2022年5月22日(日)、見事にたくさんの「2」で表記されたこの日の15時から、りゅーとぴあ・劇場にて、Noism2定期公演vol.13楽日の公演を堪能しました。前日に幕が上がり、もうこの日がラストです。日曜日の楽日とあって、メンバーのご家族と思しき方々も多く訪れていたようです。
運良く、両日とも観ることができた者のひとりとして、まず感じたのは、たった1日の本番経験で踊りが格段に練度を上げていることでした。昨日は昨日で、ある意味、初々しさが目を楽しませましたが、今日の舞台は、全くその趣を異にし、自信と確信を増した8人の舞踊を観ることになったと言い切りたいと思います。彼ら彼女たちの伸びしろ、そして成長速度の恐ろしさよ。勿論、良い意味です。
第1幕、金森さん振付のNoismレパートリー。この日の舞台の印象としては、全員に「攻める」部分が出て来ていると感じられたことが大きかったと思います。泣いても笑っても、この日が最後。ならば、全部出し切ろうという覚悟が動きのキレとなって表出されていて、ビンビン心に刺さってきました。
なかでも(あくまでも個人的に、ですが、)圧巻だったのは、レパートリーの最後に踊られた『砕波』です。鼓童の太鼓が刻む細かいビートが8人の身体によって増幅されてくるかのようで、観ているこちらも、金森さんが折々に口にするミラーニューロンの働きにより、完全なシンクロ状態に至り、演者と同じ時間を共有し得たことに大きな満足感を感じる自分を見出しました。この後、Noism2は鼓童のイベント「アース・セレブレーション」に参加して、同演目を生演奏で踊る予定があるらしく、一気に、佐渡へ出掛けて、その時間を堪能したい思いが膨らんでしまったのは私ひとりではなかったでしょう。『砕波』、全編通してまた観たいです♪その後の15分間の休憩は、8つの身体が心地よく刻んだビートのままに過ぎていきました。
休憩後、再び、緞帳が上がると蹲る少年と背後には黒衣たち。この日も名作『火の鳥』を観られることが嬉しくない訳がありませんでした。ダブルキャストで踊られた同作は、この日の火の鳥は土屋景衣子さんで、少年が太田菜月さん。前日と異なるメインキャストのみならず、8人全員が、作品全体の趣を一変させ、また違った味わいの『火の鳥』を見せてくれたことは、正直、驚きでした。「こんなにも違うのか!」といった案配だっただけに、ダブルキャストの両方を観られたことは実に嬉しい事柄でした。昨日とは違うものを観ている意識で視線を送るうちに、作品は最後の場面を迎えます。知ってはいても、やはり鳥肌もののラストの切れ味です。この日も大きな拍手が湧き上がり、カーテンコールが繰り返されました。客電が点ってからも、鳴り止まぬ拍手に、緞帳があがり、笑顔の演者たちはより一層の笑顔で拍手に応えます。場内を包んだ多幸感。それはもう言葉で表現することなどできよう筈のないものでした…。
そして今思うこと、それは「2日で2公演じゃ勿体ない!勿体なさ過ぎる!」ってことのみです。舞台で踊った者も、客席から視線を送った者も、例外なく、そんなことを思っていたと断定して間違いなかった筈です。2日間、それほどまでに充実した公演を見せてくれたNoism2メンバーの今後に期待は膨らむ一方の今です。
(shin)