20周年記念公演「Amomentof」記者発表に出席してきました♪

2024年4月19日(金)の新潟市は、雨こそ落ちてはこないものの曇天そのもので、薄着では肌寒く感じられるような一日でした。そんなお昼の時間帯(12:00~13:00)に、りゅーとぴあの〈スタジオA〉で開かれたNoism Company Niigata 20周年記念公演「Amomentof」の記者発表に出席してきました。

Noismの出席者は金森さん、井関さん、山田さん、そしてその後ろにNoism1及びNoism2全員の総勢25名。揃って居並ぶ様子は壮観でした。この日の会場には県内マスコミ各社が駆けつけていたほか、オンラインで約20社ほどの参加があったとのことです。
ここではその記者発表での様子についてご報告いたします。

☆井関佐和子さん(Noism 国際活動部門芸術監督): 今回の公演の意図と経緯
・新作2本(『Amomentof』『セレネ、あるいは黄昏の歌』)を上演。
・演出振付家の金森に依頼するにあたって、20年を通過点とみて、「蓄積」(=今までのもの)ではなく、飛躍のためにも、「蓄積」の次の一歩を、と思った。
・演出振付家への信頼、メンバーへの信頼とともに、観客への信頼がある。「次は何を作るんだろう」「それに観客はどう反応するんだろう」→金森には「何もテーマを決めることなく、今、現時点で作りたいものを作って欲しい」と依頼。→作品はほぼ仕上がりつつあるが、「20周年記念」に相応しいものになったと思っている。

★金森穣さん(Noism 芸術総監督): 今回の演出振付作品について
・芸術家は何もテーマがないところから創作は出来ない。必ず、そこには対象がある。
・『Amomentof』の対象は井関佐和子。その身体のなかにNoismの歴史がある。そしてマーラーの交響曲第3番第6楽章から感じる「舞踊とは何か」を井関佐和子という舞踊家を通して顕現させたいと思った。
・『セレネ、あるいは黄昏の歌』に関しては、現代の科学技術の進歩の恩恵は計り知れないが、それによって脅かされているもの、失われていくもの、忘れられているものがある。再び忘れてはならないものに向き合うきっかけを与えるものが芸術のひとつの力と考えている。「人間とは何か」ということを軸に集団として表現したい。また、『Amomentof』とも共通して、Noismとして蓄積してきた身体性が総動員されている。春夏秋冬、異なる身体性で創作している。

☆山田勇気さん(Noism 地域活動部門芸術監督): Noism2メンバー出演に関して
・研修生カンパニーNoism2は2009年に発足。地域の学校公演、地域のイヴェント等で活動している。今回は『Amomentof』に出演する。
・カンパニー全体としての層の厚さ、空間的な広がり、奥行き等を表現出来たら嬉しい。
・次の5年、次の10年、次の20年に向けて鼓舞したり、希望となるような公演にしたい。

★質疑応答:
【Q1】20周年を迎えてどんな思いか?
 -金森さん: 「A moment」、一瞬だった。20回、循環する四季の巡りを体験してきたが、ひとつとして同じ季節はなかった。時間の蓄積と多様性が大きな変化。20年ということに「節目」感はない。裏を返せば、毎日が節目。
 -井関さん: 現時点では、一瞬といえば一瞬だが、いろんな道のりがあった。この20年の歩みのなかで、この道しか自分を生かす道はないなと思った。この道を歩くというのをこの20年で定めた。

【Q2】公演に向けてここからどう進めていくのか?
 -金森さん: 作品としてラフスケッチは出来たが、更に練って練って試行錯誤。舞踊家の身体に入れていく。演出という行為は、そこにある空間・もの・気配などを活かすことではなくて、変容させること。それは振付も同様。舞踊家が変容していくさま。無自覚で潜在的な能力や才能、輝きみたいなものを引き出すために振付はある。そのためには時間もエネルギーも必要。我々のこのような環境でなければ辿り着けないもの。Noismにおける金森穣の舞台芸術は、金森穣のアイディア、コンセプトに基づいて生まれるものではあるが、ひとり残らず、参加するNoismの実演家たちによって生み出されるもの。そうした実演のされ方が重要。
 「どれだけの時間をかけてきたんだ、この人たちは」といったものを我々の舞台を通して感じて貰えるようでなければ、Noismとしての存在意義はないと思う。

【Q3】「一瞬の」と読める作品、もう少し説明して貰えないか?
 -金森さん: 20年前からずっとNoismを追ってくれている人たちにとっては涙がとまらないような作品になるかもしれない。極めて具体的にNoismの20年を想起させる演出をしている。一方、初めてNoismを観る人にとっても、舞踊芸術への昇華ぶりを目の当たりにして感動して貰える作品にしたい。

【Q4】改めて今、金森さんにとって、「舞踊とは何か」を聞かせて欲しい。
 -金森さん: 詩や音楽やあらゆる文化・芸術が生み出される前に、そして、我々が身体をもって生まれる限りにおいて、そこには既に舞踊がある。それだけ根源的な芸術こそが、「人間とは何か」を表現するのに最も相応しい、それが私の舞踊観。「人間とは何か」の問いは、どれだけ時代が変わり、社会が変容し、技術が発展したとしても問われ続けていくこと。そうした舞台芸術を新潟市という一地方自治体が文化政策として掲げていることの価値や意義には大きなものがある。生涯、命が尽きるまで舞踊と向き合っていく。「私を見てください。それが舞踊です」

【Q5】(メンバーへの質問)「20年」の歴史の節目に立ち会っている思いと公演への意気込みを聞かせて欲しい。
 -Noism1・三好さん(井関さんからの指名による): これまでの様々な人の顔が思い浮かび、プレッシャーに感じることもあるが、この一瞬にどれだけ同じような愛情を注げるか。今、自分が日本の劇場で働けていることは誇り。海外への憧れよりも、もっと素敵な「夢」を20年かけて作ってきてくれたという思いをのせて公演をよいものにしたい。

【Q6】ファンの人たちへの思いは?
 -金森さん: 感謝しかない。感謝という言葉では足りない。見て貰えなければ成立しないものだから。ただ、その人たちのためにやっているのではない。そのあわいを失すると芸術家として死んでしまう。物凄い感謝を感じつつ、背を向ける。その背中で愛を感じて欲しい。
 今、私が思っている未来は、このふたつの作品に全て込めている、それが今、演出家として言える全て。

【Q7】舞踊家・井関さんのどこに創作の源泉を感じるのか?
 -金森さん: 一舞踊家として様々な要素があるが、何より生き様とか献身する姿。これだけ舞踊芸術を信じ、献身する舞踊家を見て触発されない演出振付家はいないだろう。

【Q8】『セレネ』に関して、前作と今回作との関係性は?
 -金森さん: どちらも「セレネ」という役が出て来ること、イメージ的には前回は黒が基調の世界観に対して、今回は白と反転。(井関さんからの囁きがあって、)共通するのは儀式性。 

【Q9】『セレネ、あるいは黄昏の歌』、ヴィヴァルディを選んだ理由は?
 -金森さん: 四季の巡りのテーマからリサーチをした。最初にヒットしたのがヴィヴァルディだったが、「これは作品化できないなぁ」と思って、更にリサーチして、マックス・リヒターの編曲版と出会い、「これはいける」と感じた。
そのふたつの『四季』に関して、「何故この音楽には舞台空間が見えて、何故この音楽には見えないか」は本質的な問い。「この(創造の)能力は果たして何なのか、どこから来ているのか」、答えられる者はどこにもいないと思う。「見えた」ということ。

【Q10】井関さんの身体に蓄積された年月というアプローチには『夏の名残のバラ』もあったが、今回との違いなどあれば聞きたい
 -金森さん: そこは私の魂の同じ箇所から出てきている。過去作のなかで類似するものがあるとすれば、『夏の名残のバラ』だと昨日あたりから考えていたところ。しかし、今回は先にマーラーの音楽を舞踊化するというのがあり、その感動を表現するのに、井関佐和子を軸にしたアプローチをという発想。マーラーのあの崇高な音楽を聴いたときに、愛や献身や喜びや苦悩、「生きるとは何か」が迫ってくる。それを舞台上に顕現させる方法論として、井関佐和子という舞踊家が蓄積してきたものを舞台化することで、マーラーの音楽を自分なりに表現出来ると感じたということ。

…大体、そんな感じでしたでしょうか。その後に写真撮影がありました。

写真撮影をもちまして、この日の記者発表は終わりました。

以下に、Noismの広報スタッフより提供して頂いた「公式」画像をアップさせて頂きます。ご覧ください。(どうも有難うございました。)

最後に、この日の記者発表の席上、スタッフの方から『セレネ、あるいは黄昏の歌』の公開リハーサルが来月あること、そして、金森さんからは、その前作『セレネ、あるいはマレビトの歌』の再演予定もある旨、語られたことも記しておきたいと思います。

そして、テレビ各局の報道に関してですが、私が確認した限りでは、NHK新潟放送局が同日夕刻の「新潟ニュース610」内において、この記者発表を取り上げていました。そちら、一週間、NHKプラスで見ることが出来ますから、是非。おっと、同じものがもっと簡便に、こちらからもご覧いただけます。NHKの「新潟 NEWS WEB」です。どうぞ♪
あと、他局の放送、及び各紙誌の掲載が楽しみです。

それでは以上をもって、この日の記者発表報告とさせて頂きます。

(photos: aqua & shin)
(shin)

NHK新潟放送局「新潟の挑戦者たち」に金森さん&Noism登場♪(2024/04/17)

2024年4月17日(水)、NHK新潟放送局、夕方のローカルニュース番組「新潟ニュース610」中の「新潟の挑戦者たち」に金森さんとNoismが取り上げられたことは、皆様、ご存じのことと思います。無事ご覧になられましたか。

NHKプラスには「見逃し配信」がありますので、「新潟ニュース610」を検索して、「4/17(水)午後6:10」分をご覧ください。(放送後1週間視聴可能。)金森さんとNoismが登場するこの日の「新潟の挑戦者たち」は画面左上の表示時刻で「6:33」~「6:39」(動画の23:40~29:50)あたりとなります。

俳優・渡辺謙さんの「ふるさと新潟が元気になる、そのヒントを探ります」の言葉に始まり、男性キャスター(木花牧雄さん)が「地方が活性化するためには地域独自の文化が必要」とする金森さんの言葉が紹介され、コーナーが始まりました。

以下に金森さんが語った言葉を(かいつまんで)紹介していこうと思います。

「舞踊の場合は非言語。“ことば”に類型化される前の表現」
「舞踊は音楽よりも、詩よりも先に誕生している文化」
「人間が人間であること、人間たらしめている文化だと思う」

「地方にはまだ時間も場所もある。それは文化を醸成する上ではすごく必要なこと」
「ましてわれわれが志しているような独自の身体表現を生み出そうと思ったら、体と向き合って毎日毎日稽古を続けて、すごい時間をかけなければいけない」

「劇場がその地域だけで消費されるものではなくて、もっと交流を生むものだし、『世界とつながる場所なんだ』『いち地方自治体が世界とつながれる場所なんだ』という認識をこの国に根づかせたい」

「20年新潟に住んで、皆さんとともに作ってきたこの道をどうしたら未来につないで、さらに豊かに広げていけるか、皆さんで考えていただきたい」

「あなたにとって挑戦とは?」(渡辺謙さん)に対して、金森さんはズバリ「命をかけるにつきますね」!
続けて、「日本に観光に行くんだったら、絶対、新潟に行って、りゅーとぴあに行って、Noismを見たほうがよいと言う観光客がどんどん増えてくるようなね」と。

「劇場文化あるいは生のライブパフォーマンスの醍醐味ってまさに皮膚で感じること」
「情報技術がどんどん非身体化していけば非身体化していくほど、“この身体とは何か”を通して“人間とは何か”と向き合うこの劇場文化はこれからより重要になってくる」

そうした金森さんの言葉たちを受けて、
女性キャスター(石井由貴さん): 「いやあ、『命をかける』とおっしゃっていましたが、こうした熱い思いを持っている方が新潟にいらっしゃるってことがとても嬉しいですし、楽しみですよね」
木花牧雄さん: 「それにしても、舞踊の世界というのは奥が深いですよね。舞踊によって、新潟がどう変わっていくのか、これからの挑戦も楽しみですね」
石井由貴さん: 「はい、期待したいです」

6分程度のさして長い尺ではありませんでしたが、いつもながらの濃い中身でした。

石井さん同様、多くの方が「命をかける」の覚悟に胸を打たれた筈ですよね。金森さん、やはり、余人をもって代え難い類稀なる「芸術総監督」です。「新潟の宝」であり、「新潟の誇り」、私たちも負けずに熱い思いを持って、現在のこの一瞬一瞬、金森さんと同じ夢を見ながら伴走していかなきゃいけませんね。そんな思いを強くしました。よい夕方のひとときでした。

(shin)

Noismの更なるPRを求めた「市長への手紙」と文化政策課からの返事

本ブログのコメント欄にて触れましたとおり、過日(2024/3/26)、新潟市HP内の「市長への手紙」により、Noismの更なるPRに関するアイディアを送信しておりました。

そして時をおかず、本日(2024/4/1)、担当部署からのお返事ということで、文化政策課の職員の方からお電話を頂き、「手紙」の内容を元にやりとりする機会を持ちました。今回はそれらのご報告をさせて頂こうと思います。

□「市長への手紙」(2024/3/26)抜粋□
…新潟市には新たに更なる(Noismの)PRの実施をお願いしたいと思います。手始めに次のようなものを考えました。

(1)まずはJR新潟駅構内に新装なった「観光案内センター」でのPRです。そこは「政令市にふさわしい情報発信基地」と位置づけられる施設で、大型デジタルサイネージなども目を惹く、「新潟の美しい景観や歴史、文化、食などの映像メッセージなどを映し出し、新潟の魅力を発信」するものとされています。そうした新潟市の「魅力」の一端を形作るコンテンツとして、充分、Noismは取り上げられてしかるべきであると信じるものです。市内外の多くの人の目に触れるように、同所にポスターを貼り、公演チラシ等を置くことを(手始めに)提案したいと思います。

(2)そして、常時、掲示しておくのに自然なアイテムとして、各公演ポスターとは別に、毎年、各シーズンを通してのNoism Company Niigataポスターを一枚「シンボル」として作成し、新潟市役所と各区役所、「玄関口」である新潟駅(勿論、件の観光案内センターにも)や新潟空港等、市内各所に一年を通して貼っておくというのは如何なものでしょうか。

新潟市がこれまで、当然「排他的に」抱えてきたNoismという文化資源を市内外に向けて、これまで以上に広く発信することで、未だ想像もできないような新たな展開も期待できるかもしれない、そう感じているのは決して私ひとりではないと思います。そして、上のような取り組みであるならば、それほど元手もかからず、さして難しいことにも思われませんが、一方、その効果は小さくないのでは、そう思うのです。

(Noismを活用する方途を探るためにも、)外に向けて、PRという「仕掛け」をして、新たな好循環の種を蒔いていくことが必要だと思うものです。是非、前向きにご検討ください。…

◇文化政策課からの返事(電話でのやりとり要旨)ほか(2024/4/1)◇
こちらが例示したNoismのPRに関する提起が意味するところを、一定程度、評価して頂いた様子で、「市としてできること」があれば取り組んでいきたいとのお答えでした。

「手紙」に盛り込んだアイディアは、あくまでも、「例」に過ぎないとの認識を共有しながら、「市としてできること」を考えていきたいとおっしゃってくださいました。

(1)新潟市は、JR新潟駅に上記観光案内センターのほか、市の掲示板も有しているので、それも有効に使えたら、ともお話しされていましたし、
(2)例えば、シーズンポスターなどとなれば、市だけでなく、りゅーとぴあとも相談しながらやっていくことになるとも。

いずれにしましても、全般において、寄せられた前向きな提起に対して、歓迎の気持ちが認められる、そんなやりとりが出来たものと思っています。

具体的に「いつまでに何を」ということではなく、そして、ある時、何かが劇的に変わるということでもないとしながらも、市として、アイディアを受け止めたうえで、できることを検討し、取り組んでいくことで、「街を歩いていたら、あのアイディアがこうして活かされている」と感じて貰えるようにしたいという言い方をして頂きました。

加えて、本ブログも見て頂いているとのことでしたし、この度の「市長への手紙」に繋がる新潟日報朝刊「窓」への投書にも目を通されていました。そんな諸々から、やはり、機会を捉えて「地道」に声にして、届けていくことの重要性を再確認したような次第です。

これからの新潟市の具体的な取り組み(真のレスポンス)を期待感をもって待ちたいと思います。

以上、「市長への手紙」に関するご報告をさせて頂きました。

(shin)

「纏うNoism」#10:太田菜月さん

メール取材日:2024/03/20(Wed.)& 3/24(Sun.)

春彼岸にあってさえ、雪など降ったりするあり得ない天候が続きましたが、それも昨日3/24(日)朝の「全米桜祭りオープニングセレモニー」が春を運んできてくれたかのように、本来のこの季節らしさに戻ろうとしています。
皆さま、如何お過ごしでしょうか。既に Noism Company Niigata 20周年記念公演「Amomentof」のチケットもおさえて、日々期待に胸を膨らませていることと思います。そんななか、ここにお届けするのは「纏うNoism」の10回目、太田菜月さんのご登場です。画像もたくさんご紹介しながら、太田菜月さんに迫っていけたらと思います。

「自分に似合う色が、いちばんいい色なのだ」(ココ・シャネル)

それでは「纏う」太田菜月さん、お楽しみください。

纏う1: 稽古着の太田さん

 *おお、ほぼ黒一色でシンプルな装い。余計なものは何も持ち込まず、気持ちが入った感じですね。ええっと、この日の稽古着について教えてください。

 太田さん「リハーサル中は、基本タンクトップを着用しています。以前は、よくTシャツを着ていたのですが、暑がりなので袖をよく肩まで捲り上げてしまっていたので、タンクトップを着るようになりました。 朝のクラスでは、冷えないようにヒートテックを着ています。ズボンはメーカーにはこだわっていないのですが、なるべく重すぎないものを着ています。あとは、よく膝下が出るように裾をまくっています」

 *右足の裾がまくられ、肌が覗いているのがアクセントになってますね。素敵です。

 *4枚の画像に共通している「黒」について伺います。稽古着に「黒」を選ばれることは多いのでしょうか。また、「黒」を選ばれる理由などあれば、教えてください。

 太田さん「黒を選ぶ理由として単純に私自身が、黒色が好きということもあるのですが、汗かきなので、汗の色がうつりにくいというのが一つと、黒色を着ることによって、身も心も引き締まる気がして、『今からリハーサル頑張るぞ』とマインドチェンジする為に、選んでいます。 その代わり朝のバレエクラスでは、赤、青、ピンクや紫のカラフルなレオタードを着ていることが多いです」

 *なるほどです。その時々の意味合いに応じて色を選ばれているのですね。色がそれを纏う人の気持ちに対して与える効果には大きなものがありますからね。朝に着るカラフルな色は気分をあげてくれますよね、絶対。

 *3枚目・4枚目に着ておられるダウンベストはどちらの製品になりますか。そして、「名入れ」サービスも特注なのでしょうか。

 太田さん「出身のバレエ教室で頂いたものです。 UNIQLOのもので名入れサービスしたものを頂きました」

 *そうなのですね。それは思い出深い物ですね。いつも見守られていたり、励まされていたりする感覚もあるのでしょうし。ある意味「原点」みたいな。この先も大事に着続けていくことになりますね。

 *次は稽古着に関して「お約束」の質問です。お好みの靴下などありますか。お気に入りポイントも教えてください。

 太田さん「靴下のブランドに全くこだわりはないんです(笑)。ただ直ぐに破いてしまうので、できるだけ枚数が多いH&Mなどで購入する事が多いです」

 *おお、ここまでの連載で初めて出てきました、H&M。あそこ、お洒落な感じですよね、全体的に。今度、見に行こうと思います。

纏う2: 太田さん思い出の舞台衣裳

 *これまでの舞踊人生で大事にしている衣裳と舞台の思い出について教えてください。

 太田さん「これはバレエ学校時代の公演で、Matthew Bourne振り付けの『Sleeping Beauty』 のFeralという妖精のソロを踊った時の衣裳です。(曲はカナリヤの精)
この作品を踊ったことがきっかけで、私がコンテンポラリーに出会い、のめり込んで行きました。 人生で初めてカツラと羽を付けて踊りました」

 *それは英国の「Central School of Ballet」時代のことでしょうか。在学期間のなかで、いつ頃の公演だったのでしょうか。

 太田さん「Central School of Balletには、2年間しか在学していなかったのですが、 最終学年(3年生)の時に、半年間ほど(3月から7月の5ヶ月)イギリスを周るツアー公演をしていた際にパフォームしました。

 *おお、大掛かりなツアーなのでしたね。で、ワタクシ、不勉強なもので、お訊きするのですが、その「Feralという妖精のソロ」について、もう少し教えてください。

 太田さん「Feralとは動物的な妖精で、ソロ自体は40秒にも満たない短い作品なのですが、終始飛び回っています(笑)。私の性格にぴったりのソロでした。 よくカナリアの精のVA(ヴァリエーション)として知られているのですが、わかりやすく言うと、子供っぽくおしゃべりなキャラクターです(笑)。

 *そうなのですね。’feral’って語は「野生の」という意味ですものね。なるほど。有難うございました。画像からだけでもチャーミングな様子はビンビン伝わってきます。

 *この作品がきっかけとなって、コンテンポラリーに出会い、のめり込んでいったとのことですが、「コンテンポラリー」のどこに惹きつけられたのかお聞かせください。

 太田さん「この作品は、古典バレエとストーリーが一緒だったのですが、身体の使い方が今までやってきたバレエとは違い、型にハマらず、より表現出来る方法や幅が広がった事で、自分を解放できた感じがした事に魅力を感じました」

 *ふむふむ、表現の新しい扉が開いたって感じだったのですね。大きなきっかけになったって訳ですね。

纏う3: 太田さんにとって印象深いNoismの衣裳

 *Noismの公演で最も印象に残っている衣裳とその舞台の思い出を教えてください。

 太田さん「2022年のNoism2定期公演vol.13で着た『火の鳥』の少年役の衣裳です。 デザインはとてもシンプルなのですが、私にとっての辛い経験や楽しい思い出など全てが詰まっている思い出深い衣裳です。今見てもあの時の感情が蘇って涙が出ます…」

 *あの『火の鳥』の少年役、素晴らしかったです。で、その衣裳に関して、蘇ってくる「辛い経験や楽しい思い出」、差し支えない範囲でどんなことか教えて頂けますか。ホント差し支えない範囲で結構なのですが…。

 太田さん「ありがとうございます。 裏話を言うと、本番3週間前に肋骨を怪我してしまって、Bキャスト(少年:太田菜月・火の鳥:土屋景衣子)は、しばらく練習できなかった期間があったんです。Noismに入って、1年目だったということもあり、迷惑をかけてはいけないと焦ってしまい辛かったです。本番直前までサポーターをつけながら練習していました。 でも最終公演日、舞台上で感情が爆発し、今までの辛い経験など全てを忘れて、ただひたすら舞台上で踊っている喜びに浸り込み、少年として存在した楽しかったあの瞬間がこの衣裳に残っているように、私には見えるんです」

 *えっ!そうだったのですね。実演家は舞台上だけで勝負するものとはいえ、お話を聞いて、私も涙が出そうです。燃えるような熱い思いが、あたかも舞台上で翼を得たかのように、踊る身体から余すところなく迸り出て、それが観る者の心を揺さぶったのですね。文字通り、入魂の舞台だったのだと…。今にして納得です。そのあたり、詳しく聞かせて頂き、有難うございました。

 *Noism Web Siteへのリンクを貼ります。
2022年5月のNoism2「ディアギレフ生誕150周年記念『火の鳥』」画像となります。太田さんが「少年」役を踊ったのは2日目でした。

纏う4: 普段着の太田さん

 

 *この日のポイントと普段着のこだわりを教えてください。

 太田さん「この時は地元の友達が新潟に遊びに来てくれていたので海での写真です。 よくZARAで服を買うのですが、このアウターもZARAで購入しました。 因みに私の弟も色違いを持っています(笑)。 パンツはどこのかわからないのですが、母のものをこっそり貰ってきました! 足のサイズが大きい方で、靴屋さんに行ってもなかなか良いものに出会えないので、よくZARAやGUでブーツを購入します」

 *ZARA! 私がそのブランド名で思い出すのは、庵野秀明『シン・ゴジラ』(2016)。米国大統領特使として日本に派遣されたカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)の「ZARAはどこ?」という台詞なのですが、こちらのファッションブランド、発祥はスペインってことのようで、「a(あ)」という母音で終わる開音節のネーミングも理解できようというものです。それはそれとして…

 *こちらの2枚も「黒」ベースで素敵にまとめられていますが、普段着も「黒」っぽいものを多く選ばれているのでしょうか。

 太田さん「この日は、たまたま暗い色にまとまっているのですが、冬は、セーターなどは、かなりはっきりとした色の物を着ています。青や黄緑色もよく着ています。 タートルネックを着る時は、黒色の方が、顔が映えるので、濃いメイクをしたりして、アクセントを入れるようにしています」

 *有難うございます。ちょっと細かいことをお訊きします。首に巻かれているのはスヌードとお見受けしますが、太田さんはスヌード派ですか、マフラー派ですか。それとも「二刀流」ですか。

 太田さん「りゅーとぴあに行く際は、基本マフラーを愛用しています。マフラーの方が橋を渡る際に、風をよりブロック出来ている気がします(笑)。ただ、マフラーはチェック柄のものしか持ってないので、このアウターに合わせる時は、基本このスヌード使っています。なので、二刀流ですね」

 *なるほど。風、冷たいですものね。あと、この日のアウターは厚手のシャツコートという理解でよいでしょうか。

 太田さん「はい!」

 *「赤」のチェックも映えて、とても素敵です。因みに、弟さんはどんな色を選ばれたのですか。また、弟さんとは服の好みは似ていたりするのですか。

 太田さん「 弟は白ベースの物を選んでいました。 姉弟で服の好みは違いますね。弟は、ちゃんとコーディネートしていたり、ブランドや生地にもこだわっているみたいなのですが、姉の私はかなり無頓着なので…(笑) 学ばないとです」

 *貪欲だ(笑)。ここもで色々、細かく突っ込んじゃいましたが、丁寧にお答え頂き、有難うございました。

 太田さんからもサポーターズの皆さまにメッセージを頂いています。

■サポーターズの皆さまへのメッセージ

「いつもあたたかな応援をして下さり、ありがとうございます。皆様の素敵なエネルギーを受け、私も毎日頑張ることができています。これからも感謝の気持ちを忘れずに、良い舞台をお届けできるよう精進して参りますので、どうぞよろしくお願い致します」

ということで、「纏うNoism」第10回、太田菜月さんの回はここまでとなります。

これまで、当ブログでご紹介した太田さんの次の記事も併せてご覧ください。

 「私がダンスをはじめた頃」#23(太田菜月さん)

太田さんには、この先、糸川祐希さんともども、「ランチのNoism」へのご登場予定もあります。そちらもご期待ください。

「纏うNoism」太田菜月さんの回、お楽しみ頂けましたでしょうか。では、また次回♪

(shin)

速報!全米桜祭り(YouTubeライヴ配信)

2024年3月24日(日)朝、全米桜祭りのオープニングセレモニーの模様がYouTubeで生配信されました。皆さん、ご覧になられたことと思います。早起きした甲斐がありましたね。えっ、朝6時なら「早起き」ってほどのこともない?まあ、それはおいておくことにして、華やかなセレモニーの様子は見ているだけで気持ちも華やぐものがありました。

で、その様子は既にアーカイヴとしてYouTubeにあがっておりますので、見逃してしまわれた方、そしてまたご覧になられたい方は、下のリンクもご利用ください。
(下のXのポスト画像中の2行目、「Livestream:」の後ろに続く青い文字列がYouTubeへのリンクとなります。)

全編(1:52:59)ご覧いただけますが、ここでは金森さん関連のメモを記しておきます。
(1)金森さん振付・ワシントンバレエによる『SAKURA』(ワールドプレミア!)は開始50分頃に、金森さんのプロフィールの紹介から始まり、そこから約10分間のパフォーマンスとなります。その後、所謂カーテンコールがあり、金森さんも舞台に立ちます。(その間、少し音声が乱れた箇所があります。カーテンコールでの盛大な拍手は各自、心でお聞きください。)
(2)更に、金森さんは、このセレモニーの終わりの部分(約1時間50分くらいのところ)で、司会者から促されて、6人のダンサー、そして森山直太朗さんと一緒に舞台に戻り、会場の拍手に応える場面もあります。

で、『SAKURA』です。まさに「日出ずる国」からの贈り物。芽吹きにはじまり、歓びの桜前線が北上し、内面の変容を経て、やがて満開の華やぎへ。そして美しく散る花びらとしっかり大地に根付く木。そうした全てが、幾分現代的に響くヴィヴァルディに乗ることで、桜が贈られた1912年から今日までの時間も凝縮して感じさせながら、繊細に可視化されていきます。儚さが永遠の相のもとに結晶化されていきました。冒頭から幕切れまで、そのどこをとっても、私たちが愛する「金森印」に溢れた小品でした。

更に、踊る6人(男女3人ずつ)のダンサーのうち、女性3人がそれぞれ、Ms. Ayano Kimura、Ms. Tamako Miyazaki、Ms. Maki Onukiとの日本名の方々であり、(森山直太朗さんも『さくら(独唱)』を歌う前のトークで触れた、)両国間の「架け橋」を感じさせます。

また、最初に幾つもの和楽器を用いてパフォーマンスを行ったKaoru Watanabeさんは、アメリカ生まれの現代音楽の作曲家とのことですが、10年間、佐渡の太鼓芸能集団「鼓童」で演奏家・演出家として活動されていたとのことですから、それはもう、同様な意味合いでの「架け橋」であるだけでなく、金森さんとの奇縁を感じさせるものがあったりもします。

“May cherry blossoms and music and dance, all arts, entertainments always be the ‘kakehashi’ ( you know, ‘kakehashi’ is the bridge ), the bridge in each of our hearts. Thank you very much.”(Naotaro Moriyama)
「桜の花が、音楽とダンスが、そして全てのアートとエンターテインメントが、常に私たちそれぞれの心の「架け橋」でありますように。」(森山直太朗)

「新潟の誇り」にして「新潟の宝」の金森さん、そんなそんな、この日のこれ観ちゃうと、もうそれどころではありませんね。既に「日本の誇り」にして「日本の宝」であることを再認識させられました。実に誇らしい気持ちで、この先もますます応援させて頂きます、と。

そんなふうに、一足早い「春爛漫」を満喫した日曜日の朝の、晴れた春の日曜日の朝のひとときでした。

(shin)

地元紙・新潟日報朝刊「窓」欄に掲載して頂きました。

2024年3月22日(金)は、前夜から舞う雪が家々の屋根を白くする寒い朝。そんな日の地元紙・新潟日報朝刊の「窓」欄に、「市はノイズムPRに力を」というタイトルで投書を掲載して頂きました。こちらでもご紹介させて貰いながら、若干の補足などさせて頂きたいと思います。

2024年3月22日新潟日報朝刊「窓」欄より

* 上の拙文中にて触れさせて貰った「2月の市長定例記者会見」ですが、市のHPに掲載されている「令和6年度当初予算案について」の「質疑応答」部分の後半に、朝日新聞の記者からの質問を受けるかたちでの中原市長の答弁として読むことができます。


こちらにそれに関する「市のホームページ」へのリンクを貼りますので、よろしければご覧ください。

** つづいて、掲載して頂いた拙文の最後の方に出てくる「リニューアルした(新潟)市観光案内センター」についてですが、ここでは、まず、それを紹介する「にいがた経済新聞」の「にい経NEWS」動画(YouTube)へのリンクなどもご覧いただけたらと思います。

約60年ぶりの大規模改修となったJR新潟駅の2F在来線東改札口の正面にそれはあります。動画にもありますように、中原市長は「政令市にふさわしい情報発信基地」と位置づける施設で、そこに設置された高さ3m・横幅2.5mの3面LEDパネルの大型デジタルサイネージが行き交う人々の目を惹きます。それはまた、「新潟の美しい景観や歴史、文化、食などの映像メッセージなどを映し出し、新潟の魅力を発信します」とも紹介されています。

たまたま、昨日(3/21)、同施設に足を運ぶ機会があり、実際に自分の目で見てきました。壁面には、新潟市および他地区のパンフレットやイベントのチラシ等が並んでいたのですが、残念なことにNoism Company Niigataに関するものはありませんでした。

観光センターという性格上、「その日」新潟市を訪れた観光客に対して「その日」の情報提供が主になることは理解できます。実際、昨日も常駐するスタッフに、「これから佐渡への日帰りは可能か」「荷物を預けておいての佐渡行きは出来るか」等々を尋ねている人をお見かけしました。

しかし、私には観光センターが「その日」の対応をするだけで充分だとは思えません。それは、はからずも、件の「大型デジタルサイネージ」に映し出される「新潟の美しい景観」の映像が端的にそのあたりのことを証し立てているように思います。色鮮やかな映像には咲き誇る花々や白い雪の美しさが魅力的に発信されています。ですが、それらは、当然なことに、「その日」の新潟市訪問にとって、「無縁」といえば「無縁」なものかもしれません。しかし、新潟市の「ポテンシャル」を紹介するそれらの映像は、充分、映像が映し出した「その時期」の新潟市を再訪したいと思うきっかけにはなることでしょう。

それと同じ意味で、(一般的な感覚で、公演の時期限定のものと捉えられることがあってさえ、)新潟市の「ポテンシャル」の一環を形作るコンテンツとして、Noismは充分に機能すると信じるものです。その機能を発動させるためにやることと言えば、まず、ポスターを貼り、公演チラシ等を置くことだけなのですから、(恐らく)元手もかかりません。

今そこから始めるなら、早晩、スタッフに「今はNoismの公演はやっていないのか」などと尋ねる人々も出てくるでしょうし、それを経て、遂には、Noismの公演時期に、市外からも多くの観光客が、そのまま公演の観客として訪れて来るコンテンポラリーダンスの一大「メッカ」となっていく新潟市…そんな展開。決して「夢」とばかりは思えないのです、私には。まず初手としてやるべきは、そうした「仕掛け」を、「プラットフォーム」を用意することなのです。(恐らく)元手はかからないでしょうから。新潟市が排他的に抱えてきたNoismという文化資源を市内外に向けて広く発信することで、未だ想像もできないような新たな展開すら期待できるかもしれない、そう感じているのは決して私ひとりではない筈です。

…そんな思いを込めてあのような拙文を綴ってみたような次第です。最後までお読み頂き、有難うございました。感謝です。

(shin)

そして挑戦はつづく:Noism2定期公演vol.15千穐楽

2024年3月3日(日)、前夜から降った雪は、もうこの時期(「桃の節句」)ですから、ほぼ予期し得なかったほど迄に自動車のルーフに積もっていたのですが、それも徐々に寒気が緩むにつれて、溶けていってくれて、ホッと胸を撫で下ろしました。
この日、Noism2定期公演vol.15も「マチソワ」の2公演。で、他にもりゅーとぴあでのイヴェントが目白押しだったため、「マチネ」の頃には既に駐車場が激混みの満車状態になっていたようでした。幸い、私が「ソワレ」を観に行くときには、駐車場はかなり空いていて、その意味でも重ねてホッとしたような次第です。

そして18時、千穐楽の最終公演の幕があがりました。「Noismレパートリー」のはじまりです。繰り出される電子音のシャープなビート、そしてビート。この日のこの時間、スタジオBの舞台に立った13人は揃って、全5公演のラストの舞台を、それぞれの体内からあらん限りのエネルギーを引っ張り出し、それを発散させ、生命力を漲らせて、躍動感たっぷりにビートと一体化して踊っていきます。その姿は前日の「ソワレ」とも格段に違っていました。
ひとつ、彼らの足を例に書きます。それが私たちの身体の下方、二股に割れるありふれた下肢には見えて来ずに、ある時は鞭のようなしなやかさを備えた、またある時は一切の動きを拒絶するかのような、そんな何か新種の身体部位に見え、単にビートに乗った動きを可視化して示すためだけの(実用性が云々されることなどない)「道具」といったあり方で目に映じる、そんな瞬間に出会ったのです。そのとき、目にしたものは、私たちが自分たちの身体として、当然に、その使い方を知る身体とは全く別物の、まさに「Noism的な」張りのある身体です。メタモルフォーゼ、紛れもなく。そのことにとても興奮しました。
ですから、ラストの『R.O.O.M.』からの抜粋に至って、「生贄」の一語を思い浮かべることになりました。観客の見詰める目にとっての13人の「生贄」。それは「Noism的な」語彙に属するもののひとつです。上方に両手を伸ばして静止した13人のシルエットを祝福したい気持ちになりました。

休憩後は中尾さん振付演出の『水槽の中の仮面』です。見終えたとき、これで見納めかと思うと残念な気持ちになりました。不穏にして、美しく、激しくて、優しく、一貫して瑞々しくて、リリシズム溢れる…そんな作品、そしてそれを踊るメンバーたち。
前日のアフタートークに急遽、登壇した振付家が語ったところによれば、ダンサーに示された振りは「予め決めることをせず、その場で一緒に音楽を聴きながら、その場で作られていった」とのこと。とするなら、作られた振りそのものには、その場の空気感のみならず、必ずやそのダンサーの個性(やそのダンサーへの期待)も反映されていたことになる筈で、であるならば、『水槽の中の仮面』は、間違いなく、それ自体、振付家から12人のダンサーたちへの「贈り物」という性格を持つ作品であることは言を俟たないでしょう。
例えて言えば、大きめサイズながら、フルオーダーで誂えられた洋服(人はそれを「宝物」と呼ぶだろう)が、徐々に身体に馴染んできているのに、(否、逆に、少しずつその洋服が似合うようになって、「映える」ようになってきているのに、そう言うべきか、)もう見納めなのか、そんな塩梅だった訳です。

中尾さん作品終演後、観客全員が大きな拍手を贈り、スタンディングオベーションを捧げる人々も見られました。実に幸福な時間でした。

スタジオBは速攻、「ばらし」が入るため、この日のアフタートークはホワイエで行われました。その様子もご紹介しましょう。

*感想・今の気持ち
中尾さん: 次の作品を早く作りたい。純粋に次を新しくゼロから作りたい。それはご飯を食べたいと思う気持ちに似ている。
山田さん: 今回の作品、満足していますか。
中尾さん: 彼女たちが見せてくれた景色に満足している部分もあるが、もっと出来たかなぁという部分もある。しかし、一期一会。貴重なものになった。
山田さん: 今の洸太と今のメンバーでしか出来ないものだった。

*中尾さん作品の衣裳について
中尾さん: 裏表、前後で着ている。作品が出来上がってから、衣裳さんにイメージや色をざっくり伝えて作って貰った。衣裳が届いてみると、「S」とか「A」みたいな墨のような文字が入っていてびっくりした。

*「Noismレパートリー」に関して
山田さん: 今回、金森さんの初期の作品で電子音楽による、シャープで張りのある踊りのものから選んだ。キャスティングは難しいのだが、彼ら自身もわかっていない彼らがいるので、これをやらせた方がいいな、とか考えてキャスティングした。

*中尾さんが好きなジブリ作品ほか、映画に関して(←初日のアフタートークのなかで、「宮崎駿」という名前に言及があったことから)
中尾さん: 『風立ちぬ』『天空の城ラピュタ』『紅の豚』。穣さんには「っぽいなぁ」と言われた。ひとつのシーンが好きになって、作品が好きになるということがあり、この3作品にはそういうシーンが多い。
山田さん: 自分は『紅の豚』と『崖の上のポニョ』。絵と勢いが好み。自分にも「絵が好きで」っていう作品がある。「長くて」、絶対寝てしまうんだけど。(それはアッバス・キアロスタミ『そして人生はつづく』だそう。)
山田さん: 洸太の作品には、ただ舞踊からだけじゃない動きを感じたりする。映画からの影響はあるか。
中尾さん: 映画からの影響の自覚はない。絵や音楽の影響が大きい。それもシンプルなものに惹かれる。草原に一本の木とか。

*一年目のメンバーに関して
山田さん: 今回、フランス、アメリカ、台湾から新潟市に移り住んだメンバーがいる。Noismという環境だけでも大変なのに、相当大変だったろうが、無事に今日を終えて、ホッとしている。雪や地震もあって、本当にびっくりして、不安だったことだろうが、踊りにしか逃げ場はない。踊りに集中して乗り越えてくれた。

*今の中尾さんにとって踊ること、振り付けること
中尾さん: 今は作る方に気持ちが向かっている。このクリエイションから公演の期間中、踊りたい欲がどんどん溜まってきているのを感じるが、ギリギリ作りたい気持ちが強い。


*水槽の中に仮面を入れる意味は
中尾さん: 水槽は、ある種の枠だったり、ひいて見ると惑星だったり。女性、球体、赤ちゃんが生まれるお腹のなかだったり。「生前(=生まれる前)」と思って作り始めた。
今だから話すと、仮面をつけている側が「心」で、心を制するようにいるのが「脳」。犬を連れたり、相手を踏んだりは「脳」が「心」を制している動き。バランスがとれているのか、いないのか。
仮面を枠の中に押し込んで、生まれる前に僕らの「心」ができ、ひとりの人が生まれる…。

…と、そんなお話だったかと。

「新しい振付家のデビューに立ち会えて嬉しかった」と山田さん。最後に、「20周年記念公演『Amomentof』に来てください」の一言で楽日のアフタートークは締め括られ、同時に、刺激的なまでの3日間の「目撃」は幕となりました。

たとえ、この日の高揚感がどんなに大きかったにせよ、ひとつ確かなこと。B’zではありませんが、(彼らの)ゴールはここじゃない。むしろ、まだ始まったばかり。そして挑戦はつづく。応援するこちらも楽しみはつづく…。
そんなことを思いながら、りゅーとぴあを後にしました。

(shin)

Noism2定期公演vol.15:「舞踊家として悩む中日」(中尾さん)を体験した13人とそれを見詰めた観客

2024年3月2日(土)の新潟市は、雪は舞うは、道路は凍りつくはで、まさに冬に逆戻りでもしたかのような一日。3月だというのに。
前日に幕があがっていたNoism2定期公演vol.15は、この日、14時からと18時からの2公演がある「マチソワ」の日だったのですが、その両方の舞台を目撃してきました。そう、まさに「目撃」の一日でした。

まずは踊られた2つの演目に関して、感じた事柄を書くことから始めようと思います。

最初は金森さんの振付で、山田さんによる構成の「Noismレパートリー」からです。今回は電子音やノイズの中で踊られる作品(『R.O.O.M.』『sense-datum』『no・mad・ic project – 7 fragments in memory』)からの抜粋なのですが、最初の一音が響いたその一瞬から、極めて「Noism的な」と言う他ない動きへの、13人の挑戦が始まることになります。それは、舞踊家が苦しければ苦しいほど、観客は気分があがってくるといった嗜虐的な時間です。しかし、エッジの効いた早いビートに乗るだけでは不充分であり、更に、その向こうに、踊る舞踊家その人でしかないものが見えてこなければなりません。課せられたそんな極めて高いハードルに対して、多くの視線を浴びるなか、アドレナリンを出しつつも、「離見の見」をもちつつ挑んでいく時間の体験です。大きな成長に繋がる機会と言える訳です。「Noismレパートリー」には、13人全員が各自の「今」を超え出ようと格闘する姿が溢れていて、見詰めていると胸に迫ってくるものがあります。
この日の2公演を観ての感想としては、2年目の5人の動きに、やはり一日の長があり、安定した「Noismらしさ」が強く感じられたと記しておきます。そして、なかでも春木有紗さんに目が惹きつけられたことも。場を圧する空気感において群を抜いていたように感じました。

休憩後は、Noism1の中尾洸太さん振付演出の新作『水槽の中の仮面』です。30分の作品を振付るのは初めてとのことですが、主に6組のデュオのフォーマットを用いて、中尾さんらしいリリカルさを基調にしながら、描かれていく2者間の隔たりに、ある種の不穏さが色濃く漂うアレゴリカルな(隠喩的な)作品と映りました。現在の世界情勢などが、否応なしに、反映されているといった感じも受けますが、「隔たり」を扱うこの作品自体は、踊り込まれることによって、様々な受け取り方を許すものになり得るように感じました。踊る側の深度が増すことによって、中尾さんの当初のイメージを超えていくだろう可能性をそこここに感じながら観たような次第です。(同時に、これも否応なく、「水槽」と「仮面」についての思索に誘われています、今。)また、使用楽曲のシューベルト『死と乙女』もそれが描く死と安息を「隔たり」繋がりで捉えようとすると、今作に奥行きを与えてくれるものがあると言えるでしょう。様々な点で、たくさんの「開口部」を持つ作品であると思いました。
いずれにしましても、今回が本格的な振付デビューとなる中尾さんが、Noism2メンバーの「今」に向き合うかたちで作られた本作、必見ですね。

2つの演目を公演中日の2時の回と6時の回に観た訳ですが、2回を併せて、そんなことを感じました。

その後のアフタートークについてもかいつまんで記します。この日の登壇者としてアナウンスされていたのは、地域活動部門芸術監督・山田勇気さんとNoism2リハーサル監督・浅海侑加さんでしたが、途中、質問への回答上の要請から、場内にいた中尾洸太さんも加わることになりました。

*メンバーが悩んだり、苦しんだりしているときの声掛け
浅海さん: 【今回のクリエイションにおいては】(じっくり考えてから)「洸太(=中尾洸太さん)を真似してみて。洸太も音楽を聴いて動きを作っているので」とか言ったりした。
【普通に悩んだり苦しんだりしているときには】経験する時間を感じて欲しい。その気持ちを感じることも経験だから。
山田さん: 経験が浅いし、難しい部分。簡単な答えはない。今日の舞台もひとつの経験。

*今回、苦労したところは
浅海さん: 洸太の作品は新作で、過去に踊った人の手本がないので、ゼロから作り上げなければならない。洸太の作品なので、稽古をみていて、自分が思うことだけになっていって、違ってしまっては嫌なので。どこまで伝えたらいいか。
山田さん: 「レパートリー」には過去の振付があって、難易度が高くても崩せない。そこにもっていって、自分が踊る意味を見出させること。

*中日の舞台(2公演)に関して
山田さん: 昨日、初日があけて、今日は2公演。初日はエネルギーを解放させたのだが、中日の昼の部(2時の回)は持っていき方が難しかった。しかし、夜の部(6時の回)には、修正して、違った面が見られた。「レパートリー」に関しては、どちらも色々な「点(=箇所)」でいい人、光る人が違った。洸太の作品は、全体の色が毎回違ってきていて、どこへ落ち着くのかなぁと。
浅海さん: ここまで3回全部違う。洸太の作品は毎回印象が変わるが、今回は「人間」というものを感じた。彼らが経験している姿を見て、人生の一部だとか、「今」だとかいうふうに。言語化できない気持ち、したくない気持ちになった。

*身体のケア・回復方法
山田さん: 個人に委ねられている。その準備もひとつの経験。自分の身体を知って、ルーティーンを確立していく。

*中尾さんのメンバーの選び方
中尾さん: 選び方はインスピレーション。曲を決めてあるので、そこから思い浮かぶ人のを選んだ。そして、自分は振りを決めていかずに、その人がいる場で音楽を聴いて、振りを決めていった。(曲 → ダンサー → 振り、の順。)

*中尾さんが苦労したこと
中尾さん: 『鬼』の公演前に急ピッチに振り付けたものが、『鬼』公演の1ヶ月をおいたら、不安な気持ちになってしまった。どう見えているのか精査し切れないままだったので、「過去(1ヶ月前)」に考えて出したものが「これでよかったかなぁ」と不安に。
『鬼』が終わって、再開したとき、「1回通しで見せてくれ」と言って、「今」の自分を重ねていく前に、「過去」の自分を再確認して始めた。

*中日の舞台の印象
山田さん: 彼ら自身と自分の向き合い方を考えて見てしまった。これからどうしようかと。
中尾さん: 気分によって、波が激しいなと。自分も気分によって変わるタイプなのでわかる。「中日」は舞踊家にとって、どう持っていったらいいか悩む日。2時の回は「うーん、あんまりだなぁ」と思ったが、6時の回は「その体験を体験たらしめている」と思った。昇華して、伝え方も変わった。(その体験を)次に使えている。
浅海さん: 2時の回と6時の回とでは全然違っていた。稽古監督としては、踊りの部分での見せ方とか言いたいことは結構あるけれど。

*中尾さん作品の衣裳に関して(←衣裳の着方の違いに気付いたという会場からの声を受けて)
中尾さん: 表と裏で着ている。最初に出した衣裳案は、「Aライン」の白で、立体的にふわっと、というもの。その後、そこに黒いライン(線)も欲しいと思ったが、その下を黒にして、透ける感じにした。表と裏にして着ることで、パターンを増やさなくて済んだ。どっちが表、裏を着るかは純粋に見た目で決めた。

と、そんな感じでご紹介とさせて頂きます。

さて、これを書いているうちに日付も変わってしまいましたので、Noism2定期公演vol.15も本日(楽日)の2公演を残すのみとなりました。まだ、夜の回はお求め頂ける様子です。日々「体験」し、「経験」を増していく13人の若者。是非、彼らの「今」の格闘を目撃しにいらしてください。それはそのまま、観客としても、きっと心動かされずにはいられない時間の「経験」になるでしょうから。

(shin)



「ランチのNoism」#21:杉野可林さんの巻

メール取材日:2024/02/20(Tue.)& 02/24(Sat.)

皆さま、約20ヶ月のご無沙汰です。お待たせいたしました。お待たせし過ぎたかもしれません(笑)。前回で一巡りしていた「ランチのNoism」ですが、ここに再開の運びとなりました。その第21回目にご登場頂くのは杉野可林さん。どのようなランチを拝見できますでしょうか。それでは久し振りにいってみましょう。

♫ふぁいてぃん・ぴーす・あん・ろけんろぉぉぉ…♪

設立20周年を迎えるNoism、りゅーとぴあ〈スタジオB〉に昼が来た!「ランチのNoism」♪

*まずはランチのお写真から。

安田ヨーグルトの牛さんの下、何やらコンポジション的な…

 *「『おにぎり百景』、日本に生まれた幸せを頬張ろう」…とかって始めようかなどよぎったところの、ん?三角ア~ンド四角!で、おにぎりの隣のそのプラ容器もよく見かけてきたものに間違いなく…

1 今日のランチを簡単に説明してください。

 杉野さん「もち麦入りのおにぎりと納豆です🍙」

 *おにぎりマーク(🍙)付きのご説明もチャーミングな杉野さん。マークと画像には海苔の有無という違いこそありますが、やはり「僕らにはおいしいおにぎりがある」のです。で、この場合、「もち麦入り」ってところがミソですよね。いや、味噌おにぎりって訳じゃなくて、はい。
 で、ワタクシ、まるで不勉強なもので、早速、調べてみましたところ、「もち麦」を食べることには、食後血糖上昇の抑制作用とか満腹感の持続とか内臓脂肪減少作用とか、様々なよい効果が期待できることがわかったのです。誰にとっても嬉し過ぎるのではないでしょうか、これ。おーん、はっきり言うて。

 -もち麦入りおにぎりは杉野さんの定番なのでしょうか。おにぎりのヴァリエイションには他にどんなものがありますか。

 杉野さん「白米だけのおにぎりの時もありますが、なるべく雑穀などを混ぜて炊いたものを食べるようにしています」

 -おにぎりの中には梅干しなど具を入れて握ったりしているのですか。

 杉野さん「この日は入れずに作りましたが、入れる場合は塩昆布やゆかりふりかけなどを入れたりしています」

 *おお、そうなんですね。塩昆布のおにぎりと言えば、私は塩昆布のまわりの黒く「汚れた(笑)」ごはんも好きです。

 *もう一枚、写真をご紹介しながら、次の質問です。

「ロミジュリ(複)」Tシャツで手にはアレ、遠くを見詰める杉野さん

 -皆さんそれぞれかき混ぜている図ですが、大阪ご出身の杉野さん、納豆への抵抗はありませんでしたか。または、いつ頃、克服されたのですか。

 杉野さん「私は最初から抵抗無く食べていました。 私の父は苦手なようですが(笑)」

*なんと、なんと!そうなのですね。ご家族のなかで納豆を巡って好き嫌いがあるのは個人的な嗜好によるものに過ぎないのだと。なるほど、なるほど。「大阪の人たちはみんな…」なんて思っちゃうのは、古くさい「ステレオタイプ」の大阪理解だったんだってことで。認識を新たにしました。

 -画像に戻ります。それにしても、杉野さん、あまりにもよい表情です(笑)。加えて、坪田さんの無駄に姿勢がよいところもツボです! そこでひとつ細かいこと訊いちゃいます。納豆はよくかき混ぜる派でしょうか。かき混ぜる目処としては何回くらいですか(笑)。

 杉野さん「回数はあまり考えていないですが、豆同士が引っ付いたままにならないのを意識(無意識に(笑))しています!」

 *食べるときにズズズって音が出る/出ないのあたり(失礼!)でしょうかね、それですと。って、なんとも細か過ぎる質問しちゃいましたが、それにも拘わらず、(というか、それに劣らず、)分析的で丁寧なご説明、有難うございました。

2 誰が作りましたか。普通、作るのにどれくらい時間をかけていますか。(or 主にどこで買ってくるのですか。)

 杉野さん「家を出る直前にサッと握って持ってきています」

 -そのもち麦入りのごはんですが、お昼用のおにぎりにするほか、朝ごはんと夕ごはんにも食べているのですか。

 杉野さん「そうですね。 分けて用意するのは面倒なので(笑)。 ちなみに朝は納豆と一緒に卵も食べています」

 *そうなのですね。ランチに限らず、納豆率、高めってことで。

3 ランチでいつも重視しているのはどんなことですか。

 杉野さん「次のリハーサルに影響が無いような量にしています」

 *私など、次に影響が出てもお構いなしに食べちゃうなんてことも随分ありましただけに、その姿勢、尊敬できますね、ハイ。

4 「これだけは外せない」というこだわりの品はありますか。

 杉野さん「あまり無いです(笑)。でもおにぎりの時は大体納豆もセットで持ってきて食べています!」

 *ふむふむ、そうなのですね。でも、納豆って、身体によいだけじゃなくて、おにぎりと一緒に食べたときには、食感の違いが大きいことから「食べた感」も大きめになるなんて側面もあるのでしょうね、察するに。

5 毎日、ランチで食べるものは大体決まっている方ですか。それとも毎日変えようと考える方ですか。

 杉野さん「最近はおにぎりと納豆のセットが多いですが、前日の夜ご飯の残りを持ってきたりする事もあります」

6 公演がある時とない時ではランチの内容を変えますか。どう変えますか。

 杉野さん「ほとんど変わらないかなと思います。ただツアーの時は大体納豆が無しになります」

 *モノが納豆だけに、ここまで糸を引くように、納豆を中心として色々お聞きすることができましたので、ここからはちょっと別のことを伺いたいと思います。

7 いつもどなたと一緒に食べていますか。

 杉野さん「写真に写っている4人(=三好彩音さん坪田光さん樋浦瞳さん糸川祐希さん)と洸太(=中尾洸太さん)、育見(=兼述育見さん)が大体同じテーブルで食べていることが多いです」

 *それはそれは。ホント楽しくて賑やかなランチタイムなのでしょうね。上にあげた写真からも充分伝わってきますから、それ。

8 主にどんなことを話しながら食べていますか。

 杉野さん「直前までやっていたリハーサルの確認をしたり、全然関係ない事だと誰かが行ったご飯屋さんの話をしたりもします!」

 -なるほど。で、そのランチ中の会話ですが、最近、どこのご飯屋さんの話に興味を持たれましたか。(実際、行ったりしましたか。)

 杉野さん「まだ行ったことのない所だと食堂もりしげさんとMY NAME IS ICE CREAMさんが気になっています!
ずっと行こうと思って行けてないのは欧風カレー食堂jiziさんです!
あと育見との話題によく出てくるのはSunBakeというパン屋さんです!休みの時に行ったりしています!」

 *おお、どこも行ったことありません(汗)。メモメモメモ。ハイ、脳内「お店リスト」更新完了です(笑)。併せて、ネットで検索しましたところ、いい感じのお店ばかりですね。しかも、ほぼ全ジャンル網羅的で。県外からりゅーとぴあに来られる方々にとりましても、よい情報であること間違いなしです。惜しみなく色々お教えいただき、有難うございます。でも、こういう話って、誰でも笑顔になっちゃいますよね、うん。因みに私も笑顔になってます、ハイ。

9 おかずの交換などしたりすることはありますか。誰とどんなものを交換しますか。

 杉野さん「おかずの交換は全然しないですね。 おやつをあげたりとかはたまにあります(笑)」

 -どんなおやつをあげたりするのですか。あのパインアメとか飴ちゃんだったりもしますか。

 杉野さん「チョコとかナッツとかを持っている時はあげています。最近だとバレンタインだったので、生チョコを作って皆にあげました!」

 *飴ちゃんとかとは段違いに、なんとも幸せな香りに満ちた空間が思い浮かんできます♪

 -逆によくおやつをくれたりする人は誰ですか。それはどんなおやつですか。

 杉野さん「くれる人はバラバラですが、皆、大体ナッツやチョコを持ってきていることが多いです。 今年のバレンタインにはすみさく(庄島さくら・庄島すみれ)さんが、チョコテリーヌを作ってきてくれました!あまり食べたことの無い感じでしたが、とっても美味しかったです!」

 *庄島さん姉妹のこと、「すみさく」さんって呼ぶのですね。メモメモメモ。そして、チョコテリーヌ!あの直方体で、食べると濃厚なやつですよね。う~む、なんと上品で高貴な響きなのでしょう!もしかしたらスロバキア仕込みなのでしょうかね。

10 いつもおいしそうなお弁当を作ってくるのは誰ですか。料理上手だと思うメンバーは誰ですか。

 杉野さん「りおちゃん(=三好綾音さん)が、スープなどを持ってきているのが美味しそうだなと思っています! インスタグラムにたまに載せているご飯も美味しそうなんです!」

 *三好さんが作るご飯の美味しそうなことについては、もう皆さん口を揃えて話されますよね。よろしければ、三好さんの「ランチ」も改めてご覧ください。納得がいく筈です。

 -スープと言えば、杉野さんご自身はランチどきの水分って、どんなものを飲まれているのですか。

 杉野さん「大体水を飲んでいます。 食べ終わった後にはコーヒーを飲むことが多いです。何かおやつがある時はそれも一緒に」

 *なるほど。純粋極まりない水分のかたちでの摂取と。ここまでのお答え全般から、杉野さんにとって、ランチの位置付けはあくまでも、リハーサルの合間に少しだけお腹に入れるもの、って感じなのだと理解しました。杉野さん、どうもご馳走様でした。

杉野さんからもメッセージを頂戴しました。どうぞ。

サポーターズの皆さまへのメッセージ

「いつも応援、そしてご支援いただき本当にありがとうございます。 皆様からのお声があることが私達の励みになります。 最高の瞬間をお届け出来るよう日々精進してまいります」

ワタクシ事ですが、杉野さんと言えば、すぐに浮かんでくるものに、昨年(2023年)1月、『Der Wanderer - さすらい人』の中で『狩人』と(三好さんとの)『トゥーレの王』を踊る姿があります。その渾身の舞踊に涙腺が刺激されてやばかったことが今もありありと思い出されます。杉野さん、この度はどうも有難うございました。

ということで、「ランチのNoism」第21回はここまで。今回もお相手はshinでした。ではまた。

(shin)

Noism2定期公演vol.15 活動支援会員対象公開リハーサルを見てきました♪

2024年2月24日(土)、気温もそこまで低くはなく、季節は確実に動いているなぁと感じさせられるような三連休の中日、りゅーとぴあ〈スタジオB〉に赴き、標記Noism2定期公演vol.15に向けた活動支援会員対象公開リハーサル(12:00~13:00)を見てきました。

3日前のメディア向け公開リハーサルは、中尾洸太さんの新作『水槽の中の仮面』のリハーサル風景だったのですが、この日は、1時間枠を2分割して、前半は山田勇気さんが指導する「金森穣振付Noismレパートリー作品」の様子を、後半は中尾さん作品について見せて貰いました。

正午。その「金森穣振付Noismレパートリー」からです。山田さんの「それじゃあいきましょうか、3曲。3曲続けて」の言葉から始まりました。村上莉湖さんが両腕を拡げて上手(かみて)に伏せると、聞き覚えのあるノイズ然とした音楽が聞こえてきます。まずは『R.O.O.M.』から。(今回は天井から落ちてきたりはしなさそうです。)次いで、『sense-datum』へと進んでいくのを見ることになりました。

山田さんは椅子に腰掛けたまま、Noism2メンバーたちの動きを細大漏らさず、逐一目で追い続けますが、時折、音楽に合わせて腕(そして掌や指)を動かすその後ろ姿には、あたかも、自らがその一本の腕へと収斂し、その腕が追い求められ得る限りの理想の動きでその時々の一音一音を踊っているかのような風情が認められたほどです。

一旦、「3曲」を通し終えたところで、音楽を止めた山田さん。『R.O.O.M.』から動きのブラッシュアップが始まります。
「最初のポジションにきもちエネルギーが欲しい。張りを見せていく」
「それだと動きが消えちゃうんだよね」
「しっかりダウン。(重心が)常に下にあるんだから、大きくは飛べない筈」
伏せている姿に対して、または、足を回す動きについて、或いは、身体を回転させたその後に関して、そのひとつひとつに、山田さんから丁寧に細かなチェックが入り、若き研修生たちがそれに向き合っていきます。それらを通して、その場に居合わせた私たちにも「レパートリー」とは単になぞられるものでは済まず、同じ精神性の共有を求めてくるものなのだという当然過ぎる事実が(わかってはいたつもりでしたが、)ビンビン伝わってきました。

12:30。「じゃあ、ここまでで、次、洸太作品」という山田さんの声がかかり、後半の『水槽の中の仮面』リハに移りました。この日のメンバーは仮面はない代わりに、恐らく、衣裳と思われるものをその上半身に纏っています。

この日の中尾さんは、山田さんとは異なり、共にリノリウムの上にいて、音楽を都度止めながら、動きを練り上げていきました。
「音楽が“のぺーっ”と聞こえちゃう。音楽は壁紙じゃないんだから」
「イメージが自分だけで完結している。自分の呼吸感をまわりに伝播させていくこと。そして、まわりはそれを受け止めないと」
「(動きの)弱いところは弱くして欲しい。そして、強いところも、なんでそれが強く見えるのか、その本質的なところが大事」
中尾さんによって研修生たちにかけられる言葉、そして同時に示される実演、そのどちらにも、先日の囲み取材の折に、中尾さんが強く実感したと語った「僕の当たり前が当たり前じゃない」という意識が見てとれました。動きを磨くことで、作品のヴィジョンの共有も進んでいくのでしょう。

前半の山田さん、後半の中尾さん、その都度、ふたりによるチェックが入った後は、それぞれ、みんな動きが違ってきます。その様子をつぶさに目撃すること、それは活動支援会員にとって本当に大きな「特典」と言えるでしょう。この日、私たちが息を殺して見詰めたものは、向上心に溢れる若い13人の研修生たちによる挑戦と格闘のドキュメントと呼んで間違いないものだったからです。そしてその先に、来週末の公演「本番」を位置付けて待つ日々に格別な楽しさが宿った、そうも言い添えたいと思います。(皆さんも是非、活動支援会員の仲間入りをしてみませんか。)

来る弥生3月初、若竹の如く、ぐんぐん成長を続けるNoism2メンバーによる定期公演です。くれぐれもお見逃しなく!

(shin)