只事じゃなかった金森さんの『Tryptique』♪(2025/03/08 牧阿佐美バレヱ団「ダンス・ヴァンドゥⅢ」)

2025年3月8日(土)、とりあえず雪も落ち着いた新潟から、降雪予報が出ている東京は文京シビックホール 大ホールまで赴き、牧阿佐美バレヱ団「ダンス・ヴァンドゥⅢ」を観て来ました。

先日起きた新幹線の連結トラブルの影響を引き摺り、いまだ若干の遅れを伴う新幹線で東京駅まで行くと、そこからは丸ノ内線へ乗り換えます。文京シビックホールが入る文京シビックセンターは東京メトロ・後楽園駅から直通ということで、天気に関しては、さして心配することもなく到着出来ました。

地下2Fから同複合施設に入っていくと、前方の「区民ホール」では「都市交流フェスタ」というイヴェントが開催中で、ステージではトルコの民族舞踊などが踊られているなど、賑わいを見せていました。暫し足を止めてその踊りを眺めてから、1Fの大ホールに上がって行きました。

まったくバレエには疎い身ゆえ、牧阿佐美バレヱ団の「ダンス・ヴァンドゥ」がどういうものかも分からず、金森さん演出振付の新作見たさに足を運んだのでしたが、公演チラシによれば、「多彩なバレエ作品の魅力を紹介するシリーズ」とのことで、「『ダンス・ヴァンドゥ』それは、バレエの進化と継承。」の文言が踊っています。そしてそれは確かで、誰にも楽しめるバレエのショーケースと言ってよいステージでした。

開演前の華やぐホワイエ内、目に入ったカフェスタンドを覗きに行くと、「えっ!金森さん!井関さんも!あっ、金森さんのお父さんだ!」それはそれは嬉しい偶然でした。で、金森さんから「新潟はいいの?」と問われましたが、あたふたしていたので、「新潟はいい天気でした」など答えてしまうと、連れ合いが「Noism2のことだよ。(金森さんに)明日行きます」と答えてくれ、「ああ、そうか」と。で、お願いしてスリーショットの写真を撮らせて頂きました。許可も得ましたので掲載致します。(お父様の金森勢さんとも、かつてよくテレビで拝見していたことをお伝えすると、ユーモアたっぷりに返してくださるなど、ほんの少しだけでしたが言葉を交わせたことも嬉しいことでした。)

そんなこんなで、ウキウキした気分で開演を待ちました。

そして開演時間の15時になります。

この日の演目ですが、第1部は『グラン・パ・ド・フィアンセ』(20分)、第2部が『ホフマン物語』第2幕幻想の場(20分)、そして金森さんの『Tryptique ~ 1人の青年の成長、その記憶、そして夢』(15分)が第3部で、ラストの第4部が『ガーシュインズ・ドリーム』(40分)という順番で、どれも大いに楽しみました。

バレエについて詳しく書くことなど私の手に余ることですので、ここでは主に金森さんの『Tryptique』に関して私がこの日の舞台を観て得た印象を書かせて頂きます。その点、ご容赦ください。

先ずは衣裳。金森さん作品だけがシンプルなレオタードとタイツでダンサーのボディラインをそのまま露わに見せるものでした。そこに、ダンスとダンサーへのリスペクトが込められていることは、先日のインスタLIVEで金森さんが語っていました。更に言えば、纏って何かに「寄せる」道は絶たれ、何者をも表象することかなわず、ただおのれに徹し、それを越え出て、舞踊と一体化すること。その身体ひとつで観客の視線を受け止めつつ、見詰める目という目を圧すること。他の3演目に溢れていた美しい衣裳以上のものを、間違いなく、ダンサーたちの身体に観ることになりました。見惚れるほどに美しくて、いつまでも観ていたかった。作品も、ダンサーたちも。

そして、音楽と舞踊の関係性も、他の3演目とは異なっていたことは確かです。ロシア的な情緒、或いは、甘美かつ不穏な森の雰囲気、はたまた、アメリカはニューヨークの往時のキャバレー界隈の光景は、それぞれ、音楽を情感たっぷりに踊る身体を客席から観て、ひととき楽しむ風情だったかと思います。それはそれでそれぞれに客席にいる私たちの目を喜ばせてくれる、とびっきりの「ショー」でした。
ところが、金森さん演出振付の『Tryptique』だけは様子が違っているのです。一言、只事じゃなかった、と言いたいと思います。あの僅か15分という短過ぎる時間(それに先立つ休憩時間と同じ、僅か15分です!)、私たちは客席にいながらにして、客席ではない場所に連れて行かれたからです。そんなことが如何にして可能なのか。私はこう言ってみたいと思います。芥川也寸志さん作曲の音楽が内包する豊かな「可能性」の領野に分け入り、あのかたちでひとつの舞踊作品として可視化することが出来たからだと。あの奥深さは、音楽に合わせて踊るのではなく、本当の意味で音楽と一体化する舞踊に至っていてこそのものなのだと。更に更に、こうも言ってよければ、芥川さんのあの音楽は金森さんによるこの舞踊化を待っていたのだとも。客席に身を置いて視線を投げていた筈が、別の時空に没入している自分を体感することになった、圧倒的な15分間でした。

その世界初演に立ち会い、その顕現を目撃出来たことは観客として僥倖以外の何物でもありませんでした。そして、バレヱ団にとっては、その歴史に物凄いレパートリーをひとつ加えることになった、そうも思っています。2025年3月8日のこの舞台は長く語り継がれていくことでしょう。

『Tryptique』の15分が終わると、場内はこの日一番の拍手で割れんばかりとなりました。客席のその興奮は、促されるかたちで金森さんが舞台に姿を現したとき、頂点に達し、「ブラボー!」の掛け声も飛び交いました。そして、オーケストラを指揮して見事な音楽を奏でた湯川紘惠さんにも盛大な拍手が贈られました。それでも観客の拍手が止まず、繰り返されるカーテンコール。その様子もまた圧巻でした。

上でも触れた先日のインスタLIVEにおいて、金森さんは今回の「青」と「緑」についても語ってくれていました。その「青」に絡めて、バレエの歴史、バレヱ団の歴史という見方を重ねてみようとしたとき、不遜に過ぎて、私がそんなことを言う立場にないことは重々承知なのですが、敢えて言ってみれば、「青は藍より出でて…」みたいなことも感じたような次第です。無礼でおこがまし過ぎるので、その先は容易に続けられませんし、勿論、金森さんご自身はあずかり知らぬことですけれど。それでも、あの物凄さ、確かに、「バレエの進化と継承」を感じさせるに足る15分だったので、牧阿佐美さんもきっとお喜びの筈、そう言って締め括りたいと思います。何より、師と弟子、双方の偉大さに触れた一日でした。

(shin)

牧阿佐美バレヱ団「ダンス・ヴァンドゥⅢ」に向けたインスタLIVEに金森さん&井関さん登場♪(2025/2/19)

強烈な寒波が実に1週間に渡って日本列島上空に居座ると報じられるさなかの2025年2月19日(水)、やはり寒いその夕方17:00から約1時間配信された牧阿佐美バレヱ団のインスタLIVEに金森さんと井関さんが登場し、同バレヱ団の清瀧千晴さん・ 織山万梨子さんと話されました。

今回のインスタLIVEは翌3月8日・9日の「ダンス・ヴァンドゥⅢ」(@文京シビックホール 大ホール)に向けたもので、その両日、金森さんが生誕100周年となる芥川也寸志『弦楽のための三楽章-トリプティーク』に振り付けた新作『Tryptique~1人の青年の成長、その記憶、そして夢』が上演されます。師である牧阿佐美さんもかつて振り付けた同曲に金森さんも挑みます。楽しみ以外の何物でもありませんね。

この日のインスタLIVEは、金森さんのその新作『Tryptique』にまつわるお話しをお聴きする機会として設定されたものでした。ほんの少しですが、かいつまんでご紹介を試みたいと思います。

*オファー: 2022年に三谷恭三さん(芸術監督)から、牧阿佐美先生の追悼公演のオファーがあった。
*振付: 戦後の日本人作曲家に振付してこなかったのだが、依頼があった頃によく聴いていたこと、そして、この芥川也寸志作品が阿佐美先生のデビュー作にして代表作であることを知り、「追悼」の意味合いから、師匠のデビュー作を弟子が半世紀後に作るのも悪くないんじゃないかということで決めた。また、バレヱ団が、情熱を継承しつつ、次に進むことを考えたとき、馴染みのないものではなくて、ダンサーたちの身体に入っている『Tryptique』を刷新して、新しい『Tryptique』をダンサーたちの身体に入れていくことに意味があるんじゃないかとも思った。阿佐美先生の振付は見ていない。影響受けそうだったので。

*オーディションとキャスティング: 清瀧千晴さんは「青年」役(主役)で、織山万梨子さんが「恋人3(運命の人)」役。清瀧さんはNHK「バレエの饗宴」で観ていて「青年」役に決めていたが、他のキャストはオーディションで決め、リハーサルで最終決断。直感でしかない。「賭けた」ということ。経歴・来歴には興味なく、「この舞踊家、面白いな、音楽性いいな」とか、それしか純粋にインスピレーションにはならない。他の役については主役・清瀧さんとの相性という要素はあった。
*「あらかじめ説明するのは得意じゃない。面白くない」(金森さん): 設定やストーリーの説明は通し稽古が終わってからだった。タイトルも後から知らせたほど。
*「夢」: 3楽章のラストはシンボリック。ラストのユニゾンが「夢」。みんなで一緒に踊る、舞踊団であること。阿佐美先生へのオマージュや思いも込めつつ、そこにバレヱ団があることの強さ・かけがえのなさは当たり前のことじゃない。「夢」のようなもの。
*エンディング: 全然違う3,4パターンがあって、まだ悩んでいる。「舞踊家がやっと掴んできたものも急に覆されたりするのが、振付家・金森穣の大変なところだが、面白いところ。より良いものにするために、よりよく伝えるために変えたりする」(井関さん)

*衣裳: レオタードやタイツには金森さんからのバレエへのリスペクトが込められている。幼少期から積み重ねて、辿り着いた肉体が全てで、出来るだけそのまま出したい。
*その色・青と緑: 「青」、青臭さ、青春の色味、メタファー。(井関さんの好きな色。)「緑」、安らぐピースフルな印象。(金森さんが好む色。)
青と緑は金森さんにとって、自分の純粋性のなかで大事な色なのだそう。今回の物語・構成は「青い」。恥ずかしげもなくピュアな、阿佐美先生に向き合っていた当時の(15ないしは17歳の)金森さんの心そのものを奇を衒うことなく出したかった。それが阿佐美先生への感謝の印。また、それがダンサーたちに振付をするときに大事なんじゃないかと。
*照明: 沢田祐二先生にお任せしようかとイメージを伝え、(ダンサーには見せていない)台本も渡してある。「綺麗に見えないことは絶対にしないが、もしキツ過ぎたら私に言ってください。フォローします」(井関さん)

*オーケストラの生演奏(指揮:湯川紘惠さん・管弦楽:東京オーケストラMIRAI): 生演奏オケは難しい。音楽家もプロ、要求に全部応えて貰うのも違う。互いに求めているクオリティを尊重しながらも、主張しながらやることになる。
「文京シビックホールはオーケストラピットが広くて、客席が遠い感じ」(織山さん)、「それをイメージしながらリハーサルしている」(清瀧さん)→「会場を知らないから、言ってくれたら、出てくるタイミングをちょっと早めるとか稽古場でもやっておけることがあるかもしれない」(金森さん) 

*金森さんからのメッセージ: 30年振り以上で、牧阿佐美バレヱ団に戻ってきて、後輩やこれからのバレヱ団のために振付家として注げる愛情は全て注いで作っている作品。この作品を通して、個々人の、そしてバレヱ団の力を存分に表現して欲しい。
*井関さんからのメッセージ: やる気・意欲に感銘を受けている。そのポジティヴなエネルギーは観客に伝わると思う。バレヱ団として全力でそこに向かって欲しい。      

*3月7日(金)の公開ゲネプロはチケット購入者でHPから申し込み先着50名が見学可能。『ホフマン物語』第2幕より幻想の場と『Tryptique』がご覧頂けます。残り僅かなので、申し込みはお急ぎくださいとのことでした。

☆「ダンス・ヴァンドゥⅢ」(3/7、8)同時上演作品:
*『ホフマン物語』第2幕より幻想の場: 振付:ピーター・ダレル、音楽:ジャック・オッフェンバック。牧阿佐美バレヱ団としては、2002年の全幕上演以来となる。

*『グラン・パ・ド・フィアンセ』: 振付:ジャック・カーター、音楽:P.I.チャイコフスキー。プティパ/イワノフ版『白鳥の湖』からカットされた場面を、6人の花嫁候補たちが美を競う「パ・ド・シス」として再構成した作品。

*『ガーシュインズ・ドリーム』: 振付:三谷恭三、音楽:ジョージ・ガーシュイン、斉藤恒芳編曲。1997年初演。前回の上演が2007年、織山さんの初舞台でもあるそう。 

「ダンス・ヴァンドゥⅢ」ですが、「バレエを知らない人にも、バレエマニアにもお楽しみ頂ける」(織山さん)ということにホッとしました。バレエはほぼ何も知らない私には、ずっと敷居が高い気持ちもなくはなかったのですが、このインスタLIVEを視聴したことで勇気(!)が持てたのでした。楽しんで観て来ようと思います。

ほぼこんなところをもちまして、この日のインスタLIVE報告とさせて頂きます。きちんとしたご報告など到底無理な話でしたけれど、金森さんと井関さんが話されたことを中心に少しだけでも伝わっていたなら幸いです。

より詳しくは、牧阿佐美バレヱ団のインスタグラムに残されたアーカイヴをご自身でご視聴願います。

(shin)

山野博大さん追悼(2):特別寄稿「りゅーとぴあ訪問記」再掲

初出:サポーターズ会報第29号(2016年6月)

りゅーとぴあ訪問記

舞踊評論家  山野博大

 1998年10月、新潟市の劇場文化の新しい拠点として、りゅーとぴあ・新潟市民芸術文化会館がオープンした。2004年4月、海外で名をあげて帰国したばかりの金森穣氏を芸術監督に任命し、日本初のレジデンシャル・ダンス・カンパニーNoismを設立した。彼は設立早々から新しい舞踊が新潟に存在することを全国に向けてアピールし、以来12年、日本全国の舞踊人に影響を与え続けてきた。

 私は2005年2月、東京のアートスフィアで行われた金森穣・朝日舞台芸術賞キリンダンスサポート公演“no・mad・ic project ~7 fragments in memory~”を見て衝撃を受けた。公演を見る機会を作ってくれたせいで、私は「りゅーとぴあ」まで出かけることなく今まで過ごしてきてしまった。

 しかし「りゅーとぴあ」を自分の目で見ていないことがしだいに気にかかるようになり、2016年3月22日、新幹線とき号に乗って新潟へ。約2時間、あっという間に着く。太平洋の側から日本海の側まで、汽車に乗ってはるばる来たのだという、かつて旅に出た折に味わった感慨はさらになし。駅前からタクシーに乗り、きれいに整備された街並を走る。信濃川を渡り、白山神社の鳥居を横に見ながら坂を登ると、みごとな桜並木が……。開花までになおしばらく時間がかかりそうと考えるうちに、東京ではとうに盛りを過ぎていることを思い出し、ようやく新潟との距離感がわいてきた。

 「りゅーとぴあ」は巨大な総ガラス張りの卵を横に倒した感じの建物だった。卵のとがった側にパイプ・オルガン付きのコンサートホールが、ふくらんだ側に演劇・舞踊などのための劇場がある。4階のスタジオBに直行して6月に初演が予定されている最新作『ラ・バヤデール-幻の国』の創作現場を見せてもらう。

 スタジオBはまことに手ごろな空間だ。時に座席を並べて作品の公開に使うこともあるというだけに、広さ、高さとも申し分なし。Noismはここを、使いたい時に、使いたいだけ自由に占拠できるという。日本中の舞踊団がリハーサルのためのスペースを確保するために四苦八苦している中で、なんと恵まれたことと、改めてレジデンシャル・ダンス・カンパニーならではの手厚い扱いを知る。

 Noismの“劇的舞踊”は、2010年の『ホフマン物語』、2014年の『カルメン』と続き、『ラ・バヤデール-幻の国』が3作目。こんどは平田オリザがバレエの名作を、草原の国「マランシュ」が崩壊するまでの壮大な物語に書き改めた。彼は劇作家で演出家。こまばアゴラ劇場を拠点に劇団「青年団」を主宰する。劇場芸術に対する政策面への行動、発言でも注目される存在だ。朝日舞台芸術賞の受賞者という共通項があるのだが、二人はどこでどのうようにつながったのかを聞いてみた。富山県礪波郡利賀村という山の中で行われる「利賀フェスティバル」に両者が招かれ、しばらく街の騒音から隔絶された生活を送るうちに親しくなったとのことだった。舞踊台本を依頼したら二つ返事で受けてくれたばかりか、出来上がったものに対していろいろと注文も聞いてくれたということなので、良い結果が期待される。金森氏は、元のバレエ『ラ・バヤデール』のニキヤとガムザッティの階級格差に注目し、その背景にある「戦争」の問題を描きたいと語る。

 「りゅーとぴあ」の中を案内してもらった。コンサートホールと劇場は、同じフロアーに背中合わせに作られている。コンサートホールは最大収容人数2,000名。親しみやすい雰囲気が漂う。大きな卵の中央を横に輪切りにした通路から劇場へ。3階席まであり、収容人数868名。黒を基調とした舞台と客席を豊富な照明等の機材がびっしりと取り囲む新しい舞台芸術への備えを持つ空間だ。二つの会場が背中合わせに位置しているせいで、劇場の舞台の奥行きは足りない感じ。どうしても奥行きを必要とする時は、前の客席をつぶして舞台を広げることもあるということだった。この劇場はシモ手に花道を設営できるように作ってあり、邦舞等の公演にも対応可能。

 5階の能楽堂は、本格的な能舞台を382の椅子席が囲む和の世界。まだ真新しい松羽目と磨き上げられた舞台がまぶしかった。ここのロビーからは白山公園の木々の梢が見渡せる。その開放感と見る者の精神の奥深くにまで響く能が共に在る感覚は、他の能楽堂では味わえないものだ。

 日本初のレジデンシャル・ダンス・カンパニーNoismが設立されて、すでに12年が過ぎているというのに、未だ他の市に同様の動きが見られないことが話題になった。欧米ではあたりまえのことが、日本では「りゅーとぴあ」のNoismだけでしか行われていないのは、どういうことなのか。公共の劇場はどこも貸し出し用ばかり。市が独自に市民のために劇場文化を提供しようという考えは、今のところ育っていない。日本では政治・経済を担う人たちが劇場にあまり来たがらない。劇場のロビーが政治・経済界の要人や、各分野の芸術・文化人の交歓の場となっている欧米との違いは大きい。

 行政が劇場文化に対してしっかりした考えを持っていないと、芸術的に高いものを持つ団体の公演も、街の人たちのカラオケ大会も同じレベルで扱い、抽選によって会場を貸すことを「公平」と考えてしまいがちだ。しかし市のホールは、いかにして多くの市民に高い内容の芸術・文化を提供するかを第一に考えるべきではないか。その点、Noismをレジデンシャル・ダンス・カンパニーとして持つ新潟市は、劇場文化に高い関心を示す欧米先進国並みの責任を市民に対して果たしている。

  Noismの12年は、さまざまなトラブル解決の長い道のりだったらしい。市が専属舞踊団を持つという未知の体験は、多くの軋轢を克服するための努力の連続だったようだ。金森氏は「何度もやめようと思った」と、遠くを見るような目つきで語った。彼の心にはいろいろなぶつかり合いの場面が去来していたのではなかったか。しかし今、市の担当者とNoismは、12年という得難い時間を共有した結果、互いの役割を果たし、その恩恵を他の地域の舞踊ファンにまで及ぼしている。第二の「りゅーとぴあ」はいつ、どこの地に現われるのであろうか。金森氏との対話はまだまだ続いた。しかしそれを公表すると物議をかもすことになりかねない。このあたりに止めておくことにしよう。

 Noismのプリンシパルで副芸術監督の井関佐和子さんが書いた「Noism井関佐和子・未知なる道」という本が平凡社から出ている(2014年刊)。金森作品を踊る時の生の感覚をつぶさに記した内容は、Noism理解に必須のものと言ってよい。その本に彼女のサインを貰おうと思って本棚から出しておいたのだが、忘れて来てしまった。残念!

サポーターズ会報第29号

PROFILE  |  やまの はくだい

舞踊評論家。1936年(昭和11年)4月10日、東京生まれ。1959年3月、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。1957年より、新聞、雑誌等に、公演批評、作品解説等を書き、今日に至る。文化庁の文化審議会政策部会、同芸術祭、同芸術団体重点支援事業協力者会議、同人材育成支援事業協力者会議、日本芸術文化振興基金運営委員会等の委員を歴任。文化勲章、芸術選奨、朝日舞台芸術賞、橘秋子賞、服部智恵子賞、ニムラ舞踊賞等の選考、国内各地の舞踊コンクールの審査にあたる。舞踊学会、ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク、日本洋舞史研究会等に所属。日本洋舞史を舞踊家の証言で残す連続インタビュー企画《ダンス=人間史》の聞き手をつとめる。《舞踊批評塾》主宰。インターネット舞踊批評専門誌「ダンス・タイムズ」代表。舞踊関係者による《まよい句会》同人。2006年、永年の舞踊評論活動に対し、文化庁長官表彰を受ける。NoismサポーターズUnofficial会員。2021年(令和3年)2月5日永眠。享年84。

* * * * * *

*この玉稿は、前回再掲した金森さんとの対談内容を踏まえてお書きになられたもので、その対談と併せて、同じサポーターズ会報第29号に掲載されたものとなっています。稀代の舞踊評論家が見詰めたこの国の劇場文化と未来への期待は、舞踊家・演出振付家・劇場監督が見詰め、期待するところと正確に呼応するもので、今もなお、大いに示唆に富むものと言えると思います。前回と今回の全2回で、山野さん関係の文章を再掲することで、私たちの追悼の気持ちが少しく表現できていたらと思います。あと、山野さんがこの文章を書かれたあと、いずれかの機会に井関さん(と金森さん)からサインを貰えていたら、とも。蛇足でした。

(shin)

謹賀新年♪りゅーとぴあマガジン「偏愛、Noism」にサポーター中村さんご夫妻

新年明けましておめでとうございます。

コロナ禍が席巻した旧年、すっかり変貌を遂げてしまった社会に、皆さまも怖れと不自由、そして気詰まりばかりだったことと存じます。しかし、私たちは蓄えた経験に基づき、叡智を結集して、「コロナ2年目」に立ち向かうのみです。「一陽来復」。勇気を持ち、辛抱しつつ、明日を信じて。勿論、私たちの伴走者はやはりNoism Company Niigata。支えつつ、支えられている訳です。Noismのある私たちの「New Standard」、本年も宜しくお願い申し上げます。

「迎春」金森さんから活動支援会員への年賀状

そうして迎えたお正月。2021年1月1日発行「RYUTOPIA MAGAZINE(りゅーとぴあマガジン)」vol.63 2021Winterの「偏愛、Noism」に、私たちサポーターズのメンバーでもある中村玄さん・昌子さんご夫妻が取り上げられています。皆さま、ご覧になられましたか。昨年聖夜の石丸由佳さん「オルガンコンサート」へのNoismの出演の舞台裏など興味深いお話も読めます。

「Stay Home」が提唱されるお正月、ゆっくりお読み下さい。

(shin)

「Noism2定期公演vol.11 Noismレパートリー感想」(サポーター 公演感想)

☆金森穣振付Noismレパートリー(Noism2定期公演vol.11より)

去年ノイズム2の公演を初めて観て、その初々しさに魅了されました。今年も研修生たちの成長を見ようと心待ちにしていましたが、期待を裏切らずハートウォーミングなひとときでした。

会場ロビーの演目表も見ず、プログラムはお手元用メガネを忘れたので読めず、幕が上がった。

ひとつの作品と疑いもせずに観ていた。面白い!身体もよく動いている。既視感はあるがなんという演目だったかなぁ。まあいいや。とにかく楽しもう。

操り人形、人間。どちらでもなさそうな物体。

休憩時にやっと三作品のオムニバスと分かった!思い込みってスゴイですね〜

『ホフマン』と『人形の家』は観てないのでそれはともかく、『NINA』もハッキリとは認識出来なかった。でも忘れるからこそ新鮮に感じられる、という事のいい例だな。

違和感なく最後まで楽しめたというのは、三作品を一つのトーンにまとめあげた山田監督の演出の力量ではないでしょうか?

『NINA』

赤い照明の下に四体の人体模型。肌色レオタードで動きがだんだんと生き物っぽく猿っぽくなって来る。既視感。

ベジャールの「春の祭典」

去年東京で、バレエ友達のおごりで東京バレエ団の春祭を観た。その後でNoism次の公演は春祭だって、と伝えたら彼女は「えっ?NINAが金森さんの春祭だと思ってた!」と言った。

なんだか納得。

最後に…

身長体型もバラバラな四体の彼女たちは涙が出るほど美しかった。

他のダンサー達もみんなキラキラ輝いてうつくしかった。

応援します。ありがとう

(たーしゃ)

Noism2定期公演vol.11楽日の余韻に浸る♪

2020年7月12日の新潟市は、時折、晴れ間が覗く曇天で、雨は小休止。湿度も低めで、案外過ごしやすい日曜日でした。昨日のソワレに続いて、この日が楽日のNoism2定期公演vol.11を観に行ってきました。

私は全4公演のうち、後半の2回を観たのですが、運良く、ダブルキャストの両方を観ることが出来ました。

『ホフマン物語』の「妻」役が前日ソワレの長澤さんから、この日は杉野さんに。

『人形の家』の「みゆき」役も、中村さんから橋本さんに、「黒衣」も坪田さんから中村さんに変わっていました。

それぞれの持ち味の違いが感じられて、嬉しかったです。

そのふたつ、回数を重ねることで、前日よりも滑らかな印象に映りました。

そして、暗転後、『Mirroring Memories』の場面転換の音楽が聞こえてきて、扇情的な「赤」の『NINA』に突入していきます。前日に観て、わかってはいても、ドキドキ鳥肌がたつ感じが襲ってきました。「これでラストだから、もう、むちゃむちゃやったれ!」みたいな気持ちで踊り切ろうという空気が感じられ、観ているこちらとしても、「頑張れ!頑張れ!」と心の中で声援を送りながら見詰めていました。そんな人、多かったと見えて、暗転後、絶妙なタイミングで思いを乗せた拍手が贈られることになりました。

15分の休憩を挟んで、山田さんの『黒い象/Black Elephant』。その「黒さ」が支配する45分間です。

自らの身体を隅々まで隈なく触れて、自己を認識することから始めて、他者或いは取り巻く世界を認識しようとする冒頭。そこからして既に断絶が待ち受けている気配が濃厚に漂います。

“Products”… ”cutting: a girl”…”少女”… ”cutting: three opinions”…”三つの言い分”… ”gossip”… ”in the dark”… ”Nobody”… ”in memory of”…、時折、暗示的な言葉が投影されるなか、いつ果てるともない音楽『On Time Out of Time』が立ち上げる、「現(うつつ)」の世界とは異質な時空で8人によるダンスは進行していきますが、焦点は容易には結ばれません。

象徴的な銀色の円柱と途中に一度挿入され、一瞬軽やかな雰囲気を連れてくる映画『Elephant Man』(ここにも象が!)からの音楽(『Pantomime』)とに、『2001年宇宙の旅』におけるモノリスとヨハン・シュトラウス『美しく青きドナウ』を連想したのは私だけでしょうか。

「そして私が知っているのは真実のほんの一部分だということにも気がつきませんでした」の台詞、そして叫び声。認識の限界或いは「不可知論」を思わせるような断片が続きますが、最後、リトアニアの賛美歌が小さく流れ出すなか、ひとり、取り出した「白い本(タブララサか?)」を円柱に立てかけると、一向に焦点を結ぶことのなかった認識の象徴とも呼ぶべき「黒い本」を愛おしむように抱きしめてじっとうずくまる人物…。暗転。

あらゆる認識もすべからく全体像に迫ることに躓き、その意味では、自分の視座からの解釈しか行い得ないというのに、認識すること/認識されることから逃れられない業を抱える私たちを慰撫するかのような優しさで締め括られるように感じました。

終演後、途切れることなく続く拍手。客電が点るまで、何度もカーテンコールが繰り返されるうちに、8人の表情が和らいでいったことをここに記しておきたいと思います。皆さん、本当にお疲れ様でした。

さて、次にNoismを目にする機会は、来月の「プレビュー公演」2 days♪ チケットは絶賛発売中です。お早めにお求めください。大きな感動が待つ舞台をどうぞお見逃しなく!

(shin)

Noism2定期公演vol.11中日ソワレを観に行く♪

前日の天気予報では雨が酷くなりそうだった2020年7月11日、土曜日の新潟市。雨は降ったりやんだり程度で、ひとまず安堵。この日の定期公演はマチソワの2公演。そのうち、ソワレ公演(18:00開演)の方を観に行きました。

入場から退場まで、幾重にも新型コロナウイルス感染症への予防措置がとられたりゅーとぴあは、この困難な時代に公演を打つことにおいて、いかなる油断もあってはならぬという意識がかたちをとったものでした。

共通ロビーからスタジオへのドア手前の
サーモカメラ曰く
「正常な体温です」
この方もカメラに収めていました
誰あろう、「芸術監督」さん♪

画像のデータで確認しますと、17:10のことです。芸術監督氏も同じ場所に立ち、管理体制の一端をカメラに収めていました。その様子をまたスマホで撮った画像を、直接、ご本人に許可を頂いて、掲載しています。「盗撮だね♪」と笑いながら、「いいですよ」と応じてくれた金森さん。有難うございます。

入場整理番号、10人ずつ検温してから
4階・スタジオBに進みます
場内で許可を得て撮りました。
隣とは3席、或いは2席とばした
「赤」の座席のみ着席可です

そうして進んだ場内で、山田勇気さんをお見かけしましたので、「やはり、『おめでとうございます』ですよね」とご挨拶すると、「そうですね。有難うございます」のお答え。

さて、前置きが長くなり過ぎました。この日の公演について記していきます。

最初の演目は、金森穣振付Noismレパートリー。昨日、及びこの日のマチネとは異なる別キャストだそうです。ダブルキャストなのですね。

見覚えのある衣裳、見覚えのあるメイク、そして聞き覚えのある音楽…、かつての名作にあり余る若さをぶつけて挑んでいくNoism2メンバーたち。今回、抜粋された場面は、どれも趣きをまったく異にする3つの場面。それらを一気に踊る訳ですから、彼ら、彼女たちにとっては、大きく飛躍するきっかけとなる筈です。

なかでも目を楽しませたのは、やはり最後に置かれた『NINA』でしょう。それも観る者の情動を激しく揺さぶり、昂ぶらせる、あの「赤」の場面です。これはもう敢闘賞もの、燃え尽きんばかりの頑張りに気分も上がりまくりでした。

15分の休憩を挟んで、プログラム後半は山田勇気さんの新作『黒い象/Black Elephant』です。

客電が落ちる前から聞こえ出す、海中、それも深海を思わせるような、たゆたうような、終わりを想像し得ない音楽のなか、照明はあるものの、暗く、黒く、不分明な舞台空間。それはいかに目を凝らそうとも、しかとは見えないような具合の色調。見ること、見えるものに疑いを抱かせるような案配とも。

「cutting(カット)」、裁断されて提示される場面の連続は、それらを繋ぐ糸、そんな「何か」を見つけようとすることを徹底して拒むかのようです。目の奥の脳を働かそうとするのではなく、目に徹して見詰めるのがよいでしょう。翻弄され続けるのみです。今回、それがテーマに適う態度というべきものかと思いました。若い8名が熱演する「決定不可能性」、魅力的です。

場内の席から、この舞台を目撃した観客を数えることはさして難しいことではありませんでした。スタジオBには35名の観客(と山田勇気さん)。収容人数の3分の1ということで設けられた上限人数マックスの観客はもれなく、「お値段以上」で、「この感動はプライスレス」とでも言うべき熱演を満喫したに違いありません。その人数からして、「耳をつんざく」とは言えぬまでも、惜しみない、心からの拍手が続いたのがその証拠です。

3日連続で、この日も200名を超えるコロナウイルス新規感染者が確認された東京。私たちを取り巻くネット環境の拡大・進展に、もうこの世界が「ボーダーレス」であるかのように感じていた私たちは、具体的な場所(トポス)の制約を受けることなく、どこにいても文化そのものにアクセス可能になったかのように錯覚してしまっていたのでしたが、具体的な身体は具体的な場所にしかあり得ず、人の移動、及び「対面」が不可避であること、「劇場」の、そのどうしようもなく不自由な性格は否定しようがないものだったことに改めて気付かされ、同時に、文化の東京一極集中は、文化そのものの中断を意味しかねない、相当に危うい事態だと思い知らされた気がします。日頃の稽古を含めて、東京から離れた場所、新潟市に拠点を置くからこそ行い得た公演、そうした側面を痛感したような次第です。

8人を追いかけて見詰める両目が歓喜に震える時間。私たちはこうした時間が好きなのでした。日本のアートシーンを考えたとき、この日の80分×2回において、間違いなく、新潟市は日本の中心にあった、そう言っても決して大袈裟ではないでしょう。居合わせる栄誉に浴した35名の至福。そんな思いに誘われるほど、久し振りに「劇場」で充実した時間に浸れたことを有り難く感じました。

若さの何たるかを観る機会となる今回の定期公演も、あと明日の一公演を残すのみで、チケットは既に完売。明日、ラストの公演をご覧になられる方は是非心ゆくまでご堪能ください。

(shin)

Noism2定期公演vol.11 初日!

*今も列島に甚大な被害をもたらし続けている「令和2年7月豪雨」。被災された方々に心よりお見舞いを申し上げますと同時に、一日も早く平穏な日常が戻ってきますようお祈り申し上げます。

2020年7月10日(金)19時のスタジオB。本来ならば、3月6,7,8日に開催されるはずだったNoism2公演。まずは本日、無事 初日が明けたことを喜びたいと思います。

とはいえ、観客はもちろんマスク着用+消毒・検温があり、座席はソーシャルディスタンスで予想以上の席数減(わずか35席)! たくさんの人に観てほしいのに…(涙)

開場前はいつも人で溢れるスタジオBのホワイエも、寂しいほどひっそりとしています… それにアフタートークも中止とのこと。残念です。

さて、開演! Noismレパートリーから、劇的舞踊『ホフマン物語』(2010年)より、『Nameless Handsー人形の家』(2008年)より、『NINA-物質化する生け贄』(2005年)より、が続けて上演されます。(20分)

目の前で躍動する眩しい身体に重なって、これらの作品を踊った何人ものメンバーたちの姿が思い出されます。

休憩15分の後は、山田勇気さんの新作『黒い象/Black Elephant』(45分)。この作品は、「私たちは何を見た/触れたのか」ということが主題になっているそうです。

ドキッとする幕開け。暗く深い闇の舞台でうごめくメンバーたち。観客は盲人になったかのようです。夢の中のような音楽(On Time Out of Time)が絶えず流れ、明るい音楽の中間部がありますが、静かに終わります。

惜しみない拍手! 『春の祭典』公開リハーサルにも出演したNoism2メンバー。一段と逞しさを増したようです♪ 4回公演もチケット完売です。座席数が少ないのが本当に残念です。 

明日からは 真打ち、shinさんが登場しますよ♪ どうぞお楽しみに!

(fullmoon)

Noism2定期公演vol.11 公開リハーサルに行ってきました!

春まだ浅い2月末。陽が差したり、曇ったり、雪が舞ったりと、冬の終わりらしいお天気の新潟市。

2/27(木)、りゅーとぴあスタジオBでのNoism2公開リハーサル(メディア+活動支援)に行ってきました。

■プレスリリース:https://noism.jp/noism2定期公演vol-11-プレスリリース/

Noism2リハーサル監督 山田勇気さん4年ぶりの新作となる『黒い象/Black Elephant』!

見応えあります!!

「研修生」とは言わせないゾ!という、メンバーと山田監督の意気込み・気迫が伝わってきます!

それもそのはず、現在のNoism2メンバーは、今年21歳(1名)、22歳(2名)、23歳(2名)、24歳(3名)になる8名です。まだまだ若いですが年齢的には大人。いつまでも、青春まっただなか、ではいられません。

これまでホワイトのイメージが強かった山田勇気Noism2ですが、今回はブラック。

これまでとは違う、大人なNoism2を感じました。 ぜひご堪能ください!

■山田勇気さん囲み取材より

「暗闇の象」「群盲の象」の故事を現代社会のことのようにずっと感じていた。創作のきっかけではあるものの、象は比喩。

・真実はひとつなのか、たくさんあるのか。

・黒い空間の中でいかに人間が光るか。

・触れること、見ること、を意識して創作した。

・黒い布を被っての移動はゾウではなくゴースト(お化け)。

・四つん這いの動きは動物というよりは、理性とは逆の本能的なもの。

・本番までの課題としては、今やっていることに対して、どのくらい理解し、感じているかということ。無意識に動いている時が多い。ある程度骨格ができたので、自分も含め、何をやっているのかわかって踊れるように熟していきたい。

・今のメンバーとは、お互いに特に遠慮もなく、自分と距離が近いと思う。

・創作を4年間休んでいたので、今回は落ち着いてやりたいことをやれた。

・音楽は、William Basinskiの「On Time Out of Time」。(ブラックホール同士の衝突をイメージした音楽だそうです。神秘的な曲。)

物事の本質を突いてくる、山田勇気さんの新作。メンバー一人ひとりの熱演も見どころです。どうぞお楽しみに!

同時上演の、山田勇気演出、金森穣振付Noismレパートリーは、劇的舞踊『ホフマン物語』、『Nameless hands ―人形の家』、 『NINA―物質化する生け贄』 より。こちらも楽しみですね♪

◆Noism2定期公演  https://noism.jp/npe/noism2_teiki_vol11/

3/6金 19:00 (前売チケット完売)

3/7土 14:30/18:00

3/8日 13:30/17:00  ※全5回

会場:りゅーとぴあ スタジオB

料金:2,000円(入場整理番号付自由席)

問い合わせ:チケット専用ダイヤルTel: 025-224-5521(11:00-19:00, 休館日除く)

※夕方の回は3回とも終演後に金森さん・山田さんによるアフタートークがあります。

不穏なウィルス状況ですが、新潟県は感染者ゼロ。公演は今のところ開催予定です。寒さもウィルスも吹き飛ばす Noism2公演、どうぞお運びください。

(fullmoon)
(撮影:aqua)

*同公演は、残念ながら延期が発表されております。こちらの記事も併せてご覧ください。