清新さと野心と(サポーター 公演感想)

毎年3月恒例の研修生カンパニーNoism2定期公演。今回(vol.16)はNoism1・中尾洸太さんに加え、同じく樋浦瞳さん(新潟市出身)が演出振付家デビューすることもあって、各種媒体でも公演が紹介され、初日の客席も盛況だった(BSN新潟放送の取材班もお見かけした)。客席や物販コーナーではNoism1メンバーの姿もあり、皆で若き舞踊家と演出振付家を盛り立てようという思いが、劇場に漂うよう。


開幕は樋浦瞳作品『とぎれとぎれに』から。私たちが「Noism的なるもの」として連想する、虚飾を剥いだ舞踊の連なりに、樋浦さんならではの細やかな感性が染み込んだ一作。舞台正面から斜め方向を意識した空間構成や、ある舞台美術が雄弁に示す舞台の一回性。白から黒、生から死へのあわいで悶える6人の若き舞踊家達と、照明が織りなすものに、私は奪われていくガザ始め世界を生きる人たちの命を思わずにはいられなかった。

続く中尾洸太作品『It walks by night』は、中尾さんの既にして才気溢れる作家性に圧倒される仕上がりとなっていた。Noismの基礎にある「クラシックバレエ」そのものを解体し、再構築していく舞台に息を幾度も呑んだ。あるクラシックの有名曲(最近ではアキ・カウリスマキ『枯れ葉』でも印象的に使用されていた)と9人のダンサーの調和、バレエでの女性表象を超えるNoismらしいエログロまで内包した演出には唸るばかり。

公演ラストを飾るのは金森穣芸術総監督による、最早古典的風格さえ漂う「火の鳥」。ストラヴィンスキーの楽曲と寸分違わず溶け込む振付、8人の舞踊家の「今」を活かし切る瑞々しさと、安易な感傷を排して観客のイマジネーションを膨らませる「仮面」と「黒衣」。幾度見ても新たな発見を得られる名品だ。

公演初日は、地域活動部門芸術監督・山田勇気さん、中尾洸太さん、樋浦瞳さんによるアフタートークが開かれた。「若いダンサーへのメッセージ」を問われ、「自分が今持っている身体に向き合えるのは自分だけ。未来と今、他者と出会うことを意識して踊り、あなたの身体でしか発見出来ないことを見付けてほしい」と語る樋浦さんと、「夢を見ないこと。夢は叶わないかもしれないし、逃げにもなる。身体や心から起こる野心と、現在地を見つめる為の目標を大切にしてほしい」という中尾さん。対照的でいて、各々の誠実さが滲む答えに胸が熱くなった。


若き舞踊家それぞれの献身と躍動に加え、新しい舞踊作家の誕生を目撃する機会。本日の公演の更なる盛況を祈る。

久志田渉(新潟・市民映画館鑑賞会副会長、安吾の会事務局長)

「円環」トリプルビル、新潟公演中日も客席を魅了♪

12月14日(土)、新潟市界隈は冬っぽくはあっても、「円環」公演の時間帯には雪はおろか、雨も落ちてきてはいずに、その意味では大助かりだった訳ですが、「大動脈」新新バイパス上で2件の事故があったお陰で、開演時間(17時)までにりゅーとぴあに辿り着くことが出来るか、ホント冷や汗ものの移動となったのは私だけではなかったのではないでしょうか。何とか滑り込みセーフで事なきを得ましたけれど、もう気が気ではありませんでした。

ホワイエでは、前日撮影しないでしまった「物販」コーナーの写真を撮らせていただきたいと思っていましたから、まずはそこを押さえることが出来て、自分に課したミッションクリア、でめでたし、めでたしでした。(休憩時間には、本日お越しになられていた花角知事が20周年記念冊子をお買い求めになる場面に遭遇しました。やっぱり、アレいいですよ、お洒落そのもので。2,000円はマストバイのアイテムかと。)

入場時に手渡される公演パンフレットと各種チラシの束のなかには、私たち NoismサポーターズUnofficial 製作の「サポーターズ・インフォメーション」の第11号も含まれております。力を込めてつくっておりますので、是非ご覧いただき、仲間に加わっていただけたなら嬉しく思います。

移動のドキドキから解放され、落ち着きを取り戻して客席から見詰めた「円環」トリプルビルの新潟公演中日の舞台は、この日もまさに会心の出来栄え。すっかり心を鷲掴みにされてしまうことになります。

まだまだ先の長い公演日程に鑑み、3つの演目について詳述することは致しませんが、最初の演目、金森さん演出振付で、金森さん+Noism1の『過ぎゆく時の中で』と二つ目の近藤良平さん演出振付のNoism1『にんげんしかく』が肌合いを異にするように感じられるのは、ある意味、容易に頷けるにしても、最後の『Suspended Garden - 宙吊りの庭』がまた同じ金森作品でも、『過ぎゆく…』とは別種の風情を湛えた作品であることも一見して明らかでしょう。
そして、それと同時に、昨日も今日も見終えたときに感じたのは、そうした相異なる3作品が、不思議に繋がり合っているようだということでした。それこそ、まさに「円環」。舞踊の多様性と奥深さに同時に触れ得た気がした次第です。そのあたりのこと、皆さんはどうお感じになられたでしょうか。コメント欄に書き込みいただけたりしたら嬉しいです。

ここからはこの日の終演後に行われたアウタートークについて、かいつまんでご紹介していこうと思います。この日の登壇者は、三つ目の演目を踊られた井関佐和子さん、山田勇気さん、宮河愛一郎さんと中川賢さんでした。
踊り終えたばかりの4人が着替えてクールダウンするまでの間の「場つなぎ」として金森さんが登場して、そのまま進行を務めたのですが、今公演は、井関さんが方向性を定め、構成を決めるプロデューサー兼出演者であったことを再度、念押しされたことも併せて記しておきます。

Q:(井関さんに)今回、近藤良平さんを招聘した理由について
 -A(井関さん):「Noism1メンバーのことを常々考えている。何が足りていないか。彼らの現在の問題も良さも個性も、どの振付家が来ても出てしまうし、自分が見る限り、新しい発見はない。近藤さんをお呼びしたことで自ら気付いて貰う機会にして、成長して欲しいという思いがある」

Q:(宮河さん・中川さんに)久し振りにNoismの舞台に出て感じたこと
 -A(宮河さん):「リハーサルに時間をかけられる環境。とことん深めていく作業、久し振り」
 -A(中川さん):「流れていたところに、また違う流れという感じ」

Q:新潟での12月の公演は厳しい。11月にならないか?
 -A(井関さん):「確かに12月は自分たちも寒くて厳しい(笑)。今回もクリエイションが始まった頃は晴れた秋空だったのが曇り空になり、段々、『新潟』の空になってきた。検討してみます」

Q:新潟で美味しいと思う食べ物は?
 -A(山田さん):「刺身。自分は北海道生まれなのだが、新潟が一番美味しいと思う」
 -A(中川さん):「タレカツ」
 -A(宮河さん):「居酒屋しののめさんのとりカツ」
 -A(井関さん):「お米」

Q:ダンスを始めたきっかけは?
 -A(山田さん):「大学に入ってから。ダンス甲子園とか深夜番組でヒップホップが流行っていて、ストリートダンスをやっていたが、大学のダンス部では違うモダンダンスをやっていた」
 -A(中川さん):「姉が現代舞踊(モダンダンス)をやっていたことから」
 -A(宮河さん):「応援団に入っていたり、バレエやジャズダンスなどから。マイケル・ジャクソンとかダンス甲子園とかの頃」
 -A(井関さん)「3歳で踊り始めたので、記憶がない」

Q:舞台芸術を裏で支える人になりたい。求めていることは?
 -A(井関さん):「是非、ウチに。状況であったり、何が求められているかであったりを把握できること。機転が利いて、その瞬間を生きること」

Q:どうやって動きを合わせていたのか。呼吸?カウント?
 -A(宮河さん):「場所によって違う。カウントのところもあれば、デュエットは呼吸」
 -A(井関さん):「結構、カウントは決まっていたが、重要なところはカウントではなくなってきた。アン(=トン・タッ・アンさん)の音楽に呼吸を感じる」

Q:リノリウムに画像が映されるのは踊り難かったりしないか?
 -A(宮河さん):「テンションがあがるが、画像が動くと目印が動いて惑わされることも」
 -A(中川さん):「自分は踊り難くはない。テンションあがる」
 -A(山田さん):「デジタルの画像なので、細かいグリッドが見える。客席からは綺麗に見えるようになっている」
 -進行役・金森さん「そうなんだよね。客席からの見え方で作っている」

Q:海外公演、どの国で行いたいか?
 -A(井関さん):「スイス。自分がいたところであり、欧州でも違う国なので。そしてフランス。舞踊に厳しい国で、今、金森作品を持っていったら、どう感じて貰えるか興味がある。是非、連れて行ってください」

Q:お気に入りのポーズは?
 -A(山田さん):「手を繋いで斜め一列になるところ。深いプリエをする。頑張っているなぁと思って好き」
 -A(宮河さん):「佐和子(=井関さん)をリフトして止まるところ。うまく入ると気持ちいい。やってやるぞと」
 -A(中川さん):「ポーズではないが、4人が揃っているとき」
 -A(井関さん):「奥で全員集まって、顔を見るところが好きな瞬間。いい瞬間だなと」

Q:これまでの衣裳で、一番の好みは?
 -A(中川さん)「ISSEY MIYAKEとか白の全身タイツとか印象に残っている」
 -A(宮河さん)「『中国の不思議な役人』の布団。布団風ではなくて、めちゃめちゃ重かった」
 -A(山田さん):「今回のは凄く好き。違和感がない」
 -A(井関さん):「『夏の名残のバラ』の堂本教子さんによる赤いドレス」

Q:(宮河さん・中川さんに):久し振りに金森作品を踊っての感想
 -A(宮河さん):「今でもまだ信じられない。戻ってくることがあるとは思っていなかった。クリエイションが始まったときから笑いがとまらない。今でも本当なのか疑っているほど信じられない経験。心が追い付かないくらい嬉しい」
 -A(中川さん):「昔、自分は穣さんの作品に出たくてNoismに来た。その頃、メンバーにならなければ穣さんの作品は踊れなかったから。今、ひとりの中川賢として踊っている。メンバーだった自分がいてよかった」

Q:アンさんの素晴らしい音楽を踊っての感想
 -A(井関さん):「アンの音楽は導いてくれる。幾つものレイヤーがあって、その都度、耳に入ってくる音が違う。日本(新潟)に来てくれて、調整してくれた音はまた全く違って聞こえてきた」
 -A(宮河さん):「母の作るシチューが安心感あるのに似ている」
 -A(中川さん):「純粋にいい音楽だなと。最初のピアノの4つの音、もはや聴きたくなっちゃっている」
 -A(山田さん):「アンの音楽は変わっていない。聴いた瞬間、『ああ、アンだな』と思った」

Q:年齢による踊りの変化、どう感じているか?
 -A(山田さん):「色々経験を重ねて、見える部分増えたが、今回、同じ釜の飯を食ってきたこのメンバーで踊って、話さなくても、身体的にわかる。このメンバーでやることに安心感があり、広い心で舞台に立つことが出来た」
 -A(中川さん):「環境によって、果たすべき役割は違う。一緒に長くやってきたことは貴重」
 -A(宮河さん):「年をとることは嫌なことだと思ってきたが、ここ1、2年は違う。父が亡くなったり、怪我をしたりしたことがダブって見えてきた。経験を重ねることで見えるものも増えていて、年をとるのも悪いことではないなと」
 -A(井関さん):「(金森さんも含めて)5人の年齢を合わせると200歳を超える(笑)。舞台に立つ心持ちが変化した。ただ単純に『自分を見て欲しい』ではなくて、どう人と繋がっていくか。これから年をとっていくことが楽しみ。このふたり(宮河さんと中川さん)はずっと身体と向き合っているから呼んで欲しいと思った。年齢を重ねても進化出来る。自分自身に期待している」

最後に、金森さんから、新潟楽日は当日券の余裕もあり、もう一度観たいという方は是非に、とのお誘いなどがなされ、大きな拍手のなか、この日のアフタートークが締め括られました。

…大体、そんな感じでしたかね。以上、報告とさせて頂きます。

そしてこれを書いているのは、その新潟楽日の未明。半日後にはその舞台もほぼ最終盤に差し掛かっている筈、というそんな時間。本日が新潟で今公演を観る最後の機会。
皆さんも「円環」よろしく、素晴らし過ぎる「非日常」が待つりゅーとぴあ〈劇場〉への「円環」を企ててみませんか。Noismロスになる前にもう一度。
私?もちのろんです♪って、年を重ねた観客がここにもひとり。皆さんも是非♪

(shin)

なんという豊かさ!なんて素敵な宵!Noism0 / Noism1「円環」新潟公演初日♪

奇しくも、一般的には不吉とされる日にちと曜日の組み合わせであった12月13日(金)、新潟市のりゅーとぴあ〈劇場〉には、逆にこの日を待ちに待った者たちが18時をまわった頃から冷たい雨すら厭うことなく、続々集まってきました。

Noism0 / Noism1「円環」新潟公演初日、近藤良平さんを招聘してのこのトリプルビルは、国際活動部門芸術監督の井関さんが「自信をもってお届けする」と語ってきた豊かさで早くから評判を呼んでいましたが、なるほど、舞踊の多様性や奥深さを示す、まさに「目にご馳走」のラインナップと言えるものでした。

開演時間の19時を迎えます。まずはNosim0+Noism1『過ぎゆく時の中で』(約15分)。こちらは2021年のサラダ音楽祭で初演された作品の劇場版であり、新潟市初登場となる演目です。疾駆するかのようなジョン・アダムズの音楽(『The Chairman Dances』)に乗って、駆け足で、或いは、ゆっくりスローモーションのように、舞台を下手(しもて)から上手(かみて)へ、或いは、その逆に動いていく身体たちが未来への思いや、過去への追想を描き出し、「時」の流れが可視化されていきます。永遠の相のもとに…。
この作品でNoism1のメンバーと一緒に踊る金森さんの姿はこれまでに目にしてきたどの金森さんとも違う空気感を出していて、そこも見どころと言えるかと思います。

一回目の休憩は10分。それを挟んで、二つ目の演目は、かつての『箱入り娘』(2015)のメインビジュアルと相通じる感もある、近藤良平さん演出振付のNoism1『にんげんしかく』(約35分)です。さすがは近藤さん、奇抜!まさにその一語なのですが、そこは磨かれた身体性のNoism1メンバーたちのことですから、「ちょっと苦労させてみたかった」思いの近藤さんを相手に、「段ボールとの格闘日記」の末、もう充分「段ボール専門家(!)」といった風情を漲らせて舞台狭しと踊ります。ですから、無地の矩形で代替可能でしかない段ボールの一つひとつが、中や脇で踊る各メンバーの個性を帯びて見えてくる不思議な感覚にも出会いました。
観る者を武装解除させずにはいない内橋和久さんによるダクソフォンの音楽も相俟り、10人のそのとても楽しそうな様子が客席にも伝播していく、笑いに満ちた「生命賛歌」と言ってよい会心作です。

20分間の二回目の休憩ののち、三つ目の演目がNoism0『Suspended Garden - 宙吊りの庭』(約35分)、金森さん演出の新作で、元Noismの宮河愛一郎さんと中川賢さんが、井関さんと山田さんと一緒にトン・タッ・アンさんによるこの上なく繊細な響きの音楽を踊る、これもまた注目作品です。こちら、同じ金森作品でも、最初の『過ぎゆく時の中で』とは全く趣を異にし、息を呑むほど美しい作品で、その点では、『夏の名残のバラ』(2019)を彷彿とさせるものがありますし、登場するトルソーも、同『夏の名残のバラ』のカメラコード、『Near Far Here』(2021)のアクリル板がそうであったように、舞踊家と一緒に踊っているのを見ることになるでしょう。更に、そのトルソーと人形振りという点からも多くの過去作と呼び交わすものがあることは言うまでもありません。
そこに黒い衣裳の宮河さんには『ZAZA』(2013)の、中川さんの背中には『ラ・バヤデール - 幻の国』(2016)のそれぞれ記憶が回帰しました。(個人的な印象ですが。)瞬きするのさえ惜しいほど、それだけで「尊い」のですが、初めてふたりを観る方も心配ご無用、熟練の舞踊家が醸し出す色気は誰の目にも明らかでしょうから。

このトリプルビル、なんという豊かさであることでしょうか!3作品、それぞれ持ち味を異にするラインナップで、どの演目にも大きな拍手と「ブラボー!」の声が送られたことは言うまでもありません。

終演後、金森さんと近藤さんが登壇して、Noismスタッフ・上杉晴香さんによる手際のよい進行のもと、アフタートークが行われました。で、冒頭、その上杉さんから、動画ではなく、写真であるならば撮影して構わないと告げられたことも嬉しい事柄でした。
以下にこの日のやりとりから、おふたりの回答中心にまとめて少しご紹介します。

Q:『にんげんしかく』の段ボールについて
 -A(近藤さん):「燕三条で買ったもの。『何でこんなに買うんですか?』と訊かれたが、細かいサイズ指定をして買った」「自分の目の高さちょうどのところに小さな穴がふたつ開けてあって、そこから見ている」「箱の中に持ち手などはない。付けるのは邪道」「横に倒れるのは怖い。訓練が必要」「勿論、自分も入ってみた」
 -金森さん:「俺は(入ったことは)ないよ」
 -近藤さん:「でも、誰もいないところで、こっそり入ってたりして(笑)」「みなさんもMy段ボール用意して入ってみてください。いいですよ(笑)」

Q:コンドルズに振り付けるときとの違いは?
 -A(近藤さん):「基本的にはない。生き生きするその人なりの方法を探すのは同じ。調子に乗ってくるとダメだし、あんまり上手くなられるのも困る」

Q:コンドルズの次の新潟公演の予定は?
 -A(近藤さん):「コンドルズは今、28周年。来年が29周年。で、30年、やっぱりめでたいじゃないですか。そのときが一番かなあ」

Q:『にんげんしかく』のお題にある「88%星」にはどこかの国のイメージあるのか?
 -A(近藤さん):「架空の星。星新一に出てくるような。衣裳は、お題にある『一張羅』という投げ掛けにより、段ボールを被ることもまだ知らされていなかった頃、まさか舞台で着ることになるとは思わずにメンバーが描いたデザイン画によるもの。絵はあまり上手くなかったものの、それが結構な精度で出来上がってきた」
*このあたりを巡っては、公演プログラムにこの度のプロダクションについての情報も沢山掲載されていますので、鑑賞前に目を通されておくのもいいですね。(私はしませんでしたけれど…(汗)

Q:『にんげんしかく』にはNoism旗揚げ時の『SHIKAKU』への意識あったか?
 -A(近藤さん):「自分のなかで途中で浮かんできてびっくりした。同じようなこと考えてるんだなと」

Q:(近藤さんに)Noismを振り付けたことについて
 -A(近藤さん):「金森さんのしっかり線を引く作り方、ちょっとだけ憧れる。イメージはあるが、そんなふうに作れない。でも、似ている部分はある。男の子だし(笑)」
 -金森さん:「えっ、そこ?」
 -進行・上杉さん:「聞こえてきたメンバーの話として、近藤さんは奔放なようでいて、凄くストイック。自由が如何に難しいか感じたと」

Q:舞踊家を目指す者として、若いうちに経験すべきことは?
 -A(近藤さん):「無謀なこと。む・ぼ・う」
 -A(金森さん):「出来るだけ色々なことを自分の肌で体験すること」

Q:一緒に創作をしたい団体あるか?
 -A(近藤さん):「団体ではなくて、動物に振り付けたい。概念変えなきゃいけないけど」
 -A(金森さん):「特に団体はない。Noismがもっと豊かになって、色々なことが出来るようになればということしか考えていない」

Q:『Suspended Garden - 宙吊りの庭』の振り付けについて
 -A(金森さん):「(『NINA』は振付が先行だったが、)今回は曲が先行。アンさんは4人のことをよく知っているから、聴きながらインスピレーションを得て、振り付けた。観念の他者がいることで、あり得たかもしれない未来やあり得たかもしれない過去を生きるものに」

Q:金森さんが取材協力した恩田陸さんの小説『spring(スプリング)』と創作について
 -A(金森さん):「難しい質問。でも、恩田さんのフィクションだから、『ああ、そうそう』ってところもあるし、『率直に言うと、そうじゃないんだけど』ってところもある。舞台芸術には、舞踊の当事者だからこそ不思議だなという感覚がある。また、本を読んでいろんなイメージをしながら観ていることについても、舞台芸術って良いものだなと思う」
 -進行・上杉さん:「恩田さんは今日は来られていないが、よく観に来てくれては、新潟に泊まってお酒や美味しいものを楽しんでいかれる」
 -金森さん:「チョコを差し入れしてくれる」


…と、そんな感じでしたでしょうか。

で、ここで、個人的な内容で恐縮なのですが、ちょっとだけ書かせて貰いたいことがありまして。それは、今回の「円環」トリプルビル中、金森さんの新作『Suspended Garden - 宙吊りの庭』の音楽を担当されたトン・タッ・アンさんについてです。
ワタクシ、随分前にアンさんとは、(台湾在住ということで、直接お会いしたことも、お話ししたこともないのですが、)某SNSで「友だち」になり、時折、コメントをやりとりさせて頂いておりました。
で、今回のプロダクションに関して、アンさんが、Noismの20周年記念冊子に関するポストをされた際に、恐れ多くも、コメント欄に「できればサインを頂きたい」旨の気持ちを綴ったところ、「喜んで!」と返信があり、ワクワクが倍増どころではないことになってしまい、この日を迎えていたのでした。
開演前のホワイエに姿を現したアンさんに初めてお会いして、「二回目の休憩の際に」ということになり、(初めて)お話しも出来て、勿論、サインもいただき、一緒に写真を撮っていただいたうえ、更には「終わったら飲んだりしながら話そう」まで言っていただき、(そこに関しましては、あまりにも身に余るお誘いであり、丁重にご辞退申し上げましたが、)もう気さくで腰が低く、魅力的なお人柄にすっかりノックアウトされてしまったような次第でした。リアル「天使」じゃないですか、こんなのって。そんな具合です。


長くなってましたね、すみません。いい加減、少し「公」の方向に戻します。
で、話をするなか、休憩後の演目での自作曲について、「You can swim in the music.(音楽を聴きながら泳げるよ)」との言葉。泳ぎました、泳ぎましたとも、はい。実に気持ちよく。
終演後に、その旨も伝えつつ、「まだ夢見心地だ」など、また少しやりとりするなかで、「think I will need some time to come down again.(落ち着くには少し時間が必要だね)」、そして更に「and I was so overwhelmed by people’s reaction. It was wonderful!(私は観客のリアクションに圧倒された。素晴らしかった)」の言葉が届くに至り、その「観客」のひとりとしてとても嬉しい気持ちになりました。なんて素敵な宵だったことでしょうか!

アンさんしかり、近藤さんしかり、勿論、金森さんと井関さんも、そして宮河さん、中川さんに山田さん、更にNoismメンバーみんなが、舞台芸術のために、この新潟の地に降臨した「天使」、そんなふうに映った魅惑的過ぎる新潟公演初日でした。

新潟ではそんな「天使」たちを目撃する機会はもう2公演。その境地、是非ともご体感ください。

(shin)



場内を魅了し尽くして幕をおろした「Amomentof」7/28大千穐楽(@埼玉)+6/29アフタートーク補遺

Noism Company Niigataの20周年記念公演「Amomentof」が、遂に2024年7月28日(日)に灼熱の埼玉は与野本町、彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉にてその全6公演の幕をおろしました。

この日の開演時刻(15:00)頃には、気温は38℃になるとの予報が出ていた与野近辺。風もなく、蒸し風呂の中にでもいるかのようなその暑さは、ヒトの暑熱順化など到底追いつくべくもないほどの気温であったかと。

そんな酷暑の街路を辿って彩の国さいたま芸術劇場を目指して歩いていたのは、しかし、別種の「熱」を求める人たち。その移動振りは、この日、その場所を目指した目的から、周囲の異常とも言える高温にさえ負けぬ様子を示していたように思います。

その「熱」を発する舞台を観ようと集まってきた大勢の観客のなか、浅海侑加さんのお母さん、糸川祐希さんのお母さんと、そしてフランスからドバイ経由の20時間の空旅で駆けつけた旧メンバー・中村友美さんとも色々お話ができましたし、更に宮前義之さんの姿なども認めたりして、いやが上にも気分はあがりました。

大千穐楽の舞台はやはり「熱」を発して余りあるものでした。

まずは『Amomentof』。バレエバーに手をかけて身体をほぐすことに始まる日常から、日々に住まう葛藤や苦悩をあからさまにしつつ、物凄い高揚を見せてのち、最初の場面へ。「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道」と言ったのはイチロー選手。誰もが肯(がえ)んずるほかない真理なのですが、この舞台ほどの説得力を伴って可視化されることは稀でしょう。井関さん、金森さん、そして他のメンバーたち、それぞれが見せる目の表情、それらが行き違い、交錯するさまには実にスリリングなものがあります。

この演目には、Noismの過去作で目にしてきた「振り」の数々があちらこちらに織り込まれているだけでなく、終盤に至っては、私たちが見詰めるその舞台の奥に、『Mirroring Memories』を彷彿とさせるようなかたちで、先刻、ハケたメンバーたちがこれまで井関さんが纏ってきた数々の衣裳ほかに身を包んで居並ぶ姿が見えてくるではありませんか!更に、やがて、その上方に「20年間」の公演ポスターが一気に映し出されて追い打ちをかけてくるのです。胸に去来する様々な思い出の場面。「ずるいよ、金森さん」涙を堪えることなど早々に諦めるしかありませんから。目に映ずるのは孤高を経て、やがて敬意の群舞へと転じ、その舞台狭しと躍動するメンバーたちの中央、井関さんが発する万感籠もった泣き叫びの声には胸を強く揺さぶられずにはいられません。

更に言えば、マーラーの交響曲第3番第6楽章「愛が私に語りかけるもの」をその作品中に取り込んでしまうといった、大胆と言えば大胆に過ぎる構成の妙も畳みかけてきます。マーラーの旋律とともに現前する圧倒的な高揚感の画、しかし、その全てが、最後、井関さんがメンバーたちに向けるキョトンとした目によって、ありふれた日常の時間のなかに回収されてしまうさまが実に詩情豊かで、切れ味抜群、憎いくらいに見事なのです。

この日は完全に幕がおり切るまで、拍手は一切起こらず、(刹那とはいえ、)甘美な余韻が静寂となってホール内におりてきました。その後、「もっと拍手をしていたいのに」、そんな気持には頓着することなく、呆気なく客電が灯るのはいつも通りでした。

20分の休憩を挟んで、『セレネ、あるいは黄昏の歌』が記念公演の掉尾を飾りました。この大作も、目の表情のスリリングさの点で『Amomentof』に全く引けを取らないものがあります。陶然として春の歓びを発散させる目があったかと思えば、動物的な「生」のエネルギーが「性」的な逸脱へと至る様子を押し殺した怒りを浮かべながらも、敢えて直視しようとしない目があり、はたまた、「憎しみ」の連鎖を宿し、その対象を見出してしまう凶暴な目や、その自らの「蛮行」に自ら怯える目もあり、老いて呆けた印象の、同時に寛容さを示す目に、それを模倣しようとする剽軽な目や、何物にも囚われることのない無邪気さそのものの目、かと思えば、呪術的な手の仕草を繰り返しながら、真っ直ぐ前を見詰めて動じない迫力に満ちた目、等々、挙げだしたらきりがないほどです。舞踊作品において、目ばかり取り上げるのもどうかと思いますが、少なくとも、そこにこの作品を読み解く鍵(のひとつ)があるとしか思えないのです。

命が芽吹く春。内的な力が溢れて、ときに暴発し、その様相をすっかり異にしてしまう夏。平衡かに見える秋を経て、やがて冬の死へ。しかし、一刻も止まることはなく、やがて再生へ…。そんなふうに巡る季節。循環。描かれる円環。

そう、「ENKAN」。近藤良平さんを招いての来る冬の「トリプルビル」です。「巡ること」のモチーフはこの後のNoismにあって、多様に追い求められていくことになりそうですね。楽しみです。

大千穐楽の幕がおりたとき、場内に谺した大きな拍手と「ブラボー!」。そして広がったスタンディングオベーション。無理からぬことです。「20周年」ということを全く抜きにしても、私たちが目撃したのは、物凄い訴求力をもつふたつの演目であり、それは取りも直さず、舞踊家の献身煌めく刹那が途切れることなく連なることで編み上げられた舞台だった訳ですから。もう、端的に言って、至福のときを過ごしたとしか言いようがありません。

皆さんの目には、そして心にはどう映じたでしょうか。「Amomentof」大千穐楽についてはここまでです。

ここからは、以前(2024/6/29)のブログ記事(「Noism 20周年記念公演新潟中日の眼福と楽しかったアフタートークのことなど♪」)において、公演が続いている事情から、「ネタバレ」に繋がるので書けないでいた同夜のアフタートークでの井関さんと金森さんのやりとちをご紹介して、ブログの締め括りにしたいと思います。以前の分と併せてご覧頂けたら幸いです。

☆★6/29アフタートーク(新潟公演中日終演後開催)補遺★☆
☆井関さんが一番思い出に残っている衣裳は何か
金森さん: 『Amomentof』では井関さんがこれまでに着た衣裳を出した。
井関さん: 「一番」となると難しいが、思い入れで言ったら、故・堂本教子さんによる『夏の名残のバラ』の赤い衣裳。生地に拘って色々語っていたのを思い出す。今回、出ていなかった衣裳だけど。
金森さん: 色味が色々あったし、バランスがあった。でも、拘りがあって、最後の最後、井関さんが「あれは(出すのは)イヤだと言った」
井関さん: アレを出したら、「私が着ます」となっちゃうから。

…というところを今漸く書くことが出来て、スッキリした気持になりました。以上です。

(shin)

Noism 20周年記念公演新潟中日の眼福と楽しかったアフタートークのことなど♪

2024年6月29日(土)の新潟市は抜けるような青空。気温も上昇して、梅雨はどこへやら、もう夏本番とも言えそうな一日でした。前日、幕が上がったNoism 20周年記念公演新潟3daysの、この日は中日。公演グッズの黒Tシャツを着込んで出掛けました。

この日は花角新潟県知事と中原新潟市長も来られていて、記念の舞台をご覧になられました。そして旧Noismメンバーたちも多く訪れていて、そのうちの数人とホワイエでご挨拶したり、お話したり出来たのは嬉しい出来事でした。

この日も2演目はそれぞれに胸に迫ってきました。当然のように。

『Amomentof』では金森さんと井関さん、『セレネ、あるいは黄昏の歌』でも井関さん、それぞれが投げ掛ける眼差し、その表情を見逃すまいと注視しました。

その他、『Amomentof』では羽根のように軽やかに舞う舞踊家の姿に陶然とし、はたまた、『Mirroring Memories』を彷彿とさせられましたし、『黄昏の歌』の方は、「暴力」への、そして「暴力」からの流れを追う見方を意識したりしてみたほか、脱ぐこと、脱がせること、着ること、それらをみんな纏うことと一括りにしたうえで、年をとり、老いることも年齢を纏うことと見るなら、作品全体を貫くかたちで様々に「纏うこと」の主題が読み取れるなぁ、もうちょっと考えてみようかなどと思ったりしました。

ふたつの演目を見詰める間中、途切れることなく眼福に浸り、至福のときを過ごしたことは言うまでもありませんでした。
しかし、『Amomentof』のラスト、マーラーの音楽が消え入ったタイミングで、(無音のなか、まだ作品は続いているのですが、)拍手と「ブラボー!」の掛け声が飛んでしまったことは若干残念ではありました。でも、あの流れからはそれも仕方ないのかなとか、そんなことがなかった初日は逆に凄かったなとか思っていました。
また、『黄昏の歌』が終わってからのスタンディングオベーションの拡がりにはこの日も気持ちが昂ぶるものがありました。(1回おまけみたいなカーテンコールがあったりして、舞台上も客席も全員が意表を突かれて「エッ!?」ってなって、それだけで笑顔が増しましたし。)

で、この日のレポートの中心はその後、金森さん、井関さん、山田さんが登壇して行われたアフタートークでのやりとりとなります。そのアフタートーク、強烈な感動の余韻に浸ったままの場内、3人が現れるや、金森さんが口火を切って「あれだけ踊った後に、どんだけ酷使するんだろう、Noismは」と始めてまず笑いをとったのち、アフタートークも井関さんがやることに決めたのであって、「やらされている訳ではない。変な風評が立ったりもするんで」と自ら笑って、もう掴みは完全にOKでした。
この先は掻い摘まんでということにはなりますが、ちょっと頑張って、以下にご紹介を試みたいと思います。

☆年齢とともに感性の変化あるか
金森穣さん(芸術総監督): あるとは思うが、あんまり比べる必要もないかなと思い、そこまで意識していない。感動はそのときそのときのもの。
山田勇気さん(地域活動部門芸術監督): 拘るところが変わってきている。若い頃は動きとか細かいところに目がいったが、今は立つだけとか、歩くだけとかに。あと、踊りを始めたのが遅かったので、ある程度ここまでかなという思いがある。じゃあどうするか。シフトチェンジが必要かなと。
金森さん: でも、なんならピルエットもガンガンやっていたし、若い子たちには出来なくてもいいんだっていうふうに勘違いしないで欲しい。そういうことじゃない。
井関佐和子さん(国際活動部門芸術監督): 涙もろくなった。感性の幅が広くなったり、深くなったり。今回、踊っていて、みんなのことを見てて、ああいいなぁと。
金森さん: みんないい顔しているなぁと思った。見詰める視座が変わる。年齢を重ねるのはいいこと。

★日々のスケジュールはどんなか
井関さん: ・09:30~10:30 Noismメソッド(Noism2とNoism1新メンバー)
      ・10:30~12:00 Noismバレエ
      ・12:00~13:00 稽古①
      ・13:00~14:00 昼休み
      ・14:00~16:00 稽古②
      ・16:15~18:00 稽古③     

☆名古屋での公演予定はないか、公演を増やす計画はないか
井関さん: 今のところ、名古屋の予定はないが、呼んでくれればいつでも行く。新潟での公演回数を増やしたいのもヤマヤマだが、今回も公演ギリギリまで8月の利賀村での新作(『めまい』)のクリエイションをしていたし…。昨年は高校生だけを相手に踊ったスペシャルな公演もあった。ここ(劇場)に呼んでまたやりたい。
金森さん: まあ、でもチケット売れないからねぇ(笑)。
山田さん: 新潟市内全部の小学校まわりたいし、Noism2で長岡とか行ってみたい。
金森さん: もっと県内展開もしたい。

★『セレネ、あるいは黄昏の歌』を見ていると脳内にセリフが溢れるてくるが、舞踊家はどうか
金森さん: 言葉としては浮かんでこない。しかし、非言語だとしても、大事なのは「語ること」。 
井関さん: 客席が静かななか、舞台上でメンバーと「無言の会話」はずっとしている。自分は基本、「やかましい」と言われる。

☆井関さんが一番思い出に残っている衣裳は何か
井関さん: 「一番」となると難しいが、思い入れで言ったら、故・堂本教子さんによる『夏の名残のバラ』の赤い衣裳。生地に拘って色々語っていたのを思い出す。
(*これに続く井関さんの発言は今公演の演目に関係する部分が大きいため、ここでは敢えてご紹介を差し控えさせて頂きます。その点、ご容赦ください。)
(→今回の「Amomentof」公演が埼玉の地で大千穐楽を迎えたタイミングで、このやりとりについてもご紹介させて頂きました。こちらからご覧ください。)

★新潟での一番の思い出は
山田さん: (しばらく考えてから)急性膵炎で入院したことかな。まず正露丸、それから痛み止め、そして入院。1週間くらい絶食した。メンバーがお見舞いに来てくれて。
井関さん: (山田さん同様、思いを巡らせたのち)メンバーのことならよく覚えているけど。
金森さん: 俺に過去のことを訊くのはやめた方がいい(笑)。

☆知事と市長が観にきていたが、何か言いたいことはないか
金森さん: Noismは世界的な舞踊団になってきている。是非活用して欲しい。(→場内から大きな拍手)

★20年間でどこがピークだったか
金森さん: 今に決まってる。ピークを過ぎたと思ったらやめている。

☆これまでに一番チャレンジングだったことは
井関さん: 作品が毎回チャレンジング。サプリを飲んで乗り越えている。チャレンジしていないと生きている気がしない。マッサージをして、今日よりは明日というふうに、舞踊には挑戦を求める。目標を掲げるのは得意じゃない。日々乗り越えていくだけ。
山田さん: (井関さんと)一緒、というか、一緒になった。それがないと、足りないなぁと思うようになった。
金森さん: 「Noism病」だね(笑)。こんなふたりだから、チャレンジし甲斐のある何かを差し出していかなければならない。

★今回のマーラーとヴィヴァルディ(マックス・リヒターによるリコンポーズ版)の音楽はどうやって決めたのか
金森さん: 直感。いずれ創作したい楽曲(や作品)はたくさんある。その時々のカンパニーの状況などを考えて決めているだけ。今回のマーラーも、いずれ作りたかったのだが、ああ、ここだなと。作りたいものはたくさんあるが、時間がない。時間をください。

☆マーラー交響曲第9番の第4楽章を振り付ける予定などはないか
金森さん: 今のところはない。(→質問者から「特殊な曲で、ダンスにするのは難しいかも」と言われるや)そう言われると作りたくなる(笑)。
創作にあっては、音楽を聴いて、舞台が見えたら、それは取っておく。見えないものは使わない。選曲に関しては割に素直で、有名とか(有名でないとか)は気にしない。
(→また、質問者から「以前の『Der Wanderer-さすらい人』について、シューベルトには960曲に及ぶ歌曲があるが」と向けられて、金森さん、「歌曲は手に入るもの700曲くらい聴いた」と答える。)

★怪我もつきものかとは思うが、メンテナンスとか工夫とかはどうしているか
山田さん: ストレッチして、マッサージしてという感じ。
金森さん: 本番のときには、Noism設立当初から、専門のトレーナーに待機して貰っている。
井関さん: 舞台に立てなくなるので、怪我が一番こわい。日々、マッサージやトレーニングでケア。踊りのことと同時に体をケアしていて、それが50%くらいを占めているかもしれない。海外の踊り専門に治療する方のYouTubeを見ている。それと、血液と酸素が今の私のテーマとなっている。
金森さん: 基本はもっとよく踊りたい、もっと長く踊りたいという気持ち。ケアした方がそれに近付ける。若い頃は寝りゃあ治るみたいなところがあったが、ケア自体も楽しめるようになると、ただ苦しいだけじゃなくなる。

☆Noism 20周年。とても幸せな公演だった。これからのことを聞かせて欲しい
山田さん: 本番は本番で、20周年とかはあんまり関係なかった。よく区切りとかという言い方をされるけれど、今日を精一杯やるとか、今日の課題を明日にとかは変わらない。
地域活動部門では、学校公演を行って、長い時間をかけて浸透させていくのがミッション。
井関さん: 20周年と言われるが、ただ20年が過ぎただけ。それによって、何か成し遂げたという実感はない。今回、メンバーと一緒に踊っていて、全員の目を見て踊っていると、魂が通い合った、嘘じゃない目をしていた。それを求めていた。『Amomentof』で見たみんなの目がホントにピュアで、始まりの一歩に思えたし、これからへの確信を得た。
金森さん: 全ての可能性はここにある。20年間続けてきたことの実績に価値がある。この舞踊団の素晴らしさと可能性。どこにこの身を賭けて、どういう判断を下していくか。その根底にあるものはずっと変わらない。新潟と世界を繋ぐことである。明日もチケットはちょっとだけあるそう(笑)。
井関さん: 公演回数が増えるように(笑)。公演回数を増やしましょう(笑)。

…といった具合で、約30分間の楽しいアフタートークでした。金森さん、井関さん、山田さん、お疲れのところ、どうも有難うございました。

そして、皆さま、今後、「公演回数が増えて」いくためにも、「ちょっとだけある」明日のチケットがソールドアウトとなって欲しいものですね。そのため、まだご覧になっておられない方、或いは、既にご覧になった方、どちらも明日、かっちりした予定が入っていない向きはご購入(ご鑑賞)のご検討をお願いいたします。20周年記念公演の2演目は観る度、新鮮な感動が待っていますゆえ。では、新潟公演楽日にお会いしましょう。

(shin)


そして挑戦はつづく:Noism2定期公演vol.15千穐楽

2024年3月3日(日)、前夜から降った雪は、もうこの時期(「桃の節句」)ですから、ほぼ予期し得なかったほど迄に自動車のルーフに積もっていたのですが、それも徐々に寒気が緩むにつれて、溶けていってくれて、ホッと胸を撫で下ろしました。
この日、Noism2定期公演vol.15も「マチソワ」の2公演。で、他にもりゅーとぴあでのイヴェントが目白押しだったため、「マチネ」の頃には既に駐車場が激混みの満車状態になっていたようでした。幸い、私が「ソワレ」を観に行くときには、駐車場はかなり空いていて、その意味でも重ねてホッとしたような次第です。

そして18時、千穐楽の最終公演の幕があがりました。「Noismレパートリー」のはじまりです。繰り出される電子音のシャープなビート、そしてビート。この日のこの時間、スタジオBの舞台に立った13人は揃って、全5公演のラストの舞台を、それぞれの体内からあらん限りのエネルギーを引っ張り出し、それを発散させ、生命力を漲らせて、躍動感たっぷりにビートと一体化して踊っていきます。その姿は前日の「ソワレ」とも格段に違っていました。
ひとつ、彼らの足を例に書きます。それが私たちの身体の下方、二股に割れるありふれた下肢には見えて来ずに、ある時は鞭のようなしなやかさを備えた、またある時は一切の動きを拒絶するかのような、そんな何か新種の身体部位に見え、単にビートに乗った動きを可視化して示すためだけの(実用性が云々されることなどない)「道具」といったあり方で目に映じる、そんな瞬間に出会ったのです。そのとき、目にしたものは、私たちが自分たちの身体として、当然に、その使い方を知る身体とは全く別物の、まさに「Noism的な」張りのある身体です。メタモルフォーゼ、紛れもなく。そのことにとても興奮しました。
ですから、ラストの『R.O.O.M.』からの抜粋に至って、「生贄」の一語を思い浮かべることになりました。観客の見詰める目にとっての13人の「生贄」。それは「Noism的な」語彙に属するもののひとつです。上方に両手を伸ばして静止した13人のシルエットを祝福したい気持ちになりました。

休憩後は中尾さん振付演出の『水槽の中の仮面』です。見終えたとき、これで見納めかと思うと残念な気持ちになりました。不穏にして、美しく、激しくて、優しく、一貫して瑞々しくて、リリシズム溢れる…そんな作品、そしてそれを踊るメンバーたち。
前日のアフタートークに急遽、登壇した振付家が語ったところによれば、ダンサーに示された振りは「予め決めることをせず、その場で一緒に音楽を聴きながら、その場で作られていった」とのこと。とするなら、作られた振りそのものには、その場の空気感のみならず、必ずやそのダンサーの個性(やそのダンサーへの期待)も反映されていたことになる筈で、であるならば、『水槽の中の仮面』は、間違いなく、それ自体、振付家から12人のダンサーたちへの「贈り物」という性格を持つ作品であることは言を俟たないでしょう。
例えて言えば、大きめサイズながら、フルオーダーで誂えられた洋服(人はそれを「宝物」と呼ぶだろう)が、徐々に身体に馴染んできているのに、(否、逆に、少しずつその洋服が似合うようになって、「映える」ようになってきているのに、そう言うべきか、)もう見納めなのか、そんな塩梅だった訳です。

中尾さん作品終演後、観客全員が大きな拍手を贈り、スタンディングオベーションを捧げる人々も見られました。実に幸福な時間でした。

スタジオBは速攻、「ばらし」が入るため、この日のアフタートークはホワイエで行われました。その様子もご紹介しましょう。

*感想・今の気持ち
中尾さん: 次の作品を早く作りたい。純粋に次を新しくゼロから作りたい。それはご飯を食べたいと思う気持ちに似ている。
山田さん: 今回の作品、満足していますか。
中尾さん: 彼女たちが見せてくれた景色に満足している部分もあるが、もっと出来たかなぁという部分もある。しかし、一期一会。貴重なものになった。
山田さん: 今の洸太と今のメンバーでしか出来ないものだった。

*中尾さん作品の衣裳について
中尾さん: 裏表、前後で着ている。作品が出来上がってから、衣裳さんにイメージや色をざっくり伝えて作って貰った。衣裳が届いてみると、「S」とか「A」みたいな墨のような文字が入っていてびっくりした。

*「Noismレパートリー」に関して
山田さん: 今回、金森さんの初期の作品で電子音楽による、シャープで張りのある踊りのものから選んだ。キャスティングは難しいのだが、彼ら自身もわかっていない彼らがいるので、これをやらせた方がいいな、とか考えてキャスティングした。

*中尾さんが好きなジブリ作品ほか、映画に関して(←初日のアフタートークのなかで、「宮崎駿」という名前に言及があったことから)
中尾さん: 『風立ちぬ』『天空の城ラピュタ』『紅の豚』。穣さんには「っぽいなぁ」と言われた。ひとつのシーンが好きになって、作品が好きになるということがあり、この3作品にはそういうシーンが多い。
山田さん: 自分は『紅の豚』と『崖の上のポニョ』。絵と勢いが好み。自分にも「絵が好きで」っていう作品がある。「長くて」、絶対寝てしまうんだけど。(それはアッバス・キアロスタミ『そして人生はつづく』だそう。)
山田さん: 洸太の作品には、ただ舞踊からだけじゃない動きを感じたりする。映画からの影響はあるか。
中尾さん: 映画からの影響の自覚はない。絵や音楽の影響が大きい。それもシンプルなものに惹かれる。草原に一本の木とか。

*一年目のメンバーに関して
山田さん: 今回、フランス、アメリカ、台湾から新潟市に移り住んだメンバーがいる。Noismという環境だけでも大変なのに、相当大変だったろうが、無事に今日を終えて、ホッとしている。雪や地震もあって、本当にびっくりして、不安だったことだろうが、踊りにしか逃げ場はない。踊りに集中して乗り越えてくれた。

*今の中尾さんにとって踊ること、振り付けること
中尾さん: 今は作る方に気持ちが向かっている。このクリエイションから公演の期間中、踊りたい欲がどんどん溜まってきているのを感じるが、ギリギリ作りたい気持ちが強い。


*水槽の中に仮面を入れる意味は
中尾さん: 水槽は、ある種の枠だったり、ひいて見ると惑星だったり。女性、球体、赤ちゃんが生まれるお腹のなかだったり。「生前(=生まれる前)」と思って作り始めた。
今だから話すと、仮面をつけている側が「心」で、心を制するようにいるのが「脳」。犬を連れたり、相手を踏んだりは「脳」が「心」を制している動き。バランスがとれているのか、いないのか。
仮面を枠の中に押し込んで、生まれる前に僕らの「心」ができ、ひとりの人が生まれる…。

…と、そんなお話だったかと。

「新しい振付家のデビューに立ち会えて嬉しかった」と山田さん。最後に、「20周年記念公演『Amomentof』に来てください」の一言で楽日のアフタートークは締め括られ、同時に、刺激的なまでの3日間の「目撃」は幕となりました。

たとえ、この日の高揚感がどんなに大きかったにせよ、ひとつ確かなこと。B’zではありませんが、(彼らの)ゴールはここじゃない。むしろ、まだ始まったばかり。そして挑戦はつづく。応援するこちらも楽しみはつづく…。
そんなことを思いながら、りゅーとぴあを後にしました。

(shin)

Noism2定期公演vol.15:「舞踊家として悩む中日」(中尾さん)を体験した13人とそれを見詰めた観客

2024年3月2日(土)の新潟市は、雪は舞うは、道路は凍りつくはで、まさに冬に逆戻りでもしたかのような一日。3月だというのに。
前日に幕があがっていたNoism2定期公演vol.15は、この日、14時からと18時からの2公演がある「マチソワ」の日だったのですが、その両方の舞台を目撃してきました。そう、まさに「目撃」の一日でした。

まずは踊られた2つの演目に関して、感じた事柄を書くことから始めようと思います。

最初は金森さんの振付で、山田さんによる構成の「Noismレパートリー」からです。今回は電子音やノイズの中で踊られる作品(『R.O.O.M.』『sense-datum』『no・mad・ic project – 7 fragments in memory』)からの抜粋なのですが、最初の一音が響いたその一瞬から、極めて「Noism的な」と言う他ない動きへの、13人の挑戦が始まることになります。それは、舞踊家が苦しければ苦しいほど、観客は気分があがってくるといった嗜虐的な時間です。しかし、エッジの効いた早いビートに乗るだけでは不充分であり、更に、その向こうに、踊る舞踊家その人でしかないものが見えてこなければなりません。課せられたそんな極めて高いハードルに対して、多くの視線を浴びるなか、アドレナリンを出しつつも、「離見の見」をもちつつ挑んでいく時間の体験です。大きな成長に繋がる機会と言える訳です。「Noismレパートリー」には、13人全員が各自の「今」を超え出ようと格闘する姿が溢れていて、見詰めていると胸に迫ってくるものがあります。
この日の2公演を観ての感想としては、2年目の5人の動きに、やはり一日の長があり、安定した「Noismらしさ」が強く感じられたと記しておきます。そして、なかでも春木有紗さんに目が惹きつけられたことも。場を圧する空気感において群を抜いていたように感じました。

休憩後は、Noism1の中尾洸太さん振付演出の新作『水槽の中の仮面』です。30分の作品を振付るのは初めてとのことですが、主に6組のデュオのフォーマットを用いて、中尾さんらしいリリカルさを基調にしながら、描かれていく2者間の隔たりに、ある種の不穏さが色濃く漂うアレゴリカルな(隠喩的な)作品と映りました。現在の世界情勢などが、否応なしに、反映されているといった感じも受けますが、「隔たり」を扱うこの作品自体は、踊り込まれることによって、様々な受け取り方を許すものになり得るように感じました。踊る側の深度が増すことによって、中尾さんの当初のイメージを超えていくだろう可能性をそこここに感じながら観たような次第です。(同時に、これも否応なく、「水槽」と「仮面」についての思索に誘われています、今。)また、使用楽曲のシューベルト『死と乙女』もそれが描く死と安息を「隔たり」繋がりで捉えようとすると、今作に奥行きを与えてくれるものがあると言えるでしょう。様々な点で、たくさんの「開口部」を持つ作品であると思いました。
いずれにしましても、今回が本格的な振付デビューとなる中尾さんが、Noism2メンバーの「今」に向き合うかたちで作られた本作、必見ですね。

2つの演目を公演中日の2時の回と6時の回に観た訳ですが、2回を併せて、そんなことを感じました。

その後のアフタートークについてもかいつまんで記します。この日の登壇者としてアナウンスされていたのは、地域活動部門芸術監督・山田勇気さんとNoism2リハーサル監督・浅海侑加さんでしたが、途中、質問への回答上の要請から、場内にいた中尾洸太さんも加わることになりました。

*メンバーが悩んだり、苦しんだりしているときの声掛け
浅海さん: 【今回のクリエイションにおいては】(じっくり考えてから)「洸太(=中尾洸太さん)を真似してみて。洸太も音楽を聴いて動きを作っているので」とか言ったりした。
【普通に悩んだり苦しんだりしているときには】経験する時間を感じて欲しい。その気持ちを感じることも経験だから。
山田さん: 経験が浅いし、難しい部分。簡単な答えはない。今日の舞台もひとつの経験。

*今回、苦労したところは
浅海さん: 洸太の作品は新作で、過去に踊った人の手本がないので、ゼロから作り上げなければならない。洸太の作品なので、稽古をみていて、自分が思うことだけになっていって、違ってしまっては嫌なので。どこまで伝えたらいいか。
山田さん: 「レパートリー」には過去の振付があって、難易度が高くても崩せない。そこにもっていって、自分が踊る意味を見出させること。

*中日の舞台(2公演)に関して
山田さん: 昨日、初日があけて、今日は2公演。初日はエネルギーを解放させたのだが、中日の昼の部(2時の回)は持っていき方が難しかった。しかし、夜の部(6時の回)には、修正して、違った面が見られた。「レパートリー」に関しては、どちらも色々な「点(=箇所)」でいい人、光る人が違った。洸太の作品は、全体の色が毎回違ってきていて、どこへ落ち着くのかなぁと。
浅海さん: ここまで3回全部違う。洸太の作品は毎回印象が変わるが、今回は「人間」というものを感じた。彼らが経験している姿を見て、人生の一部だとか、「今」だとかいうふうに。言語化できない気持ち、したくない気持ちになった。

*身体のケア・回復方法
山田さん: 個人に委ねられている。その準備もひとつの経験。自分の身体を知って、ルーティーンを確立していく。

*中尾さんのメンバーの選び方
中尾さん: 選び方はインスピレーション。曲を決めてあるので、そこから思い浮かぶ人のを選んだ。そして、自分は振りを決めていかずに、その人がいる場で音楽を聴いて、振りを決めていった。(曲 → ダンサー → 振り、の順。)

*中尾さんが苦労したこと
中尾さん: 『鬼』の公演前に急ピッチに振り付けたものが、『鬼』公演の1ヶ月をおいたら、不安な気持ちになってしまった。どう見えているのか精査し切れないままだったので、「過去(1ヶ月前)」に考えて出したものが「これでよかったかなぁ」と不安に。
『鬼』が終わって、再開したとき、「1回通しで見せてくれ」と言って、「今」の自分を重ねていく前に、「過去」の自分を再確認して始めた。

*中日の舞台の印象
山田さん: 彼ら自身と自分の向き合い方を考えて見てしまった。これからどうしようかと。
中尾さん: 気分によって、波が激しいなと。自分も気分によって変わるタイプなのでわかる。「中日」は舞踊家にとって、どう持っていったらいいか悩む日。2時の回は「うーん、あんまりだなぁ」と思ったが、6時の回は「その体験を体験たらしめている」と思った。昇華して、伝え方も変わった。(その体験を)次に使えている。
浅海さん: 2時の回と6時の回とでは全然違っていた。稽古監督としては、踊りの部分での見せ方とか言いたいことは結構あるけれど。

*中尾さん作品の衣裳に関して(←衣裳の着方の違いに気付いたという会場からの声を受けて)
中尾さん: 表と裏で着ている。最初に出した衣裳案は、「Aライン」の白で、立体的にふわっと、というもの。その後、そこに黒いライン(線)も欲しいと思ったが、その下を黒にして、透ける感じにした。表と裏にして着ることで、パターンを増やさなくて済んだ。どっちが表、裏を着るかは純粋に見た目で決めた。

と、そんな感じでご紹介とさせて頂きます。

さて、これを書いているうちに日付も変わってしまいましたので、Noism2定期公演vol.15も本日(楽日)の2公演を残すのみとなりました。まだ、夜の回はお求め頂ける様子です。日々「体験」し、「経験」を増していく13人の若者。是非、彼らの「今」の格闘を目撃しにいらしてください。それはそのまま、観客としても、きっと心動かされずにはいられない時間の「経験」になるでしょうから。

(shin)



「挑戦」を超えた、若き舞踊家と振付家の誕生(サポーター 公演感想)

Noism2定期公演vol.15初日は、完売・当日券無しの盛況となった。先日の活動支援会員向け公開リハーサルでは、まだまだ緊張や葛藤も見られたNoism2メンバーだったが、第一部「Noismレパートリー」の幕が開くや、身体の躍動と音楽の連打で一気に会場の空気を高揚させた。金森穣作品の内、『R.O.O.M.』始め電子音楽に乗って展開する諸作に絞ってNoismならではの無機質さと有機的な身体との拮抗や、硬質なエロスといったエッセンスを抽出した山田勇気地域活動部門芸術監督の構成が冴え、Noism的なるものを体得しつつあるメンバーと、成長の途上にあるメンバーとの共闘や、その差異がもたらす新鮮な感覚に、いつしか忘我して舞台に没頭した。過去最多となる13名のメンバー各々の個性は、これから更なる開花を見せるだろうが、しなやかな身体性と既にして凄絶ささえ漂わせる表情で舞台を牽引した春木有紗さんをここでは特筆したい。

そして「Noism1メンバー振付公演」を経て、本格的な演出・振付家デビューとなった中尾洸太作品『水槽の中の仮面』が生み出した、瑞々しい感動たるや。12人の女性メンバーによる6組のデュオが交錯し、音楽の高揚とそれぞれの身体が確かな共振を現出させ、いつしか目頭が熱くなっていた。支配・被支配、仮面と素顔という対比を超えて、重ね合う額や肌で通じ合う6組の「魂」(中心となる春木有紗さん・与儀直希さんコンビ始め、デュオそれぞれが互いを高め合うようだった)。否応なく、パレスチナを始め世界で命を奪われている人々に思い至る鮮やかな終幕。舞台美術の明確なコンセプト。師・金森穣の影響を感じさせつつも、独自の舞台芸術を産み出そうとした中尾洸太さんの挑戦は、確かな成果として結実していた。実に4回に及んだカーテンコールでの熱い拍手もその証左だろう。

山田勇気さんとのアフタートークで、初日の印象を問われた中尾さんの「サプライズがあった。僕の考えた振付を超えて、メンバーが舞台で生きていた」という感慨は、観客もまた感じ取ったものだった。6組のデュオは「インスピレイションで決めた。対になるような個性のメンバー同士で」という裏話や、「楽曲と自身のイメージが先にあって、その先に振付がある」という創作過程、会場からの現在の「戦争」からの影響を感じたという声に、「強く影響を受けた。最近は三島由紀夫や鈴木忠志、宮崎駿など『戦争』を経験した人の作品に関心がある」という回答など、中尾さんの率直かつ誠実な言葉の数々。舞台の仕上がりに安堵したと語りつつ、「欲を言えば、金森穣作品と、もっともっと違う世界を見せて欲しい」「自身のイメージを基にすると、そこに縛られることもあるよね。それをどう超えるか」「Noism2を、Noism1メンバーが振付ける試みを永く続けたい」と優しくも鋭くエールを送る山田勇気さんの姿も印象深い。若き舞踊家と振付家の渾身に、観客もまた全身で向き合うことで、豊かな時間となったNoism2定期公演初日。明日・明後日の公演をご覧になる方も、是非刮目して彼女・彼らの躍動に立ち合っていただきたい。

久志田渉(新潟・市民映画館鑑賞会副会長、安吾の会事務局長、さわさわ会役員)

1/20(土)岡山市の新劇場・岡山芸術創造劇場ハレノワにて Noism×鼓童「鬼」岡山公演を観てきました。(サポーター 公演感想)

Noismにとっても、私にとっても初となる岡山です。
公演前に少し時間があったので路面電車に乗って、
岡山城や後楽園を散策したり初めての街並みを楽しみました。
また公演後に立ち寄った町中華で食べたよだれ鶏定食が絶品でした。
またいつか必ず訪れたい(できればNoism公演で)と思います。

新しい劇場ハレノワは、コンパクトながらしっかりとした造りで、舞台が非常に観やすい劇場でした。
職員の方もキビキビと対応されていて良い劇場だな、という印象です。
客席もかなり埋まっていました。客層も幅広い年代でちょっと驚きました。
Noismの評判、鼓童の人気、劇場への期待などいろんな要素があるのかな、と思いました。

開演直前、おなじみのメロディーが流れると幕前にスタッフが現れ、篝火が灯されました。
そこからしばらくして会場全体が暗くなり『お菊の結婚』がはじまりました。
ここ岡山で一足早く千秋楽となる『お菊の結婚』、岡山でも素晴らしい実演でした。
まず、いきなりの大音量と突然のお菊さんの動きには毎回驚かされます。
私以外にもびっくりされた方もいらっしゃっただろうと思います。

この『お菊の結婚』はとても好きな作品です。
『ボレロ』や『春の祭典』から続く音符に振付をするシリーズですが、
ストラヴィンスキーの『結婚』は複数パートが同時に歌う場面は意外と少ないため、
上記の作り方でダンスを作るのは大変だったのでは、と思います(かなり動きが限られそう)。
これを「人形振り」にすることで、動かないことに違和感を覚えません。
更に歌っている人だけが動くことで、昔のセル画で作っているアニメ(『サザエさん』とか)をみているような非現実感もありました。

15分の休憩後、『鬼』がはじまりました。
『鬼』もまた素晴らしい作品です。
原田敬子さんの楽曲はいきなりテンポが変化したり休符で断絶したりと、
こちらもまたダンス作品にするには難しいと思います。
Noismと鼓童は初演から素晴らしい実演でしたが、
回を重ねるにつれて完璧に手中に収めていて深みが増していることが分かります。
個人的に感心するのは、鼓童メンバーは登場時から最後まで、演奏している時もしていない時も身体が入っていることです。
これができるのは鼓童だからではないでしょうか。Noismと同じ身体言語を共有しているように思います。

『鬼』終了後は、鳴りやまない拍手と次々と増えるスタンディングオベーションで会場が歓喜に包まれました。
(岡山に見に来てよかった)と心から思いました。

更に終演後、地方公演では珍しくアフタートークが開催されました。
事前に募った質問に答える形でトークが進められました。
金森さんと井関さんのお話を簡単にご紹介します。

■最初に、初岡山の感想は。
井関: お客さんの拍手が温かった。自分は高知出身で岡山は馴染み深いし、Noismは西の方の出身者が多く岡山出身のメンバーもいる。
金森: もっと気温が暖かいと思ったら寒かった。(寒い)新潟から逃げてきたのに。
井関: 晴れの国なのに、連れてきちゃった。

■【質問】ダンスが嫌になったことはありますか。
井関: 1回ある。21歳で帰国した時。ヨーテボリで3日に1回踊る日々で踊りきったと感じ、一旦離れようと思った。離れたのはすごく良かった。
金森: 贅沢病だね。カフェで働くとかお花屋さんで働くとか言っていたが、3ヶ月後には踊っていた。
(嫌になったことは)ない。辛いのはしょっちゅう。

■【質問】振り付けを考えるとき、一番最初に取りかかることは何ですか。
金森: 作品によるので決まっていない。音楽が先にあったり物語が先にあったり、コンセプトが先にあったり、身体性が先にあったり、ケースバイケース。
ただ自分にとって一番大事なのは音楽。音楽が定まった時点で、そこからインスピレーションを得て作る。
『お菊の結婚』は曲を先に聴き、作品化したいと思った。ただ、元の物語(ニジンスカの『結婚』)には興味がなく、オリジナルを探すうちに『お菊さん』に出会った。
井関: 『お菊の結婚』はダンサーも楽譜の解読からはじめた。自分の担当する声部に振り付けており、歌が歌う時しか動かない。
リハーサルを進めるにつれ、金森さんから「もうちょっと動いて」と指示が出るが、そこは声がないから動けない。
金森: 『鬼』は原田さんの楽曲を聞いてから作った。「鬼」をテーマに掲げたのも原田さん。そこから色々リサーチをはじめ、役行者や清音尼を取り込みながら作った。

■【質問】作品を創作する際、新潟の歴史や物語、土地の記憶から着想を得ることがありますか。
金森: あるといえばあるし、ないといえばない。
ヨーロッパ時代など、日々生きていく中で、いろんなことからインスピレーションを受けた。
例えば、スウェーデンの夕日がサイドからバーンと街を照らす光景を見た時、インスピレーションが浮かんだりする。
それは「ストックホルムである」という場所性が関わっているけれど、だからといってストックホルムを表現しようと思わない。
更に言うと、それを説明するために作品を作っても面白くない。
今回も「鬼」についていろいろ調べたが、「鬼」を説明するために作品を作ってもしょうがないので、「鬼」にまつわるあらゆるものからインスピレーションを得て、自分の中でどこにも存在してないパフォーマンスを作る。
それが私の芸術的な野心。インスピレーションはあくまでもインスピレーション。

■【質問】いつも踊ってる時に気をつけてることは何ですか。
井関: 舞台上では瞬間を生きること。
例えば、今日は朝からずっと稽古してリハーサルしていろんなこと考えるが、それを本番では投げ捨てる勇気、その瞬間を生きる。ストイックにすればするほど、集中すればするほど、違うものがなぜか本番には見えてしまう。本当にその本番でしか見えないものを探し求めてる感じ。
金森: 実演芸術に共通だが、鍛錬と呼ばれるものは同じことを繰り返して、それを大事に、この型は崩さないように、と真摯に向き合うことが大切。最初から投げ捨てるつもりだったらそこまでにはできない。それを続けて大切に守ってきて、最後にそれを手放す。
井関: 手離した瞬間、自分じゃない何かが乗り移ったかのようになって、こんなにこの作品が違うように見えるんだとか、音がこんなに違うように聴こえるんだ、ということを発見する。そうしてまた次のステップに行ける。
金森: 意識と感覚について、果たして感覚も意識化できるのかという問題があって、ここをこうしようとか、稽古でこうしたらダメ出しがあったから気をつけようとか。それは意識じゃない?でも実際、生でバンってそこ出たらそれはもう感覚。あわいの中で感覚の方が突き抜けて。
井関: いわゆる「ゾーン」というもの。

■【質問】再演にあたり変化したところはありますか。また、鼓童さんとのコラボによって、普段のNoism作品との変化はありますか。
金森: 篝火を『(お菊の)結婚』『鬼』に入れたぐらい、そんなに変えていない。これまでにあるものをひたすら磨いていく事に時間を費やした。
(普段のNoism作品との変化については)これだけ難しい楽曲、しかも生音で太鼓は初めての共演だったので、みんなにとってもすごい経験だったと思う。
井関: 太鼓の音に皆さんもビックリされたと思うんですけど、実は皆さん以上に私たちもびっくりしている。舞台上で響く音って本当にすごい。舞台上では何もないかのように見せてるんですけど、本当に飛び上がる。それくらいエネルギーがある。それと原田さんの楽曲は難しい音楽だけど本質的。
太鼓が体に響いてくることで重心が落ちてくる。
金森: 上に上がってくるのはシンバルぐらい。それ以外はぜんぶ下に落ちていく。

■【質問】国内トップ舞踊団のダンスと地方在住者で作る地元の人のダンス、それぞれに役割があるとすれば、何が大切ですか。
井関: 劇場にプロの舞踊団があり、地元のダンスからそこを目指すような流れができれば、お互い活性化すると思う。
現状、新潟にしかないっていうのが問題。岡山に新しい舞踊団ができれば素晴らしいのでは?(拍手沸く)
金森: どちらかを否定するものではいけない。共存が大事。

■最後に…
井関: 2 月にNHK BSで 、2 年前に収録されたNoism公演(「境界」)が再放送されるので、今日来ていただいて興味を持っていただけたら、ぜひご覧ください。
金森: 今日の公演に誘ったけど来なかった人たちにも「テレビならタダで見れるよ」とご案内いただければ。

(かずぼ)

Noism×鼓童「鬼」再演:「タタク」と「オドル」に耽溺した至福の新潟千穐楽

2023年12月17日(日)午前11時過ぎ、新潟市内にも雪が舞い始めて、「いやいやとうとう来たか」みたいな気分で、車を運転して白山公園駐車場を目指しました。その頃にはまだ駐車場も空いていたので、場所を選んで車を駐めることができて一安心。で、まずはりゅーとぴあの6Fに上がってみると、展望ラウンジから見えるのは横殴りの風雪だったりするもので、まったく「やれやれ」って感じな訳です。

そのまま、そのフロアにとどまり、旬彩 柳葉亭にて家族で食事(まぐろ漬け丼と柳御膳)をしたり、珈琲を飲んだりして過ごしていたのですが、こちらのお店も年末に閉店してしまうとのことで、「そうなると来年からは淋しくなるなぁ」とか思って、これまで以上に味わって頂いたような塩梅でした。いろんな思い出もあります。長い間どうもお世話になりました。

開場時刻が近付いてきたので、3Fに降りていきます。一昨日とか昨日とか、或いは一昨日も昨日も会った友人・知人も大勢集まって来ましたし、この日、久し振りにお会いする顔もありました。でも、その誰もが一様にこの午後の公演への期待から晴れやかな笑顔を浮かべていました。館外の悪天候などはもう関係ありません。

14:30、ホワイエへ進みます。物販コーナーにて、浮き星をふたつ(ミルクと黒糖ベース)買い足しました。

物販担当はNoism2 高田季歩さん(左)と村上莉瑚さん、
やはり笑顔が素敵です♪

この日も開演前のソワソワ気分のままに、原田さん直筆の楽譜を見たり、色々な人たちと色々な話をしたりしてから、客席につきました。

『お菊の結婚』25分間、そして休憩20分間を挟んでの『鬼』40分間。新潟公演千穐楽のこの日、心掛けたのは「タタク」と「オドル」に耽溺すること。耳に届く音と目に映ずる身体のみが立ち上げる異界に耽ること。

『お菊の結婚』。ストラヴィンスキーの『結婚』、その奇天烈な音や歌、一筋縄ではいかない込み入った展開をもはや「劇伴」かと思わせるほどまでに自家薬籠中の物として踊る(現・元)Noismメンバーたち。
蔑み、欲、閉塞感、排除、謀(はかりごと)、孤独、その果ての惨劇。しかしながら、動き的に、ほぼ人形振りで紡がれていく「悲劇」からはその悲劇性がそっくり抜け落ち、ちょこまか動く身体の滑らかさの印象から「愉しい」の感想こそ似つかわしいほどです。鮮やかな色に染まる襖の外連(けれん)もピタリはまっているうえ、ふたつの死の見せ方も見事の一語で、(二重の「人形性」に閉じ込められるお菊の末路はさておき、)安易な「ポリコレ(政治的正しさ)」を嘲笑うように躍動するヴィラン(悪役:殊に楼主一家の3人)たちのアナーキーさ加減にドキドキしまくりの演目です。

Noism×鼓童の『鬼』。原田敬子さん曰く「挑戦でしかない」音楽をもとに、「同時に」産み落とされる「タタク」と「オドル」を耳からと目からと取り込んで、献身の賜物として成し遂げられた「同時性」そのものでしかないパフォーマンスに驚き続ける時間。音だけでも、舞踊だけでも既に圧巻レベルなのですが、それが「同時に」来る訳です。それはそれは物凄いシンクロ振りで、それを今風に言えば、「鬼」シンクロとでもなるのでしょうから、ここにも「鬼」が顔を出す訳です。まさに極限のところで出会う「鬼」です。
今回の再演にあたって行われたラストシーンの変更も主題的な一貫性・統一性を高めているように感じます。(初演時のラストシーンにおいては無人の光景だけが広がっていました。)
そんなふうにまるで隙のない一作、耳を澄まし、瞠目する者が悉くその身体の深奥から揺さ振られるように感じるのも無理のないことでしょう。なかなか身体の震えがとまらず、本当に物凄いものを観た感がある新潟千穐楽の『鬼』でした。

この日も終演後に大喝采とスタンディングオベーションが起こったことに何の不思議もありませんでした。「名作」が発火しそうなほどの熱演で演じられたのですから、それらはとりもなおさず、観客側の気持ちの昂りと至福の表れでしかなかった訳です。

この2作品につきましては、初演時に観た際に、感じたところを当ブログに記しています。そちらもご覧頂けましたら幸いです。
*「初見参の地・鶴岡を席巻したNoism×鼓童『鬼』ツアー大千穐楽♪」(2022/07/31)
(こちら、入場時にお手許に渡されたなかの「Noism Supporters Information #9」にて触れさせて貰っているブログ記事になります。)

この日のアフタートークについても書き記しておきたいと思います。登場したのは、井関佐和子さん、三好綾音さん、坪田光さん(以上、Noism)、そして小松崎正吾さんと平田裕貴さん(以上、鼓童)でした。

☆『鬼』のテーマ「新潟」の印象
平田さん(鹿児島県生まれ): 冬、凄く色々な風が吹く。冷たい風、寒い風…。
坪田さん(兵庫県生まれ): 雲が分厚い。上から押されている感じが、『鬼』の洞窟のなかで踊っているような感じと重なる。
小松崎さん(福島県生まれ): 海。太平洋側で生まれたので、海のキレイさに驚いた。海産物も違っていて、色々魅力がある。荒れている表情の海やサンセットも印象深い。
三好さん(東京都生まれ): じゃあ山(笑)。海も山も同時に見られる。山にいながら日本海の風を感じられる。ちょっと暗い感じなのも、自分にフォーカスし、集中するのによい場所。
井関さん(高知県生まれ): 一番大事なのは自然の力。この作品に活かされている。昨日までと全然違って、今日は踊っていて、「新潟にいる」と感じた。お客さんが信じられない熱量と集中力とで見詰めてくれていて、「新潟」って出て来た。

★再演でパワーアップした部分
平田さん: 2回目ということで、お互いのタイム感がなんとなくわかってきた部分がある。どちらかが合わせるというのではなく、パッと出て来る感じになった。
井関さん: より刺激が大きくなってきている。毎日、音色が違う。

☆コラボレーションで大変だったこと
三好さん: 毎日違うから集中力が必要だが、総じて大変さより面白いが勝っている。
坪田さん: 人見知りするところ。いつもマイナスから始まる。
小松崎さん: 本当に幸せな毎日。もっと深まっていったら、どんな景色が見えるか楽しみ。(*小松崎さんは、約10年ほど前に鼓童で踊りをやることになったとき、Noismに来てNoismメソッド・Noismバレエを学んでいたことがあり、その意味では「三好さんの先輩」(井関さん)にあたるそう。昨年はタイミングが合わず、『鬼』不参加だったのをとても残念がっていたもの。)
平田さん: 大変だったこと忘れてしまっている。ただ、合わせることは大変。
井関さん: 大変なことを楽しいと感じる「変な人たち」が集まっているのが舞台人。鼓童が演奏する『鬼』は、自分の気持ちが入っているときは別だが、普通の状態で聴いていると衝撃的過ぎて、気がどうかしてしまいそう。通して聴かされたお客さんは大変だったろう。

★今晩食べたいものは
平田さん: 新潟市内の某店(E亭)のディナーBセット。担々麺のお店かと思っていたところ、常連の坪田さんから、お勧めは「油淋鶏のBセットだ!」と聞いた。(「ぎょうざが付いてくるのも大事なところ」と坪田さん。)
坪田さん: お肉。「うし」。
小松崎さん: あったかいご飯と味噌汁。ホテル生活が続いているので、あたたかい家庭料理が食べたい。(とそこで、坪田さん「E亭は玉子スープ」だと補足するが、ややあってから、この日は同店が定休日だと気付き、平田さんは崩れ落ち、全員大爆笑のオチがついた。)
三好さん: 「ぶたにく」。(「疲労回復のためだね」と井関さん。)
井関さん: わからない。

☆このあとの『鬼』ツアー(神奈川・岡山・熊本)、どういう意気込みで臨みたいか
平田さん: すぐに再演したい、した方がよいと思っていた。楽しみ。また再演したい。
坪田さん: 各地それぞれ別の作品になる感じがある。毎回、新しい衝撃があって楽しみ。
小松崎さん: ふたつの生命体がガシャッとひとつになる演目。各地で邪気を払えたらいいなと思う。毎回、「これが最後!」と思ってやっている。再演したいんですけど。
三好さん: ツアーといっても踊る回数は4回。昨日より超えたいという欲をもってやっている。やればやるほど、もっと先があると身体で感じている。行けるところまで行きたい。
井関さん: 世界ツアーをしたいというのが夢。「新潟」から生まれたこの作品を広げていきたい。確実にパワーアップしていくだろうし、また再演したい。

浮き星は4分の3をゲット。しかし、コンプには至らずでした。

…等々。最後はクラウドファンディングへの協力依頼と大晦日のジルベスターコンサートへの参加について、井関さんが言及し、拍手のうちに、この日のアフタートークは閉じられました。

さて、Noism×鼓童「鬼」再演ですが、絶賛のうちに新潟3daysを終えて、明けて新年に神奈川(1/13,14)→岡山(1/20)→熊本(1/25)とまわります。各地で「鬼」降臨をお待ちの皆さま、お待ちどおさまです。来年のことを言うと「鬼」が笑うといいますが、この『鬼』再演に向けた期待感から自然と笑顔になってしまうというのが、今の状況かと。圧倒される準備を整えて、いましばらくお待ちください。
その公演、JR東日本の新幹線搭載誌「トランヴェール」2023年6月号に私たちNoism サポーターズについて掲載していただいたときの、「感動は約束されています。期待値を高めて来てください」(私)、「本物の舞台が見られます。必ず心が動きます」(aco)、「Noismはあなたを裏切りません」(aqua)、「私が保障しますよ(笑)」(fullmoon)、それらに尽きます。どうぞお楽しみに♪

*追記: 「トランヴェール」2023年6月号に関しましては、こちらもご覧ください。
「2023年6月1日、JR東日本「トランヴェール」6月号にサポーターズ登場♪」(2023/06/01)
また、掲載していただいた「トランヴェール」の6月号そのものもバックナンバーとして、こちらからご覧いただけますので、そちらもどうぞ。

(shin)