「新潟県文化祭2024」こども文化芸術体験ステージ(2024/11/23)、Noism2に胸熱!

2024年11月23日(土)勤労感謝の日、十日町市の越後妻有文化ホール「段十ろう」を会場に開催された「新潟県文化祭2024」こども文化芸術体験ステージに、午前午後2回、Noism2が登場し、「未来を担うこどもたちが舞台公演を通じて豊かな感性や創造性などを育み、文化芸術に興味・関心を持つきっかけになってほしい…」と設けられた機会において、その溌剌としたパフォーマンスで観客からの温かみのある大きな拍手を浴びました。

私が観に駆けつけたのは14時開演の第2部(推奨年齢:中学生以上)。霰が落ちてきたり、時折、篠突く雨も寒々しい、かと思えば、陽が差す時間帯もあったりという、冬を前にした忙しい天候のなか、車で高速道路を走り、一路、十日町市を目指したような次第です。

2017年にオープンしたという越後妻有文化ホール「段十ろう」。今回が初めて訪れた建物でしたが、十日町の中心市街地に位置する、なかなか綺麗な複合施設でした。

13時15分に開場。「新潟県文化祭」ということもあり、ホワイエには新潟県産木材を紹介するコーナーが設けられていて、木琴やら色々な玩具、それに木製スピーカーほかが並べられており、木を使って仕上げられた段十ろうの内装によくマッチしていました。

そして、開演時間の14時になります。緞帳の手前、上手(かみて)と下手(しもて)両側から、Noism2ダンサーの9人が現れ、横一列となるが早いか、心臓の鼓動、心拍音が聞こえてくると、それに合わせてビートを刻み始める9人。黒いジャケットに黒いパンツ姿。緞帳が上がってから繰り出されたクールでソリッドに絡んでいくスピーディーなダンスは、先ずは名刺代わりのご挨拶。そのスタイリッシュな幕開けで、もう、つかみはOKです。そんなふうにはじまったこの日の舞台。

次いで、地域活動部門芸術監督・山田勇気さんとNoism2リハーサル監督・浅海侑加さんがステージ下手に現れてご挨拶。そこから、浅海さんから『砕波』が紹介されました。その内容をかいつまんで記しますと、港町・新潟市が開港150周年を迎えたのを機に、Noism芸術総監督・金森穣さんが、佐渡の太鼓芸能集団・鼓童の楽曲に振り付けた作品であり、Noism2メンバーは波の動きを踊り、それを通して、波の様々な感情を表現するとのこと。「激しく荒れ狂う海。怒っている波、泣いている波、笑っている波…」(浅海さん)

8人のダンサーによって、日本海の様々な波、その感情が身体と音楽とで可視化されていくさまを目撃する私たち観客は、一人残らず、言葉を用いない舞踊の何たるか、それを身を以て感得していくという豊かな時間を享受したのでした。更に、子どもたちを含めて、Noismを初めて観るという人も多かったのだろう客席。『砕波』のラスト、舞台上の動きが止まってから、場内に響いた温かい拍手には舞踊への驚きといったものが聞き取れるように感じられました。

次の演目にいく前に、再び山田さんが舞台に現れると、スクリーンを用いて、国内唯一の公共劇場専属舞踊団である「新潟のダンス集団Noism(Noism Company Niigata)」を簡潔に紹介していきました。

そのなかで、私が観た午後の部では、江川瑞菜さん(愛知県出身)、与儀直希さん(米・ロサンゼルス出身)、高田季歩さん(兵庫県出身)、四位初音さん(宮崎県出身)の4人も舞台にあがり、山田さんからの質問に、ひとりひとつずつ答えていくことを通して、Noism2というカンパニーの横顔が伝わってきました。それらもご紹介しましょう。

*Q:Noism2の生活はどんなふうか? → A:四位さん「朝9時のNoismバレエ、Noismメソッドに始まり、途中に休憩を挟んで、18時まで舞踊に向き合う日々」
*Q:どうして踊りを始めたのか? → A:高田さん「身体を動かすのが好きで、3歳でクラシックバレエを、小学校6年生のときにコンテンポラリーダンスを始めた。コンテンポラリーダンスの全身で表現することに惹かれた」
*Q:踊りの魅力とは? → A:与儀さん「踊りの表現が人生経験が深まっていくのと同時に深まっていくこと。そして人と繋がるきっかけになること」
*Q:辞めたくなったことはないか? → A:江川さん「思いつかないが、怪我をしたとき、前のように踊れない日々は辛かった。踊ることが好きなのでワクワクしている」

出前公演やアウトリーチを通して「舞踊の種を植える」Noism2。自分の夢を叶えるために稽古に打ち込む研修生カンパニー。そしてホーム・りゅーとぴあで「くらす」「つくる」「(文化を)そだてる」Noism Company Niigata、と。

Noism2メンバーの9人
新メンバー3人をアップで

時刻は14:30、今度は浅海さんによる『火の鳥』の紹介です。2011年に金森さんがNoism2のためのオリジナル作品として振り付けた作品で、「今を生きる子どもたちに向けたメッセージ」が込められている。それはシンパシー(共感・共鳴)、心の動き。そして次のように、あらすじも紹介されました。
*少年: 自分の殻に閉じ籠もり、闇やネガティヴなエネルギーに囲まれている。
*火の鳥: 少年を強く優しいエネルギーにより、殻の外へ連れ出す。
*黒衣(若者たち): 嫉妬にかられ、火の鳥に襲いかかる。
 → 痛めつけられた火の鳥は火が消えてしまうことに。
 → 少年の流す涙によって、若者たちの心に何かが起こっていく…
…「それを観て聴いて感じて欲しい」(浅海さん)

この日の舞台、「少年」は髙橋和花さん、「火の鳥」は矢部真衣さんが、そして6人の「若者たち」がストラヴィンスキーの楽曲に乗って躍動しました。この演目、とてもエモーショナルで、Noism入門にはもってこい、まさにお誂え向きとも言えるものなのでしょうが、いつ観ても、鳥肌もので、心を激しく揺さぶられてしまいます。それはこの日も同様でした。Noism2メンバーたちの熱演に対して、場内からは今度は熱い思いが込められた拍手が長く長く続きました。
この『火の鳥』ですが、来春3月のNoism2定期公演vol.16(2025/03/08&09)でも踊られることが告知されています。この同じメンバーで更に進化・深化した『火の鳥』が今から楽しみです。

Noism2のメンバーの皆さん、山田さん、浅海さん、胸熱で素敵な舞台を有難うございました。この日観た子どもたちも、大人たちも、みんな新潟(市)にはNoism Company Niigataという世界に誇るべきカンパニーがあることをはっきり認識し、「文化」というものを心ゆくまで堪能したものと思います。冬枯れの景色のなか、そんな高揚する気持ちのままに帰路につきました。

なお、この日の舞台の模様は、後日、編集したものがYouTube(新潟ステージチャンネル)にアップされる予定とのことでした。本日、ご覧になられなかった方はそちらをお待ちください。

(shin)


新潟日報「assh」vol.521(2024/10)表紙に浅海侑加さん登場♪

2024年10月6日(日)、地元紙・新潟日報のコンセプトペーパー「assh」vol.521(2024/10)の表紙に、Noism2 リハーサル監督・浅海侑加さんの凛々しい姿が♪

加えて、「assh 表紙の人」に付された2次元コードから、更に、「Web magazine assh (Web magazine assh (niigata-nippo.co.jp))」からも、浅海さんへのインタビュー「『Noism2』リハーサル監督 浅海侑加さん/後進へのまなざし温か イメージの共有に試行錯誤」もお読み頂けます。とても興味深い内容ですので、是非ともお読みください。

そしてインタビューに続けて、この秋(2024/11/23)の「新潟県文化祭2024」こども文化芸術体験ステージについての告知もあります。Noism2が出演し、『火の鳥』と『砕波』を踊ります。(@越後妻有文化ホール「段十ろう」・十日町市本町一丁目上508番地2)
浅海さんが指導する若さ溢れるNoism2メンバー、その躍動する姿は必見です。観覧申込みは11/7(木)まで。是非、ご応募ください。

で、こちらには、この機会にこれまで当ブログでお届けしてきました浅海侑加さんについての記事へのリンクを以下にまとめて掲載しておきますので、そちらも併せて(改めて)お読み頂けましたら幸いです。

「私がダンスを始めた頃」②浅海侑加
「ランチのNoism」#20:浅海侑加さんの巻

【追記】…私はラクトアイスやポテトチップスを食べながら、ネット見てたりしますけれど、…弛緩し切ってます…(汗)。皆さんはどうですか。

そして、話題は変わりますが、今夜(深夜25:25)1:25からのNHK BS「プレミアムシアター」はベジャール『ボレロ』他に加えて、金森さん+東京バレエ団『かぐや姫』(再放送)です。こちらもリアルタイム視聴または録画にてお見逃しなく♪

(shin)

「アース・セレブレーション2024」2日目【特別フリンジ】鼓童✕Noism2に行ってきました!

8/17(土)、少し雲がかかることもありますが、今日も概ね晴れのよいお天気。
本日の特別フリンジは15時半から15分間のみの貴重な公演です。

14時頃、会場の三角公園に着きましたがカンカン照りでキビシイ〜
しかし、14時半を過ぎるとやや曇ってきて、ステージの上も暗雲が! 雨が降る感じではないので、このまま曇っていてくれるとありがたいな〜♪

フリンジ出演の前の団体が終わり、観客の移動があったので、その隙になんとか最前列の席を確保!
最前列は陽が当たって焦げる熱さでしたが、曇ったのでラッキーでした♪

15時頃、早くも出演者がやってきました!「Noism2の母」モンちゃさんもご子息と登場♪

Noism2メンバーと鼓童さんたちが早めに来たのは、なんと、その場でリハーサルというか、場当たりをするため。
特別サービスではありませんが、うれしいですね〜♪

司会は昨日に引き続き、鼓童の木村佑太さん。
今日もインタビューがあるので、まずはその並び方から。
そのあと鼓童さんと共演する曲の場当たりと続きます。
リハーサルなので浅海侑加さんも指導に入ります。貴重シーンですね♪
とはいえ、リハはササッと終わってしまいました。。

しばし待つ間に空は晴れ・・・
カンカン照りの夏空の下、明るく公演が始まりました!
まずは『砕波』!
鼓童の曲で、金森さんの振付です。


昨日のあゆす会館でも観ましたが、なんとまあ、全く別物です! いったいどうなっているのでしょう!?
今日の方がノリがいいようですが、屋内と屋外では雰囲気が違いすぎてビックリしました!
音楽はCDでしたが、最後の方が少し短縮されたバージョンでした。
ブラボー!!

そのあと、木村佑太さんによるインタビューです。今日は少し砕けた質問をしたいと言っていた木村さんですが、砕けた質問にも真面目な答えのメンバーに苦笑するしかない木村さんでした。2年目の4名がインタビューに応えました♪

最後の曲は鼓童さんとのコラボです。おなじみの『紫』!
鼓童の曲で、山田勇気さんの振付です。


この作品は去年も一昨年もフリンジ公演で踊られました。明るく楽しい楽曲ですが、ゆく夏を惜しむような哀調を帯びた響きも感じられます。
この『紫』は配信&アーカイブがあるようですので、ぜひご覧くださいね!
(→こちらからどうぞ。6分半強の動画となります。)

『紫』が華々しく終了して拍手喝采!!
全員で写真撮影です♪
すばらしい舞台をどうもありがとう!
河村アズリさんと川添愛美莉さんはこの公演が最後になります(涙)。
これからも新しい道で前に進んでいってくださいね!

今シーズンのNoism2、全公演無事終了しました♪
浅海侑加さん、メンバーの皆さん、おつかれさまでした!

さて、次(今週末)は利賀でNoism0+Noism1『めまい』ですよ〜✨
Noismの夏は、まだまだ続きます!
次は利賀でお会いしましょう♪

(fullmoon)

「アース・セレブレーション2024」鼓童研修生✕Noism2 に行ってきました!

8/16(金)、晴れて朝から気温が高い中、佐渡汽船ジェットフォイルに乗って、まずは両津へ!


アース・セレブレーションは小木で開催されます。両津から小木へ、私は路線バス移動で、遠路はるばる、なかなかですよ〜(^_^;)

Noism2を追いかけて、鼓童共演 連続3年!
本日の会場は、あゆす会館。初めての屋内会場で、体育館のような施設です。冷房が効いていてよかった!


「Noism2の母」モンちゃさんと開場前に落ち合い(モンちゃさんはご実家から小木航路)、2人で最前列ほぼ中央をゲット!
暑い中30分並んだ甲斐がありました。前方はゴザ敷で後方は椅子席。あっという間に超満員です。
録画録音・写真撮影禁止とのことなので、写真は開演前の様子を撮りました。


鼓童公式の方で生配信&アーカイブを残すというお話でしたので、どうぞご覧くださいね♪
(→そのアーカイブ、約29分です。こちらからどうぞ。)

13時30分、いよいよ開演。司会は鼓童の木村佑太さん。
オープニングは、鼓童研修2年生の6名による「うねり」という曲。太鼓の音はやはりスゴイ迫力です!
演奏が終わると自己紹介&司会者によるインタビュー♪
そのあとは、2年生による新作「チャンカ」。冬の思い出の曲だそうですが、ますますのド迫力に拍手喝采!
そして、研修所 所長のガンさんが登場し、心温まるお話の数々を話してくださいました。

そのあといよいよNoism2、11名が登場!
黒い衣裳に身を包み、踊るは『砕波』! 音楽は鼓童のCDです。
『砕波』はこれまでにも何度か見ていますが、その度に踊り手もシチュエーションも違うので、いつもとても新鮮です。今回も今のNoism2らしさが出ているなあと思いました。皆さん仲が良さそうですね♪
『砕波』のあとは、Noism2リハーサル監督 浅海侑加さんが登場♪
Noismの紹介やNoism2への思いを話されました。「今だからこそできる経験を、今後の人生に繋げていってほしい」というお話にメンバーへの愛を感じました。
それからNoism2メンバーの自己紹介があり、引き続きメンバーによるNoism紹介が2,3人ずつのメンバーに分かれて手際よく行われました♪ りゅーとぴあのこと、毎日の練習スケジュールやNoismメソッド・バレエ、アウトリーチ、WS、定期公演、20周年公演、そしてアース・セレブレーションのこと等々、とてもうまくまとめて、実演も交え、次々に紹介してくれました♪

そして最後は研修生同士のコラボレーション、鼓童の曲に山田勇気さんが振付をした『屋台囃子』です! いよっ、待ってました!
昨夏の三角公園フリンジ会場での熱演が思い出されましたが、それに負けない熱い舞踊に心震えました。
鼓童さん、ありがとう。こうやってNoism2の舞も受け継がれていくのだなあと思いました。

終わったあとは全員そろってのコラボ感想。楽しかった、豪華だった、緊張した、調和がとれた、音と踊りが一緒になれた、等々、胸の鼓動がさめやらぬ感激の感想でした。モンちゃさん、感涙!

終演後は観客を出口でお見送りまでしてくれて、ホント、うれしい楽しい研修生コラボ公演でした♪

明日は三角公園フリンジ会場で鼓童正メンバーとのコラボです!
楽しみです♪

(fullmoon)

場内を魅了し尽くして幕をおろした「Amomentof」7/28大千穐楽(@埼玉)+6/29アフタートーク補遺

Noism Company Niigataの20周年記念公演「Amomentof」が、遂に2024年7月28日(日)に灼熱の埼玉は与野本町、彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉にてその全6公演の幕をおろしました。

この日の開演時刻(15:00)頃には、気温は38℃になるとの予報が出ていた与野近辺。風もなく、蒸し風呂の中にでもいるかのようなその暑さは、ヒトの暑熱順化など到底追いつくべくもないほどの気温であったかと。

そんな酷暑の街路を辿って彩の国さいたま芸術劇場を目指して歩いていたのは、しかし、別種の「熱」を求める人たち。その移動振りは、この日、その場所を目指した目的から、周囲の異常とも言える高温にさえ負けぬ様子を示していたように思います。

その「熱」を発する舞台を観ようと集まってきた大勢の観客のなか、浅海侑加さんのお母さん、糸川祐希さんのお母さんと、そしてフランスからドバイ経由の20時間の空旅で駆けつけた旧メンバー・中村友美さんとも色々お話ができましたし、更に宮前義之さんの姿なども認めたりして、いやが上にも気分はあがりました。

大千穐楽の舞台はやはり「熱」を発して余りあるものでした。

まずは『Amomentof』。バレエバーに手をかけて身体をほぐすことに始まる日常から、日々に住まう葛藤や苦悩をあからさまにしつつ、物凄い高揚を見せてのち、最初の場面へ。「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道」と言ったのはイチロー選手。誰もが肯(がえ)んずるほかない真理なのですが、この舞台ほどの説得力を伴って可視化されることは稀でしょう。井関さん、金森さん、そして他のメンバーたち、それぞれが見せる目の表情、それらが行き違い、交錯するさまには実にスリリングなものがあります。

この演目には、Noismの過去作で目にしてきた「振り」の数々があちらこちらに織り込まれているだけでなく、終盤に至っては、私たちが見詰めるその舞台の奥に、『Mirroring Memories』を彷彿とさせるようなかたちで、先刻、ハケたメンバーたちがこれまで井関さんが纏ってきた数々の衣裳ほかに身を包んで居並ぶ姿が見えてくるではありませんか!更に、やがて、その上方に「20年間」の公演ポスターが一気に映し出されて追い打ちをかけてくるのです。胸に去来する様々な思い出の場面。「ずるいよ、金森さん」涙を堪えることなど早々に諦めるしかありませんから。目に映ずるのは孤高を経て、やがて敬意の群舞へと転じ、その舞台狭しと躍動するメンバーたちの中央、井関さんが発する万感籠もった泣き叫びの声には胸を強く揺さぶられずにはいられません。

更に言えば、マーラーの交響曲第3番第6楽章「愛が私に語りかけるもの」をその作品中に取り込んでしまうといった、大胆と言えば大胆に過ぎる構成の妙も畳みかけてきます。マーラーの旋律とともに現前する圧倒的な高揚感の画、しかし、その全てが、最後、井関さんがメンバーたちに向けるキョトンとした目によって、ありふれた日常の時間のなかに回収されてしまうさまが実に詩情豊かで、切れ味抜群、憎いくらいに見事なのです。

この日は完全に幕がおり切るまで、拍手は一切起こらず、(刹那とはいえ、)甘美な余韻が静寂となってホール内におりてきました。その後、「もっと拍手をしていたいのに」、そんな気持には頓着することなく、呆気なく客電が灯るのはいつも通りでした。

20分の休憩を挟んで、『セレネ、あるいは黄昏の歌』が記念公演の掉尾を飾りました。この大作も、目の表情のスリリングさの点で『Amomentof』に全く引けを取らないものがあります。陶然として春の歓びを発散させる目があったかと思えば、動物的な「生」のエネルギーが「性」的な逸脱へと至る様子を押し殺した怒りを浮かべながらも、敢えて直視しようとしない目があり、はたまた、「憎しみ」の連鎖を宿し、その対象を見出してしまう凶暴な目や、その自らの「蛮行」に自ら怯える目もあり、老いて呆けた印象の、同時に寛容さを示す目に、それを模倣しようとする剽軽な目や、何物にも囚われることのない無邪気さそのものの目、かと思えば、呪術的な手の仕草を繰り返しながら、真っ直ぐ前を見詰めて動じない迫力に満ちた目、等々、挙げだしたらきりがないほどです。舞踊作品において、目ばかり取り上げるのもどうかと思いますが、少なくとも、そこにこの作品を読み解く鍵(のひとつ)があるとしか思えないのです。

命が芽吹く春。内的な力が溢れて、ときに暴発し、その様相をすっかり異にしてしまう夏。平衡かに見える秋を経て、やがて冬の死へ。しかし、一刻も止まることはなく、やがて再生へ…。そんなふうに巡る季節。循環。描かれる円環。

そう、「ENKAN」。近藤良平さんを招いての来る冬の「トリプルビル」です。「巡ること」のモチーフはこの後のNoismにあって、多様に追い求められていくことになりそうですね。楽しみです。

大千穐楽の幕がおりたとき、場内に谺した大きな拍手と「ブラボー!」。そして広がったスタンディングオベーション。無理からぬことです。「20周年」ということを全く抜きにしても、私たちが目撃したのは、物凄い訴求力をもつふたつの演目であり、それは取りも直さず、舞踊家の献身煌めく刹那が途切れることなく連なることで編み上げられた舞台だった訳ですから。もう、端的に言って、至福のときを過ごしたとしか言いようがありません。

皆さんの目には、そして心にはどう映じたでしょうか。「Amomentof」大千穐楽についてはここまでです。

ここからは、以前(2024/6/29)のブログ記事(「Noism 20周年記念公演新潟中日の眼福と楽しかったアフタートークのことなど♪」)において、公演が続いている事情から、「ネタバレ」に繋がるので書けないでいた同夜のアフタートークでの井関さんと金森さんのやりとちをご紹介して、ブログの締め括りにしたいと思います。以前の分と併せてご覧頂けたら幸いです。

☆★6/29アフタートーク(新潟公演中日終演後開催)補遺★☆
☆井関さんが一番思い出に残っている衣裳は何か
金森さん: 『Amomentof』では井関さんがこれまでに着た衣裳を出した。
井関さん: 「一番」となると難しいが、思い入れで言ったら、故・堂本教子さんによる『夏の名残のバラ』の赤い衣裳。生地に拘って色々語っていたのを思い出す。今回、出ていなかった衣裳だけど。
金森さん: 色味が色々あったし、バランスがあった。でも、拘りがあって、最後の最後、井関さんが「あれは(出すのは)イヤだと言った」
井関さん: アレを出したら、「私が着ます」となっちゃうから。

…というところを今漸く書くことが出来て、スッキリした気持になりました。以上です。

(shin)

「Amomentof」埼玉公演初日!

*この度、山形や秋田ほか大雨被害に見舞われた方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。

2024年7月26日(金)、気温は36、7℃でしょうか🔥 暑い中、埼玉は与野本町、彩の国さいたま芸術劇場に行ってきました!
いろいろな看板、グッズ販売。そして新潟公演と同じく、サポーターズからのお花が華やかにロビーを彩ります♪

お久しぶりの関東の知人友人。そして会場での私の隣席はなんと、浅海侑加さんのお母様でした! 愛媛からもお知り合いがたくさんいらしていたようです♪
新潟公演からひと月近く過ぎ、金森さんはXに「再演のよう」と書いていましたね。ワクワクして開演を待ちます。

静かに幕が上がり、舞台にはバーと佐和子さんが・・・
ますます美しい素晴らしい『Amomentof』✨ 観客は涙腺崩壊です。私もわかっているのにウルウルです。
大きな拍手が2回。何事もなかったかのようにバーの場面に戻る「一瞬」の余韻に打たれました。

休憩の後は『セレネ、あるいは黄昏の歌』。幻想的、幻惑的な大傑作。
この音楽を選んで振り付けた金森さんは大天才としか言いようがありません。それに応えてますます人間離れしていく井関さんは神の領域✨
メンバーもしっかりしっくり、それぞれ踊りきり、見事でした。
カーテンコールは大歓声とスタンディングオベーションで盛り上がりました!

ますますブラッシュアップした2作品。もう明日(7/27・土)とあさって(7/28・日)だけなんて・・・
観ないともったいないですよ。ぜひどうぞ!

(fullmoon)

Noism2定期公演vol.15:「舞踊家として悩む中日」(中尾さん)を体験した13人とそれを見詰めた観客

2024年3月2日(土)の新潟市は、雪は舞うは、道路は凍りつくはで、まさに冬に逆戻りでもしたかのような一日。3月だというのに。
前日に幕があがっていたNoism2定期公演vol.15は、この日、14時からと18時からの2公演がある「マチソワ」の日だったのですが、その両方の舞台を目撃してきました。そう、まさに「目撃」の一日でした。

まずは踊られた2つの演目に関して、感じた事柄を書くことから始めようと思います。

最初は金森さんの振付で、山田さんによる構成の「Noismレパートリー」からです。今回は電子音やノイズの中で踊られる作品(『R.O.O.M.』『sense-datum』『no・mad・ic project – 7 fragments in memory』)からの抜粋なのですが、最初の一音が響いたその一瞬から、極めて「Noism的な」と言う他ない動きへの、13人の挑戦が始まることになります。それは、舞踊家が苦しければ苦しいほど、観客は気分があがってくるといった嗜虐的な時間です。しかし、エッジの効いた早いビートに乗るだけでは不充分であり、更に、その向こうに、踊る舞踊家その人でしかないものが見えてこなければなりません。課せられたそんな極めて高いハードルに対して、多くの視線を浴びるなか、アドレナリンを出しつつも、「離見の見」をもちつつ挑んでいく時間の体験です。大きな成長に繋がる機会と言える訳です。「Noismレパートリー」には、13人全員が各自の「今」を超え出ようと格闘する姿が溢れていて、見詰めていると胸に迫ってくるものがあります。
この日の2公演を観ての感想としては、2年目の5人の動きに、やはり一日の長があり、安定した「Noismらしさ」が強く感じられたと記しておきます。そして、なかでも春木有紗さんに目が惹きつけられたことも。場を圧する空気感において群を抜いていたように感じました。

休憩後は、Noism1の中尾洸太さん振付演出の新作『水槽の中の仮面』です。30分の作品を振付るのは初めてとのことですが、主に6組のデュオのフォーマットを用いて、中尾さんらしいリリカルさを基調にしながら、描かれていく2者間の隔たりに、ある種の不穏さが色濃く漂うアレゴリカルな(隠喩的な)作品と映りました。現在の世界情勢などが、否応なしに、反映されているといった感じも受けますが、「隔たり」を扱うこの作品自体は、踊り込まれることによって、様々な受け取り方を許すものになり得るように感じました。踊る側の深度が増すことによって、中尾さんの当初のイメージを超えていくだろう可能性をそこここに感じながら観たような次第です。(同時に、これも否応なく、「水槽」と「仮面」についての思索に誘われています、今。)また、使用楽曲のシューベルト『死と乙女』もそれが描く死と安息を「隔たり」繋がりで捉えようとすると、今作に奥行きを与えてくれるものがあると言えるでしょう。様々な点で、たくさんの「開口部」を持つ作品であると思いました。
いずれにしましても、今回が本格的な振付デビューとなる中尾さんが、Noism2メンバーの「今」に向き合うかたちで作られた本作、必見ですね。

2つの演目を公演中日の2時の回と6時の回に観た訳ですが、2回を併せて、そんなことを感じました。

その後のアフタートークについてもかいつまんで記します。この日の登壇者としてアナウンスされていたのは、地域活動部門芸術監督・山田勇気さんとNoism2リハーサル監督・浅海侑加さんでしたが、途中、質問への回答上の要請から、場内にいた中尾洸太さんも加わることになりました。

*メンバーが悩んだり、苦しんだりしているときの声掛け
浅海さん: 【今回のクリエイションにおいては】(じっくり考えてから)「洸太(=中尾洸太さん)を真似してみて。洸太も音楽を聴いて動きを作っているので」とか言ったりした。
【普通に悩んだり苦しんだりしているときには】経験する時間を感じて欲しい。その気持ちを感じることも経験だから。
山田さん: 経験が浅いし、難しい部分。簡単な答えはない。今日の舞台もひとつの経験。

*今回、苦労したところは
浅海さん: 洸太の作品は新作で、過去に踊った人の手本がないので、ゼロから作り上げなければならない。洸太の作品なので、稽古をみていて、自分が思うことだけになっていって、違ってしまっては嫌なので。どこまで伝えたらいいか。
山田さん: 「レパートリー」には過去の振付があって、難易度が高くても崩せない。そこにもっていって、自分が踊る意味を見出させること。

*中日の舞台(2公演)に関して
山田さん: 昨日、初日があけて、今日は2公演。初日はエネルギーを解放させたのだが、中日の昼の部(2時の回)は持っていき方が難しかった。しかし、夜の部(6時の回)には、修正して、違った面が見られた。「レパートリー」に関しては、どちらも色々な「点(=箇所)」でいい人、光る人が違った。洸太の作品は、全体の色が毎回違ってきていて、どこへ落ち着くのかなぁと。
浅海さん: ここまで3回全部違う。洸太の作品は毎回印象が変わるが、今回は「人間」というものを感じた。彼らが経験している姿を見て、人生の一部だとか、「今」だとかいうふうに。言語化できない気持ち、したくない気持ちになった。

*身体のケア・回復方法
山田さん: 個人に委ねられている。その準備もひとつの経験。自分の身体を知って、ルーティーンを確立していく。

*中尾さんのメンバーの選び方
中尾さん: 選び方はインスピレーション。曲を決めてあるので、そこから思い浮かぶ人のを選んだ。そして、自分は振りを決めていかずに、その人がいる場で音楽を聴いて、振りを決めていった。(曲 → ダンサー → 振り、の順。)

*中尾さんが苦労したこと
中尾さん: 『鬼』の公演前に急ピッチに振り付けたものが、『鬼』公演の1ヶ月をおいたら、不安な気持ちになってしまった。どう見えているのか精査し切れないままだったので、「過去(1ヶ月前)」に考えて出したものが「これでよかったかなぁ」と不安に。
『鬼』が終わって、再開したとき、「1回通しで見せてくれ」と言って、「今」の自分を重ねていく前に、「過去」の自分を再確認して始めた。

*中日の舞台の印象
山田さん: 彼ら自身と自分の向き合い方を考えて見てしまった。これからどうしようかと。
中尾さん: 気分によって、波が激しいなと。自分も気分によって変わるタイプなのでわかる。「中日」は舞踊家にとって、どう持っていったらいいか悩む日。2時の回は「うーん、あんまりだなぁ」と思ったが、6時の回は「その体験を体験たらしめている」と思った。昇華して、伝え方も変わった。(その体験を)次に使えている。
浅海さん: 2時の回と6時の回とでは全然違っていた。稽古監督としては、踊りの部分での見せ方とか言いたいことは結構あるけれど。

*中尾さん作品の衣裳に関して(←衣裳の着方の違いに気付いたという会場からの声を受けて)
中尾さん: 表と裏で着ている。最初に出した衣裳案は、「Aライン」の白で、立体的にふわっと、というもの。その後、そこに黒いライン(線)も欲しいと思ったが、その下を黒にして、透ける感じにした。表と裏にして着ることで、パターンを増やさなくて済んだ。どっちが表、裏を着るかは純粋に見た目で決めた。

と、そんな感じでご紹介とさせて頂きます。

さて、これを書いているうちに日付も変わってしまいましたので、Noism2定期公演vol.15も本日(楽日)の2公演を残すのみとなりました。まだ、夜の回はお求め頂ける様子です。日々「体験」し、「経験」を増していく13人の若者。是非、彼らの「今」の格闘を目撃しにいらしてください。それはそのまま、観客としても、きっと心動かされずにはいられない時間の「経験」になるでしょうから。

(shin)



「ランチのNoism」#20:浅海侑加さんの巻

メール取材日:2022/06/20(Mon.)

Noism×鼓童『鬼』新潟公演を次週に控えたこのタイミングでの「ランチのNoism」、区切りの20回目は、Noism2 リハーサル監督・浅海侑加さんのご登場回をお送り致します。初回(2020年2月)の金森さんと井関さんから始まって、これで一巡という意味でも区切りの回となります。さてさてどのようなランチを拝見できますでしょうか。それではいきましょう。

♫ふぁいてぃん・ぴーす・あん・ろけんろぉぉぉ…♪

若き研修生カンパニーNoism2を率いる立場にも等しく昼はやって来る!「ランチのNoism」♪

*まずはランチのお写真から。

 *ん? これはまた度々見てきた感じの画像ですけれど、デジャヴではないですよね、浅海さん。

1 今日のランチを簡単に説明してください。

 浅海さん「茹で卵とお味噌汁です」

 *この説明だけでは、まだまだデジャヴ気分から脱するには足りない感じが否めませんけれど…。(汗)

2 誰が作りましたか。普通、作るのにどれくらい時間をかけていますか。(or 主にどこで買ってくるのですか。)

 浅海さん「自分で準備します。 茹で卵を作るのが下手だったのですが、最近やっと上手く作れるようになりました!茹で時間は12分派です。お味噌汁は、簡単なものを。(イトー)ヨーカ堂で売っている具が何種類かあるもので、朝の気分で選びます」

 *茹で卵、なかなか侮れないんですよね。殻が綺麗に剥けないだけじゃなくて、地球の「断層図」になぞらえるならば、一番外側の「地殻」(=殻)のみならず、ときに「上部マントル」くらいまでが層をなして剥がれてきてしまうといった残念なことも起きちゃったりする訳で…。茹でた後、ちゃんと冷やしてるんですよ。冷やしてるんですけどね。いざ食べようという段になって直面する、あの絶望的なくらい為す術もない感じといったら、もうそれって卵の質によるんですかね。まったく「ぴえん」な訳です。
 で、そんな茹で卵ですけれど、浅海さんはハードボイルドの「12分派」とのことで、それって、確かかつての鳥羽絢美さん(第9回)と同じ茹で時間ですね。黄身はオレンジ色ではなく、完全に黄色になるくらいかと。

 -私は井本星那さんの回(第6回)以来、「熱湯に入れて5分、火を止めて5分置いてからの冷水」という「井本メソッド」を忠実に実践している半熟卵派なのですが、浅海さんは半熟卵などは好まれないということでしょうか。

 浅海さん「茹で卵として食べる時は、固茹でがいいです。タコライスみたいに、混ぜて食べる時は半熟がいいですね」

 *おお、食べ方によって、茹で方を変える!その手がありましたか。なるほど、なるほど。私の頭が固茹でだったみたいですね。(笑)
 あと、お味噌汁にもあまり時間はかけないのですね。

3 ランチでいつも重視しているのはどんなことですか。

 浅海さん「ランチ休憩でもリハーサルの事や考え事で頭を忙しくしがちなので、最近はしっかり「お昼休憩」を感じるようにしています。素直に美味しいと感じたり、コーヒーを飲んでホッとするように」

 *感じ方を切り替えることで、同じ時空にいながらにして、周囲の時間の質を変えてしまうってことですかね。望ましい「ランチ・ブレイク」の在り方と言ってよいかと。素敵です、浅海さん。

4 「これだけは外せない」というこだわりの品はありますか。

 浅海さん「塩です!茹で卵に何かしらはつけたいですね」

爽やかに塩を振る♪

 *そうきましたか。私も職場の机の抽斗に常備していますよ、同じくボトル入りのやつを。

5 毎日、ランチで食べるものは大体決まっている方ですか。それとも毎日変えようと考える方ですか。

 浅海さん「決めてはいません。コンビニのおにぎりだったりサラダなどを買う時もあります。カップのお味噌汁を買うときは、何故か「なめこ」を選んでしまう…。おにぎりを作って持って行く日もあります。お気に入りの「まぜまぜくん」がある時はおにぎりです!」

 *脳内BGMが一瞬にして井上陽水『なぜか上海』になってしまうなど、「何故か『なめこ』」って部分も深層心理的に随分そそられるのですが、それ以上に興味を掻き立てられるワードが出て参りましたよ。それは勿論「まぜまぜくん」!初めて耳にしたんですけれど、私。
 で、浅海さんはそこのところを察して画像も寄せてくださいました。どうぞご覧ください。

 *漁師の「賄い」風イラスト入りの「まぜまぜくん」、長崎で海産物加工品の販売をする「ヤマジョウ」さんというところの商品で、なんでも「まぜる佃煮」なのだとか。HPによりますと、具材と調味たれとに分かれた食べきりサイズで「簡単手作りの即席佃煮」とあり、一般的な混ぜ込みタイプのおにぎり用ふりかけではなさそうな様子。にぎられている際の画像からも、存在感のある具材の様子が伝わってきます。

 -食感とか、お気に入りポイントなどを教えてください。また、西日本の方ではよく知られた商品なのでしょうか。そのあたりも是非。

 浅海さん「食べ応えがすごいです!特にイワシなんかはご覧のとおりそのまんま入っているし、調味たれの味も美味しいのでぜひ食べてほしいです!地元今治のスーパーで母が見かけ、送ってもらったのがきっかけです。新潟ではまだ見つけたことがないです」

 *な~る。浅海さんこだわりの一品(逸品)なのですね。メモ、メモメモメモ!

6 公演がある時とない時ではランチの内容を変えますか。どう変えますか。

 浅海さん「変わりません」

 *力強いお返事いただきました。簡潔にして、強い意志を感じます。納得です。

7 いつもどなたと一緒に食べていますか。

 浅海さん穣さん佐和さんの隣のテーブルで、向かいに(山田)勇気さんがいます」

8 主にどんなことを話しながら食べていますか。

 浅海さん「最近はグルテンフリーのパン屋さんの事や、ドラマの話など」

 *Noismの重鎮さんたちの会話、聞き耳たてたいですねぇ。グルテンフリーのパン屋さんも気になりますが、ここではドラマの方を訊ねたいなと。だって、Noismの重鎮さんたちが好きなドラマですよ。気になって仕方ないじゃないですか。

 -話題にのぼったドラマにはどのようなものがありますか。穣さん、佐和子さんも一緒だとすると韓国のドラマとかでしょうか。具体的にいくつか教えてください。あと、これまでの浅海さんお気に入りドラマなども教えてください。

 浅海さん「韓国系では、『愛の不時着』『梨泰院クラス』は話題になり、見ました!他にまだ見ていない韓国ドラマも気になります。私が好きなのはAmazonプライムの『ブラウン神父』や『ミス・マープル』といった、推理小説系の物も好きです!」

 *韓国ドラマ、ハマる人多いですよね。穣さんと佐和子さん、勇気さんと浅海さんまで揃って虜にしてしまうとは!ハマった経験のない身には驚きです。「恐るべし!韓国ドラマ」って感じです!

9 おかずの交換などしたりすることはありますか。誰とどんなものを交換しますか。

 浅海さん「おかず交換はしません。セナちゃん(=井本星那さん)がたまにオススメの飴をくれるんですけど(生姜や梅の…)嬉しいし美味しい!」

 *「おかず交換」は、この「ランチのNoism」が始まった頃(2020年2月)には既に、「コロナ禍」で慎むべき振る舞いとされてしまっていたのですが、その昔は微笑ましい光景だった訳です。で、今、それに代わる交流アイテムとしての「飴」(大阪のおばちゃんの「飴ちゃん」を含む)、その重要性を増しているのではないでしょうか。そんなふうにも思えます。で、井本さんが持って来られる飴は和物も多い模様ですね。

10 いつもおいしそうなお弁当を作ってくるのは誰ですか。料理上手だと思うメンバーは誰ですか。

 浅海さん「あまり皆のお昼をチェックした事ないのですが…。劇場に降りた時、楽屋前で目にする制作の上杉さんのお弁当箱が気になります!
 また2メンバーはおにぎりが多い印象ですが、お弁当箱を持ってきている時は気になりますね」

 *「お弁当箱」に反応するようですね、浅海さん。その気持ちはわかります。で、出て来た名前が制作の上杉(晴香)さんとは!Noism Company Niigataを支える「縁の下の力持ち」とも言うべき方。しかしこの企画でご紹介するのはちと難しそうですねぇ。(ですよね、上杉さん。)(う~む。でも、上杉さんさえよろしければ、なんちゃって。)

 浅海さん「料理上手は佐和さんです!!! 庄島姉妹(=庄島さくらさん庄島すみれさん)のスロバキア料理も食べてみたいです!
 ひかる(=坪田光さん)の誕生日にパン型をプレゼントしたのですが、使いこなしてるようで…。こちらも食べたいですね〜」

 *そう語る浅海さんもお料理は得意という評判を耳にしていますよ。どうですか、そのあたり。

 浅海さん「個人的な事ですが…、お菓子作りではタルトが多いです。タルト生地はいつも同じレシピですが、カスタードを入れたり、ダマンドにしたり…。他にも色々チャレンジしたいです!!」

もはやパティスリーかと!

 *本格的ですね!浅海さん。おっと、続いてはパンですね。

もはやブーランジェリーかと!

 浅海さん「パン作りも好きですが、発酵が難しいです。。。」

 *浅海さん、やはり評判通りの腕前とお見受けしました。

 -手作りのお菓子やパンをメンバーに持っていくことなどはありますか。もし、あるようでしたら、反響の大きかったものにどんなものがあったか、そしてその際の具体的な様子などを教えてください。

 浅海さん「ケーキはメンバー何人かと一緒に食べたことはありますが、パンはまだないです。りお(=三好綾音さん)がにっこり笑顔で『おいし〜〜〜い』って言って食べてくれるのが一番印象に残っています!!!」

 *三好さんもしっかりお料理をされる方ですし、そんな三好さんからにっこり笑顔の『おいし~~~い』を引き出したなら印象に残ったとしても何の不思議もないですよね。
 そして、例えば、今後、坪田さんとの間に「パン交流」なども始まりそうな予感すらありますし、そうなったらそうなったで、またやりとりの様子など教えて貰えたら、などと思っています。
 何はともあれ、浅海さん、ランチもそれ以外の様々なお話しも、どれもご馳走様でした。

浅海さんからもメッセージを頂戴しました。どうぞ。

サポーターズの皆さまへのメッセージ

「サポーターズの皆様。いつもご支援ありがとうございます。私自身客席側にいる事が多くなり、声を掛けていただいたり、また感想なども直接お聞きできる機会も増え、とても嬉しいです。踊りを見て頂くだけに限らず、皆さまとメンバーとが交流できる時間がもっと増えることを楽しみにしています。これからもどうぞよろしくお願い致します」

ということで、Noism2 リハーサル監督・浅海侑加さんのランチはここまで。様々な画像を含め、お昼ご飯に止まらず、ご紹介頂いた浅海さん、感謝しています。

そしてここまで20回に渡ってお届けして参りました連載企画「ランチのNoism」ですが、冒頭にも書いた通り、今回、現メンバー一巡が完結したということで、しばらくお休みとさせて頂きます。ご登場頂いたNoismメンバーの皆さま、これまでご馳走様でした。

で、来るべき9月からの新シーズンには、新たな連載企画をスタートさせるべく、只今鋭意準備中です。こちらで少し予告をさせて頂きますと、新たに始まる企画はそのタイトルを「纏(まと)うNoism」とし、基本、毎月、Noism1メンバーひとりずつご登場いただき、「衣裳」を切り口に、舞台で観ているだけではわからない人となりに迫ろうとするものになります。どんな逸話が飛び出してくることでしょうか。まずはこうして新しい連載企画を無事に予告できたことを嬉しく思います。皆さま、「乞うご期待!」ということで、9月をお待ちください!

そんなこんなで、「ランチのNoism」第20回目はここまでです。今回もお相手はshinでした。ではまた再開(再会)の日まで。

(shin)

「2日で2公演じゃ勿体ない!」そんな実感のNoism2定期公演vol.13楽日

2022年5月22日(日)、見事にたくさんの「2」で表記されたこの日の15時から、りゅーとぴあ・劇場にて、Noism2定期公演vol.13楽日の公演を堪能しました。前日に幕が上がり、もうこの日がラストです。日曜日の楽日とあって、メンバーのご家族と思しき方々も多く訪れていたようです。

夥しい数の「2」が本公演を祝福♪

運良く、両日とも観ることができた者のひとりとして、まず感じたのは、たった1日の本番経験で踊りが格段に練度を上げていることでした。昨日は昨日で、ある意味、初々しさが目を楽しませましたが、今日の舞台は、全くその趣を異にし、自信と確信を増した8人の舞踊を観ることになったと言い切りたいと思います。彼ら彼女たちの伸びしろ、そして成長速度の恐ろしさよ。勿論、良い意味です。

第1幕、金森さん振付のNoismレパートリー。この日の舞台の印象としては、全員に「攻める」部分が出て来ていると感じられたことが大きかったと思います。泣いても笑っても、この日が最後。ならば、全部出し切ろうという覚悟が動きのキレとなって表出されていて、ビンビン心に刺さってきました。
なかでも(あくまでも個人的に、ですが、)圧巻だったのは、レパートリーの最後に踊られた『砕波』です。鼓童の太鼓が刻む細かいビートが8人の身体によって増幅されてくるかのようで、観ているこちらも、金森さんが折々に口にするミラーニューロンの働きにより、完全なシンクロ状態に至り、演者と同じ時間を共有し得たことに大きな満足感を感じる自分を見出しました。この後、Noism2は鼓童のイベント「アース・セレブレーション」に参加して、同演目を生演奏で踊る予定があるらしく、一気に、佐渡へ出掛けて、その時間を堪能したい思いが膨らんでしまったのは私ひとりではなかったでしょう。『砕波』、全編通してまた観たいです♪その後の15分間の休憩は、8つの身体が心地よく刻んだビートのままに過ぎていきました。

休憩後、再び、緞帳が上がると蹲る少年と背後には黒衣たち。この日も名作『火の鳥』を観られることが嬉しくない訳がありませんでした。ダブルキャストで踊られた同作は、この日の火の鳥は土屋景衣子さんで、少年が太田菜月さん。前日と異なるメインキャストのみならず、8人全員が、作品全体の趣を一変させ、また違った味わいの『火の鳥』を見せてくれたことは、正直、驚きでした。「こんなにも違うのか!」といった案配だっただけに、ダブルキャストの両方を観られたことは実に嬉しい事柄でした。昨日とは違うものを観ている意識で視線を送るうちに、作品は最後の場面を迎えます。知ってはいても、やはり鳥肌もののラストの切れ味です。この日も大きな拍手が湧き上がり、カーテンコールが繰り返されました。客電が点ってからも、鳴り止まぬ拍手に、緞帳があがり、笑顔の演者たちはより一層の笑顔で拍手に応えます。場内を包んだ多幸感。それはもう言葉で表現することなどできよう筈のないものでした…。

そして今思うこと、それは「2日で2公演じゃ勿体ない!勿体なさ過ぎる!」ってことのみです。舞台で踊った者も、客席から視線を送った者も、例外なく、そんなことを思っていたと断定して間違いなかった筈です。2日間、それほどまでに充実した公演を見せてくれたNoism2メンバーの今後に期待は膨らむ一方の今です。

(shin)

大きな拍手が送られたNoism2 定期公演vol.13初日

2022年5月21日(土)の夕方17時、りゅーとぴあ・劇場を会場に、Noism2の定期公演vol.13初日の幕が上がり、若き研修生カンパニーが、それぞれの「今」に向き合いつつ、伸びやかで新鮮な舞踊を披露し、繰り返されたカーテンコールの間中、場内から大きな拍手を受けました。

この日に至る迄、Noism の公式インスタにて、Noism2メンバーのインタビュー動画が連続アップされるなど、今までにない新機軸が打ち出され、Noism2というカンパニーがより身近に感じられるようになっていたことも特筆ものだったと思います。

まず、休憩前の第1幕は金森穣振付レパートリー(35分)です。『Me/mento, 4am”ne”siac』、ミニマルで無機質な音楽と白の印象が強いスタイリッシュな演目でスタートしました。みんなシュッとしていて、観る者をアッという間に舞踊の内部に取り込んでいきました。そこから一転、バッハが流れる次の演目へと移行するのですが、その移行は見ていて楽しいものでした。明日ご覧になる方はそこもお楽しみ頂けるものと思います。『Phychic 3.11』『solo for 2』と陰影あるバッハが踊られた後、『R.O.O.M.』に転ずるところでは色味も増し、やはり目を楽しませるものがあります。その後、昨年の『Complex』を経て、鼓童の音楽による『砕波』と続く流れも多彩で、レパートリー作品としてよく練り上げられていると感じました。
そして何より、それらを次々踊っていくNoism2のメンバーたちがその若き身体を使って、過去に観たことのある数々のNoism作品をいっとき、この日の舞台上に召喚し、懸命にそれらと同化していこうとする姿を目撃したことで胸が熱くなりました。まだ休憩前の前半であるにも拘わらず、既に大きな拍手が送られたことには何の不思議もありません。休憩中のホワイエで目にした観客たちの顔という顔には満足げな表情が浮かんでいました。

そして、やはり休憩後の『火の鳥』では、期待を裏切ることのない渾身の舞踊を目にすることになりました。火の鳥の兼述育見さん、少年の渡部梨乃さんをはじめ、全員が持てる技量の限りを尽くし、情感たっぷりに作品世界の中に没入して踊る様子は一瞬一瞬、観客を虜にしていきます。一人ひとりがこの名作に一期一会のこの日の息吹を吹き込んでいくかのようで、8人による生命力漲る『火の鳥』を観た気がし、感動しました。冒頭に書いたように拍手が鳴り止まなかったことも宜なるかな、そんな案配で、正直、いつまでも拍手していたい気持ちでした。

終演後、Noism2リハーサル監督の浅海侑加さんの姿を見つけたので、内心の感動を伝えようとしましたが、なかなか言葉にならなくてもどかしい思いがしました。その際、お願いして、本ブログ用に写真を撮らせて頂きましたので、ここに掲載させて頂きます。

「浅海さん、どうも有難うございました。素晴らしい公演でした」

その後、エレベーターホールまで進んだところで、今度は、先刻まで鮮烈な赤の衣裳で火の鳥を踊っていた兼述さんにバッタリ会う幸運に恵まれました。ここでも感動を伝えようとしたのですが、やはり気の利いたことなど言えよう筈もありませんでした。ただ、「感動しました。有難うございました」と直接、ご本人に言えただけで良しとします。

若い舞踊家たちの挑戦に胸が熱くなりっ放しのNoism2定期公演。
明日はまた別キャストで『火の鳥』が踊られます。そちらも期待大。
皆さま、必見ですよ。是非劇場にて目撃ください。

(shin)