なんと!Noism×鼓童「鬼」がまだ楽しめる!

皆さま、NHKの衛星放送(NHK BSP4K及びNHK BS)「プレミアムシアター」にて金森穣×東京バレエ団『かぐや姫』をご覧になった(または、録画された)ことかと思いますが、本日(2024/01/29)18時より、YouTubeにて、先日、大喝采のうちに幕を下ろしたばかりのNoism×鼓童「鬼」の2作品(『鬼』と『お菊の結婚』)が配信されるとのことです!そうです、まだ楽しめる!嬉しい!サイコー!パチパチパチパチ!

Noism公式による情報です。こちらからお確かめください。

間違いないですよね?夢みたいですけれど、夢じゃないですよね?

公開中の映像舞踊『BOLERO 2020』改訂版、『Near Far Here』(一部無音)と併せて、なんと太っ腹なことか!『お菊の結婚』は著作権の関係から全編無音であるにしろ、嬉しいじゃあ~りませんか、ですよね。

次回の「プレミアムシアター」では山田うんさんとの「境界」もアンコール放送されますし、この冬の「金森穣祭り」、まだまだ盛り上がっていきます♪

【追記】以下にYouTubeへのリンクを貼っておきますので、どうぞご利用ください。
Noism×鼓童『鬼』(38’08″)
Noism0+Noism1『お菊の結婚』(26’17″)

更にこちらのリンクもどうぞ♪
映像舞踊『BOLERO 2020』改訂版(15’45″)
Noism0『Near Far Here』(29’03″)

(shin)

1/20(土)岡山市の新劇場・岡山芸術創造劇場ハレノワにて Noism×鼓童「鬼」岡山公演を観てきました。(サポーター 公演感想)

Noismにとっても、私にとっても初となる岡山です。
公演前に少し時間があったので路面電車に乗って、
岡山城や後楽園を散策したり初めての街並みを楽しみました。
また公演後に立ち寄った町中華で食べたよだれ鶏定食が絶品でした。
またいつか必ず訪れたい(できればNoism公演で)と思います。

新しい劇場ハレノワは、コンパクトながらしっかりとした造りで、舞台が非常に観やすい劇場でした。
職員の方もキビキビと対応されていて良い劇場だな、という印象です。
客席もかなり埋まっていました。客層も幅広い年代でちょっと驚きました。
Noismの評判、鼓童の人気、劇場への期待などいろんな要素があるのかな、と思いました。

開演直前、おなじみのメロディーが流れると幕前にスタッフが現れ、篝火が灯されました。
そこからしばらくして会場全体が暗くなり『お菊の結婚』がはじまりました。
ここ岡山で一足早く千秋楽となる『お菊の結婚』、岡山でも素晴らしい実演でした。
まず、いきなりの大音量と突然のお菊さんの動きには毎回驚かされます。
私以外にもびっくりされた方もいらっしゃっただろうと思います。

この『お菊の結婚』はとても好きな作品です。
『ボレロ』や『春の祭典』から続く音符に振付をするシリーズですが、
ストラヴィンスキーの『結婚』は複数パートが同時に歌う場面は意外と少ないため、
上記の作り方でダンスを作るのは大変だったのでは、と思います(かなり動きが限られそう)。
これを「人形振り」にすることで、動かないことに違和感を覚えません。
更に歌っている人だけが動くことで、昔のセル画で作っているアニメ(『サザエさん』とか)をみているような非現実感もありました。

15分の休憩後、『鬼』がはじまりました。
『鬼』もまた素晴らしい作品です。
原田敬子さんの楽曲はいきなりテンポが変化したり休符で断絶したりと、
こちらもまたダンス作品にするには難しいと思います。
Noismと鼓童は初演から素晴らしい実演でしたが、
回を重ねるにつれて完璧に手中に収めていて深みが増していることが分かります。
個人的に感心するのは、鼓童メンバーは登場時から最後まで、演奏している時もしていない時も身体が入っていることです。
これができるのは鼓童だからではないでしょうか。Noismと同じ身体言語を共有しているように思います。

『鬼』終了後は、鳴りやまない拍手と次々と増えるスタンディングオベーションで会場が歓喜に包まれました。
(岡山に見に来てよかった)と心から思いました。

更に終演後、地方公演では珍しくアフタートークが開催されました。
事前に募った質問に答える形でトークが進められました。
金森さんと井関さんのお話を簡単にご紹介します。

■最初に、初岡山の感想は。
井関: お客さんの拍手が温かった。自分は高知出身で岡山は馴染み深いし、Noismは西の方の出身者が多く岡山出身のメンバーもいる。
金森: もっと気温が暖かいと思ったら寒かった。(寒い)新潟から逃げてきたのに。
井関: 晴れの国なのに、連れてきちゃった。

■【質問】ダンスが嫌になったことはありますか。
井関: 1回ある。21歳で帰国した時。ヨーテボリで3日に1回踊る日々で踊りきったと感じ、一旦離れようと思った。離れたのはすごく良かった。
金森: 贅沢病だね。カフェで働くとかお花屋さんで働くとか言っていたが、3ヶ月後には踊っていた。
(嫌になったことは)ない。辛いのはしょっちゅう。

■【質問】振り付けを考えるとき、一番最初に取りかかることは何ですか。
金森: 作品によるので決まっていない。音楽が先にあったり物語が先にあったり、コンセプトが先にあったり、身体性が先にあったり、ケースバイケース。
ただ自分にとって一番大事なのは音楽。音楽が定まった時点で、そこからインスピレーションを得て作る。
『お菊の結婚』は曲を先に聴き、作品化したいと思った。ただ、元の物語(ニジンスカの『結婚』)には興味がなく、オリジナルを探すうちに『お菊さん』に出会った。
井関: 『お菊の結婚』はダンサーも楽譜の解読からはじめた。自分の担当する声部に振り付けており、歌が歌う時しか動かない。
リハーサルを進めるにつれ、金森さんから「もうちょっと動いて」と指示が出るが、そこは声がないから動けない。
金森: 『鬼』は原田さんの楽曲を聞いてから作った。「鬼」をテーマに掲げたのも原田さん。そこから色々リサーチをはじめ、役行者や清音尼を取り込みながら作った。

■【質問】作品を創作する際、新潟の歴史や物語、土地の記憶から着想を得ることがありますか。
金森: あるといえばあるし、ないといえばない。
ヨーロッパ時代など、日々生きていく中で、いろんなことからインスピレーションを受けた。
例えば、スウェーデンの夕日がサイドからバーンと街を照らす光景を見た時、インスピレーションが浮かんだりする。
それは「ストックホルムである」という場所性が関わっているけれど、だからといってストックホルムを表現しようと思わない。
更に言うと、それを説明するために作品を作っても面白くない。
今回も「鬼」についていろいろ調べたが、「鬼」を説明するために作品を作ってもしょうがないので、「鬼」にまつわるあらゆるものからインスピレーションを得て、自分の中でどこにも存在してないパフォーマンスを作る。
それが私の芸術的な野心。インスピレーションはあくまでもインスピレーション。

■【質問】いつも踊ってる時に気をつけてることは何ですか。
井関: 舞台上では瞬間を生きること。
例えば、今日は朝からずっと稽古してリハーサルしていろんなこと考えるが、それを本番では投げ捨てる勇気、その瞬間を生きる。ストイックにすればするほど、集中すればするほど、違うものがなぜか本番には見えてしまう。本当にその本番でしか見えないものを探し求めてる感じ。
金森: 実演芸術に共通だが、鍛錬と呼ばれるものは同じことを繰り返して、それを大事に、この型は崩さないように、と真摯に向き合うことが大切。最初から投げ捨てるつもりだったらそこまでにはできない。それを続けて大切に守ってきて、最後にそれを手放す。
井関: 手離した瞬間、自分じゃない何かが乗り移ったかのようになって、こんなにこの作品が違うように見えるんだとか、音がこんなに違うように聴こえるんだ、ということを発見する。そうしてまた次のステップに行ける。
金森: 意識と感覚について、果たして感覚も意識化できるのかという問題があって、ここをこうしようとか、稽古でこうしたらダメ出しがあったから気をつけようとか。それは意識じゃない?でも実際、生でバンってそこ出たらそれはもう感覚。あわいの中で感覚の方が突き抜けて。
井関: いわゆる「ゾーン」というもの。

■【質問】再演にあたり変化したところはありますか。また、鼓童さんとのコラボによって、普段のNoism作品との変化はありますか。
金森: 篝火を『(お菊の)結婚』『鬼』に入れたぐらい、そんなに変えていない。これまでにあるものをひたすら磨いていく事に時間を費やした。
(普段のNoism作品との変化については)これだけ難しい楽曲、しかも生音で太鼓は初めての共演だったので、みんなにとってもすごい経験だったと思う。
井関: 太鼓の音に皆さんもビックリされたと思うんですけど、実は皆さん以上に私たちもびっくりしている。舞台上で響く音って本当にすごい。舞台上では何もないかのように見せてるんですけど、本当に飛び上がる。それくらいエネルギーがある。それと原田さんの楽曲は難しい音楽だけど本質的。
太鼓が体に響いてくることで重心が落ちてくる。
金森: 上に上がってくるのはシンバルぐらい。それ以外はぜんぶ下に落ちていく。

■【質問】国内トップ舞踊団のダンスと地方在住者で作る地元の人のダンス、それぞれに役割があるとすれば、何が大切ですか。
井関: 劇場にプロの舞踊団があり、地元のダンスからそこを目指すような流れができれば、お互い活性化すると思う。
現状、新潟にしかないっていうのが問題。岡山に新しい舞踊団ができれば素晴らしいのでは?(拍手沸く)
金森: どちらかを否定するものではいけない。共存が大事。

■最後に…
井関: 2 月にNHK BSで 、2 年前に収録されたNoism公演(「境界」)が再放送されるので、今日来ていただいて興味を持っていただけたら、ぜひご覧ください。
金森: 今日の公演に誘ったけど来なかった人たちにも「テレビならタダで見れるよ」とご案内いただければ。

(かずぼ)

東京バレエ団『かぐや姫』新潟公演初日に行ってきました!

2023年12月2日(土)16時開演

朝からの雨が15時頃にはあがり、少し青空も見える、新潟としては「晴れ」のお天気。
りゅーとぴあロビーにクリスマスツリーが飾られていました♪
館内ビデオは『かぐや姫』のリハーサルシーンを放映中♪

『かぐや姫』新潟公演は今日明日とも、チケット完売満員御礼です!
劇場前のロビーは開場を待つたくさんの人が並んでいました。
入場すると、劇場ホワイエに金森さん、井関さんの姿が! お出迎え嬉しいです♪
またまたたくさんの人がお二人に写真撮影やサインを求めて並び始めました。

友人たちに挨拶したり話をしたり、京都から来てくれた会員さんからお土産をもらったりしている間に開演時間に・・・
今日は10列目でしたが、最前列が6列目なのでとても近いです! 東京文化会館と比べるとコンパクトな会場ですが(普段は広く感じる)、客席に勾配があるので見やすいですね♪

東京で全幕観たとはいえ、10月から間があいていますし、会場が違えばまた別モノ。
じっくり観られて幸せです♪ 感動、感激で打ち震えました。
美しく、妖しく、激しく、驚嘆の『かぐや姫』✨ 素晴らし過ぎて言葉もありません。
カーテンコールには金森さん、井関さんも登壇し、スタンディングオベーションと歓声に包まれました。何度もカーテンコールをしてくれて嬉しい。

終演後は金森さんのアフタートークです♪
司会は〈バレエチャンネル〉編集長/バレエジャーナリストの阿部さや子さん。
まずは、東京文化会館と会場の大きさが違うので、美術を舞台サイズに嵌め込むのが大変だったというお話から始まりました。

◎阿部さんの質問に応えて、金森さんのお話
・どの会場でも、会場によって違うので、短期間で作り込まなければならない。一回作ったら終わりではなく、そういう作業はエンドレスに続く。照明は今朝やっと終わった。
・りゅーとぴあの劇場は「スリバチ」なので、舞台は底で、客席の上の方は「月の視座」。前列は舞台と地続き。

【振付について】
・東京公演の時と振付はほんの少しは変えた箇所がある。やっていれば、変えたいと思う所が出てくるが、時間の制限があり、大変なのでなかなか変えられない。次の機会まで胸の裡にしまっておく。

【第3幕の光の精たちについて】
・セイレーンのような、あのような場面がなかったら『かぐや姫』はただ男たちに翻弄されるだけの話になってしまう。女性がその魅力によって男を翻弄するシーンを創りたかった。女性の持つ危険な魅力、女性であることの危うさを夢で気づくのが3幕の最初の場面。

【月について】
・月の映像は東京では高解像度のリアルな実物写真だったが、舞台が遠いからそれでよかった。
・新潟は舞台が近いので、そのままだとリアル過ぎて気持ちが悪いので解像度を落とした。

【ダンサーの演技、舞踊表現について】
・ダンサー自身の中から生まれてくるものを期待したが、表現と踊りを分けてほしくない。ただ歩くだけにしても表現をしてほしい。ダンサーたちは容易ではなかったと思う。もっともっと求めていってほしい。自分も舞踊家なのだから自分自身求め続けていきたい。
・舞台は本番ごとに変わる。舞台は集団。集団で奇跡の舞台を目指す。それが生の醍醐味。観客はそれを観に来る。

そのほか、第2幕の「月の光」パドドゥ(リフレイン)について、第3幕の「結婚」を意味する指輪のバレエ・マイムについて、地球と月と四季について、最後の締めくくり(「夢想」、記憶、尊さ、美しさ、危うさ、危険性)について、等々 お話は尽きません。

金森: 少しでも記憶に、心に、身体に、刻み込まれるものを創っていきたい。
阿部: 夢を見ていたような、不思議な感覚の残る作品でした。
   さて、『姫』の次は『鬼』!
金森: 『かぐや姫』をご覧になった方は『鬼』を必ず見てくださいね。金森穣がいかに多様な人間かわかると思います。ぜひ見てほしいです。『かぐや姫』は一応明日が最後ですが、末永く上演されることが可能な奥深い作品です。再演を願っています。

阿部: 『かぐや姫』は来年1月、NHK BSで放送されます。ぜひご覧ください♪
   *NHK BSプレミアム4K 2024年1月28日(日)23:20
   *NHK BS 2024年1月29日(月)0:10 ※日曜日の深夜

予定の30分をオーバーしての楽しいアフタートークでした♪
明日はいよいよ大千穐楽!

(fullmoon)