2016年6月19日、早くから気温が上昇し、梅雨を通り越して、「真夏日」を記録した日曜日、
Noism『ラ・バヤデール -幻の国』は早くも新潟楽日を迎えました。
公演後、ミストレスの真下さんやSPACの俳優・奥野さんも話されていたことですが、
この日、出演者は一人残らず、3日間でもベストのパフォーマンスを示していたように思います。
それはまるで「幻の民族」(金森さん)が、個々の舞踊家や俳優を越え、時空を越えて、
りゅーとぴあ・劇場の舞台上に出現し、呼吸していたかのようでした。
いきなり話はアフタートークに飛びますが、この日、久方ぶりに金森さんと舞踊家(井関さん、中川さん、石原さん)が登壇し、公演に負けず劣らず、興味深い話を聞かせてくださいました。
誰しも関心を寄せる事柄であり、この場で紹介しても差し支えなさそうな、
「振付: Noism 1」というクレジットについて書きます。
質問シートでそのプロセスを質されると、
①まず、今回、金森さんは1個も振りを作っておらず、②Noism 1メンバーにキーワードが示され、
③メンバーが各自、それから喚起される言葉や音を20ほど挙げ、④そのなかから3~4程度の動きを作る。
⑤そうして集まった40~50の断片を金森さんが編集して、舞踊家に割り当てるというプロセスだったことが明かされました。
その時の様子を、「『悠子の振りは激しいから、お願い、私のところに来ないで』と思っていた」と井関さんが笑って打ち明ければ、石原さんは「(金森)穣さんが自分を消そうとして、抑制する姿が印象的だった」と振り返りました。
続けて、割り当てられた振りを覚えるために、メンバーは一つひとつの振りに考案者の名前を付け、
例えば、「悠子」「賢」・・・などと声に出しながら動いて練習していたという裏話が披露されると、
会場はその様子を想像して頷きながら聞き入っていました。
他も興味深い話ばかりでしたが、ネタバレになりそうな部分もあるため、
ここでは差し控えさせていただきます。
また、アフタートーク後、6F展望ラウンジに場所を移して開かれた初の試み
「公演感想を語り合いましょう!」も30名ほどの参加者を得ました。
公演を終えたばかりでお疲れのところ、
上に名前を挙げた真下さんと奥野さんからもご参加いただきました。どうも有難うございました。
和気藹々とした、とても自由な集まりになり、楽しい時間を過ごしたことを記しておきます。
また集まりましょう。
話を公演に戻します。
私たち観客の心に生涯に渡って煌めき続けるだろう今回の劇的舞踊は、
150年前に作られたバレエ『ラ・バヤデール』を云々する際、
堂々と参照すべきもうひとつの基準たる舞台作品の誕生を告げるものであり、
そのあたり、どう控えめに見積もっても、
「バレエの歴史に爪痕を残す」(平田オリザさん)ことは
成し遂げられたと言って間違いないでしょう。
21世紀に創作されるべき意義と、同時に、歴史に名を残す普遍性を備えた品格ある舞台。
ご覧になられた方々は幸福です。
他方、世界初演の一昨日から連日の変更を重ね、常に進化を続ける舞台はまさに生き物。
あまり気が回らない私は変化にも気付かないことが多いのですが、
それでも、何度も足を運びたくなる所以です。
そして、この後、神奈川、兵庫、愛知、静岡、少しおいて鳥取を巡るツアーにあっても、
連日進化するだろう舞台。
「情熱とお時間とゆとりがある方は追っかけて欲しい」と金森さん。
ただ、そのどれもが揃わない限り追いかけるのは難しい規模のツアーです。
それ故、この先成熟していく舞台に心底嫉妬せずにはいられない人が大多数でしょう。
オリジナルのバレエを凌駕したと言っても過言ではないくらい、幻想的で、
筆舌に尽くしがたい「影の王国」の美しさをはじめ、
様々な種類の「美」が途切れることなく繰り出される、『ラ・バヤデール -幻の国』。
これからご覧になられる方々は幸福です。
公演会場がお近くなら、是非お誘い合わせの上、ご来場いただき、
大人数で「約束された幸福」に浸って欲しいものです。 (shin)
3日間の幻の国、お疲れさまでした。また今回も素晴らしいレポに感動がよみがえります。
新潟楽日にいれなかった者としてはアフタートークも興味深く、振り付けの謎が少し解明されました。ありがとうございます。
この先各地をまわり、どのように進化していくのか、本当に楽しみですね。
公演後の語る会にも参加できず、残念でしたが、いつものことながらNoismの素晴らしいパフォーマンスに加え、サポーターの皆様との楽しく心温まる一時に感謝せずにはいられません。この場をかりてお礼を言わせていただきます。そして今後ともよろしくお願い致します!
HACOさん、コメント有難うございました。
また、拙いブログをお読み頂き、感謝します。
世界初演の皮切り、新潟3デイズの幕が下りてしまった今、
6月中旬の週末だけ、新潟に存在した「幻の国」は、
ムラカミにとってのマランシュ帝国同様、
既に回想の対象でしかなくなってしまいましたが、
多くのサポーターの方々と相まみえることができたことも含め、
これから先も確かな手触りとともに思い出すことになるのだと思います。
遠方よりお運び頂き、どうも有難うございました。
この先もまた宜しくお願いいたします。 (shin)
shinさん、HACOさん、ありがとうございました!
そして、展望ラウンジに来てくださった皆様、ありがとうございました!!
新潟公演楽日は完売御礼、大歓声で無事終了しました。
迷っていましたが、KAAT公演楽日に横浜へ行くことに決め、チケットもゲットしました。
美しい佐和子さん、そしてますます進化するバヤデールを観に、まさに「そわそわ会」から「じわじわ会」へ。
ブログ:いちかっこ ジョバンニのクロソイドダイアリー より。
・・・重く語られる脚本の縦糸を舞踊の横糸が空間に広げ、見事な芸術を編み上げて、終演後じわじわと感動が押し寄せるこの公演が、この後も各地へ向けて、飛び立って行くことに期待を込めて・・・
さて、今日は奥野晃士さんのナビゲートで「声に出して読む安吾」が開催されます。おかげさまで満席となりました。
どうもありがとうございました。 (fullmoon)
私は初日に観させていただきましたけど素晴らしい公演でしたね。
また「振付: Noism 1」についてですけど、先月のサポーターズ向けの公開リハーサルのときにホワイトボードに単語がたくさん記載されているのを見て、そのときには「なんだろう? イメージトレーニングかな?」くらいにしか思っておらず、あまり気にしていなかったのですが、今回のレポートですっきりしました(笑)。ありがとうございます。
Noismメンバのみなさんはまだまだほっとする間もないかもしれませんが、全国ツアーもがんばって欲しいですし、たくさんの皆さんに観て欲しいですね。
いぽぽぽぱんぱさん、どうも有難うございます。
コメントを拝見し、公開リハーサルの際に目にしていたホワイトボードのことを思い出させて頂きました。
見た記憶はありましたが、忘却の彼方・・・でございました。
私も点と点とが繋がって、胸のつかえがとれた感があります。
感謝です。
今回の劇的舞踊、時間が経つにつれて、
静かな感動の波がじわじわ押し寄せてくるように感じます。
とても良い舞台でしたね。
是非とも多くの方から足を運んで頂きたいものですね。 (shin)
楽日だけの鑑賞でしたが、「感動」では足りない、でもほかに的確な表現を持たない自分のヴォキャブラリーの貧弱さにいささかあきれながら、でも深い満足感に包まれて帰宅しました。
翌日このブログを拝見してビックリ。
ぜひお訊きしたいと思い記したことが取り上げられて、密かに(ここで書いてしまったら全く「密か」ではないですね)嬉しくなりました。
メンバー皆さんのお答えが的確に表現されていて、嬉しさ倍増です。
最初の部分がきれてアップされてしまいました。
いましがたコメントをのこしたぐるぐらです。
以下補足を。
「サポーターズの会員ではありませんが、思わずコメントを。
ブログに取り上げていただいた「振付:noism1」について質問シートに記した者です。」
粗忽者で申し訳ありません。
ぐりぐらさん、コメント有難うございました。
新潟楽日のアフタートークにて
「振付:Noism1」についてお訊ねになられた方とのこと。
大変恐縮です。
今回、振付のプロセスを質す質問は会場にいた全員が訊きたかった事柄だと思います。
代表して質問して頂き、有難うございました。
壇上から頂いた答えについても、正確を期して記したつもりです。
ご満足頂けましたら幸いです。
また、サポーターズ会員の方でなくともコメントは大歓迎です。
これからもご感想などお聞かせくださいね。 (shin)