胸に迫る万感と感涙、そしてその先へと~Noism20周年記念公演「Amomentof」新潟公演の幕おりる

2024年6月30日(日)、Noism20周年記念公演「Amomentof」新潟公演楽日の新潟市は昼過ぎから雨。あたかも一足先に天がホームでの最終舞台となるのを惜しむかのように、数時間後の私たちの心を映した天候となっていったのでしょうか。そんなふうにすら思えてしまうほど、楽日の心持ちには寂しさも忍び込んでいたりします。

この日は15時の開演でしたが、通常より30分早い14時ちょうどにホワイエまでの開場となり、そのホワイエ内で同時刻に『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟』の上映が始まり、多くの人たちが大型モニターの前に立ち、その優れたドキュメンタリーに見入っていました。

そうでなくても、楽日の賑わいを示すホワイエ。この日の公演に足を運んだ方々のなかには、金森さんの芸術監督招聘およびNoismの設立に関わった篠田昭前新潟市長や、鼓童とのコラボレーション『鬼』の音楽を作曲した原田敬子さん、そしてかねてより金森さんと親交が深く、『ラ・バヤデール-幻の国』において空間を担当した建築家・田根剛さんといった面々の姿がありました。(とりわけ、ご自身も登場するドキュメンタリーに視線を送る原田さんの姿には興味深いものがありました。)

約55分の尺をもつドキュメンタリーが半ば過ぎに差し掛かった14:30、客席への入場も始まりました。チケットカウンターには「当日券あります!!」の表示があったりもしましたが、この日の〈劇場〉はほぼ満席に近かったように見えました。

20年!そう、20年前に今のNoism Company Niigataを、ピークを更新し続ける日本唯一の公共劇場専属舞踊団の姿を想像できていた人は恐らく、そう多くはなかったのではないでしょうか。勿論、金森さんを除いて。

「すみずみまで明瞭にイメージできたことは間違いなく成就するのです。すなわち見えるものはできるし、見えないものはできない。したがって、こうありたいと願ったなら、あとはすさまじいばかりの強さでその思いを凝縮して、強烈な願望へと高め、成功のイメージが克明に目の前に『見える』ところまでもっていくことが大切になってきます」そう書いたのは京セラを設立した稲盛和夫氏(著書『生き方』(サンマーク出版)より:同書は「あの」大谷翔平選手がお勧めの本として挙げる一冊。)ですが、恐らく、金森さんが歩んで来た20年の軌跡にも、ここに引いた内容と重なる部分が大きかったものと推察されます。(稲盛さんの「見える/見えない」という言い回しは、奇しくも前日のアフタートークにおいて、音楽に振り付ける際のキーワードとして金森さんが使ったものでもあります。)

この度の記念公演の舞台を観ていると、新潟と世界が直結されている、或いは、今のこの一瞬間、ここ新潟はある意味、間違いなく世界の中心と言って差し支えなさそうだ、そんな普通なら途方もない放言と捉えられかねない思いさえ、自然に信じられてくるのです。恐るべし、金森さん。余人をもって代え難い芸術総監督、そう思う所以です。そして、今この国にあってそんな類い希な芸術家を支援することの豊かさや誇らしさといったらそうそうあるものでもないのでは。そんな思いも。

「今、自分が日本の劇場で働けていることは誇りなんですね。海外への憧れよりも、もっと素敵な『夢』を20年かけて作ってきてくれたという思いをのせて公演をよいものにしたいです」4月19日の20周年記念公演「Amomentof」記者発表の席上、そう語ったのはNoism1メンバーの三好綾音さん。(ウォルト・ディズニーではありませんが、)「ワンマンズ・ドリーム」を着実に根付かせるといった「偉業」に対して、(その闘いを知る)メンバーから贈られたこの言葉に相好を崩した金森さん。そして今公演で踊るメンバーたちを「みんないい顔をしている」と評したのは金森さんと井関さん。大きく頷いた山田さん。信頼やら発展やら継承やら…。素晴らしい公演にならない訳がないのです。

新潟楽日のこの日も終演後、りゅーとぴあ〈劇場〉は割れんばかりの拍手とどんどんその数を増していくスタンディングオベーション、そして飛び交う「ブラボー!」の掛け声に満たされました。誰もが幸せを絵に描いたような表情を見せています。(最高潮に達したところで終わりを告げるマーラーの楽曲、前日同様、それにつられて湧き起こった拍手すらご愛敬に見えました。)

20年!当たり前のように新潟の地にあり続けたNoism。一瞬一瞬の献身によって、弛むことなくピークを更新し続けた20年。しかし(これも前日のアフタートークで語られたことにはなりますが、)20年という年月にすら、何かを成し遂げたという感覚はなく、常に今日より明日、すべての可能性はここにあるとして更に先へと目を向ける金森さん、井関さん、山田さん。翻って私たち観客は、だから、次から次へと、常に純度の高い良質な刺激に恵まれた20年を過ごしてこられた訳です。それを幸せ以外のどんな言葉で言い表せましょうか。

『Amomentof』も『セレネ、あるいは黄昏の歌』も、Noism20年の軌跡の果てに、今この時点で結実した「奇跡」のような2演目であり、同時に、そこにはNoismに伴走してきた私たち観客側の年月も(当然に)織り込まれる筈ですから、涙腺破壊指数が高くて当たり前な道理です。舞踊家と観客、向かい合う2者が、非言語の「舞踊」を介して(無言のうちに)20年の区切りを寿ぐことになる2演目と言えます。

しかし、安住することを嫌うのが金森さん。この間の金森さんの言動によって想起させられるものはといえば、やはり彼が常々唱える「劇場文化100年構想」でしょう。20年をかけて、既に言葉以上のものとなっている金森さんの「ワンマンズ・ドリーム」、その軌跡を情感豊かに可視化させた2作品にまみえることを通じて、更に長い100年というスパンで劇場文化を捉える視座のもとに、一緒に明日の劇場を作っていく観客という名の「同志」として誘われているようにも感じた次第です。胸に迫る万感と感涙、それを携えながら、更にその先へと。金森さんと一緒なら。
…そんなことを感じた新潟3daysの楽日でした。

さて、全舞踊ファン必見のNoism Company Niigata 20周年記念公演「Amomentof」ですが、今度は約1ヶ月後の7月26、27、28日、埼玉3days(@彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉)です。期待に胸を膨らませてお待ちください。

(shin)

Noism 20周年記念公演新潟中日の眼福と楽しかったアフタートークのことなど♪

2024年6月29日(土)の新潟市は抜けるような青空。気温も上昇して、梅雨はどこへやら、もう夏本番とも言えそうな一日でした。前日、幕が上がったNoism 20周年記念公演新潟3daysの、この日は中日。公演グッズの黒Tシャツを着込んで出掛けました。

この日は花角新潟県知事と中原新潟市長も来られていて、記念の舞台をご覧になられました。そして旧Noismメンバーたちも多く訪れていて、そのうちの数人とホワイエでご挨拶したり、お話したり出来たのは嬉しい出来事でした。

この日も2演目はそれぞれに胸に迫ってきました。当然のように。

『Amomentof』では金森さんと井関さん、『セレネ、あるいは黄昏の歌』でも井関さん、それぞれが投げ掛ける眼差し、その表情を見逃すまいと注視しました。

その他、『Amomentof』では羽根のように軽やかに舞う舞踊家の姿に陶然とし、はたまた、『Mirroring Memories』を彷彿とさせられましたし、『黄昏の歌』の方は、「暴力」への、そして「暴力」からの流れを追う見方を意識したりしてみたほか、脱ぐこと、脱がせること、着ること、それらをみんな纏うことと一括りにしたうえで、年をとり、老いることも年齢を纏うことと見るなら、作品全体を貫くかたちで様々に「纏うこと」の主題が読み取れるなぁ、もうちょっと考えてみようかなどと思ったりしました。

ふたつの演目を見詰める間中、途切れることなく眼福に浸り、至福のときを過ごしたことは言うまでもありませんでした。
しかし、『Amomentof』のラスト、マーラーの音楽が消え入ったタイミングで、(無音のなか、まだ作品は続いているのですが、)拍手と「ブラボー!」の掛け声が飛んでしまったことは若干残念ではありました。でも、あの流れからはそれも仕方ないのかなとか、そんなことがなかった初日は逆に凄かったなとか思っていました。
また、『黄昏の歌』が終わってからのスタンディングオベーションの拡がりにはこの日も気持ちが昂ぶるものがありました。(1回おまけみたいなカーテンコールがあったりして、舞台上も客席も全員が意表を突かれて「エッ!?」ってなって、それだけで笑顔が増しましたし。)

で、この日のレポートの中心はその後、金森さん、井関さん、山田さんが登壇して行われたアフタートークでのやりとりとなります。そのアフタートーク、強烈な感動の余韻に浸ったままの場内、3人が現れるや、金森さんが口火を切って「あれだけ踊った後に、どんだけ酷使するんだろう、Noismは」と始めてまず笑いをとったのち、アフタートークも井関さんがやることに決めたのであって、「やらされている訳ではない。変な風評が立ったりもするんで」と自ら笑って、もう掴みは完全にOKでした。
この先は掻い摘まんでということにはなりますが、ちょっと頑張って、以下にご紹介を試みたいと思います。

☆年齢とともに感性の変化あるか
金森穣さん(芸術総監督): あるとは思うが、あんまり比べる必要もないかなと思い、そこまで意識していない。感動はそのときそのときのもの。
山田勇気さん(地域活動部門芸術監督): 拘るところが変わってきている。若い頃は動きとか細かいところに目がいったが、今は立つだけとか、歩くだけとかに。あと、踊りを始めたのが遅かったので、ある程度ここまでかなという思いがある。じゃあどうするか。シフトチェンジが必要かなと。
金森さん: でも、なんならピルエットもガンガンやっていたし、若い子たちには出来なくてもいいんだっていうふうに勘違いしないで欲しい。そういうことじゃない。
井関佐和子さん(国際活動部門芸術監督): 涙もろくなった。感性の幅が広くなったり、深くなったり。今回、踊っていて、みんなのことを見てて、ああいいなぁと。
金森さん: みんないい顔しているなぁと思った。見詰める視座が変わる。年齢を重ねるのはいいこと。

★日々のスケジュールはどんなか
井関さん: ・09:30~10:30 Noismメソッド(Noism2とNoism1新メンバー)
      ・10:30~12:00 Noismバレエ
      ・12:00~13:00 稽古①
      ・13:00~14:00 昼休み
      ・14:00~16:00 稽古②
      ・16:15~18:00 稽古③     

☆名古屋での公演予定はないか、公演を増やす計画はないか
井関さん: 今のところ、名古屋の予定はないが、呼んでくれればいつでも行く。新潟での公演回数を増やしたいのもヤマヤマだが、今回も公演ギリギリまで8月の利賀村での新作(『めまい』)のクリエイションをしていたし…。昨年は高校生だけを相手に踊ったスペシャルな公演もあった。ここ(劇場)に呼んでまたやりたい。
金森さん: まあ、でもチケット売れないからねぇ(笑)。
山田さん: 新潟市内全部の小学校まわりたいし、Noism2で長岡とか行ってみたい。
金森さん: もっと県内展開もしたい。

★『セレネ、あるいは黄昏の歌』を見ていると脳内にセリフが溢れるてくるが、舞踊家はどうか
金森さん: 言葉としては浮かんでこない。しかし、非言語だとしても、大事なのは「語ること」。 
井関さん: 客席が静かななか、舞台上でメンバーと「無言の会話」はずっとしている。自分は基本、「やかましい」と言われる。

☆井関さんが一番思い出に残っている衣裳は何か
井関さん: 「一番」となると難しいが、思い入れで言ったら、故・堂本教子さんによる『夏の名残のバラ』の赤い衣裳。生地に拘って色々語っていたのを思い出す。(*これに続く井関さんの発言は今公演の演目に関係する部分が大きいため、ここでは敢えてご紹介を差し控えさせて頂きます。その点、ご容赦ください。)

★新潟での一番の思い出は
山田さん: (しばらく考えてから)急性膵炎で入院したことかな。まず正露丸、それから痛み止め、そして入院。1週間くらい絶食した。メンバーがお見舞いに来てくれて。
井関さん: (山田さん同様、思いを巡らせたのち)メンバーのことならよく覚えているけど。
金森さん: 俺に過去のことを訊くのはやめた方がいい(笑)。

☆知事と市長が観にきていたが、何か言いたいことはないか
金森さん: Noismは世界的な舞踊団になってきている。是非活用して欲しい。(→場内から大きな拍手)

★20年間でどこがピークだったか
金森さん: 今に決まってる。ピークを過ぎたと思ったらやめている。

☆これまでに一番チャレンジングだったことは
井関さん: 作品が毎回チャレンジング。サプリを飲んで乗り越えている。チャレンジしていないと生きている気がしない。マッサージをして、今日よりは明日というふうに、舞踊には挑戦を求める。目標を掲げるのは得意じゃない。日々乗り越えていくだけ。
山田さん: (井関さんと)一緒、というか、一緒になった。それがないと、足りないなぁと思うようになった。
金森さん: 「Noism病」だね(笑)。こんなふたりだから、チャレンジし甲斐のある何かを差し出していかなければならない。

★今回のマーラーとヴィヴァルディ(マックス・リヒターによるリコンポーズ版)の音楽はどうやって決めたのか
金森さん: 直感。いずれ創作したい楽曲(や作品)はたくさんある。その時々のカンパニーの状況などを考えて決めているだけ。今回のマーラーも、いずれ作りたかったのだが、ああ、ここだなと。作りたいものはたくさんあるが、時間がない。時間をください。

☆マーラー交響曲第9番の第4楽章を振り付ける予定などはないか
金森さん: 今のところはない。(→質問者から「特殊な曲で、ダンスにするのは難しいかも」と言われるや)そう言われると作りたくなる(笑)。
創作にあっては、音楽を聴いて、舞台が見えたら、それは取っておく。見えないものは使わない。選曲に関しては割に素直で、有名とか(有名でないとか)は気にしない。
(→また、質問者から「以前の『Der Wanderer-さすらい人』について、シューベルトには960曲に及ぶ歌曲があるが」と向けられて、金森さん、「歌曲は手に入るもの700曲くらい聴いた」と答える。)

★怪我もつきものかとは思うが、メンテナンスとか工夫とかはどうしているか
山田さん: ストレッチして、マッサージしてという感じ。
金森さん: 本番のときには、Noism設立当初から、専門のトレーナーに待機して貰っている。
井関さん: 舞台に立てなくなるので、怪我が一番こわい。日々、マッサージやトレーニングでケア。踊りのことと同時に体をケアしていて、それが50%くらいを占めているかもしれない。海外の踊り専門に治療する方のYouTubeを見ている。それと、血液と酸素が今の私のテーマとなっている。
金森さん: 基本はもっとよく踊りたい、もっと長く踊りたいという気持ち。ケアした方がそれに近付ける。若い頃は寝りゃあ治るみたいなところがあったが、ケア自体も楽しめるようになると、ただ苦しいだけじゃなくなる。

☆Noism 20周年。とても幸せな公演だった。これからのことを聞かせて欲しい
山田さん: 本番は本番で、20周年とかはあんまり関係なかった。よく区切りとかという言い方をされるけれど、今日を精一杯やるとか、今日の課題を明日にとかは変わらない。
地域活動部門では、学校公演を行って、長い時間をかけて浸透させていくのがミッション。
井関さん: 20周年と言われるが、ただ20年が過ぎただけ。それによって、何か成し遂げたという実感はない。今回、メンバーと一緒に踊っていて、全員の目を見て踊っていると、魂が通い合った、嘘じゃない目をしていた。それを求めていた。『Amomentof』で見たみんなの目がホントにピュアで、始まりの一歩に思えたし、これからへの確信を得た。
金森さん: 全ての可能性はここにある。20年間続けてきたことの実績に価値がある。この舞踊団の素晴らしさと可能性。どこにこの身を賭けて、どういう判断を下していくか。その根底にあるものはずっと変わらない。新潟と世界を繋ぐことである。明日もチケットはちょっとだけあるそう(笑)。
井関さん: 公演回数が増えるように(笑)。公演回数を増やしましょう(笑)。

…といった具合で、約30分間の楽しいアフタートークでした。金森さん、井関さん、山田さん、お疲れのところ、どうも有難うございました。

そして、皆さま、今後、「公演回数が増えて」いくためにも、「ちょっとだけある」明日のチケットがソールドアウトとなって欲しいものですね。そのため、まだご覧になっておられない方、或いは、既にご覧になった方、どちらも明日、かっちりした予定が入っていない向きはご購入(ご鑑賞)のご検討をお願いいたします。20周年記念公演の2演目は観る度、新鮮な感動が待っていますゆえ。では、新潟公演楽日にお会いしましょう。

(shin)


金森演出と舞踊家の熱演が多幸感を連れてきたNoism20周年記念公演新潟初日♪

2024年6月28日(金)、雨予報が出ていた新潟市の空模様でしたが、どうにかこうにか持ちこたえるかたちで20周年記念公演の開演を迎えることとなりました。

この日はコンサートホールでのピアニスト反田恭平さん出演のコンサートとまる被りだったため、駐車場が混む前にと早めにりゅーとぴあ入りしておいて、まずは17:30からの4Fギャラリー『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟』上映会(入場無料)に足を運び、Noismが醸し出す空気感を先取りして身に纏い、記念公演に臨んだような案配でした。

18:30開場。ホワイエに進むと、入り口を入ってすぐのところに私たちサポーターズからの花があり、お祝いムードに色を添えることが出来ていて、嬉しく思いました。

見上げると横一列にこれまで20年間の公演ポスターがずらり。色々な思い出も蘇ってきます。

その下、いつものサポーターズ仲間たちとやりとりしたほか、この日が初Noismとなる友人夫妻とも談笑しながら携えてきた期待感をパンパンに膨らませて開演を待ちました。

19:00を少しまわって、客電が落ちると、緞帳があがり、舞台上に銀色のバレエバーが見えてきます。『Amomentof』世界初演の幕が上がりました。しばしの無音からやがて聞こえてくるマーラー。その大きくうねるような音楽に乗って総勢25人が紡ぎ出すのは、あたかも「地層」のように積み重ねられていく一日一日の弛まぬ稽古に始まり、舞踊家の心の揺れもみせながら、矜持と献身が結実に至る様子。積分され、やがて再び微分されていくNoismが刻んだ20年という時間。この作品を通して、目にしかと映じるのはその年月が常に刹那の積み重ねとして(稽古場で、或いは舞台上で)意志をもって生きられてきたという疑いようのなさに尽きるでしょう。
今日までそうした刹那の献身を一瞬毎、目撃してきた私たち。そんな私たちの涙腺を狙い撃ちにした金森さんによる感動的な仕掛けについては書かずにおきます。是非ご自身でまるごとご体感ください。

20分間の休憩後、今度は劇場版の『セレネ、あるいは黄昏の歌』です。前月、黒部の前沢ガーデン屋外ステージで観たときには、その圧倒的なランドスケープを味方につけたスケールの大きさが印象的だった訳ですが、そこはやはり金森さん、今度は有限な劇場空間において、装置と照明とにより、濃密な肌触りを醸し出したばかりか、幽玄な拡がりまで可視化されていました。そうした手捌きの見事さは、これまでにも巡演先の舞台形状の違いから大きく異なるヴァージョンで上演された『ROMEO & JULIETS』といった例もありましたが、今回もその例に漏れません。
開花、生気に満ちる若さ、暴力、老、死、呪術的な振る舞い、そして再生。巡る四季も、金森さんにあっては牧歌的な範疇では描かれません。悲喜、正邪、清濁、聖俗、その振れ幅の大きさに観る者の心は激しく揺さぶられることでしょう。

カーテンコールは二つ目の演目『セレネ、あるいは黄昏の歌』が終わってから。割れんばかりの拍手と大勢のスタンディングオベーション、そして飛び交う「ブラボー!」の声、声、声。りゅーとぴあ〈劇場〉内にはただただ笑顔のみ。身を浸すは多幸感。そこはもう感動した観客と熱演した舞踊家のみんなでNoismの20周年をお祝いする祝祭空間と化していました。カーテンコールは何度も何度も繰り返され、もうホント永遠に続くのじゃないかと思われたほどでした。

おめでとう20周年! 有難うNoism Company Niigata! そしてこれからもずっとNoismのある新潟市で!

そしてかく言う私たちNoismサポーターズも20周年なのです!「サポーターズ・インフォメーション#10」も是非ご覧ください。

そしてそして買いました、買いました。Tシャツとクリアファイル、もう嬉しい、嬉しい。(でも、残念ながら、既に黒TシャツのSサイズは売り切れとのことです。ご注意ください。)

明日(気分的にそう書きましたが、もう随分前に日付を跨いでおりますので、正確には「今日」ですが)、このTシャツを着ていこうかな、そんなふうに考えていることを記しながら初日レポの締め括りと致します。

この情感豊かで圧倒的な記念公演、新潟はもう2公演あります。まだまだお席はお求めになれる様子。皆さま、くれぐれもお観逃しなく!ですよ。

(shin)

Noism 20周年記念公演「Amomentof」公開リハーサルに行ってきました♪

2024年6月21日(金)@りゅーとぴあ〈劇場〉


今日は夏至。薄曇りで凌ぎやすいお天気♪
Noism20周年記念公演「Amomentof」活動支援会員/視覚・聴覚障がい者/メディア 向け 公開リハーサルに行ってきました!

今回は『Amomentof』の前半部分を見せていただきました。
Noism0,1,2、総出演!
マーラーの交響曲第3番 第6楽章「愛が私に語りかけるもの」が静かに始まり、バーに集っていた舞踊家たちは・・・
(DIRECTOR’S NOTEより:『Amomentof』に副題をつけるとしたらそれは「舞踊が私に語りかけるもの」となる)
https://noism.jp/amomentof-20th/

Noismバレエを主体とした美しい舞踊が次々と展開され、音楽と相俟って、ため息のでる美しさです✨
見惚れました。
20数分ほど見せていただきました。
後半はどうなるのか!? いやが上にも期待が高まります。

金森さんは『かぐや姫』でブノワ賞(優秀なバレエ関係者に与えられる世界的に権威のある賞)に振付家としてノミネートされており、この6/25にモスクワのボリショイ劇場で授賞発表が行われます。
https://thetokyoballet.com/news/2024-4.html
そんなことも頭をかすめる、感嘆の美しさでした。

前半公開のあとは、ステージ上で15分ほど見直しがあり、その後 囲み取材へ。


金森さんのお話:
・『Amomentof』のテーマは「舞踊とは何か」(舞踊イコール愛=生であり、死である)。
・物語は無い。音楽の情感をいかに舞踊化するか。
・他のメンバーは出入りがあるが、佐和子(=井関さん)は出ずっぱり。
・佐和子のこれまでがあって今がある。
・バー(と鏡)はメタファ―であり、舞踊家にとって身体とセットのものだが、いずれはバーから離れなければならない。そのとき何につかまるのか。他者や愛を知る。

井関さんのお話:
・自分は常に客観性をもって踊っているが、この作品には引っぱられるものがあり主観的になってしまう。踊りながら「ありがとう」と思うのは初めてで、感謝の気持ちになる。
・音楽による情感の移り変わりが激しい。映像ではなく、生で、劇場で、潮の満ち引きのような音楽と舞踊の波にのまれてほしい。

衣裳は本番仕様で、ステキな袖なしユニタードでした♪
金森さんの黒い服も衣裳で、自前ではないそうです(笑)

『Amomentof』を生で見に来ない人には自分たちについて語らないでほしい、
とまで言う金森さん。
『セレネ、あるいは黄昏の歌』も大作です。
なんと上演順はまだ決まっていないそうです!

見逃し厳禁、必見の豪華記念公演!
いよいよ来週末開幕!チケットあります!
▼チケット:https://piagettii.s2.e-get.jp/ryutopia/pt/
https://www.ryutopia.or.jp/performance/ticket/

特に6/28(金)19:00、6/29(土)17:00おススメ。土曜はアフタートークもあります♪
公演時間110分。観ないともったいないですよ。
「Noism20周年祭り」(金森さん談)、ぜひお運びください。 楽しみですね!

(fullmoon)

BSNテレビ特番『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟』上映会&トークショーに行ってきました♪

2024年6月14日(金)@りゅーとぴあ4Fギャラリー

BSN新潟放送制作のドキュメンタリー『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟(英題:On Stage)』が今年5月、ドイツの「ワールドメディアフェスティバル2024」でドキュメンタリー部門(Documentaries: Arts and Culture)金賞を受賞したことはご存じかと思います。
それを記念して開催された上映会と、金森さん×番組ディレクター坂井悠紀さんのトークショーに行ってきました!


最初は椅子が50席ほど用意されていましたが、どんどん椅子追加で、終わる頃には満席立ち見の大盛況でした♪
https://www.ohbsn.com/event/wmf-onstage/

まずは上映会です。
テレビでリアルタイムで見て録画もしてありますが、大画面はやはり違いますね!
ナレーションは石橋静河さん。2022年初演のNoism×鼓童『鬼』に関して、金森さんに密着したドキュメンタリーです。
あの頃はマスク必須でした。『鬼』を作曲した原田敬子さんのことや、新潟、埼玉、京都、愛知、山形の5会場での公演のこと等、懐かしく思い出しました。

続いてトークショーです。
すっかりおなじみ同士の金森さんと坂井さん。明るく楽しくいろいろなお話が繰り広げられました。

坂井さんは授賞式のため5月末にハンブルクに行き、3泊したそうです。
街の中心にある国立劇場で、ジョン・ノイマイヤー、ハンブルクバレエ団『ガラスの動物園』を鑑賞。
「どうだった?」ときく金森さんに、「セットが豪華だった」と答える坂井さん。
「踊りを観にいってセットが豪華って、そりゃダメでしょう!」とすかさず突っこむ金森さんでしたが、坂井さんには訳が。
坂井さんは「舞踊と言えばNoism」が沁み込んでいます。
「Noismは舞踊家たちの身体性が共通しているが、ハンブルクバレエ団は身体性が共通していなかった」そうで、動きの質がNoismより雑と感じたのだそうです。
この返答には金森さんもちょっと驚いたようでした。

ハンブルクバレエ団は公演数がすごく多く、スケジュールが過密で多忙なので、集団性よりも個々の魅力を重視しているのではとのことでした。金森さんは「他の一流の舞踊団を観るとNoismのこともよくわかるよね」と応じていました。

●ハンブルクバレエ団、日本人初のプリンシパル菅井円加さんへのインタビュー( by 坂井さん)
菅井さんは2019年からプリンシパルになったそうで現在29歳。国家公務員という立場。
ノイマイヤーが芸術監督をもうすぐ退くことになっているが、それまではバレエ団にいるし、その後は流れを見たい。
劇場の課題は、観客の高齢化。← これは世界的現象だそうで、若者向けの演目を上演するなど、対処しているそうです。
菅井さんは金森さん、井関さんの大ファンとのこと♪
この『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟』を見て、とても勉強になったそうです。

金森さん談:
ノイマイヤーもそうだが、20世紀の巨匠たちがやめると、そのあとがてんやわんやになる。
自分はその次の世代だが、そうならないようにどのように残して、世代交代していくか。
自分がいなくなってもNoismが今のように続いていくにはどうすればいいか、考えているが難しい。
舞台芸術が定着しているヨーロッパではなく、この国独自の専属舞踊団のあり方を考え出して、世界に貢献したいと思っている。
日本は、かつて経済に注いだ情熱を、今度は文化に注げば文化大国になれるのにもったいない。
★この番組が金賞を受賞したからには、全国放送をしてほしい。新潟でしか見られないというのはそれこそもったいない!(拍手)

そのほか、坂井さんは2019年1月『R.O.O.M.』の公開リハで初めて金森さんとNoismに出会ってビックリし、密着取材をしつこく申し込みましたが、断られ続けたこと。その後、モスクワまで(『カルメン』公演の取材に)来たら考えると言われたため、同年5月末にモスクワに行ったこと(モスクワの会場でお目にかかりました)。
ハンブルクでの授賞式・レセプションには審査員が誰も来ていなくて驚いたこと。等々々書ききれず、すみません。

4年前、文化庁芸術祭賞のテレビ・ドキュメンタリー部門で大賞を受賞したBSNスペシャル
『芸術の価値 舞踊家金森穣 16年の闘い』で、坂井さんは「新潟に金森穣がいることの意味」を撮りたかったそうですが、この度は「金森穣にとっての新潟」を意図したそうです。
番組中、昨年の関屋浜海岸清掃のシーンで金森さんが言った「この海の向こうには大陸があるんだよね」という言葉が坂井さんには印象深いそうです。新潟にいて、いつも世界のことを考えている人、なのでしょう。

最後に金森さんのひとこと、
「Noismで二つも賞を取ったのだから、BSNはそろそろNoismのオフィシャルスポンサーになれば!」
拍手喝采! あっという間の1時間、楽しいトークでした!
終了後は来場者と写真撮影♪
https://twitter.com/NoismPR/status/1801581021382721871

なお、6月28日(金)— 30日(日)
Noism 20周年記念「Amomentof」公演期間中も同番組が上映されます。

※28日(金)、29日(土)の上映はどなたでもご入場いただけます。
入場無料(申込不要/当日直接会場へ)
※30日(日)の上映は、会場が劇場ホワイエとなるため、当日の公演チケットをお持ちの方のみのご入場となります。なお、椅子のご用意はありませんので、ご了承ください。

6/28(金)17:30-18:25 4Fギャラリー
6/29(土)15:30-16:25 4Fギャラリー
6/30(日)14:00-14:55 劇場ホワイエ

公演&上映、ぜひどうぞ!

(fullmoon)

【追記】
坂井ディレクターによる授賞式を含むハンブルク訪問の様子は、6月12日(水)夕にBSN新潟放送『ゆうなび』内にて、「芸術の国 ドイツ・ハンブルク 現地リポート(Noismを知るトップダンサーにも取材)」として、10分の尺(!)をとって放送されました。その放送ダイジェストは次のリンクからご覧いただけます。併せてどうぞ。
https://news.infoseek.co.jp/article/bsn_1226246/#goog_rewarded 
(放送には映っていた授賞式での坂井ディレクターの尊いタキシード姿がこちらには載っていない点は誠に残念ですが…。)

(shin)  

「ランチのNoism」#23:太田菜月さんの巻

メール取材日:2024/05/20(Mon.)&05/29(Wed.)

前沢ガーデン屋外ステージでの「黒部シアター2024春」、Noism0+Noism1『セレネ、あるいは黄昏の歌』2公演も大好評のうちに幕が下りて、今度はいよいよ「20周年記念公演」モードに。そんななかでの「ランチのNoism」第23回、太田菜月さんのランチをご紹介いたします。さてさてどんなランチでしょうかね。それではいってみましょう。

♫ふぁいてぃん・ぴーす・あん・ろけんろぉぉぉ…♪

20年の年月を重ねてきたNoism Company Niigata、当然ながら、この日もメンバーたちに昼がきた!「ランチのNoism」!

*まずはランチのお写真から。

みんな容器入りのものばかりが3つ
…でもこの量、一食分ではないような…
そしてここは?

1 今日のランチを簡単に説明してください。

 太田さん「今日のランチは、豆乳グルトにカッテージチーズとハチミツを混ぜ合わせたものを、2回に分けて食べました」

 *おお、太田さんご登場!そしてひとつ容器も増えちゃってますけど。

 -でも、のっけから、次の質問をし難い展開にもなっちゃってて(汗)。でもそれはそれ、この連載の「お約束」なので敢えて訊きます、ええ、敢えて。

2 誰が作りましたか。普通、作るのにどれくらい時間をかけていますか。

 太田さん「もちろん自分で! ただ材料を混ぜただけです(笑)」

 *ですよね、ですよね。笑って頂けて助かりました。

 -で、この日のランチの内容についてお訊ねします。「豆乳グルト+カッテージチーズ(+豆乳)」の組み合わせは、「ヨーグルト+チーズ(+牛乳)」に比べて、どれもみんな低脂肪・低カロリーなものですよね。一般的な牛乳を避けておられたりもするのでしょうか。そのあたりのことを聞かせてください。

 太田さん「意図的に避けているわけではないのですが、減量中に親知らずを抜き、何も食べられなくなった時におすすめしてもらい、食べたら美味しかったので体が重く感じる時や、食欲がない時などに食べています。 あとは豆乳の方が、牛乳より私は味が濃厚に感じるので牛乳より好んで豆乳を飲んでいます」

 *そうですか。あと、ハチミツも血糖値の上昇が緩やかなうえ、その血糖値を長時間安定させる働きもあるとのことですし、本当に意志をもって、しっかり選択されたランチかと。

 *で、なんでも、太田さん、画像にある豆乳の紅茶味が美味しくておすすめとのこと。はいはい、わかります。紅茶味、私も好きです。で、そうそう、あのK社の豆乳ラインナップ、実に充実してるんですよね。私、他にも麦芽コーヒー味とかココア味とか、ブラックチョコ味なんかもよく買いますし、季節限定のチョコミント味には目がありません。そしてどれも美味しいんです、ホント。おっと、話が逸れちゃいましたね。スミマセン。いつもの質問に戻って先へ進みますね。

3 ランチでいつも重視しているのはどんなことですか。

 太田さん「普段リハ中は、空腹状態の方が集中出来るのと胃にものが入っている事が嫌なので、お昼ご飯は食べません。 どうしても食べたくなったら、固形物を入れるのが嫌なので、糖が入ったウィダーinゼリーやラムネなどをつまむことがあります」

 *なるほど。…ん?…あ?…え?普段のリハ中は食べない…ですか?はて?
すると、最初の画像は「普段のリハ中」のものではないってこと…ですか?う~む、じゃあどんな状況になるのかぁと頭のなかは「?」でいっぱいな訳ですけれど…。ええ、謎です(汗)。気になっちゃいますが、そのあたりは追々ということにして、ここもまずは先に進ませて頂こうかと…、ハイ。

4 「これだけは外せない」というこだわりの品はありますか。

 太田さん「コーヒーです。 ラテにすることが多いのですが、ブラックは運動前に飲むと、脂肪燃焼に効果があると聞いたのでたまに実践していますが、苦いのでアメリカーノぐらいに薄めて飲んでいます。 こだわってはいないのですが、好きなので飲みます」

 -その「ラテ」ですけれど、豆乳繋がりで「ソイラテ(豆乳ラテ)」なども好まれていたりするのでしょうか。

 太田さん「普段、休憩中に飲むのはミルクで作るラテですが、家ではソイラテを飲みます」

 *二刀流ですね♪

 -よく飲まれるコーヒーはどちらのものでしょうか。また、コーヒーの好みなどありましたら教えてください。

 太田さん「コーヒーは好きなのですが、ど素人なうえに、味覚音痴なので特に決まったものを飲むというわけではありません。 ですが、ドリップコーヒーよりエスプレッソなどの深煎りの方が、ラテにした時により美味しく感じます。 一時期ラテアートにハマっており、エスプレッソから抽出してよく作っていました。(ハートを描くのが限界ですが…)」

 *そしてこんな写真も!

おおおおお!これは!

 *これってまさしくラテアートじゃないですか!凄っ!多芸ですね、太田さん。ワタシ、お店でしか目にしたことないだけに、マジ驚きです。
 -いつ頃始められたんですか。よくやっておられるのでしょうか。

 太田さん「ラテアートはコロナが流行り始めた時に、当時働いていたアルバイト先で少し習いました。 実家に帰った時などにたまにやっています」

 *やりますね。素敵です、太田さん。
 -ところで、あの「絵柄」は何を表現しているのでしょうか。

 太田さん「SNSで見つけたラテアートを真似ただけで、ハートが連なっているのを作りたかったのですが、あの写真のようになってしまいました(笑)」

 *ほう、そうだったのですね。私にはヒッチコックの『めまい』オープニングのグルグルや仮面ライダーの変身ベルトのクルクルに見えてます。でも、グルグルクルクルいい感じです。

 -ご自分の採点では何点くらいですか。

 太田さん「50点くらいです…(笑)。 味は100点です!」

 *今からでも『めまい』とか「変身ベルト」ってことにしたら、そっちも100点かと(笑)。けれども、そんな姑息なこと考えなくても、50点+100点ですから150点ってことで♪…失礼しました。

 *そんな太田さん、こちら、普段から愛用されているコーヒータンブラーも見せてくださいました。

「マホービン」で知られる象さんの印ですね♪

5 毎日、ランチで食べるものは大体決まっている方ですか。それとも毎日変えようと考える方ですか。

 太田さん「毎回同じです。 ルーティーン化するのが好きなので、あまり変えません」

 *おお!ここでもまた舞踊家としての強い意志を感じさせるお言葉!身体に入れるものを変えないってことを徹底して食事をしているのですね。うん、流石です。

6 公演がある時とない時ではランチの内容を変えますか。どう変えますか。

 太田さん「普段公演前は、胃を空っぽ状態にして臨むのですが、黒部では初めての試みで、キッチンがすぐ側にあるのでヨーグルトを食べました。 あとは差し入れでいただいたお菓子などをよくつまんでいます」

 *おお、なるほどなるほど。ご紹介頂いたランチ画像は「黒部シアター2024春」の前沢ガーデンでのものだったって訳ですね。あの渾身の舞台、その最中のランチ報告とは実に有難い限りです。それにしても、ランチにおいても「初めての試み」って意識!それも太田さんらしい、そんなふうに感じられてきましたよ。

7 いつもどなたと一緒に食べて(?)いますか。

 太田さん「普段は机に集まって、りおさん(=三好綾音さん)、いくみちゃん(=兼述育見さん)、かりんさん(=杉野可林さん)、ひかる君(=坪田光さん)、あきら君(=樋浦瞳さん)、糸君(=糸川祐希さん)、こうた君(=中尾洸太さん)と食べています」

 *でも太田さんは食べてはないんですよね、実のところ。一緒にいるだけで(笑)。

8 主にどんなことを話しながら食べて(?)いますか。

 太田さん「とてもたわいのない会話ですが、観ているテレビの話やご飯屋さんの話、あとはリハーサルの反省会などもしたりします」

 -昼食をとるメンバーたちと同じテーブルにいて、愛用のタンブラーでコーヒーを飲むって感じなのでしょうか。

 太田さん「その通りです」

 *普通、絶対、食欲刺激されちゃいますよね、その状況。

 -もうひとつ、いやふたつになりますかね、教えてください。(1)太田さんのおすすめテレビ番組とご飯屋さん、(2)皆さんのあいだで人気のテレビ番組とご飯屋さんについて、差し障りのない範囲で教えてください。

 太田さん「(1) 最近は「ジブリ」にハマっていて、よくその話をしています。あとは韓国ドラマで、『ドクタースランプ』にハマっています。ご飯屋さんは、オムライスが大好きで食堂もりしげさんにはよくメンバーと行きます。あとパルバティさんも何かあると直ぐに行きます!
 (2)『ハイキュー!!』や「ジブリ」などのアニメの話をよく聞きます。
最近、JR新潟駅の中にできた丸亀製麺さんが良い!とよくみんなで言っています!」

 *色々訊いちゃったんですが、丁寧に色々教えて頂き、ただただ感謝するのみです。まず、韓国ドラマ『ドクタースランプ』は「アラレちゃん」が出てくるもの(鳥山明『Dr.スランプ アラレちゃん』)とは全くの別物なんですね、初知りです。そしてパルバティさんっていうのはインド・ネパールレストランと。更にオムライスが好物とか諸々、おぼえておきます、ええ。どうも有難うございました。

9 おかずの交換などしたりすることはありますか。誰とどんなものを交換しますか。

 太田さん「おかず交換はしないですが、たまにいくみちゃん(=兼述育見さん)とおやつ交換をします」

 -おお、おやつ交換ですか!それまた興味がそそられちゃいますねぇ。おふたりが持ってこられるおやつにそれぞれ何か特徴などありますか。出来ましたら、そのあたり具体的に教えてください。

 太田さん「お互いによくチョコレート系のものをオープンクラス前に交換して、エナジーチャージしています」

 *うんうん、瞬時に元気になるうえに、笑顔と幸せを連れて来てくれますもんね、チョコレートは。

10 いつもおいしそうなお弁当を作ってくるのは誰ですか。料理上手だと思うメンバーは誰ですか。

 太田さん「目の前に座っている糸君(=糸川祐希さん)が毎回美味しそうなお弁当を食べているのを見ています(笑)。
料理上手なメンバーは私以外の全員です✨。黒部遠征の時みんなの作るご飯を見て、クオリティーの高さに毎回感動していました!」

 -糸川さんの美味しそうなお弁当で、印象に残っているのはどんなお弁当ですか。それは「あの親子丼」だったりしますか。

 太田さん「その通りです!(笑)」

 *ぴったしカン・カン♪(って、古っ!) はい、ここでも頂きました「その通りです」(笑)。

 -黒部遠征のときのことをお訊きします。SNSではカレーを作っておられる様子を拝見しましたが、「カレー奉行」としてリーダーシップをとり、采配をふるっていたのはどなたでしたか。また、メンバーのなかではどんな役割分担が生まれていたのでしょうか。

 太田さん「ひかる君(=坪田光さん)でした!シェフでしたね(笑)。みんなで全ての役職を順ぐり回す感じでした」

 *そうなんですね。そういう人いてくれると助かりますよね。で、そのときのカレー画像がこちら。とても美味しそうです。

後ろのボケ味もいい感じで、雑誌「dancyu」っぽいですね♪

 -カレー以外にもみんなで作ったものについて教えてください。また、作るものによって「奉行」は変わったりしましたか。もしそうだとしたら、誰が「何奉行」でしたか。

 太田さん「奉行チェンジはしなかったのですが、みんなで豚汁を作りました! すごく美味しかったです!」

 *大勢で食べるカレーと豚汁、それだけでもう美味しいんですよね。そしてこのような素敵な写真も頂きました♪全員優勝です!

こだわりのシェフ、ひとりいますね、確かに(笑)!
笑顔満開の素敵な合宿写真です♪

 *あれこれ色々とお訊きしちゃいましたが、お陰様で、黒部での合宿生活の様子もちょっぴり垣間見ることが出来て、ホント嬉しかったです。どうも有難うございました。

 太田さんからもメッセージを頂戴しています。どうぞ。

■サポーターズの皆さまへのメッセージ

「いつも温かく素敵な応援をしていただき、本当にありがとうございます! 落ち込んだ時など、皆さんの励ましのお言葉で立ち上がり、また走り出す事ができます。 今の自分に満足せずにこれからも全力で駆け抜けるので応援をどうぞよろしくお願い致します!!!」

なんと感嘆符3つも頂いちゃいましたねぇ。私たちも、来月に迫るNoism Company Niigata 20周年記念公演「Amomentof」には、リミッターを外して、感嘆符20個分くらいの熱量をもって駆け付けなきゃですね、「20周年」だけに!!!!(←ここでは紙幅の都合もあるため、控え目に4つにしておきましたが。)
太田さん、この度はどうも有難うございました。

といったところで、「ランチのNoism」第23回はここまでです。今回もお相手はshinでした。

(shin)

「柳都会」Vol.29 稲葉俊郎×金森穣(2024/5/26)を聴いてきました♪

2024年5月26日(日)、少し汗ばむ陽気だった新潟市。随分、日も高くなった日曜日の夕方、4時半から、りゅーとぴあ〈能楽堂〉にて、「医師」で医学博士である稲葉敏郎さんをお迎えしての「柳都会」を聴いてきました。

―模索する。新しい社会の一環としてのあり方。
東京大学医学部附属病院を経て、医療の多様性と調和への土壌づくりのため、西洋医学だけではない幅広い医療を修めている医師で医学博士の稲葉俊郎氏。在宅医療や山岳医療にも従事しながら、東北芸術工科大学客員教授でもあり、2020年からは山形ビエンナーレの芸術監督を務めています。アートや日本文化の能など、あらゆる分野との接点を探っている稲葉氏は、芸術と医療には強いつながりがあるといいます。医師として芸術を通して人間の健康をどう捉えているのか。新しい社会の一環としての医療のあり方を模索しています。
医療と舞踊、分野は異なるも互いに身体の専門家である2人が芸術に、社会に、どう向き合おうとするのか、じっくり語り合います。

Noism Web Site より

主に稲葉敏郎さんのこれまでの足跡を中心に、稲葉さんが感じてきた医療と芸術の関わりについてのやりとりに耳を傾けた90分間でした。その医療と芸術、恐らく一般的にはかなり縁遠そうにも感じられるものかと思われますが、稲葉さんのお話をお聴きしていると、必ずしもそうではないばかりか、すぐれた芸術が有する力の大きさに目から鱗が落ちる思いがしました。そのあたり、詳細にお伝えするには全く力不足ではありますが、以下に、かいつまんでお知らせしたいと思います。

熊本は水俣出身(1979年生まれ)
*水俣病とは何か?ハンセン病患者の日本初の救済施設、本妙寺。山岳宗教・修験道で知られる金峰山、そして宮本武蔵がその『五輪の書』を書いたことで知られる洞窟。祖父のシベリア抑留生活等々、敢えて語られなかった生命の繋がりを思う現在。敬愛する横尾忠則氏によれば、「全ては幼少期にある」。それをなぞって生きている。
*肩書き的には現在、「慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科特任教授」と語る稲葉敏郎さん。祖父の代から三代の医者だったが、約20年に及んだ「医師をこの春、一回辞めてみた」のだそう。「結構な決断でしたね」と金森さん。そのいきさつを問うと、「やり尽くすと手放したくなる性分で」と稲葉さん。更に「凝り性で、心臓の治療など追求してきたが、『ちょっと違うなぁ』という感覚があった」とのこと。本質的な医療とは?そのフィールドに山岳医療・在宅医療。伝統医療・民間医療も含まれる稲葉さんが感じた「違和感」は東日本大震災で大きなものに。

能を学ぶ
*南相馬市でのボランティアの最中、海にむかって鎮魂の声を届ける能楽師に出会ったのをきっかけに能を学び始める。感じた能の凄さ、深さ。医学は生きている者の都合で構成されているのに対して、死の世界に入っていって戻ってくる能。また、実演における身体の使い方や所作には昔の人の身体に対する深い知恵が感じられる。
*「論理に落とし込めない、一子相伝的な部分が大きく、継承していくことの難しさはよりハードルが上がっている」と金森さんが言えば、稲葉さんも「師匠との1対1の稽古は、指図されることはなく、真似していけばいい。それが時にひとつに重なったりもするが、何が違っているのかわかり難かった。いつ終わるのかもわからず、『何となく今終わったんだな』とか、謎に耐える力が必要とされる学習法は新鮮だった」と。

ミクロとマクロを繋ぐ
*ウィルス:0.1マイクロメートル →[10の7乗]→ 人体:1メートル →[10の7乗]→ 地球の直径 の気付き。
[他力]・病:Diease(現代医療)[自力]・健康:Health Harmony(伝統医療)の対比。
*古代ギリシャのエピダウロス(世界遺産): 医神アスクレピオスの生誕地にして、自然・芸術・温泉・眠りの場を備えた古代遺跡。熟睡と夢による癒し、救い。眠りこそが自分自身であり、生命の居場所。覚醒しているときには社会的な役割を演じている。それをうまく繋ぐのが医療の役割。
[内界(生命界・睡眠・死)][外界(社会・意識・生)]という異なる原理の世界を繋ぐことが重要。そしてそこに医術と芸術の接点を見る。やがて、医療の制約のために、芸術の文脈の方が近いのかなと…そう語った稲葉さん。

芸術祭という「場」:山形ビエンナーレの芸術監督に
*感じてきた医療の限界について、医療の世界の人々に向けて書いた筈の本が、意外にもアーティストやミュージシャンと呼ばれる人たちからの反響が大きかった。山形市から声がかかり、引き受けた芸術監督。コロナ禍の真っ只中ではあったが、人間は分断されると病んでいくという確信があり、「対話の場」をつくろうとオンライン実施の方向で。
*行政レベルでは、「何故やらなければならいのか」「何が必要なのか」を言語化して伝えるある種のロジックが、そして熱意や熱量が必要。AIからは熱量は感じられない。棲み分けが必要か。AIや人工的なコンテンツの前に、「皮膚レベル」の感覚や空間の共有といったものも「冬の時代」のプロセスにあり、一回、「アイデンティティ・クライシス」を経由する必要があるかもしれない。今は過渡期。「ごちゃまぜ」の時代がきている。
*AIは表層的。しかし、「その程度でいい人たちはその程度でいい」。それが「9割」の人たちでマジョリティ。フェイクが跋扈する現代。それを「1割」の本物志向の人たちがくいとどめる必要がある。本当の真実とは何か?人間が人間である以上、掘っていけば辿り着ける。深いところに潜っていくと、より強い生命エネルギーの恩恵を受けられる。それが作品の強度となって、広く観客に届く。より深いところで作られた創造物は人とより深いところで繋がれる。
*「騙される人」の特徴:フェイクばかりに触れている。本物を見ればよい。
*生きている私たちのなかには、(死んでいない限り、)マグマみたいな生命エネルギーがある。それは私たちの中にしかないもの。しかし、それが遮断されてしまっている場合、それを繋ぐのが医療の役割。そしてそうした問題を抱えているとは見做されない、クリティカル・ポイントを迎える前の人への対応としては、「本物」を届けること。それは医療ではなく、芸術・文化の働き。よい芸術・音楽・文化に触れれば、「大惨事」にはならないで済む。
*言葉は薬にもなる。「その意味ではSNS社会は相当にヤバイ」と金森さん。罵詈雑言や呪詛が溢れかえっている。「AIに学習させるそんなデータベース自体に既にバイアスがある訳で」(金森さん)→言葉を見詰める必要がある。AIも結局は人間が問われている。人間が人間であることを取り戻さなければ、AIに駆逐されてしまうことに。
*コロナ禍も落ち着き、温泉場を利用した開催も。それはエピダウロスの例もあり、目指していたもの。
*湯治場: 誰でも意識と無意識のあわいになれる場。芸術・音楽を体験する場。
*道 ~身心と日本の伝統~: 日本では身体と心の知恵は全て芸能のなかにある。

「縦糸と横糸」:横尾忠則『原郷の森』(文藝春秋社・2022年)から
*「縦糸が芸術だとすると、横糸が礼節だ。その二つの交点に霊性が宿る。地上的な作品を作りたければ無礼でいいだろうが、天に評価される作品を創造したければそこに霊性が宿らなければならない」 (…三島由紀夫の言葉とのことです。)

Noismについて
*自分も長い間、公務員だったが、大変だと思う。公務員的な人たちのなか、道路や水道ほかの社会的なインフラのひとつとして芸術がある。「果敢に挑戦している。頼みの綱。何とか乗り切って貰いたい。生命を支える社会的な基盤。わかる人にはわかる。
*「若い人からも挑戦する人が出てきて欲しい。今やっている穣さんが言うと嫌らしいから(笑)、私たち(=今日来ている、「コスパが悪い(笑)」にも拘らず、劇場に通う「稀有な」人たち)みたいな人がやるべきことかと」(稲葉さん)

…長年にわたる医療的な見地を踏まえ、生命エネルギーを活性化させるものとして、すぐれた芸術の力を捉える稲葉敏郎さん。「9割」と「1割」に拘りを見せる金森さんと重ねたやりとりには、「何故、劇場へ行ってまで時間を費やす『コスパ』度外視の振る舞いによって人は元気になるのか」その理由が解き明かされていくような感覚を覚えました。
医療という縁遠いフィールドから、この日、私のコスモロジーに入ってきた「マレビト」によって、劇場の真理が露呈されていく時間を楽しみました。そんな一端でもお伝えできていたなら、嬉しく思います。以上、「柳都会」報告でした。

(shin)

荘厳なる金森演出の円熟と原点回帰(サポーター 公演感想)

富山県黒部市の前沢ガーデン・野外ステージでの「黒部シアター2024 春」 Noism Company Niigata新作『セレネ、あるいは黄昏の歌』公演。18日(土)の初演では言葉を失うほどの感慨に打ちのめされたが、19日(日)の公演も幸いにして鑑賞出来た。

前日の快晴からうって変わって、ポツリポツリと雨が降り出した黒部。公演前にお見掛けした井関佐和子さん始めNoismメンバーも、濃密極まる作品の公演前であることに加え、天候を心配してか、険しい表情が垣間見えた。新潟や関東圏から駆け付けたNoismファンの方々と言葉を交わしつつ、時折天気予報を調べては「公演中は大丈夫そうだね」と無事の開演を祈る思い。会場には、金森穣さんが「師匠」と仰ぐ鈴木忠志氏や、Noism「劇的舞踊」シリーズの常連俳優・奥野晃士氏の姿も。また、前沢ガーデンハウス内の鈴木忠志氏の演劇活動を紹介する一室では、昨年のNoism公演のドキュメンタリーが上映されており、やはり圧倒的だった舞台を思い返しつつ、私はじめ見知った顔が収められている映像に笑みをこぼした。

6月末からのNoism20周年記念公演でも『セレネ、あるいは黄昏の歌』は上演される為、詳述は控えねばならないが、前述したように終演時には会場が静まり返り、日ごろならスタンディングオベーションしつつ「イェイ!」「井関! 金森!」など声援を送る私も、「この余韻を壊したくない」「この感動は、簡単に言葉にしたくない」と口をつぐみ、ひたすらに拍手を送るのみだった。マックス・リヒターがヴィヴァルディの『四季』の根幹部を抽出するように編曲した楽曲の強靭さを背骨に、やはり壮絶なまでの神々しさを発する井関佐和子さんを中核として、舞台の刹那を生ききる舞踊家たち。自然の摂理そのものを体現するような井関さんの一挙手一投足に呼応して、音楽を視覚化するように若きメンバーが躍動する冒頭から、幾度も涙が溢れたが、舞台が進行するにつれ、その荘厳さと猥雑さが共存する世界観に「畏れ」さえ覚えた。ある「暴力」に及ぶ者を冷徹に凝視し、集団によってその「性」を露わにされる者を優しく抱きしめ、過去の「恍惚」を豊かに追想する、祭祀の指導者に扮する井関佐和子さん。その眼差しの凄絶さ、照明も相まって白く発光するような全身は、現実から遊離するほどに美しかった。

生が芽生え、繁茂し、成熟し、やがて豊かに老いて「死」と直面してゆく。人間と自然の「業」「摂理」を、イメージ豊かに舞踊に置き換えてゆく「円熟」を感じさせたかと思いきや、初期Noism作品に漂っていた濃密なエロスや暴力性を突き付けて、観客を圧倒する金森穣演出は、どこまで到達するのだろう。舞台に吞み込まれ、翻弄され、この舞台に立ち会えた一瞬や自身や他者の「生命」、その周囲にある自然まで慈しむような余韻に浸る約1時間は、まさしく僥倖だ。黒部の土地もまた舞台を祝福するように公演中は雨がやみ、舞台に余韻が深まる夜陰にかけて、静かな雨に包まれた。

20周年公演では、りゅーとぴあ・劇場でどのように作品が再創造されるか、心して待ち構えたい。

久志田 渉(新潟・市民映画館鑑賞会副会長・「安吾の会」事務局長)
(photos: aco)

新潟と黒部から世界へ♪『セレネ、あるいは黄昏の歌』圧倒的な世界初演!

2024年5月18日(土)、早い時間帯から既に夏の訪れを思わせる陽気に、気分も爆上がりのなか、『セレネ、あるいは黄昏の歌』を観るべく、車を運転して、新潟市から黒部市を目指しました。

天気予報によれば、開演時刻19時の黒部市は「晴れ」で、気温は20℃とのこと。昨年公演(『セレネ、あるいはマレビトの歌』)時の予想気温が19℃だったことを考え合わせますと、「やはり今年も『冬装備』までは必要ないな」と安心していられたような塩梅でした。

快晴の黒部市を少しだけ楽しんだ後、宮野運動公演駐車場に車を駐めて、16:15のシャトルバス第一便の到着を待ちます。やがてやって来たバスの車体に「YKK」の文字が見えるのも昨年と同じでした。その車窓からサポーターズ仲間が手を振ってくれるのを目にしたところから、私も一気に「セレネ」モードに切り替わることになりました。

前沢ガーデンに到着し、バスを降りると、総合受付まで早足で移動して、16:30開始の受付に向かいました。無事に若い番号の整理券が貰えたことにホッとし、そこから先、入場への整列時間(18:40)までは見事なランドスケープと澄んだ空気のなか、サポーターズ仲間たちとアレコレ話しながら、ゆったりとした時間を過ごしました。

そして18:40、整理券の番号順に整列すると、スタッフに先導されて屋外ステージへと移動します。私は若い番号の整理券を得ていたため、最前列正面の席を選んで座りましたが、半円が迫り出す舞台を見下ろすかたちの定員300名の客席は、どこに座ってもよく見えることは間違いありません。(そうは言っても、私が座った席からは、ラスト付近で、井関さんの瞼や睫毛の微かな震えなどもじっくり見えたりして、特別感が半端なく、もう堪りませんでしたが。)

客席から黄昏時の空を見上げてみましたが、生憎、月も星も見ることは出来ませんでした。それもその筈なのかもしれませんね。そこから約1時間のあいだ、月も星も地上に、黒部の地の白く塗られたステージ上にあった訳ですから。

定刻ピッタリの19時、「黒部シアター2024春」Noism0+Noism1『セレネ、あるいは黄昏の歌』がスタートしました。

冒頭、マックス・リヒターによって「リコンポーズ」されたヴィヴァルディの『スプリング(春)』に乗って、まずはバレエ色濃い滑り出しです。頻出する多彩なリフトの数々に目を奪われることでしょう。掲げられては下ろされる身体、そのニュアンスの豊かさはまさに金森さんならでは。うっとり陶酔するのみです…。

そこから先は息つく暇もなく、ドラマティックな展開が待ち受けているのですが、ネタバレしてはいけませんので、細かく立ち入ることは控えます。(まあ、簡単に纏められるようなものでもないのですが。)前沢ガーデンのランドスケープと相俟って感じた(あくまでも個人的な)印象のみ、少し記しておきます。

自然の「掌(たなごころ)」のなかに身を置く人間。或るいは、自然の「掌」のなかに人間を捉えようとすること。その2者、対立関係にあるのではなく、あくまでも前者が後者を包含する関係にある2者。時に極めて暴力的でさえありながら、同時に、何にも忖度することなく、何をも飲み込み、平然と動的な平衡を保つ自然。巡る季節、回帰とそして再生。

最近、そうした視座において、強い親近性を感じた映画がありました。それは濱口竜介監督の『悪は存在しない』(2023)という作品です。前沢ガーデンのランドスケープと音楽からインスパイアされて、舞踊を切り口に、巡る季節のなかに人間に迫ろうとする金森さんに対して、濱口作品の方は自然の御し得ず、より「仮借ない」側面をクロースアップして描いていますが、大きく重なり合い、相補関係にある2作品とも言えるのではないかと思います。まだ濱口監督の『悪は存在しない』をご覧になっていない方はそちらも是非ご覧頂けたらと思います。

この日の公演に戻ります。圧倒的な1時間でした。見終えてすぐには、誰もが言葉を失うくらいに圧倒されてしまっていた様子でした。カーテンコールは一度きり。ですから、客席は誰ひとり、我を取り戻し、「ブラボー!」と叫ぶ余裕すら与えられなかった、そんな感じではなかったかと。

公演後、黒部舞台芸術鑑賞会実行委員会の堀内委員長が登壇して挨拶されるなかで、この作品を絶賛され、「黒部から世界へ」との期待を言葉にされたのみならず、金森さんも舞台上に呼び、衆人環視のなかで、「来年もまた来てください」とのオファーを出すに至っては、満席の観客から大きな拍手が寄せられていました。

金森さんが、「舞踊家たちの渾身も既にここにはなく、既に皆さんの記憶のなかにあるのみです」と、舞台の「一期一会」性を口にされたとき、観終えたばかりの者たちは皆、この黄昏時に共有し得た「刹那」のかけがえのなさを、そしてその僥倖を噛み締めていた筈です。加えて、金森さんは、昨年上演した『セレネ、あるいはマレビトの歌』を来年、欧州で、という話があることにも触れましたので、堀内さんが期待するNoism Company Niigataにとって、世界への「2つ目のルート」も稼働準備段階にあることはどうやら間違いないことのようです。

それにしましても、昨年の「マレビト」といい、今年の「黄昏」といい、あの前沢ガーデンのランドスケープのなかで観ることの豊穣さは「一生もの」と言っても過言ではありません。本日は当日券の販売も若干枚予定されているとのことですから、検討中の向きは是非ご覧ください。この後、6月、7月の「20周年記念公演」では屋内で観ることになる「黄昏」、それとはまた別物の舞台に心底圧倒される時間が待っています。まだまだ間に合って駆け付けられる方も多い筈。みすみす見逃す手はありません。是非、是非、是非♪

(shin)

壮大!『セレネ、あるいは黄昏の歌』活動支援会員/メディア向け公開リハーサル♪

2024年5月8日(水)、午前中はまだまだ雨もよい。徐々に曇りになってきているとはいえ、例年のこの時期の服装では寒くてかなわないといった気温の低さ。それにも拘らず、気持ちを昂ぶらせて、目的地・りゅーとぴあへと向かったことはおわかり頂けるものと思います。

10日後に迫る「黒部シアター2024春」に向けて開催された、Noism0+Noism1『セレネ、あるいは黄昏の歌』Noism活動支援会員/メディア向け公開リハーサルを観てきた訳です。

この日の公開リハーサルの会場は、昨年の『セレネ、あるいはマレビトの歌』の公開リハーサルのときと同様に、〈劇場舞台上〉ですから、その非日常感たるや、もう稀なる機会と言えます。

定刻の12:10に受付を済ませると、ホワイエまで通され、そこで入場を待ち、その後、〈劇場舞台上〉に設えられた席へと進みました。

12:30、金森さんの「いいな、ハイ、じゃあ始めましょう」の言葉があり、鳥のさえずりが聞こえてきましたから、マックス・リヒターの『シャドウ』から始まったのではなかったかと思われます。

みな「白」色ながら、一人ひとり異なる衣裳を身に纏った14人。勿論、井関さんと山田さん(Noism0)も含まれますが、Noism2リハーサル監督も兼ねる浅海侑加さん(久し振りに目一杯踊ってくれていて、嬉しい気持ちで見詰めました。)とNoism1準メンバーの兼述育見さん、そして、Noism2の男性メンバー・松永樹志さんが出演しています。

ややあって、全米桜祭りでのワシントンバレエ団『SAKURA』の印象も新しい「リコンポーズ」されたヴィヴァルディの『スプリング(春)』(マックス・リヒター)が聞こえてきて、その春めく様子から、訪れては行く季節の巡りが踊られ始めます。

しかし、そこは金森さん。その「季節の巡り」も、決して日本的な「花鳥風月」の風流みたいなものではなく、もっとダイナミックな生命の営みとも呼ぶべきものです。そしてそこに身を置く人間。喜怒哀楽も正も邪も全て包含したうえで、どこへどう進んでいくのか見通せない舞踊の連打に見舞われることでしょう。おっと、あぶない、書き過ぎ、書き過ぎ。これ以上は書けません。

たっぷり、じっくり55分。13:25、余韻を引き摺るマックス・リヒターの音楽、それも消え入ります…。

「オーケー!」と金森さん。私たちの前に進み出ると、「ハイ、まあ、これが最新作でございます。今回はこれをもって黒部第2弾行って参ります。本日はどうも有難うございました。そして日頃よりご支援頂き、有難うございます」とご挨拶されて、この日の公開リハーサルは終わりました。

『25%のヴィヴァルディ』 Recomposed by マックス・リヒター*

(*註: 「25%」…原曲の75%にあたる素材を捨て、残りの25%の素材に基づきながら新たに楽譜を書き下ろし、ヴァイオリン独奏と室内アンサンブルで演奏可能な“新作”を完成させた、とのこと。)

『セレネ、あるいは黄昏の歌』、極めてスケールの大きな「季節の巡り」の只中に「人間とは何か」を捉えようとする作品です。そして、更に、前沢ガーデン野外ステージのランドスケープに嵌めてみたときのスケールアップも含めたならば、空恐ろしいことになるのではないかと、もう「ズキズキワクワク」が止まりません。チケットはチケットぴあ他にて絶賛発売中。5月18日(土)、19日(日)、必見です。お見逃しなく!

(shin)