つい先日、感動の幕を下ろしたばかりのNoism1の公演から僅か3週間弱で始まるNoism2の定期公演vol.10。
3日後に初日を控えた2019年3月12日(火)15時半、公開されたリハーサルとそれに続く囲み取材の模様をお伝えします。
この日、見せて貰ったのは、ゲスト振付家の平原慎太郎さんの手になる新作『BOW!!!』、その導入部分の一部(15分強)。約5~6分のプロローグに続くというその場面は、「私の皮膚…、つややかな皮膚…、その下の肉…」と、内容とは不釣り合いなアニメ声が延々語るなか、上手前方、門山楓さんが踊りだすところから始まりました。中央奥には立てて置かれた長い卓、その陰から鈴木夢生さんが奇しく、そして妖しく顔を覗かせています。
唯一の男性メンバー、カナール・ミラン・ハジメさんを含め、全員が黒い衣裳をまとい、裸足。舞台も黒で、照明は仄暗く、不穏な雰囲気がこれでもかと漂ってきます。
平原さん×Noism2と言えば、即座に、2017年の『よるのち』に魅了された記憶が蘇るというもの。「洋館」(新潟県政記念館)を舞台に、全員うら若き女性メンバーだけで踊られたゴシックロマンスを思わせるそれは、本人たちが充分に意識しているとは言い難い滲み出るかのような未成熟なエロティシズムを、ある意味、確信犯的に撒き散らす野心作でした。
昨夏の初めからノート(プロット)の下拵えを開始し、11月末から制作にとりかかったという今回の新作。この日、その全体像を一「望」することはできませんでしたが、フォーク、ナイフ、皿、ワインボトル、卓、そして灯りといった小道具、不吉に耳に響く哄笑などによって想起させられたのは、ある種のカニバリスム。グリーナウェイ×ナイマン『コックと泥棒、その妻と愛人』、或いはシーゲル×イーストウッド『白い肌の異常な夜』のような張り詰めたおどろおどろしさ、いかがわしさ、或いは、禍々しさ。メンバーの瑞々しい若さと完全にミスマッチなところに妙にそそられます。
更には、リハを止めて、音楽の指示を出す平原さんの口からは、ここはロシア、ここではドイツ、更には「オスマントルコのイメージなんだ」とぽんぽん国名が飛び出してくるので、猥雑で混沌とした雰囲気は弥が上にも色濃くなっていきました。まさに平原さんの独壇場かもしれません。今作もまた「茫」然と見詰めることになるのでしょう。待ち遠しい。早く全「貌」が観たいところです。
囲み取材は16時からでした。
続けて、そこでのやりとりのなかからご紹介しましょう。
まずは、新作『BOW!!!』についてです。
「表現者・ダンサーとしての爆発力を見たいと思う。みんな、僕(平原さん)がやるような表現は経験がない筈。バイタリティで昇華していく、そのプロセスが作品となる」(平原さん)
「作品には明確なストーリーはない。例えば、キュビズムのように、様々な側面があり、多角的。『忘』、『暴』、『紡』、『某』、『棒』など、タイトルの『BOW!!!』(ボウ)に纏わる様々なイメージを紡いでいく。散りばめられたそれらを見つけに来るだけでも楽しい筈。溢れる若さには見応えがある」(平原さん)
「(いつもと違って)とまどう部分もあったかとは思うが、いろんなことを自分の動きにして晒すことができるか。これを通して何が起こるか。変化と覚悟に期待している」(山田勇気さん)
「前回の『よるのち』のときのNoism2とはちがい、定期公演も初めてなら、振付家とのクリエイションも初めてと、まっさらな状態。わからないものもどう成立させていくか。覚悟を決めて、晒していくことを要求している」(平原さん)
併せて踊られる「金森穣振付Noismレパートリー」(『solo for 2』及び『Training Piece』からの抜粋)について山田さんは、
「難易度は高いが、全てやってみて、取捨選択した。同じドリルをやってどれだけいけるか。最初は『踊れる』と思っても、高いハードルであることがわかるところから始まる。鍛錬と心の中の自由のバランスをどう踊るか」と。
外から見た「Noism」の存在について問われた平原さん、
「いい意味で異質。しかしこの形こそがまとも。国内で唯一、プロを養成し、プロが踊るカンパニーも、世界基準で見れば、ごく普通。芸術文化の水準を上げている存在」と。
そして研修生カンパニーNoism2があることも「奥行きですもんね」と平原さん。その言葉をもって囲み取材は締め括られました。
研修生カンパニーNoism2を観ることには、Noism1を観る時とは異なる楽しみがあります。なかでも最たるものは、公演期間中にグングン伸びていく若い表現力を目撃する楽しみです。5名の新顔も眩しい定期公演vol.10。きっと熱いステージが繰り広げられることでしょう。チケットは絶賛発売中。皆さんそれぞれに、「推し」の若手舞踊家の卵を見つけに来てください。
Noism2定期公演vol.10・新作『BOW!!!』(演出振付:平原慎太郎)と金森穣振付Noismレパートリー(演出:山田勇気)、公演は3月15日(金)~17日(日)で、全5公演。(@新潟市りゅーとぴあ・スタジオB)
出演はNoism2:門山楓、岩城美桜、森加奈、森川真央、鈴木夢生、池田穂乃香、カナール・ミラン・ハジメ、杉野可林、長澤マリーヤ、橋本礼美。
乞うご期待!
(shin)
shinさま
詳細ありがとうございます!
短時間でしたが、暗い照明の中、若い身体が蠢く、という感じでしたね。
本番まであと2,3日ですが、平原慎太郎さん、山田勇気さんとも、「ここから!」と話されていましたね!
ここからますます、ぐっと伸びていく若い力、そして2作品の対比もとても楽しみです♪
(fullmoon)
fullmoon さま
早速のコメント、有難うございました。
欲を言えば、もう少し見せて欲しかったところでしたが。
で、ブログを書いていた夕方、BSNのローカルニュースが
かなり詳しく取り上げてくれているのを目にしました。
リハの映像と平原さんの取材の様子に加えて、
平原さんが語った「外から見たNoismの意義」繋がりで、
『R.O.O.M.』/『鏡~』をご覧になった中原市長をも取り上げ、
「すごくよかった。これからNoismの活動を検証して、
次の契約について検討していきたい」旨の
同日午前10時のインタビュー(会見)動画も流していましたし。
で、定期公演に話を戻しますと、
平原さんお得意の「ダークサイド」と金森さん×山田さんの正攻法、
その対比は、仰る通り、間違いなく見ものですよね。
加えて、5公演中、遅い時間の3公演後のアフタートークにも
大いに興味を掻き立てられます。
山田さんが言った、「一日、二日、一分、一秒」を大切にして、
何かを掴んでいって欲しいものです。
みんなで応援いたしましょう。
(shin)
ああ~!
BSNニューズ見逃しました~ 残念。。
中原市長のインタビュー動画まであったのですね!
すごくよかったそうで、よかったです♪
アフタートークも楽しみですね♪
Noism2公演はいつもチケットの売れ行きが早いのですが、3月のこの時期はどなたもお忙しいようで、まだお席に余裕があるようです。
チケット販売も「ここから!」ですね!
皆様に前売りチケットを、ぜひとも掴んでほしいものです。
宣伝してまいりましょう。
(fullmoon)
fullmoon さま
平原さん&山田さん画像、有難うございました。
早速、記事に挿入させて頂きました。
ところで、囲み取材ですが、
BSNニュース動画、見つけました!ご覧ください!
UXテレビも来ていて質問していましたし、
他にはいつもの新潟日報の記者さんもおられましたから、
私たちとすれば、この2~3日はまず、それら3社、
BSNとUXと「日報」(←新潟では略してこう呼びます)をマークでしょうかね。
先行したBSNはかなり力の入った取り上げ方でしたから、
後続他社さんも負けずにやっちゃって欲しいものです。
勿論、私たちも宣伝しなきゃですね、ハイ。
【追記】こちら新潟日報モアにも、この日のリハ動画の一部がアップされています。併せてどうぞ。
(shin)