観る者の心に運ばれてきた爽やかな風、いつまでも吹かれていたかった - Noism2定期公演vol.17千穐楽♪

2026年3月8日(日)、外にはこの日もつめたい風が吹き、季節が逆戻りしたかのようで、どんなに身を縮こまらせて歩いても、身体は否応なく冷やされてしまうそんな一日だったのですが、新潟市のりゅーとぴあ〈スタジオB〉に若き振付家と若き舞踊家が運んできた風はそれとはまったくの別物でした。それはとても爽やかで、いつまでも吹かれていたいと願うような、そんな風。その場がNoism2定期公演vol.17千穐楽の公演会場だったと言えば、頷いて頂けるものと思います。

「振付家育成プロジェクト」の一環ということもあり、どこを切っても、溌剌とした若さが眩しい3日間4公演だった訳です。

Noism2メンバーへの贈り物といった感もある山田勇気さん振付演出のオープニングから、踊った4人の身体とその動きは伸びやかで自信や確信に満ちたものとして目に映じてきます。(出演:四位初音さん・平尾玲さん・鈴木彩水さん・大﨑健太郎さん)

真っ向勝負の正統派的味わいが魅力の坪田光さん振付演出『Island』。より大きな動きを獲得したふたつの身体のあいだ、「境界線」が越境を許したり、拒んだりするさまが鮮明になり、終始、心を揺さぶられて見詰めました。(出演:平尾玲さん・大﨑健太郎さん)

実験性に溢れた野心作、樋浦瞳さん演出振付『A Mosaic of Moments』。時折、『R.O.O.M.』や『NINA』など想起させられながら、顕微鏡を覗くような感覚で、振付家が求めた「ふたつの身体がひとつの生き物に」なって見えてくるに至りました。(出演:四位初音さん・鈴木彩水さん)

そして、武満徹に胸を借り、その楽曲の強度に敢然と挑んだ、中尾洸太さん演出振付『地平線のドーリア』。一音が響くだけで一瞬にして立ち上がる空間の強靭さに、「身体10割を貫き通して」拮抗することを求められた舞踊家ふたり。その身体は確かにその空間のなかに位置を占めて、まばゆく映りました。(出演:鈴木彩水さん・平尾玲さん)

それはそれは見どころに満ちた、素敵過ぎる公演でした。

劇場専属舞踊団の研修生カンパニーとして、長い時間を共有して稽古を積んできたNoism2のメンバーの身体と動きは、若く粗削りであるにせよ、揃ってNoism印の刻印を見出せるものばかりであり、受け継がれてきたものは確かにそこにありました。そして、この先、一人ひとりが大輪の花を咲かすのを期待させるに充分なものを見せて貰ったと思っています。爽やかな風を感じた所以です。

千穐楽のパフォーマンスに大きな希望を感じながら、一時間ほど友人と話した後、りゅーとぴあの外に出てみると、観客(或いは目撃者)になったその瞬間から思い出すこともなかった「冬」を思わせるつめたい風に再び見舞われることになりました。雪片も混じっていたほどです。しかし、若人たちによって希望を灯された心はそれなどものともする筈もありません。この先もずっとNoismを見続けていきたい、その希望は捨てない、そんな思いを益々強くして帰路につきました。

(shin)

「観る者の心に運ばれてきた爽やかな風、いつまでも吹かれていたかった - Noism2定期公演vol.17千穐楽♪」への2件のフィードバック

  1. shinさま
    千穐楽ブログありがとうございました!
    若き振付家たち、舞踊家たちの真摯な挑戦が胸に沁みました。
    爽やかな風に吹かれて心身が浄められるようでした。
    春まだ浅い3月、若人たち、そしてNoismの未来に幸多かれと祈らずにはいられません。
    (fullmoon)

    1. fullmoon さま
      期間中、連日のコメント有難うございました。
      Noism1(やNoism0)の公演とはまた一味違った、Noism2ならではの大きな魅力に溢れる公演でしたね。
      仰る通り、「真摯な挑戦」を目撃する醍醐味は何物にも代えられないもので、全身に沁みわたりました。
      3人の芸術監督の「審査」も経ての実演ということもあり、(新潟市長が使う際のいかがわしさとは無縁の)正しい意味での「お墨付き」もあり、三者三様ではありながらも、それぞれ完成度が高く、見応えのある仕上がりでしたね。
      で、このような公演を可能にする土台として、「持続可能性」のある文化政策の在り方を手放してはならぬものとの思いも強く残りました。
      はい、祈りますし、まだまだやれることはやっていく、そんな心持ちですね。
      (shin)

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