「新潟県文化祭2024」こども文化芸術体験ステージ(2024/11/23)、Noism2に胸熱!

2024年11月23日(土)勤労感謝の日、十日町市の越後妻有文化ホール「段十ろう」を会場に開催された「新潟県文化祭2024」こども文化芸術体験ステージに、午前午後2回、Noism2が登場し、「未来を担うこどもたちが舞台公演を通じて豊かな感性や創造性などを育み、文化芸術に興味・関心を持つきっかけになってほしい…」と設けられた機会において、その溌剌としたパフォーマンスで観客からの温かみのある大きな拍手を浴びました。

私が観に駆けつけたのは14時開演の第2部(推奨年齢:中学生以上)。霰が落ちてきたり、時折、篠突く雨も寒々しい、かと思えば、陽が差す時間帯もあったりという、冬を前にした忙しい天候のなか、車で高速道路を走り、一路、十日町市を目指したような次第です。

2017年にオープンしたという越後妻有文化ホール「段十ろう」。今回が初めて訪れた建物でしたが、十日町の中心市街地に位置する、なかなか綺麗な複合施設でした。

13時15分に開場。「新潟県文化祭」ということもあり、ホワイエには新潟県産木材を紹介するコーナーが設けられていて、木琴やら色々な玩具、それに木製スピーカーほかが並べられており、木を使って仕上げられた段十ろうの内装によくマッチしていました。

そして、開演時間の14時になります。緞帳の手前、上手(かみて)と下手(しもて)両側から、Noism2ダンサーの9人が現れ、横一列となるが早いか、心臓の鼓動、心拍音が聞こえてくると、それに合わせてビートを刻み始める9人。黒いジャケットに黒いパンツ姿。緞帳が上がってから繰り出されたクールでソリッドに絡んでいくスピーディーなダンスは、先ずは名刺代わりのご挨拶。そのスタイリッシュな幕開けで、もう、つかみはOKです。そんなふうにはじまったこの日の舞台。

次いで、地域活動部門芸術監督・山田勇気さんとNoism2リハーサル監督・浅海侑加さんがステージ下手に現れてご挨拶。そこから、浅海さんから『砕波』が紹介されました。その内容をかいつまんで記しますと、港町・新潟市が開港150周年を迎えたのを機に、Noism芸術総監督・金森穣さんが、佐渡の太鼓芸能集団・鼓童の楽曲に振り付けた作品であり、Noism2メンバーは波の動きを踊り、それを通して、波の様々な感情を表現するとのこと。「激しく荒れ狂う海。怒っている波、泣いている波、笑っている波…」(浅海さん)

8人のダンサーによって、日本海の様々な波、その感情が身体と音楽とで可視化されていくさまを目撃する私たち観客は、一人残らず、言葉を用いない舞踊の何たるか、それを身を以て感得していくという豊かな時間を享受したのでした。更に、子どもたちを含めて、Noismを初めて観るという人も多かったのだろう客席。『砕波』のラスト、舞台上の動きが止まってから、場内に響いた温かい拍手には舞踊への驚きといったものが聞き取れるように感じられました。

次の演目にいく前に、再び山田さんが舞台に現れると、スクリーンを用いて、国内唯一の公共劇場専属舞踊団である「新潟のダンス集団Noism(Noism Company Niigata)」を簡潔に紹介していきました。

そのなかで、私が観た午後の部では、江川瑞菜さん(愛知県出身)、与儀直希さん(米・ロサンゼルス出身)、高田季歩さん(兵庫県出身)、四位初音さん(宮崎県出身)の4人も舞台にあがり、山田さんからの質問に、ひとりひとつずつ答えていくことを通して、Noism2というカンパニーの横顔が伝わってきました。それらもご紹介しましょう。

*Q:Noism2の生活はどんなふうか? → A:四位さん「朝9時のNoismバレエ、Noismメソッドに始まり、途中に休憩を挟んで、18時まで舞踊に向き合う日々」
*Q:どうして踊りを始めたのか? → A:高田さん「身体を動かすのが好きで、3歳でクラシックバレエを、小学校6年生のときにコンテンポラリーダンスを始めた。コンテンポラリーダンスの全身で表現することに惹かれた」
*Q:踊りの魅力とは? → A:与儀さん「踊りの表現が人生経験が深まっていくのと同時に深まっていくこと。そして人と繋がるきっかけになること」
*Q:辞めたくなったことはないか? → A:江川さん「思いつかないが、怪我をしたとき、前のように踊れない日々は辛かった。踊ることが好きなのでワクワクしている」

出前公演やアウトリーチを通して「舞踊の種を植える」Noism2。自分の夢を叶えるために稽古に打ち込む研修生カンパニー。そしてホーム・りゅーとぴあで「くらす」「つくる」「(文化を)そだてる」Noism Company Niigata、と。

Noism2メンバーの9人
新メンバー3人をアップで

時刻は14:30、今度は浅海さんによる『火の鳥』の紹介です。2011年に金森さんがNoism2のためのオリジナル作品として振り付けた作品で、「今を生きる子どもたちに向けたメッセージ」が込められている。それはシンパシー(共感・共鳴)、心の動き。そして次のように、あらすじも紹介されました。
*少年: 自分の殻に閉じ籠もり、闇やネガティヴなエネルギーに囲まれている。
*火の鳥: 少年を強く優しいエネルギーにより、殻の外へ連れ出す。
*黒衣(若者たち): 嫉妬にかられ、火の鳥に襲いかかる。
 → 痛めつけられた火の鳥は火が消えてしまうことに。
 → 少年の流す涙によって、若者たちの心に何かが起こっていく…
…「それを観て聴いて感じて欲しい」(浅海さん)

この日の舞台、「少年」は髙橋和花さん、「火の鳥」は矢部真衣さんが、そして6人の「若者たち」がストラヴィンスキーの楽曲に乗って躍動しました。この演目、とてもエモーショナルで、Noism入門にはもってこい、まさにお誂え向きとも言えるものなのでしょうが、いつ観ても、鳥肌もので、心を激しく揺さぶられてしまいます。それはこの日も同様でした。Noism2メンバーたちの熱演に対して、場内からは今度は熱い思いが込められた拍手が長く長く続きました。
この『火の鳥』ですが、来春3月のNoism2定期公演vol.16(2025/03/08&09)でも踊られることが告知されています。この同じメンバーで更に進化・深化した『火の鳥』が今から楽しみです。

Noism2のメンバーの皆さん、山田さん、浅海さん、胸熱で素敵な舞台を有難うございました。この日観た子どもたちも、大人たちも、みんな新潟(市)にはNoism Company Niigataという世界に誇るべきカンパニーがあることをはっきり認識し、「文化」というものを心ゆくまで堪能したものと思います。冬枯れの景色のなか、そんな高揚する気持ちのままに帰路につきました。

なお、この日の舞台の模様は、後日、編集したものがYouTube(新潟ステージチャンネル)にアップされる予定とのことでした。本日、ご覧になられなかった方はそちらをお待ちください。

(shin)


「私がダンスを始めた頃」#24 兼述育見

「わたし踊りたい!」 小学1年生の終わりに突然そう言った私は、母が探してくれたダンススタジオで、いろんなクラスを見学して、ジャズダンスを習い始めました。

ジャズダンスを始めた頃

始めてみると、他のジャンルのダンスにも興味が出て、ロックダンス、ソウルダンス、ポッピングなど様々なジャンルのダンスを大人に混ざって習っていました。
とにかく踊ることが好きで、この頃から将来はダンサーになりたいと思っていました。
小学6年生になるころ、ジャズダンスの先生に勧められてバレエを始めました。

バレエを始めた頃

当初は、ダンスの基礎のためと、幼稚園児に混ざって「キリンさんのお首〜」と言われながらレッスンを受けていました。しかし、やってもやってもなかなか上手くできないバレエの難しさにハマってしまい、本格的にバレエをやるように。

留学時の写真

高校を卒業する時に、よりバレエを極めたいと思い、オーディションを受けて、アメリカのバレエ学校に2年間留学しました。 まだまだ知らないこと、できないことがたくさんあり、時に挫けそうになることもありますが、小さい頃から抱いてきた舞踊への好奇心、踊ることが好きという気持ちを忘れずに、日々舞踊に向き合っていきたいと思います。

(かねのぶいくみ・2000年岡山県生まれ)

「円環」記者発表に行ってきました♪

2024年11月13日(水)11:00 – 12:00、秋晴れの新潟市。りゅーとぴあスタジオAで、「円環」記者発表が開催されました。


登壇者は、井関佐和子さん(Noism国際活動部門芸術監督)、金森穣さん(演出振付家、舞踊家)Noism芸術総監督、近藤良平さん(振付家、ダンサー)彩の国さいたま芸術劇場芸術監督、コンドルズ主宰、の3名です。
井関さん、近藤さん、金森さんの順でお話があり、そのあと会場参加者の質問、オンライン参加者の質問と続き、最後に写真撮影です。司会はNoism広報の谷内紫乃さん。

●井関さんのお話:
・「円環」は3作品の総合タイトルであり、20周年イヤーにふさわしいプログラムと思う。
・近藤さんをお呼びしたのはNoism1メンバーのため。近藤さんは「ダンサーはダンサーを演じることがある」と話されていたことがあり、自分でも知らないうちに行動が「ダンサー」になっていたりする。メンバーは自分自身と向き合い、近藤さんと一緒に感情の旅を楽しんでほしい。
・Noism0+今回のゲストは皆40歳を過ぎている。若手育成を担う年代でもあるが、円熟の力を発揮できる年代でもある。舞踊に限らず40代以上の人たちがますます活動的になっていくといいと思う。
・『過ぎゆく時の中で』では、私は出演せず、穣さんとNoism1メンバーが踊ります。(!!)(←金森さんは山田勇気さんが踊った役のようです)

●近藤良平さんのお話:
・19年ぶりだが、Noismは変わらずにいる、在る、という感じで、自分も「帰ってきたな~」と思っている。
・今、段ボールにハマっていて『にんげんしかく』は、段ボールと人が関わる作品になる。
・メンバーとは最近会い、今、クリエーション中で、刺激をもらっている。困るくらいやる気がある。身体に真面目に取り組んでいる。この作品では自分を磨くというよりは、作品に溶け込んでもらえればと思う。
・作品は段ボールを使った、段ボールとの作品なので、不思議な珍しい作品になると思う。ケガをしないで段ボールと格闘してほしい。

●金森さんのお話:
・『過ぎゆく時の中で』は2021年、サラダ音楽祭での作品。このころ、コロナ明けで外国人メンバーが一斉に帰国した。集団と個人、どちらかとなったら個人を選ぶ。コロナという特別な状況下とは言え、無常なる集団性を感じた。と同時に集団性の尊さを感じた。
メンバーは通り過ぎていく。これまでに156名。この事業の価値を信じてくれる関係者がいてNoismは継続できてきた。長い時の流れの中で今がある。 
Noism1メンバーと間近で踊るのは初めてだと思う。井関も言っていたが、育成と同時に円熟した力を還元し、共有することで若いメンバーに届けられるものがある。
・Noism0新作『Suspended Garden-宙吊りの庭』は、あまり考えず、皆が集まってから創ったが、8日間であっという間にできた。それはゲストの身体性が前と変わっていなかったから。若い人や外部振付だと求める身体性から教えるので時間がかかる。(トン・タッ・)アンの音楽を含め、6人でこれから深めていきたい。
・『Suspended Garden-宙吊りの庭』とは、「劇場」が(も)メタファー。近藤さん的に言うと「段ボールの箱の中」。現実とは違う宙吊りの庭に舞踊家が集い、別れていく。(それは劇場だけではない)

お話は以上でこのあと質疑応答です。
ちなみに取材メディアは、NHK、BSN、TeNY、新潟日報、朝日新聞、月刊にいがた。
オンライン質問は、バレエチャンネル、チャコット、東北新社、埼玉新聞、ダンスマガジン。
と、錚々たるメディア陣で、Noism創設時とは隔世の感で感涙もの。。。
よくぞここまで大きく育ってくれました。(お母さんはうれしい、的)

ということで、たくさんの質問があり、とてもご紹介しきれません。いくつか。

●井関さん:
-Noism0新作で舞踊家としての実感は?
・『Suspended Garden-宙吊りの庭』で、十数年ぶりに宮河、中川に触れた。最初に触れる時、どう感じるのか、怖い・恥ずかしいという気持ちがあった。それは彼らも同じだったと言っていた。
しかし、触れた瞬間から、「あの時と同じ」、「変わらないものがある」と感じた。
20代の頃と感覚は変わらない。それぞれの「くせ」や、それに対して自分がどう思うかまで同じで、とても貴重だった。

-近藤さんの作品とNoism1の身体性について
・近藤さんの作品とNoism0のダブルビルでもよかったのだが、トリプルにしたのは、Noism1メンバーに多面的なものを自覚してほしいと思ったのと、観客の皆様にもNoism1の身体性の違いを見てほしいと思ったから。

●近藤さん:
-Noismへの思いは?
・Noismが20年続いている。続けている。存在している。知られていく。知られている。
ぐっと熱く、深くやりたい。
・Noism1メンバーはすごく踊れる方たち。自分の振りを5秒で取り込み再現する。取り込みがダントツに早い。自分は30分たつと自分の振りを忘れるので教えてもらっている。

-近藤さんにとって舞踊とは?
・模索しているが、解答は出ないと思う。舞踊というよりは、ダンス、踊る、舞う、と考えている。
特別なものではなく、自分としては「日常的」で身近なもの。日常の中にたくさんのものがあり、それがダンスになる。

-『にんげんしかく』の音楽は?
・内橋和久さんの音楽で、ダクソフォンという不思議な楽器を使った不思議な音。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E6%A9%8B%E5%92%8C%E4%B9%85

●金森さん:
-音楽は録音?
・『過ぎゆく時の中で』はサラダ音楽祭とは違い録音。ただ舞台は広く使えるので「劇場版スペシャル」になる。
・『Suspended Garden-宙吊りの庭』も録音。楽譜に書けるような音楽ではないが、メロディーがあり情感豊か。外界からふわっと聞こえてくる映画音楽のような。

-Noism1メンバーと踊ってみて
・若手と円熟では情報の量と質が違う。一緒に踊らなければ伝えられないものがある一方、こちらもメンバーの奔放な情報に刺激を受けている。
舞踊に限らず、若手と円熟の両輪を回していかなければならない。

-Noism0+ゲストについて
・一瞬をいかに生きるか。人間って何だろう。友情?友愛? 時を経て再び会う。
変らないもの、変わらないことへの愛。

お話たくさん。濃い記者発表でした!
ほか詳細、ぜひどうぞ!
▼公演詳細ページ
https://noism.jp/noism0-noism1-enkan/
▼公演プレスリリース
https://noism.jp/pressrelease_enkan_2024/

なお、メディア・活動支援会員対象の公開リハーサルは12/5(木)の予定だそうです。

「円環」公演、ますます楽しみです!!!

(fullmoon)

◎以下に、Noism公式から提供を受けたこの日の記者発表画像(15枚)を追加掲載します。是非、ご覧ください。

今年も和気藹々、そしてはんなり粋な最高の宵♪「さわさわ会」総会、誕生会・10周年記念パーティー(@ホテルイタリア軒 割烹 蛍)

秋も深まる2024年11月10日(日)、この日は新潟市バス運賃無料の日とあって、あちこちのバス停で大勢の人たちが列を作って、混雑したバスに乗り込む光景が見られました。私にとっての目的地も古町のホテルイタリア軒 割烹 蛍でしたから、自宅からバスを3本乗り継ぐことで、運賃無料の恩恵に充分過ぎるほど浴しての移動となりました。

その割烹 蛍を会場に開かれたのは、舞踊家 井関佐和子を応援する会「さわさわ会」の総会、誕生会・10周年記念パーティーです。

昨年の誕生会・懇親会の席上、若い会員である古町芸妓の舞衣子さんが挨拶したことをきっかけに、会長の齋藤正行さんから飛び出した「舞衣子さんにお座敷で踊りを披露して貰うってのはどう?」
その「実に斬新で、物凄く楽しいだろう計画」が今年のこの会となって結実を見たのでした。口にされた途端に、その場の全員を魅了してしまった突然の放言を、粘り強く実現にまで漕ぎ着けた役員の皆さん、総会ともども、ご苦労様でした。そしてどうも有難うございました。

こちらではこの日のパーティーの雰囲気を感じていただけるよう、画像によるご紹介を試みたいと思います。是非、ご覧ください。

①まずは総会から。
司会進行・久志田渉さんと挨拶に立つ会長の齋藤正行さん。

②そして井関さんの誕生会・「さわさわ会」10周年記念パーティー開会です。
井関さんと金森さん入場~齋藤さんより花束贈呈~顧問・篠田昭さん(前新潟市長)の乾杯のご発声。

③挨拶にまわる井関さん

④この宵に華を添えてくれたはんなり古町芸妓・舞衣子さんの踊り(三味線を弾くのは和香さん)。
*一曲目、『紅葉(もみじ)の橋』。

*二曲目、『おけさづくし』(佐渡おけさ・新潟おけさ)。


*三曲目、四つ竹を鳴らして舞う『新潟小唄』(北原白秋)。和香さんの前説によれば、全部で40番まであるという、その1番。

*そして舞衣子さんたっての希望の四曲目は三味線による『Happy Birthday』。
花束が井関さんに渡されました。まさに粋以外の何物でもありません♪

⑤テーブルをまわり、談笑する舞衣子さん~伊野義博さん(新潟大学名誉教授)が朗々と歌ってやんやの喝采を浴びたもうひとつの『佐渡おけさ』~舞衣子さん・和香さんご退場。

⑤サプライズのバースデイ・プレート、井関さんへ。

⑥金森さんのスピーチ。

⑦田代雅春さん(当時の事業課長)による胸熱のご挨拶。

⑧久志田さんの一本締めに、篠田さんからまさかのツッコミ。この宵を惜しむかのように、みんな笑顔でもう一度締めて、お開きとなりました。
(この宴のなか、中村玄さんによるスピーチ、そして恒例となった鈴木良一さんの詩の朗読につきまして、迂闊なことに写真を撮り損ねてしまいました。誠に申し訳ありません。何卒ご容赦願います。)

このあと、参加者の皆さんは井関さん・金森さんとの写真撮影に並ぶこととなりました。かく言う私も一緒に撮っていただきました。こちらにはアップしませんが、ホント嬉しかったです。
代わりと言っては何ですが、ここでは、ホテルイタリア軒 割烹 蛍さんの美味し過ぎたこの日のお料理の写真をアップします。新潟県産の食材がふんだんに使われたお料理はどれも上品なお味で絶品でした。

…と、とりあえず、これをもちまして、「さわさわ会」総会、井関佐和子さん誕生会・10周年記念パーティーの様子のご紹介とさせて頂きます。

で、最後にこの日のブログの締め括りとして、胸熱だった田代雅春さんのスピーチについて少し触れておきたいと思います。20年前、金森さんの熱い思いに触れ、本物の芸術がもつ力を信じればこそ、各部署の了解を取りつけて、篠田さんに進言した田代さん。
その田代さん、この日のスピーチで、その後の金森さんとNoismの歩みに間違いはなかったとし、困難を極める今の時代にあって、「市民で、世界の情勢とは異なる情勢を作っていくこと。ここからスタートすること」を訴えられました。ね、胸熱でしょ。うん。


そして「この闘いは、まだまだ続く」(金森さん)のでもあって、そうなら、私たち市民も一緒になって、自分の手の及ぶ範囲で「異なる情勢」を作る役割を引き受けなきゃ、そう思ったような次第です。

諸々、実に素敵な宴でした。

(shin)

FM-NIIGATA「NAMARA MIX」に井関さん登場♪(2024/11/05)

ホント急に気温が下がった2024年11月5日(火)、その夜のFM-NIIGATAのラジオ番組に、こちらは予定通り、井関さんが登場されました。それは、「NAMARAがにいがたをかき混ぜる」番組「NAMARA MIX」(毎週火曜日19:00~20:55)

「新潟お笑い集団NAMARAによるNAMARAのラジオ!様々なゲストやコーナーをNAMARAがMIX! 出来上がりは誰にも分からないけれど、もしかしたらスゴイものが生まれるかもしれない番組!」だそうで、その第136回放送の中の、「NAMARA MIX 30分1本勝負」(20:14頃~)というコーナーに事前収録での出演でした。

「新潟で何かに立ち向かう挑戦者をお呼びして、本音で意見を交わし合う」というそのコーナーで、井関さんはこの日の「青コーナー」の「挑戦者」として招かれたのでした。

この日の放送では、開始のゴングとともに、ふたりのパーソナリティ(江口歩さんとオダニハジメさん)とのやりとりで多岐にわたるお話しを聞くことが出来ました。少しだけそのご紹介を試みたいと思います。

*新潟市に日本で唯一の公立劇場専属舞踊団Noism Company Niigata。その凄さは伝わっているか?
*欧州の劇場におけるプロの舞踊家。給料を貰って踊って、40歳になると生涯、年金の支給がある。
*Noism20周年記念公演「Amomentof」。井関さん、25歳が45歳に。でも、考えると一瞬だった。
*各地方独自のものを創っていくべき。従来の舞踊部門の予算の使い途を変えることでNoismは始まった。
*国際活動部門芸術監督: Noism0とNoism1の芸術監督という割り振り。
*新潟市のインバウンドとNoism。新潟市に利用して欲しい。東京を介さずに海外から新潟市にNoismを観に来てくれるようになることが夢。
*「元気のある地方都市は、行政・経済人がアートや芸術家に力を入れている」(江口さん)
*新潟市からの補助金のほか、国からの助成金を得て、更に協賛を募っての運営。それでも年齢が若いメンバーはかつかつの暮らし。給料を上げてあげたい。
*3歳から踊ってきた。身体の使い方が変わってきて、「50(歳)が全盛期かな」(井関さん) 動きの意味がわかってくる。身体と精神の一致。

---ジョン・アダムス『ザ・チェアマンダンス』(Noismレパートリー『過ぎゆく時の中で』使用曲)が(一部)オンエアされる。---

*「円環」トリプルビル: 近藤さん演出振付の『にんげんしかく』。(井関さん、2005年には近藤良平さんのコントをやっている。)宮河愛一郎さん、中川賢さんもゲストで出演し、井関さんと山田勇気さんと踊る『Suspended Garden』。Noismレパートリー『過ぎゆく時の中で』。
*振付家のスタイル: 精密なカウントで事細かに振り付ける金森さん。ダンサーに「やってみて」って言って、「ああ、いいね、それ」ってする可能性もあるのが近藤さん。
*バレエを基礎にしていて、「モダン・バレエ」「モダン・ダンス」のようなNoism。基礎が必要。基礎があれば自由にやってもきまってくる。
*Noismメソッド: やることが決まっていて、それにのっとって、自分の身体を見つけていく作業。トレーニングで意識を身体に入れていく。
*感覚は自分のもの。感覚は共有できない。それが舞台と繋がってくる。
*Noismの30周年は?: 「もっとお客さんが来て、新潟市がもっと盛り上がって、世界とダイレクトに通じているようになるために、今、どう動いていくか…。それがあと10年くらいで出来たら最高」(井関さん)

終了の合図のゴングが鳴り、NAMARA代表・江口さんの総括: Noismを知らないということを、まだ観ていない人たちはいずれ後悔する日がくると思う。是非、生の目撃者に。

…といったところでしたでしょうか。聴いた人たちはみんな、もうリアルにKOされてしまって、12月からの「円環」トリプルビルへの期待に胸を踊らせることになった筈です。よいお席はお早めにどうぞ。
以上、ご報告とさせて頂きます。

(shin)


新潟日報「assh」vol.521(2024/10)表紙に浅海侑加さん登場♪

2024年10月6日(日)、地元紙・新潟日報のコンセプトペーパー「assh」vol.521(2024/10)の表紙に、Noism2 リハーサル監督・浅海侑加さんの凛々しい姿が♪

加えて、「assh 表紙の人」に付された2次元コードから、更に、「Web magazine assh (Web magazine assh (niigata-nippo.co.jp))」からも、浅海さんへのインタビュー「『Noism2』リハーサル監督 浅海侑加さん/後進へのまなざし温か イメージの共有に試行錯誤」もお読み頂けます。とても興味深い内容ですので、是非ともお読みください。

そしてインタビューに続けて、この秋(2024/11/23)の「新潟県文化祭2024」こども文化芸術体験ステージについての告知もあります。Noism2が出演し、『火の鳥』と『砕波』を踊ります。(@越後妻有文化ホール「段十ろう」・十日町市本町一丁目上508番地2)
浅海さんが指導する若さ溢れるNoism2メンバー、その躍動する姿は必見です。観覧申込みは11/7(木)まで。是非、ご応募ください。

で、こちらには、この機会にこれまで当ブログでお届けしてきました浅海侑加さんについての記事へのリンクを以下にまとめて掲載しておきますので、そちらも併せて(改めて)お読み頂けましたら幸いです。

「私がダンスを始めた頃」②浅海侑加
「ランチのNoism」#20:浅海侑加さんの巻

【追記】…私はラクトアイスやポテトチップスを食べながら、ネット見てたりしますけれど、…弛緩し切ってます…(汗)。皆さんはどうですか。

そして、話題は変わりますが、今夜(深夜25:25)1:25からのNHK BS「プレミアムシアター」はベジャール『ボレロ』他に加えて、金森さん+東京バレエ団『かぐや姫』(再放送)です。こちらもリアルタイム視聴または録画にてお見逃しなく♪

(shin)

凄いものを聴いた!観た!-「サラダ音楽祭」メインコンサートの『ボレロ』、圧倒的な熱を伝播♪

2024年9月15日(日)、長月も半ばというのに、この日も気温は上昇し、下手をすれば、生命すら脅かされかねない暑熱に晒された私たちは、陽射しから逃げるようにして、這々の体(ほうほうのてい)でエアコンの効いた場所に逃げ込んだような有様だったのですが、まさにそのエアコンが効いた快適な場で、全く別種の「熱」にやられることになろうとは予期できよう筈もないことでした。

「サラダ音楽祭2024」のメインコンサートは早々に完売となり、当日券の販売もなく、期待の高さが窺えます。池袋・東京芸術劇場のコンサートホール場内では文芸評論家で舞踊研究者の三浦雅士さんの姿もお見かけしました。この日ただ一度きりの実演な訳ですから、期待も募ろうというものです。

私自身、先日の公開リハーサルを観ていましたから、この日の『ボレロ』が見ものだくらいのことは容易に確信できていましたけれど、大野和士さん指揮の東京都交響楽団とNoism Company Niigataによるこの日の実演は、そんな期待やら確信やらを遥か凌駕して余りあるもので、凄いものを聴いた、凄いものを観た、と時間が経ってさえ、なお興奮を抑えることが難しいほどの圧倒的名演だったと言わねばなりません。

そのメインコンサートですが、まず15時を少しまわったところで、ラターの《マニフィカト》で幕が開きました。私にとっては初めて聴く曲で、「マリア讃歌」と呼ばれる一種の宗教曲なのですが、そうした曲のイメージからかけ離れて、親しみ易いメロディーが耳に残る、実に色彩豊かで現代的な印象の楽曲でした。更に、前川依子さん(ソプラノ)と男女総勢50人を超える新国立劇場合唱団による名唱も相俟って、場内は一気に祝祭感に包まれていきます。「ラター」という人名と聖歌《マニフィカト》とは私の中にもしかと刻まれました。

20分の休憩を挟んで、後半のプログラムは、ドビュッシーの交響詩『海』で再開しました。こちら、どうしても、金森さん演出振付による東京バレエ団のグランドバレエ『かぐや姫』、その冒頭ほかを想起しない訳にはいきませんよね。粒立ちの鮮明な音たちによって、次第にうねるように響きだす音楽によって、そこここであの3幕もののバレエ作品を思い出さずにはいられませんでした。その意味では、都響によるダイナミックレンジが広く、階調も情緒も豊かな熱演が、同時に、次の『ボレロ』へのプレリュードとしても聞こえてくるというこの上なく贅沢な選曲の妙、憎い仕掛けにも唸らされたような次第です。

そしていよいよラヴェルの『ボレロ』です。金森さんと井関さん共通の友人でもあるコンサートマスターの矢部達哉さんが楽団員たちとのチューニングを始めると、客電が落ち、井関さんをはじめNoismメンバーが上手(かみて)袖からオーケストラ前方に設えられた横長のアクティングエリア中央まで駆け足で進み出て、特権的な赤い衣裳の井関さんを中心に、フードまで被った黒い8人が円を描くように囲んで待機します。金森さんの師モーリス・ベジャールの名作と重なる配置と言えるでしょう。やがてスネアドラムがあの魔的な3拍子のリズムを静かに刻み始め、フルートがそこに重なって聞こえてきます…。昨年末のジルベスターコンサートでの原田慶太楼さん指揮・東京交響楽団の時とは異なり、今回は中庸なテンポです。

金森さんによるこの度の『ボレロ』ですが、先ずは赤い井関さんと周囲の黒ずくめ8人の関係性の違いが、ベジャールの名作と最も大きく異なる点と言えるかと思います。音楽のリズムやビートを最初に刻むのが井関さん。そしてその中心からそのリズムやビートに乗った動きがじわじわ周囲に伝播していくことになります。

両腕を交差させて上方に掲げたかと思えば、両手で上半身を撫でつけたり、或いは、両手を喉元までもって来ることで顔が虚空を見上げるかたちになったり、苦悶と言えようほど表情は固く、如何にも苦しげな様子を経過して、決然たる克己の直立へ戻るということを繰り返すうち、次第に、井関さんから発したその身振りが断片的に、先ず周囲の幾人かに伝播していくのです。この「抑圧」が可視化されている感のあるパートで用いられる舞踊の語彙にはベジャール的なものはまだ含まれておらず、これまでのNoismの過去作で目にしてきたものが多く目に留まります。

やがて井関さんとその周囲、赤と黒、合わせて9人のポジションは、(徐々に黒い衣裳を脱がせながら、脱ぎながら、)3人×3という構成にシフトしていきます。それは即ち、最初の円形が横方向へ伸びるフォーメーションへの移行を意味します。そうなるともう多彩な群舞の登場までは時間を要しません。Noism的な身体によるNoism的な舞踊の語彙が頻出する限りなく美しい群舞が待っていることでしょう。見詰める目の至福。そしてそこに重ねられていくのは師へのオマージュと解されるベジャールの動きの引用。ここに至って、感動しない人などいよう筈がありません。飛び散る汗と同時に、9人の表情もやらわぎを見せ始め、笑みさえ認められるようになってきます。それは演出でもあるのでしょうが、自然な成り行きに過ぎないとの受け止めも可能でしょう。可視化されるのは「解放」です。その「解放」があの3拍子のリズムに乗って圧倒的な熱と化して、見詰める目を通して、私たちの身体に飛び込んでくるのですから、一緒に踊りたくなってうずうずしてしまう(或いは、少なくとも一緒にリズムを刻みたくなってしまう)のも仕様のないことでしかありません。(私など全く踊れないのにも拘わらず、です。)そして同時に、心は強く揺さぶられ、狙い撃ちにされた涙腺は崩壊をみるよりほかありません。

金森さん演出振付のダンス付きの、この都響の『ボレロ』は、最初のスネアドラムが刻んだかそけき音に耳を澄まし、それと同時に生じた井関さんの動きに目を凝らしたその瞬間から、最後の唐突に迎える終焉に至るまで、刻まれる時間と場内の空気は全てオーケストラによる楽音とNoismメンバーの身体の動き、ただそのふたつのみで充填し尽くされてしまい、夾雑物などは一切見つかりようもありません。両者、入魂の実演はまさに一期一会です。そんな途方もない時間と空間の体験は、それが既に過去のものとなっているというのに、未だに心を鷲掴みにされ続けていて、落ち着きを取り戻すことが難しく感じられるのですから、厄介なことこの上ありません。

繰り返されたカーテンコールで、満面の笑みを浮かべて拍手と歓声に応えた金森さんの姿も(腕まくりと駆け足も含めて)忘れられません。そんなふうに凄いものを聴き、凄いものを観た9月折り返しの日曜日、Noism20周年のラストを飾るに相応しかったステージのことを記させて貰いました。

(shin)

「サラダ音楽祭」活動支援会員対象公開リハーサル、その贅沢なこと、贅沢なこと♪

2024年9月7日、ここ数日で気温自体はやや落ち着きを見せてきてはいましたが、それでも湿度が高く、「不快指数」も相当だった土曜日、りゅーとぴあのスタジオBを会場に、「サラダ音楽祭」メインコンサートで生オーケストラをバックに踊られる『ボレロ』の公開リハーサルを観て来ました。

この日のりゅーとぴあでは、「西関東吹奏楽コンクール」中学生の部Aがコンサートホールで開催されており、大型バスが何台も駐められていたりした駐車場は、スタッフが入庫の采配を振るっているなど、普段とは異なる様相を呈していて、早めに到着したことで慌てずに駐車できました。りゅーとぴあ内外には楽器を抱えた中学生や関係者の方々の姿が溢れていて、それは賑やかな風景が広がっていました。

そんな湿度と人熱(ひといき)れのりゅーとぴあでしたが、この日開催された活動支援会員対象の公開リハーサルは、この上なく贅沢なものでした。

正午頃、少し早くスタジオB脇の階段まで行って待っていると、ホワイエには椅子に腰掛けて何かを読んでいる金森さんの後ろ姿がありますが、スタジオ内からはラヴェルの『ボレロ』の音楽が漏れ聞こえてきます。メンバーたちは入念に準備をしているようです。

12:27、スタッフに促されて私たちもスタジオ内に進みます。
12:29、金森さんが「もう全員(来た)?」と確認すると、やがて静かにあの音楽(金森さん曰く「テンポ感的によかった」というアルベール・ヴォルフ指揮、パリ音楽院管弦楽団演奏の古い音源らしい)が聞こえてきて、公開リハーサルが始まりました。中央に井関さん、そして取り囲むように円形を描く8人のNoism1メンバーたち。金森さんの『ボレロ』も、その滑り出しにおいては、ベジャールの『ボレロ』を思わせる配置から踊られていきますし、ベジャール作品において象徴的なテーブルの「赤」も別のかたちで引き継がれています。

今回の金森さんの『ボレロ』ですが、恩師ベジャールへのオマージュとしての引用には強く胸を打たれるものがあります。そしてそれと同時に、これまでのNoism作品で金森さんが振り付けてきた所謂「金森印」に出会うことにも実に楽しいものがあります。とりわけ、あたかも『Fratres』シリーズや『セレネ』2作を幻視させられでもするかのように目を凝らす時間は、紛れもなくNoismの『ボレロ』を観ているという実感を伴うことでしょう。

クレッシェンドの高揚していく展開だけではなしに、実に細かなニュアンスに富んだこの度の『ボレロ』、Noismならではの身体が魅せる群舞の美しさは格別です。
加えて、井関さんと中尾さんに糸川さん。三好さんと庄島すみれさんに坪田さん。樋浦さんと庄島さくらさんに太田菜月さん。その3組を軸にしたフォーメーションの変化も見どころと言えるでしょう。

12:45、音楽と舞踊の切れ味鋭い幕切れの時が来ました。「OK!」の金森さんの声。予定時間のほぼ半分の時間です。「あと15分、金森さんの細かなチェックが入る様子を観ることになるのかな」、そう思った瞬間、「10分休憩してください」と踊り終えた9人に向けて、金森さんがそう言葉を発するではありませんか!「えっ?えっ?どゆこと?」頭には無数のクエスチョンマークが飛び交いました。

で、その「休憩」時間中に金森さんが明かした衝撃の(笑撃の)事実をこちらにも書き記しておきましょう。Noismの『ボレロ』と言えば、昨年(2023年)大晦日のジルベスターコンサートでの実演の記憶が新しいところですが、実はあのときの演奏は正味13分台という「ありえない速さ」(金森さん)だったのだと。リハーサルのときから速かったので、ゆっくり演奏して欲しいと伝えていたにも拘わらずで、「みんなめちゃめちゃ怒っていた」(笑)のだそう。気の毒!それを聞いた私たちは大爆笑でしたが。
確かにあの夜は亀井聖矢さんが弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番もそうでしたが、それもこれも指揮の原田慶太楼さんが「煽って仕掛けてきた」(亀井さん)ってことでしたね。…「お疲れ様でした」以外の言葉は出てきません。

それから今回のアクティングエリアの奥行きは「リノ4枚分」しかなくて、ジルベスターコンサートのときよりもめちゃめちゃ狭いため、横に展開しなければならないのだとも。

で、金森さんからそんな話を聞いていた10分後、(否、5分後くらいからだったでしょうか、)そこから13:30迄、私たちは、実に贅沢なことに、金森さんの「ダメ出し」からの、言うなれば、「ワーク・イン・プログレス」による作品の練り上げ過程をつぶさに目撃することになるのです。

「そこ、ノーアクセント。力入れ過ぎ」…「最初からお願い」…「それ、『3』の終わりじゃないの?」…「じゃあ、『2』の始まりから音ちょうだい」…「蹲踞のところなんだけど…」…「3個目で膝立ち」…「近づいてくるところ、足幅(注意)」…「『11』の始まりね」…「ちょっとやってみて」…「フードを脱ぐタイミングも」…「ああ、なるほどね」…「最後のところ見せて」…「ダウンステージ(=ステージ前方部分)で走るところ、結構急だけど、『さくすみ(庄島すみれさん・すみれさん)』はとりあえず走ればいい。ジャストだから」…等々、その臨場感ハンパなしだった訳で。

はたまた、とある場面では、「マテリアルのAとB」とか「女性はB・B、男性はC・A」や「BとB’(ダッシュ)に」などの言葉が飛び交い、カウントを唱えながら、色々試してみた末に、私たちの方に向き直った金森さんから、「どう、こっちの方が良くない?」とか訊かれたりしても、答えられませんって(笑)。でも、もうそれくらい特別な時間過ぎて、堪えられなかった私たちなのでした。

ここまでの全体の仕上がり具合(通し)を見ておいてから、その後、それがいささかの瑕疵も見逃さぬ鋭敏な手捌きをもって部品(要素の振り)にばらされると、数多の部品が繊細に再検討に付され、ヤスリがかけられ、注油されるように徐々にその精度を高めていく工程。見詰めた約1時間の興奮。その贅沢。

13:30、「OK!以上かな、ハイ。あとは現場でテンポを合わせて。じゃあ、ここまででございます。いつもご支援有難うございます」と金森さん。
ついで、金森さんから「挨拶の空気」を伝えられた井関さんが、「今シーズン、これ(サラダ音楽祭)が最後です。これが終われば夏休み。頑張ります」と語って予定された倍の時間たっぷり見せてもらったこの日の公開リハーサルが終わりました。

きたる9月15日(日)「サラダ音楽祭」メインコンサート(@東京芸術劇場)での一回限りの実演に向けて、更に更にブラッシュアップが続くものとの確信とともに、りゅーとぴあのスタジオBを後にしたような次第です。当日、ご覧になられる方々、どうぞ期待値MAXでお運びください♪

(shin)

8/31、渋谷のNHKホールで東京バレエ団「ダイヤモンド・セレブレーション」を観てきました。(サポーター レポート)

こちらは創立60周年を迎える東京バレエ団による記念の祝祭ガラ公演です。前年に全幕上演された金森穣さんの『かぐや姫』よりパ・ド・ドゥが上演されると知り、早々にチケットを手配し、当日をとても楽しみにしていました。

当日は台風10号の影響で東海道新幹線が運休するなど交通障害もあり、来場できなかった方も多くいらっしゃったようでした。しかし公演の時間帯は幸いにも天気は小康状態で、私はありがたいことに無事NHKホールに辿り着き、鑑賞することができました。

曇天でしたが、雨は降っていませんでした。
ホワイエにはお花が飾られていました。

ホワイエは綺麗なお花で装飾されていたり、これまでの海外公演のポスターが展示されていたりと華やかです。
ホワイエを一通り散策し、席に座ろうとホール内に入場すると、なんと前の席に金森さんと井関さんが座っておられます。びっくりして、お声掛けするか迷っているうちタイミングを逸してしまいました。「『めまい』おもしろかったです!」とお伝えすればよかったな、と思いました。

第1部『エチュード』はピアノ学習者にとっては『ツェルニー◯◯番』で有名なツェルニーの楽曲に振付られた作品です。初めて観ました。50分にも及ぶボリューム感の中に、バレエの華やかさや超絶技巧が散りばめられて圧巻でした!

そして金森さんの師、キリアン『ドリーム・タイム』から始まる第2部。
『ドリーム・タイム』の渋さに唸り、『ロミオとジュリエット』のパ・ド・ドゥに涙する素晴らしい上演でしたが、金森さんの『かぐや姫』について詳しく書きたいと思います。

金森さんの「『かぐや姫』よりパ・ド・ドゥ」は、今回のガラ公演では舞台装置は置かず、舞台上にはスポットで描かれた月のみありました。
ドビュッシーの『月の光』の音楽に合わせて、月をみて寂しがるかぐや姫を道児が慰め、徐々に2人が惹かれていく様子が感動的に描かれています。
初演のときはどうしても技巧的な面を注視して観ていたように記憶していますが、今日の2人からは心の動きがそのまま伝わってくるようでとても感動しました。そして結末を知っているからでしょうか、少し切なさも伝わってきました。
上演後の2人に会場は拍手喝采、1度目のカーテンコールでも拍手は鳴り止まず、もう一度カーテンに応えていました。

ちなみに前の席の金森さん井関さん、演目が終わるたび2人ともニコニコ言葉を交わしたりして、とても楽しんでおられる様子でした。
『かぐや姫』のクリエーションを通じて得た絆や仲間意識が続いているようで、みているこちらも楽しくなります。

第3部の『ボレロ』は鉄板演目で、何度観ても盛り上がります。
鳴り止まないカーテンコールに応え、1部2部に出演していたダンサー達、スタッフも登場し、客席も総立ちで祝福しました。

『ボレロ』は今月(9月)、サラダ音楽祭で金森さん振付の『ボレロ』、またベジャールバレエ団の『ボレロ』も観られますので、こちらも楽しみにしています。

パ・ド・ドゥだけでも『かぐや姫』を再び観ることができ嬉しかったと共に、近いうちにまた全幕で観たいなあ、と強く思った公演でした。

(かずぼ)

「きゃあ!あっちにもこっちにも♪」メディア登場ラッシュのNoismに嬉しい悲鳴♪

設立20周年の記念すべきシーズンのラスト、来週の「サラダ音楽祭」での『ボレロ』を前にして、このところのNoism Company Niigataはメディア登場ラッシュで、嬉しい悲鳴の「大渋滞」中♪

皆さんはそれら全てを追えているものと思いますが、こちらにもその「大渋滞」を纏めておきたいと思います。よろしければ、改めてご確認ください。

見逃し無料配信動画サービス「TVer」のTOKYO MX『アンコール!都響』#32 J.S.バッハ(マーラー編曲):管弦楽組曲より「序曲」「エア(アリア)」,ドヴォルザーク:スターバト・マーテル【配信期限あり・9/21(土)14:59まで】

2023年の「サラダ音楽祭」メインコンサートにおいて、J.S.バッハ(マーラー編曲)管弦楽曲より「エア(アリア)」を踊る金森さんと井関さんを観ることができます。
*8:15あたりで、メインコンサート映像の前説が始まり、おふたりのパフォーマンスについて、「その存在自体が美しい」「『美しい』の一言に尽きる」などと語られます。
*9:08頃より、今回の放送に向けての金森さんからのメッセージがあります。こちら、ご覧ください。


*10:06から「序曲」「アリア」が始まります。
*16:20頃、両袖から金森さんと井関さんが登場して「アリア」(17:47頃)に繋がっていきます。まさに「美しさの極み」です。配信終了まで何度も観ちゃいますよね。

NHK国際放送「ワールドジャパン」、「Direct Talk」での金森さんのインタビュー動画「Dancing into the Future」

15分に纏められたインタビュー自体、「稽古ism」Noismに関する奥深い内容が語られていて興味深いのは勿論ですが、途中にインサートされる欧州時代の若き金森さんの画像と動画はまさに「蔵出し」クラス!「喜びの舞」もので、必見です♪

③ 「新潟日報デジタルプラス」の連載記事(全4回)「新潟からの挑戦Noism(ノイズム)20年」です。
こちらでは、以下にX(旧twitter)「新潟日報ニュース」のポストへのリンクを貼らせていただきます。
【各記事の全文を読むためには、新潟日報パスポート(ID)の登録が必要となります。(新潟日報ご購読の方は無制限で利用できます。)】

〈1〉「国内初、そして唯一の公共劇場専属舞踊団…「りゅーとぴあ」から劇場文化をつくる」
〈2〉「財政難の新潟市が税金を投じる意義とは…存続問題浮上、文化的価値の評価は難しく」
〈3〉「地域に根ざした舞踊団になるには…アウトリーチやコラボに手応え、世代超えファン増やす」
〈4〉「金森穣さんが考える地方発信とは、井関佐和子さんの舞台への思いとは/インタビューで語る現在地」

Noismのこれまでを読み、新潟市のこれからを考える機会となる連載記事です。なかでも、「第4回」に出てくる新たなレジデンシャル制度における芸術監督の任期「1期5年、最大2期10年」という規定と金森さんの思いが気になるのは、この間ずっと変わりません。

…以上、今回は各メディアで「大渋滞」となっている昨今のNoism Comapny Niigataについて、「交通整理」を試みたつもりですが、「賞味期限」の早いもの(TVerの配信)から一つひとつ全てご覧頂きたいと思います。そして、更に支援に力を注いで参りましょう。

(shin)