メール取材日:2021/4/27(Tue.)
ブログで追いかけるのも大変なほど、ますますの快進撃を続けるNoism、嬉しい限りですね。こちらも負けてられないなと、(まあ、勝てる相手ではないことは承知しているのですけれど、それでもです。(汗))ここで投入するのは、ご好評を頂いている連載企画「ランチのNoism」、その第10回です。今回登場するのは、これまで、タイロンさん(#5)、井本さん(#6)、林田さん(#7)、そしてカイさん(番外編)が度々その名前をあげていた「噂の」料理人、スティーヴン・クィルダンさん。パチパチパチ♪それではお待たせしました。いつも通り、いってみますか♪
♫ふぁいてぃん・ぴーす・あん・ろけんろぉぉぉ…♪
今日もりゅーとぴあ・スタジオBに国際色豊かな昼がきた♪「ランチのNoism」!
*まずはお写真からですけれど…、
えっ!いきなり、これは想定外!何故にぴよちゃんとくまちゃん???
そのあたり、スティーヴンさんによりますと、「カイ(左)と私(右)の写真をなんとか撮るには撮ったんですけれど、リハーサル直後の顔が大変なことになってるってことで、可愛い動物スタンプの方がよかろうかと…」ってことだったんですね。せっかく寛ぎのランチタイムなのに、こっちこそ何だかスミマセンって感じです。m(_ _)m
で、撮って頂いたランチのお写真はこちらです。ワクワク。
2枚目など、もうかな~り寄ってくれちゃって、ホントお気遣いの方。
では、ここからスティーヴンさんにお伺いしていきますね。
1 今日のランチを簡単に説明してください。
スティーヴンさん「今日のランチには伝統的なカリブ料理を作ってきました。主な部分は『ソルトフィッシュ』で、他はサラダ、団子、お米です。『ソルトフィッシュ』は普通、朝食で食べられたりしますけれど、一日のなかでいつ食べてもよいお料理です。お料理の正式な呼び名は『アキー・アンド・ソルトフィッシュ(Ackee and Saltfish)』といい、元々はジャマイカ料理なのですが、私が作るのは近くの島、アンティグア島で伝わるものです。でも、今日のは少し違っていて、普通は塩漬けのタラを使うところ、銀ダラを使いました。また、正式名称に出てくるアキーも入っていません。というのも、日本ではアキーが手に入らないからです」
*おお、これはまた、しっかりとした名称をもつ料理なのですね。しかも故郷の英国ではなくて、カリブ料理!もう脳内にはスチームドラムの響きしか聞こえてきません。それだけでもうかな~り楽園。なんでも、スティーヴンさん、お母様からカリブ料理を学ばれたということらしいのですが、お母様のご両親がアンティグア島出身なのだそうで、な~るほどって感じです。
*この日のランチはアレンジ料理なんですね。で、スティーヴンさんの説明をきっかけにして学んだことですけれど、「銀ダラ」は、スズキ目(もく)の深海魚で、「タラ」じゃないっていうこと!なんと!見た目が「タラ」に似ていたので付いた名前なんだとか。ワタクシ的には驚きでしたけれど、皆さん、知ってました?
*また、「アキー」っていうのも知りませんでした。果実でありながらも、甘味はなく、クルミのような脂肪分のコクが特徴とか。でも、果肉下部の膜部分には毒性ありってことで、自分で調理するのはハードル高そうですね。身近にない訳です。世界は広くて、人はその土地その土地で色々なものを食べているのだなぁ、って改めて感じますよね。
*そして、スティーヴンさんが見せてくれているこれ、この日、辛みをつけるために使った「ホット・ペッパー・ソース」とのこと。南国情緒たっぷりでいい感じですね。
2 誰が作りましたか。普通、作るのにどれくらい時間をかけていますか。
スティーヴンさん「自分で作りました。大抵、自分で作ります。今日のは朝、1時間くらいで作りました。いつも大体そんな感じです」
*料理について、ちょっと詳しくお訊きしてみましたら、スティーヴンさんのお家では、料理することは家族みんなにとって身近なものであり、みんなが料理に参加する環境で育ってこられたのだとか。実際、妹さんはプロの調理人になったのだそうですし、家族全員が料理することをとても好んでいるのだそうです。で、スティーヴンさんも様々な料理が作れるとのお話。
*そんなスティーヴンさん、様々な土地を訪れると、自然に、その土地の料理に興味が湧いてくるのだそうですが、それも料理それだけではなくて、人々がどう料理してどう食べているかを見ることにも興味があって、そうしたプロセスが自分の料理になっていくのだそうです。単なる食べ歩きとかのレベルではなく、意識が違ってて、もう「凄い」の一言です。
3 ランチでいつも重視しているのはどんなことですか。
スティーヴンさん「ランチに関しては、エネルギーが摂れて、でも過度に満腹に感じないことです。というのも眠くなってしまうからです。でも、同時に、食べたものを消化するのに充分な時間をかけたいので、ランチタイムになったら、なるべく早いうちに食べるようにしています」
*そこは舞踊家の側面。やはり舞踊家、無造作に食べたりはしないんですね。
4 「これだけは外せない」というこだわりの品はありますか。
スティーヴンさん「食べ物一般に私が重視しているふたつのものは味と色合いです。私は見た目の明るい食べ物が好みで、私が調理するときにもそうした明るさを取り込もうとしています」
*見た目、大事ですよね。私、作ると、何でも茶色っぽくなっちゃう人なんですけど…。(汗)
5 毎日、ランチで食べるものは大体決まっている方ですか。それとも毎日変えようと考える方ですか。
スティーヴンさん「ほぼ毎日変えています。私は変化があった方が好きで、食べたいものもいつも変わります。私にとって、食事とはとても社交的で、祝賀的な性格を有する時間であって、単に私が食べることを必要とする「人間」だからというだけでは済まないものなのです。(これ、大して笑えないかもですが、さりげないユーモアを含むジョークと取って頂きたいところです。ご参考まで。)そしてまた大きさ・量も、その日、他に持っているものによって変わってきます」
*おっと、哲学的な響き!そしてその背景に感じさせる料理の引き出しの多さ!言ってみたいですね、こんな台詞。さすがは「噂の」料理人です。
6 公演がある時とない時ではランチの内容を変えますか。どう変えますか。
スティーヴンさん「変えてます。公演のある日には、開演迄、消化に長い時間をかけたいので、早めに今日のような大きめの食事を摂り、その後、これも開演迄の休憩時間に、食事するという儀式を執り行うだけみたいな感じなのですが、スープとか本当に簡単なものをお腹に入れます。公演のために充分なエネルギーを摂れなかったりすると、パニクったりもするので、そんなふうにして食べることで、落ち着くことが出来ています」
*食べそびれたり、お腹がすいていたりなんかすると、それだけで落ち着きませんからね。プロとしてパフォーマンスを行う上での消化って観点に加えて、冷静さを保つことからも、ルーティン化した食べ方になっているんですね、これ。わかる気がします。
7 いつもどなたと一緒に食べていますか。
スティーヴンさん「テーブルで食べるのですが、普通は、カイ(・トミオカさん)、ジョフ(ォア・ポプラヴスキーさん)、チャーリー(・リャンさん)、リオ(=三好綾音さん)、カリン(=杉野可林さん)と一緒ですね」
*「テーブルで食べる」ってとこ、当たり前に思う方も多いんでしょうけれど、なかには、床に腰を下ろして食事するメンバーもお見かけしたことがありましたので、そこ、付け加えておきます。
8 主にどんなことを話しながら食べていますか。
スティーヴンさん「最近では、カイと私で気付くと前の晩や朝の英国ニュースについて話していたりします。また、オフの日に何をしたか、何をする予定かなんかも話しますね」
*コロナ禍にあって、戻りたくても戻れない、英国。気になって仕方ない、英国、そして家族、友人・知人。そんな部分も大きいのでしょうね、きっと。今、誰しも望むものは疫病終息後の平穏な日常ですよね。
9 おかずの交換などしたりすることはありますか。誰とどんなものを交換しますか。
スティーヴンさん「まずしませんね。でも、ケーキとかファッジなどを作ったようなときには、持って行ったりしますけど」
*おっ、こちらにも英国登場!「ファッジ」っていうのは、英国生まれの甘いお菓子ですよね。キャラメルみたいな外見なのですが、ほろっと崩れるアレ。疲れたときなんかにいいでしょうね。で、その「ファッジ」の焼き方なども、高校時代に美術の先生から教わったのだとかで、料理については、「家族、友人、その他の人たちからも学んできました」と語るスティーヴンさん。一貫してずっと、豊かな料理人生を送って来られたことが感じられますね。
10 いつもおいしそうなお弁当を作ってくるのは誰ですか。料理上手だと思うメンバーは誰ですか。
スティーヴンさん「カイのランチはいつも見た目も良くて、しばしば本当に『力(リキ)』が入っていますね。誰が一番料理上手かっていうことについては、自分でランチを作ってくるメンバーは少ないので、誰とも言い難いです。でも、サワコさん(=井関佐和子さん)は凄く料理上手ですね、たまたま知ったのですが」
*皆さん、お行儀良くて、あんまり他の人のランチを覗き込んだりなんてしないんですね。それはそうか。そうすると、こうした「ランチのNoism」とか、本家NHKで放送中の中井貴一さんの出てくるアレとか、興味深い道理ですよね。これからも頑張ってお伝えしていかなきゃって気持ちになりますね、うん。
*最後、料理好きなスティーヴンさんってことで、日本料理ではどんなものを好んで作られるのか訊いてみました。すると、「好んで作るのは巻き寿司(細巻き)です。多くのヴァリエイションがあって、とても楽しめます。また、カレーライスも美味しいですね。あと、日本の風味を混ぜて作ったりすることも好んでやっています。胡麻アイスクリームとか、抹茶ファッジとか、(ジャマイカの郷土料理である)ジャークチキンを使った餃子とかですね」とのお答えでした。ご参考まで。
とまあ、こんな具合で、今回はおしまいです。スティーヴンさん、ランチとお料理に纏わる奥深いお話、どうもご馳走様でした。
で、恒例となったメッセージ、スティーヴンさんからもちゃんと預かってきていますよ。ではそちらをどうぞ。
■サポーターズの皆様へのメッセージ
「いつも変わらずNoismを支えてくださっていることに感謝致します。皆様なくして、私たちが活動を続けることは不可能でしょう。また、こうして書かれているこのブログも楽しませて貰っていますし、皆様方の様々な見方について耳にすることも好きです。この先、素晴らしいパフォーマンスの一部になれたらと考えておりますし、それを皆様にご覧頂きたいと思っています。私に関するこの情報をお読み頂き、有難うございます。それが退屈なものでなかったなら嬉しく思います」
(ご謙遜を。「退屈」などとは対極にある深みあるお話には感謝しかありません、スティーヴンさん。そう書き添えておきたいと思います。)
で、最初の画像、ぴよちゃんとくまちゃんのスタンプが雄弁に物語る『春の祭典』リハーサルの激しさ。スティーヴンさんはじめ全メンバーの熱演が、プレビュー公演を遙かに凌駕し、私たちの心を激しく揺さ振る舞台となってお目見えすること間違いありません。楽しみでなりませんね、ホント。
…って、ことで、ここまで、今回もお相手は shin でした。それでは次回をお楽しみに♪
(日本語訳+構成: shin)
スティーヴンさま shinさま
どうもありがとうございました!
素晴らしい記事でビックリしました!
読み応えたっぷり!
さすが「噂の」料理人&サポーターズの中井貴一!
いろいろと奥が深いですね。
お腹がいっぱいになりました♪
(fullmoon)
fullmoon さま
コメント、有難うございました。
そして大変恐縮です。
それにしましても、スティーヴンさんの「料理愛」は物凄いレベルですね。そのため、色々訊ねたくなってしまったような次第でした。
記事には盛り込まず仕舞いになってしまい、凄く勿体なく思えてきたスティーヴンさんのお料理話をもう少しご紹介しようと思います。
「家族で料理をする最大の場面はクリスマスの頃で、それは大きな宴のようでもあり、みんなの手伝いを必要とするものです」と、家族全員参加の作業場面から料理「入門」を果たすことになる、そんな背景を語ってくれたかと思えば、
「英国では、様々異なる文化由来の食べ物が手に入るのですが、日本に来てからそれらがなくて恋しく思われます。実際、タヒニ(胡麻のペースト)とか、フムス(レバント地方発祥のひよこ豆ほかで作るペースト)とか、フラットブレッド(発酵過程なしに作るパン)とか簡単なものですけれど作ることを覚えました。これらは例えば中東の料理です」などの言葉が端的に表しているように、興味と関心が世界各国・各地の料理にまで赴き、実際に作ってしまうといった今のお話まで。
舞踊の「一芸」だけでなく、料理も!…驚いたのなんのって、もう。まったく「多才」な人・スティーヴンさん!魅力的ですね。
(shin)