『春の祭典』、感動の新潟公演楽日の締めは金森さん相手のサプライズ♪

*この度の東海や関東を襲った豪雨とそれに伴う水の被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。

2021年7月4日(日)、『春の祭典』本公演の新潟楽日は舞踊家たちの入魂の熱演により、本当に感動的な舞台を観ることが出来ました。

バルコニー席にも一部、観客を入れるなど、この日の劇場はほぼ満席。埋め尽くされた客席から湧き上がる感動を伝える拍手は音量が違っていました。発声が止められているなら、もう本気で叩くしかありませんものね。そして、本気で叩かなければ済まないような舞台が続いたのですから、当然と言えば当然だった訳ですが。

新潟での全3公演をすべて観たのですが、この日は、新潟での見納めという思いを抜きにしても、どの演目も、その演目の持ち味が際立つ見事な舞踊が展開され、それを見逃すまいと目を皿にして見詰めるうちに、涙腺が決壊しそうになったり、鳥肌が立ったり、気持ちを煽られたりと大忙しで、感情の振り幅の大きさに身を浸し、その時間を堪能しました。

ここからはタイトルに含ませた金森さん相手のサプライズについて書くことに致します。この日の観客は劇場に足を踏み入れた時点で、全員ある計画の「共犯者」となり、その時を待っていたことになります。正確には、入場時、手渡されたプログラム、チラシの束の、その一番上に一枚、見慣れない「紫」の紙片を目にしたときからです。

「紫」色の紙片は「confidential(極秘)」
(「紫」の再現性がいまいちでスミマセン。)

「黒幕」は紛れもなく芸術副監督。知らないのは金森さんただひとりらしく、みんなが「ぐる」という「ミッション」は、もう完全な「うっしっし」状態で、心が躍りました。

そして、やがて、最後の演目『春の祭典』が客席を大きな感動に包んで、その幕が下りる時が来ます。客席からは、いつもの如く、否、いつも以上に大きな拍手とスタンディングオベーションが舞台に贈られました。とりあえず、新潟の3公演を踊り終えた舞踊家たちは前日までとは違ったリラックスした表情を浮かべています。その列に金森さんと井本さんが加わるのもこれまで通りです。もう会場中の誰もが笑顔で手を叩いている図になり、カーテンコールが繰り返されていきます。その笑顔はいつしか、「へまをしてはいけない」と自らに言い聞かせつつ、今か今かと「実行」の合図を待つ「ほくそ笑み」の要素が大きくなっていった筈です。たったひとりを除いて。

あれは何という曲なのでしょう、遂に、祝祭感に満ちた晴れやかな音楽が流れてきました。観客は一斉に「紫」の紙を掲げ、舞台上の舞踊家は金森さんの方に向き直っての拍手に変わり、場内の全員による紫綬褒章受章を祝う時間となりました。全ての視線は金森さんひとりに集中します。上方からはキラキラした紙片が舞い落ちてきます。場内の誰もがそれ迄に倍する笑顔に変わりました。事態が飲み込めず、キョトンとし、いつになくキョロキョロするたったひとりを除いて。

「6歳で踊り始めた穣さん、46歳で紫綬褒章受章。おめでとうございます」マイクを握った井関さんから、コロナ禍で授章式が中止となった状況下、「みんなでお祝いを」と、このサプライズの趣旨が話されたのですが、さすがは「大人の事情」に強い井関さん、一緒に暮らしていても感づかれたりすることなしにこの時を迎えられたようです。

『Fratres』のように容赦なくではありませんが、キラキラする紙片が舞い落ち続けるなか、『春の祭典』第一部後半のようにメンズとガールズに分かれた舞踊家たち。メンズが金森さんの長躯を掲げて、その下で騎馬を組むと、舞台シモ手袖からはNoism2リハーサル監督・浅海侑加さんを担ぐガールズの騎馬が登場。浅海さんの両手には大きな花束が抱えられていて、大喝采のなか、金森さんに贈られました。

「こんなの、Noismを17年間引っ張ってきて初めて」、更に「一生の思い出になりました。その思い出を多くの皆さんと共有できて本当に幸せです。…このような大変な時期に、こんなにも劇場に来て貰って」と感謝の言葉を口にした金森さん。その場の雰囲気を「引退式みたい」と表したときには、会場中から大きな笑い声があがり、すかさず、「まだまだ踊りたいですし…」と続けると、更に万雷の拍手が贈られました。観客もひとり残らず、この「サプライズ」に加われたことを喜んだ筈です。

豪華4演目と、その後、コンプリートしたミッションに、劇場はこの上ないくらいの幸福な一体感に包まれていました。お陰で、通常なら、楽日の終演後には必ず抱く「Noismロス」とも無縁で帰路につくことができた程です。この日の観客も一生、このお祝いのことは忘れないだろう、そんな確信をもってりゅーとぴあを後にしたような次第です。

さあ、『春の祭典』本公演、次は7月下旬の埼玉公演(7/23~25)、札幌公演(7/31)です。同地のお客様、感動の4演目、満を持して登場です。期待MAXで、今暫くお待ちください。

(shin)

『BOLERO 2020』特別上映と井関さんのトークを堪能♪ (@新潟市民映画館シネ・ウインド)

汗ばむような晴天の2021年6月5日(土)、期せずして同様に「2020」なる年号をその冠に据えた、さるスポーツイヴェントへの灯火運搬継走が実施された新潟市。交通規制の影響やら駐車場の混雑やらがあると嫌だなと思い、早々に万代界隈に入って迎えた新潟市民映画館シネ・ウインドでのNoism映像舞踊『BOLERO 2020』特別上映プラス井関さんのトークイヴェント。さしたる混乱もなく移動できてホッといたしました。

全席完売のこの日、トークの司会を担当される久志田渉さん(さわさわ会副会長)の「混雑を避けるために早めに発券を済ませて下さい」の言葉に従ってチケットを手にして入場時間を待っていると、続々見知った顔がやって来て、シネ・ウインドがりゅーとぴあと化したかのようで、いつものミニシアターとは異なる雰囲気に包まれていきました。

予告編上映なしで、定刻の17:30に、徐々に館内が暗くなると、Noism映像舞踊『BOLERO 2020』の上映が始まりました。そこからの16分弱、これまで幾度となく様々な端末で覗き込むようにして観てきた映像舞踊が、映画館のスクリーンに投影されてみると、まるで新鮮な体験そのものであることに驚きました。大きく映る分、誰を観るか、どこに目をやるかを選択しながら意識的に観る感覚もこれまでにないものでした。また、終盤、モノクロも混じってくる箇所では『ニューシネマ・パラダイス』(ジュゼッペ・トルナトーレ)クライマックスのモンタージュシーンのような趣を感じたのですが、それもこの日の新たな肌合いでした。あくまで個人的な感想ですけど…。

ラヴェルが作り出す高揚感の極みのうちに、上映が終わると、大きな拍手が沸き起こり、それは途切れることなくエンドクレジットの最後まで続きました。個人的に、映画のスクリーンに向かって拍手したのは『シン・ゴジラ』(庵野秀明)の「発声可能上映」のとき以来2度目のことでしたが、そこは「りゅーとぴあ化」したシネ・ウインドですから当然と言えば当然ですよね。

で、終映後、ほどなくして井関さんのトークイヴェントに移行しました。

以下、久志田さんの仕切りで井関さんが語った内容を中心に紹介していこうと思います。

『BOLERO 2020』のクリエイション: コロナ禍の昨年のこの時期作っていた。『春の祭典』公演がキャンセルとなり、ポッカリ空いた時間。舞踊家には踊り続ける必要があり、忘れられたらおしまいという思いもあった。突然作ることになり、『春の祭典』と同時進行で、2週間くらいで仕上げたもの。金森さんは数年前から「ボレロ、ボレロ」と言っていたこともあって、ベジャール版はあまり意識することもなかった。当初からそこにカメラがあり、他者の視線の象徴としてカメラは必然だった。

『BOLERO 2020』の撮影: 当初はメンバーの自宅で撮影する案だったが、メンバーが強く拒否。なかには「東京に住んでいます」などと見え透いた嘘をつく者(「香港人」!)まで出るほど。(笑)で、SWEET HOME STORE TOYANO店の協力を得て、撮影できることになったが、撮影できるのは定休日の1日かぎり。それも窓外からの自然光が変わってしまう19時には撮了する必要があった。9時に井関さんの撮影から始まり、一人あたりMAX45分でいかないと12人は撮れないタイトさ。みんな本当にパニックで、祈るような気持ちだったが、撮影を終えたメンバーがカメラの後ろでカウントを打したり協力して一発撮りを乗り切った。編集(遠藤龍さん)も大変だった筈。細かく音を覚えている必要があり、「第2のダンサー」と言える。

『BOLERO 2020』がもつ別の可能性: いつか生で観て欲しい。映っていないところでやっていることもあるので、一人ひとり全ての映像も観て欲しい。「きっと生でも…」、意味深な様子で大きく眉を動かしながらそう繰り返した井関さん。スタジオでも全員一緒に踊ったことがあるのだそうです。興味を掻き立てられずにはいられませんよね。

芸術選奨、「新潟発の舞踊家」: (受賞の感想を求められ、)遠い昔のような…。でも、びっくりした。こういうニュースって、何も考えていないぼーっとしている時に来るんだなと思った。故郷の高知にいたのが16年に対して、新潟で暮らし始めて17年。新潟という地方での活動を日本の舞台芸術の方々が「新潟発の舞踊家」と評価してくれたことが嬉しかった。この街、この舞踊団がなかったら、私はどこにいたんだろうと思う。このコロナの状況下、東京の舞踊家もウーバーイーツで食いつなぎ、踊るどころじゃないなか、改めて、専属舞踊団の意義を強く感じる。新潟の時間と場所が与えられていることから、言い訳は出来ない、最高のものを見せなければならない。

Noismのこれから: ①「『春の祭典』は研ぎ澄ますだけでなく、何か変わってくると思います」と井関さん。リハーサルでもカウントが変わっているし、細部の変化も20数人が合わさると大きな変化になる。「サプライズ・ヴァージョンです」と笑う井関さん。

②(Noismの精力的な活動予定に関して)「もっとあります。大人の事情で言えないんだけど、いっぱいあるんです」と微笑んだ井関さん。

③『夏の名残のバラ』は、金森さんが自身、「初の映像監督作品」とも位置づける作品。井関さん的には、4人と踊っているような作品で、その4人とは、山田さん、カメラさん、コードさん、枯れ葉さん。見た目の印象とは異なり、実に実験的な作品でもある。

映画館、そして劇場: 見知らぬ人と一緒に観る体験。その場所に行かないと味わえないエネルギーの通い合いがある。自由に非日常に触れることが出来るようになって欲しい。

…ここには書き切れないほど、多彩な内容が語られた充実のトークイヴェントも、やがて終わりの時間を迎えると、館内に再び大きな拍手が谺しました。

その後、ロビーでの井関さん関連書籍の販売に際して、サイン会も行われる由。私も「Noism井関佐和子 未知なる道」(平凡社)を改めて一冊求め、井関さんと金森さんおふたりにサインをして頂きました。

そして一緒に写真を撮って頂けないかとお願いすると、金森さんから「勿論」と快諾を頂き、そこからはもう入れ替わり立ち替わり、大撮影会の風情に。シネ・ウインドの入口付近は大盛り上がりを見せ、金森さんも「記者会見?」と笑うほど。これはもう嬉し過ぎる余禄♪そこで撮った写真のなかから数枚ご紹介します。

さて、もう残り一ヶ月を切った7月2日(金)に『春の祭典』りゅーとぴあ公演の幕が上がります。この日のトークでその日までのカウントダウン感も大きなものになりましたが、まずは、それまでにもっともっと映像舞踊『BOLERO 2020』を観倒したくなったような次第です。そんな人、私だけではない筈。こちらのリンクもご利用下さい。

『BOLERO 2020』特別上映レポートはここまでと致しますが、もう一枚、画像の追加です。司会を担当した久志田さん、司会のみならず、準備から大忙し、もう八面六臂の大活躍でしたので、その労を労いたく、こんな一枚を。久志田さん、色々ご苦労様でした。そして中身の濃い時間をどうも有難うございました。m(_ _)m

渾身の墨書!

また、『BOLERO 2020』に関しましては、当ブログ中、以下の記事も併せてご覧頂けましたら幸いです。

それでは。

(shin)

祝!金森さん、紫綬褒章受章♪(速報)

新潟日報紙2021/4/28付け朝刊より

大型連休直前の2021年4月28日(水)、いつものように朝の支度をしていると、acoさんからメールがあり、今年の「春の褒章」における、このビッグニュースを知りました。嬉しいですね、これは。まさに新潟市の誇りにして宝。金森さん、おめでとうございます♪

今回も、内示から発表までの間の、口外できない「大人の事情」期間は相当長いものだったと察せられます。その分、この朝、私たちにとっては嬉しい嬉しい「サプライズ」だった訳ですけれど。

それにしても、井関さんと合わせて、このところの受賞&受章ラッシュ、めでたい、本当にめでたい♪

まずは簡単ですが、速報ということで。

【追記】県内各メディアも報じていますので、ご覧下さい。

*当初、「受賞」と表記していましたが、褒章関連では、「受章」が正しいことから表記を改めました。

(shin)

新潟日報紙が続報!芸術選奨文科大臣賞受賞の井関さん「Noismがなければここまで成長できなかった」

先日、井関さんの受賞について、地元紙・新潟日報が報じた配信記事による「第一報」にはやや肩透かしをくらった感もありましたが、あまり時を隔てることなく、今日(3/6)付けの同紙朝刊が、今度はその「文化面」に井関さんの喜びのインタビュー記事を続報として掲載してくれた旨、acoさんが教えてくれ、早速確認致しました。

新潟日報2021/3/6付け朝刊より

「日報さん、有難うございました。こうでなきゃ」

でも、この日の記事のリードで取り上げられた井関さんの言葉には「新潟の舞踊家として新潟のみなさんに喜んでいただけることが何よりうれしい」とあるのですし、やはり第一報のそもそもから「中見出し」くらいは岡本健一さんではなく、井関さんでいって欲しかった思いは今もありますから…。(笑)

今回の記事、読み進めますと、先日のインスタライヴでのトーク内容が補完される記事であるうえ、7月の『春の祭典』時に、この度の「贈賞理由」において言及された『夏の名残のバラ』再演が決まったことも取り上げられています。あの「清冽な」表現を再び目にすることができること、そしてますます多くの方に観て貰えることに、楽しみがいや増します。

日報さん、(この度は)どうも有難うございました。(否、「いつも有難うございます」という気持ちも当然ありますが…。)(笑)

(shin)

祝♪井関佐和子さん、芸術選奨文部科学大臣賞受賞!

2021年3月3日、嬉しい報せが飛び込んできました。先月の金森さんの受賞につづき、今度は井関さんが令和2年度(第71回)芸術選奨文部科学大臣賞受賞のビッグニュースです♪

3/4付け新潟日報朝刊より

文化庁が公表した「贈賞理由」にもありますが、名実ともに「新潟発の日本を代表するダンサー」としての認知が広がることはとても誇らしいことですし、井関さん自身も「新潟発の舞踊家として、こうして新潟の方々とも喜びを分かち合えることが本当に嬉しいですし、この新潟そしてNoismがなければ、私はここまで成長することも出来ませんでした」とその思いを述べておられます。誠に嬉しい限りです。

この度の受賞はとりもなおさず、「Noismの活動が(新潟)市全体の文化活動に良い影響を与える」ことに他ならず、新潟市が昨年度のNoismの活動に下した評価(総合評価:B)はかなり控えめなものであったということをも表していると思います。

併せて、上にあげた翌朝(3/4)、受賞を報じる新潟日報の記事も、惜しむらくは、配信記事を用いて第一報を打つだけでなく、一歩踏み込んで、「県民の新聞」としてともに喜び合う体のものであって欲しかったところです。井関さんも「決して平坦な道のりではなかった」と振り返っておられることに思いを馳せてみますとき、私たちは、この度の受賞を単なる「慶事」として喜ぶにとどまらず、中央(国)が認めた「新潟から世界へ」のこの素晴らしい活動と成果を、当該の地方(新潟)として、更に後押ししていかねばならないと考えるからです。

おっと、お祝いムードからあまり逸れてしまってはいけませんね。スミマセン。

次のリンクも併せてご覧下さい。

井関さん、改めまして、この度の受賞、本当におめでとうございました。

(shin)

Noismの16thシーズンに、市側「要求水準達成」の評価と新潟日報が報じる♪

2021年2月20日(土)付け新潟日報朝刊が、その新潟面にて「ノイズム要求水準達成」と報じている旨、acoさんが知らせてくれました。出先でその知らせを受けましたので、帰路、コンビニに寄って同紙を購入して、その記事を読んだところです。

更に、新潟市のHPによれば、「令和2年11月19日(木曜)に開催した『Noism Company Niigataの活動評価に関する有識者会議』での意見交換を踏まえ、16thシーズン(令和元年9月から令和2年8月まで)の活動評価を行いました」とのことで、その詳細な「Noism Company Niigata評価書・16thシーズン(令和1年9月~令和2年8月)」についてはこちらからどうぞ。

評価の視点は「上演活動」「地域貢献」「国内他館との連携」「Noism以外の作品鑑賞」「コンプライアンスの遵守」「職員の労務管理」の6つで、前15thシーズンとの比較に基づきながらの「自己評価」とコメント付きの「市評価」に加えて、「市による総合評価(所見)」等を読むことが出来ます。

コロナ禍の影響もあり、数値が残せなかった項目も多くあったことを考え併せるなら、「総合評価:B」=「要求水準(評価指標)が達成されている」とされたことは、シーズン毎の評価が導入された初年度としては、充分に市側の要求や期待に応えるものと認められたことを意味し、至極当然のこととは思いながらも、やはり内心ホッとしました。

その評価、市側の所見はこう結ばれています。「今後もしばらくは、公演やワークショップが制限されることとなるが、公の施設であるりゅーとぴあの専属舞踊団としての自覚をもって、Noismの活動が市全体の文化活動に良い影響を与えるよう取り組んでいただきたい」と。

先般の『Duplex』のチケットが早々に完売し、来月(3月)予定のNoism1メンバー振付公演2デイズも発売から僅か1時間足らずでソールドアウトとなったほか、同月開催される市内の老舗ホテルオークラ新潟での「応援しよう、ノイズム。その創造性と身体表現に迫る」&「絶やさない、新潟のおもてなし」のフランス料理付きイヴェントも満席となるなど、今、Noismへの注目度は増している実感があります。であるなら、この時をとらえて、市側も自ら抱える専属舞踊団の更なるPRに力を注いで欲しいものです。市は第三者ではなく、まさに当事者なのですから、充分なバックアップに期待するものです。Noismは新潟市の誇り、新潟市の宝ですゆえ。

(shin)

めでたい♪「Noism」特番、芸術祭大賞受賞!おめでとう、BSN新潟放送!

聖夜のオルガンコンサートの華やぎの記憶も新しいところですが、2020年のクリスマスはまだ終わっていませんでした!そう、プレゼントはまだ残ってたのです!それは…

祝!BSN新潟放送!「芸術の価値 舞踊家金森穣16年の闘い」、2020年度芸術祭賞テレビ・ドキュメンタリー部門大賞受賞!(文化庁・12/25発表)

受賞を知らせる新潟日報12/26朝刊記事

このたびの受賞ですが、テレビ・ドキュメンタリー部門での大賞受賞は県内民放では初めての快挙とのこと。BSNテレビではそれを記念して、新年1月20日(水)午後7時からの再放送を発表しています。嬉しい限りですね。「オール新潟」で喜び合うことができますね♪BSNのニュースサイトには、「『芸術』が目に見えない大きな力を与えてくれることを信じ、応援したい」と高く評価された由が記されています。同ニュースサイトへはこちらからどうぞ♪

コロナ禍一色だった2020年、「芸術」のもつ意義も各所で取り沙汰されました。延期や中止に見舞われる公演が相次ぐ中、当たり前に「それ」がある日常の豊かさが再確認された年だったとも言えるかと思います。奇しくも、同番組はNoism活動継続問題を取り上げ、一足先に、行政や企業による芸術への支援の必要性を世に問いかけていました。

「密」になる他ない性質を有する「劇場」をどう再始動させるかが問われた2020年にあって、金森さんとNoism Company Niigataは、今だからこそやる意味のある取り組みとして、過去作品のオンライン公開からはじめて、映像舞踊『BOLERO 2020』の製作・公開という成果を生み出してみせました。それらに接することが出来た私たちは、苦境の2020年にあってさえ、深刻な「Noismロス」には陥らずに過ごすことが出来た訳です。そしてそれはそのまま、誰もが自分の人生に占める「Noism」(或いは「芸術」)の比重の大きさを思い知ったことでもありました。

そうした思いと同根の問題提起を行う番組として必見です。まだご覧になっていない方は是非この機会にご覧ください。

改めまして、「大賞」受賞おめでとうございます♪

(shin)

本日(9/19)の新潟日報朝刊「窓」欄に拙文を掲載していただきました♪

先月末、かれこれ3週間前に地元の新潟日報紙「窓」欄に宛てた投書が、本日(2020年9月19日)の朝刊に掲載されました。下に載せますので、まずはお読みください。

2020/9/19新潟日報朝刊「窓」欄より

「投稿後、3週間」というのが掲載されるリミットのようですから、今回の投稿は「ボツ」なのだと思っていたところ、ギリギリ滑り込みで、6度目の掲載。新潟日報さん、どうも有難うございました。m(_ _)m

タイトルの変更と文章の整理を施していただいたうえでの、ギリギリの掲載は、採用されたタイトルが何やら中高生っぽくて赤面したくなる気も致しますが、「最高」は「最高」なんだから仕方ありませんね。そして、「最高」の2文字が持つ日報購読層への訴求力は小さくないのでしょうし。でも、そうなら、更にもう一歩踏み込んで「サイコーかよ」とでも表記して貰いたかった気も致します。(笑)

Noismの今回の公演のクオリティ、そしてそれを実現にこぎつけた関係者の方々の努力、それら全てが「サイコー」で、それら全てが「私たちの未来(新しい日常)を作っていく」、そう感じた次第でした。「未来とは、今である」とは、さる米国の人文学者(マーガレット・ミード(1901~1978))が語ったとされる言葉です。その意味で、「未来」に繋がる「今」を目撃した気持ちを込めて書いた文章でした。

追記: 平田オリザさんと金森さんの「柳都会」(2016/4/23/)につきましては、こちらにレポートをアップしてございます。そして、今回の投書で引いた元の発言は、「芸術そのものの役割」中の「被災時の『自粛』の風潮を巡って」語られたなかでお読みいただけます。気の利かない記事ですが、ご参照ください。

(shin)

Noism2定期公演vol.11中日ソワレを観に行く♪

前日の天気予報では雨が酷くなりそうだった2020年7月11日、土曜日の新潟市。雨は降ったりやんだり程度で、ひとまず安堵。この日の定期公演はマチソワの2公演。そのうち、ソワレ公演(18:00開演)の方を観に行きました。

入場から退場まで、幾重にも新型コロナウイルス感染症への予防措置がとられたりゅーとぴあは、この困難な時代に公演を打つことにおいて、いかなる油断もあってはならぬという意識がかたちをとったものでした。

共通ロビーからスタジオへのドア手前の
サーモカメラ曰く
「正常な体温です」
この方もカメラに収めていました
誰あろう、「芸術監督」さん♪

画像のデータで確認しますと、17:10のことです。芸術監督氏も同じ場所に立ち、管理体制の一端をカメラに収めていました。その様子をまたスマホで撮った画像を、直接、ご本人に許可を頂いて、掲載しています。「盗撮だね♪」と笑いながら、「いいですよ」と応じてくれた金森さん。有難うございます。

入場整理番号、10人ずつ検温してから
4階・スタジオBに進みます
場内で許可を得て撮りました。
隣とは3席、或いは2席とばした
「赤」の座席のみ着席可です

そうして進んだ場内で、山田勇気さんをお見かけしましたので、「やはり、『おめでとうございます』ですよね」とご挨拶すると、「そうですね。有難うございます」のお答え。

さて、前置きが長くなり過ぎました。この日の公演について記していきます。

最初の演目は、金森穣振付Noismレパートリー。昨日、及びこの日のマチネとは異なる別キャストだそうです。ダブルキャストなのですね。

見覚えのある衣裳、見覚えのあるメイク、そして聞き覚えのある音楽…、かつての名作にあり余る若さをぶつけて挑んでいくNoism2メンバーたち。今回、抜粋された場面は、どれも趣きをまったく異にする3つの場面。それらを一気に踊る訳ですから、彼ら、彼女たちにとっては、大きく飛躍するきっかけとなる筈です。

なかでも目を楽しませたのは、やはり最後に置かれた『NINA』でしょう。それも観る者の情動を激しく揺さぶり、昂ぶらせる、あの「赤」の場面です。これはもう敢闘賞もの、燃え尽きんばかりの頑張りに気分も上がりまくりでした。

15分の休憩を挟んで、プログラム後半は山田勇気さんの新作『黒い象/Black Elephant』です。

客電が落ちる前から聞こえ出す、海中、それも深海を思わせるような、たゆたうような、終わりを想像し得ない音楽のなか、照明はあるものの、暗く、黒く、不分明な舞台空間。それはいかに目を凝らそうとも、しかとは見えないような具合の色調。見ること、見えるものに疑いを抱かせるような案配とも。

「cutting(カット)」、裁断されて提示される場面の連続は、それらを繋ぐ糸、そんな「何か」を見つけようとすることを徹底して拒むかのようです。目の奥の脳を働かそうとするのではなく、目に徹して見詰めるのがよいでしょう。翻弄され続けるのみです。今回、それがテーマに適う態度というべきものかと思いました。若い8名が熱演する「決定不可能性」、魅力的です。

場内の席から、この舞台を目撃した観客を数えることはさして難しいことではありませんでした。スタジオBには35名の観客(と山田勇気さん)。収容人数の3分の1ということで設けられた上限人数マックスの観客はもれなく、「お値段以上」で、「この感動はプライスレス」とでも言うべき熱演を満喫したに違いありません。その人数からして、「耳をつんざく」とは言えぬまでも、惜しみない、心からの拍手が続いたのがその証拠です。

3日連続で、この日も200名を超えるコロナウイルス新規感染者が確認された東京。私たちを取り巻くネット環境の拡大・進展に、もうこの世界が「ボーダーレス」であるかのように感じていた私たちは、具体的な場所(トポス)の制約を受けることなく、どこにいても文化そのものにアクセス可能になったかのように錯覚してしまっていたのでしたが、具体的な身体は具体的な場所にしかあり得ず、人の移動、及び「対面」が不可避であること、「劇場」の、そのどうしようもなく不自由な性格は否定しようがないものだったことに改めて気付かされ、同時に、文化の東京一極集中は、文化そのものの中断を意味しかねない、相当に危うい事態だと思い知らされた気がします。日頃の稽古を含めて、東京から離れた場所、新潟市に拠点を置くからこそ行い得た公演、そうした側面を痛感したような次第です。

8人を追いかけて見詰める両目が歓喜に震える時間。私たちはこうした時間が好きなのでした。日本のアートシーンを考えたとき、この日の80分×2回において、間違いなく、新潟市は日本の中心にあった、そう言っても決して大袈裟ではないでしょう。居合わせる栄誉に浴した35名の至福。そんな思いに誘われるほど、久し振りに「劇場」で充実した時間に浸れたことを有り難く感じました。

若さの何たるかを観る機会となる今回の定期公演も、あと明日の一公演を残すのみで、チケットは既に完売。明日、ラストの公演をご覧になられる方は是非心ゆくまでご堪能ください。

(shin)

金森さん×「鼓童」船橋裕一郎代表オンライン対談@鼓童YouTubeチャンネル

新潟のアートシーンを背負うふたつのグループの代表による対談が実現しました。勿論、ひとりは我らが金森さん。そのお相手、もうおひとりは佐渡を拠点にこちらもワールドワイドな活動を展開してきた太鼓集団「鼓童」代表の船橋裕一郎さん。

対談のテーマは「新たな時代における芸術・文化の役割と可能性」。

「with Corona」時代、即ち、「3密」要素を退けつつ活動していくことを余儀なくされる「新しい生活様式」或いは「新しい日常」にあって、これまで東京という「中心」ではなく、新潟という所謂「周縁」で活動を展開してきたふたつのグループの代表ふたりのお話は、東京の「中心」性を異化し、その「中心」自体を書き換えるようなことも起こし得る、「周縁」が持つ動的なダイナミズムに満ちていて、もしかしたら、「この先」の舞台芸術を志向するうえでのアドバンテージとなりそうなものすら感じられるようでした。

30分弱にわたって展開された穏やかにして熱いオンライン対談「新潟から世界へ Noism×鼓童・代表対談」は、こちらからどうぞ。お話は以下のように進行していきます。

  • 2006年ぶりですね: 13年前の金森さんによるワークショップ
  • お互いのグループについて: お互いの変遷、代表としての思い
  • 若いメンバーの力: 「こういう時期だからこそ」のアイディア、「集団にとって必要なこと」、異なる年齢層・世代、或いは多国籍の豊かさ
  • 積み重ねての今: 継続(鼓童は来年40周年を迎える)、「いきなりそこには行けない」
  • 新型コロナウイルスの影響: 欧州ツアーの中断(鼓童)
  • 鼓童ヨーロッパツアーへの影響: 主催者側からのキャンセル
  • Noismへの影響は: 延期の判断と「どんな形であれ見せたい」思い、「できることをやるしかない」「なんとしても踊る場所を設けたい」
  • 鼓童の自宅待機: 世の中の状況も見ながら、初めて「音も出さずに過ごした一ヶ月半」稽古もやめてみた
  • 自宅待機期間~ここ最近の活動: 当たり前だった「叩いてこその筋肉」再認識、自分と向き合うことの気付き
  • この期間に得たもの: 「bright side」「怪我の功名」「自分の内側を見つめる良い機会」
  • やはり自宅だけでは…: 精神を含めた全身運動、複合的な連動、「広い空間で、空間を認識した上で、身体を大きく、空間的に使うこと」(Noism)「アンサンブル=他人(ひと)の音をどう聴くか、反応し合うこと」「お客さんがいる中でどういう反響・共鳴があるか」(鼓童)
  • (再び)新型コロナウイルスの影響: 「いつまでこれが続くのか」このなかで何ができるのか知恵を絞る必要がある
  • 今年のアース・セレブレーションは無観客&オンライン配信(鼓童): 様々なチャンネル・新しいチャレンジ
  • 動画配信と生の舞台(Noism): 生の舞台の何割減とはならない強度で「映像化するからこそできること」「ライヴとは違う舞踊の面白さ」を目指す配信用の舞踊作品を創作中。同時に「生の醍醐味」その普遍性も追求(Noism・鼓童)
  • Noismと鼓童で作品作りましょう: 「近い将来」(金森さん)、船一本で往来可能な「地の利を活かしたコラボレーション」(船橋さん)→新しい可能性、2022年春夏に何かが起こる?
  • パフォーマーの交換留学します?: 船橋さん提起→金森さん「お互い厳しくするという大前提で 。帰ってきたときに『ああ、ここで良かった』って思えるくらい厳しくするっていう前提で、送り合おうか」(笑)
  • ロベール・ルパージュさんとの新作〈NOVA〉(鼓童): 踏まえてきた40年の歴史と斬新さ
  • エア握手
  • 新潟から発信: 「プロフェッショナルなカンパニーとして、一緒に何か作り上げていく」(船橋さん)
  • 劇場文化の可能性: 「まだまだ日本の劇場文化には可能性がある」「一石を投じ続けて16年。という感じ」そして、新潟が理解してくれたこと、「新潟がその日本の可能性をある種証明している」(金森さん)
  • 活動を続けていくということ: 「支援のありがたみを感じる機会でもあった」「新潟に、ここまで志もあって、レベルの高いカンパニー(Noism)があることが心強い」(船橋さん)「有難うございま~す」(金森さん)

全編29分03秒。終始、寛いだ雰囲気で進行するお話は、聞きどころ満載です。是非お楽しみください♪

(shin)