前週末に開催告知があり、2022年1月30日(日)の夜20時(当初予定の21時を変更)から、今年初の金森さん+井関さんによるインスタライヴがありました。『境界』公演に関するアフタートークとされた内容は、より正確には『Near Far Here』のアフタートークであり、約1時間にわたり、たっぷりと裏話などを話してくださいました。今回もおふたりのインスタアカウントにアーカイヴが残されていますから、是非ともそちらでお楽しみ頂きたいと思うものですが、こちらでもごくごくかいつまんだご紹介をさせていただこうと思います。
いつも完成度が高いNoism Company Niigata。それもNoism0となると、もう「どーん」とした圧倒的な風格があるので、この日の裏話に聞かれたみたいな内心のドキドキなどまったく想像もしない世界でした。 ですから、はじめは意外な感じもしましたが、それをおふたりが丁寧かつ具体的に話してくださったので、惹き込まれて聞く裡にマジマジとした「体感」を伴いながら、演者の「リアル」を共有することが出来たように思います。圧巻のアフタートークでした。繰り返して楽しみたいと思います。
見る度に圧倒されるのが、金森さんによるNoism0『Near Far Here』であり、最初の数秒にして既に抗おうにも抗えない空気感に包まれてしまうのは、この日も変わりありませんでした。どこかにそこはかとなく喪失感や哀しみ、或いは死の影のようなものを宿すのが金森作品の変わらぬ魅力。そうやって惹きつけるだけ惹きつけておいてからの「聖性」の降臨…。まだまだ詳細は書かないでおきますが、日常と非日常の「境界」を越境するだけでなく、更に、そうした私たちの非日常レベルを一瞬にして置き去りにして、その極北とも言うべきイメージで塗り替えてしまう想像力/創造力のもの凄さ。それがこのクリスマス時期、巷に溢れる厳かな神聖さに似たものとして捉えられたとしても無理もないことでしょう。季節の大いなる贈り物として。そしてそれに浸され、降伏する他ない観客の無上の幸福。
そしてこれまで通り、20分のインターミッションを挟むと、がらり質を異にする時間、金森さん演出振付のNoism0『Near Far Here』です。冒頭から終演まで、透徹した美意識に貫かれたこの作品は、その美しさにおいて、心胆を寒からしめるものがあるとでも言わずにはいられないものがある、そう書きたいと思います。実はこの表現、初日のブログに一旦使ってはみたのですが、やはり「相手を心から恐れさせる」意はどうかと思い、削ってしまった表現なのです。(書き改める迄の、ほんの短い間に目にされた方もおられるかと思います。)「畏怖」の念というよりは「恐ろしさ」、そう、3日続けて、容赦なく捻じ伏せられた感覚はやはり純粋に「恐ろしさ」こそが似つかわしいと、敢えて新潟楽日に書くことを選んだ表現。そこには私自身の語彙の限界(「境界」)が画されていることを思い知らされつつも、しかし、今、体感としては心胆を寒からしめられたと言うほかなしと。美しさと恐ろしさとは隣り合わせで認識され得る感覚なのですね。