Noism 1メンバー振付公演を観て(サポーター 公演感想)

☆Noism1メンバー振付公演(2021/3/28@りゅーとぴあ・スタジオB)

6年ぶりというメンバー振付公演、前回は Noism を観始める前だったようなので初めての体験でした。

様々なバックグラウンドを持った現役ダンサーによる、いま一番表現したいことを自分のキャスティングで創り上げる作品。音楽も衣装も。期待が高まります。いつものNoism とはひと味ちがう若々しい作品が観られるな、と思っていたらその通りでした。

2公演観たかったのですが1回だけだったので、今では細かいことは思い出せません。それはそれで良いのだと思います。公演を目指して創られた作品をその時の自分が観たのですから。当然その時から創り手も自分も変わって行きます。

観ている時はとても楽しく、エネルギーを感じました。来て良かったと思いました。全作品それぞれ違って興味深かったです。今の時代を反映して「多様性」が至る所にちりばめられていました。

自分の中でインパクトが強かったのは、スティーヴン•クィルダン作『3.2.1』で月光ソナタ(馬が疾走しているような)で踊られる粗暴とも言える2人のダンス。対照的なポアントかピンヒールを履いてるようなカナールさんの動きの美しさ。まさに適役。

短編ドラマを観ているようだった、中尾洸太作『”うしろの正面”』
「カプグラ症候群」こういう精神疾患があるというのは小説、マンガなどで知っていたが名前を聞くのは初めてだ。疾患と言うが、本当のところは正常なのかもしれないし、そこがコワいところ。
林田海里さん、ダンサー&アクターどちらも兼ね備えていて素晴らしかったです。大好きなヴァリシニコフの次に林田さんです!
突然流れる『The end of the world 』の感傷的で甘いメロディ。思い出したのは『Painted Desert 』で使用された『Mr. lonely 』
なんて事のない美しいロッカバラードの曲たちなのだが、使われ方によっては私は狂気を感じてしまう。多分、D.リンチのアブない映画『Blue Velvet 』で同題の曲が繰り返し流れていたせいだと思う。

創り手の背景が様々なら、受け手のバックグラウンドも多様です。客席の全員がそれぞれ違うことを考え、自分の中に落とし込んでいると思うと世界は限りなく広いと思う。みんな脳内に別々の世界を作り上げて観ているのだ。

林田さんの『Flight from the city 』
彼の表現したい「青さ、未熟さの残る情景」は女性2人によって踊られているが、想像するにこれはたまたまというか、メンバーの中でのキャスティングで鳥羽、西澤さんがイメージに合っていたからだと思う。もしかしたら青年2人のデュオだったかもしれない。
照明スタンドの使い方、特にラストの消えるタイミング、絶妙でした。余韻が漂い、しばらく動けませんでした。

最後に、ジョフォア•ポプラヴスキーさんの存在感。チャーリー•リャン作『The Eclipse 』の中のチャーリーさんとのデュオが印象的でした。そして彼の『On the Surface, there you lie 』はトリにふさわしい重厚感がありました。暴力を振るい続けてエスカレートして止められなくなる者、抵抗もせずされるがままになる者…
いろいろなものが心に入ってきた。

金森さんがプログラム序文に
「劇場専属舞踊団として、新潟から日本を代表する作品、舞踊家のみならず振付家も輩出する事が次のミッションであり新潟の文化的価値観の創出になる…」
というような事を書かれていました。

メンバーの更なる飛躍を期待します。
次の振付公演が楽しみです!

(たーしゃ)

何とも贅沢な7演目♪ Noism1メンバー振付公演、その最終公演を観る+α

2021年3月28日、小雨。Noism1メンバー振付公演は当初から予定されていた15時の回に加えて、12時の回が追加された日曜日。休憩を含めた公演時間が約100分であることから、演者は約1時間を挟んで、2公演を踊るというタフな日程でした。私は昨日に続いて、最終公演も観ることが出来ました。そして今思うのは、なんと贅沢な2日間だったのだろうということです。

昨日のブログに書いた知りたかった事柄につきましても、幸運にも訊くことができましたので、今日はそこから書き出すことに致します。まず、開演前のホワイエで、Noism1リハーサル監督/Noism0の山田勇気さんにお訊きしたのは、出演者はどう決めたのかということ。すると、演出振付を担当する者が使いたいメンバーを選んだのだという答えを得ました。続いて、創作はいつ頃から始まったのかという点については、幕間に、客席で一列後ろに座られていたNoism2リハーサル監督の浅海侑加さんに訊ねましたところ、「Noism0とNoism1の公演(「Duplex」)の前からちょこちょこと作っていた」と教えていただきました。ご参考まで。

それではここからは、7つの演目について、私の目にどう映じたか、どう感じたかなど記してみたいと思います。それらはどこまでも個人的なものですので、今回、ご覧になられた方からどう感じられたか、コメント欄に頂戴できましたら幸いです。

先ずは前半の4作品。

1『The Eclipse』(演出振付:チャーリー・リャン)
身に纏った白い衣裳から、古代ギリシアや古代ローマ、或いは神話的な世界観が横溢する作品。演者は女性2(鳥羽さんと西澤さん)、男性2(ジョフォアさんとチャーリーさん)。タイトルは日本語で「蝕」、古来、不吉とされてきた日蝕。演じるジョフォアさん繋がりで、フランス語的に解すると、太陽が男性名詞で、月は女性名詞。(因みに、ドイツ語では真逆になるのだが、今、それは措いておいてよかろう。)冒頭、月(鳥羽さん)を力強い両腕で吊り上げる太陽(ジョフォアさん)と、力なく四つん這いの太陽(チャーリーさん)に挑まんと進み出る月(西澤さん)、その対称から発し、様々にパワーバランスを遷移させながらも、最終的に、月が太陽を圧する様子「蝕」へと至る。最後、もがき苦しむことになるのは他でもなく、…。随所に登場する頭を押さえつける振りが印象的。また、『R.O.O.M.』を彷彿とさせる音楽も耳に残る。

2『life, time for a life time』(演出振付:カイ・トミオカ)
ゆったりしたピアノの調べからハードなジャズのドラムへ、更に、ボードビリアンとして立つ舞台を思わせる効果音や、極端に機械的にデフォルメされた雨だれの音(?)、そして艶やかな弦の響きへと音が移い、表情を変えるのに併せて、カイさんと渡部さんも脱ぎ着しながら、人生の異なる時間、あの時やらこの時やらを、ときに緩やかに、ときに激しく、あるときは神妙に、またあるときは諧謔味を帯びて通過していく。ラスト、床面で身体をくねらせて踊る渡部さんの片手に載せられた黄金色の丸皿、その安定振りへと収斂し、締め括られていくふたつの人生からの逸話。

3『3,2,1』(演出振付:スティーヴン・クィルダン)
向こう向きの池田さんと客席に向いたおかっぱ頭の樋浦さん。足を開き、やや腰を落とした姿勢で、ベートーヴェンの『月光』ソナタ第三楽章の激しいビートを刻む冒頭。その小気味良さ。ふたりの姿勢には『NINA』の趣も重なる。音楽が緩やかになると、長躯のカナール・ミラン・ハジメさんが、常に両手で両目を開きつつ、垂直軸を強調させながら登場。目に映じる3人の性別は終始、混沌としている。やがて、おかっぱのかつらは樋浦さんから池田さんに移り、衣裳も、何気ない生成りから、怪しく光を反射する縞模様を含むものに変わるだろう。それは性の多様性をグラデーションで象徴する「虹」を模したものか。

4『“うしろの正面”』(演出振付:中尾洸太)
椅子、仮面。明滅した挙げ句に消える明かり、暗転、プレイバックと両立不能なパラレルワールド。上着、仮面、ナイフ、血塗られた赤の照明。スキータ・デイヴィス『The End of the World』は、悲劇的にすれ違う男女(林田さんと杉野さん)の惨劇を予告する。冒頭の椅子は、事切れた女のむごたらしい亡骸を載せ、ついで、そこに何事もなかったかのように男が腰掛けると、明滅する明かりの下、何やらメモをとる、その姿の不気味さ…。禍々しい題材ながら、森優貴さんの『Das Zimmer』で性別違和を踊った林田さん、その「越境」する色気零れるターンには今回も見とれた。

15分の休憩を挟んで、後半。

5『Flight From The City』(演出振付:林田海里)
スタンド照明がひとつだけで、周囲は闇。鳥羽さん(黒に見える濃紺)と西澤さん(白)によって展開される禁断の「百合」世界。なんと蠱惑的なのだろう。2016年冬にNoism2で『ÉTUDE』を踊った中にいたふたりが更にその先を踊る。別離の予感に満ち、哀調を帯びた調べが繰り返されるうちに、徐々にノイズが入り込んでくると、もう心も身体も抑制が利かない。お互いを求め、身体が縺れ合う、その官能性。一度目に明かりを消した闇のなかで、声にならない叫びを発した鳥羽さんは、ラスト、唇を重ね合わせたのち、今度も再び自ら明かりを消す…。そこに至るまで、夢幻のように、行き場を持たない蒼い時が切なくも美しい。

6『Kol Nidrei』(演出振付:三好綾音)
伸ばした手はかわされ、支えた足は払われる。求めても得られない思い、預ける身体は受け止められることなく、地に伏すしかない。そして拒絶は反復される、幾度も。それでもなお、慈しみ、与える。与えつつ、求める。より大きな何かを。舞台中央奥に一筋束ねられた布はより大きな何かの象徴か。バラバラな衣裳の5人がその末端を手に取る。すると、布は広がり、白と黒、斑のグラデーションを示す。善悪、或いは清濁を併せ持つかのように。手を離すと、布はしぼみ、スポット照明があたるなか、ひとり舞台に残った三好さんの姿と一体化する。あたかも「希望」ででもあるかのように光る布だけが残る…。

7『On the surface, there you lie.』(演出振付:ジョフォア・ポプラヴスキー)
カイさんと中村さんのペアも、中尾さんも、細かい位置こそ違え、顔の左側に黒い痣をつけている。それは何かのトラウマの表象。青い光の下、表現される怖れと慄き、或いは意を決して向き合おうとする姿と逆にそれを押しとどめようとする振る舞い、葛藤。それら結果としての3人の「表層」がアクティング・エリアに交錯するうち、その外部に恐れと慄きの源泉である不可視の「対象」或いは「深層」が現出してくるさまは圧巻だった。ラスト、中村さんによるカイさんへの過剰な制止はもはや「制止」の身振りを遙かに逸脱し、自らのトラウマの投影として、見詰める目に痛々しく突き刺さるよりなかった。

以上、雑感でした。あくまで個人的な…。

7つの演目、全て見応えがありましたから、何と贅沢な公演だったことでしょう。追加公演を入れても、たった3回の上演とは勿体ない、勿体ない。まだまだ何回も観たい、そう思いました。ご覧になられた方は幸せでしたね。まさに至福の週末♪一方で、観る機会に恵まれなかった方も多くいらっしゃった訳ですから、機会を設けて、また見せて欲しい、心底そう思いました。

さて、こちらも昨日からの続きとなりますが、6F展望ラウンジの「RYUTOPIA INFO BOX」について、(またしても思わせぶりな)若干の補足です。

「舞踊」分野、Noism的には、この6つが展示されています。(因みに途中の「28番」は「演劇」分野の展示となります。)実際の展示品につきましてはご自分の目で直に見られるのがよいかと思います。悪しからず。

それでは今日はこのへんで失礼します。

(shin)

また違った魅力に浸る、Noism1メンバー振付公演(初日)♪+α

2021年3月27日の新潟市は、曇天で、兆す春もやや控えめ、暖かさもいまひとつといった土曜日。その17時、りゅーとぴあのスタジオBでNoism1メンバー振付公演の初日を観てきました。

久し振りのメンバー振付公演です。しかも早々に完売となってしまった今回の公演。Noism1メンバーのうち7名が振り付けた作品が観られるということ以外は何もわからず、どんな感じかと胸を躍らせてりゅーとぴあを目指しました。

公演の詳細は下の画像をご覧下さい。

7つの演目はそれぞれ10分内外の作品で、演出振付と出演は以下の通りです。

1『The Eclipse』演出振付:チャーリー・リャン、出演:ジョフォア・ポプラヴスキー、チャーリー・リャン、鳥羽絢美西澤真耶

2『life, time for a life time』演出振付:カイ・トミオカ、出演:カイ・トミオカ、渡部梨乃

3『3,2,1』演出振付:スティーヴン・クィルダン、出演:樋浦瞳、池田穂乃香、カナール・ミラン・ハジメ (*タイトルについてですが、冒頭、「さん、に、いち」という音声が聞こえました。)

4『“うしろの正面”』演出振付:中尾洸太、出演:林田海里、杉田可林

5『Flight From The City』演出振付:林田海里、出演:鳥羽絢美、西澤真耶

6『Kol Nidrei』演出振付:三好綾音、出演:スティーヴン・クィルダン、三好綾音、杉野可林、坪田光、土屋景衣子

7『On the surface, there you lie.』演出振付:ジョフォア・ポプラヴスキー、出演:カイ・トミオカ、中尾洸太、中村友美

全て観終えてまず感じたことは、最近、多方面で露出が増し、とみに注目を集めている感のあるNoismにあって、その本体の活動とは別に、これらを創作することはなかなか大変だったのではないかということでした。いったいいつ、どのくらいの時間をかけて創作されたものなのでしょうか。そして、出演者はどうやって決めたのかってこともちょっと訊いてみたいですね。

それぞれの作品が、演出振付にあたったメンバーの普段とはまた違った一面を見せてくれて、とても興味深かったですし、様々なテイストを具現化するダンサーたちの熱演はまったく見飽きることがなく、あっという間に観終えてしまった、そんな感じでした。

また、手にしたプログラムには、それぞれ作品毎に演出振付を担当したメンバーの言葉が掲載されていましたので、幕間に少し明るくなると、「次はどんな作品だろう」「誰が踊るのだろう」と、客席のどこからもプログラムを手に取る際に生じる、紙が擦れる音が聞こえてくるのも印象的でした。

7人のメンバーによる7つの作品。バラエティ豊かな力作・力演揃いで、必ずそのなかにあなたの好きな作品が見つかるでしょう。因みに、私の好みはと言えば、…おっと、今は内緒です。

明日は追加発売された公演とあわせて2公演の日。メンバーたちはさぞかし大変でしょうが、観客としては、期待値をあげにあげても、決して裏切られることなどないと保証しましょう。どうぞお楽しみに♪

*各作品について私が抱いた印象は翌3/28付けの記事をご覧下さい。

ところで、時間前にりゅーとぴあに着いたので、珈琲でも飲もうと、6F展望ラウンジ(旬彩・柳葉亭)にあがったら、嬉しい驚きがありました。りゅーとぴあを訪れたなら是非見て欲しいものがひとつ増えたと言いましょう。それは6F壁面に設置された「RYUTOPIA INFO BOX」というコーナーです。皆さん、ご存知でしたか。

「りゅーとぴあに眠る宝物を集めました」の言葉通り、「音楽」「古典」「演劇」「舞踊」、併せて30を超す、様々興味深い品々が展示されています。『Fratres』のあの場面がフィーチャーされた「舞踊」コーナーには、勿論、Noism関連の「お宝」が6つ並び、目を惹きます。

あれとかこれとか、ハンディな解説入りで展示されていますから、先ずは必見ですね。で、何が並んでいるかと言いますと、…おっと、ご自分の目でご覧になるのが一番ですね。お楽しみに♪

という訳で、今回のブログはまだまだ書かない方が良いものが多く、なんとも思わせぶりなものとなってしまいました。スミマセンです。(汗)+(笑)

(shin)

「ランチのNoism」#7:林田海里さんの巻

メール取材日:2020/10/13(Tue.)

映像舞踊『BOLERO 2020』も絶賛公開中のNoism Company Niigata。「ランチのNoism」は今回が第7回目。林田海里さんのランチをお送りします。件の映像舞踊ではベッド+毛布での登場にキュンとしたり、「まだまだ寝ていたい朝」に親近感が湧いたりした、そんな林田さん。ランチはどんな感じなのでしょうかね。ではでは、拝見しましょうか。

♫ふぁいてぃん・ぴーす・あん・ろけんろぉぉぉ…♪

りゅーとぴあ・スタジオBのホワイエに昼がきた♪「ランチのNoism」!

*まずはランチのお写真から

新潟市音楽文化会館を背景に
林田さんのランチ

1 今日のランチを簡単に説明してください。

林田さん「納豆、おにぎり、おやつにバナナです。いつも大体これです」

 *窓辺に置かれたこの日のランチは定番の3品。納豆もバナナもNoismではよく見かける品ですが、一日にひとつ(一本)ずつしか食べないそうで、「(男子なのに)主食少なめ!」とか「あれだけ身体を動かすのに足りるの!?」とか心配になっちゃうのは、もう「ランチのNoism」恒例の事態!で、これ見ちゃって、「無駄に食べてるなぁ、私」と反省することになるのもいつものことでして、ハイ。(汗)でも、私、おにぎりは冷やして、難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)にして食べることで、血糖値の急激な上昇を抑えるようにしたりとか、ちょっとは気を遣ってるんですけどね、って私の話はいいか。失礼しました。(大汗)m(_ _)m

  …話を林田さんのおにぎりに戻します。好みの具材を訊ねましたところ、「一位は鮭です。写真のは大きい鮭のやつですけど、安い方を買うときの方が多いです。ジャンクな焼肉のやつとか、お稲荷さんも好きです」のお返事でした。

2 誰が作りましたか。普通、作るのにどれくらい時間をかけていますか。(or 主にどこで買ってくるのですか。)

 林田さん「納豆とバナナはイトーヨーカドーで買うので、毎朝おにぎりだけを買いに行ってます。家から一番近いファミマとセブンを気分で使い分けています」

 *林田さんのバナナに関しては、皆さんが上手に活用している「値引き」を待てない事情があるようです。そのあたり、次の質問でわかります。

3 ランチでいつも重視しているのはどんなことですか。

 林田さん「なるべく青いバナナを買うこと。熟れたバナナが好きじゃないので」

 *ええっ?何て言いました!?そんな人、いるんですか?(←かなり失礼)だって、青いバナナって草みたいじゃないですか?(←相当、失礼)「青い果実」って響きにはセクシーなものがありますが、青いバナナとなると、同意しかねますけど…。じゃあ、訊いてみます。「皆さんのなかで青いバナナが好みって方、手を挙げてください」…「ハイ、少数」(←ZOOMでもなし、見える訳ない。ホント、失礼)

  …で、「熟れたバナナ」のどんなところが苦手か、もう少し詳しく伺いました。すると、「茶色い斑点が出てくると、甘い匂いが強くなりますよね…それが苦手です。でも1日1本しか食べないので、一房買うといつも最後の1,2本はカイに食べてもらうという感じになります…」とのお答え。わかるような、わからないような…。でも、カイさんはバナナ買わずに済む感じ?そんなこたぁないか。(笑)

4 「これだけは外せない」というこだわりの品はありますか。

 林田さん「ないです。こだわりはバナナの青さのみ」

 *もうそれだけで充分なこだわりですけど。(笑)

鳥羽さんと一緒に掲げるのは
「OKバナナ」(恐らく)

5 毎日、ランチで食べるものは大体決まっている方ですか。

 林田さん「サンドイッチの気分の時はサンドイッチを食べます」

 *ああ、あるんですね、「サンドイッチ気分」。そんなふうに「の」を省いて書くと、何か村上春樹か俵万智みたいですけど…。コンビニの商品棚の前に立つと、ときどき、他を圧倒する光を発しているかのように見えて、引き寄せられるみたいに手を出しちゃう品ってありますよね。それ、「気分」を反映しているってことなんでしょうね、きっと。

 …で、林田さんに戻りますと、好みのサンドイッチはタマゴサンドなのだそうです。…タマゴサンド♪…「幸福(口福)」を挟んだ「王道」サンドイッチと言えますよね。うん、うん。こちらは同意、激しく同意です。(笑)

6 公演がある時とない時ではランチの内容を変えますか。どう変えますか。

 林田さん「変わりません。しかし先日の洋舞踊協会との合同公演ではお弁当を頂いたので本番前にそれを食べました。美味しかったです。ありがとうございました」 

 *脇目もふらない安定の「定番」ランチなのですね。あっ、それはそうと、拝見しましたよ、洋舞踊協会との合同公演『畦道にて~8つの小品』。そのなかの「Ⅵ.愛や、」、市民との情感たっぷりのコラボ、素敵でした。その際のお弁当に対するお礼の言葉とは、礼儀正しい好青年、素敵です。

7 いつもどなたと一緒に食べていますか。

 林田さん「そのときそこにいる人と一緒に」

 *そうなのですね、構えるところのない自然体。魅力的です、林田さん。

8 主にどんなことを話しながら食べていますか。

 林田さん「もくもくと食べます。そして足を上げて寝ます」

 *どちらも、ランチの前後、舞踊家としての大切な時間(稽古)への配慮から来る、合理的で自然な振る舞いなのでしょうね。足を上げて寝ることには疲労回復効果やリラックス効果などがあると聞きますし。う~む、プロですね。当たり前かもですが。

9 おかずの交換などしたりすることはありますか。

 林田さん「僕的に熟れすぎたバナナはカイがいつももらってくれます」

 *また顔を出した「青いバナナ」問題、って勝手に楽しんじゃってますね、いかん、いかん。(笑)

10 いつもおいしそうなお弁当を作ってくるのは誰ですか。料理上手だと思うメンバーは誰ですか。

 林田さん「カイとスティーヴンはいつも自作のお弁当でえらいなぁと思っています」

 *おっと、ここでも、カイ・トミオカさんとスティーヴン・クィルダンさんのお弁当ですか。前回の井本星那さんも「しっかり作ってきている」って感心していたふたりです。ますます楽しみが膨らみました。

林田海里さんのランチご紹介はここまでですが、林田さんから皆さまへのメッセージがございます。どうぞお読みください。

■サポーターズの皆様へのメッセージ

 「つまらない昼食ですみません。いつも応援して下さってありがとうございます。大変なときですが、こうして新しいシーズンをむかえ、毎日踊り続けられるのも皆様のおかげです。これからも劇場に足を運んで、舞台を観に来て下さい。それに伴う不安が解消される日が早く来ますように。」

メッセージも含めて、どうもご馳走様でした。次回はどなたのランチが登場しますでしょうか。どうぞお楽しみに♪

では、今回はこのへんで。お相手は shin でした。

(shin)

Noismかく語る・2020春② - Noism1メンバー前編

前回、Noism03名からのメッセージをお届けしましたが、この度は、Noism1前編としまして、6名を掲載いたします。全国に「緊急事態宣言」が拡大し、緊張感が増した夜にあって、いっとき、少しでも不安や緊張が緩和されましたら幸いです。新作『春の祭典』に纏わる思い、コロナ禍に寄せる思い、是非ともお読みください。

池ヶ谷奏

いよいよNoism版『春の祭典』かとワクワクしています。スコアナンバーが200もある楽譜、はじめは暗号だらけで追うこともできず、楽譜の読める父にメールで尋ねたり必死でした。

今では「ここに16分休符があるから…」とか「5.5.3.5.4…」と電話番号のように変拍子を覚えたりして、聞こえる音以上に情報が増えました。リズムを理解することでより動きと一致してきたように思います。

新潟に来て10年目。

今は簡単に人と会えない・集まれない・触れ合えないという、舞踊の人間にとっては致命的な状況が広がっています。

誰もが不安で、未来は誰にも分かりません。私は今できることを全うし、そして勝手に10周年記念公演と思って、感謝も込めて全力で踊り切ることができるよう精進します。

Photo: Noriki Matsuzaki

(いけがやかな)

ジョフォア・ポプラヴスキー

『春の祭典』は私にとって常に踊ることが出来たらと願っていた作品でした! その音楽はエネルギーに満ち、その入り組んだ複雑さはダンサーと空間の間に信じ難い化学反応をもたらしてくれます。

私は穣さんがそれをどのようにして彼自身の芸術的な宝に仕立てていくかワクワクしながら目にしていて、自分がその一部となる機会に恵まれたことを幸福に思っています! 

(日本語訳:shin)

*ジョフォアさんによる元原稿(英語)はこちらです。

Le sacre has always been a piece I wished to be able to dance! The music is full of energy and its complexity brings incredible chemistry between dancers and space.

I’m so excited to see how Jo-san will make it his own art treasure and happy I have the chance to be part of it!

Photo: Noriki Matsuzaki

(フランス生まれ)

井本星那

今回のクリエーションでは音楽から思いを、動きへと、ひとつひとつ紡いで繋がっていくような、そんな感覚があります。

目まぐるしく世界が変化する中、人との繋がりが切れてしまわないように、思いやりの大切さに日々気付かされます。新潟の皆さまとまた繋がれる日を楽しみに、毎日稽古に取り組んでいます。

Photo: Noriki Matsuzaki

(いもとせな)

林田海里

役割を演奏されている楽器ごとに与えられる実験的な創作を、楽譜をなぞるのに苦戦しながら楽しんでいます。皆でこの『春の祭典』を奏でる様に踊りたいです。

Photo: Noriki Matsuzaki

(はやしだかいり)

チャーリー・リャン

今、世界中の誰もがとても疲弊していることは間違いのないことだと思います。コロナウイルスが原因で、あらゆるものが突然にキャンセルされたり、延期されたりしています。ただただ日々の生活や将来のことが心配でなりません。あらゆることが可能な限り早期に快方に向かうことを望んでいます。皆さんが私たちの公演を観に来てくださる日を心待ちにしております。 

(日本語訳:shin)

*チャーリーさんによる元原稿(英語)はこちらです。

I believe that everyone in world now is very exhausted recently. Because of coronavirus, everything was cancelled or suspended suddenly. Just being worried about our life or future. Hope everything will get better as soon as possible. I’m looking forward to everyone can come to watch our show.

Photo: Noriki Matsuzaki

(香港生まれ)

カイ・トミオカ

2020年の年頭から、Noismで私たちは新作公演『春の祭典』のクリエーションに集中して取り組んできました。これまでにも世界中で多くのカンパニーによる多くのヴァージョンとヴァリエーションが創られ、踊られてきました。そして私もこの象徴的な音楽の体験を楽しんできました。昨シーズン、私は『ラ・バヤデール -幻の国』と『カルメン』を踊りました。どちらも再演でしたが、Noism1、Noism2のダンサーたち、言うならばNoismファミリーが総出演する物語形式の大作でした。そして今度は、Noism1メンバーに加え、新たに立ち上げられたNoism0とともに新作のクリエーションの過程にいることはとても楽しい体験となっています。この『春の祭典』は、先に触れた2作のように必ずしもすっきりした物語を持つものではありませんが、抽象的な物語とストラヴィンスキーによる音楽の解釈との間に興味深いバランスが形作られることになります。私たちはカンパニーとして、時間をかけてこの作品のクリエーションにあたることを許され、とりわけ、コロナウイルスのために、今、世界中が体験しているこの不確かな期間にあってさえ、踊り続け、クリエーションを続けることができることをとても光栄に思っています。 

(日本語訳:shin)

*カイさんによる元原稿(英語)はこちらです。

From the start of the year of 2020, we at Noism have been focused on the creation of our new performance, ‘the rite of spring’. There have been many versions and variations of this piece created and danced by many companies all over the world, and I have enjoyed my experience thus far of this iconic score of music. Last season I performed in “La bayadere” and “Carmen”, both of which are full Length narrative works that were created previously involving the whole of the Noism family, dancers from Noism1 and Noism2.  It has been an enjoyable experience being part of a new creation process together with Noism1 and the newly formed Noism0. While not necessarily a straightforward narrative work like the previously mentioned works, ‘the rite of spring’ strikes an intriguing balance between an abstract narrative and an interpretation of the music by Stravinsky. We as a company are privileged to have this long period of time to create this work, and in this period of uncertainty the whole world is experiencing right now due to the coronavirus, we are very privileged to be able to continue dancing, crafting and creating as we are now. 

Photo: Noriki Matsuzaki

(イギリス生まれ)

連載3回目となる次回は、Noism1後編としまして、スティーヴンさん、タイロンさん、鳥羽さん、西澤さん、そして三好さん(準メンバー)を掲載いたします。引き続き、ご期待ください。

(shin)

*ポートレートのクレジットに誤りがございましたので、訂正させて頂きました。ここにお詫び申し上げます。

「私がダンスを始めた頃」⑨  林田海里

母と叔母が熊本でジャズダンスのスタジオを経営しています。小さい頃から彼女らに連れられ、稽古場や楽屋にいる事が当たり前だった僕は、見よう見まねでしたが、踊る事が大好きでした。

ですが、ちゃんと踊りを習いたいと言い出したのは10歳の頃でした。(実はあまり覚えていませんが。)母は僕が自らそれを言い出すまで無理強いしないと決めていたようです。母は、どんな踊りをするにもクラシックバレエを習ったほうがいいだろうと僕を地元のバレエ教室に連れて行きました。

毎年クリスマス恒例の『くるみ割り人形』に出演する度にバレエにのめり込んで行き、高校受験の頃には舞踊家を生業とするために留学したいという気持ちが固まっていました。当然勉強が手に付くはずもなく両親と衝突したりもしましたが、僕の将来の夢自体を否定された事はありませんでした。理解のある家族の支え無しに今の僕はいません。踊り続けられる身体と環境に感謝して、これからも踊っていたいと思っています。

(はやしだかいり・1994年熊本県生まれ)

*2021年7月退団