アース・セレブレーション2023 Noism2×鼓童に行ってきました!

晴天続きの新潟。雨が欲しいところですが、この日は降らないでほしい。
2023年8月20日(日)10:00/13:30 佐渡・小木 三角公園フリンジ会場!
おかげさまで朝からカンカン照りです。暑い暑い。。。

三角公園はアース・セレブレーションの公演会場としては初めてだそうで、海辺の広々とした公園です。
屋台もたくさん出ています。KENGO COFFEE、トキブルワリークラフトビール、カレー、おむすび、タコス、わたご酒店さんも♪

タープのある席は既に埋まっていたので、舞台下手側(ほぼ横)の木陰にシートを敷いて座りました。なので、写真撮影はOKなのですが、横位置になりスミマセン。

10時開演。まずは白と黒の衣裳で爽やかにクラシック♪
モーツァルト ピアノソナタ第3番1楽章アレグロ

振付は山田勇気さん。この作品は2014年10月11、12日 北方文化博物館新潟分館で開催された、Noism2特別公演「新潟 竹あかり 花あかり」の時が初演です。
このときは、Noism2メンバー2年目だった浅海侑加さんも出演しています♪
ほの暗い室内・庭園で舞うNoism2メンバーたちは夢のように幻想的でした。
あれから9年・・・・・今回は広い明るい屋外で、にこやかに軽やかに踊る、新しい彼女たち。思いがけない再会に感慨一入でした。

爽やかなピアノソナタが終わると、進行役の鼓童メンバー木村佑太さんに呼ばれて、山田勇気さん、浅海侑加さんが登場し、Noism紹介や、鼓童の『屋台囃子』に振付をしたお話などをされました。

山田さんはこの『屋台囃子』がお好きだそうで、この曲に振り付けたいと鼓童さんにお願いしたのだそうです。
その激しくも不穏な踊り! 赤と黒の衣裳に着替え、山田勇気 新作『屋台囃子』!

私の写真では迫力が伝わりませんのでこちらもどうぞご覧ください。
https://twitter.com/exprms/status/1693147809359462401

『屋台囃子』は、激しい太鼓の音で凄い迫力です。ドラマティックな舞踊と音に圧倒されました!

終了後はメンバーインタビュー♪
午前4名、午後5名ということで、午前中は、右から兼述育見さん、土屋景衣子さん、村上莉瑚さん、高田季歩さん(季歩さんの写真が切れてしまってすみません)。

午後は、太田菜月さん、佐藤萌子さん、河村アズリさん、春木有紗さん、渡部梨乃さん。

*質問内容は、
・普段の練習スケジュール(季歩、菜月)
・オフの日の過ごし方(莉瑚、アズリ、有紗)
・共演の感想(景衣子、萌子)
・サプライズ質問(育見、梨乃)
でした。

*その回答:
・オフの日は皆さん地味で「家で休む、ごはんを食べに行く、Noism2の練習場で自習」など。
・共演の感想は「わかってはいたけれども、やはり太鼓の凄い迫力に圧倒された」
・サプライズ質問と回答:
 育見さんに「どんなダンサーになりたいか?」→「立っているだけで全員の視線をわしづかみできるダンサー」と答えて拍手喝采!
 梨乃さんに「佐渡の印象は?」→「自然が豊かで星空がきれい。開放的な気分になれる気持ちのいいところ。町の人たちが温かく優しい。また来たい」と答えてこちらも拍手喝采!

そのあと山田さんが、冬のNoism×鼓童『鬼』公演の宣伝をしてから、いよいよラスト。
昨年も踊った、鼓童の『紫』、山田さん振付の『紫』です!

観客も手拍子をし、楽しそうに舞うNoism2メンバー♪
大歓声で無事終演し、全員写真です。


午後の公演は観客が入れ替わったので、人呼んで「Noism2の母」モンちゃさんと一緒にタープ席 最前列中央で鑑賞しました!
午前中は陽が当たらなかった最前列ですが、午後は陽当たり良好!!
日焼け止めを塗っていたけれど、こんがり焼けました~

躍動する若さの塊、力強くしなやかな動き。感動が胸に沁みます。いつまでも見ていたい!
モンちゃさん号泣。。。
今シーズン最後、感動のNoism2×鼓童公演でした。

そしてNoism2としては、これが最後になるメンバーが4名います。
3年生としてがんばってきた、土屋景衣子さん、渡部梨乃さんは、今シーズン限りで退団。
兼述育見さんはNoism1準メンバーに。
2年生の太田菜月さんはNoism1メンバーに。
4名の皆さん、また新たな気持ちで進んで行ってくださいね!

9月からのNoism 20thシーズンのメンバーが発表されています。
https://noism.jp/20thseason-members0816/

暑く熱いアース・セレブレーション、Noism2×鼓童公演。
来年も「また来たい」と思う、素晴らしい公演でした。
どうもありがとう!!

(fullmoon)

追記: 【公式】太鼓芸能集団 鼓童 Kodo(@kodoheartbeat)さんのInstagram、そのリール動画からこの日の午前中のパフォーマンス(一部分)を観ることができます。こちらからどうぞ。
また、同アカウントにアップされたこの日のNoism2メンバー画像もご覧ください。

新潟から発信された、圧倒的普遍性(サポーター 公演感想)

2023年8月11日(金・祝)日本バレエ協会主催「令和5年度全国合同バレエの夕べ」金森穣演出振付『畔道にて~8つの小品』再演感想

2020年、金森穣さんが初めて新潟市洋舞踊協会の依頼を受けて創作した『畔道にて~8つの小品』初見時の感動は今も忘れられない。若き舞踊家たちが、所謂「稽古事」や「バレエ」の枠を越えた金森作品に出会い、作品を生き、その体験がやがて「何か」をもたらすだろう予感と、作品そのもののシンプルかつ力強い魅力。Noismが新潟という土地に根差して生まれた傑作という感を覚えたものだ。その『畔道にて』が、日本バレエ協会主催の「バレエの夕べ」で再演されるとあって、先日の「サラダ音楽祭」に続いて東京へ出向いた。


会場は初台の新国立劇場内中劇場。「新国」と言うと、井上ひさしの『紙屋町さくらホテル』や「東京裁判三部作」制作などで幼い頃に存在を知り、いつかは訪ねてみたい場所だった。Noismと新国立劇場との共同制作の経緯について、金森さんの著書『闘う舞踊団』(夕書房)で知り、愕然としたことも記憶に新しい。


8月11・13日の二日間に渡って開催される「バレエの夕べ」。11日は関東・中部・関西・東北・甲信越・東京の六支部の作品が上演された。ご家族連れやバレエ関係と思しき方々で会場は華やぐような賑わい。休憩中には金森さんや評論家・三浦雅士氏を見かけ、『畔道にて』のバレエミストレスを初演時に続いて務めた池ヶ谷奏さんにもお声がけいただいた。


甲信越支部は19時過ぎからの五番手。上演が進むにつれ、照明の美的センスと間断無く(拍手する間など無く)展開する金森演出と、新潟の若き舞踊家たちの演技に、客席の空気が変容してゆく。若い世代の「孤独」にこそ寄り添い、「友情」や「恋」を衒いなく見せる振付。そして『NINA』の一場面を想起させる深紅の照明の中、灯火を手にした16人の舞踊家たちが登場する『歌い、』のシークエンスでは、その美しさに会場が静まり、やがて感動が拡がっていくようだった。門山楓さん・山本莉鳳さんにNoism1メンバー(中尾洸太・坪田光・樋浦瞳・糸川祐希)が加わる『愛や、』の悲愴感、まだ幼い福山瑛未さんに井関佐和子さんが未来を託すように寄り添って舞う『夢を、』の連続に、涙腺が決壊し、アルビノーニの「オーボエ協奏曲」(向田邦子作「ドラマ人間模様『 あ・うん』」の水田家と門倉の団らんシーンで使用されていた)に乗っての希望に充ちた祈りを思わせる群舞『語る。』に至って、『畔道にて』は新潟から生まれた傑作に留まらず、世界中の様々な土地で懸命に生き、惑う若者たちの万感を映し出す普遍的な「名作」との感を強くした。
公演後の場内のどよめきや、ご家族連れのお父さんが「度肝を抜かれた」と漏らす声を漏れ聞けただけでも、新潟から応援に駆け付けた甲斐があった。

(久志田渉)

音の粒を宿す身体、その僥倖(サポーター 公演感想・2023/08/06)

「サラダ音楽祭」での東京都交響楽団とNoism Company Niigataとのコラボレーションも今年で四年目となった。20年9月、新型コロナ禍による緊急事態宣言下での『Fratres』上演に新潟から駆けつけた時の緊張感と、街行く人の多くがマスクを着けていない現在との対比や、まとわり着くような東京の暑熱に眩暈しつつ、会場となる東京芸術劇場へ向かった。

今回は金森穣さんと井関佐和子さんのデュオが、都響と共演。J.S.バッハ(マーラー編曲)管弦楽組曲「序曲」がクライマックスに差し掛かる頃、舞台の上手・下手から金森さんと井関さんが登場。舞台中央で互いを見つめつつ廻る二人の姿に眼を奪われる内、間断無くに「エア(アリア)」(ヴァイオリン曲に編曲された『G線上のアリア』として有名)の演奏と舞踊が始まる。

大野和士氏指揮による都響の演奏、その音のひと粒ひと粒を身体に置き換えるように、互いが時に主旋律、重低音となって舞う金森さんと井関さん。先日の『Silentium』同様、言葉以上の雄弁さで、信頼・愛情・緊張を身体の動きで語り尽くす二人から放たれる情感は圧倒的。個として立脚した舞踊家が、緊迫感と多幸感を矛盾させることなく、互いの身体と音楽に解け合って行く約5分の舞台を、脳裏に焼き付けるよう見つめた。僥倖のようなひと時と言いたい。私はどうしても男女の愛しあう姿を二人に重ねて羨望を覚えてしまうが、それに留まらない普遍性を伴って、音楽そのものになって舞う金森さん・井関さんに、惜しみ無い拍手が送られた(カーテンコールは三回に及んだ)。

続くドヴォルザークの歌曲『スターバト・マーテル』は80分を超える10曲の演奏だったが、4人の声楽家、新国立劇場合唱団の圧倒的な歌声も相まって、音楽の渦を全身で味わい尽くすような時間だった。

(久志田渉)

ゲンロンカフェ「踊ること、生きること、観ること──日本人にとって劇場とはなにか」(2023/8/1)を聞いてきました♪

2023年8月1日(火)、東京五反田のゲンロンカフェにて「金森穣 × 上田洋子 踊ること、生きること、観ること──日本人にとって劇場とはなにか」を聞いてきました。
ゲンロンカフェといえば、自前のカフェスペースで繰り広げられる時間無制限のトークです。じっくりと話が聞けるため、とめどなく話が深堀りされるのが魅力のひとつです。

さて。五反田駅からゲンロンへ向かう途中の大崎橋の中ほどに看板が出ていました。ゲンロンの入るビル入口にも本日のイベント案内がありました。

今回金森さんと対談するのは、ゲンロン代表の上田洋子さんです。
上田さんと金森さんは、 “御大”鈴木忠志氏が創設したSPACや富山県利賀芸術公園を通じて交流があり、また2016年のゲンロン利賀セミナーでは金森さんが講師の一人を務めています。旧知の間柄であるお二人、トーク序盤は上田さんがやや堅い感じだったのですが、絶好の聞き手を得て金森さんのお話は立て板に水のごとくのテンポで進みます。
トークの様子は配信プラットフォームのシラスで完全中継されてアーカイブがありますので、全編はぜひシラスで御覧ください。

対談中で印象的だったのは、上田さんがクリティカルな質問を投げかけると、目を見開いたまま口角を上げて「ない」とイタズラぽい笑みを浮かべて即答する金森さん。Noismの運営について対話を交わす中、何度となく「もったいない」という言葉が漏れたこと。


そして第一部終盤からは、『夏の名残のバラ』、『ラ・バヤデール―幻の国』など過去の作品映像を見ながら対談が展開されました。展開されるというか、美しい……と、ついつい映像に見入ってしまい、客席に「機会があればぜひ見てください」と投げかける上田さん。権利上の問題から映像に音楽はついていないのですが、貴重な映像もあり、さながらパブリックビューイング状態でした。

第二部も過去の映像作品を観ながらのトークは続きます。
残念ながら私は終電問題につき途中離脱しましたが、対談は23時台まで続きました。
(noi)

シラス ゲンロン完全中継チャンネル アーカイブ

ゲンロンカフェでは個別のトークイベントごとにハッシュタグが用意されています。
Twitter(X)でのタグ #ゲンロン230801 つき発言へのリンク

インスタライヴ(2023/07/30)で語られた『Silentium』の「一体感」の真相、或いは深層

美容院に行っているときに思い立って、その午後の実施が決まるという油断出来なさ加減で届けられた7月30日(日)のインスタライヴは、リアルタイムでの対応が難しかった向きもあったかと思われますが、かく言う私もそう。その後もバタバタしていて、漸くアーカイヴをクリック出来たのは月も変わった葉月朔日のこと。

この日はゲンロンカフェも控えているし、ってことで、バタバタしたままに、かいつまんだご紹介をさせて頂こうと思います。詳しくは、おふたりのInstagramのアカウントに残されたアーカイヴをご覧ください。

約54分間、実に刺激的なお話を聴くことが出来ます。その「刺激的」というのは、如何に目の前で展開される踊りの実相に迫るのが難しいかということに尽きます。「領域」ダブルビル公演の『Silentium』において、金森さんと井関さんが「ほぼ初めてふたりだけで約18分間踊る」という前情報に接しただけで、おふたりの「息の合った」踊りを見ることになるのだろうという(ある意味、安直な紋切り型の)憶断が形作られてしまい、そうなるともう、それを離れて自由な視線を送り得なくなってしまうという、そんな作品、そんな実相…。

それでは…

*井関さんは昨年決まっていたこの作品を「軽いと思っていた。中継ぎみたいに凄く軽く考えていた。全く想像がつかなかったから」そう語ります。

*しかし、あちこち色々な場所で行われたクリエイションは「ペルトの『音楽ありき』で、曲だけ決まっていたが、曲が曲だけに音にあてて振りを作る訳にはいかず、振りは振りで無音で作っていった。何が生まれるか、実験的だった。漠然とは考えていたが、こんなに大変とは思わなかった」という展開をたどることになります。また、振りの前に宮前義之さんから衣裳が届いていたという稀有なパターンだったとも。

*本番では普通とは違う集中力で噛み合うものの、稽古では、お互い自分を出してくるので噛み合わないとか、本番では「その瞬間を生き切る」刹那感で、予定調和は全部はずれちゃう、と金森さんが語れば、井関さんは本番では委ねられる、委ねるしかないと言い、更に、一緒に踊ると、舞台にあがったときの金森さんはその差が激しく、「ここまではっきり違う人はいない」、びっくりするとも。

*『Silentium』での「一体感」については、ふたりは性格もアプローチの仕方も全然違っていて、直前のルーティンも別々。「そうじゃないとあそこまでいけない。一個人一個人なんだけど、お互い協力して乗り切るしかない」のだと金森さん。そのうえで、井関さんが、金森さんと踊るときの「面白いことふたつ」を、「①委ねられる。行こうとしている動きのところに必ずいてくれる。②自分の足に立てなくさせるときもある。基本、自分の足で立っていない」そう語り、その具合を「安心感」とともに「怖い」と表現して伝えてくれました。

*また、無音のなかカウントで踊るかたちだったのではなく、要は呼吸だったとし、アクセントからアクセントまでの尺のなかで、「ここらへんにいる」は決まっていても、それも大分揺らいでいて、そうした音に対する遅れがわかるのは井関さんの方で、金森さんはざっくりやっている感じなのだと明かしてくれました。

*宮前さんによるあの衣裳に関しては、「塗り壁」がコンセプト。あそこまで覆われていて踊るのはそうないので難しかったそう。軽くて着心地はいいが、存在感があり、骨や身体の中の構造を意識して踊る必要があったと金森さん。

*また、あの作品、床に敷かれていたのはリノリウムではなくて、パンチカーペット。「米を降らせたかったから」(金森さん)、音がしないのがよかった。キュッという音もなかった。「床大臣」の井関さんは滑らないスプレーを見つけたとのこと。

…と、そんなところを取り出して極々簡単なご紹介を試みてみましたが、勿論、もっともっと豊かな膨らみに満ちたお話を聴くことが出来ますから、実際にお楽しみ頂くのが一番です。

最後、再度、この日のインスタライヴを聴いた個人的な印象で締め括らせて頂きます。お話を聴けば聴くほど、予断を持たずに目に徹することが如何に困難だったかに直面させられた次第です。舞台に向かっていた約18分間、あの緩やかさのなかに、或いはその奥に激しさやらきつさやらを見出すことは出来ました。しかし、今、「息が合っている」という枠組みのなかで見詰めるのみだったことを思い出しています。勿論、「息が合っている」のですが、その真相、或いは深層を聴いて、見ることの困難さに愕然とさせられているような塩梅です。その意味で、とてもスリリングなインスタライヴだったと思います。また、聴こうと思います。

(shin)