新潟日報「assh」vol.521(2024/10)表紙に浅海侑加さん登場♪

2024年10月6日(日)、地元紙・新潟日報のコンセプトペーパー「assh」vol.521(2024/10)の表紙に、Noism2 リハーサル監督・浅海侑加さんの凛々しい姿が♪

加えて、「assh 表紙の人」に付された2次元コードから、更に、「Web magazine assh (Web magazine assh (niigata-nippo.co.jp))」からも、浅海さんへのインタビュー「『Noism2』リハーサル監督 浅海侑加さん/後進へのまなざし温か イメージの共有に試行錯誤」もお読み頂けます。とても興味深い内容ですので、是非ともお読みください。

そしてインタビューに続けて、この秋(2024/11/23)の「新潟県文化祭2024」こども文化芸術体験ステージについての告知もあります。Noism2が出演し、『火の鳥』と『砕波』を踊ります。(@越後妻有文化ホール「段十ろう」・十日町市本町一丁目上508番地2)
浅海さんが指導する若さ溢れるNoism2メンバー、その躍動する姿は必見です。観覧申込みは11/7(木)まで。是非、ご応募ください。

で、こちらには、この機会にこれまで当ブログでお届けしてきました浅海侑加さんについての記事へのリンクを以下にまとめて掲載しておきますので、そちらも併せて(改めて)お読み頂けましたら幸いです。

「私がダンスを始めた頃」②浅海侑加
「ランチのNoism」#20:浅海侑加さんの巻

【追記】…私はラクトアイスやポテトチップスを食べながら、ネット見てたりしますけれど、…弛緩し切ってます…(汗)。皆さんはどうですか。

そして、話題は変わりますが、今夜(深夜25:25)1:25からのNHK BS「プレミアムシアター」はベジャール『ボレロ』他に加えて、金森さん+東京バレエ団『かぐや姫』(再放送)です。こちらもリアルタイム視聴または録画にてお見逃しなく♪

(shin)

凄いものを聴いた!観た!-「サラダ音楽祭」メインコンサートの『ボレロ』、圧倒的な熱を伝播♪

2024年9月15日(日)、長月も半ばというのに、この日も気温は上昇し、下手をすれば、生命すら脅かされかねない暑熱に晒された私たちは、陽射しから逃げるようにして、這々の体(ほうほうのてい)でエアコンの効いた場所に逃げ込んだような有様だったのですが、まさにそのエアコンが効いた快適な場で、全く別種の「熱」にやられることになろうとは予期できよう筈もないことでした。

「サラダ音楽祭2024」のメインコンサートは早々に完売となり、当日券の販売もなく、期待の高さが窺えます。池袋・東京芸術劇場のコンサートホール場内では文芸評論家で舞踊研究者の三浦雅士さんの姿もお見かけしました。この日ただ一度きりの実演な訳ですから、期待も募ろうというものです。

私自身、先日の公開リハーサルを観ていましたから、この日の『ボレロ』が見ものだくらいのことは容易に確信できていましたけれど、大野和士さん指揮の東京都交響楽団とNoism Company Niigataによるこの日の実演は、そんな期待やら確信やらを遥か凌駕して余りあるもので、凄いものを聴いた、凄いものを観た、と時間が経ってさえ、なお興奮を抑えることが難しいほどの圧倒的名演だったと言わねばなりません。

そのメインコンサートですが、まず15時を少しまわったところで、ラターの《マニフィカト》で幕が開きました。私にとっては初めて聴く曲で、「マリア讃歌」と呼ばれる一種の宗教曲なのですが、そうした曲のイメージからかけ離れて、親しみ易いメロディーが耳に残る、実に色彩豊かで現代的な印象の楽曲でした。更に、前川依子さん(ソプラノ)と男女総勢50人を超える新国立劇場合唱団による名唱も相俟って、場内は一気に祝祭感に包まれていきます。「ラター」という人名と聖歌《マニフィカト》とは私の中にもしかと刻まれました。

20分の休憩を挟んで、後半のプログラムは、ドビュッシーの交響詩『海』で再開しました。こちら、どうしても、金森さん演出振付による東京バレエ団のグランドバレエ『かぐや姫』、その冒頭ほかを想起しない訳にはいきませんよね。粒立ちの鮮明な音たちによって、次第にうねるように響きだす音楽によって、そこここであの3幕もののバレエ作品を思い出さずにはいられませんでした。その意味では、都響によるダイナミックレンジが広く、階調も情緒も豊かな熱演が、同時に、次の『ボレロ』へのプレリュードとしても聞こえてくるというこの上なく贅沢な選曲の妙、憎い仕掛けにも唸らされたような次第です。

そしていよいよラヴェルの『ボレロ』です。金森さんと井関さん共通の友人でもあるコンサートマスターの矢部達哉さんが楽団員たちとのチューニングを始めると、客電が落ち、井関さんをはじめNoismメンバーが上手(かみて)袖からオーケストラ前方に設えられた横長のアクティングエリア中央まで駆け足で進み出て、特権的な赤い衣裳の井関さんを中心に、フードまで被った黒い8人が円を描くように囲んで待機します。金森さんの師モーリス・ベジャールの名作と重なる配置と言えるでしょう。やがてスネアドラムがあの魔的な3拍子のリズムを静かに刻み始め、フルートがそこに重なって聞こえてきます…。昨年末のジルベスターコンサートでの原田慶太楼さん指揮・東京交響楽団の時とは異なり、今回は中庸なテンポです。

金森さんによるこの度の『ボレロ』ですが、先ずは赤い井関さんと周囲の黒ずくめ8人の関係性の違いが、ベジャールの名作と最も大きく異なる点と言えるかと思います。音楽のリズムやビートを最初に刻むのが井関さん。そしてその中心からそのリズムやビートに乗った動きがじわじわ周囲に伝播していくことになります。

両腕を交差させて上方に掲げたかと思えば、両手で上半身を撫でつけたり、或いは、両手を喉元までもって来ることで顔が虚空を見上げるかたちになったり、苦悶と言えようほど表情は固く、如何にも苦しげな様子を経過して、決然たる克己の直立へ戻るということを繰り返すうち、次第に、井関さんから発したその身振りが断片的に、先ず周囲の幾人かに伝播していくのです。この「抑圧」が可視化されている感のあるパートで用いられる舞踊の語彙にはベジャール的なものはまだ含まれておらず、これまでのNoismの過去作で目にしてきたものが多く目に留まります。

やがて井関さんとその周囲、赤と黒、合わせて9人のポジションは、(徐々に黒い衣裳を脱がせながら、脱ぎながら、)3人×3という構成にシフトしていきます。それは即ち、最初の円形が横方向へ伸びるフォーメーションへの移行を意味します。そうなるともう多彩な群舞の登場までは時間を要しません。Noism的な身体によるNoism的な舞踊の語彙が頻出する限りなく美しい群舞が待っていることでしょう。見詰める目の至福。そしてそこに重ねられていくのは師へのオマージュと解されるベジャールの動きの引用。ここに至って、感動しない人などいよう筈がありません。飛び散る汗と同時に、9人の表情もやらわぎを見せ始め、笑みさえ認められるようになってきます。それは演出でもあるのでしょうが、自然な成り行きに過ぎないとの受け止めも可能でしょう。可視化されるのは「解放」です。その「解放」があの3拍子のリズムに乗って圧倒的な熱と化して、見詰める目を通して、私たちの身体に飛び込んでくるのですから、一緒に踊りたくなってうずうずしてしまう(或いは、少なくとも一緒にリズムを刻みたくなってしまう)のも仕様のないことでしかありません。(私など全く踊れないのにも拘わらず、です。)そして同時に、心は強く揺さぶられ、狙い撃ちにされた涙腺は崩壊をみるよりほかありません。

金森さん演出振付のダンス付きの、この都響の『ボレロ』は、最初のスネアドラムが刻んだかそけき音に耳を澄まし、それと同時に生じた井関さんの動きに目を凝らしたその瞬間から、最後の唐突に迎える終焉に至るまで、刻まれる時間と場内の空気は全てオーケストラによる楽音とNoismメンバーの身体の動き、ただそのふたつのみで充填し尽くされてしまい、夾雑物などは一切見つかりようもありません。両者、入魂の実演はまさに一期一会です。そんな途方もない時間と空間の体験は、それが既に過去のものとなっているというのに、未だに心を鷲掴みにされ続けていて、落ち着きを取り戻すことが難しく感じられるのですから、厄介なことこの上ありません。

繰り返されたカーテンコールで、満面の笑みを浮かべて拍手と歓声に応えた金森さんの姿も(腕まくりと駆け足も含めて)忘れられません。そんなふうに凄いものを聴き、凄いものを観た9月折り返しの日曜日、Noism20周年のラストを飾るに相応しかったステージのことを記させて貰いました。

(shin)

「サラダ音楽祭」活動支援会員対象公開リハーサル、その贅沢なこと、贅沢なこと♪

2024年9月7日、ここ数日で気温自体はやや落ち着きを見せてきてはいましたが、それでも湿度が高く、「不快指数」も相当だった土曜日、りゅーとぴあのスタジオBを会場に、「サラダ音楽祭」メインコンサートで生オーケストラをバックに踊られる『ボレロ』の公開リハーサルを観て来ました。

この日のりゅーとぴあでは、「西関東吹奏楽コンクール」中学生の部Aがコンサートホールで開催されており、大型バスが何台も駐められていたりした駐車場は、スタッフが入庫の采配を振るっているなど、普段とは異なる様相を呈していて、早めに到着したことで慌てずに駐車できました。りゅーとぴあ内外には楽器を抱えた中学生や関係者の方々の姿が溢れていて、それは賑やかな風景が広がっていました。

そんな湿度と人熱(ひといき)れのりゅーとぴあでしたが、この日開催された活動支援会員対象の公開リハーサルは、この上なく贅沢なものでした。

正午頃、少し早くスタジオB脇の階段まで行って待っていると、ホワイエには椅子に腰掛けて何かを読んでいる金森さんの後ろ姿がありますが、スタジオ内からはラヴェルの『ボレロ』の音楽が漏れ聞こえてきます。メンバーたちは入念に準備をしているようです。

12:27、スタッフに促されて私たちもスタジオ内に進みます。
12:29、金森さんが「もう全員(来た)?」と確認すると、やがて静かにあの音楽(金森さん曰く「テンポ感的によかった」というアルベール・ヴォルフ指揮、パリ音楽院管弦楽団演奏の古い音源らしい)が聞こえてきて、公開リハーサルが始まりました。中央に井関さん、そして取り囲むように円形を描く8人のNoism1メンバーたち。金森さんの『ボレロ』も、その滑り出しにおいては、ベジャールの『ボレロ』を思わせる配置から踊られていきますし、ベジャール作品において象徴的なテーブルの「赤」も別のかたちで引き継がれています。

今回の金森さんの『ボレロ』ですが、恩師ベジャールへのオマージュとしての引用には強く胸を打たれるものがあります。そしてそれと同時に、これまでのNoism作品で金森さんが振り付けてきた所謂「金森印」に出会うことにも実に楽しいものがあります。とりわけ、あたかも『Fratres』シリーズや『セレネ』2作を幻視させられでもするかのように目を凝らす時間は、紛れもなくNoismの『ボレロ』を観ているという実感を伴うことでしょう。

クレッシェンドの高揚していく展開だけではなしに、実に細かなニュアンスに富んだこの度の『ボレロ』、Noismならではの身体が魅せる群舞の美しさは格別です。
加えて、井関さんと中尾さんに糸川さん。三好さんと庄島すみれさんに坪田さん。樋浦さんと庄島さくらさんに太田菜月さん。その3組を軸にしたフォーメーションの変化も見どころと言えるでしょう。

12:45、音楽と舞踊の切れ味鋭い幕切れの時が来ました。「OK!」の金森さんの声。予定時間のほぼ半分の時間です。「あと15分、金森さんの細かなチェックが入る様子を観ることになるのかな」、そう思った瞬間、「10分休憩してください」と踊り終えた9人に向けて、金森さんがそう言葉を発するではありませんか!「えっ?えっ?どゆこと?」頭には無数のクエスチョンマークが飛び交いました。

で、その「休憩」時間中に金森さんが明かした衝撃の(笑撃の)事実をこちらにも書き記しておきましょう。Noismの『ボレロ』と言えば、昨年(2023年)大晦日のジルベスターコンサートでの実演の記憶が新しいところですが、実はあのときの演奏は正味13分台という「ありえない速さ」(金森さん)だったのだと。リハーサルのときから速かったので、ゆっくり演奏して欲しいと伝えていたにも拘わらずで、「みんなめちゃめちゃ怒っていた」(笑)のだそう。気の毒!それを聞いた私たちは大爆笑でしたが。
確かにあの夜は亀井聖矢さんが弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番もそうでしたが、それもこれも指揮の原田慶太楼さんが「煽って仕掛けてきた」(亀井さん)ってことでしたね。…「お疲れ様でした」以外の言葉は出てきません。

それから今回のアクティングエリアの奥行きは「リノ4枚分」しかなくて、ジルベスターコンサートのときよりもめちゃめちゃ狭いため、横に展開しなければならないのだとも。

で、金森さんからそんな話を聞いていた10分後、(否、5分後くらいからだったでしょうか、)そこから13:30迄、私たちは、実に贅沢なことに、金森さんの「ダメ出し」からの、言うなれば、「ワーク・イン・プログレス」による作品の練り上げ過程をつぶさに目撃することになるのです。

「そこ、ノーアクセント。力入れ過ぎ」…「最初からお願い」…「それ、『3』の終わりじゃないの?」…「じゃあ、『2』の始まりから音ちょうだい」…「蹲踞のところなんだけど…」…「3個目で膝立ち」…「近づいてくるところ、足幅(注意)」…「『11』の始まりね」…「ちょっとやってみて」…「フードを脱ぐタイミングも」…「ああ、なるほどね」…「最後のところ見せて」…「ダウンステージ(=ステージ前方部分)で走るところ、結構急だけど、『さくすみ(庄島すみれさん・すみれさん)』はとりあえず走ればいい。ジャストだから」…等々、その臨場感ハンパなしだった訳で。

はたまた、とある場面では、「マテリアルのAとB」とか「女性はB・B、男性はC・A」や「BとB’(ダッシュ)に」などの言葉が飛び交い、カウントを唱えながら、色々試してみた末に、私たちの方に向き直った金森さんから、「どう、こっちの方が良くない?」とか訊かれたりしても、答えられませんって(笑)。でも、もうそれくらい特別な時間過ぎて、堪えられなかった私たちなのでした。

ここまでの全体の仕上がり具合(通し)を見ておいてから、その後、それがいささかの瑕疵も見逃さぬ鋭敏な手捌きをもって部品(要素の振り)にばらされると、数多の部品が繊細に再検討に付され、ヤスリがかけられ、注油されるように徐々にその精度を高めていく工程。見詰めた約1時間の興奮。その贅沢。

13:30、「OK!以上かな、ハイ。あとは現場でテンポを合わせて。じゃあ、ここまででございます。いつもご支援有難うございます」と金森さん。
ついで、金森さんから「挨拶の空気」を伝えられた井関さんが、「今シーズン、これ(サラダ音楽祭)が最後です。これが終われば夏休み。頑張ります」と語って予定された倍の時間たっぷり見せてもらったこの日の公開リハーサルが終わりました。

きたる9月15日(日)「サラダ音楽祭」メインコンサート(@東京芸術劇場)での一回限りの実演に向けて、更に更にブラッシュアップが続くものとの確信とともに、りゅーとぴあのスタジオBを後にしたような次第です。当日、ご覧になられる方々、どうぞ期待値MAXでお運びください♪

(shin)

8/31、渋谷のNHKホールで東京バレエ団「ダイヤモンド・セレブレーション」を観てきました。(サポーター レポート)

こちらは創立60周年を迎える東京バレエ団による記念の祝祭ガラ公演です。前年に全幕上演された金森穣さんの『かぐや姫』よりパ・ド・ドゥが上演されると知り、早々にチケットを手配し、当日をとても楽しみにしていました。

当日は台風10号の影響で東海道新幹線が運休するなど交通障害もあり、来場できなかった方も多くいらっしゃったようでした。しかし公演の時間帯は幸いにも天気は小康状態で、私はありがたいことに無事NHKホールに辿り着き、鑑賞することができました。

曇天でしたが、雨は降っていませんでした。
ホワイエにはお花が飾られていました。

ホワイエは綺麗なお花で装飾されていたり、これまでの海外公演のポスターが展示されていたりと華やかです。
ホワイエを一通り散策し、席に座ろうとホール内に入場すると、なんと前の席に金森さんと井関さんが座っておられます。びっくりして、お声掛けするか迷っているうちタイミングを逸してしまいました。「『めまい』おもしろかったです!」とお伝えすればよかったな、と思いました。

第1部『エチュード』はピアノ学習者にとっては『ツェルニー◯◯番』で有名なツェルニーの楽曲に振付られた作品です。初めて観ました。50分にも及ぶボリューム感の中に、バレエの華やかさや超絶技巧が散りばめられて圧巻でした!

そして金森さんの師、キリアン『ドリーム・タイム』から始まる第2部。
『ドリーム・タイム』の渋さに唸り、『ロミオとジュリエット』のパ・ド・ドゥに涙する素晴らしい上演でしたが、金森さんの『かぐや姫』について詳しく書きたいと思います。

金森さんの「『かぐや姫』よりパ・ド・ドゥ」は、今回のガラ公演では舞台装置は置かず、舞台上にはスポットで描かれた月のみありました。
ドビュッシーの『月の光』の音楽に合わせて、月をみて寂しがるかぐや姫を道児が慰め、徐々に2人が惹かれていく様子が感動的に描かれています。
初演のときはどうしても技巧的な面を注視して観ていたように記憶していますが、今日の2人からは心の動きがそのまま伝わってくるようでとても感動しました。そして結末を知っているからでしょうか、少し切なさも伝わってきました。
上演後の2人に会場は拍手喝采、1度目のカーテンコールでも拍手は鳴り止まず、もう一度カーテンに応えていました。

ちなみに前の席の金森さん井関さん、演目が終わるたび2人ともニコニコ言葉を交わしたりして、とても楽しんでおられる様子でした。
『かぐや姫』のクリエーションを通じて得た絆や仲間意識が続いているようで、みているこちらも楽しくなります。

第3部の『ボレロ』は鉄板演目で、何度観ても盛り上がります。
鳴り止まないカーテンコールに応え、1部2部に出演していたダンサー達、スタッフも登場し、客席も総立ちで祝福しました。

『ボレロ』は今月(9月)、サラダ音楽祭で金森さん振付の『ボレロ』、またベジャールバレエ団の『ボレロ』も観られますので、こちらも楽しみにしています。

パ・ド・ドゥだけでも『かぐや姫』を再び観ることができ嬉しかったと共に、近いうちにまた全幕で観たいなあ、と強く思った公演でした。

(かずぼ)

「きゃあ!あっちにもこっちにも♪」メディア登場ラッシュのNoismに嬉しい悲鳴♪

設立20周年の記念すべきシーズンのラスト、来週の「サラダ音楽祭」での『ボレロ』を前にして、このところのNoism Company Niigataはメディア登場ラッシュで、嬉しい悲鳴の「大渋滞」中♪

皆さんはそれら全てを追えているものと思いますが、こちらにもその「大渋滞」を纏めておきたいと思います。よろしければ、改めてご確認ください。

見逃し無料配信動画サービス「TVer」のTOKYO MX『アンコール!都響』#32 J.S.バッハ(マーラー編曲):管弦楽組曲より「序曲」「エア(アリア)」,ドヴォルザーク:スターバト・マーテル【配信期限あり・9/21(土)14:59まで】

2023年の「サラダ音楽祭」メインコンサートにおいて、J.S.バッハ(マーラー編曲)管弦楽曲より「エア(アリア)」を踊る金森さんと井関さんを観ることができます。
*8:15あたりで、メインコンサート映像の前説が始まり、おふたりのパフォーマンスについて、「その存在自体が美しい」「『美しい』の一言に尽きる」などと語られます。
*9:08頃より、今回の放送に向けての金森さんからのメッセージがあります。こちら、ご覧ください。


*10:06から「序曲」「アリア」が始まります。
*16:20頃、両袖から金森さんと井関さんが登場して「アリア」(17:47頃)に繋がっていきます。まさに「美しさの極み」です。配信終了まで何度も観ちゃいますよね。

NHK国際放送「ワールドジャパン」、「Direct Talk」での金森さんのインタビュー動画「Dancing into the Future」

15分に纏められたインタビュー自体、「稽古ism」Noismに関する奥深い内容が語られていて興味深いのは勿論ですが、途中にインサートされる欧州時代の若き金森さんの画像と動画はまさに「蔵出し」クラス!「喜びの舞」もので、必見です♪

③ 「新潟日報デジタルプラス」の連載記事(全4回)「新潟からの挑戦Noism(ノイズム)20年」です。
こちらでは、以下にX(旧twitter)「新潟日報ニュース」のポストへのリンクを貼らせていただきます。
【各記事の全文を読むためには、新潟日報パスポート(ID)の登録が必要となります。(新潟日報ご購読の方は無制限で利用できます。)】

〈1〉「国内初、そして唯一の公共劇場専属舞踊団…「りゅーとぴあ」から劇場文化をつくる」
〈2〉「財政難の新潟市が税金を投じる意義とは…存続問題浮上、文化的価値の評価は難しく」
〈3〉「地域に根ざした舞踊団になるには…アウトリーチやコラボに手応え、世代超えファン増やす」
〈4〉「金森穣さんが考える地方発信とは、井関佐和子さんの舞台への思いとは/インタビューで語る現在地」

Noismのこれまでを読み、新潟市のこれからを考える機会となる連載記事です。なかでも、「第4回」に出てくる新たなレジデンシャル制度における芸術監督の任期「1期5年、最大2期10年」という規定と金森さんの思いが気になるのは、この間ずっと変わりません。

…以上、今回は各メディアで「大渋滞」となっている昨今のNoism Comapny Niigataについて、「交通整理」を試みたつもりですが、「賞味期限」の早いもの(TVerの配信)から一つひとつ全てご覧頂きたいと思います。そして、更に支援に力を注いで参りましょう。

(shin)

「漆黒の中の蠱惑」SCOTサマーシーズン2024 Noism『めまい 〜死者の中から』二日目レポート(サポーターレポート)

*冒頭、8/28夕時点で九州南部に接近し、猛威を振るう「過去最強クラス」の台風10号の被害に遭われた方々に対し、心よりお見舞いを申し上げますと同時に、今後、西日本・東日本を縦断する可能性も報じられるその進路において被害が少ないことをお祈りいたします。(NoismサポーターズUnofficial事務局)

 私にとって、2019年9月の「第9回シアター・オリンピックス」Noism0『still / speed / silence』以来、5年ぶりとなる富山県南砺市利賀村行き。8月23日(金)には富山市に入り、24日(土)・25日(日)の2日間、連絡バスで利賀村迄2往復して、Noism『めまい』2公演に加え、鈴木忠志演出『シラノ・ド・ベルジュラック』『世界の果てからこんにちはⅠ』、瀬戸山美咲演出『野火』の計5公演を鑑賞した。

 映画ファンの端くれとして、10代の頃にヒッチコックの諸作を観、特に圧倒されたのは『めまい』だった。年を重ねた後、シネ・ウインドのスクリーンで『めまい』を再見した時には、若い頃には気付けなかったキム・ノヴァクの肉体が放つ凄まじい色香に、それこそ目眩を覚えたことを思い出す。

 そのヒッチコック作品の原作であるP.ボアロー&T.ナルスジャック『死者の中から』を基に金森穣さんが舞台化すると知った時の驚きたるや。19年に鈴木忠志氏のトークを聴いた利賀芸術公園「新利賀山房」の漆黒の空間を思い起こしつつ、どのような舞台が展開されるか期待に胸膨らませた。

 24日の公演後、野外劇場での『世界の果てからこんにちはⅠ』で隣合わせた金森さんと井関佐和子さんに、「『still / speed / silence』といい、利賀でやる作品は男が女を束縛しようとする話が続きますね」と伝えたところ、金森さんも苦笑されていたが、冗談抜きに、男が欲情し、幻想を託す「女性性」を「演じる」こと自体を、素顔から蠱惑的な表情への変化始め、全身で見せきる井関さんと、バーナード・ハーマンの馴染み深い音楽やシンプルな小道具を駆使しての高低差表現、照明の鮮やかさまで唸るばかりの金森さんの構成力には、惚れ惚れするほどに酔った。

 翌25日、利賀へ向かう連絡バスは、狭隘な山道で豪雨に遭遇した。幸い利賀に着く頃に雨は収まり晴れ間も覗いたが、この道程を越えれば今日もまた『めまい』の濃密な時間に立ち会えるなぁと、その凄絶な甘美を思い出して、山道の恐怖に耐えたものだ。


 二日目の『めまい』、新潟は勿論、関東方面から足を運んだNoismファンの方々始め、世界各国からのお客さんも含めて前日同様の大入満員。巨大な茅葺き住宅を改装した「新利賀山房」の客席に坐ると、眼前には金髪のウィッグを付けた井関さんが、瞬きすることなく虚空を見つめている。その恐ろしくもあり、妖艶でもある眼差しには、直視することを躊躇ってしまう(地元の方と思しき観客の方が、「ずっと瞬きしないぞ」と驚きの声を上げていた)。

 漆黒の「新利賀山房」で展開する、死者の幻影と生身の肉体との相克。特筆したいのは、探偵(映画版ではジェームズ・スチュアート扮する元刑事)役の糸川祐希さん、ヒロインである女優(井関佐和子さん)が追い求める亡霊に扮した三好綾音さん始め、難役に挑んだ若きNoismメンバーの表情豊かな演技だ。失ったと思った女性への執着とその果ての狂気を、鬼気迫るように見せた糸川さんは、初日以上の迫真を感じさせた。井関佐和子さん・山田勇気さんの感情・身体表現の巧みさはNoismの中核だが、若き舞踊家たちもまた、金森作品の凄絶な美を表現する為に喰らいつき、その成果が実りつつあることを確信している。


 この公演に続いて鑑賞した瀬戸山美咲演出『野火』(利賀山房にて)もそうだが、鈴木忠志が築き上げた「利賀芸術公園」という、演劇の桃源郷とも呼びたい異空間に於いて、金森さんも瀬戸山氏も、そして出演者・スタッフが、劇場の漆黒を如何に照らしだし、活かしきり、観る者たちを安全圏に置くことなく没入させる為に尽くしている渾身に思い至る。舞台で展開される凄絶な物語を越えて、人が生み出すものの「美」に強く勇気付けられたのだ。鈴木忠志氏の作品と営為は正しく「過剰」なパワーを発しているが、その「過剰故の余白」が利賀にはあるからこそ、演出家たちの本質が浮き彫りになることに気付いたように思う。

 利賀の地、そして鈴木忠志を更に深く知りたいと渇望するような滞在となった。

(新潟・市民映画館鑑賞会副会長、舞踊家・井関佐和子を応援する会役員 久志田渉)

「SCOT SUMMER SEASON 2024」、新利賀山房にて『めまい ~死者の中から』初日を愉しむ♪

 2024年8月24日(土)の富山は前日ほどではないものの酷暑の予報。更に午後には雷雨の可能性も高いとのこと。穏やかな天気となることを願って、朝早く新潟を車で出発して、利賀芸術公園を目指しました。

 この日、車のナビもスマホのgoogle先生も富山ICからの利賀入りを推していたため、それに従いましたが、待っていたのはつづら折の狭い狭い山道で、それこそ生きた心地がしないウイリアム・フリードキン『恐怖の報酬』(1977)のようなドライヴ。ちょっと大袈裟?いや、マジで。ホントのホント。
 「えっ?前はそうでもなかったんだけどな…」以前に来たときには砺波ICから利賀に入るコース(国道359→国道471→県道229)だったのですが、そちらの方が運転してて、格段に楽なので、ルートを思案中の方には、私、迷わずそちらお勧めします。

 でも、そのような思いをしてまでも観たかった、そして観てよかったのが、金森さん演出振付の新作『めまい ~死者の中から』でした。

 開演時間は14時。受付開始はその1時間前でしたが、入場整理番号は既に電話による観劇予約の順番で割り振られていますから、示された整列開始時間までに受付を済ませて会場前に並べばよい訳です。

 今回、その会場は新利賀山房。金森さんは「狂気の生まれる場」と書いていますが、まさしく「禍々しい」と言ってよいような、圧倒的な「場」の力を宿す建物でした。外観は合掌造りの所謂「和テイスト」そのものですが、中はガラリとその雰囲気を異にします。凹凸があり陰影に富む表情豊かな壁の手前、横長に広がる空間(アクティング・エリア)。そこに敢えて不可視の領域を作り出さんとでもするかのように突き刺さる角ばった黒い2本の柱の存在感。そして照明に(逆に)浮かび上がるかのような闇。のし掛かかってくるその威容に観客は一瞬にして飲み込まれてしまわざるを得ません。

 その威容に一歩も引けを取らない濃密な舞踊を私たちは目撃したのでした。それはまさにその「場」だからこそ生まれた圧巻の作品だったと言えるでしょう。

 金森さんは「演出ノート」に、今作(そのタイトルも途中から『めまい』ではなく、『めまい ~死者の中から』に変更されています。)が、あくまでもボアロー=ナルスジャックの原作『死者の中から』にインスピレーションを得た制作であると書いていて、ヒッチコックの映画『めまい』に関する言及は使用音楽について見出されるのみと、極めて限定的なものでしかありません。「女優(井関さん)」と「探偵(糸川さん)」をめぐる展開に関しても下敷きにされたのがどちらかは明らかでしょう。

 では、こう考えてみるのはどうでしょうか。『死者の中から』からインスピレーションを得て作品を作った者がふたりいて、私たちはふたりによるふたつの作品を愉しむ豊かさを手にしている、と。

 今回の井関さんも、いつも通り、冒頭からまったく見事な存在感を示しており、目は釘付けにされるでしょう。その点ではヒッチコック映画のキム・ノヴァクも同様です。違うのは、監督と演出振付家からふたりへの「愛」が感じられるかどうかです。その点で、映画『めまい』において、観客はキム・ノヴァクではなく、ジェームズ・スチュアートにシンパシーを感じながら見詰めることになるのですが、金森さんの『めまい~死者の中から』にあっては、そこは間違っても、糸川さん寄りの目線にはならない訳です。ですから、伴って、新利賀山房の私たちはあたかも「男Ⅰ(山田さん)」の共犯者のようにして事のなりゆきを見詰めていたのでしょうし、まあ、少し控え目に言っても、「未必の故意」的な心持ちでその推移を目撃し続けるのだろうことくらい最初から予見できてしまう恐ろしい「場」に身を置いていたとは言えるのではないでしょうか。

 で、同じひとつの原作から生まれたふたつの作品に認められるそうした味わい或いは肌合いの違いはまさしく互いに相照らすことで豊かさを増すものでもあり、私たちはここで「2」という象徴的な数字を前にすることになります。「2」の象徴性は、まさしく金森さんが今回の作品のあちこちに(岩波書店「思想」2024年第8号風に言えば、「過剰に」)散りばめたものです。「1」は自立し得ないとでも言うかのように…。

 その「場」の凄さを構成する要素のひとつに照明があることに異を唱える者はいないでしょう。で、その照明スタッフとして、金森さん、丹羽誠さんふたりの名前に先立ち、先頭に「御大」鈴木忠志さんの名前も見られるのです。これからご覧になる方は、凝りに凝った照明もご期待ください。

 …とまあ、ネタバレしないように気を配りながら、あの「場」で、そしてその後、私が個人的に感じたことを書いてきました。あくまでも個人的な感じ方に過ぎません。しかし、観終えたら、「はい、おしまい」で済むような作品ではないことは確かです。初日をご覧になられた皆さんの目にはどのように映り、どのように感じられましたでしょうか。とても興味があります、ハイ。

 あと、この日の利賀のことをもう少しだけ。作品に圧倒されて、新利賀山房を出ると、予報通りというか、雷鳴が轟くではありませんか。夏そのものの濃い青ではなく、舞踊作品に浸っているい時間のあいだに、すっかりグレーにその色を変えてしまっていた空がまるで突然に破けでもしたのではないかと思うような凄まじい雷鳴が、すぐ頭の上で聞こえたのでした。その後、やはり(!)雨も降り出します。これらも金森さんの演出か!?そんな感じでした。

 不穏な作品に不穏な天気が追い打ちをかけてくるのです。でも「怖い思い」はもうたくさん。帰りは車のナビで「砺波IC入り口」を検索して、車を走らせることにしました。県道229号線方向に左折すると、目の前にトンネル!見覚えがあります。思い出しました。そうそう、この道、この道!そこからの帰路はあまり怖い思いをすることもなく、新潟を目指すことができました。『めまい ~死者の中から』の余韻を『恐怖の報酬』で上書きすることなしに、です。蛇足でしたが、ご参考まで。

 以上、少し歩くだけですぐに汗が噴き出す暑さはあっても、蜻蛉も多く飛び交い、一足早く、確実に季節の移行も感じさせるこの時期の利賀芸術公園、『めまい 〜死者の中から』初日レポートとさせて頂きます。

(shin)

「アース・セレブレーション2024」2日目【特別フリンジ】鼓童✕Noism2に行ってきました!

8/17(土)、少し雲がかかることもありますが、今日も概ね晴れのよいお天気。
本日の特別フリンジは15時半から15分間のみの貴重な公演です。

14時頃、会場の三角公園に着きましたがカンカン照りでキビシイ〜
しかし、14時半を過ぎるとやや曇ってきて、ステージの上も暗雲が! 雨が降る感じではないので、このまま曇っていてくれるとありがたいな〜♪

フリンジ出演の前の団体が終わり、観客の移動があったので、その隙になんとか最前列の席を確保!
最前列は陽が当たって焦げる熱さでしたが、曇ったのでラッキーでした♪

15時頃、早くも出演者がやってきました!「Noism2の母」モンちゃさんもご子息と登場♪

Noism2メンバーと鼓童さんたちが早めに来たのは、なんと、その場でリハーサルというか、場当たりをするため。
特別サービスではありませんが、うれしいですね〜♪

司会は昨日に引き続き、鼓童の木村佑太さん。
今日もインタビューがあるので、まずはその並び方から。
そのあと鼓童さんと共演する曲の場当たりと続きます。
リハーサルなので浅海侑加さんも指導に入ります。貴重シーンですね♪
とはいえ、リハはササッと終わってしまいました。。

しばし待つ間に空は晴れ・・・
カンカン照りの夏空の下、明るく公演が始まりました!
まずは『砕波』!
鼓童の曲で、金森さんの振付です。


昨日のあゆす会館でも観ましたが、なんとまあ、全く別物です! いったいどうなっているのでしょう!?
今日の方がノリがいいようですが、屋内と屋外では雰囲気が違いすぎてビックリしました!
音楽はCDでしたが、最後の方が少し短縮されたバージョンでした。
ブラボー!!

そのあと、木村佑太さんによるインタビューです。今日は少し砕けた質問をしたいと言っていた木村さんですが、砕けた質問にも真面目な答えのメンバーに苦笑するしかない木村さんでした。2年目の4名がインタビューに応えました♪

最後の曲は鼓童さんとのコラボです。おなじみの『紫』!
鼓童の曲で、山田勇気さんの振付です。


この作品は去年も一昨年もフリンジ公演で踊られました。明るく楽しい楽曲ですが、ゆく夏を惜しむような哀調を帯びた響きも感じられます。
この『紫』は配信&アーカイブがあるようですので、ぜひご覧くださいね!
(→こちらからどうぞ。6分半強の動画となります。)

『紫』が華々しく終了して拍手喝采!!
全員で写真撮影です♪
すばらしい舞台をどうもありがとう!
河村アズリさんと川添愛美莉さんはこの公演が最後になります(涙)。
これからも新しい道で前に進んでいってくださいね!

今シーズンのNoism2、全公演無事終了しました♪
浅海侑加さん、メンバーの皆さん、おつかれさまでした!

さて、次(今週末)は利賀でNoism0+Noism1『めまい』ですよ〜✨
Noismの夏は、まだまだ続きます!
次は利賀でお会いしましょう♪

(fullmoon)

「アース・セレブレーション2024」鼓童研修生✕Noism2 に行ってきました!

8/16(金)、晴れて朝から気温が高い中、佐渡汽船ジェットフォイルに乗って、まずは両津へ!


アース・セレブレーションは小木で開催されます。両津から小木へ、私は路線バス移動で、遠路はるばる、なかなかですよ〜(^_^;)

Noism2を追いかけて、鼓童共演 連続3年!
本日の会場は、あゆす会館。初めての屋内会場で、体育館のような施設です。冷房が効いていてよかった!


「Noism2の母」モンちゃさんと開場前に落ち合い(モンちゃさんはご実家から小木航路)、2人で最前列ほぼ中央をゲット!
暑い中30分並んだ甲斐がありました。前方はゴザ敷で後方は椅子席。あっという間に超満員です。
録画録音・写真撮影禁止とのことなので、写真は開演前の様子を撮りました。


鼓童公式の方で生配信&アーカイブを残すというお話でしたので、どうぞご覧くださいね♪
(→そのアーカイブ、約29分です。こちらからどうぞ。)

13時30分、いよいよ開演。司会は鼓童の木村佑太さん。
オープニングは、鼓童研修2年生の6名による「うねり」という曲。太鼓の音はやはりスゴイ迫力です!
演奏が終わると自己紹介&司会者によるインタビュー♪
そのあとは、2年生による新作「チャンカ」。冬の思い出の曲だそうですが、ますますのド迫力に拍手喝采!
そして、研修所 所長のガンさんが登場し、心温まるお話の数々を話してくださいました。

そのあといよいよNoism2、11名が登場!
黒い衣裳に身を包み、踊るは『砕波』! 音楽は鼓童のCDです。
『砕波』はこれまでにも何度か見ていますが、その度に踊り手もシチュエーションも違うので、いつもとても新鮮です。今回も今のNoism2らしさが出ているなあと思いました。皆さん仲が良さそうですね♪
『砕波』のあとは、Noism2リハーサル監督 浅海侑加さんが登場♪
Noismの紹介やNoism2への思いを話されました。「今だからこそできる経験を、今後の人生に繋げていってほしい」というお話にメンバーへの愛を感じました。
それからNoism2メンバーの自己紹介があり、引き続きメンバーによるNoism紹介が2,3人ずつのメンバーに分かれて手際よく行われました♪ りゅーとぴあのこと、毎日の練習スケジュールやNoismメソッド・バレエ、アウトリーチ、WS、定期公演、20周年公演、そしてアース・セレブレーションのこと等々、とてもうまくまとめて、実演も交え、次々に紹介してくれました♪

そして最後は研修生同士のコラボレーション、鼓童の曲に山田勇気さんが振付をした『屋台囃子』です! いよっ、待ってました!
昨夏の三角公園フリンジ会場での熱演が思い出されましたが、それに負けない熱い舞踊に心震えました。
鼓童さん、ありがとう。こうやってNoism2の舞も受け継がれていくのだなあと思いました。

終わったあとは全員そろってのコラボ感想。楽しかった、豪華だった、緊張した、調和がとれた、音と踊りが一緒になれた、等々、胸の鼓動がさめやらぬ感激の感想でした。モンちゃさん、感涙!

終演後は観客を出口でお見送りまでしてくれて、ホント、うれしい楽しい研修生コラボ公演でした♪

明日は三角公園フリンジ会場で鼓童正メンバーとのコラボです!
楽しみです♪

(fullmoon)

SCOTサマー・シーズン2024 Noism0+Noism1『めまい』公開リハーサル♪ ~ヒッチコックとトリュフォー、キム・ノヴァクのことなども~

 2024年8月11日(土)、夜には新潟まつりの花火が打ち上げられるこの日、白山公園駐車場は一部終日閉鎖されていたりしたこともあり、車で駆け付けるのもなかなか容易ではなかったような事情もありましたが、そんななか、りゅーとぴあ〈スタジオB〉にて、12:30から正味1時間、たっぷり『めまい』の公開リハーサルを見せて貰いました。

 今夏「SCOT SUMMER SEASON 2024」の公式チラシに読める今作の紹介には「ヒッチコックのサスペンス映画『めまい』の原作となっているボアロー=ナルスジャックの小説『死者の中から』にインスピレーションを得て制作される作品。自他の境を見失っていく人間の様態を踊る」とあり、映画『めまい』に魅了された者としては興味を惹かれない筈がありません。

 そのピエール・ボワロー&トマ・ナルスジャックによる原作小説『死者の中から』についてですが、フランソワ・トリュフォーが敬愛するアルフレッド・ヒッチコックに行った50時間に及ぶインタビューを収録した名著『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』(1981)(*註)のなかに、同小説がヒッチコックに映画化されることを念頭において書かれた数篇の小説のひとつであり、その映画化権をパラマウント社がヒッチコックのために買い取ったという事実がトリュフォーの口から語られるのですが、ヒッチコックは自身を巡るそうした経緯をまるで知らなかったことが読めます。(同書pp.249-250)

 続けて、トリュフォーがその小説のどこに惹かれたのか訊ねると、ヒッチコックは、「主人公が、死んだ女を生き返らせようとするところ、生きている女を死んだ女のイメージに重ね合わせて愛してしまうところ」(同p.250)と答えています。

 しかし、ヒッチコックのその『めまい』(1958)は、本来、ヴェラ・マイルズ主演で構想されたものの、彼女の妊娠がわかり、それを断念。キム・ノヴァクを主演に据えて撮影されることになるのですが、撮影前のそんな事情もあって、「映画のリズムがうまくつかめなくなってしまった」(ヒッチコック)として、ヒッチコック自身からの同作及びキム・ノヴァクに対する評価が低いことにも触れられています。(同pp.254-255)

 また、それに関係して、もうひとつここで触れたいと思うのは、映画『めまい』を観ていると、ヒッチコックのキム・ノヴァクに対する「距離」或いは「隔たり」が否応なく感じられるということです。同作に起用されたキム・ノヴァクの素晴らしさはトリュフォーも言及している通りで、間違いないことなのですが、他のヒッチコック作品における監督から主演女優に捧げられる「愛」とも呼ぶべき親密さが目に映ずることはありません。(個人的な印象ですが、的外れではないと確信しています。)映画って怖いなぁと…。

 そんな色々な経緯がありながらも、ヒッチコック自身のために書かれた小説を本人自らが映画化した訳ですが、ブロンドのマデリンとブルネットのジュディ(キム・ノヴァクの二役)がそれぞれ登場する前半と後半の「間」に、ヒッチコックは(周囲には猛反対されたと明かす)作品構成上の大きな改変を差し挟んでいます。彼の慧眼はそのことによって心理的なサスペンスを導入することに成功したのでした。
 「はてさて、金森さんはそのあたりどう処理して表現していくのだろう?」興味は尽きませんでした。否、正確には、そこが気になって仕方なかったと言うべきだったでしょうか。で、基本的にはストーリーを踏まえつつ、「なるほど、そうなのか!」という舞踊作品に仕上がっています。

 さて、その金森さんと井関さん、そしてNoism0+Noism1(浅海侑加さん、樋浦瞳さんは出演されないようですが、)による舞踊作品『めまい』です。監督と主演女優の間の葛藤は、当然、ここには存在しません。
 金門橋をはじめ、サンフランシスコのランドスケープを背景に、自動車で経巡る迷宮めいた街路や霧など効果的に用いて展開されるヒッチコック作品に対して、金森さんの舞踊作品版は、自他の間に横たわる「2」という数を随所に象徴的に用いながら紡がれていきます。で、キム・ノヴァクが演じた役どころは井関さんと三好さんが担い、痩身ジェームズ・スチュアートについてはやはり似た体つきの糸川さんがそのイメージを引き受けつつ、情感豊かな熱演を見せてくれます。

 舞踊作品ですから、展開されていく舞踊を観るのが本筋な訳で、原作(や映画)のストーリーに過度に頓着・執着するべきではありませんが、やはり文化史的な「教養」の一部としてヒッチコックの映画は観ておいた方がよいかなとは思います。未見の方はこの機会に是非ご鑑賞ください。

 たっぷり全編を見せて貰って、13:30、この日の公開リハーサルは終了しました。1時間ものの大作です。観終えて圧倒されている私たちに、「いつにもまして皆さんシーンとしていますね」と笑って切り出した金森さん。「このあいだの20周年記念公演のあと、こんな作品を作っていたんです。16日には利賀に行きます。(Noism0とNoism1)みんなで行くのは初めてですが、その経験も必ず今後に活きると思いますし、活かしていきます」と今後の展開も視野に収めつつ力強く語りました。

 「Noismの公演(『めまい』)は完売ということなので、またどこかで」そうも語った金森さん。この意欲作、ほぼ2週間ののち、利賀村の新利賀山房でご覧になられる、その意味で「幸運な」方はどうぞ期待してお待ちください。

 私はエサ=ペッカ・サロネン指揮ロサンゼルス・フィルによるバーナード・ハーマン映画音楽集CDに収められた『めまい』の音楽をかけて、今日の余韻を楽しみながら、花火までの時間を過ごすことと致します。

(shin)

【*註】この『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』(山田宏一・蓮實重彦訳:1981・晶文社)という本には、ヒッチコックがイギリスから移り住んだアメリカにおいて、偉大な「映画作家」と看做されることなく、単なるサスペンス映画の「職人」として不当に低く評価されてきたことを看過できなかったフランスのトリュフォーが、「映画作家」としてのヒッチコックの真価、その凄さをアメリカに逆輸入・再評価させるための「教育」或いは「啓蒙」の書として企画されたものという側面もあります。
 また、ヒッチコックの『めまい』(1958)に関しても、現在では映画史に残る名作の呼び声を欲しいままにしていますが、公開当時は興行的な成功を収めることがなかっただけでなく、同作に対する評価が真に高まりを見せるのも後年になってのことです。 (shin)