夕方の新潟ローカル「BSN NEWS ゆうなび」、特集にて「ノイズム海外公演密着」を放送♪(2025/10/22)

この秋一番の冷え込みとなった2025年10月22日(水)でしたが、Noism界隈では熱を帯びた気持ちで夕方18:15からの新潟ローカル番組が待たれていたことは間違いないものと思われます。

10月9日(木)と10日(金)の二日間、スロベニア国立劇場での「ヴィザヴィ・ゴリツィア・ダンス・フェスティバル」の舞台に立ったNoismの面々。それを伝えた各種SNS、ある一枚の画像に、テレビカメラを構えるBSN坂井悠紀ディレクターの姿を認めた日以来、「いつか放送してくれる筈」との確信を抱いて過ごしてきたのでしたが、昨日(10月21日)になって、Noism公式が正式にこの日の「BSN NEWS ゆうなび」について告知してくれたのでした。

一地方テレビ局に過ぎないBSN新潟放送が海外公演に密着すること自体、驚くべきことかもしれませんが、敢えてそれをさせてしまうほど、Noism Company Niigataが成し遂げていることの「凄さ」が知れようと言うものでしょう。まさにシビックプライド、新潟の誇りです!

特集「Noism 6年ぶり海外公演に密着 新潟から世界へ 国境の街で喝采」は18:37からの約10分間。

まずは「日本から飛行機を乗り継いで十数時間」のスロベニア、その南西部に位置する街ノヴァ・ゴリツァの紹介から。その街は面積280平方km、人口32,012人。

今回、Noismの滞在期間は公演日を含む実質6日間。劇場入り初日(10/6)にはフェスティバル側が企画した「Noismメソッドワークショップ」があり、プロを含む地元のダンサー十数名が参加、金森さんと井関さんは講師を務める様子が流されました。

「私たちは日本人であり、私たちの伝統には、西洋文化と完全に反対の身体の使い方があります。だから私たちのカンパニーではその両方を組み合わせようとしています」(”Since we’re Japanese, and in our tradition, we have this way of using our bodies, completely opposite to the Western culture. So in our company, we try to combine both, you know.”)(金森さん)

「動きのトレーニングとその背景にある哲学を組み合わせることができて本当に素晴らしかった」(”So it was really nice for me to combine the training of the movement with the philosophy behind. So it was very cool.”)(ワークショップの参加者)

「興味は持ってくれたような気がする。ただもどかしくて。経験を重ねれば重ねるほどより教えづらくなっているよね。難しさがわかるから」(金森さん)
「わかるからね。うん」(井関さん)


…このあたりのことは先日の「さわさわ会」誕生会・懇親会でも金森さんは口にされていました。ほんの一度きりではダメなのだと。

ノヴァ・ゴリツァの歴史。第二次世界大戦後にイタリアと旧ユーゴスラビアの間に国境線が引かれ、イタリアの一部だったゴリツィアは2つに分断されてしまう。従来の市街地はイタリアに残され、スロベニア側の国境付近に計画都市として作られたのがノヴァ・ゴリツァ(=新しいゴリツィア)。両都市間を自由に行き来することが出来るようになったのは2007年だそう。

2019年に始まったこのダンス・フェスティバルは、「歴史が長きにわたって分断してきたものをダンスの力で再び結び付けられる」という考えから、そのふたつの街で開催されているもの。そして「劇場は重要な砦」とも。(同フェスティバル芸術監督ヴァルテル・ムラモル氏)

今年、このフェスティバルに参加したのは欧州を中心に20あまりのカンパニー。そのなかでアジアから招かれたのはNoismのみ。

「今回(の『マレビトの歌』)に関してはまだ劇場でやったことがないので、新潟でその時間を過ごさずに、いきなりここでやっているから大変は大変ですね」(金森さん)

Noismはこれまで11か国22都市で公演をしてきたが、新型ウイルスや国際情勢を背景に、海外からの公演依頼を受けることができず、今回、2019年の露モスクワ公演以来の海外公演となった。

「言語を用いると、その『意味』をどうしても捉えがちだし、でも(ダンスは)そこにある『身体』しかなくて、それこそ世界共通言語なのだろうと思う」(井関さん)

「(芸術とは)国境を無効化するもの。やすやすと飛び越えるもの。民族(*)・文化・宗教、それらを超越したものを探求する営みのことを芸術って言うんじゃないの」(金森さん)

『マレビトの歌』鑑賞後の観客の感想
「とても美しかったです」
「さまざまな感情が立ち上がりました」
「彼らが一体となっているところが気に入りました。一つの大きなもののように感じられました」

そして、「会場も本当に満員で、まさに本日のパフォーマンスを通じて、日本とスロベニアの方々が繋がったと思います」(駐スロベニア大使・吉田晶子氏)

「だいぶディテールが抜けていっているので、もう一度、休み明け、全部、一から動きに関しては締め直す。とはいえ無事に終わって良かったです。お疲れさん」、そうメンバーに話した金森さん。同じようなことは、これも「さわさわ会」の宴のときに聞いていましたが、全く妥協のないところはやはりいつものぶれない金森さんです。

12月の新潟と埼玉での「凱旋公演」も楽しみ過ぎますが、同時に、BSN坂井悠紀ディレクターには、Noismの新作ドキュメンタリーも期待したいところです。片道十数時間の移動プラス正味6日間の滞在を密着した訳ですし、この「10分間」でおしまいってことはないですよね。2021年に文化庁芸術祭賞テレビ・ドキュメンタリー部門で大賞を受賞した『芸術の価値~舞踊家金森穣 16年の闘い』、そしてドイツの「ワールドメディアフェスティバル2024」でドキュメンタリー部門(Documentaries: Arts and Culture)金賞受賞の『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟(英題:On Stage)』に続くものが見たいです、切実に♪坂井さん、そこんところ、ヨロシクってことで。

【註】民族(*): この日の「BSN NEWS ゆうなび」放送中の字幕には、「民俗」と出ましたが、それは明らかに「民族」の間違いであろうと思われますので、ここではその理解に基づいてご紹介させて貰っております。

(shin)

これはもう最強の「番宣」!-ウェブ「dancediton」に金森さんと井関さんの『マレビトの歌』インタビュー掲載♪

2025年10月16日(木)、うかうか更新を見逃してばかりもいられないというので、NPBのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第2戦を見ながら、「念のため」とウェブ「dancedition」を覗いてみると、何と『マレビトの歌』に関する金森さんと井関さんのインタビューが掲載されているではありませんか!それもかなりのヴォリュームで。ブルッと身震いしました。

「黒部シアター2023春」において、黒部の屋外劇場で上演された『セレネ、あるいはマレビトの歌』の誕生に関する逸話から始まり、「集団の中でひとり異質な者」を体現する井関さんの「必然性」とそのクリエイション。触発し合う井関さんと金森さん。そして黒部での合宿の持つ意味合い。

「SCOTサマー・シーズン2025」、合掌造りの会場で上演された『マレビトの歌』へ。空間の違いがもたらす影響。そして井関さんの「ゾーン」状態など、経験を積むことについて。

そして『マレビトの歌』はスロベニアの「ヴィザヴィ・ゴリツィア・ダンス・フェスティバル」で所謂、劇場版となり、この冬、新潟と埼玉では「凱旋版」へ。金森さんの出演に関しても新たな情報が!

「(舞台芸術って、舞踊と音楽という二つの詩が拮抗して生まれる新たな詩のようなもの」(金森さん)、「金森穣の作品は詩劇」(井関さん)と、お二人とも「詩」をキーワードとして語っておられます。

そして「踊っていても毎回違うテーマが出てくる」「深い作品」「シーンごとに何かを感じてもらえたら」と語る井関さん。これはもう最強の「番宣」ではありませんか!

この度のお二人へのインタビュー、かなりのヴォリュームかつ充実した内容で、とても読み応えがあるものと言えます♪

そのインタビュー全文はこちらからどうぞ♪ 『マレビトの歌』への大きな期待感に包まれること、間違いありません。是非ご熟読を。

その『マレビトの歌』新潟公演と埼玉公演のチケットですが、本日、りゅーとぴあ会員及びSAFメンバーズの先行発売が始まりましたし、明後日(10/18・土)には一般発売開始となります。よいお席はお早めに♪

(shin)

『マレビトの歌』、スロベニア公演に先立つメディア向け公開リハーサルに唖然、そして吃驚♪

2025年9月30日(火)の新潟市は気持ちよい秋晴れ。そんな恵まれた空の下、『マレビトの歌』のスロベニア公演に先立って開催されるメディア向け公開リハーサル(12:00~13:00)に臨むため、りゅーとぴあを目指しました。

ご存じの通り、『マレビトの歌』は先日、利賀村での「SCOT サマー・シーズン2025』にて上演された作品で、スロベニアの「ヴィザヴィ・ゴリツィア・ダンス・フェスティバル」からの招聘を受けて、Noismにとって6年振りの海外公演(10/9、10)として踊られることになっていて、この日はそれに向けた公開リハーサルでした。

数日前に、金森さんは「X(旧ツイッター)」にて、舞台形状の違いから演出のし直しの必要性について触れておられましたから、少しは変えてくるのだろうと思っていました。予めそうした想定でいたものですから、少しくらいの変更には驚かない構えは出来ているつもりでした。しかし、しかしです!唖然、そして吃驚!見たことのない演出もひとつやふたつではありません。あまつさえ、『Fratres』部分もこれまで通りではありません。例をあげるなら、記憶では「ユニゾン」だった筈が、「カノン」になっている等々、かなり手が入っていて、異なる舞台に合わせたアジャストどころではなく、この機に、かなり創り変えられているように思われました。ドラマ性を増して迫ってくるようでした。

スロベニアに持って行く『マレビトの歌』を「通し」で見せて貰い、何度も驚きに襲われたこの日の公開リハーサルでしたが、囲み取材はなく、金森さんも敢えてほぼ何も話されようとしませんでした。ですから、私たちに提示されたのは、ただ、静謐から始まったのち、一転して、見る者に様々な情感を喚起させつつ踊る気迫の籠った身体のみ。「これを持って行きます」とばかりに、自信を窺わせて。

そんな公開リハーサル、ここからは多くの画像に語って貰うことに致します。

先ずは、「ダイジェスト」として、Noismスタッフの深作さんから提供を受けた画像です。迸る熱気、躍動する舞踊家の身体、その刹那がしっかり写されています。

次いで、この機に撮ってしまえるものは撮ってしまうおうという気持ちで私が撮った写真たちです。拙いものですけれど。そこは質より量ということで。「通し」に備えて、めいめい身体をほぐす場面からです。

やがて、金森さん、〈スタジオB〉に入ってくると、「この明るさで良いの?結構、暗い」と言って、自ら、床に据えられた照明器具の調整を行ってから、椅子に腰掛け、『マレビトの歌』が通されていきました。それを収めた画像たちを掲載します。雰囲気をお楽しみ頂けたらと思います。

音楽は全てアルヴォ・ペルト。しかし、その響きは様々です。そしてそれをバックに、否、それと一体化して踊られるNoismの舞踊もとても多彩で、そのレンジの広さに圧倒されてしまいます。

2023年に黒部で発表された『セレネ、あるいはマレビトの歌』は、今夏、利賀村で『マレビトの歌』になったかと思えば、この度、スロベニアへ行くに際して、またもや生まれ変わったとさえ言えるように思われます。果たしてそれは年末の新潟、そして埼玉ではどう変貌しているのか、とても興味深いものがあります。そんな思いを胸に、凱旋公演を楽しみに待ちたいと思います。

【追記】夕方の地元テレビ局BSNは、ニュース番組「ゆうなび」において、この公開リハーサルの模様に加えて、これに先立って同日午前中に開催された、「レジデンシャル事業(Noism Company Niigata)の活動評価に関する有識者会議」についても取り上げています。そちらは、芸術総監督・金森さんの任期をめぐって、今後の行方が気になります。

→そのBSN「ゆうなび」はこちらからどうぞ。

(shin)

「dancedition」井関さん連載第6回、公私ともに大きな転換期が語られる♪

2025年8月25日(月)、Noismメンバーたちが週末の「SCOT SUMMER SEASON 2025」出演に向けて、利賀村入りしたことが伝わってきているタイミングで、ウェブ「dancedition」連載の井関さんへのインタビュー企画「Noism20年 井関佐和子、全作品を語る(6)」がアップされました。

今回、井関さんによって語られるのは、2007年から翌2008年にかけて。Noismというカンパニーとしても、舞踊家・井関佐和子さんとしても、公私ともに大きな転換期を迎えた頃と言ってよい内容が読めます。

また、舞台に立つ舞踊家の心持ちや、出演者に選ばれる/選ばれないを巡る厳しさも窺い知ることが出来て、一観客としても、一ファンとしても、とても興味深いものがありました。

先ず、『PLAY 2 PLAY-干渉する次元』、初演は2007年4月20日。新潟、静岡、東京、兵庫で上演されました。金森さんから、空間の田根剛さん、音楽のトン・タッ・アンさん、衣裳の三原康裕さんに対して、「要望は特になく、『今彼らが何が作りたいか』というある意味一番難しい問いが投げかけられました」(井関さん)とクリエイション最初期の様子が語られています。そのあたり、「20周年記念冊子」には、次のような記載があります。「互いに意見(干渉)し合い、挑戦し、時代を共存すること。容易に分け与えるでもなく、閉ざし守ろうとするのでもなく、与えることによって得て、得たことを与えるという連鎖の中に、現代における総合芸術としての舞踊芸術を創造する。」タイトルに込められた「干渉」の2文字は、リスペクトし合う3人のクリエイターたちの「コラボレイション」の謂いだったことがわかります。

(この『PLAY 2 PLAY-干渉する次元』、私は6年後の「改訂版再演」で初めて観ることになるのですが、その「コラボレイション」が産み落とした「美しさ」にうっとりしたことを強烈に記憶しています。)

次は、外部振付家招聘企画第3弾「W-view」で、中村恩恵さんの『Waltz』、安藤洋子さんの『Nin-Siki』。2007年10月5日の初演で、新潟、東京、福岡、岩手、北海道と巡演。

『Waltz』における演出振付家から井関さんと金森さんへの「プレゼント」の件(くだり)は、「踊る者」同士であればこそ、の素敵さが読み取れる逸話で、私には想像してみることしか出来ませんが、「そうだよね、なるほど」って感じになりました。

井関さんにして、「当時はあまりお姉さん方の頭の中が理解できずにいた」と述懐された女性振付家による2作品ですが、転換期を迎えていたNoismというカンパニー、そして井関さんに対して、「外部」から大きな刺激をもたらしたのだろうことは想像に難くありません。

そして、時期は少し前後しますが、『NINA-物質化する生け贄(simple ver.)』(初演:2007年1月10日)。世界中からの注目に応えるかたちで、チリ、アメリカ、ブラジル、ロシアを巡って、「新潟から世界へ」を現実のものとした後、たたみかけるように、翌2008年には『NINA-物質化する生け贄(ver. black)』(初演:2008年2月7日)が、アメリカ、韓国、新潟、神奈川、台湾、フランスと巡演しました。

この『NINA』に関しては、井関さんが「1番たくさん踊っています」と語り、その上演回数が多かったことがわかります。やはりNoismの代表作のひとつですね。また、井関さんがこれまで色々な機会に語ってきたこのときのツアーの思い出も多彩で、そちらも「読みどころ」と言えます。

以下にリンクを貼っておきますので、今回の「Noism20年 井関佐和子、全作品を語る(6)」も、是非ご一読ください。

今回は、目下、NHK『あんぱん』で私たちにも広く知られるようになった、井関さんご出身の高知の言葉で締め括ることといたします。「ほいたらね。」(←林田理沙アナの声を脳内に召喚して頂けたら幸いです(笑)。)

(shin)

ウェブ「dancedition」井関さんの連載インタビュー第2回、アップされていました(汗)

Noism0+Noism1『アルルの女』/『ボレロ』新潟公演に完全に気持ちが向かっていたところ、「投稿日:2025/6/23」との日付で、ウェブ「dancedition」に、井関さんの連載インタビュー「Noism20年 井関佐和子、全作品を語る(2)」が掲載されておりました。1週間以上前になります(汗)!油断しておりました。

既にご覧になられた方も多くいらっしゃると思います。初回分をこちらのブログでもご紹介した際、同サイトでの他の連載ものの更新頻度を「2〜3週間」とみたまでは良かったのですが、『アルルの女』の『ボレロ』の公演が控えていたことから、勝手に次回は「3週間」後くらいかなと判断していました。正確に「2週間」後の第2回アップでしたね。すみませんでした。

でも、更新頻度が「2週間」であるならば、ひと月に2回アップされることになる訳で、予定も立ち易いですね。

で、今回は「black ice」(初演:2004年10月28日)。中越地震のこと、そして誕生日を祝う私家版「金森さん映画」(!)などにも触れられていて、惹き付けられて読みました。「black ice」公演、私はまだ観ていなかった頃ですので、ご覧になられた方々からのコメントをお待ちしております。

第2回へは下のリンクからもどうぞ。

次回は更新から遅れずにお届け出来ますよう、心して臨みます。m(_ _)m

(shin)

『アルルの女』/『ボレロ』新潟公演中日、日々新たな感動と金森さんのアフタートーク♪

蒸し暑かった2025年6月28日(土)。この日が中日(なかび)だったNoism0+Noism1『アルルの女』/『ボレロ』の新潟公演ですが、本公演期間中、唯一、終演後に金森さんによるアフタートーク(約30分)が組まれた、その意味でスペシャルな一日だった訳です。

今日のブログは、そのアフタートークを中心に書こうと思っていますが、先ずはこの日のふたつの演目について感じた事柄を簡単に書き記すことから始めさせて頂きます。

『アルルの女』、昨日に続けて2度目の鑑賞となると、当たり前のことですが、かなり余裕をもって見詰めることが出来ました。前日は拾えなかった細部にも目を凝らすことが出来てみると、この作品は、「ある種の抽象度」があるという触れ込みですが、「妄想」や「妄執」を中心に据えつつ、細部が知的かつ繊細に組み立てられた精緻な作品という思いを強くしました。ただ観ているだけでも相当に楽しい55分間なのですが、作品内で提示された関係性について考えてみようとすると、理詰めで細部から作品全体に迫る途が見えてくるように思えます。ですから、見終えた後もじっくり考えてみる楽しみがある作品と言えるでしょう。

『ボレロ - 天が落ちるその前に』となって、こちらもこの日が2度目の「シン・ボレロ」。散りばめられた師「ベジャール印」の引用と教え子「金森印」の動きが、ラヴェルのあの音楽内で同居し、かつ、豊かに絡み合う様子を見詰めることによって、私たちの目が感知するのは、師と教え子の間の深い愛情以外の何物でもないでしょう。注がれた愛情に報いんとばかりに、ありったけの思いを込めて両手を伸ばして、届け返そうとする先は、これもまた「天」。ですから、「天」はこの作品において、単に「杞憂」の対象であるばかりではないことを感じ、その意味でも胸を熱くしました。

そんなふたつの演目を一度に観ることが出来る「イヴニング」です。ホントに「マジ凄い」としか言えない訳です。

『アルルの女』の後も、客席からは熱のこもった反応が示されましたが、『ボレロ』の後はやはり、大興奮が客席を覆い、割れんばかりの大きな拍手に、「ブラボー!」が交じり、スタンディングオベーションが広がっていきます。舞台上もそれに応えるべく、金森さんも加わったかたちでの前日同様のカーテンコールが幾度も幾度も繰り返されることになりました。

ここからは、この日のアフタートークについて掻い摘まんでのご報告とさせて頂きます。登壇者はNoism Company Niigata芸術総監督・金森穣さん。先ずはいつも通りに、「今日初めてNoismをご覧になったという方、手を挙げてください」から。客席を見渡した金森さん、「割といるね。Noismのチケット買えないよね、ってふうにならないとね」と続けて、その後、スタッフが客席から回収した「質問シート」について、「今日は結構あるね」と言いながらも、ひとつひとつ丁寧に答えていってくれました。

Q1: ストーリーのある演目で、それぞれのキャラクターはどう確立させるのか?
 -A: キャラクターは個々に伝えていくが、最初からはあまり伝えない。舞踊家が音楽と振付からキャラクターを感じ取る。メンバー同士でも、どう感じて、どう出してくるか。そこからまたキャラクターを拾い上げていく。必ずしも当初のイメージ通りではないが、その舞踊家が見出したものは豊かだ。

Q2: 舞踊家の個性について
 -A: 個性のない人はいない。舞踊家にとって、如実に身体そのものが一人ひとりの個性。そしてそれをもって何になりたいかが大事。また、関係性のなかで、人格は形成されていく。例えば、Noismに入って形成されるものもある。日々深化し、日々見出されるものでもあり、それはまた、今のものでしかない。より高めよう、深めようとすること。 

Q3: 海外公演について
 -A: スロベニア公演が6年振りの海外公演。国際的な場で、どう評価されるか、世界中の反応を直に見てみたいと思っている。そして、それをもって「ホーム」新潟で公演したい。自分たちが信じている表現がどう受け止められるのか、如実にわかるのが海外公演。

Q4: なぎなた、木刀が象徴するものは?
 -A: ある種の「葉隠」。生きるとは?死ぬとは?これ以上は言いません。

Q5: 音楽と振付、どちらが先か?
 -A: 7~8割、音楽が先。音楽がなければ、振付が始まらないっていうのはシャクに触ったりもするが(笑)、この世にあって欲しいものの筆頭が音楽。音楽が先。

Q6: 「役を入れ込む」作業に関して
 -A: 「入れ込む」?彫刻家が彫っていく感じ。無駄なものを削いでいく。どうしてもくっつけたくなりがちだが、より強い表現は足していったものではなく、削いでいったものの方。

Q7: 今回の『ボレロ』における、ベジャールさんへのオマージュに関して
 -A: 例えば、師匠の「赤い円卓」が、井関さんの「赤い衣裳」になっている。師匠の円卓は、俺にとっては身体なんだと。

Q8: キャスティングに関して
 -A: その世界のなかに見えることが大前提。しかし、今持っているものだけでキャスティングしていく訳ではなく、これからの変貌も楽しみ。苦労がある方がいい。

Q9: 『ボレロ』を作るときの思いにはいつもと違うものがあったか?
 -A:恩師の代表作ということはあるが、特別違うということはない。覚悟が要ることではあるけれど。

Q10: (山田勇気さんが演じた)「祖父」は侍なのか?
 -A: ドーデによる原作は南仏が舞台で、「常長」は架空の設定。欧州に初めて渡った日本人のなかに侍だった人がいた(=支倉常長(はせくらつねなが))。時代とともにその存在価値が失われていった侍。彼が欧州で家族を持ったらどんなだったかと空想してみた。

Q11: 本番までのプロセスに関して
 -A: 先ずは、信じる。→ついで、批判的に疑う。→そして、迷った末に見つける。そのループのなかで本番という瞬間を迎える。その時にはもう信じるしかないが、終わった瞬間に、また疑問が生じてくるもの。

Q12: ビゼー『アルルの女』の音楽に関して
 -A: 「劇伴音楽」として作曲されたもので、そこには不穏さや蠱惑的なものもあったが、コンサートでは、人はそんなものを聞きたがらず、「組曲版」では、明るくポジティヴなものだけが残ることになった。「そりゃ、そうだよね」。今回、「劇伴音楽」も使ったが、フェイドアウトやカットなどを除けば、特にアレンジはしていない。

Q13: 赤いフレームと衣裳のなかの「赤」に関して
 -A: どちらの色も実は「オレンジ」。衣裳には「傷」が欲しかった。その「傷」から見える内面の色、それをフレームと同じ色にした。オレンジは人間の網膜によって、闇のなかで一番強く認識される色でもある。

Q14: 動きと「語り」に関して
 -A: 常に口を酸っぱくして言っているのが、「動きで語りなさい」。もし語っていない瞬間があれば、それはダメ出しのポイント。

Q15: 『アルルの女』の衣裳に関して
 -A: 今回担当して貰ったのは初めて一緒にやるデザイナー(井深麗奈さん)。あるとき、ポートフォリオを送ってきてくれて、いつか一緒にやりたいと思っていた。先ずこちらからざっくりしたイメージと台本的なものを送り、デザイン画を描いて送って貰うところから始まった。また、お願いしたい。

Q16: どうして『アルルの女』をやることに決まったのか?
 -A: 自分のなかでは、気がついたら決まっていた。「もう『アルル』だなと」。たまたま原作を読んだら、「なるほどね」となった。だから出会い。机の上に読んでいない本や聴いていない音楽がたまっている。それがあるとき、ガチャガチャッと嵌まっていく。今この瞬間にやりたいのに、それが作品になるのが「2年後」というのも不思議と言えば、不思議。その間は「多重人格」的な自分がいる。『アルル』に恋した自分と、次のものに恋している自分。色々なものがアンテナに触れて、それでも失われない「恋」が本物。『アルル』は変わらなかった。
 あと、何作品作れるんだろう。これまで100作くらい作ったが、「今、これが最後になっても構わない」という思いで作ってきた。身体はひとつだし、時間も限られている。結構、本気。もっと色々作りたいのに、今、これしか出来ないそのひとつなので、賭けている。舞踊家の佐和子も、あと何回踊れるだろうという思いに向き合っている。終わるとなくなってしまい、後には残らない、舞台芸術の不条理。いつまで作れるのか、いつまで踊れるのか、わからない。まさに一期一会。だから、見逃さないで欲しい。
 明日もまだ少しチケットはある様子、是非もう一度。(19:15)

…ざっと、そんなところで、アフタートークのご報告とさせて頂きます。(ネタバレとなってしまうやりとりについてはご紹介を控えさせて貰いました。全公演終了後にでも、改めて書きたいと思います。)

さて、日付は6月29日(日)にかわり、はやくも今日が『アルルの女』/『ボレロ』新潟公演楽日です。空席を作っておくのは実に勿体ない、充実した公演であることは、ご覧になられた方はお分かりの筈。ならば是非、もう一度♪未見の方も是非、一度♪この公演を目にしてしまったなら、「必見」というどこまでも「無粋」でしかない言葉など使わずにおきたいところですので、こちらをお読みになられた方は是非、喜び勇んで、りゅーとぴあ〈劇場〉まで♪想像し得る限りの豊かな時間が保障されています。

(shin)

モスクワの『カルメン』写真特集♪

ゲリコンオペラ外観

ゲリコンオペラ外壁プレート

日程表

見えるかなぁ~?

エントランス

こちらもエントランス

エントランスカフェ

カフェレストラン

開場! 

学者役の奥野さんが既に舞台上に!

旅の学者メリメ役の奥野晃士さん♪

開演前と休憩中は撮影OKだそうです。

会場内…

客席の上の方に貴賓席があります。

もうすぐ開演!

だんだん混んできました。

ただいま休憩中。

ホセ、21日目の懲罰房。熊も見えるかな~?

休憩が終わりに近づき、左の出入り口の方、わかるでしょうか?ジプシーの娘たちが出てきました。

日本では開演前や休憩中に客席でガンを飛ばしていましたが、今回はステージ前のみで、この時だけでした。

ちなみに、ステージは新潟よりも高さと奥行きはあるようでしたが、幅が少し足りないようで、ステージ両脇の出入口からの登場退場もあり、面白かったです♪

プログラム

開くとロシア語でキャスト名が!

りゅーとぴあのロゴはそのまま。

こちら(現地レポ)も併せてどうぞ♪  (fullmoon)

モスクワの『カルメン』♪(現地レポ)

5月29日、チェーホフ国際演劇祭招聘、『カルメン』モスクワ公演初日!
新潟から駆けつけた一行4名で鑑賞しました♪
チケットは既にソールドアウトの大盛況!
そして拍手歓声、スタンディングオベーションの大成功で無事終演!!
よかったですよ〜♪

公演中も随所で拍手があり、見事な熱演に観客が引き込まれていました。
会場では、金森さん、山田さん、スタッフの上杉さん、堀川さんにお目にかかれました♪
私たち一行には、ライターの本間大樹さんが同行。新潟日報夕刊・おとなプラスに公演の様子等が掲載される予定です。
ほかに、BSN新潟放送からもテレビカメラを担いで3名、取材に来ていました。いろいろ楽しみですね♪
モスクワの空港でお見かけした、新潟市の飲食店・錦弥(きんや)のお二人にも、会場でご挨拶できました♪

会場名は現地では、「ゲリコン・オペラ」と発音するそうです。
カジュアルな服装の方が多いですが、綺麗なドレス姿の女性も結構多数いらっしゃいました!
会場も一部改装したのか、外壁や、エントランス等、とてもきれいでした。クロークに行く階段まわりのデザインも美しくて斬新。好印象の会場でした♪

私たち一行にはロシア人の女性が案内に付いてくださった(この件の詳細は後日)のですが、公演をご覧になって大興奮!観る前と観たあとでは顔つきが変わっていました。 とてもよかった、面白かった、凄かった、カルメンは凄く色気があった、と話されていました♪
本間大樹さんはカルメンを観るのは初めてだそうですが、何度か見ている3名も、また新たな驚きと美しさ、華やかさに感動しました。

観客の反応で面白かったのは、ドロッテがロシア語で[休憩]と書いたカードを出すところ。笑いと拍手が起きました。この場面は日本でも同じなので想像できましたが、もうひとつは闘牛士の場面です。天井から吊るされている牛が落下して闘牛士が死ぬシーン。牛が落ちた途端に会場は大爆笑、ヤンヤの大拍手! 日本では笑いが出ることもたまにはありましたが、ほんの少しでした。
そしてすぐに次の深刻な場面になるのですが、この反応に金森さんは「してやったり!」と思ったことでしょう。

最後、いつが終わりかわからないシーンでは、その都度拍手が起こり、カーテンコールも長く続きました。ちなみに、字幕はステージ両サイドの壁に二ヶ所。公演の小パンフレットは200ルーブル(約400円)でした。

モスクワ『カルメン』大成功の喜び、そして興奮と感動を胸に、ホテルへの帰途につきました。
2日目、3日目の公演も大成功間違いなし!祈念いたします。
まだまだ書き足りませんが、まずはこのへんで♪

From Russia with Love!

こちら(写真特集)も併せてどうぞ♪  (fullmoon)

速報!劇的舞踊『カルメン』にモスクワ熱狂!

モスクワでの劇的舞踊『カルメン』初日の幕が上がり、終演後の劇場に圧倒的な熱狂と興奮をもたらした様子が届いて参りました。さもありなん♪

Noism officialによるインスタグラムの動画です。

こちらもNoism officialによるツイッターです。

そして、金森さんのツイートもご覧ください。

新潟市のNoism、そして日本のNoism。なんと誇らしいことでしょうか!
このあと、現地で初日をご覧になったfullmoonさんのレポートで詳細をお知らせする予定です。ご期待ください。 (shin)

目に贅沢なご褒美-劇的舞踊『カルメン』2019 ver.公開リハ(2019/05/18)

気温25℃を越えた新潟市は、うららかを通り越して、暑くさえ感じられるほど陽気の良い皐月の土曜日。りゅーとぴあ・スタジオBにて、劇的舞踊『カルメン』モスクワ公演に向け、活動支援者を対象とした2度目の公開リハーサルを観てきました。この日はSPACの奥野さんも加わったフルキャストでの通し稽古で、本番さながらに10分間の休憩を挟んで、全篇を見せて貰いました。

いざ、あの世界へ♪

前回、1度目のリハ(5/12)については、ご覧になったacoさんがコメント欄にレポを書いてくれていますが、その言葉の端々から興奮、陶酔、感動が読み取れましたし、もう期待を膨らませるだけ膨らまして出掛けて行った訳です。
そしてそれは裏切られることなどあろう筈がありません。申し込み先着20名、その目と鼻の先ギリギリ、数センチのところまで出てきて展開される劇的舞踊は、観ているこちら側がドギマギするくらいのド迫力。

衣裳や装置の多くは仮のものだったり、幾度か重要な映像が投影されることになる中央のスクリーンがなかったりと、実際の公演との違いこそありますが、代わりに、見立てて踊る稽古の雰囲気が楽しめたり、本番ではスクリーンの背後にいて、不可視であるべき実演家の待機する仕草や準備動作がそのまま観られたりと、いつもながら、レアな楽しみ方には事欠きませんでした。出番以外でも、終始、私たちの視線に晒され続ける実演家は大変だろうと思ったりもする訳です。一言で言うなら、もう、目には贅沢なご褒美が過ぎる、そんな感じの2時間で。

先ず何といっても、音楽がエモい。あれが響くともう一気にそこはスペイン。記憶が召喚され、かつて見た舞台の印象との偏差を満喫させて貰いました。「このキャスティング、また違った味わいがあって楽しい」とか、「アレがああなって、こうなるんだよな、うん」でも時々、「ああ、そうだったのか」と今更ながら気付くこともあったりして、Noismの「古典」としてこの先も繰り返し観ていきたいという思いを強くしました。目を閉じるまでもなく、自然と目に入ってくる光景の「やや上方あたりに」(!)今日観た踊りのあの場面やこの場面が浮かんでくるような錯覚を伴いながら、情緒を揺さぶる音楽たちが今も脳内でリピート再生されているくらいです。

今回の2019ver.キャスティングは、以下のとおりです。
カルメン 野性の女: 井関佐和子
ホセ 理性の男: 中川賢
ミカエラ 許嫁の女: 井本星那
スニガ 権威の男: 林田海里
リュカス 我欲の男: ジョフォア・ポプラヴスキー
ロンガ 同郷の男: チャン・シャンユー
ドロッテ 謎の老婆: 池ヶ谷奏
メルセデス 異父の姉: 浅海侑加
フラスキータ 異父の妹: 鳥羽絢美
マヌエリータ 仇敵の女: 西岡ひなの
ガルシア 極道の男: カイ・トミオカ
兵隊の男たち: チャーリー・リャン、カナール・ミラン・ハジメ
ジプシーの男たち: 三好綾音、池田穂乃香
街娘たち/ジプシーの女たち: 西澤真耶、片山夏波、門山楓、杉野可林、長澤マリーヤ
学者 博識の老人: 奥野晃士(SPAC)

リハのあいだ中、キャスト全員の熱演に圧倒されまくりでしたが、個人的には、ジョフォアさんの「闘牛士」、そして西岡さん演じる「敵役」が強く印象に残りました。そして、そうです、もうひとつ。お約束の「ホセ、帰ってきて~~~!」(笑) ご覧になった皆さまはどんな印象をもたれましたか。

で、メンバーは来週5月24日に東京を経由して露国に向かう予定なのだそうです。きっとかの地の演劇祭でも目の肥えた観客を魅了し尽くしてしまうだろうことを改めて確信いたしました。大きな拍手に包まれたカーテンコールすら今から既に幻視できます。GO! Noism! GO!!

(shin)