Noism×鼓童「鬼」再演:視覚・聴覚障がい者/メディア向け公開リハーサルに参加しました(2023/12/08)

新潟市はこの日、鈍色の曇天。雪は落ちてこないながら、重苦しい冬の空の色そのもの。そんな空の下、「鬼」再演を翌週に控えて開催されたメディア向け公開リハーサルのため、りゅーとぴあを目指しました。視覚・聴覚に障がいを持つ方々と一緒に舞台に向かいます。館内のモニターにはNoism1メンバーによる「鬼」再演のPR動画が流されていて、見入りました。

その後、開始時間の13時少し前に受付を済ませて、劇場ホワイエに入りました。新潟のテレビ局からも3局が参加。公開リハーサル後の囲み取材に向けて準備に余念がありません。

そして昂ぶる気持ちのままに劇場内へと誘導され、開始時間を待ちました。この日、私たちが見せて貰ったのは、鼓童さんとの演目である『鬼』。その冒頭からの約20分間でした。
場内が暗転した後、静寂、そしてややあっての強打。昨年同様、そのトップシーンから既になす術なく絡め取られてしまうようでした。また、その後やってくる「総奏(トゥッティ)」の音圧といったら!あたかも場内の空気全体が異様な密度をもつ「塊」と化したりでもしたかのよう。劇場の椅子に身を置きながら、押し潰されそうなほどの圧を感じました。しかし/ですから、思ったのは、更にその音を至近距離にて浴びながら踊る身体たちのこと。それが如何ばかりかと。想像もつきかねますけれど…。目と耳を圧して迫ってくる本作はやはりもの凄い演目であると再認識した次第です。

13時20分頃、前半部分の通しでのリハーサル鑑賞は終了。そこから、金森さんからのフィードバックにより、照明や動きの音楽との同調性、位置の精緻な調整が始まりました。
ある箇所、カウントが定まっていない原田敬子さんの音楽にあって、演奏者と舞踊家とが(原田さん的にはOKなのか案じながらも)最上の実演を求めて、互いにじっくり時間をかけてやりとりを重ねる姿を目にして、そんなふうにして妥協を排して具現化されていく舞台作りに尊さの思いがこみ上げてくるのを禁じ得ませんでした。

囲み取材が始まったのは、予定段階では終了時間とされていた13時45分頃のことでした。ここでは、その取材時に金森さんと井関さんが語った内容を中心に、そのご紹介を試みます。

○『鬼』再演に関して
金森さん: Noism設立から19年の昨年。初めて新潟をテーマに作ったもので、新潟にある舞踊団として大事な作品。鼓童さんとの初めてのコラボレーションということもあり、早く再演したいと思っていたところ、井関さんが早めに決めてくれ、嬉しい限り。 
井関さん: この作品に関して、昨年は早々に完売となり、観られなかったという人も多くいた。再演は常々やりたいと考えている。新作において新しい出会いがあるのは勿論だが、再演にあっても、舞踊家、演奏家、演出振付家にとってたくさんの出会いがある。そうやって作品を練り上げていくことで「名作」となる。それは必然。この作品に限らず再演はやっていきたい。
金森さん: 演出家にとって(所謂)「再演」は一個もない。全て、今この瞬間に生まれている作品。実演芸術はホントに一期一会。今回、再演にあたって、より際立って収斂されてきた。舞踊家の身体の深度も全然違っている。(経済や文明の時間軸が発展や進化で語られるのに対して)「文化」とは蓄積であり、成熟である。それを味わえることも劇場文化の価値と言える。再演はまさにその貴重な機会。この一年半のなかで演出家として磨いてきたエッセンスが、そして舞踊家と演奏家の一年半の経験値が盛り込まれていて、あらゆる方向でパワーアップしていると言える。手応えは充分。新潟市の舞踊団であり、テーマは新潟。ひとりでも多くの新潟市民に観て欲しい。
井関さん: まだまだこれから進化(深化)できる。舞台に立って稽古できる環境があることを幸せに感じている。まだまだいける。今回、鼓童メンバーと話していても深度が違う。「この作品は新潟をテーマに、新潟の舞踊団と太鼓集団による作品。絶対に世界に持っていきたい」と話していた。その始まりとして、この再演がある。多くの人に観て欲しい。

その後、進行にあたったNoismスタッフの方から、①新潟での3公演にはいずれも終演後に30分のアフタートークが予定されていて、チケットがあればそれを聴くことができることと、②現在、Noism20周年記念事業に際して広報活動の強化のためのクラウドファンディングに取り組んでいることとが紹介されました。(「クラファン」、私も少額ですが、寄附させて頂きました。)そんな囲み取材が終了したのは13時55分でした。

待ちに待ったNoism×鼓童「鬼」再演。本当に深化(進化)が感じられる公演、いよいよ来週末の開演。「もう幾つ寝たら」とか数えることすら必要ないほどに迫ってきました。まだまだお席に余裕があります。こぞって、あの音に、あの舞踊に、あの世界観に身悶えしに行こうではありませんか。りゅーとぴあ〈劇場〉で深化した「鬼」を目撃してください。

(shin)
(photos: aqua & shin)

これは間違いなく羨望の的にして嫉妬の対象!「さわさわ会」誕生会・懇親会♪

2023年11月4日(土)の新潟市、イタリアン・Bit新潟店(3Fフロア)。霜月というのに寒さなどとは無縁の夕刻。前日にお誕生日を迎えられたタイミングで総会(18時)、及び誕生会・懇親会(18時30分)が開催されたのは「さわさわ会」。そうです、舞踊家井関佐和子さんを応援する会の会員たちが集い、誠に賑々しく、それでいて、とてもアットホームな得難い時間を過ごしたのでした。

常に私たちにとって憧れの視線の対象であり続ける井関さん。そのお誕生日をお祝いする会を、金森さんとともに、そしてNoism設立に大いに力のあった前新潟市長・篠田昭さんや当時の事業課長・田代雅春さん(現・秋葉区文化会館館長)も交えて、美味しいお料理とお酒を囲みながら執り行い、和気藹々の時間を過ごした訳ですから、もうこれは間違いなく羨望の的にして嫉妬の対象であると言い切ってよいかと思われます。

左から田代雅春さん、古俣舞愛(「舞衣子」)さん、篠田昭さん

私たちの憧れ、「新潟の誇り」にして「新潟の宝」をお迎えして、みんな終始笑顔でお誕生日を祝って過ごす時間のその贅沢さ。例えば、ワタクシ(shin)目線で切り取っても、ブログ用に写真を撮ろうと立ち上がった私に金森さんが視線を送ってくれたかと思うと、続けて唐突に「今日、日本シリーズ見なくていいの?」と(気を遣って、敢えて)弄って貰えるような一場面があったりと、(「日本」を一足飛びで超え出る、生「新潟から世界へ」と過ごす時間でしたから『おーん、そらそうよ』気分でしたし、実際、結果的には見なくてよかったのでしたし、)それはそれは幾重にも親しみに覆われた得難い空間がそこにはあったのでした。豊かな心持ちで浸り切りました。

ここから先はそんなふうにして撮った写真を以て、この夜に体感した溢れる贅沢さの一端でもお伝えしようと思います。(『かぐや姫』東京公演楽日に撮れなかった井関さんのピース写真を再びお願いして撮らせて貰ったものも含まれています。リベンジできて安堵です。)

来年度の「さわさわ会」総会・誕生会・懇親会について、会長の齋藤正行さんから実に斬新で、物凄く楽しいだろう計画も披露されましたし、この親密で開かれた会にあなたもご加入されては如何でしょうか。この贅沢さ、誰にとっても、きっと「プライスレス」です。(キッパリ)

齋藤正行「さわさわ会」会長を出待ちするの図

(shin)

新潟から発信された、圧倒的普遍性(サポーター 公演感想)

2023年8月11日(金・祝)日本バレエ協会主催「令和5年度全国合同バレエの夕べ」金森穣演出振付『畔道にて~8つの小品』再演感想

2020年、金森穣さんが初めて新潟市洋舞踊協会の依頼を受けて創作した『畔道にて~8つの小品』初見時の感動は今も忘れられない。若き舞踊家たちが、所謂「稽古事」や「バレエ」の枠を越えた金森作品に出会い、作品を生き、その体験がやがて「何か」をもたらすだろう予感と、作品そのもののシンプルかつ力強い魅力。Noismが新潟という土地に根差して生まれた傑作という感を覚えたものだ。その『畔道にて』が、日本バレエ協会主催の「バレエの夕べ」で再演されるとあって、先日の「サラダ音楽祭」に続いて東京へ出向いた。


会場は初台の新国立劇場内中劇場。「新国」と言うと、井上ひさしの『紙屋町さくらホテル』や「東京裁判三部作」制作などで幼い頃に存在を知り、いつかは訪ねてみたい場所だった。Noismと新国立劇場との共同制作の経緯について、金森さんの著書『闘う舞踊団』(夕書房)で知り、愕然としたことも記憶に新しい。


8月11・13日の二日間に渡って開催される「バレエの夕べ」。11日は関東・中部・関西・東北・甲信越・東京の六支部の作品が上演された。ご家族連れやバレエ関係と思しき方々で会場は華やぐような賑わい。休憩中には金森さんや評論家・三浦雅士氏を見かけ、『畔道にて』のバレエミストレスを初演時に続いて務めた池ヶ谷奏さんにもお声がけいただいた。


甲信越支部は19時過ぎからの五番手。上演が進むにつれ、照明の美的センスと間断無く(拍手する間など無く)展開する金森演出と、新潟の若き舞踊家たちの演技に、客席の空気が変容してゆく。若い世代の「孤独」にこそ寄り添い、「友情」や「恋」を衒いなく見せる振付。そして『NINA』の一場面を想起させる深紅の照明の中、灯火を手にした16人の舞踊家たちが登場する『歌い、』のシークエンスでは、その美しさに会場が静まり、やがて感動が拡がっていくようだった。門山楓さん・山本莉鳳さんにNoism1メンバー(中尾洸太・坪田光・樋浦瞳・糸川祐希)が加わる『愛や、』の悲愴感、まだ幼い福山瑛未さんに井関佐和子さんが未来を託すように寄り添って舞う『夢を、』の連続に、涙腺が決壊し、アルビノーニの「オーボエ協奏曲」(向田邦子作「ドラマ人間模様『 あ・うん』」の水田家と門倉の団らんシーンで使用されていた)に乗っての希望に充ちた祈りを思わせる群舞『語る。』に至って、『畔道にて』は新潟から生まれた傑作に留まらず、世界中の様々な土地で懸命に生き、惑う若者たちの万感を映し出す普遍的な「名作」との感を強くした。
公演後の場内のどよめきや、ご家族連れのお父さんが「度肝を抜かれた」と漏らす声を漏れ聞けただけでも、新潟から応援に駆け付けた甲斐があった。

(久志田渉)

2023年春爛漫の4月吉日、金森さんと井関さんの祝宴 賑々しく開催さる♪

2023年4月2日、これ以上望めぬほど抜けるような青空の日曜日、新潟市護国神社の迎賓館TOKIWA ガーデンヴィラを会場に、金森さんの令和3年春の紫綬褒章受章+井関さんの令和2年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞と、金森さん初の書籍『闘う舞踊団』(夕書房)刊行をみんなでお祝いする祝賀会が、定員を超える81名の参加者を得て、誠に賑々しく開催されましたことをご報告させていただきます。

司会は「月刊ウインド」編集部、安吾の会事務局長、舞踊家・井関佐和子を応援する会 「さわさわ会」役員と多くの肩書きをもつ久志田渉さん。ご本人の言では「すべてアドリブ」とのことでしたが、淀みなく流れるようにこの喜ばしい宴を進行してくれました。

ここではこの日の祝宴の進行とお料理を主に写真によって、ごくごく簡単にご紹介させていただこうと思いますが、まずはこちらからご覧ください。

□額装された賞状 

□祝宴編

*開宴前: スクリーンに投影されたNoism Compnay Niigataの公演映像が参加者をお出迎え。

*金森さん・井関さんご入場

①開会のご挨拶: BSN会長 竹石松次さん(発起人)


②花束贈呈: 新潟市洋舞踊協会代表 若林美江さん(to 金森さん)とCHIBI UNITY会長 国友慎之助さん(to 井関さん)


③金森さんご挨拶


④井関さんご挨拶


⑤乾杯: 前新潟市長・新潟青陵学園理事長 篠田昭さん(発起人)


⑥メッセージ披露: 夕書房 高松夕佳さん (司会・久志田渉さん代読)
お寄せ頂いたメッセージの全文を掲載します。(少し見辛くて恐縮ですが、)是非お読みください。

【註】メッセージ中、「サポーターズによる年表サイト『Noism Database Unofficial』」とありますが、こちらはあおやぎさんによる「Noismの非公式データベース(個人のサイト)」を指すものです。左のリンク欄からもいけますが、こちらからもどうぞ。

⑦スピーチ: 公益財団法人 新潟市芸術文化振興財団理事長 徳永健一さん


⑧スピーチ: 新潟市洋舞踊協会 内堀照子さん

⑨スピーチ: お笑い集団NAMARA代表 江口歩さん

⑩スピーチ: 新潟古町芸妓 舞衣子さん

⑪スピーチ(飛び入り): Noism活動支援会員 藤浦光俊さん(愛知より参加)


⑫スピーチ: Noism Company Niigata地域活動部門芸術監督/Noism0 山田勇気さん→Noism2リハーサル監督/Noism1 浅海 侑加さんと出席Noism1メンバー(庄島さくらさん・庄島すみれさん・中尾洸太さん・糸川祐希さん・杉野可林さん)の紹介(自己紹介)


⑬閉会挨拶+一本締め: シネ・ウインド代表・安吾の会代表・「さわさわ会」代表 齋藤正行さん(発起人)

*閉宴後: ホワイエにて金森さんと井関さんによるサイン会が開かれました。

□お料理編(+αとしまして、Iテーブル画像も♪)

途中、歓談のあいだに、「新潟美人」(新潟の女性や企業による「新潟からキレイを発信する」ためのプロジェクト)さんからの祝電のご披露もありましたことを申し添えます。
で、会場の雰囲気も、時間を追うにつれて心地よく解けてきて、主役のおふたり金森さんと井関さんをはじめとして、そこここでNoismメンバーたちとの写真撮影が盛んに行われるようになってきます。私もその例に漏れず、何枚も一緒に写真を撮っていただけました。有難いことでした。

宴の冒頭、司会の久志田さんが紹介してくれましたように、折からこの日(4月2日)、新潟日報朝刊の読書欄に「豊饒な地方文化拓く試み」の見出しのもと、早稲田大学教授・秋野有紀さんによる『闘う舞踊団』の書評が掲載されました。(恐らく日にちを選んでこの日の掲載としたのだろう)新潟日報も洒落たことをやってくれるなぁと思ったような次第です。

それにしましても、「新潟の誇り」「新潟の宝」であるおふたりの慶事をこうしてみんなでわが事のように、心おきなくお祝いできる機会というのもこれまであるようでいてなかったので、会場にいた誰にとりましても、ホントに得難い感激の一日だったかと思います。

…以上、誠に大雑把なご報告となってしまいましたが、スパークリングワインによる乾杯から始まり、麦酒を経て、白&赤ワインと飲み継ぎまして、そのアルコールによるものだけではない「酩酊」を味わった宴のことですゆえ、何卒ご容赦いただきますようお願いいたします。

(shin)

2022年大晦日、胸熱のBSNスペシャル「劇場にて」

新年明けましておめでとうございます。今年も一緒にNoismを応援して参りましょう。

さて、新潟県内在住のサポーターズの皆様は、前日、2022年の大晦日(15:30~)に放送された新潟放送開局70周年BSNスペシャル「劇場にて 舞踊家 金森穣と新潟」をご覧になられたことと思います。「『私のからだには新潟が宿っている』。活動18年、『Noism』金森穣は今なぜ『新潟』を踊るのか?『鼓童』との初共演にカメラが密着。地方と芸術、その核心に迫る。」として制作・放送された新ドキュメンタリー、本当に胸熱な内容でした。見る者、誰にとってもであるのは言うまでもないことですが、とりわけ、新潟市と市民にとっては。

更にその前日(12/30)に再放送された「芸術の価値 舞踊家 金森穣 16年の闘い」(令和2年度 文化庁芸術祭賞 大賞受賞:初回放送は2020/3/28)中に取り上げられていた「継続問題」のその後を扱うものでもあり、併せて見てみると、(市からの補助金も5,010万円から4,810万円へと、微妙に減じていましたけれど、)市側の要望に応えるべく、市民還元を推し進めつつ、同時に「新潟」をテーマに据えた『鬼』に取り組む金森さんの姿は、紛れもなく私たちにとってのシビックプライドそのものでした。

また、『鬼』のクリエイションから公演まで、(『鬼』に関するなら、トップシーンやラストシーンまで見られましたし、)時間をかけて取り上げてくれた今回のドキュメンタリーは本当に見どころ満載で、まさに「年末ジャンボ」と言ってさえ良い趣があるもので、私など、年末の大掃除モードとは明らかに異質な時空の「非日常」へと連れ去って貰いました。そんな人も多かった筈です。

当ブログでは、『鬼』のクリエイション中の様々な場面で発せられた金森さんの言葉から印象的なものを少し紹介していこうと思います。

―まずは今回、「新潟」をテーマとすることについて…

*18年たって、ようやくその核心に自ら踏み込んだっていう感じ。「アイディアとしての新潟」というのじゃないところにたどり着けそうだなという直感がそうさせたんじゃない?俺はただ「これだ!」と思うものしか作れない。なんで「これだ!」と思うのかはわからない。

-そのあたり、『鬼』の音楽を担当した原田敬子さんは「私は(新潟への)リスペクトじゃないかと思ってはいます。…どうでしょうか」と。

*新潟にはホントに感謝しかない。日本で舞踊家としてこの17年間活動してきたのは新潟があるからですから。

*舞踊家としての30代、40代をあるひとつのところで過ごすということは、もうそれはほぼ自分の人生を捧げるということに等しい訳です。そういう思いをもって新潟で活動してきました。

*極論、身体感覚として感じられないものは生み出せないんじゃない?俺にとっては「今ここにいる」っていう、「この身体でもっている」っていうことが全てなんだよね。それ以上でも以下でもないっていうかさぁ。

*舞台芸術って、そこに居合わせた人にしか届けられないものだから、少なからず居てくださった人たちに何らかの影響を与えている訳で、その影響がこの街をどういうふうに豊かにしていってくれるかなとか、変えていってくれるかなとかってさ、彼らの未来が、ということに思いを馳せることでしかさ、「今」に懸けられないんだよな。言ったら。

-山形・鶴岡市での『鬼』ツアー大千穐楽公演終了の様子に続けて、ナレーションの石橋静河さんの次の言葉に、喜びの「えっ!」と声が出てしまいました。「ほどなくして、Noismと鼓童の『鬼』は再演されることが決まった」

*やっていることの価値とか意義とかって言ったら、それはもう「新潟、凄いよね」ってことじゃない?で、まあ、敢えて俺が言ってる訳だけど。でも、もし叶うならば、数年後に海外ツアーとかなってくれば、ホントにそれは実現されるんだろうし、されると信じているから作ったし。でもこれもホントにもう始まりに過ぎないんだよね。これで終わりじゃないから。こっから始まる。

…とまあそんなところを抜き出してみました。

「芸術の価値」と重なる部分もありながら、この「劇場にて」は『鬼』に関して、舞台映像が流れる尺も長く、見ているだけで一気に客席に身を置いた2022年夏に連れて行かれ、ゾクゾクする気持ちが蘇ってきました。そこに番組終盤に至り、「再演決定」の報がもたらされるというビッグなおまけつきです!思わず、「石橋静河さん、有難う!」みたいなお門違いな感情も湧いてきたりして…。(笑)

私は職場絡みで声をかけられる人たちに今放送についてお知らせしておいたのですが、もし見ていてくれたならば、Noismの素晴らしさが伝わったものと確信するものです。『鬼』再演時には新たな観客となって劇場に足を運んでくれる筈です。そして金森さんのからだに宿る「新潟」!まさにシビックプライドをくすぐる胸熱のドキュメンタリーに仕上がっていたと思います。何とか、新潟県外の方々にも見て貰いたいものです。BSNさん、そこんとこヨロシク!です。

(shin)

Noism Company Niigata新体制 就任記者会見 開催♪

雨の一日となった、2022年9月1日。
Noism Company Niigataの新たなシーズン(19thシーズン)が始まりました!
シーズン開始にあたり、金森穣 芸術総監督、井関佐和子 国際活動部門芸術監督、山田勇気 地域活動部門芸術監督の就任記者会見が行われました。

2022年9月1日(木)15:00-15:45@りゅーとぴあ能楽堂ホワイエ
登壇者:
金森穣(Noism Company Niigata 芸術総監督)
井関佐和子(Noism Company Niigata 国際活動部門芸術監督)
山田勇気(Noism Company Niigata 地域活動部門芸術監督)
19thシーズンNoism Company Niigataメンバー全員

金森さん、井関さん、山田さんの順に就任の抱負を話されました。
金森さんは、
「2部門制になり、国際部門と地域部門を二人に任せることで、Noismは更に飛躍できると思う。何かあれば相談は受けるが、基本は任せて、自分は俯瞰して見ていきたい。井関にはNoism0,1を任せ、山田にはNoism2を一任する。現在、すでに二人が選んだメンバーになっている。
自分はレジデンシャル制度を成熟させていきたい。大きな視座に立って、Noismを導いていきたい」と話されました。

井関さんは、
「国際部門というと海外関係と思われがちだが、国内外という意味であり、初年度は内側の充実を図っていきたい。新潟からNoismのことを言葉と身体で発信していく。
先シーズンは鼓童と共演して新潟・東京圏以外の地域でも公演し、それぞれの地域の人たちの感じ方を味わった。Noismを知らない人たちにもNoismを知ってもらえるように届けていきたい」と話され、井関さんからNoism1メンバーの紹介がありました。

続いて山田さんは、まず先にNoism2メンバーを紹介してから、
「これまでもやってきたが、より一層、地域に貢献する活動を集中してやる。まずは小学校へのアウトリーチを増やして充実させたい。そしてオープンクラスを担当するので、Noismが培ってきた身体知を広めたい。皆さんには観るだけではなく体験してほしい。
そして研修生カンパニーであるNoism2を担当する。メンバーは夢と理想を持ってここに来るが、現実にぶつかり自分自身と向き合わざるを得ない。技術的なことだけでなく身も心も成長してほしい。2、3年で研修を終えそれぞれの道に進んで行く。一瞬の夢に賭けるメンバーを応援してほしい。地域の人たちに愛される集団になってほしい」と話されました。

以下は質疑応答からの抜粋です。
金森:レジデンシャル制度は、新潟市の行政が文化政策として芸術活動を担う、劇場文化の新しい形。これまで日本には前例が無い。行政と財団とNoismが地域の文化を担う。3者で相談しながら、5年以内に、他の地域にも取り入れられる汎用性のある制度にしていきたい。それはかなりハードルが高いことだが、それだけに献身する意義がある。

井関:市と財団とNoismの3者は対等である。その中のひとつであるNoism内側の体制を強化していきたい。舞踊家は自覚と責任とプライドを持ってほしい。Noism1がどのくらい実力をつけていけるかが勝負。
個人的には公演では、芸術監督ではなく一舞踊家として踊る。芸術監督としてこんなふうに出なくてもいいように、Noism1メンバーに前に出てほしい。いずれ引き継ぎたい。

山田:劇場に舞踊家がいることによって、いろいろ役にたつことができる。皆さんからも声を掛けてほしい。以前、市の人から海岸清掃を依頼されたとき、「こんなことを頼んでもいいんですか?」という雰囲気だった。もちろんできないこともあるが、こちらが思いつかないようなこともあるので、なんでも提案してほしい。地域のいろいろな人たちと繋がっていきたい。

金森:公演は海外からのオファーもある。コロナがもう少し落ち着いたら新潟の外に出たい。地域と、地球の裏側の両方で活躍する舞踊団が新潟にある。それは素晴らしいこと。私だけの夢や妄想ではなく、市民の皆さんと共有したい。

★メンバーのひと言(皆さん、恵まれた環境と応援に感謝していました)
Noism1
井本星那 Sena IMOTO:Noismとしての自覚を持ってやっていきたい。
三好綾音 Rio MIYOSHI:クオリティの高い公演を届けられるように精進する。
中尾洸太 Kota NAKAO:観に来てほしい。高みを目指し、伝えられることを増やしたい。
庄島さくら Sakura SHOJIMA:Noismらしく、且つ自分らしく踊りたい。
庄島すみれ Sumire SHOJIMA:たくさんの人に公演を観に来てほしい。
坪田光 Hikaru TSUBOTA:責任とプライドを持って邁進していけるように努力する。
樋浦瞳 Akira HIURA:新潟市出身で中3の時、Noismを観た。憧れの場所にいる。市民に興味を持ってもらえるように、身体でがんばって伝えていきたい。
杉野可林 Karin SUGINO(都合により欠席)
糸川祐希 Yuki ITOKAWA:プロの自覚を持ってがんばっていきたい。
凖メンバー
横山ひかり Hikari YOKOYAMA:舞踊の力を届けられるように精進したい。

Noism2リハーサル監督・Noism1
浅海侑加 Yuka ASAUMI:Noism2メンバーと一緒に活動していく。新たなことにチャレンジしたい。
(浅海さんはNoism1メンバーとして公演に出演することもあります)

Noism2
兼述育見 Ikumi KANENOBU:心も身体も成長したい。
土屋景衣子 Keiko TSUCHIYA:自覚と責任を持ってがんばる。
渡部梨乃 Rino WATABE:自分と向き合い、闘い、精進する。視野を広く持ち、市民と繋がり、いい踊りと思われるようにしたい。
太田菜月 Natsuki OTA:ひとつでも多くのことを学びたい。
河村アズリ Azuri KAWAMURA:心と身体を強くしたい。
佐藤萌子 Moeko SATO:自分と向き合って、上を目指したい。
高田季歩 Kiho TAKADA:目の前にあることに一つひとつ取組み、精進していきたい。
村上莉瑚 Riko MURAKAMI:心身の中から伝わるような表現ができるように努力したい。

新たな決意の新生Noism Company Niigata。まさにシビックプライド!
ますます応援して参りましょう!

(fullmoon)
(photos by aqua)

初見参の地・鶴岡を席巻したNoism×鼓童『鬼』ツアー大千穐楽♪

2022年7月30日(土)、この年の文月、各地を魅了し尽くしてきたNoism×鼓童『鬼』公演が、初見参の地・(灼熱の)山形は荘銀タクト鶴岡にて、賑々しくその大千穐楽を迎えました。

妹島和世(せじまかずよ)さんによる、至る所に「波」を思わせるデザインが取り込まれたコンセプチュアルな建物(←個人の感想です)は、どのホールにも似ていないもので、そこにいるだけでちょっと非日常の雰囲気が伝わってきます。大ホールに足を踏み入れると、目に飛び込んでくる千住博さんが描いた緞帳(『水神』)も目を奪うものがありますし、座席の配置が既にかなり個性的です。

また、和装の方も少なからずおられ、観客の雰囲気にも肌合いの違いが感じられたように思います。そんな初訪問のホールで、今季最後の舞台、Noism×鼓童『鬼』公演を観てきました。

まずは開演前のホワイエから。エントランス脇に原田敬子さんの姿を認めましたので、合流していたfullmoonさんと一緒に(ご迷惑も顧みず)ご挨拶に。この日も少しお話しさせていただきました。鼓童の演奏は新潟の初日から素晴らしかったが、ますます凄くなってきていると原田さん。「(太鼓)破れなきゃいいですけど」などとジョークも交えてくださるものですから、ここは訊くしかないと、アレについて訊ねてみました。勿論、クッキングシートについてです。ご紹介します。
Q:「クッキングシートは毎回、新しいものを使っているのでしょうか」
  -「あっ、摩耗ってことですよね。そこは鼓童さんたちがどうされているか、お任せしています」(原田さん)
…そして、特にメーカーの指定はないとのことでした。(笑)
Q:「クッキングシートのアイディアはどのようにして浮かんだのですか」 
  -「ワイヤーとかも色々試してみたんですけど。で、ドイツにいた頃のサンドイッチを包む紙はどうかと思って。『これだ!』となったのがクッキングシートでした」(原田さん)
本当に色々親切に教えてくださった原田さん、「新潟、スゴイですね」とも。この度もどうも有難うございました。その後、入口付近に展示されていた『鬼』譜面のコピー、まじまじと眺めてから席に向かいました。

逆光ですが、コラボTシャツ
S,M,L全サイズ揃ってました

16時、開演。『お菊の結婚』。波の音、襖と海兵将校(ジョフォア・ポプラヴスキーさん)。お菊(井関さん)に向けて伸ばされた右手はその目的を達し得ません。厳かな雰囲気かと思いきや、ストラヴィンスキーが流れ出し、1音目から、そうした受容は裏切られ、そこからはもうどんどん加速していく毒ある諧謔味のジェットコースターにでも乗った己を見出すかのようです。また、全体的には「和」テイストでありながら、遊女4人(三好綾音さん・庄島すみれさん・中村友美さん・杉野可林さん)の衣裳や醸し出す風情はそれを越え出て、日本とも中国とも知れず、「日本って中国のなかにあるんでしょ」みたいな西洋から日本へ注がれる眼差し、その関心の薄さや侮蔑を一目で伝えてくるかのように感じられます。

人形振り。西洋人ピエールの目に映る小柄な日本人のぎこちない動きが誇張されているだけでなく、ラストの悲劇に至る迄、一貫して己の意思と無関係に扱われるお菊の存在そのものが、全体の人形振りの中で、二重に人形として表現されています。

個人的には、終盤、喜色満面な紫の「鬼」と化す井本星那さん、「young and innocent(若くて無邪気)」な糸川祐希さんがツボなのですが、中毒性のあるこの演目、全員の動きが一様に素晴らしいことで、その酷薄さにゾッとすることは言うまでもありません。

幕が下り切る少し前から大きな拍手が送られて、休憩になると一斉にざわついた客席。場内は、今さっきまで観ていた舞台に引き起こされた興奮に覆われていたと言ってよい状況だったかと思われます。 

そして休憩後、『鬼』。静寂に摺り足。そこに最初の太鼓の連打がもたらされると、この日も場内のそこここから、虚を衝かれて声が漏れるのが聞えてきました。一瞬にして、休憩前とは違うことを納得させられた様子が感じられます。

この日の私の席は少し上の方でしたから、ほとんど目を上下させずとも、鼓童もNoismも視野に入ってきましたし、繰り返し観てきましたので、少し余裕もありで、これまで以上に鼓童にも視線を送ることができました。(クッキングシート、興味深く見詰めました。)それにしましても、「音が聞えてくる」という表現に滑り込むまどろっこしいタイムラグなどは皆無で、一瞬にして場内に音が満ちたり、はたまた次の瞬間には静寂に取って代わられたりする鼓童の入魂の演奏に、終始、全身が粟立つようでした。

鬼。人が尋常ならざる強度に晒されたとき、内面の恐れ(或いは畏れ)が投影されることで出会う異形。そう見るならば、それはもともと正邪など定め得ないものに過ぎません。清音尼がその身のうちに既に同居させていて、それとの間を行き来したり、女たちも、男たちも自身そう変わっていくことが何の不思議もない、鬼。そのあたり、創作段階における原田さんのリサーチと金森さんのスタディとが絡み合って初めて像を結び、可視化される「あわい」のような存在と言えるかと思います。ひとり役行者(山田勇気さん)だけがそれを対象として認識しようとしますが、ここでも清音尼(井関さん)に向けて伸ばされた右手はその目的を達し得ません。鬼出電入の鬼(金森さん)がその手を掴んで押しとどめるからです。直視しようする目は悉く覆われますし、見るべき存在ではなく、身を以て出会うべき存在ということでしょう。

また、役行者を中心とする冒頭すぐのユニゾンのシークエンスがそっくりリプライズ(反復)されることで、鬼を巡る役行者と周囲との関係性の変化が暗示を超えるリアリティをもって示されるところなど、何度観てもハッとさせられる見事さです。(鼓童が繰り出す耳を圧する分厚い音と暗転とがそのリプライズを可能とする契機を作っています。)

ラスト、あたかも眩しさに目を細め、魅入られたように、おぞましい笑みを浮かべる役行者、その視線の先には絡み合う男女の鬼。途切れ途切れに耳に達する鐘の音、緩やかに舞う金色。やがて無人となるも、鬼気森然たる趣を残したままに幕が下ります。

こちらも拍手は幕が下り切る少し手前から始まり、その後、場内に大音量で谺しました。ツアー最後、繰り返されるカーテンコールには、応じるスタンディングオベーションがあちらこちらに。(勿論、私も。)ステージも客席もみんな笑顔のうちに、『鬼』もとうとう見納めとなりました。

客席を出ると、新潟から来ていたテレビ局・BSNのクルーが鑑賞後のお客さんにインタビューをしている脇で、再び、『鬼』の楽譜のコピーにしばし見入ってから、新潟からのサポーターズ仲間と一緒に会場を後にしました。

それにしても、「感染爆発」とも言える新型コロナ第7波の渦中のツアーにあって、演者及びスタッフの誰一人として体調を崩すことなく、予定された全ての公演が無事に行われたことを心から喜びたいと思います。おしまいに、場内で叫べなかったひと言をここで。「ブラボー!Noism!」「ブラボー!鼓童!」サイコーでした♪

(shin)

Noismのいる「にいがたクリーンアクションin関屋浜」2022/05/29(SUN.)

「荒天だったら申し訳ないんだけど…」など思って参加不参加を決しかねたまま、「最終的には当日朝に」ってことで迎えた2022年5月29日(日)の朝は何ら迷う必要のないほどの晴天で、まさに「クリーンアクション日和」。6:30からの受付時間に向けて、関屋浜海水浴場の集合場所 Sea Point NIIGATAを目指しました。

現地に着いてみると、これ以上望めないくらいの上天気で、海に向かって左手側には、このあとNoism Company Niigataとのコラボが予定されている鼓童の本拠地・佐渡島の島影も目にすることができました。(写真は撮り忘れました。スミマセン。(汗))

日頃からやりとりしているNoismサポーターたちの姿を認め、言葉を交わしているうちに、Noismのメンバーとスタッフも集まってきます。みんな笑顔で挨拶を交わし合うその様子には、さながらファンミーティングのような趣も感じられました。この日の参加者は勿論、Noismサポーターばかりではありませんから、これを機会に身近に感じて貰えたらと思いました。

7:00になるとBSN三浦萌アナウンサーの司会で開会式が始まりました。続いて、山田勇気さんが参加者の前に立っての準備体操です。ゴミ拾い用のトングを用いることになる掌の開閉と手首まわりのストレッチから始まり、次いで、手を組んだ状態での前方、後方、上方へのストレッチ、そして両足のアキレス腱を伸ばす運動、最後に掌で全身を叩いて身体を目覚めさせる一連の手本が示され、一つひとつそれらに従うことで、参加者全員が徐々に「クリーンアクション」モードに移行していきました。(案じたような消耗系のシュールな準備体操である筈もなく、安心しました。(笑))

そこからの1時間、海辺の心地よさを全身で感じながらの海岸清掃は清々しい気分で行えました。更に、あちらこちらにNoismメンバーの姿がある海浜です。主にプラスチック小片の人工的な色に目を光らせて背を丸めていると、耳に入ってきたジョフォアさんの言葉、「Enjoy!」には、「そう。そういう気持ち、良いな♪」と思いましたし、私たちと一緒にトングを操る金森さんと、そんな金森さんを取材するBSNの坂井悠紀ディレクター、おふたりの写真を撮らせて貰ったりとか、そんなこんながてんこ盛りで、何とも楽しいワクワク気分のうちに時間は過ぎていきます。

「手にするものに違いが…」と金森さん(笑)


予定された1時間が過ぎて、8:00。参加者全員が集めたゴミを前に集合し、「Change For The Blue!」と唱和しての記念撮影が行われて、この日の「クリーンアクション」は終了しました。サポーター的には、早朝の海辺でNoismの皆さんと一緒に地域に出て活動する実にレアな機会を満喫しました。

その後、Noismメンバーたちが波打ち際付近で寛いでいるのを見ながら、サポーターたちと色々話して過ごした約1時間。気持ちよい開放感に浸れたことはご想像頂けると思います。

そして、会場を後にする直前、一番最後に金森さん井関さんとも少しだけ歓談。その際、撮らせて頂いた写真を掲載します。

井関さんの見事この上ないはまり方と言ったら!
そして「さわさわ会」のトートバッグを手に、金森さんとふたりのヴァージョンもステキです。金森さん、井関さん、有難うございました。

サポーター仲間から軍手の掌に乗せられた巻き貝の貝殻を、思い出と一緒にポケットに収めて、楽しかった関屋浜を後にしました。

この後は県知事選へ。皆さんも忘れずに投票を。蛇足でした。

(shin)

小学校へ、海岸へ…。りゅーとぴあから地域へ♪地域貢献を活発化させるNoism Company Niigata

暖かいを通り越し、暑いと感じられる日も多くなってきた2022年5月末の新潟市界隈。もしかしたら、一週間前のNoism2定期公演vol.13で若きメンバーたちが見せた「熱演」が季節をグッと進める効果を発揮したのかも知れません。

そのNoism2メンバーたちは公演後、市内の小学校へのアウトリーチに忙しい日々に突入しています。2週間(7日間)で12ヶ校の訪問とのことで、しかも、ほぼ大半を占める5日間は2校ずつの訪問という過密スケジュールを精力的にこなします。

「アウトリーチ」、どんなことをやるのかなぁと思っていたところ、5/27にFNNプライムオンラインが、前日(5/26)の大野小学校訪問の様子を伝えてくれました。

上のリンクからは、和気藹々に交流する様子を垣間見ることができますし、更に、「ここの場だけではなく、りゅーとぴあとか違うところでもまた活躍しているところを拝見したいです」と話した男の子の言葉にはダンサーへのリスペクトが感じられ、地域の文化継承にとって計り知れない意味をもつ活動であることがまざまざ伝わってきました。間違いなく劇場に環流するだろう流れ、その始原の営み。こんなかたちの「アウトリーチ」、実に羨ましい!ホント羨ましい!

また、その数日前の新潟日報(5/25)には、5/29(日)の県知事選関連の記事として、山田勇気さんが取り上げられていました。

新潟日報2022年5月25日朝刊より

「もしも私が知事になったら」という特集記事の中で、「文化を守り、発展させて地域を元気にしたい」とし、「心を豊かさは数字で計れないが、そうしたことを大切にしたい」と語る山田さん。9月にはNoism初代の地域活動部門芸術監督に就任されます。上にあげた「アウトリーチ」を含めて、舞踊団とそれを抱える地域とのWin-Winの関係構築に向けて一層精力的に動いてくれることは間違いありません。Noism Company Niigataがこの国唯一の劇場専属舞踊団であるのですから、それは、大袈裟に言えば、この地上、未だかつてどこにも存在しなかった類いの活動になる筈とも言えるでしょう。期待は膨らみます。

そして、知事選の日程繋がりでもうひとつ。選挙当日5/29(日)の朝7:00~8:00(受付6:30~)に新潟市・関屋浜で「春の海ごみゼロウィーク2022・全国一斉清掃キャンペーン」が行われ、清掃前の準備体操をNoismメンバーが指導してくれるというかつてないかたちの触れ合いの場面が用意されています。『NINA』だとか、『R.O.O.M.』だとか身体を酷使する系の準備体操ではないとは思われますが、たとえそうだったしても、シュールで面白いだろうなぁと妄想は止みません。(笑)

以前、『箱入り娘』のラストシーンが撮られ、今般のアウトリーチでも披露されている『砕波』のイメージの源泉とも言える「ニイガタ」の海岸、そこを清掃する活動。円環が綺麗に繋がり、Noism Company Niigataの新生面を見る思いです。そしてまだまだ見たこともないこの舞踊団の姿は無数にあって、この先、それが一つひとつ、地域・市民と共に形作られていくとしたら…。Noism Company Niigata、既に私たちにとっての「シビックプライド」の対象なのですが、更に更に「ちむどんどん」でしかない訳です♪

追記: 知事選において、「山田勇気」と投票したいところですが、山田さんはNoismに不可欠なだけでなく、そもそも無効票となってしまいますので、お控えください。蛇足でした。(笑)

*翌日開催された「にいがたクリーンアクションin関屋浜」の様子についてはこちらからどうぞ。

(shin)

2022年7月Noism×鼓童公演に向けて、『鬼』特設サイト設けらる♪

きたる7月、Noism Company Niigataと鼓童という、世界に向けて本県のパフォーミングアーツを牽引する「新潟ツートップ」が本格的に初共演します。双方の本拠地である新潟を皮切りに、埼玉、京都、愛知、山形と巡るツアーですが、募るその期待感の「受け皿」として、この度、強力な特設サイトがオープンしました。

こちら、もうご覧のことかと存じますが、内容「鬼」充実で、読み応え満点なうえ、更に以前の金森さんと鼓童・船橋裕一郎さんの「代表対談」動画も見ることが出来ます。2020年7月に配信されたこちらの動画に関しては、本ブログでも取り上げております(「金森さん×「鼓童」船橋裕一郎代表オンライン対談@鼓童YouTubeチャンネル」)が、そのなかで、金森さんが「オレ、せっかちだから」としながら、「そのへんの制作の人」に訴えた「2022年の春夏でお願いしま~す」の共演が実現するのがズバリ2022年7月!さすがはこれまで数々の開かずの扉をこじ開けてきた「有言実行の人」金森さんですね。

作曲家・原田敬子氏による新曲でNoism×鼓童により新たに創作される『鬼』。原田さんと言えば、富山・利賀村で上演されたNoism0『speed/ still/ silence』(@第9回シアター・オリンピックス:2019)の音楽に立ちこめる不穏な濃密さの印象が記憶に新しいところです。そして同時上演されるのはディアギレフ生誕150周年記念・Noism版ストラヴィンスキー作曲『結婚』。こちらのバレエ・カンタータも打楽器と歌を中心とした特異な組み合わせの楽曲ですし、出るのは鬼か蛇か、今から両作に溢れるだろう豊穣なリズムに乗って展開される「異形」の舞踊を妄想しております。

この新作2本立てダブルビル公演は、最初の速報チラシによる告知以来、ワクワク感しかなかった訳ですが、この特設サイトを見ることで、更にそのワクワク感は加速し、身悶えするまでに至ること必至です。まだご覧になってない方は是非とっぷりご堪能ください。

(shin)