短編ドラマを観ているようだった、中尾洸太作『”うしろの正面”』 「カプグラ症候群」こういう精神疾患があるというのは小説、マンガなどで知っていたが名前を聞くのは初めてだ。疾患と言うが、本当のところは正常なのかもしれないし、そこがコワいところ。 林田海里さん、ダンサー&アクターどちらも兼ね備えていて素晴らしかったです。大好きなヴァリシニコフの次に林田さんです! 突然流れる『The end of the world 』の感傷的で甘いメロディ。思い出したのは『Painted Desert 』で使用された『Mr. lonely 』 なんて事のない美しいロッカバラードの曲たちなのだが、使われ方によっては私は狂気を感じてしまう。多分、D.リンチのアブない映画『Blue Velvet 』で同題の曲が繰り返し流れていたせいだと思う。
林田さんの『Flight from the city 』 彼の表現したい「青さ、未熟さの残る情景」は女性2人によって踊られているが、想像するにこれはたまたまというか、メンバーの中でのキャスティングで鳥羽、西澤さんがイメージに合っていたからだと思う。もしかしたら青年2人のデュオだったかもしれない。 照明スタンドの使い方、特にラストの消えるタイミング、絶妙でした。余韻が漂い、しばらく動けませんでした。
最後に、ジョフォア•ポプラヴスキーさんの存在感。チャーリー•リャン作『The Eclipse 』の中のチャーリーさんとのデュオが印象的でした。そして彼の『On the Surface, there you lie 』はトリにふさわしい重厚感がありました。暴力を振るい続けてエスカレートして止められなくなる者、抵抗もせずされるがままになる者… いろいろなものが心に入ってきた。
Noism Company Niigataの作品を見る時、今日的な状況に照応させて観てしまいがちなのは何故だろう。 公共空間でしか目にしないような長い椅子は白く、一人掛けの椅子の連結により作られていた。所在なさそうに、しかしそこに座らねばならないかのように一人、また一人と登場する。のっぺりと塗られた白い顔。纏われた白いシャツの身幅は広く、身体のラインを拾わない。膝上まで素足の身体が正面を向いて一列に座ると、没個性化した衣装ゆえに体格差という個性に目が向く。余剰の布は身体に遅延して皺を形成し、時に照明を半透過させた。
池袋の東京芸術劇場でサラダ音楽祭メインコンサートを観てきました。
とても素敵なコンサートで、そのすべてについて感想を書きたいところですが、私の文章力ではだらだら長く散漫な文章になってしまいそうなので、今回はこのブログの趣旨でもあるNoism Company Niigataが出演した2演目についてレポートしたいと思い
ます。