Noismの新作・劇的舞踊『ラ・バヤデール -幻の国』。
その世界初演を約一ヶ月後に控えた5月15日(日)午後3時、
りゅーとぴあ「スタジオB」での公開リハーサルに行ってきました。
この日公開されたのは、同名バレエでは「影の王国」として知られる部分で、
作品の第二部、フィナーレ付近に至るクリエイション風景でした。
阿片中毒患者「癮(いん)」を踊るメンズ6人衆から始まり、
精霊12人の群舞、井関さんと中川さんのパ・ド・ドゥまで約30分通して踊ったあと、
振りのみならず、細かい所作に至るまで、金森さんの鋭いメスが入れられていきました。
例えば、目線ひとつで、精霊たちは100mも上空から地上を見下ろす風情に一変しました。
曰く、「自分の内側のイメージを変えないと動きは変わらない。」
更に、「『間(ま)』がなかったら美しくない」こと、
「体は止まっていても、中は動いている」状態でいること、
仰臥位で横たわる場面では「重力に抗うんだよ。腹筋を使って重力を消すんだよ。
重力という性(さが)や俗を」、等々。
身振り手振りを交えて、あるときは自ら踊って見せながら、
金森さんの発する熱い言葉が
メンバー一人ひとりの動きをみるみる変えていきます。
他方、メンバーがそれぞれ纏う
ISSEY MIYAKE宮前さんによる衣裳はどれも素敵だったこと、
SPAC(静岡県舞台芸術センター)から出演する3名の俳優の方の台詞が
質感豊かに私たちを「幻の国」へ誘ってくれたことまで含めて、
改めて、Noismのクオリティは短時間で成し遂げられるものではないことを
痛感させられた次第です。
予定の1時間を越えて、4時15分過ぎまで、
真剣なクリエイションの一挙手一投足に至るまで何も見逃すまいと、
瞬きすることさえ忘れて、視線を注いでいるうちに、
こちらにも張り詰めた空気は伝わってきて、
ただ座って見ているだけだったというのに疲れを感じたほどでした。
こうして遂に一部ヴェールを脱いだNoism劇的舞踊『ラ・バヤデール -幻の国』。
まだまだ錬磨に錬磨を重ねて初日を迎えることに間違いはありません。
そして公演初日、『ラ・バヤデール』の歴史は書き換えられることでしょう。
その歴史の転換点を自らの目で目撃するチャンスを逃す手はありません。
残席も残りわずかと聞いています。良いお席はお早めに。
刮目して待つことにいたしましょう。 (shin)
精霊たちの衣裳、すごく素敵でしたね。
井関ミランと中川バートルの踊りにうっとり。
佐和子さんの風情がたおやかで儚くて・・・
金森監督の鋭い指摘には、こちらの方が緊張しつつも納得の内容。
ガンバレ、メンバー!!
(fullmoon)
衣裳も注目の的ですよね。
各民族の衣裳がそれぞれのテーマの下に作られるということですが、
リハーサルで目にすることができた幾つかだけでさえ、
その質感を全く異にしていましたよね。
そしてそれらの違いは、
メンバーが最初に考えた振りをベースにし、
それを金森さんが纏め上げていく今回の振り付けの方法論と相俟って、
「民族」の違いを充分視覚的に伝えてくれるものと思われます。
どんな舞台になるのか、待ち遠しい限りですね。 (shin)
初めてのリハ参加でした‼︎
うまく言葉では言い表せませんが、穣さんがおっしゃることが、まさに身体を通じて伝わってきた気がします。
来月が楽しみです‼︎
モンちゃさん、有難うございます。
この折、金森さんはずっと「imagination」の大切さを訴えていましたね。
それは役柄(人物・状況)へのimaginationであり、
客席から見られる身体に関するimaginationでもありました。
そうした高次の集中を要する彫塑は
間違いなく本番に結実することでしょう。
期待はいやが上にも膨らみます。 (shin)
まだまだと思っていた本番までもあと数週間,,,諸事情により公開リハにはまたしても行けませんでしたが、こちらのおかげで動き、衣装、何もかもがより楽しみになっています!
HACOさん、コメント有難うございました。
5月も最後の日を迎え、世界初演の舞台がじわじわ近付いてますね。
公開リハでも、照明や空間はヴェールに包まれたままでしたから、
それらが全て揃った本番の舞台は、
私たちの想像を軽く超えたものになることに間違いはありません。
ところで、「DANCE MAGAZINE」7月号(新書館)の
13頁に及ぶ「特集・金森穣&Noismのいま」はお読みになりましたか。
『ラ・バヤデール』公演への期待感が高まるこの時期にうってつけで、
お楽しみ頂けるものと思います。
圧倒される「準備」をしながら、幕が上がるのを待ちたいところです。 (shin)