春、若芽が吹くように…「Noism2 定期公演vol.16」(2025/03/09)

皮肉なことに、東京をはじめ関東には凍結の恐れなどを伝える注意喚起がなされていたというのに、新潟では光に少し春らしさが感じられるようになってきた、そんな2025年3月9日(日)。15時からの「Noism2 定期公演vol.16」2回公演の2日目を観るために、りゅーとぴあに向かいました。

前日(3/8)は同時刻に、金森さん演出振付の新作『Tryptique ~1人の青年の成長、その記憶、そして夢』を含む牧阿佐美バレヱ団「ダンス・ヴァンドゥⅢ」を観に行ってましたので、この日はまた異なる舞踊が観られることにワクワクする気持ちがありました。

過日の公開リハーサル後の囲み取材の場で、地域活動部門芸術監督の山田勇気さんから、今回(vol.16)のラインナップに込めた思いを聞いたことも、その期待を膨らませる効果がありました。山田さん曰く、次世代の振付家を輩出することと、「登竜門」を通過する舞踊家を観ること。そのふたつは充分に興味深い事柄でした。

物販コーナーにはNoism1準メンバーの春木有紗さん(左)と佐藤萌子さん(右)

そして15時になります。最初の演目は樋浦瞳さん演出振付の『とぎれとぎれに』。緞帳があがると、初日公演を観た久志田さんの文章にあるように、斜めに配された大きな「紙」が存在感たっぷりに目に飛び込んできました。思ったこと。「やはり樋浦さんは『斜めの人』であって、『正面の人』じゃないんだ。だから、『にんげんしかく』で客席の方を向いて、ポケットから笹団子を取り出したり、身体の前で両手を動かして矩形のイメージを伝えてきたりしたときに、何やら新鮮な感じがしたんだ」とかそういったこと。
蠢いたり、たゆたうようだったりしながら、斜め位置の「紙」で表象される舞台(時間、人生)との関わりのなかで、逃げ出そうとしたり、格闘したりしながらも、とぎれがちながら繋がっていく関係性。その間も「紙」が決して破れることがなかったのは、この日の私には希望に映りました。そして、その歪な「紙」が上方に浮き、その真下で踊られるようになってからは、佐野元春『No Damage』のメインビジュアルが想起されもしましたが、「人生ってそうだよな」とも妙に納得させられる部分がありました。
最後、6人が舞台正面奥に消えていくときにハッとしたのは、『にんげんしかく』のときと同じでした。樋浦さんがこれから先も変わらず「斜めの人」なのか興味があります。

10分の休憩を挟んで、今度は中尾洸太さん演出振付『It walks by night』です。チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」が聞こえてきます。第3楽章です。レインコートと帽子、蝋燭、そして一枚のドア。多分にウェットでシリアスな雰囲気を待ち受けていたところ、開いたドアから折り重なるようにして見える顔たちはいずれもこちらを見据えています。「えっ!」と思うが早いか、「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ(とても速く活発に)」に乗って展開されるコミカルで楽しい動き。腰には白いチュチュを巻いて。この先、あの音楽を耳にする度、その光景が浮かんでくるようになってはちょっとつらいというか、残念というか、そんな困った組み合わせに、唖然としつつ、気持ちは「脱臼」させられたような塩梅です。(ゴダールの映画もよく「脱臼」を狙ってきます。)
しかし、第4楽章の「アダージョ・ラメントーソ(悲しげにゆっくりと)」では、踊りの調子がガラリと変わっただけでなく、紗幕の向こう、シルエットとして浮かんでくる「活人画」に似た場面には殊更に美しいものがありました。「何も徹底的に『美』を廃した訳ではなくて、硬軟をフットワーク軽く行き来することを狙ってのものなのだな」、そう理解しました。
それからこの作品では、今度は腰に巻いていた筈のチュチュが揃って上方に浮いただけでなく、ラストでは(予想通り)全員が中央のドアの向こうに消えていきます。そのあたりに樋浦さん作品との近縁性も強く感じられ、興味深く見詰めました。また、ふたりとも広い舞台を充分に活かそうとする演出振付をされていたように思います。

その後の休憩は15分。そして、「登竜門」(山田さん)の『火の鳥』、何度観ても、観る度にゾクッとする金森さん演出振付の名作です。若いダンサーがその身体を使って、この作品に一体化したときに放たれる「美」は決して色褪せたり、揺いだりすることのないものです。「これをしっかり踊り切れたら、観る者はちゃんと感動する」、そんな作品がこの『火の鳥』なのです。金森さんから若者に向けられた愛で出来上がっていて、寸分の隙もない作品と言えます。
また、繰り返し観てきた者としては、初めてこれを目にする人たちが「あっ!」と声まで出さんばかりに、心地よい不意打ちをくらう瞬間が訪れるのを待つ、そんな楽しみもあります。そして同行者がある場合には、まず例外なく、終演後、笑顔でその場面の話をする姿が見られるのです。そんなリアクションはこの日もあちこちに認められました。
この日、この「登竜門」或いは「試金石」に挑んだダンサーたちに鳥肌が立ったことは書き記しておかねばなりませんし、それを書き記すだけでもう充分かと思います。そんな心を揺さぶる踊りを見せてくれたダンサーたちにこの日もっとも大きな拍手が贈られました。彼女たちにとっては、「伝統」(山田さん)に繋がった日だった訳です。

春、若芽が吹くように瑞々しい躍動を見せた若きダンサーたちと若き振付家ふたり。大地に力強く根を張り、限りなく広がる高い空に向かって大きく育っていって欲しいものです。きっと襲ってくるのだろう風雪などものともすることなく、逞しく、そして美しく。3つの演目を観終えて、そんなことを思ったような次第です。

(shin)

清新さと野心と(サポーター 公演感想)

毎年3月恒例の研修生カンパニーNoism2定期公演。今回(vol.16)はNoism1・中尾洸太さんに加え、同じく樋浦瞳さん(新潟市出身)が演出振付家デビューすることもあって、各種媒体でも公演が紹介され、初日の客席も盛況だった(BSN新潟放送の取材班もお見かけした)。客席や物販コーナーではNoism1メンバーの姿もあり、皆で若き舞踊家と演出振付家を盛り立てようという思いが、劇場に漂うよう。


開幕は樋浦瞳作品『とぎれとぎれに』から。私たちが「Noism的なるもの」として連想する、虚飾を剥いだ舞踊の連なりに、樋浦さんならではの細やかな感性が染み込んだ一作。舞台正面から斜め方向を意識した空間構成や、ある舞台美術が雄弁に示す舞台の一回性。白から黒、生から死へのあわいで悶える6人の若き舞踊家達と、照明が織りなすものに、私は奪われていくガザ始め世界を生きる人たちの命を思わずにはいられなかった。

続く中尾洸太作品『It walks by night』は、中尾さんの既にして才気溢れる作家性に圧倒される仕上がりとなっていた。Noismの基礎にある「クラシックバレエ」そのものを解体し、再構築していく舞台に息を幾度も呑んだ。あるクラシックの有名曲(最近ではアキ・カウリスマキ『枯れ葉』でも印象的に使用されていた)と9人のダンサーの調和、バレエでの女性表象を超えるNoismらしいエログロまで内包した演出には唸るばかり。

公演ラストを飾るのは金森穣芸術総監督による、最早古典的風格さえ漂う「火の鳥」。ストラヴィンスキーの楽曲と寸分違わず溶け込む振付、8人の舞踊家の「今」を活かし切る瑞々しさと、安易な感傷を排して観客のイマジネーションを膨らませる「仮面」と「黒衣」。幾度見ても新たな発見を得られる名品だ。

公演初日は、地域活動部門芸術監督・山田勇気さん、中尾洸太さん、樋浦瞳さんによるアフタートークが開かれた。「若いダンサーへのメッセージ」を問われ、「自分が今持っている身体に向き合えるのは自分だけ。未来と今、他者と出会うことを意識して踊り、あなたの身体でしか発見出来ないことを見付けてほしい」と語る樋浦さんと、「夢を見ないこと。夢は叶わないかもしれないし、逃げにもなる。身体や心から起こる野心と、現在地を見つめる為の目標を大切にしてほしい」という中尾さん。対照的でいて、各々の誠実さが滲む答えに胸が熱くなった。


若き舞踊家それぞれの献身と躍動に加え、新しい舞踊作家の誕生を目撃する機会。本日の公演の更なる盛況を祈る。

久志田渉(新潟・市民映画館鑑賞会副会長、安吾の会事務局長)

「Noism2 定期公演vol.16」活動支援会員/メディア向け公開リハーサル&囲み取材に行ってきました♪

2025年2月28日(金)、りゅーとぴあに向かうのに、考えなしにセーターを着てダウンコートを羽織ろうしたところ、連れ合いからダメ出し一発。この日は新潟県も「4月中旬の気温」となるということで、少し薄めのものに変えて、「Noism2 定期公演vol.16」活動支援会員/メディア向け公開リハーサル&囲み取材に行ってきました。

予定時刻の12:30、〈スタジオB〉にて、中尾洸太さん演出振付の『It walks by night』のクリエイション風景から公開リハーサルは始まりました。ホワイエで待っている間から耳に入ってきていたチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」のあの最も知られた旋律が流れる場面を中心に、クリエイションの様子を見せて貰いました。中央奥にとても象徴的な木製の扉。Noism2メンバー9人のうち、ひとりだけ黒い帽子にベージュのステンカラーコートを纏っています。

「タータァタタタータターター、パッ」旋律を歌い、「1234、56」カウントを数え、自ら汗をしたたらせながら踊って、振りとそのイメージを伝えていく中尾さん。この日、私たちの目の前でじっくり時間をかけていた回転の振り。「足、そして手首、身体の順」(中尾さん)に動きが伝わっていき、2本の腕が纏わり付くかたちで身体を捩らすような複雑な回転にはブラッシュアップが続きました。チャイコフスキーの旋律にのせて、中尾さんのロマンがどのように可視化されていくのか、楽しみでなりません。

13:00、次いで今度は樋浦瞳さん『とぎれとぎれに』からの一場面を見せて貰う番です。こちらの作品、まず最初に大きな白い紙が運び込まれて敷かれていったところから、既に何やら独特な世界観が漂ってきました。音楽も、先刻までの中尾さんがメロディアスだったのに対して、ざらつくノイズ然としていたり、機械的だったり、ビート音だったり、全く別の趣のもの(原摩利彦)です。で、それに合わせた振りはやはりソリッドなもので、ところどころ、『R.O.O.M.』や『NINA』を想起させる動きも見出せるように思いました。

「一回、紙から逃げてみて、でも戻っていく感じ」とか「倒れた直希(=与儀直希さん)に、自分の吐く呼吸を入れていくみたいな」「もっと持ち上げるような感じで」とかと丁寧にイメージを伝えていく樋浦さん。Noism2メンバーの9つの身体と一緒になって、私たちをどこへ連れて行き、どんな世界を見せてくれるのでしょうか。興味が掻き立てられました。

上演3作品の使用楽曲です。

13:30、ホワイエにて囲み取材が始まり、地域活動部門芸術監督・山田勇気さんと今回、演出振付作品を発表するNoism1・中尾洸太さん、樋浦瞳さんがそれぞれ質問に答えるかたちでたっぷり話してくださいました。以下に、かいつまんでご紹介します。

Q・今回の作品のテーマ、伝えたいもの。
 -A・中尾洸太さん(『It walks by night』): 一番のテーマは「選択」「チョイス」。同年代(20代前半)の振付家と舞踊家のクリエイションは珍しい機会。同年代の観客層に届けたい思いもある。人生のなかで、何かを選択することを恐れないこと。そのときには誰かがまわりにいて、ひとりじゃないということ。まわりの人がいるからこそ、様々な感情が生まれること。それらを再認識するなかで、この先の自分の選択を噛み締めていけるような、未来に繋がる作品になればいい。
 -A・樋浦瞳さん(『とぎれとぎれに』): 自分が、人が、生命体が生まれてくる前にはどのような光景が広がっているのだろうという疑問から創作を始めた。「舞踊」という芸術は舞踊家が踊るその時間のなかにしか持続はない。その時間とその身体でしか起こることが出来ないもの。生命にも舞踊にも終わりは来るが、途切れたあとも繋がっていくものがきっとある筈だという思いを主軸に創作した。一人ひとりがその身体を持っていることを喜べるきっかけになったら嬉しい。「紙」については、舞踊作品の一回性を作品のなかでより顕著に表したかった。その「紙」に舞踊家たちが集まってきての始まりは、生命の源、「泉」のようなイメージによるもの。今の舞踊界で、このような時間と場所と舞踊家を得て創作出来るのは奇跡的なこと。この環境だからこそ出来ることを追求していきたい。
 -A・山田勇気さん: 【①金森さんの『火の鳥』について】: 金森さんが初めてNoism2のために作った作品で、2011年に初演、これまで5回ほど再演している。 メッセージ性がシンプルで強く、踊る者にとっても「登竜門」のようでもあり、これを越えることで成長できる、或いは、成長しなければ成立しない「強い」作品。これは生き残る作品であり、後世に伝えていくべき作品。これを通過する色々な舞踊家を見て欲しい。ある種、伝統になればいい、という思いもあって選んだ。
【②中尾さん・樋浦さん作品について】: レパートリーを踊るとなると、自分の選択をために振り付けられたものではないため、「踊ってみた」みたいに踊ってしまうことも起こり得るもの。そうした点から、相互に影響を与え合い、主体的に考えないければならないクリエイティヴな場所を設けることでカンパニーとして成長することを期している。若い振付家にがっぷり四つで組んで格闘して貰って、そのなかで何か新しいものが生まれることを期待して、ふたりにお願いした。作品自体がゼロから始まる、「教える-教わる」関係を一旦離れた場所と考えた。

Q・一公演で同時にふたりが演出振付することについて。
 -A(山田さん):
 ふたりも刺激し合っているが、一番は、プロの振付家の現実問題として、時間の割合が大変なこと、そうした制約があるということがある。与えられたもの、限られたもののなかでベストを尽くすこと。メンバーは3つの作品を踊る、『アルルの女』のリハーサルも行っている、そうした同時進行状況のなかで、如何にフォーカスしてやっていくかは難しいことだが、やらなければならないこと。
現役メンバーに振付家としての依頼をすることには、Noismというカンパニーに属し、ひとつの「言語」のようなものを共有する者が、その中から如何にして「自由」を獲得していくかは大切なことと考える。自分たちが今ここで作っている身体性にどれだけの普遍性があるかは、そのなかで何かを作ることでしか分からないものがある。
また、次世代の振付家を輩出することはレジデンシャルカンパニーにとって大切なことでもある。

Q・【中尾さんに】タイトルは(ジョン・ディクスン・カーの)推理小説と同名。具体的なストーリーをイメージしているのか。
 -A(中尾さん):
 ストーリー・テリングはしない。(使う)曲毎に詩を書いていて、その自分が想像したこと(詩)と音楽、それを社会(観客)とどう繋げていくかを意識している。振付家と舞踊家と観客のトライアングルが綺麗に揃っていないと良い瞬間は生まれない。この時代に簡単に溶け出してしまわない作品を残したい、その時間を提供したい。
観客が観に来ることも選択なら、自分たちが本番中に振りを踊るのもひとつの選択であり、既存のものをただ舞台にのせているのではない。研修生カンパニーであることから、自分たちの葛藤と闘っていて、身近に重い選択を控えている。それは舞台に出て来る。自分たちのベストを尽くした作品で観客に真っ向から立ち向かう時間を作りたい。それら全てが「選択」。タイトルは語り過ぎず、抽象的な感じで、意味を込め過ぎない、ふわっとしたものである。

Q・選曲理由は。
 -A(中尾さん):
 チャイコフスキーがどう亡くなったか知っていたので、「選択」「チョイス」は常に頭にあった。「悲愴」はチャイコフスキー最後の交響曲であり、哲学的思想が詰め込まれている。自分が振付家として彼の音楽と闘うのと同時に、舞踊家と一緒に、彼の音楽を通して、社会になにか普遍的なものを提供出来るのではないかと思った。
 -A(樋浦さん): 自分がそれらを聴いているときに、彼女たちが世界を繰り広げている様子を想像出来たこと。音がなくなる瞬間があったり、メロディー自体が存在しなかったりするが、その空間のなかに舞踊家がいることで、音楽と身体とが相互補完的だったり、相乗効果が生まれたらよいと。それが音楽と舞踊家との関係性として目指していること。

Q・この3作品での公演に関して。
 -A(山田さん):
 ヴァラエティ豊かで、楽しんで貰える。3つの全然違う作品にNoism2の舞踊家がどう取り組んで、そこで生きるのか。若い身体、若い思い、若い精神からしか出て来ないエネルギーを是非感じて欲しい。3作品が合わさったときに、彼女たちの表情とか輪郭とかが見えてくるのかもしれないと期待している。(13:55囲み取材終了)

…というところをもちまして、公開リハーサル&囲み取材の報告とさせて頂きます。

色々な意味合いで、とても興味深い「Noism2 定期公演vol.16」は3月8日(土)と9日(日)の2 days。只今、チケットは好評発売中です。若き舞踊家9人が格闘する3作品、そこに漲るエネルギーを全身で受け止めてください。

更に、8日の終演後には、この日の囲み取材時と同じ、山田さん、中尾さん、樋浦さんが登壇してのアフタートークも予定されています。(9日のチケットをお持ちの方も参加出来ます。)作品が生まれる現場により一層コミットしてみる機会です。楽しくない筈がありません。ご検討ください。

【追記】現在、発行されている「Culture Niigata」最新号(2025.03-05、vol.122)に、今回、振付家として創作している樋浦瞳さんが取り上げられています(表紙およびインタビュー記事)。加えて、昨年11月「新潟県文化祭2024『こども文化芸術体験ステージ』」(@十日町市・段十ろう)に登場し、『火の鳥』と『砕波』を披露したNoism2についても掲載されています。同誌は無料。りゅーとぴあにも置かれていますので、是非、お手にとってご覧ください。

(photos by fullmoon & shin)

(shin)

FM-NIIGATA「NAMARA MIX」に山田勇気さん登場♪(2025/02/18)

この日から強烈な寒波が約1週間も居座る予報などが出ていて、「またか!」って感じの2025年2月18日(火)。その夜19時21分から、FM-NIIGATAの番組「NAMARA MIX」(第151回)にNoismの地域活動部門芸術監督の山田勇気さんがゲストで出演されました。昨年11月には井関さんも出演された番組です。

山田さんが登場したのは、「こちら、NAMARA党本部」というコーナーで、この日の番組案内には次のようにあります。

架空の政党であるNAMARA党の総裁・江口歩が新潟をより明るくするため、社会課題について有識者とトーク。そして机上の空論にならないよう、実際に社会に向けて番組からアクションを起こしていくコーナーです。今回はNoism Company Niigata地域活動部門芸術監督として活動する山田勇気さんが登場します!

2005年Noismに入団し、プロを目指す若手舞踊家を率い、作品を発表されている山田さん。近年は新潟市内の小中学生や舞踊未経験者にむけたワークショップ等のアウトリーチ活動も積極的に行っています。

そもそもNoismとはどんな団体なのか、20年間Noismを見てきた山田さんが思うNoismと新潟エンタメの変化、そして今後Noismはどこへ向かっていくのか、また現在鋭意準備されている直近の公演と対談についてもお話をお聞きします。

約12分にわたって、多岐にわたるお話しをお聞き出来ました。そのアウトラインだけですが、ご紹介します。

*日本で唯一の公共劇場専属舞踊団Noism(20年間)。
*地域活動部門の活動。
*「視覚障がい者のためのからだワークショップ」(2025/02/16)。視覚障がい者の「研ぎ澄まされている皮膚感」。相互に刺激を受け、勉強になる機会。

*北海道出身で「サッカーばかりやっていた」山田勇気さん。ダンスにはまって、東京でブラブラしていた折、Noismが設立されて、「日本で唯一、ダンスでめし食えるカンパニー。これは行くしかないと思った」。2年目のNoismに加わる。
一旦、離れた期間もあったが、研修生カンパニーNoism2が設立されたことをきっかけに戻ってきた。20歳頃にダンスを始めて、のめり込んでやってきた「雑草」。その部分が、地域活動をやっていくうえで、普段、踊りをやっていない人にも何か伝えられることがあるんじゃないか。
*昔のNoismはもっと尖っていた。設立当時は環境も整っていなかったし、「今日この一瞬で全力出して証明していかないと、いつ潰れるかわからない」という緊張感があった。
今は20年経って、ある程度認知も進んだNoismをどう育てていって、もっと広く知って貰うためにどうすればいいか、に変わってきた。
*「Noism2定期公演vol.16」(2025年3月8日・9日)、金森さんの『火の鳥』再演とNoism1メンバーによる振付の新作(2つ)。瑞々しい公演になる筈。エネルギーを感じて貰いたい。


*「柳都会vol.30」(2025年2月23日)、ゲストは二代目 永島鼓山(えいじまこざん)さん(永島流新潟樽砧伝承会)。Noism2の作品(Noism2×永島流新潟樽砧伝承会『赤降る校庭 さらにもう一度 火の花 散れ』)でコラボしたときに、「只者じゃないな」と思った。「二代目襲名」の彼女(2022年)、自分たちNoismも「次の世代」を担うことを考える時期。

以上をもって、報告といたします。

明日(2025年2月19日)17:00からは、金森さんと井関さんがゲスト登場する牧阿佐美バレヱ団「ダンス・ヴァンドゥⅢ」のインスタLIVEもあり、そこでは金森さんが振り付けた『Tryptique~1人の青年の成長、その記憶、そして夢』についても話されることになっています。

春のNoism、さながら「百花繚乱」の趣で、雪にも折れない心を取り戻せそうです。そんな気分にさせて貰いました。

(shin)

「新潟県文化祭2024」こども文化芸術体験ステージ(2024/11/23)、Noism2に胸熱!

2024年11月23日(土)勤労感謝の日、十日町市の越後妻有文化ホール「段十ろう」を会場に開催された「新潟県文化祭2024」こども文化芸術体験ステージに、午前午後2回、Noism2が登場し、「未来を担うこどもたちが舞台公演を通じて豊かな感性や創造性などを育み、文化芸術に興味・関心を持つきっかけになってほしい…」と設けられた機会において、その溌剌としたパフォーマンスで観客からの温かみのある大きな拍手を浴びました。

私が観に駆けつけたのは14時開演の第2部(推奨年齢:中学生以上)。霰が落ちてきたり、時折、篠突く雨も寒々しい、かと思えば、陽が差す時間帯もあったりという、冬を前にした忙しい天候のなか、車で高速道路を走り、一路、十日町市を目指したような次第です。

2017年にオープンしたという越後妻有文化ホール「段十ろう」。今回が初めて訪れた建物でしたが、十日町の中心市街地に位置する、なかなか綺麗な複合施設でした。

13時15分に開場。「新潟県文化祭」ということもあり、ホワイエには新潟県産木材を紹介するコーナーが設けられていて、木琴やら色々な玩具、それに木製スピーカーほかが並べられており、木を使って仕上げられた段十ろうの内装によくマッチしていました。

そして、開演時間の14時になります。緞帳の手前、上手(かみて)と下手(しもて)両側から、Noism2ダンサーの9人が現れ、横一列となるが早いか、心臓の鼓動、心拍音が聞こえてくると、それに合わせてビートを刻み始める9人。黒いジャケットに黒いパンツ姿。緞帳が上がってから繰り出されたクールでソリッドに絡んでいくスピーディーなダンスは、先ずは名刺代わりのご挨拶。そのスタイリッシュな幕開けで、もう、つかみはOKです。そんなふうにはじまったこの日の舞台。

次いで、地域活動部門芸術監督・山田勇気さんとNoism2リハーサル監督・浅海侑加さんがステージ下手に現れてご挨拶。そこから、浅海さんから『砕波』が紹介されました。その内容をかいつまんで記しますと、港町・新潟市が開港150周年を迎えたのを機に、Noism芸術総監督・金森穣さんが、佐渡の太鼓芸能集団・鼓童の楽曲に振り付けた作品であり、Noism2メンバーは波の動きを踊り、それを通して、波の様々な感情を表現するとのこと。「激しく荒れ狂う海。怒っている波、泣いている波、笑っている波…」(浅海さん)

8人のダンサーによって、日本海の様々な波、その感情が身体と音楽とで可視化されていくさまを目撃する私たち観客は、一人残らず、言葉を用いない舞踊の何たるか、それを身を以て感得していくという豊かな時間を享受したのでした。更に、子どもたちを含めて、Noismを初めて観るという人も多かったのだろう客席。『砕波』のラスト、舞台上の動きが止まってから、場内に響いた温かい拍手には舞踊への驚きといったものが聞き取れるように感じられました。

次の演目にいく前に、再び山田さんが舞台に現れると、スクリーンを用いて、国内唯一の公共劇場専属舞踊団である「新潟のダンス集団Noism(Noism Company Niigata)」を簡潔に紹介していきました。

そのなかで、私が観た午後の部では、江川瑞菜さん(愛知県出身)、与儀直希さん(米・ロサンゼルス出身)、高田季歩さん(兵庫県出身)、四位初音さん(宮崎県出身)の4人も舞台にあがり、山田さんからの質問に、ひとりひとつずつ答えていくことを通して、Noism2というカンパニーの横顔が伝わってきました。それらもご紹介しましょう。

*Q:Noism2の生活はどんなふうか? → A:四位さん「朝9時のNoismバレエ、Noismメソッドに始まり、途中に休憩を挟んで、18時まで舞踊に向き合う日々」
*Q:どうして踊りを始めたのか? → A:高田さん「身体を動かすのが好きで、3歳でクラシックバレエを、小学校6年生のときにコンテンポラリーダンスを始めた。コンテンポラリーダンスの全身で表現することに惹かれた」
*Q:踊りの魅力とは? → A:与儀さん「踊りの表現が人生経験が深まっていくのと同時に深まっていくこと。そして人と繋がるきっかけになること」
*Q:辞めたくなったことはないか? → A:江川さん「思いつかないが、怪我をしたとき、前のように踊れない日々は辛かった。踊ることが好きなのでワクワクしている」

出前公演やアウトリーチを通して「舞踊の種を植える」Noism2。自分の夢を叶えるために稽古に打ち込む研修生カンパニー。そしてホーム・りゅーとぴあで「くらす」「つくる」「(文化を)そだてる」Noism Company Niigata、と。

Noism2メンバーの9人
新メンバー3人をアップで

時刻は14:30、今度は浅海さんによる『火の鳥』の紹介です。2011年に金森さんがNoism2のためのオリジナル作品として振り付けた作品で、「今を生きる子どもたちに向けたメッセージ」が込められている。それはシンパシー(共感・共鳴)、心の動き。そして次のように、あらすじも紹介されました。
*少年: 自分の殻に閉じ籠もり、闇やネガティヴなエネルギーに囲まれている。
*火の鳥: 少年を強く優しいエネルギーにより、殻の外へ連れ出す。
*黒衣(若者たち): 嫉妬にかられ、火の鳥に襲いかかる。
 → 痛めつけられた火の鳥は火が消えてしまうことに。
 → 少年の流す涙によって、若者たちの心に何かが起こっていく…
…「それを観て聴いて感じて欲しい」(浅海さん)

この日の舞台、「少年」は髙橋和花さん、「火の鳥」は矢部真衣さんが、そして6人の「若者たち」がストラヴィンスキーの楽曲に乗って躍動しました。この演目、とてもエモーショナルで、Noism入門にはもってこい、まさにお誂え向きとも言えるものなのでしょうが、いつ観ても、鳥肌もので、心を激しく揺さぶられてしまいます。それはこの日も同様でした。Noism2メンバーたちの熱演に対して、場内からは今度は熱い思いが込められた拍手が長く長く続きました。
この『火の鳥』ですが、来春3月のNoism2定期公演vol.16(2025/03/08&09)でも踊られることが告知されています。この同じメンバーで更に進化・深化した『火の鳥』が今から楽しみです。

Noism2のメンバーの皆さん、山田さん、浅海さん、胸熱で素敵な舞台を有難うございました。この日観た子どもたちも、大人たちも、みんな新潟(市)にはNoism Company Niigataという世界に誇るべきカンパニーがあることをはっきり認識し、「文化」というものを心ゆくまで堪能したものと思います。冬枯れの景色のなか、そんな高揚する気持ちのままに帰路につきました。

なお、この日の舞台の模様は、後日、編集したものがYouTube(新潟ステージチャンネル)にアップされる予定とのことでした。本日、ご覧になられなかった方はそちらをお待ちください。

(shin)


そして挑戦はつづく:Noism2定期公演vol.15千穐楽

2024年3月3日(日)、前夜から降った雪は、もうこの時期(「桃の節句」)ですから、ほぼ予期し得なかったほど迄に自動車のルーフに積もっていたのですが、それも徐々に寒気が緩むにつれて、溶けていってくれて、ホッと胸を撫で下ろしました。
この日、Noism2定期公演vol.15も「マチソワ」の2公演。で、他にもりゅーとぴあでのイヴェントが目白押しだったため、「マチネ」の頃には既に駐車場が激混みの満車状態になっていたようでした。幸い、私が「ソワレ」を観に行くときには、駐車場はかなり空いていて、その意味でも重ねてホッとしたような次第です。

そして18時、千穐楽の最終公演の幕があがりました。「Noismレパートリー」のはじまりです。繰り出される電子音のシャープなビート、そしてビート。この日のこの時間、スタジオBの舞台に立った13人は揃って、全5公演のラストの舞台を、それぞれの体内からあらん限りのエネルギーを引っ張り出し、それを発散させ、生命力を漲らせて、躍動感たっぷりにビートと一体化して踊っていきます。その姿は前日の「ソワレ」とも格段に違っていました。
ひとつ、彼らの足を例に書きます。それが私たちの身体の下方、二股に割れるありふれた下肢には見えて来ずに、ある時は鞭のようなしなやかさを備えた、またある時は一切の動きを拒絶するかのような、そんな何か新種の身体部位に見え、単にビートに乗った動きを可視化して示すためだけの(実用性が云々されることなどない)「道具」といったあり方で目に映じる、そんな瞬間に出会ったのです。そのとき、目にしたものは、私たちが自分たちの身体として、当然に、その使い方を知る身体とは全く別物の、まさに「Noism的な」張りのある身体です。メタモルフォーゼ、紛れもなく。そのことにとても興奮しました。
ですから、ラストの『R.O.O.M.』からの抜粋に至って、「生贄」の一語を思い浮かべることになりました。観客の見詰める目にとっての13人の「生贄」。それは「Noism的な」語彙に属するもののひとつです。上方に両手を伸ばして静止した13人のシルエットを祝福したい気持ちになりました。

休憩後は中尾さん振付演出の『水槽の中の仮面』です。見終えたとき、これで見納めかと思うと残念な気持ちになりました。不穏にして、美しく、激しくて、優しく、一貫して瑞々しくて、リリシズム溢れる…そんな作品、そしてそれを踊るメンバーたち。
前日のアフタートークに急遽、登壇した振付家が語ったところによれば、ダンサーに示された振りは「予め決めることをせず、その場で一緒に音楽を聴きながら、その場で作られていった」とのこと。とするなら、作られた振りそのものには、その場の空気感のみならず、必ずやそのダンサーの個性(やそのダンサーへの期待)も反映されていたことになる筈で、であるならば、『水槽の中の仮面』は、間違いなく、それ自体、振付家から12人のダンサーたちへの「贈り物」という性格を持つ作品であることは言を俟たないでしょう。
例えて言えば、大きめサイズながら、フルオーダーで誂えられた洋服(人はそれを「宝物」と呼ぶだろう)が、徐々に身体に馴染んできているのに、(否、逆に、少しずつその洋服が似合うようになって、「映える」ようになってきているのに、そう言うべきか、)もう見納めなのか、そんな塩梅だった訳です。

中尾さん作品終演後、観客全員が大きな拍手を贈り、スタンディングオベーションを捧げる人々も見られました。実に幸福な時間でした。

スタジオBは速攻、「ばらし」が入るため、この日のアフタートークはホワイエで行われました。その様子もご紹介しましょう。

*感想・今の気持ち
中尾さん: 次の作品を早く作りたい。純粋に次を新しくゼロから作りたい。それはご飯を食べたいと思う気持ちに似ている。
山田さん: 今回の作品、満足していますか。
中尾さん: 彼女たちが見せてくれた景色に満足している部分もあるが、もっと出来たかなぁという部分もある。しかし、一期一会。貴重なものになった。
山田さん: 今の洸太と今のメンバーでしか出来ないものだった。

*中尾さん作品の衣裳について
中尾さん: 裏表、前後で着ている。作品が出来上がってから、衣裳さんにイメージや色をざっくり伝えて作って貰った。衣裳が届いてみると、「S」とか「A」みたいな墨のような文字が入っていてびっくりした。

*「Noismレパートリー」に関して
山田さん: 今回、金森さんの初期の作品で電子音楽による、シャープで張りのある踊りのものから選んだ。キャスティングは難しいのだが、彼ら自身もわかっていない彼らがいるので、これをやらせた方がいいな、とか考えてキャスティングした。

*中尾さんが好きなジブリ作品ほか、映画に関して(←初日のアフタートークのなかで、「宮崎駿」という名前に言及があったことから)
中尾さん: 『風立ちぬ』『天空の城ラピュタ』『紅の豚』。穣さんには「っぽいなぁ」と言われた。ひとつのシーンが好きになって、作品が好きになるということがあり、この3作品にはそういうシーンが多い。
山田さん: 自分は『紅の豚』と『崖の上のポニョ』。絵と勢いが好み。自分にも「絵が好きで」っていう作品がある。「長くて」、絶対寝てしまうんだけど。(それはアッバス・キアロスタミ『そして人生はつづく』だそう。)
山田さん: 洸太の作品には、ただ舞踊からだけじゃない動きを感じたりする。映画からの影響はあるか。
中尾さん: 映画からの影響の自覚はない。絵や音楽の影響が大きい。それもシンプルなものに惹かれる。草原に一本の木とか。

*一年目のメンバーに関して
山田さん: 今回、フランス、アメリカ、台湾から新潟市に移り住んだメンバーがいる。Noismという環境だけでも大変なのに、相当大変だったろうが、無事に今日を終えて、ホッとしている。雪や地震もあって、本当にびっくりして、不安だったことだろうが、踊りにしか逃げ場はない。踊りに集中して乗り越えてくれた。

*今の中尾さんにとって踊ること、振り付けること
中尾さん: 今は作る方に気持ちが向かっている。このクリエイションから公演の期間中、踊りたい欲がどんどん溜まってきているのを感じるが、ギリギリ作りたい気持ちが強い。


*水槽の中に仮面を入れる意味は
中尾さん: 水槽は、ある種の枠だったり、ひいて見ると惑星だったり。女性、球体、赤ちゃんが生まれるお腹のなかだったり。「生前(=生まれる前)」と思って作り始めた。
今だから話すと、仮面をつけている側が「心」で、心を制するようにいるのが「脳」。犬を連れたり、相手を踏んだりは「脳」が「心」を制している動き。バランスがとれているのか、いないのか。
仮面を枠の中に押し込んで、生まれる前に僕らの「心」ができ、ひとりの人が生まれる…。

…と、そんなお話だったかと。

「新しい振付家のデビューに立ち会えて嬉しかった」と山田さん。最後に、「20周年記念公演『Amomentof』に来てください」の一言で楽日のアフタートークは締め括られ、同時に、刺激的なまでの3日間の「目撃」は幕となりました。

たとえ、この日の高揚感がどんなに大きかったにせよ、ひとつ確かなこと。B’zではありませんが、(彼らの)ゴールはここじゃない。むしろ、まだ始まったばかり。そして挑戦はつづく。応援するこちらも楽しみはつづく…。
そんなことを思いながら、りゅーとぴあを後にしました。

(shin)

Noism2定期公演vol.15:「舞踊家として悩む中日」(中尾さん)を体験した13人とそれを見詰めた観客

2024年3月2日(土)の新潟市は、雪は舞うは、道路は凍りつくはで、まさに冬に逆戻りでもしたかのような一日。3月だというのに。
前日に幕があがっていたNoism2定期公演vol.15は、この日、14時からと18時からの2公演がある「マチソワ」の日だったのですが、その両方の舞台を目撃してきました。そう、まさに「目撃」の一日でした。

まずは踊られた2つの演目に関して、感じた事柄を書くことから始めようと思います。

最初は金森さんの振付で、山田さんによる構成の「Noismレパートリー」からです。今回は電子音やノイズの中で踊られる作品(『R.O.O.M.』『sense-datum』『no・mad・ic project – 7 fragments in memory』)からの抜粋なのですが、最初の一音が響いたその一瞬から、極めて「Noism的な」と言う他ない動きへの、13人の挑戦が始まることになります。それは、舞踊家が苦しければ苦しいほど、観客は気分があがってくるといった嗜虐的な時間です。しかし、エッジの効いた早いビートに乗るだけでは不充分であり、更に、その向こうに、踊る舞踊家その人でしかないものが見えてこなければなりません。課せられたそんな極めて高いハードルに対して、多くの視線を浴びるなか、アドレナリンを出しつつも、「離見の見」をもちつつ挑んでいく時間の体験です。大きな成長に繋がる機会と言える訳です。「Noismレパートリー」には、13人全員が各自の「今」を超え出ようと格闘する姿が溢れていて、見詰めていると胸に迫ってくるものがあります。
この日の2公演を観ての感想としては、2年目の5人の動きに、やはり一日の長があり、安定した「Noismらしさ」が強く感じられたと記しておきます。そして、なかでも春木有紗さんに目が惹きつけられたことも。場を圧する空気感において群を抜いていたように感じました。

休憩後は、Noism1の中尾洸太さん振付演出の新作『水槽の中の仮面』です。30分の作品を振付るのは初めてとのことですが、主に6組のデュオのフォーマットを用いて、中尾さんらしいリリカルさを基調にしながら、描かれていく2者間の隔たりに、ある種の不穏さが色濃く漂うアレゴリカルな(隠喩的な)作品と映りました。現在の世界情勢などが、否応なしに、反映されているといった感じも受けますが、「隔たり」を扱うこの作品自体は、踊り込まれることによって、様々な受け取り方を許すものになり得るように感じました。踊る側の深度が増すことによって、中尾さんの当初のイメージを超えていくだろう可能性をそこここに感じながら観たような次第です。(同時に、これも否応なく、「水槽」と「仮面」についての思索に誘われています、今。)また、使用楽曲のシューベルト『死と乙女』もそれが描く死と安息を「隔たり」繋がりで捉えようとすると、今作に奥行きを与えてくれるものがあると言えるでしょう。様々な点で、たくさんの「開口部」を持つ作品であると思いました。
いずれにしましても、今回が本格的な振付デビューとなる中尾さんが、Noism2メンバーの「今」に向き合うかたちで作られた本作、必見ですね。

2つの演目を公演中日の2時の回と6時の回に観た訳ですが、2回を併せて、そんなことを感じました。

その後のアフタートークについてもかいつまんで記します。この日の登壇者としてアナウンスされていたのは、地域活動部門芸術監督・山田勇気さんとNoism2リハーサル監督・浅海侑加さんでしたが、途中、質問への回答上の要請から、場内にいた中尾洸太さんも加わることになりました。

*メンバーが悩んだり、苦しんだりしているときの声掛け
浅海さん: 【今回のクリエイションにおいては】(じっくり考えてから)「洸太(=中尾洸太さん)を真似してみて。洸太も音楽を聴いて動きを作っているので」とか言ったりした。
【普通に悩んだり苦しんだりしているときには】経験する時間を感じて欲しい。その気持ちを感じることも経験だから。
山田さん: 経験が浅いし、難しい部分。簡単な答えはない。今日の舞台もひとつの経験。

*今回、苦労したところは
浅海さん: 洸太の作品は新作で、過去に踊った人の手本がないので、ゼロから作り上げなければならない。洸太の作品なので、稽古をみていて、自分が思うことだけになっていって、違ってしまっては嫌なので。どこまで伝えたらいいか。
山田さん: 「レパートリー」には過去の振付があって、難易度が高くても崩せない。そこにもっていって、自分が踊る意味を見出させること。

*中日の舞台(2公演)に関して
山田さん: 昨日、初日があけて、今日は2公演。初日はエネルギーを解放させたのだが、中日の昼の部(2時の回)は持っていき方が難しかった。しかし、夜の部(6時の回)には、修正して、違った面が見られた。「レパートリー」に関しては、どちらも色々な「点(=箇所)」でいい人、光る人が違った。洸太の作品は、全体の色が毎回違ってきていて、どこへ落ち着くのかなぁと。
浅海さん: ここまで3回全部違う。洸太の作品は毎回印象が変わるが、今回は「人間」というものを感じた。彼らが経験している姿を見て、人生の一部だとか、「今」だとかいうふうに。言語化できない気持ち、したくない気持ちになった。

*身体のケア・回復方法
山田さん: 個人に委ねられている。その準備もひとつの経験。自分の身体を知って、ルーティーンを確立していく。

*中尾さんのメンバーの選び方
中尾さん: 選び方はインスピレーション。曲を決めてあるので、そこから思い浮かぶ人のを選んだ。そして、自分は振りを決めていかずに、その人がいる場で音楽を聴いて、振りを決めていった。(曲 → ダンサー → 振り、の順。)

*中尾さんが苦労したこと
中尾さん: 『鬼』の公演前に急ピッチに振り付けたものが、『鬼』公演の1ヶ月をおいたら、不安な気持ちになってしまった。どう見えているのか精査し切れないままだったので、「過去(1ヶ月前)」に考えて出したものが「これでよかったかなぁ」と不安に。
『鬼』が終わって、再開したとき、「1回通しで見せてくれ」と言って、「今」の自分を重ねていく前に、「過去」の自分を再確認して始めた。

*中日の舞台の印象
山田さん: 彼ら自身と自分の向き合い方を考えて見てしまった。これからどうしようかと。
中尾さん: 気分によって、波が激しいなと。自分も気分によって変わるタイプなのでわかる。「中日」は舞踊家にとって、どう持っていったらいいか悩む日。2時の回は「うーん、あんまりだなぁ」と思ったが、6時の回は「その体験を体験たらしめている」と思った。昇華して、伝え方も変わった。(その体験を)次に使えている。
浅海さん: 2時の回と6時の回とでは全然違っていた。稽古監督としては、踊りの部分での見せ方とか言いたいことは結構あるけれど。

*中尾さん作品の衣裳に関して(←衣裳の着方の違いに気付いたという会場からの声を受けて)
中尾さん: 表と裏で着ている。最初に出した衣裳案は、「Aライン」の白で、立体的にふわっと、というもの。その後、そこに黒いライン(線)も欲しいと思ったが、その下を黒にして、透ける感じにした。表と裏にして着ることで、パターンを増やさなくて済んだ。どっちが表、裏を着るかは純粋に見た目で決めた。

と、そんな感じでご紹介とさせて頂きます。

さて、これを書いているうちに日付も変わってしまいましたので、Noism2定期公演vol.15も本日(楽日)の2公演を残すのみとなりました。まだ、夜の回はお求め頂ける様子です。日々「体験」し、「経験」を増していく13人の若者。是非、彼らの「今」の格闘を目撃しにいらしてください。それはそのまま、観客としても、きっと心動かされずにはいられない時間の「経験」になるでしょうから。

(shin)



「挑戦」を超えた、若き舞踊家と振付家の誕生(サポーター 公演感想)

Noism2定期公演vol.15初日は、完売・当日券無しの盛況となった。先日の活動支援会員向け公開リハーサルでは、まだまだ緊張や葛藤も見られたNoism2メンバーだったが、第一部「Noismレパートリー」の幕が開くや、身体の躍動と音楽の連打で一気に会場の空気を高揚させた。金森穣作品の内、『R.O.O.M.』始め電子音楽に乗って展開する諸作に絞ってNoismならではの無機質さと有機的な身体との拮抗や、硬質なエロスといったエッセンスを抽出した山田勇気地域活動部門芸術監督の構成が冴え、Noism的なるものを体得しつつあるメンバーと、成長の途上にあるメンバーとの共闘や、その差異がもたらす新鮮な感覚に、いつしか忘我して舞台に没頭した。過去最多となる13名のメンバー各々の個性は、これから更なる開花を見せるだろうが、しなやかな身体性と既にして凄絶ささえ漂わせる表情で舞台を牽引した春木有紗さんをここでは特筆したい。

そして「Noism1メンバー振付公演」を経て、本格的な演出・振付家デビューとなった中尾洸太作品『水槽の中の仮面』が生み出した、瑞々しい感動たるや。12人の女性メンバーによる6組のデュオが交錯し、音楽の高揚とそれぞれの身体が確かな共振を現出させ、いつしか目頭が熱くなっていた。支配・被支配、仮面と素顔という対比を超えて、重ね合う額や肌で通じ合う6組の「魂」(中心となる春木有紗さん・与儀直希さんコンビ始め、デュオそれぞれが互いを高め合うようだった)。否応なく、パレスチナを始め世界で命を奪われている人々に思い至る鮮やかな終幕。舞台美術の明確なコンセプト。師・金森穣の影響を感じさせつつも、独自の舞台芸術を産み出そうとした中尾洸太さんの挑戦は、確かな成果として結実していた。実に4回に及んだカーテンコールでの熱い拍手もその証左だろう。

山田勇気さんとのアフタートークで、初日の印象を問われた中尾さんの「サプライズがあった。僕の考えた振付を超えて、メンバーが舞台で生きていた」という感慨は、観客もまた感じ取ったものだった。6組のデュオは「インスピレイションで決めた。対になるような個性のメンバー同士で」という裏話や、「楽曲と自身のイメージが先にあって、その先に振付がある」という創作過程、会場からの現在の「戦争」からの影響を感じたという声に、「強く影響を受けた。最近は三島由紀夫や鈴木忠志、宮崎駿など『戦争』を経験した人の作品に関心がある」という回答など、中尾さんの率直かつ誠実な言葉の数々。舞台の仕上がりに安堵したと語りつつ、「欲を言えば、金森穣作品と、もっともっと違う世界を見せて欲しい」「自身のイメージを基にすると、そこに縛られることもあるよね。それをどう超えるか」「Noism2を、Noism1メンバーが振付ける試みを永く続けたい」と優しくも鋭くエールを送る山田勇気さんの姿も印象深い。若き舞踊家と振付家の渾身に、観客もまた全身で向き合うことで、豊かな時間となったNoism2定期公演初日。明日・明後日の公演をご覧になる方も、是非刮目して彼女・彼らの躍動に立ち合っていただきたい。

久志田渉(新潟・市民映画館鑑賞会副会長、安吾の会事務局長、さわさわ会役員)

Noism2定期公演vol.15 活動支援会員対象公開リハーサルを見てきました♪

2024年2月24日(土)、気温もそこまで低くはなく、季節は確実に動いているなぁと感じさせられるような三連休の中日、りゅーとぴあ〈スタジオB〉に赴き、標記Noism2定期公演vol.15に向けた活動支援会員対象公開リハーサル(12:00~13:00)を見てきました。

3日前のメディア向け公開リハーサルは、中尾洸太さんの新作『水槽の中の仮面』のリハーサル風景だったのですが、この日は、1時間枠を2分割して、前半は山田勇気さんが指導する「金森穣振付Noismレパートリー作品」の様子を、後半は中尾さん作品について見せて貰いました。

正午。その「金森穣振付Noismレパートリー」からです。山田さんの「それじゃあいきましょうか、3曲。3曲続けて」の言葉から始まりました。村上莉湖さんが両腕を拡げて上手(かみて)に伏せると、聞き覚えのあるノイズ然とした音楽が聞こえてきます。まずは『R.O.O.M.』から。(今回は天井から落ちてきたりはしなさそうです。)次いで、『sense-datum』へと進んでいくのを見ることになりました。

山田さんは椅子に腰掛けたまま、Noism2メンバーたちの動きを細大漏らさず、逐一目で追い続けますが、時折、音楽に合わせて腕(そして掌や指)を動かすその後ろ姿には、あたかも、自らがその一本の腕へと収斂し、その腕が追い求められ得る限りの理想の動きでその時々の一音一音を踊っているかのような風情が認められたほどです。

一旦、「3曲」を通し終えたところで、音楽を止めた山田さん。『R.O.O.M.』から動きのブラッシュアップが始まります。
「最初のポジションにきもちエネルギーが欲しい。張りを見せていく」
「それだと動きが消えちゃうんだよね」
「しっかりダウン。(重心が)常に下にあるんだから、大きくは飛べない筈」
伏せている姿に対して、または、足を回す動きについて、或いは、身体を回転させたその後に関して、そのひとつひとつに、山田さんから丁寧に細かなチェックが入り、若き研修生たちがそれに向き合っていきます。それらを通して、その場に居合わせた私たちにも「レパートリー」とは単になぞられるものでは済まず、同じ精神性の共有を求めてくるものなのだという当然過ぎる事実が(わかってはいたつもりでしたが、)ビンビン伝わってきました。

12:30。「じゃあ、ここまでで、次、洸太作品」という山田さんの声がかかり、後半の『水槽の中の仮面』リハに移りました。この日のメンバーは仮面はない代わりに、恐らく、衣裳と思われるものをその上半身に纏っています。

この日の中尾さんは、山田さんとは異なり、共にリノリウムの上にいて、音楽を都度止めながら、動きを練り上げていきました。
「音楽が“のぺーっ”と聞こえちゃう。音楽は壁紙じゃないんだから」
「イメージが自分だけで完結している。自分の呼吸感をまわりに伝播させていくこと。そして、まわりはそれを受け止めないと」
「(動きの)弱いところは弱くして欲しい。そして、強いところも、なんでそれが強く見えるのか、その本質的なところが大事」
中尾さんによって研修生たちにかけられる言葉、そして同時に示される実演、そのどちらにも、先日の囲み取材の折に、中尾さんが強く実感したと語った「僕の当たり前が当たり前じゃない」という意識が見てとれました。動きを磨くことで、作品のヴィジョンの共有も進んでいくのでしょう。

前半の山田さん、後半の中尾さん、その都度、ふたりによるチェックが入った後は、それぞれ、みんな動きが違ってきます。その様子をつぶさに目撃すること、それは活動支援会員にとって本当に大きな「特典」と言えるでしょう。この日、私たちが息を殺して見詰めたものは、向上心に溢れる若い13人の研修生たちによる挑戦と格闘のドキュメントと呼んで間違いないものだったからです。そしてその先に、来週末の公演「本番」を位置付けて待つ日々に格別な楽しさが宿った、そうも言い添えたいと思います。(皆さんも是非、活動支援会員の仲間入りをしてみませんか。)

来る弥生3月初、若竹の如く、ぐんぐん成長を続けるNoism2メンバーによる定期公演です。くれぐれもお見逃しなく!

(shin)

Noism2定期公演vol.15メディア向け公開リハーサル&囲み取材に行ってきました♪

2024年2月21日(水)13時、前日からガクンと気温が下がり、雨の降る悪天候のなか、りゅーとぴあスタジオBを会場にしたNoism2定期公演vol.15 メディア向け公開リハーサル&囲み取材に参加してきました。

この日、公開されたのは、Noism1の中尾洸太さんがNoism2のために振り付けた新作『水槽の中の仮面』のリハーサル風景でした。

13時になり、スタジオBの中に進みますと、演出振付家用の椅子は無人で、その奥、白いリノリウムの上に、Noism2の女性メンバー12人に混じって、決して大柄とは言えないその人の姿はありました。光沢のある青紫のダウンベストと黒いスウェットパンツ。中尾さんが穏やかな調子で、しかし妥協することなく、ひとつひとつ動きをチェックして、ブラッシュアップしていきます。

今作は、12人の女性メンバーが主に、デュオ(ふたり)×6組で踊られていく作品のようです。そして、各組ひとりずつ、タイトルにある「仮面」をつけているのが目に入ってくるでしょう。それも鋭利な刃によって裁断されたかのような、何やら曰くありげな、白い「仮面」です。更に、それに呼応するように、ふたりずつの関係性にも、引き裂かれたかのような、一筋縄ではいかない歪(いびつ)な感じが漂っています…。

この日、私たちが見せて貰ったのは、作品の冒頭部分でしょうか。中央で踊るふたりは春木有紗さんと与儀直希さん。音楽を流し、或いは、止めて、動きに中尾さんの細かいメスが入っていきます。言葉で伝えつつ、実際に踊ってみせながら、たおやかな回転が、頽(くずお)れる際の美しさが、確信に満ちた張りのある動きが目指され、何度もやってみては何度も頷き、そうして彼女たち12人の動きが変わってきます。歪さの果てに、何か美しいものが生まれ落とされつつある、そんな予感を抱いた30分の現場でした。来月初め、通して観る舞台が楽しみでなりません。

公開リハーサルを終えると、その場で、山田勇気さんと中尾洸太さんを囲んでの取材となりました。こちらでは、おふたりが語った内容からいくらかご紹介しようと思います。

*中尾洸太さんへの振付委嘱に関して
山田さん: 中尾さんのこれまでの振付作品を観て、一度、Noism2のために振付をして欲しいと思っていたところ、井関さんから話があり、タイミングなんだなぁと思った。
・内側から芸術家を輩出していくというのもひとつ大きなミッションであり、そのひとつの足掛かりとしての第1回でもある。
中尾さん: 井関さんから電話があったとき、すぐに「やります」と答えた。クリエイションが始まった昨年10月半ばころから、実感はあまりなく、お客さんの反応を見るまでは実感できないのだろうなと。

*新作『水槽の中の仮面』に関して
中尾さん: テーマは心と体、脳と体、頭と体。椎名林檎の楽曲『生きる』冒頭の歌詞「体と心とが離れてしまった/居直れ我が生命よ」が頭に残っていて膨らませていった部分があり、また、日頃生きているなかでの疑問符を作品に昇華しようという部分もある。
・Noismでの振付作品は4作目。作品を作る際、いつも前回の作品に関係のあるものを作っちゃう。今回も3作目を舞台に出したときに、ふと心と体が浮かんできた。三島由紀夫の本などを読んでいると、当時の人たちが自分の意志や表現を明確に出していたのに比べて、現代は心と体の乖離が大きくなっているように思う。時代を超えて今の自分のあり方を問われているように感じ、その影響もある。
・「デュオ」を用いたのは、何か制限が欲しかったから。そして、心と体といった本来、ひとりに宿るものを明瞭化するのに、定められた相手とだけ踊り続けていく「ふたり」から見える関係性の変化を考えた。

*Noism2への振付・指導に関して
中尾さん: (この日の穏やかな指導の様子は)う~ん、まあ、メディア効果(笑)。(全員大爆笑) 自分は細かいので、詰めたくなりがちで、多分、要求は凄く多い。大らかなときもあるし、大らかでないときもある(笑)。
・他人と接する領分や領域が拡がった。リハーサルを経て、僕の当たり前が当たり前じゃないと強く思い返した。(わかっていたつもりだったが。)

*金森穣さんのこと
中尾さん: 最初に所属したプロフェッショナル・カンパニーがNoism。今となっては、血も骨も肉も、無意識の領域までベースはNoismで作られた部分が大きい。パッと出す振りだったり、パッと思いつくものが、僕に「彼」のにおいを凄く感じさせる。「彼」の言語に共感して、そこに実感があるからこそ。クリエイションしているなかで、「彼」の残影はよく感じさせられている。

今回のブログは、見せていただいた中尾さん作品に関する内容ばかりとなりましたが、公演チラシによりますと、同時に上演される金森穣振付Noismレパートリーの方は電子音楽を中心とする「音楽縛りの5作品」(山田さん)で構成される「鋭利でエネルギッシュなダンスコレクション」とのこと。どうやら、対称的な2作品を楽しむ機会となることでしょう。チケットはまだ用意があるそうですから、くれぐれもお見逃しのなきよう!

(shin)
(photos by aqua & shin)