Noism『境界』大千穐楽、土佐の地層に井関佐和子の光源を見た(サポーター 公演感想)

☆『境界』高知公演+同時上演『夏の名残のバラ』(井関佐和子芸術選奨文部科学大臣賞受賞記念)(@高知市文化プラザかるぽーと)

 2022年1月10日(月・祝)高知市文化プラザかるぽーとでのNoism0/Noism1『境界』大千穐楽、そして井関佐和子さんが故郷に錦を飾る『夏の名残のバラ』同時上演に駆け付けた。高知公演を知った時から「駆けつけねば」と思っていたが、「井関佐和子を応援する会 さわさわ会」代表・齋藤正行(新潟・市民映画館シネ・ウインド代表 安吾の会世話人代表)、詩人・鈴木良一さん(安吾の会 世話人副代表、さわさわ会)、Noismサポーターズ・越野泉さんという、過去もNoismを追ってロシア、ルーマニアや日本各地を訪ねた仲間との久方ぶりの旅となった。
 1月8日(土)に高知入りし、様々に珍道中を繰り広げたが、9日(日)の道程は特筆したい。井関佐和子さんのお母様の故郷であり、お兄様が代表を務める漬物店「越知物産」に向かい、おふたりに挨拶。絶品のしば漬などを購入(お土産に芋けんぴをいただき恐縮)。そして、龍河洞へと向かう。坂口安吾が『安吾新日本風土記』三回目の取材で高知を訪れ、「次は綱男(ご子息)を連れてきたい」と語ったという龍河洞(安吾は桐生に帰宅した翌朝に急逝)。そのこの世とは思えぬ絶景の中に、まるで『Near Far Here』の舞台上での井関さんの姿を留めたような鍾乳石を見つけ、絶句する。暗闇の中で「光」を求めるようなあの作品との、奇跡的なシンクロに、息を呑んだ。

越知物産さんにて

龍河洞でシンクロニシティ

 1月10日(月・祝)。完売となった高知公演へ。15時前にかるぽーとへ到着したが、既に長蛇の列(コロナ対策の為、定員の半分の座席とはいえ)。15時半の開場後、二階前列右寄の座席を確保し、開演を待つ(バレエを学んでいると思しき若い方含め、場内は公演への期待が匂い立つようだった)
 16時、『夏の名残のバラ』から開演。井関佐和子という舞踊家の「矜持」を昇華する舞台の一瞬一瞬に吐息を漏らし、山田勇気さん・カメラ・配線・落ち葉との「共演」に唸り。幾度観ても新鮮に涙する作品だが、井関さんの身体の動き、手を打つ音、解放感が炸裂する終盤、いずれも瑞々しく、軽やか。カーテンコールに立った井関さんに、惜しみ無く拍手を送った。

 続くNoism1『Endless Opening』(山田うん演出振付)は、新潟・東京公演を経て、9人のメンバーの動き・音楽・演出が噛み合い、思わず身体がノるほどに仕上がっていた。全メンバーの名前を挙げたいほど、各々の個性・色彩が滲み、9台の台車と共に舞うシークエンスもパシリと決まる。調和された動きではなく、そこから溢れるものを謳う山田演出に応えつつ、やはりその「地力」が、跳躍や腕や爪先の動きに滲み出るNoismメンバー。客席の空気も、舞台とシンクロするように高まってゆく。

 そしてNoism0『Near Far Here』。バロックの名曲に乗って、舞踊・照明・映像・更に演出のケレン味とが、一瞬の隙なく連続する本作。暗闇の中、照明のマジックも相まって、非現実のように舞台に現れる井関さんの一挙手一投足に涙が溢れる。やがて訪れる現世の色彩(客席にも降り注ぐある色彩)、鳴り止まない拍手を経ても訪れないカーテンコール。冴え渡る金森穣演出の揺るぎなさを再確認。

 鈴木良一さんは少年が「すっごく面白かった!」と興奮気味に語る様子を見たという。筆者も、「さわさわ会」会報配付ブースに立ち、バレエを習っていると思しき少女たちに会報を配りつつ「おじさんは新潟から観に来たんだよ」と冗談めかしたが、Noismの自由さ・基礎や先人たちへの敬意に裏打ちされた「型破り」が、若い魂に響く瞬間を見るようで、胸が熱くなった。

 公演後、齋藤代表・鈴木さんと、かるぽーと傍の居酒屋で一献しつつ、Noism高知公演パンフを眺めていたら、金森さん・井関さんの文章が胸に染みて、二人に朗読して聞かせてしまった(内容は下の画像でご覧ください)。走り書きになってしまったが、井関さんを育んだ土佐の地、彼女とNoismを支える新潟。ふたつの土地への万感が込み上げてくる、忘れ難い鑑賞体験となった。

高知公演パンフレットより


久志田渉(さわさわ会役員 安吾の会事務局長 月刊ウインド編集部)

新潟日報「Noism 脱皮への次章」、地域貢献に期待する声を報じる

2021年12月29日(水)の新潟日報朝刊は、前日分(「上」)に続き、文化面に「Noism 脱皮への次章」を掲載しました。前日のブログにて、3回展開かと予想しましたが、この日の掲載分は「下」とのことで、なら、「前編」「後編」の方が良くないか、とか思いながらも、その気持ちは棚上げし、(←こうして書いてしまっては、「棚上げにならない」の声も聞こえてきそうですが、)とにかく、「下」をご紹介します。

新潟日報・2021年12月29日付け朝刊より

今回は、新「レジデンシャル制度」のひとつの眼目でもある、「地域活動部門」設置に関する記事構成となっています。端的に言えば、前回の活動継続期に「課題」との位置付けがなされた「市民還元」の取組みに梃子入れをして、更に浸透度を増そうという体制に関するものです。

触れられているのは、市山流宗家、にいがた総おどり、全国大会で上位に食い込む高校ダンス部の活躍等々、「舞踊のまち新潟」を印象づける数々。

そのなか、まず紙幅が割かれているのは、新潟市洋舞踊協会の第9回記念合同公演(2020/10/4)、井関さんのほか、当時のNoism1メンバーだった林田海里さん、チャーリー・リャンさん、カイ・トミオカさん、スティーヴン・クィルダンさんが新潟市内のバレエ教室に通う若者たちと共演したのでした。作品は『畔道にて~8つの小品』、金森さんが一から振り付けた完全な「新作」でした。勿論、当日、私も客席からその舞台を観ていたのですが、「これはひとつの大きなメルクマールになる」、そう思って目頭が熱くなったものでした。

次にこの日の記事で見逃せないのは、「今期は初めて、市内の高校ダンス部出身者がプロカンパニー『ノイズム1』のメンバーになった」の1文でしょう。勿論、それは奇しくも、前日、本ブログ「私がダンスを始めた頃」に掲載した樋浦瞳さんのことです。そうしたことからくる期待もあるにはあるでしょうが、それ以上に、もっと純粋に、先般の『Endless Opening』で見せたその伸びやかな踊りに新鮮な魅力を感じた方も多くいらっしゃる筈です。かく言う私もそのひとりですけれど。で、その樋浦さんなら、新潟市や新潟市民とのリンクの役割を果たすことに不足はありません。そう感じた次第です。

記事に戻ります。その締め括りに置かれた市舞踊協会の若林さんの言葉、「金森監督には、今後も新潟を文化都市として成熟させるという大きな目標に向かって進んでもらいたい」。同感です。
そうした思いとは裏腹に、行政サイドは、恐らく、Noismのこれまでの「17年」を長いとみた部分もあるのでしょうが、決してそんなことはありません。新「レジデンシャル制度」で設けられた「1期5年」乃至「2期10年」の上限で目指される「目標」は、果たして大きなものたり得るのでしょうか。「文化都市としての成熟」はもっと長い射程で捉えられるべきものではないのでしょうか。金森さんが常々唱える「劇場文化100年構想」こそまず議論され、そして共有されて欲しい理想と言えます。

勿論、「国際活動部門」路線も重要な訳です。世界的にリスペクトを集める「余人をもって代えがたい」芸術監督・金森さん。彼がいてくれる新潟市の未来は明るい筈。真に文化的な方向での刷新を旨とする(庵野秀明氏ばりの)「シン・レジデンシャル制度」を求める所以です。

(shin)

地元紙・新潟日報、新「レジデンシャル制度」に関する記事を掲載

Noism0 / Noism1 『境界』東京公演の幕が下りてしまい、ファイナルの高知公演(1/10)まで、年末年始2週間の「Noism-less」期の今、2021年12月28日(火)、地元紙・新潟日報がその文化面において、「Noism 脱皮への次章」という記事を掲載し、新「レジデンシャル制度」について取り上げています。この日(12/28)分には「上」とありますので、あと2回が予定されているのでしょうか。
クリスマス期の耳目を集めた『境界』東京公演の感想がSNS各所を賑わせている現在、多くの方からの関心が寄せられるものと思われます。「新潟の動向には注目が集まっている」状況下、県外の方にもお読み頂きたく、ご紹介を試みたいと思います。

新潟日報・2021年12月28日(火)朝刊より

私も、本ブログを担当している関係からでしょうか、「市民サポート団体」として取材を受け、皆さんの気持ちを代表するだろう思いを話してきました。

金森さんが心血を注いだ17年という年月が折り畳まれているNoism Company Niigataの現在地。新潟で、東京で、あの『境界』ダブルビル公演を観た後の今、私の中にある、やはり「金森さんなしでは」の思いはより強固なものになっています。否、常に思うところに過ぎないのですけれども、それ。

このあと、(多分)「2回」(?)がどのような内容なのか。いずれにしましても、「No Noism, No Life.」の私たち「市民サポート団体」にとって、「Noism-less」の今であってみれば、次が待ち遠しい道理ではあります。
そして、そもそも、地元紙が取り上げる新潟市の新「レジデンシャル制度」ですが、その刷新振りで全方位的な大きな期待感を集める、言うなれば「シン・レジデンシャル制度」であって欲しい、否、そうしたものにしていかなければならないと思う年末です。
皆さんからのコメント、お待ちしております。

【追記】「Noism 脱皮への次章」翌日掲載分はこちらからもどうぞ。

(shin)

「新レジデンシャル制度」12/3会見続報、これで制度設計は充分なのか?

前日(12/3)に開かれた「新レジデンシャル制度」に関する会見、それを報じるニュース動画を次々追ったのは私ひとりではなかったでしょう。しかし、そのどれもが「新制度」の骨格を撫ぜる程度のものに終始していた印象で、何かモヤモヤしたものが残る気がしたのも事実です。

明けて12月4日、今度は紙媒体が報じる番です。コンビニへ行って、何紙か買ってきましたが、件の記事を載せていたのは新潟日報と朝日新聞の2紙だったでしょうか。

でも、その論調は2紙で異なる感じで、色々読んでスッキリしたかったというのに、モヤモヤの解消には至らなかったような塩梅です。

少し、ご紹介しましょう。先ずは「新制度」の全体像を扱った新潟日報から。

2021年12月4日付け新潟日報朝刊

「任期5年『成果出す』」の見出しの下、カラー写真入りで4段の記事を掲載し、この度の「新制度」に至る迄の経緯と今後の展開が、金森さんの決意を軸に纏められています。

こちらの記事で気になる箇所としては、先ず、「ノイズム発足当時から制度設計自体が不十分だったとの指摘があがった」であり、次いで、「金森さんは、新制度について、個人的に思う部分はあるとしながらも」であり、「『10年と考えると中途半端』などと述べ」や「ノイズムイコール金森穣というのを脱却したい」などの金森さんの言葉が挙げられるでしょう。

次に、朝日新聞からです。こちらは書き方からもNoismとの接点が薄い記者の手になる記事のようです。

2021年12月4日付け朝日新聞

こちらで特に気にかかる箇所は、勿論、「任期後に退任する可能性もあることを示唆した」の部分ですが、これは金森さんが常々口にする「劇場文化100年構想」よりも「新制度」の字面が抱かせる印象を重く捉えた結果かと思われます。しかし、実際、会見場にいなかった者としては、そうしたニュアンスの判断も根拠に乏しいものと言わざるを得ないのがツラいところです。

昨日からの各種報道で、残念に思うことのひとつに、紹介されているのが、金森さんの言葉だけで、あとのふたり、つまり、中原新潟市長と(朝日新聞だけを読むなら、同席したことも定かではなくなる)堀内りゅーとぴあ支配人の言葉がまったくスルーされていることもあります。「活動目標・基本方針の設定」を行い、「市の施策への有効活用」を果たすことが目される新潟市の首長と、「制度に基づくレジデンシャル事業の実施」主体であるりゅーとぴあの支配人は何も語らなかったのでしょうか。それともニュースバリューのある言葉は一切、口にしなかったのでしょうか。いずれにしても、物足りなさしかありません。こんな有様で「新制度」の制度設計は充分だと言い切れるのでしょうか。まったく何もわからない、そんな気持ちになるばかりです。

そんなあたりが、金森さんの「個人的に思う部分はある」となったのでしょう。5年後、或いは10年後、市がコミットする文化の成熟が否応なく途絶えてしまう制度設計のどこが望ましいものと言えるのでしょうか。これまでも、これからも極めて豊穣なかたちで持続可能な筈の金森さんとNoism、17年間に渡って育まれてきた「新潟モデル」とも呼ぶべきものをいとも簡単に捨て去る「新制度」の理はどこに見出せるというのでしょうか。「文化」の営みに照らして、キチンと語って欲しかったところです。

今後も金森さんに全幅の信頼を寄せて、同じものを見詰めて歩んでいこうと思うのですが、それこそまったく検証もなされていない「新制度」の枠組みに関しては、見直しや修正が必要だと言う声はあげ続けていこうと思います。

(shin)

12/3会見、国際活動と地域活動の「2部門制」で動き出す新たなNoism Company Niigata

12月3日(金)、新しいレジデンシャル制度に関する注目の記者会見が開かれました。サポーターズとしましても参加したいところでしたが、今回は新潟市政記者クラブ、新・新潟市政記者クラブ所属各社が対象とのことで、それは叶わず、twitter や報道各社のニュースが伝える内容を待っていた点では皆さんと同じだったかと思います。

まずは、県内メディアが伝えた内容へのリンクを貼っておきますので、ご覧下さい。

BSN新潟放送
http://www.ohbsn.com/news/detail/kennai20211203_16729398.php

NST新潟総合テレビ
https://news.yahoo.co.jp/articles/f809dcfbf7d6f9038771ed5e68bf06de052798c6

UX新潟テレビ21
https://news.yahoo.co.jp/articles/1c5b4cd4c56b0ee72ca27e0ff4af34943eb4dad8?source=rss

TeNYテレビ新潟
https://news.yahoo.co.jp/articles/482debd60fca4777d0f4a851c73e9415133e64df

そして次にNoism Web Site が伝えた新活動体制へのリンクです。

りゅーとぴあ レジデンシャル制度に基づく新活動体制 | Noism Web Site

2022年9月からの新制度では、芸術監督の任期が1期5年以内、任期の更新は1回、2期10年を上限とされ、新制度を適用する第一号がNoismであることは既に報じられていましたが、それ以外の細部がとても気になるところでしたし、何より「Noismありきではない」という市長の言葉に胸中、大きな不安を掻き立てられていたのでした。

で、この日の会見です。
伝えられたものから、そうした懸念や不安が一掃されたという訳ではありません。疑問は疑問のまま残っていますけれど、ニュース映像が見せてくれた金森さんの表情と「この5年で新しいNoismの成果を出す。そのために5年を費やす」の言葉に、持続可能なNoism、及び「劇場文化100年構想」への確かな一歩が刻まれたと信じたい、信じてついて行こう。そんな気持ちが湧いてきて、少なからず落ち着きを取り戻すことができたといったところでしょうか。

来年9月からの5年間の新活動体制では、これまで活動評価で課題とされてきた「市民還元」部分への積極的なテコ入れが感じられる「2本の柱」が設けられるものとなりました。新レジデンシャル制度の初代「芸術監督」=「Noism Company Niigata 芸術総監督(金森さん)」の下、「国際活動部門芸術監督(井関さん)」と「地域活動部門芸術監督(山田さん)」を置く体制です。

「市の施策への有効活用」を約束する新潟市には、これまでのような不作為の姿勢ではなく、積極的な支援体制への転換が望まれるところです。その上での「2本の柱」であることは言うまでもありません。

先行きは不透明さが極まる昨今。「100年」のスパンで物事を捉えるなどほとんど無理な業なのかもしれません。しかし、そこに芸術による感動という長期にわたる意義や、社会包摂という中長期的な意義を視野に収めつつ、社会にとって不可欠な「公共財」たろうとする、新潟市を舞台に展開される、金森さんの生涯を賭した「冒険」には、シビックプライドをくすぐられない訳がないじゃないですか。

最後に金森さんのブログへのリンクを貼っておきます。胸熱になること必至。私たちのNoism Company Niigataを、私たちは自分たち一人ひとりの場所から盛り上げていきましょう。すべてはこの一日から始まって、まずは5年、そして10年、更にその先へ。「初代芸術監督」金森さんと同じ夢を見ながら。

新潟市・新レジデンシャル制度・初代芸術監督就任に寄せて | 金森穣 (jokanamori.com)

(shin)

「新しい」レジデンシャル制度の下の活動継続、詳細は12/3の会見が待たれる

皆さま、既に旧聞に属するものとなってしまいましたが、昨日(11/26)付けの地元紙・新潟日報がその朝刊の新潟面において、「ノイズム活動継続」の見出しと「市など3者 新制度で合意」の袖見出しを付けて報じました。

新潟日報2021年11月26日付け朝刊

「レジデンシャル制度」の見直し方針が発表されて以来、芸術監督の任期をはじめ、中原新潟市長が「ノイズムありきではない」と強調したとされることに心中穏やかではない日々を送っているのは私だけではないでしょう。

新潟市とNoismの今後はどうなっていくのか。図らずも、この日の簡潔すぎる2段組の記事の直上には、新潟名誉市民である文化人・會津八一揮毫の「新潟」という題字があり、左隣には「こだわりや熱意などは見えにくい」と評される中原八一市政に関する記事が配されているのが何とも皮肉と言えば皮肉かと。ふたりの「八一」。文化と行政、そして文化行政の在り方に関して、一地方都市・新潟市の舵取りに、全国はおろか、世界中の関心の目が注がれていると言っても過言ではない状況です。’Art is long, life is short.’ 「眼前の対応に追われる」姿勢では文化は育たないことは自明です。

そうした意味からも、新潟市とりゅーとぴあ、そして芸術監督・金森さんとの間で進められてきた協議の結果が公表される12月3日の会見が待たれます。そしてそれが、これまで金森さんとNoismが獲得してきた国内外の名声に恥じない内容であり、「市の施策への有効活用」を謳う新潟市にあって、「金看板」として関わっていく気概を示すものであることを強く望む気持ちでいっぱいです。

さて、会見やいかに。

(shin)

Noism Company Niigata 17thシーズン活動評価結果公表さる

11月8日、新潟市のHPにおいて、過日の有識者会議(9月22日)での意見交換を踏まえるかたちで、Noism Company Niigataの17thシーズン(令和2年9月から令和3年8月まで)の活動評価結果が公表されました。

詳しくは次のリンクからご覧ください。
17thシーズン(令和2年9月から令和3年8月)活動評価の結果について

市による総合評価は「B」(評価指標達成)で、「所見」には次のような記載が見られます。
>全体を通して目標達成に向け善処していることが認められる。
>観客層の拡大に努めたことを評価する。
>地域貢献に資する活動は、その内容について常に改善を図り、参加者をはじめ市民の満足度や認知度の向上に努めていただきたい。また未達成の項目については原因を分析し、来シーズンの目標達成に努めていただきたい。
>活動には多額の公費が投入されており、市民の厳しい目が注がれていることを再認識し、…市民の文化芸術活動の振興に貢献していただきたい。

ご参考までに前16thシーズン(令和1年9月から令和2年8月)活動評価についてもご覧下さい。

この間、「全体を通して目標達成に向け善処している」ことは、16thシーズンと17thシーズンそれぞれの評価項目における、(新潟)市評価のA・B・Cの数に明瞭に現われています。2シーズンの比較をご覧下さい。尚、( )内にはそのパーセンテージとNoismによる自己評価数を示しています。
(評価のA・B・Cとは次の内容を示すものです。「A」:評価指標達成かつ達成度・内容が優れている、「B」:評価指標達成、「C」:評価指標未達成)
16thシーズン(全29項目): 
「A」市評価4(13.8%・自己評価5)、「B」市評価18(62.1%・自己評価15)、「C」市評価7(24.1%・自己評価9)
17thシーズン(全26項目←「オープンクラス」への評価4つがひとつに纏められたことによる3項目減):
「A」市評価8(30.1%・自己評価8)、「B」市評価17(65.4%・自己評価16)、「C」市評価1(3.8%・自己評価2)

目指されるべきは評価指数達成を示す「B」以上であるなか、「A」が倍増(4→8)していると同時に、「C」はひとつのみ(7→1)と大幅にその数を減じています。で、そのひとつの「C」というのが、「地域貢献」中の「新潟市民からの認知度の向上」を評価項目とする「Noismワンデイスクール」であり、「2回以上」開催という評価指標において、前16thシーズンが無開催だったところ、17thシーズンは1回開催しており、評価指標には達していないことから「C」は「C」でも、そこに改善努力は認められ、そうしてみますと、17thシーズンのNoismは、すべての項目において、真摯に成果をあげてきたことがわかります。

更に、17thシーズンにおける成果目標の視点毎の市評価A・B・Cの内訳は以下の通りです。尚、( )内には前16thシーズンの数字を示し、数値の増加(=改善)が読み取れる部分には下線を付しました。
上演活動: 「A」1(0)、「B」4(5)、「C」0(0)
地域貢献: 「A」5(3)、「B」3(3)、「C」1(6)
国内他館との連携: 「A」2(1)、「B」2(3)、「C」0(0)
Noism以外の作品鑑賞: 「A」0(0)、「B」2(1)「C」0(1)
コンプライアンスの遵守: 「A」0(0)、「B」4(4)、「C」0(0)
職員の労務管理: 「A」0(0)、「B」2(2)、「C」0(0)

こうして各視点を通覧してみますと、Noismの活動そのものや鑑賞に纏わる評価(上の4つ)はグンと上がっていて、運営体制ほか(下の2つ)も安定し、悪くないものとして評価されていることが充分に読み取れるかと思います。

それにしましても、気になるのは、この度、こうした高評価を下した新潟市が、件の「レジデンシャル制度」見直し協議において、「Noismありきではない」と強調したうえで、自らを活動拠点と活動費の一部を支援する立場であるとし、「実施主体」りゅーとぴあとの間の役割分担を明確化した発表を行っていることです。更に、中原市長が、その流れで、「条件が整えば10年継続できる。10年後には公募を行う」という方針を示していることも、以前、このブログでご紹介していますが、なんとも解せない話です。

今、先の見えない時代にあって、ここですぐに「11年目以降」の将来の安心など得られないとするなら、この1年、そして次の1年、更にその次も、とそんな具合に、Noism Company Niigata と新潟市民の蜜月を形作ろうとするベクトル、或いはサポートこそが求められているのだろうと思うものです。鑑賞は支援と同義です。是非とも、公演会場で一緒に心を震わせましょう。私たちには金森さんとNoismが必要なのですから。

(shin)

Noismと新潟独自の劇場文化、双方の未来を志向する金森さんを支える!

神無月の月末にずれ込み、昨日の中原新潟市長の定例記者会見を報じるニュースで、漸く、Noismの活動継続協議の方向性が見えてきました。

まず最初に、リンクから昨日(10/29)の金森さんのTwitterからご覧下さい。

次に、会見を受けるかたちで今朝(10/30)、地元紙・新潟日報が「新潟面」で報じた記事です。

新潟日報2021年10月30日付け朝刊

こうした一連の流れの嚆矢は、まず、10月21日の金森さんのツイートに感じ取れました。そちらもリンクからご覧下さい。

そのツイートに接した際、コロナ禍の財政状況も考え合わせるなら、これまでとは異なる内容が話し合われ、かなり厳しい選択を求められていることが窺い知れました。それでも、金森さんは、その段階において触れ得るギリギリの線で、「Noismの“長い未来”、すなわち私が信じる新潟独自の芸術文化の“明るい未来”の為であることを、信じて頂ければと思います。」とツイートしていました。

真に私(たち)が望むのは、新潟市民の「シビックプライド」の一翼をなす存在として、大袈裟に言えば、未来永劫、Noismが新潟市にあり続けることであり、そして、国内に類を見ない17年間の実績を積み重ねてきた「レジデンシャル制度」の芸術監督は、本人が自ら禅譲しない限り、金森穣氏であること、このふたつです。

「新制度を適用する第一号がNoism」とか、「Noismありきではない」とか、「芸術監督の任期の上限は2期10年」とか、「お互いに条件が整えば10年継続できる。10年後には新たに公募を行う」とか、行政特有の射程の短い施策に切り替えることで、これまで時間をかけて新潟市に根付き、この地でその在り方が成熟し、世界に冠たる存在となり得たカンパニーを失うことだけはあってはならないことです。

金森さんと彼の「劇場文化100年構想」を信じる気持ちに一点の曇りもありません。あり得ません。ただ、この先は、「新制度」の新たな「実施主体」とされたりゅーとぴあの手腕による部分も大きいと考えます。私たちサポーターズはりゅーとぴあとも連携しつつ活動していく必要が今までにも増して大きくなったと言えます。

求められる「市民還元」も果たしながら、より遠大な芸術的理想を抱くのが、私たちのNoismです。来るべき(10年後?の)「公募」において、わかりやすい「市民還元」という「甘言」を弄するだけで、市側におもねるような団体も現れないとは言えません。そのとき、Noismの芸術的価値はどこまで正当に評価され、検討されていくのか、心配は尽きない訳です。

しかし、これまでも、私たちをここまで連れてきてくれた金森さんです。真の意味での「未来志向」で、Noismと新潟独自の劇場文化の未来を見詰めて、新たな「ブレイクスルー(突破)」を果たしていってくれる筈です。その点で、彼がなす選択への信頼に揺らぎなどありません。あり得ません。そして、これから私たちに問われるのは、Noismをどれだけ必要としているか、その熱量だと言い切りましょう。私たちも、サポーターズとして、覚悟を新たに、新しい「ブレイクスルー」に関わっていけたらと思う次第です。皆さまの広く熱いご協力をお願い致します。

(shin)

【追記】10/29新潟市長定例記者会見時の配布資料(画像)もご覧ください。

新潟日報が報じた「要求水準を達成」、2020/9~2021/8のNoism

先日(9月23日)、金森さんがツイートしていたように、9月25日(土)付けの新潟日報朝刊がその新潟面で、「昨季『要求水準を達成』」の見出しのもと、「ノイズム活動評価」について「有識者会議が判定」した内容(「B評価」)を報じました。

同紙は、9月22日に開かれた有識者会議が、りゅーとぴあの自己評価や(新潟)市の評価案を基にオンラインで議論し、「昨シーズン(2020年9月~2021年8月)のNoismの活動について3段階のうち真ん中のB評価を付け、『要求水準を達成している』と評した」と伝えています。

市の評価案で、初めて実施した小学校5校への出張公演が高く評価されたこと、有識者5人のなかで、市舞踊協会の若林美江会長の「コロナ禍でも舞踊文化に触れられるのは、ノイズムが新潟にある強みだと再確認した」との言葉などが紹介されています。

新潟日報9月25日(土)朝刊より

10月発表予定の今後の契約や「レジデンシャル制度」の見直し案などが待たれますが、今は(当然と言えば当然の事柄に過ぎないとも言えますが、)頷ける「内容」であったのだろう「B評価」に安堵しているところです。(個人的には、昨シーズンも「特A評価」とみるところですが、「内容を常に改善」することが求められるなら、伸びしろの残る「B評価」はむしろ好ましいのかもしれません。)

求められている「市民の満足度や認知度の向上」に向けて、私たちサポーターズとしましても、改めて出来得ることをやっていきたいと思ったような次第です。この先も一丸となってNoismを支えて参りましょう。

(shin)

「レジデンシャル制度に関する有識者会議」(7/6:1回目)意見まとめ公表さる

お盆の日曜日、その午後、ゆっくり甲子園の高校野球を見たりしながら、あの酷い雨の後、試合ができている状況に、改めて阪神園芸さんの整備技術高いなぁなどと暢気に感心していたところ、サポーターズ仲間からメッセージを頂き、標記のPDFファイル(正式ファイル名:「新潟市民芸術文化会館レジデンシャル制度に関する有識者会議 主な意見まとめ (第 1 回目 7/6)」)が公表されていることを知りました。金森さんが翌日のtwitterで触れていたものです。慌てて、目を通してみましたが、もう心臓はバクバク状態に。一刻も早く、皆さんにもお知らせして、今後のサポートの在り方にも繋げていけたらと思い、こちらにいくつかリンクを貼ってご紹介しようと思います。

まずは、新潟市のHP中、当該「会議開催状況」のページのリンクです。最終更新日は8月11日とあります。「新潟市民芸術文化会館レジデンシャル制度に関する有識者会議 開催状況」です。様々な資料等もご覧頂ける、今般の「有識者会議」のトップページと呼べるものです。

その中から、当面、重要なものとしては、会議要旨とされる標記「新潟市民芸術文化会館レジデンシャル制度に関する有識者会議 主な意見まとめ (第 1 回目 7/6)」です。
同まとめ後半「3.レジデンシャル制度の課題及び制度改善にあたっての視点」に記された「(1)事業の在り方」5項目、「(2)労務管理の在り方」2項目が、今後のNoismの在り方を左右するだろう「取りまとめ意見」の核心と見做されます。
妥当と思われるものもありますが、ちょっと首を傾げざるを得なかったりする点もあり、サポーターズとしてはいろいろ思うところがある「取りまとめ」になっていると感じたのが正直なところです。
なかでも「芸術監督の在任期間が長くなると様々な面ですれ違う場面も出てくる…」や「目的と期待する成果を明確に示したうえで、活動の評価も含め市民と共有していくべき。」にひっかかりを覚えるのは私だけでしょうか?(他にもあるのですが、とりあえずってことです。)
で、そうした「課題」と「制度改善」を巡って感じる違和感は小さなものと言って済ませられるレベルのものなのでしょうか、それとも…?

併せて、6/22作成の「参考資料4・公立劇場専属舞踊団『Noism Company Niigata』活動総括【令和2年度版】」もご覧ください。
こちらに目を通しますと、今、お声掛けしている「アンケートへの取組み強化」は、成果として具体的な数字になって表われており、目に見える結果を残したと言えます。その点、感謝しかありません。
また、コロナ禍にあってさえ、「個人」からの支援(額)は微増していることに感動するものですが、他方、「法人等の団体」からの支援(額)が減っていることも一目瞭然です。これなどやむを得ず、いかんともしがたいことなのでしょうけれど…。
これからじっくり資料を読み込み、私たちサポーターズに出来ることがあれば、みんなで共有し、手を携えて進んでいきたいと思うものです。

この記事の終わりに、金森さんの8/4のツイートをここに改めてご紹介したいと思います。リンクを貼りましたので、是非、再度お読みください。そして、私たちにとっては自明の「存在意義の明示化」に向けて、今、皆さんのお声をお寄せ頂きたいと思うものです。

雑駁な記事でお恥ずかしい限りですが、今は取り急ぎということでご容赦願います。

【8/16追記】
*「第2回新潟市民芸術文化会館レジデンシャル制度に関する有識者会議の開催について(ご案内)」文書はこちらから。 → 8/18に開催されることになったそうです。
*「新潟市民芸術文化会館レジデンシャル制度に関する有識者会議」そのものについては、こちらもどうぞ。

(shin)