは常に頭にある。それが具体的に言葉で表現出来ないものだったとしても、何か感動だったり、新しい発見だったりしてくれたら嬉しい。(糸川さん)
*「振付家としての中尾さんから金森さんはどう見えているのか」(江口さん)
 →「芸術家として、振付家としての先輩であり、Noismの『ビッグボス』として尊敬している」(中尾さん)
 →「そこ、俺だったら、こうするのになぁみたいなのは…」(江口さん)
 →「勿論ある。この曲はそういうふうに使うんだとか、ここはこの人数で、こういう空間的な配置をするんだとか、常に考えてしまう」(中尾さん)

*『ボレロ」: 
*具体的なストーリーがある訳ではなく、抽象的で、純粋な舞踊。(糸川さん)
*こちらは台本はないが、イメージから連想される人と人の繋がりは確実にある。(中尾さん)

*「アルルの女/ボレロ」公演のみどころ(江口さん「今、聴いている人の7割くらいが観に来てくれるような紹介を」): 
*大きなテーマが「生と死」。ふたつの作品が表裏一体で、ひとつの「イヴニング」にて上演される面白い公演になる。(糸川さん)
*「劇場」は人間の「生」の根源的な部分を舞台から見せ、観客はそれを新たな別の人、或いはリアリティとして受け取り、感じて、考えて、感動を受け取る場所。ひとりの人間である舞踊家が踊る「虚構」に非現実性を感じ、逆にそれがリアリティになる。(中尾さん)

最後の最後、「新潟は好きか」訊ねられ、間髪を入れず、即座に「好きです」と答えたおふたり。嬉しかったですね。で、訊ねた江口さんはNoismの連載(「古町通信」)があるタウン誌「月刊にいがた」にも触れていました。(糸川さん登場回の2025年3月号。)興味のある方はそちらも是非ご覧ください。

話は逸れますが、雑誌の連載ということで言えば、新潟市民映画館シネ・ウインドが出している「月刊ウインド」にもNoismの連載(「Voice of Noism」)があり、今月(6月)号は中尾さんのとても興味深い文章が掲載されています。そちらもこの機に是非併せてお読み頂けたらと思います。では、話を戻して、そろそろ締め括りです。

…以上で、この日の「NAMARA MIX」、中尾さんと糸川さん登場回(約30分)のご紹介とさせて頂きます。なお、radikoのタイムフリーで(暫くは?)聴くことも出来るようですので、是非そちらを活用されて、ご自分の耳でもお聴きください。

是非、是非、是非と連打で来ましたが、もう一度だけ。そうです。ほぼ3週間後に迫ったNoism Company Niigata「アルルの女/ボレロ」公演!皆さま、劇場に足を運んで、舞踊家の献身を一緒に見詰めましょう。大きな感動に浸れることでしょうから。是非!

(shin)

場内を魅了し尽くして幕をおろした「Amomentof」7/28大千穐楽(@埼玉)+6/29アフタートーク補遺

Noism Company Niigataの20周年記念公演「Amomentof」が、遂に2024年7月28日(日)に灼熱の埼玉は与野本町、彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉にてその全6公演の幕をおろしました。

この日の開演時刻(15:00)頃には、気温は38℃になるとの予報が出ていた与野近辺。風もなく、蒸し風呂の中にでもいるかのようなその暑さは、ヒトの暑熱順化など到底追いつくべくもないほどの気温であったかと。

そんな酷暑の街路を辿って彩の国さいたま芸術劇場を目指して歩いていたのは、しかし、別種の「熱」を求める人たち。その移動振りは、この日、その場所を目指した目的から、周囲の異常とも言える高温にさえ負けぬ様子を示していたように思います。

その「熱」を発する舞台を観ようと集まってきた大勢の観客のなか、浅海侑加さんのお母さん、糸川祐希さんのお母さんと、そしてフランスからドバイ経由の20時間の空旅で駆けつけた旧メンバー・中村友美さんとも色々お話ができましたし、更に宮前義之さんの姿なども認めたりして、いやが上にも気分はあがりました。

大千穐楽の舞台はやはり「熱」を発して余りあるものでした。

まずは『Amomentof』。バレエバーに手をかけて身体をほぐすことに始まる日常から、日々に住まう葛藤や苦悩をあからさまにしつつ、物凄い高揚を見せてのち、最初の場面へ。「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道」と言ったのはイチロー選手。誰もが肯(がえ)んずるほかない真理なのですが、この舞台ほどの説得力を伴って可視化されることは稀でしょう。井関さん、金森さん、そして他のメンバーたち、それぞれが見せる目の表情、それらが行き違い、交錯するさまには実にスリリングなものがあります。

この演目には、Noismの過去作で目にしてきた「振り」の数々があちらこちらに織り込まれているだけでなく、終盤に至っては、私たちが見詰めるその舞台の奥に、『Mirroring Memories』を彷彿とさせるようなかたちで、先刻、ハケたメンバーたちがこれまで井関さんが纏ってきた数々の衣裳ほかに身を包んで居並ぶ姿が見えてくるではありませんか!更に、やがて、その上方に「20年間」の公演ポスターが一気に映し出されて追い打ちをかけてくるのです。胸に去来する様々な思い出の場面。「ずるいよ、金森さん」涙を堪えることなど早々に諦めるしかありませんから。目に映ずるのは孤高を経て、やがて敬意の群舞へと転じ、その舞台狭しと躍動するメンバーたちの中央、井関さんが発する万感籠もった泣き叫びの声には胸を強く揺さぶられずにはいられません。

更に言えば、マーラーの交響曲第3番第6楽章「愛が私に語りかけるもの」をその作品中に取り込んでしまうといった、大胆と言えば大胆に過ぎる構成の妙も畳みかけてきます。マーラーの旋律とともに現前する圧倒的な高揚感の画、しかし、その全てが、最後、井関さんがメンバーたちに向けるキョトンとした目によって、ありふれた日常の時間のなかに回収されてしまうさまが実に詩情豊かで、切れ味抜群、憎いくらいに見事なのです。

この日は完全に幕がおり切るまで、拍手は一切起こらず、(刹那とはいえ、)甘美な余韻が静寂となってホール内におりてきました。その後、「もっと拍手をしていたいのに」、そんな気持には頓着することなく、呆気なく客電が灯るのはいつも通りでした。

20分の休憩を挟んで、『セレネ、あるいは黄昏の歌』が記念公演の掉尾を飾りました。この大作も、目の表情のスリリングさの点で『Amomentof』に全く引けを取らないものがあります。陶然として春の歓びを発散させる目があったかと思えば、動物的な「生」のエネルギーが「性」的な逸脱へと至る様子を押し殺した怒りを浮かべながらも、敢えて直視しようとしない目があり、はたまた、「憎しみ」の連鎖を宿し、その対象を見出してしまう凶暴な目や、その自らの「蛮行」に自ら怯える目もあり、老いて呆けた印象の、同時に寛容さを示す目に、それを模倣しようとする剽軽な目や、何物にも囚われることのない無邪気さそのものの目、かと思えば、呪術的な手の仕草を繰り返しながら、真っ直ぐ前を見詰めて動じない迫力に満ちた目、等々、挙げだしたらきりがないほどです。舞踊作品において、目ばかり取り上げるのもどうかと思いますが、少なくとも、そこにこの作品を読み解く鍵(のひとつ)があるとしか思えないのです。

命が芽吹く春。内的な力が溢れて、ときに暴発し、その様相をすっかり異にしてしまう夏。平衡かに見える秋を経て、やがて冬の死へ。しかし、一刻も止まることはなく、やがて再生へ…。そんなふうに巡る季節。循環。描かれる円環。

そう、「ENKAN」。近藤良平さんを招いての来る冬の「トリプルビル」です。「巡ること」のモチーフはこの後のNoismにあって、多様に追い求められていくことになりそうですね。楽しみです。

大千穐楽の幕がおりたとき、場内に谺した大きな拍手と「ブラボー!」。そして広がったスタンディングオベーション。無理からぬことです。「20周年」ということを全く抜きにしても、私たちが目撃したのは、物凄い訴求力をもつふたつの演目であり、それは取りも直さず、舞踊家の献身煌めく刹那が途切れることなく連なることで編み上げられた舞台だった訳ですから。もう、端的に言って、至福のときを過ごしたとしか言いようがありません。

皆さんの目には、そして心にはどう映じたでしょうか。「Amomentof」大千穐楽についてはここまでです。

ここからは、以前(2024/6/29)のブログ記事(「Noism 20周年記念公演新潟中日の眼福と楽しかったアフタートークのことなど♪」)において、公演が続いている事情から、「ネタバレ」に繋がるので書けないでいた同夜のアフタートークでの井関さんと金森さんのやりとちをご紹介して、ブログの締め括りにしたいと思います。以前の分と併せてご覧頂けたら幸いです。

☆★6/29アフタートーク(新潟公演中日終演後開催)補遺★☆
☆井関さんが一番思い出に残っている衣裳は何か
金森さん: 『Amomentof』では井関さんがこれまでに着た衣裳を出した。
井関さん: 「一番」となると難しいが、思い入れで言ったら、故・堂本教子さんによる『夏の名残のバラ』の赤い衣裳。生地に拘って色々語っていたのを思い出す。今回、出ていなかった衣裳だけど。
金森さん: 色味が色々あったし、バランスがあった。でも、拘りがあって、最後の最後、井関さんが「あれは(出すのは)イヤだと言った」
井関さん: アレを出したら、「私が着ます」となっちゃうから。

…というところを今漸く書くことが出来て、スッキリした気持になりました。以上です。

(shin)

「Amomentof」埼玉公演2日目!

今日(2024年7月27日・土)も素晴らしい公演でした!!

危険な暑さは相変わらずで、しかも開演時にはゴロゴロとかすかに雷の音が・・・
『Amomentof』は静かな雷鳴と共に始まりました。
しかし音楽が流れると全く気にならず、どんどん引き込まれていき、感動的な音楽と踊りにまたも感涙。。。
そして最後、皆がバーに戻り、佐和子さんがハッと気がつくシーン、静かな舞台に、最初と同じようにかすかな雷鳴が聞こえました。自然の音響が感慨深かった次第です。

休憩時には新潟からの友人たち、吉﨑裕哉さん、そして糸くん(=糸川祐希さん)のお母様にもお目にかかれて嬉しかったです♪
さい芸芸術監督の近藤良平さんもいらっしゃいました。
そして、舞台評論家 堤広志さんご提供のパフォーミング・アーツ・マガジン「バッカス」02号(編集責任者・堤さん:2004年刊)、無料置き配布されています! その「バッカス」02号には「特集 未知なる挑戦Noism04」が掲載されており、懐かしい写真が満載! 早い者勝ちですよ♪
昨日もありましたが、あっという間に無くなり、今日は追加してくださったようです。
新潟公演時にもありましたし、少し前にサポーターズにもご寄贈いただきまして、会員の皆様にお送りしました。堤さん、どうもありがとうございました!

そして『セレネ、あるいは黄昏の歌』。
圧巻の舞台に惜しみなく拍手が贈られました! ブラボーもスタンディングもあって本当に嬉しいです。充実・充足感に満たされ、幸せな気持ちで大満足で帰路につきました。
帰る時は昨日も今日も小雨になりました。明日は涼しくなるといいですね♪

さい芸1階ガレリアでは世界に名だたる舞踊家、舞踊団の、さい芸での公演写真展が開催されています。日本ではNoismとコンドルズがありました♪
Noism『鬼』は2022年。あのときも暑かったですね🔥素晴らしい公演と共に駅前広場の赤いバラを懐かしく思い出しました。今年のバラはピンクが多いです。

明日(2024年7月28日・日)は大千穐楽、皆様どうぞお見逃しなく!

(fullmoon)

「ランチのNoism」#22:糸川祐希さんの巻

メール取材日:2024/04/23(Tue.)& 04/25(Thur.)

皆さま、再開した「ランチのNoism」、今月はその22回目として、糸川祐希さんのランチをお届けする運びとなりました。スリムながらも、(恐らく)食べ盛りの糸川さん。その身体に収められていくランチとは果たして?では、今回もいってみましょう!

♫ふぁいてぃん・ぴーす・あん・ろけんろぉぉぉ…♪

「GW」前(取材時)のりゅーとぴあ〈スタジオB〉に昼が来た!「ランチのNoism」♪

*まずはランチのお写真から。

すっきり潔いランチって感じですが、
でも、それよりも、「アレ」がない!?

1 今日のランチを簡単に説明してください。

 糸川さん「白米とさばの塩焼きです」

 *そうですよね。ハイ、了解です。で、ええっと、画像に写っているものについては、あとからじっくりお訊きすることとして、それ以前に気付いたことがあるものですから。
だって、「アレ」がないじゃないですか、「アレ」が。前回の杉野可林さんのランチのときに、みんなで(なかでも、糸川さんはカメラ目線で)当たり前のようにかき混ぜていた「アレ」ですよ。その「アレ」、そう、納豆です。

 -「マストアイテム」じゃなかったんですか、納豆。

 糸川さん「朝にも食べているので、お昼はマストではありません」

 *おお、そうなのですね。昼には「マスト」ではないけれど、全くの「脱納豆」ってことでもなしに、と。ワタクシ、納豆好きなもので、また、ああしてかき混ぜる姿も見たい気持ちあったもので(笑)。…見せるとか見るとかってものでもありませんけれど。

2 誰が作りましたか。普通、作るのにどれくらい時間をかけていますか。(or 主にどこで買ってくるのですか。)

 糸川さん「白米は家で炊いたもので、さばは清水フードセンターで買ったものです。家とりゅーとぴあの間にあるので、だいたい寄っていきます。 ごく稀に、前の日の晩御飯の残りを持っていきます」

 -トレイに載ったさばの塩焼き画像、インパクト大です。よく買われる品だったりするのですか。

 糸川さん「この時初めて買ってみました。安かったのとたんぱく質が多く含まれていたので選んでみました」

 *価格と求める栄養の両立ですね!なるほどです。

 -「焼き魚」コーナーはよく覗かれるのでしょうか。あと、他にはどんな魚を買われますか。

 糸川さん「焼き魚は最近選ぶようになりました。鮭もよく買います」

 *新潟は魚も美味しいですからね。うん、わかります、わかります。

 -そんなふうに清水フードセンターでの「戦利品」をおかずにするときは、魚以外にはどんなものがありますか。

 糸川さん「魚以外には、筑前煮など煮物を選ぶことが多いです」

 *いいですね、煮物も。煮物ってことなら、新潟の名物「のっぺ」なんかもラインナップに加えて欲しいですね、はい。

 -ここで、今日のランチに話を戻します。ラップの白米は所謂「おにぎり」ではなくて、包まれた純「白米」なのですか。中に何か具を入れて来たり、ふりかけをかけたりすることなどはありますか。

 糸川さん「おかずを持ってきたりしたときは、おにぎりではなく白米を持ってきます。おにぎりを作る時もあります」

 *さばの塩焼きがあるこの日は白米だったと。うん、納得です。

 -で、そのラップの白米についてなのですが、あの分量はどのくらいですか。決めている量があるのでしょうか。

 糸川さん「朝昼分でお米は1合食べるので半合ぐらいです」

 *半合、なるほど、なるほど。

 -あともうひとつ、カップの中の飲み物は何ですか。そして、それ、ヴァリエイションがあるのでしょうか。 あるとすれば、具体的に教えてください。

 糸川さん「この日はコーヒーです。お味噌汁を飲むこともあります」

 *飲み物もその日その日、色々なのですね。
そしてもう一枚、前の日の晩ご飯の残り画像も頂きました。有難うございます。はい、そちらもどうぞ。

「ズキュン!」キラー笑顔の発動きたぁ♪

 *いつもの優しい表情の糸川さん!そしてガッツリのタッパーめし!所謂「のっけ弁当」じゃないですか。

 -白米の上に載っているのは、豚肉としめじと卵の炒め物でしょうか。

 糸川さん「これは自己流親子丼です。鶏肉とぶなしめじと玉ねぎが入っています」

 *おお、親子丼ですね、それは! 美味しそうです♪

 -夜とか週末とか、料理もしたりするのでしょうかね。得意料理なんかも教えてください。

 糸川さん「余裕があるときはなるべく自炊するようにしています。得意料理はこの自己流親子丼です(笑)」

 *もう一度、美味しそうです、と。

 -で、この画像のタッパーご飯、結構ありそうですけれど、分量はどのくらいでしたか。ラップの白米と同量なのですか。

 糸川さん「この日は具が多かったので1合でした。さすがに多かったので2回に分けて食べました」

 *「山田太郎」的白米量かと!(←若い糸川さんですが、わかります? わかりますよね、『ドカベン』。)

 -あと、これはちょっと「ランチのNoism」を離れて、「纏うNoism」的なことになるのですが、ひとつお尋ねします。この画像、かつて師事されていた服部彩子さんのバレエクラスの2023年Tシャツを着ておられますが、今でも時折、クラスに顔を出されて、一緒に踊ったりとかされているのですか。

 糸川さん「はい。帰省した時にはクラスを受けたり、以前コンクールのために、生徒に振付をしたこともありました。今でもとてもお世話になっています」

 *振付をされたときの様子はこちらをどうぞ。よい関係が続いていることがわかるお話です。糸川さんはクラスの人たちにとって目指すべき先輩のひとりなのですね、素敵な関係性です。

3 ランチでいつも重視しているのはどんなことですか。

 糸川さん「安く抑えつつ、たんぱく質をしっかり摂りたいと思っています」

 *先程も触れられてましたけれど、コストも内容もどちらも大切ですよね。要は、そのバランスってことですね。

4 「これだけは外せない」というこだわりの品はありますか。

 糸川さん「白米など炭水化物は必ず摂るようにしています」

 *毎日、激しくエネルギー消費する日々をお過ごしですからね。それに若いし。

5 毎日、ランチで食べるものは大体決まっている方ですか。それとも毎日変えようと考える方ですか。

 糸川さん「前まではランチは同じメニューを食べていたのですが、最近毎日変えるようになりました」

 -それはどういう考えによるもので、どういうふうに変えたのですか。

 糸川さん「以前は納豆をおかずにしていたのですが、朝にも食べているので、お昼は違うものを食べたいと思いはじめたからです」

 *昼は納豆固定ではなくして、「たんぱく源」に多様性をもたせることにしたということですね。

6 公演がある時とない時ではランチの内容を変えますか。どう変えますか。

 糸川さん「特に変えません」

7 いつもどなたと一緒に食べていますか。

 糸川さん「(Noism)1メンバーと同じテーブルで食べています」

8 主にどんなことを話しながら食べていますか。

 糸川さん「食べ物の好みの話などをよくしているかなと思います」

 -そうなんですね。差し障りのない範囲で、印象に残っている話を少し教えてください。

 糸川さん「好みというか微妙なのですが、僕が焼売をおかずに持ってきた時に、こうたくん(=中尾洸太さん)が焼売でご飯は食べられないと言っていたのがとても印象に残っています」

 *面白いエピソード、有難うございます。ワタクシ、崎陽軒のシウマイ弁当の大ファンですし、テレビのCMで、焼売をガッツリ頬張ってむせる小栗旬さんに感情移入できるんですけどね。でも、以前にもバナナは青い方がいいとか、熟した方がいいとかあったのを思い出しました。ですから、人それぞれで、ここにも多様性あり、と纏めておきます(笑)。

9 おかずの交換などしたりすることはありますか。誰とどんなものを交換しますか。

 糸川さん「おかずの交換などは、特にしません」

10 いつもおいしそうなお弁当を作ってくるのは誰ですか。料理上手だと思うメンバーは誰ですか。

 糸川さん「料理上手だなと思うのは、りおさん(=三好綾音さん)です。以前、手作り餃子を食べさせてもらったことがあって、とてもおいしかったです!」

 -その日、三好さんは、みなさんに振る舞うために、かなりの量を持って来られたってことなのでしょうか。

 糸川さん「ひかるくん(=坪田光さん)とボードゲームをやりに、りおさんの家にお邪魔したことがあって、その時に餃子を食べさせてもらいました」

 *はいはい、餃子はランチの折にではなくて、だったのですね。

 -あと、他に何か三好さんが作ったものを貰ったりしたことってありますか。

 糸川さん「餃子と一緒に長芋のマリネを食べさせてもらいました。とても美味しかったです」

 *おお、想像しただけでほっぺた落ちそうです。そもそも餃子ってだけで、脳内にまた小栗旬さんが登場してきて、「これが家で食えたなら」「食えます」ってのが聞こえてますし、ハイ。
ここまで細か過ぎることまで色々教えていただいた糸川さん、ホント感謝です。どうもご馳走様でした。

糸川さんからもメッセージを頂戴しました。どうぞお読みください。

サポーターズの皆さまへのメッセージ

「いつも暖かい応援ありがとうございます。 サポーターズの皆様の存在がどれだけ励みになっているか言葉では言い表せないほど感謝しかありません。 これからもご支援の程、よろしくお願いいたします」

糸川さん、この度はどうも有難うございました。

5月の前沢ガーデン『セレネ、あるいは黄昏の歌』、そして6・7月のNoism Company Niigata 20周年記念公演「Amomentof」、どちらもとても楽しみです。頑張ってください。
といったところで、「ランチのNoism」第22回はここまでです。今回もお相手はshinでした。ではまた次回。お楽しみに。

(shin)

「皆さんのお陰でいい舞台になった」(山田さん)の言葉で終演♪『Noism2定期公演vol.14+Noism1メンバー振付公演2023』

2023年4月23日(日)、前日に幕が開いた『Noism2定期公演vol.14+Noism1メンバー振付公演2023』ですが、2日間の日程のため、早くもこの日、終演を迎えることになりました。開演時間は15:00。りゅーとぴあ界隈は同時刻に他のイヴェントも重なっていたため、早くからNoism公式が駐車場の混雑予想を発していたほど。車を駐めるのにやきもきした方も多かったのではないでしょうか。

かく言う私ははじめからりゅーとぴあ駐車場を諦めて、近隣の駐車場狙いで動き、りゅーとぴあへ向かう道すがら、The Coffee Tableさんでカフェラテを求めて、美味しく「暖」を得ながら歩いたような案配でした。そうです。この日もくっきり晴れてはいたのですが、風が冷たい一日だったのです。

カフェラテを飲みきる頃には、既に開場時間となっており、あの作品たちにもう一度向き合う準備を自分のなかで徐々に徐々に進めていきました。チケットを切って貰ってホワイエに進むと、まず目に飛び込んできたのが物販コーナーに立つ庄島姉妹の姿であり、そこで振り返ると今度はプログラムの展示コーナーには三好さんと横山さんの姿を認めることになりました。なんと豪華なスタッフであることでしょう!そのまま放置できる筈もなく、お願いして写真を撮らせていただきました。多幸感、多幸感♪どうも有難うございました。

そんなこんなで開演時間を迎えて、この日も前日同様、『Noism1メンバー振付公演2023』から幕があがりました。それからの4作品について、前回のブログには書けなかった事柄を思い付くままに記録しておこうと思います。

糸川祐希さん振付作品『Ananta』。「円環」を意識させる端正な印象の作品。斜めにかぶいて立つ姿がいつまでも残像として残り、傾いた身体の軸を上方に伸ばしてみると、幻視される直線上の一点で交わることになる身体ポジションの把捉も影響あるかと。ラストの暗転直前、互いに視線を交わらせる様子にもグッとくるものが。

坪田光さん振付作品『あなたへ』。最初は繰り出されるビートに乗って、やがて、祈りにも聞こえる不鮮明な人声のなか、自らの身体を差し出す舞踊家ひとり。天とおぼしき上方から、そして正面方向から受け取った何かをその身に入れてなおも差し出す。そうして見出されるだろう自分にとっての真実を手にせんがため。

樋浦瞳さん振付作品『器』。前回も書いた斜めのアクティング・ラインへの拘りを再確認。コッポラ『地獄の黙示録』のヘリのプロペラ音にも似て、デフォルメされた回転系のノイズのなか、時折、周期的に現れる金属開閉時のようなノイズにおののきつつも「今」に向き合うふたり(或いは「2匹」)、休む間もなく。

中尾洸太さん振付作品『自転・公転』。弦とピアノのゆるやかな楽音のなか、ひとりがいまひとりに見捨てられて踊る。次いで、もうひとりの側でもその同じ状況が反復される。そこを経過したのち、二者の関係性は更新され、自らを超え出たその先で、相手を見出して、新たな関係性と邂逅し、刷新されたひとりとひとり。

…そんな事柄を、私は感じました。ご覧になられたあなたはどう感じましたか。コメント欄にてお書きいただけましたら嬉しく思います。いずれにしましても、四者四様の刺激に満ちた作品たちだったと感じました。

そこから、15分間の休憩を挟んで、ほぼ16:00、後半の『Noism2定期公演vol.14』部へと移行していきました。初日ブログのコメント欄にて、fullmoonさんが正しく指摘してくださった、金森さんの振付の「強靭さ」に改めて打たれることになりました。集められたピース、その一つひとつの魅力的なことといったら!でも、その「進行」或いは「展開」は前回のブログをご覧いただくこととして、今回は詳細には立ち入らないでおきます。

但し、どうしても書かねばならぬことがあります。22時間前の(前日の)パフォーマンス(そしてそれ自体は全然悪いものではなかったのですが、)からみて、圧倒的な訴求力を加えて踊られていったということを特筆しておかなければならないでしょう。わずか22時間を隔てて、ほんの一度、舞台上で踊ったことで手にした自信と確信を身中に、「今のこのときを逃してなるものか!」とばかり、それぞれのその可能性を押し広げんと、それぞれに未踏の領域に踏み込んで踊ってみせたのが、この日のNoism2のメンバー9人だったと言わねばなりますまい。ラストの『クロノスカイロス1』を踊り終え、いまだ息の荒い9人(とNoism1メンバー4人)に対して繰り返されたカーテンコール、その度毎に、スタンディングオベーションの人数が増えていったのです。その場面、客席と舞台の間に生じ、やがて〈劇場〉内を覆い尽くすに至ったもの。9人の献身の果てにもたらされた非日常の感動、それに浸ることの幸福感。恐らく、舞踊家も観客も誰ひとりとしてこの日、このとき、それぞれの心が示した振幅の大きさを忘れることはないでしょう。確信をもってそう言い切りたいと思います。涙腺直撃の、素晴らしい2日目の(最終)公演でした。

その後はやはり前日と同様、アフタートークが持たれました。その際のやりとりについてもかいつまんで簡潔にご紹介しましょう。この日は質問シートが多く、それに基づいてのアフタートークでした。

Q01: Noism2は現在、メンバーは女性だけ。難しいことは?
 -浅海さん:
 「組みもの」など、男性がいて初めてできる表現もあるので、そこは淋しい。常に募集している。

Q02: Noism2からNoism1にあがるときの変化はどんなものか?
 -糸川さん:
 (金森)穣さんとのクリエイションが出来ることが一番大きい。
 -坪田さん: 出来ること自体はNoism2のときから変わらない。Noism2だったときも学ぼうと思えば学べると思っていた。
 -山田さん: やはり環境が異なる。本人が意識していなくても変わっていることもある。

Q03: 【山田さんと浅海さんに対して】それぞれの振付作品をみた感想は?
 -浅海さん:
 それぞれの性格がそのまま作品に出ていると思った。
   糸川さん作品は、動きの組み合わせ、音楽の選び方、4人の配置。
   坪田さん作品は、そのまんま勢いよく踊って表現していた。
   樋浦さん作品は、彼が描く絵と似ていると思った。
    ちょっとジブリのような。水の流れというより水の泡のような。
   中尾さん作品は、動き、流れ、構成、良さが詰まっていた。
    振りをつくるのがしっかり見えていて良いなと思った。
 -山田さん: みんな一緒で、自分の問題意識から出発して、社会や世界へと問題意識を広げていけるといいと思う。よく出来ていた。次、何をするのか気になる。

Q04: 「タイトル」の理由は?
 -糸川さん:
 「アナンタ」とはサンスクリット語で「永遠」、そしてインド神話では原初の蛇にして神。まず、音楽から決めて広げていったとき、途中で「永遠」への疑問が湧いた。
 -坪田さん: 「あなたへ」。年配の人は誰しも迷いがあっただろうし、懐メロみたいだったり、若い人には今はつらいかもしれないが、先に光があるかもとか、応援ソングみたいだったり。未来の「自分」にむけた手紙のような作品をと。
 -樋浦さん: 「器」。入れ物に対して、入るものがあり、出ていくけれど、残るものがある。身体は器だなと。過ぎていくことで悲しいこともあるが、中に入れて変化していく器としての身体を思った。
 -中尾さん: 「自転・公転」。人間関係の比喩が一番大きい。外からみれば、変わらず回っているが、中のことはわからない。一生変わらない世界線、軌道を舞台上に載せてみたらどうなるかなぁと思った。

Q05: 女性メンバーは「振付」はしないのか?
 -山田さん:
 予定段階では女性メンバーもいた。是非、今度はやって欲しい。

Q06: 【山田さんと浅海さんに対して】昨日から今日にかけて、メンバーにどう声を掛けたか?
 -浅海さん:
 何も声は掛けてない気がする。
 -山田さん: 今日の本番前、見詰め合っているのを目撃した。
 -浅海さん: 舞台に出るとき、「いってらっしゃい」って言う。
 -山田さん: 直前に声を掛けるのは難しい。でも何か言っておきたいと思って、昨日は「これが最後だと思ってやって欲しい」と言い、今日は今日で「昨日から今日、自動的に踊れる訳ではない。初演のつもりでやって欲しい」と言った。

…と、まあそんな感じでしたでしょうか。で、アフタートークの最後に山田さん、『領域』の公演チラシを手に、明日明後日からダンスカンパニーカレイドスコープを主宰する二見一幸さんと一緒のクリエイションが始まる予定だと話し、続けて、同公演では浅海さんも久し振りに踊ると言ったところで、場内から大きな拍手が起こりました。見られるのですね、浅海さんの踊り。嬉しいです。

で、山田さん、最後の最後、客席に向かってこう言って締め括ってくださいました。「(公演が終わってしまい、)ちょっと淋しいですが、皆さんのお陰でいい舞台になりました。どうも有難うございました」と。しかし、それはこちらの台詞です。「振付家・舞踊家をはじめ、今公演に関わった皆さん、どうも有難うございました。そしてお疲れ様でした」と心より。

大きな感動(と同時に、小さくはない淋しさ)を胸に帰路につきましたが、それ故、ホントに次回の公演が楽しみでなりません。そうですよね、皆さん。ではまた公演会場でお会いしましょう。今日のところはこのへんで。

(shin)

『Noism2定期公演vol.14+Noism1メンバー振付公演2023』初日を観てきました♪

陽は差しているのに肌寒い2023年4月22日(土)の新潟市でしたが、夕刻のりゅーとぴあ〈劇場〉だけは、舞踊家と振付家の情熱が身体の発する熱となって客席に届き、観る者も全員、それに呼応して熱い眼差しを注ぎ返す空間と化し、そこだけ周囲より高温となる「ヒートアイランド現象」が出来してでもいるかのようでした。その「熱源」の正体は、言うまでもなく、「挑戦」の2文字が相応しい公演『Noism2定期公演vol.14+Noism1メンバー振付公演2023』に他なりません。

開場時間の16:30になり、ホワイエに進むと、この度のNoism2定期公演に取り上げられたNoismレパートリーに関するポスターやプログラムの展示があったほか、設置されたモニターには過去の舞台動画が流されていて、訪れた者の足を止める仕掛けが幾重にも施されていました。それはまさしくNoismの歩みを概観させると同時に、重ねられた年月に相応しい華のあるレイアウトだったと思います。

やがて開演時間の17:00が迫り、客席に降りていきました。まずは『Noism1メンバー振付公演2023』からのスタートです。
客電が落ちた後、黒い緞帳に白い文字で作品タイトルに加えて、演出振付家と出演者の名が暫し投影されると、その緞帳もあがって…、というのが作品毎に4度あり、4人の若き振付家の作品を観ました。

皮切りは、糸川祐希さんの『Ananta』(出演:兼述育見さん、土屋景衣子さん、渡部梨乃さん、太田菜月さん)。「アナンタ」とは、インド神話に登場する地底界の最深部にて世界を支える原初の蛇で、自らの尾をくわえて輪のかたちになっており、「無際限」や「永遠」を象徴する存在(蛇神)なのだそう。プログラムには「『ウロボロスの蛇』のよう」とあります。寒々しい風の音を思わせる坂本龍一『レヴェナント:蘇えりし者』のテーマのなか、歩み出た4人。その後、Alva Notoの(否が応でも、『R.O.O.M.』を思い起こさせる)途切れ途切れのノイズの間に細切れのように踊る、身体性を前面に打ち出したソリッドな作品と言えようかと思います。

次いで、坪田光さん自作自演、単独で踊る『あなたへ』。自らの身体ひとつで全てを引き受けて立とうとし、孤独のうちに内心の苦悩に向き合い、迷いながらも、自らにとっての真実を求めて身を捧げんとする一途さに溢れた作品と受け取りました。

3番目は樋浦瞳さんの『器』(出演:樋浦瞳さん、兼述育見さん)。ふたりの息はぴったりなのですが、終始、上手(かみて)奥から下手(しもて)手前への斜めのラインを使って、殆ど客席に正対することなしに踊っていくため、ついぞ、安定を見ることなく、現在が不断に更新されていくかのような印象の作品です。(それが方法的なものなのか、或いは、例えばオブセッションのように作家性に根差したものなのか興味深いところです。)

最後に踊られるのは、中尾洸太さんの『自転・公転』(出演:中尾洸太さん、渡部梨乃さん)。まずはふたつのソロ(渡部さん→中尾さん)から入り、ついでふたりが流麗に、スタイリッシュにデュエットを踊っていきます。他者を、翻って、自分を捉えようとする営みででもあるかのように。

17:45頃から15分間の休憩に入り、その後、『Noism2定期公演vol.14』として再開されました。そこからは金森さんの演出振付で、山田勇気さんによる構成のNoismレパートリー「Bachプログラム」です。(まだ、1年目のメンバーは充分に把握できておりませんので、抜けもございます。そのあたり申し訳ありませんが、ご容赦いただくとともに、記載に間違いがある場合にはお知らせくださいますようお願いします。)

まずは『ZONE』より「academic」で幕があがり、Noism2の9人全員で踊られました。いきなり、バッハの音楽が金森さんの美意識で透徹されて可視化され、観客に差し出されるのですが、それはまた、これを踊ってこそのNoismといった風情もあるので、全員、緊張感もあったでしょうが、幸先のよいスタートを切った感がありました。そこから兼述さんと土屋さんふたりの踊りを経て、『no・mad・ic・project』より。上手(かみて)手前に椅子を1脚運んできて、腰掛けた高田季歩さんが上方からのピンスポットを浴びてひとりで踊ります。続いては『Nameless Hands-人形の家』の人形振りと黒衣の番です。黒衣に操られる人形は太田さんと村上莉瑚さん。人形ゆえにまばたきもできません。(4/15「オープンスタジオ」の際からすると、黒衣はまず3人が河村アズリさん・佐藤萌子さん・春木有紗さんで、そのパート最後に村上さんを下げるために出てくるもうひとりが高田さんかと思われますが、顔も身体も覆い、「見えない約束」の黒衣ゆえにしかとはわかりません。)不穏さは更に増して、『Phychic 3.11』(渡部さん・土屋さん)へいきます。直視するのだに恐ろしく、耳を塞いでなんとかやりそごそうとする以外ありません。(こちらの黒衣も同様に、兼述さんかと思われますが、確かかと言われれば、それも…。)
そこから一旦、暗転を経て、『ZONE』「academic」(太田さん・河村さん・春木さんに加えて、Noism1から中尾さん・坪田さん・樋浦さんも参加します。)、後半も品位ある美しさから始まります。続いて、雰囲気もそのままに『Complex』よりデュエット(村上さん・Noism1糸川さん)です。その後は『愛と精霊の家』より冒頭のシーン(兼述さんのソロ)が続き、ラスト、クライマックスの『クロノスカイロス1』を9人が力いっぱいに疾走し、踊ります。このときの9人の表情は(本当はめちゃくちゃ苦しいのでしょうが、)明るい笑顔になっていて、残りの体力を全て振り絞って踊り切っていく若い9つの身体が、ホントに清々しく、目に眩しく映りました。

何より、3年目から1年目のメンバーまで、ひとりの例外もなく、みんなNoismの一員たらんとして、誠実にNoismの動きを身体に落とし込もうとしてきたことが見詰める両目から入ってきて、胸が熱くなりました。過去から繋がってきたものがきっと未来へも繋がっていく、そんなロマンを感じさせるパフォーマンスだったからです。

終演後に緞帳があがると、まずはNoism2の9人が横一列に並んでいました。拍手。ついで、Noism1からの男性舞踊家と4人がその前に並ぶとまた拍手。そして、その4人がふたりとふたりに分かれてNoism2メンバーの横に移動してからは更に大きな拍手に変わり、それはもういつ果てるともなく続き、カーテンコールが何度も何度も繰り返されました。

それから、久し振りのアフタートークです。久し振りとは言っても、金森さんも井関さんもおられず、山田さんと浅海さん、そして振付を行ったNoism1メンバー4人によるアフタートークですから、かなり新鮮な感じがしました。その折のやりとりから少しご紹介しましょう。

Q01: 特に変化したメンバーは?
 -浅海さん:
 1年目のメンバー。このステージは思った以上に大きかったと感じた筈だが、広さを把握してきて、空間認識が見えてきた。
 -山田さん: 1年目のメンバーは成長が見え易い。2、3年目となると伸び悩んだりしがちだが、自分の踊りを見つけてくれたかなと思う。

Q02: 振付公演の出演者はどうやって選んだのか?
 -糸川さん:
 音楽から得たインスピレーションでの作品作りだったが、そのときの想像のなかにいたメンバーを直感で。自分のやりたいことを理解してくれるメンバーを。
 -坪田さん: 去年は8人という大人数の作品で、周囲から「よかった」と言われたことが不服だった。自分に試練を与えるつもりで自分ひとりで踊ろうと思った。
 -樋浦さん: 兼述(さん)とふたり。たたかっている2匹という感じ。自分がイメージしていないところまでたたかってくれる人を。
 -中尾さん: 金森さんからも同じこと訊かれたのだが、渡部さん。やったことのない人とやってみたかった。ほか、男性はみんな忙しそうだったから、自分を選んだ。

Q03: 【山田さんから糸川さんへ】初めて作ってみてどうだった?
 -糸川さん:
 去年、坪田さんの作品に出て、作品作りに興味を持った。自分ではない人にやって欲しいことを伝えるのは難しかったし、どう返してくれるか、やりとりが難しかった。でも、それを通して、自分がやりたいものが見えた。

Q04: 山田さんは何故『クロノスカイロス1』を選んだのか?
 -山田さん:
 あの映像で踊ることで、違う次元に行けるんじゃないかと思った。先輩と拮抗して存在して、でも時間は過ぎていく、踊りは消えていくことに。

Q05: 日々気をつけていることを教えてください。
 -糸川さん:
 トレーニング。今、筋トレに夢中。男性らしい筋肉つけたい。
 -坪田さん: 日々変わることを目標に毎日やっている。知らない自分に出会いたいと思いながら。
 -樋浦さん: その瞬間はその瞬間にしか来ない。上手くやりたいとかではなく、「今」を味わい尽くすこと。
 -中尾さん: 「じょうさわさん(=金森さん&井関さん)」より上手くなるとしか考えていない。

Q06: 【山田さんから4人へ】現在、41歳の自分の世代では、コンテンポラリーダンスは盛んだった。ベジャールとか「大きな振付家」がいた世代だった。みんなの世代で、みんなにとって影響を受けた特別な振付家・アーティストは誰か?
 -糸川さん:
 ウィリアム・フォーサイス。かっこいい。自分の美意識に反応する作品を作っている。
 -坪田さん: いっぱいいる。でも、遠くの振付家より、金森さんや山田さんとやった経験が深層心理に入ってきている。
 -樋浦さん: 新潟生まれなので、金森さん。大きな影響を受けてコンテを始めた。あと、彫刻家のイサム・ノグチ。
 -中尾さん: イリ・キリアン。4年前に観て、コンテやりたいと思った。他には椎名林檎。彼女の世界観、存在感、舞台。

Q06b: 【山田さんから樋浦さんへ】(影響を受けたのが金森さんという)その割には違う。オリジナリティがあるのかなと思うけど。どういうところから作っているのかな。
  -樋浦さん: 作っていて、「音楽って何なのだろう?」と思った。金森さんのクリエイションを経て思うのは、自分はこの音楽を理解しようと思うよりは、自分のなかのリズムを優先させがちなのかなと思う。違うからこそ魅力的に感じるのかなと。
  -山田さん: うん、そうだね。

…と、こんな感じだったでしょうか。どちらの公演もまだまだ一度観ただけですので、雑な書き方になってしまってます。スミマセン。とは言うものの、それらを観る機会も今日のもう一度限りです。目を皿にして何も零さずに観たいとは思っているのですが、そんなこと到底無理な話で。でも、「挑戦」しかないですよね。今日もう一日、浸って楽しんできたいと思います。

「挑戦 躍動 Noism」

当日券もあるとのことですから、皆さまもお誘い合わせの上、お越しください。きっと、よい日曜日になること請け合いです!(キッパリ)

(shin)

 

「私がダンスを始めた頃」#22 糸川祐希

 幼い頃、あるテレビドラマの主題歌に合わせて何度も何度も踊っていたそうです。母がそれを見ていて「ダンスが向いているのでは?」と思い、3歳の頃にダンススクールに連れて行ってくれました。通い始めてから半年間は、恥ずかしがって母のそばから離れなかったそうです。先生や先輩のお兄さんお姉さんから辛抱強く声をかけてもらって、気がついた時はダンスに夢中になっていました。

子供の頃は様々なジャンルのダンス(ヒップホップやジャズなど)を習っていました。ここではダンサーとしての心構えや態度もたくさん学びました。


11歳の時に、先生や大人の方も踊るコンテンポラリーダンスの作品に出させていただく機会があり、その頃からプロのダンサーになりたいという気持ちが芽生え始め、バレエ学校に通い始めました。そこで出会ったバレエの先生から留学を進めていただき、スカラシップを得て2年半アメリカの学校でダンスを学びました。帰国後、バレエ学校で指導されていた先生の教室に入れていただき、そこで新潟にNoismというカンパニーがあると教えてくださいました。


こうして振り返ってみて、多くの先生方から踊りを教わり、機会をいただき、導かれて今ここにいるんだと改めて感じました。


今も応援してくださる恩師や家族には感謝しかありません。これからも感謝の気持ちを忘れず、舞踊と向き合っていきます。

(いとかわゆうき・2002年神奈川県生まれ)