小学校へ、海岸へ…。りゅーとぴあから地域へ♪地域貢献を活発化させるNoism Company Niigata

暖かいを通り越し、暑いと感じられる日も多くなってきた2022年5月末の新潟市界隈。もしかしたら、一週間前のNoism2定期公演vol.13で若きメンバーたちが見せた「熱演」が季節をグッと進める効果を発揮したのかも知れません。

そのNoism2メンバーたちは公演後、市内の小学校へのアウトリーチに忙しい日々に突入しています。2週間(7日間)で12ヶ校の訪問とのことで、しかも、ほぼ大半を占める5日間は2校ずつの訪問という過密スケジュールを精力的にこなします。

「アウトリーチ」、どんなことをやるのかなぁと思っていたところ、5/27にFNNプライムオンラインが、前日(5/26)の大野小学校訪問の様子を伝えてくれました。

上のリンクからは、和気藹々に交流する様子を垣間見ることができますし、更に、「ここの場だけではなく、りゅーとぴあとか違うところでもまた活躍しているところを拝見したいです」と話した男の子の言葉にはダンサーへのリスペクトが感じられ、地域の文化継承にとって計り知れない意味をもつ活動であることがまざまざ伝わってきました。間違いなく劇場に環流するだろう流れ、その始原の営み。こんなかたちの「アウトリーチ」、実に羨ましい!ホント羨ましい!

また、その数日前の新潟日報(5/25)には、5/29(日)の県知事選関連の記事として、山田勇気さんが取り上げられていました。

新潟日報2022年5月25日朝刊より

「もしも私が知事になったら」という特集記事の中で、「文化を守り、発展させて地域を元気にしたい」とし、「心を豊かさは数字で計れないが、そうしたことを大切にしたい」と語る山田さん。9月にはNoism初代の地域活動部門芸術監督に就任されます。上にあげた「アウトリーチ」を含めて、舞踊団とそれを抱える地域とのWin-Winの関係構築に向けて一層精力的に動いてくれることは間違いありません。Noism Company Niigataがこの国唯一の劇場専属舞踊団であるのですから、それは、大袈裟に言えば、この地上、未だかつてどこにも存在しなかった類いの活動になる筈とも言えるでしょう。期待は膨らみます。

そして、知事選の日程繋がりでもうひとつ。選挙当日5/29(日)の朝7:00~8:00(受付6:30~)に新潟市・関屋浜で「春の海ごみゼロウィーク2022・全国一斉清掃キャンペーン」が行われ、清掃前の準備体操をNoismメンバーが指導してくれるというかつてないかたちの触れ合いの場面が用意されています。『NINA』だとか、『R.O.O.M.』だとか身体を酷使する系の準備体操ではないとは思われますが、たとえそうだったしても、シュールで面白いだろうなぁと妄想は止みません。(笑)

以前、『箱入り娘』のラストシーンが撮られ、今般のアウトリーチでも披露されている『砕波』のイメージの源泉とも言える「ニイガタ」の海岸、そこを清掃する活動。円環が綺麗に繋がり、Noism Company Niigataの新生面を見る思いです。そしてまだまだ見たこともないこの舞踊団の姿は無数にあって、この先、それが一つひとつ、地域・市民と共に形作られていくとしたら…。Noism Company Niigata、既に私たちにとっての「シビックプライド」の対象なのですが、更に更に「ちむどんどん」でしかない訳です♪

追記: 知事選において、「山田勇気」と投票したいところですが、山田さんはNoismに不可欠なだけでなく、そもそも無効票となってしまいますので、お控えください。蛇足でした。(笑)

*翌日開催された「にいがたクリーンアクションin関屋浜」の様子についてはこちらからどうぞ。

(shin)

「2日で2公演じゃ勿体ない!」そんな実感のNoism2定期公演vol.13楽日

2022年5月22日(日)、見事にたくさんの「2」で表記されたこの日の15時から、りゅーとぴあ・劇場にて、Noism2定期公演vol.13楽日の公演を堪能しました。前日に幕が上がり、もうこの日がラストです。日曜日の楽日とあって、メンバーのご家族と思しき方々も多く訪れていたようです。

夥しい数の「2」が本公演を祝福♪

運良く、両日とも観ることができた者のひとりとして、まず感じたのは、たった1日の本番経験で踊りが格段に練度を上げていることでした。昨日は昨日で、ある意味、初々しさが目を楽しませましたが、今日の舞台は、全くその趣を異にし、自信と確信を増した8人の舞踊を観ることになったと言い切りたいと思います。彼ら彼女たちの伸びしろ、そして成長速度の恐ろしさよ。勿論、良い意味です。

第1幕、金森さん振付のNoismレパートリー。この日の舞台の印象としては、全員に「攻める」部分が出て来ていると感じられたことが大きかったと思います。泣いても笑っても、この日が最後。ならば、全部出し切ろうという覚悟が動きのキレとなって表出されていて、ビンビン心に刺さってきました。
なかでも(あくまでも個人的に、ですが、)圧巻だったのは、レパートリーの最後に踊られた『砕波』です。鼓童の太鼓が刻む細かいビートが8人の身体によって増幅されてくるかのようで、観ているこちらも、金森さんが折々に口にするミラーニューロンの働きにより、完全なシンクロ状態に至り、演者と同じ時間を共有し得たことに大きな満足感を感じる自分を見出しました。この後、Noism2は鼓童のイベント「アース・セレブレーション」に参加して、同演目を生演奏で踊る予定があるらしく、一気に、佐渡へ出掛けて、その時間を堪能したい思いが膨らんでしまったのは私ひとりではなかったでしょう。『砕波』、全編通してまた観たいです♪その後の15分間の休憩は、8つの身体が心地よく刻んだビートのままに過ぎていきました。

休憩後、再び、緞帳が上がると蹲る少年と背後には黒衣たち。この日も名作『火の鳥』を観られることが嬉しくない訳がありませんでした。ダブルキャストで踊られた同作は、この日の火の鳥は土屋景衣子さんで、少年が太田菜月さん。前日と異なるメインキャストのみならず、8人全員が、作品全体の趣を一変させ、また違った味わいの『火の鳥』を見せてくれたことは、正直、驚きでした。「こんなにも違うのか!」といった案配だっただけに、ダブルキャストの両方を観られたことは実に嬉しい事柄でした。昨日とは違うものを観ている意識で視線を送るうちに、作品は最後の場面を迎えます。知ってはいても、やはり鳥肌もののラストの切れ味です。この日も大きな拍手が湧き上がり、カーテンコールが繰り返されました。客電が点ってからも、鳴り止まぬ拍手に、緞帳があがり、笑顔の演者たちはより一層の笑顔で拍手に応えます。場内を包んだ多幸感。それはもう言葉で表現することなどできよう筈のないものでした…。

そして今思うこと、それは「2日で2公演じゃ勿体ない!勿体なさ過ぎる!」ってことのみです。舞台で踊った者も、客席から視線を送った者も、例外なく、そんなことを思っていたと断定して間違いなかった筈です。2日間、それほどまでに充実した公演を見せてくれたNoism2メンバーの今後に期待は膨らむ一方の今です。

(shin)

大きな拍手が送られたNoism2 定期公演vol.13初日

2022年5月21日(土)の夕方17時、りゅーとぴあ・劇場を会場に、Noism2の定期公演vol.13初日の幕が上がり、若き研修生カンパニーが、それぞれの「今」に向き合いつつ、伸びやかで新鮮な舞踊を披露し、繰り返されたカーテンコールの間中、場内から大きな拍手を受けました。

この日に至る迄、Noism の公式インスタにて、Noism2メンバーのインタビュー動画が連続アップされるなど、今までにない新機軸が打ち出され、Noism2というカンパニーがより身近に感じられるようになっていたことも特筆ものだったと思います。

まず、休憩前の第1幕は金森穣振付レパートリー(35分)です。『Me/mento, 4am”ne”siac』、ミニマルで無機質な音楽と白の印象が強いスタイリッシュな演目でスタートしました。みんなシュッとしていて、観る者をアッという間に舞踊の内部に取り込んでいきました。そこから一転、バッハが流れる次の演目へと移行するのですが、その移行は見ていて楽しいものでした。明日ご覧になる方はそこもお楽しみ頂けるものと思います。『Phychic 3.11』『solo for 2』と陰影あるバッハが踊られた後、『R.O.O.M.』に転ずるところでは色味も増し、やはり目を楽しませるものがあります。その後、昨年の『Complex』を経て、鼓童の音楽による『砕波』と続く流れも多彩で、レパートリー作品としてよく練り上げられていると感じました。
そして何より、それらを次々踊っていくNoism2のメンバーたちがその若き身体を使って、過去に観たことのある数々のNoism作品をいっとき、この日の舞台上に召喚し、懸命にそれらと同化していこうとする姿を目撃したことで胸が熱くなりました。まだ休憩前の前半であるにも拘わらず、既に大きな拍手が送られたことには何の不思議もありません。休憩中のホワイエで目にした観客たちの顔という顔には満足げな表情が浮かんでいました。

そして、やはり休憩後の『火の鳥』では、期待を裏切ることのない渾身の舞踊を目にすることになりました。火の鳥の兼述育見さん、少年の渡部梨乃さんをはじめ、全員が持てる技量の限りを尽くし、情感たっぷりに作品世界の中に没入して踊る様子は一瞬一瞬、観客を虜にしていきます。一人ひとりがこの名作に一期一会のこの日の息吹を吹き込んでいくかのようで、8人による生命力漲る『火の鳥』を観た気がし、感動しました。冒頭に書いたように拍手が鳴り止まなかったことも宜なるかな、そんな案配で、正直、いつまでも拍手していたい気持ちでした。

終演後、Noism2リハーサル監督の浅海侑加さんの姿を見つけたので、内心の感動を伝えようとしましたが、なかなか言葉にならなくてもどかしい思いがしました。その際、お願いして、本ブログ用に写真を撮らせて頂きましたので、ここに掲載させて頂きます。

「浅海さん、どうも有難うございました。素晴らしい公演でした」

その後、エレベーターホールまで進んだところで、今度は、先刻まで鮮烈な赤の衣裳で火の鳥を踊っていた兼述さんにバッタリ会う幸運に恵まれました。ここでも感動を伝えようとしたのですが、やはり気の利いたことなど言えよう筈もありませんでした。ただ、「感動しました。有難うございました」と直接、ご本人に言えただけで良しとします。

若い舞踊家たちの挑戦に胸が熱くなりっ放しのNoism2定期公演。
明日はまた別キャストで『火の鳥』が踊られます。そちらも期待大。
皆さま、必見ですよ。是非劇場にて目撃ください。

(shin)

Noism2定期公演vol.13 公開リハーサルに行ってきました♪

日時:5月13日(金)14:00~14:30 終了後 囲み取材14:30~14:45
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館〈スタジオB〉
対象:マスコミ、Noism活動支援会員

朝の雨はすっかりあがって薄日が差す中、気温も上がり蒸し暑いようなお天気です。そんな鬱陶しさを吹き飛ばすようなNoism2公開リハーサル!


本番(5/21、22)が来週に迫る中、『火の鳥』(約25分)を見せていただきました!

『火の鳥』は2011年に金森さんがNoism2のために、そして学校公演を視野に創作した作品で、再演を繰り返し、今回は6年ぶりの上演となります。
登場するのは少年と火の鳥、そして若者たち6名の、計8名。
少年と火の鳥はこれまでもダブルキャストの時がありましたが、今回もダブルキャストで、本日は〇〇さんと〇〇さん♪(あえて伏字)。
少年役は踊りもさることながら表情が素晴らしい! 火の鳥も伸びやかに舞います。

もう一組のキャストのお名前もお聞きしましたが、どうぞ当日のお楽しみに♪
土・日の二日間とも、ぜひお運びくださいね!
公演・作品について等、詳細はプレスリリースをご覧ください。

公開リハーサルには、Noism2リハーサル監督 浅海侑加さんはじめ、金森さん、井関さん、山田さん、そしてNoism1メンバーも参加して注視!
出演メンバーは緊張しますよね~。 Noism2メンバーの二人が体調不良とのことで、代わりにNoism1坪田光さんと準メンバー杉野可林さんが特別に出演します。
リハーサルが終わると、金森さんから若者たちへ、歩き方、立ち方の指導が入りました!
本番がますます楽しみです♪

リハは拍手で無事終了し、Noism2リハーサル監督 浅海侑加さんの囲み取材です。BSNで放送されると思いますのでご覧ください。
浅海さんのお話によると、公演の稽古は昨年末頃から始まったそうですが、メンバーが変わったりしたので、まとまってきたのは4月頃だそうです。
『火の鳥』は再演なので動画があり、それを見れば振りはわかりますが、できるだけ浅海さんから振りを渡すようにしたそうです。振りを自分のものにして表現してほしいと話されました。

難しいのは、全員が組んで踊る場面で、激しい動きの中でリフトして回転させたりするので、同じようになることは無く、難しさを痛感しているそうです。
少年、火の鳥、若者たちが、それぞれ影響しあい、変わっていくことが作品のテーマであり、人と人との関係性を感じてほしいと話されました。

私は歴代の『火の鳥』を観ていますが、やはり最後は泣けますね~。。。
そして、ストラヴィンスキーの音楽にぴったり合っていてすばらしい~♪

■上演予定作品
演出振付:金森穣 稽古監督:浅海侑加
・solo for 2 より 初演:2012 年
・R.O.O.M.より 初演:2019 年
・砕波 初演:2017 年
・Phychic 3.11 より 初演:2011 年
・Me/mento, 4 am ”ne” siac より 初演:2001 年
・火の鳥 初演:2011 年

上演作品、見どころ満載です!
5月21日(土)17:00、 22日(日)15:00 @りゅーとぴあ〈劇場〉
若さ溢れる舞踊家たちの輝きを観に、どうぞ劇場にお運びください♪

(fullmoon)
(撮影:aqua)

金森マジックを受け継ぐ、若き舞踊家たち(サポーター 公演感想)

Noism1メンバー振付公演2022〈2022/2/6(Sun.)15:00〉

昨日にも増して寒さが厳しかった2月6日の新潟市。りゅーとびあ・劇場でのメンバー振付公演千秋楽は、やはりその熱量で、観客の身体を深々と温める公演となった。

公演は前半3作品、休憩15分を挟んでの後半2作品、 約90分。

1作目は樋浦瞳演出振付「Four Falling Flowing Filaments」(出演:三好綾音、中村友美、兼述育見、渡部梨乃)。冒頭、舞台上手から下手方向へ、振り子のように大きく揺れ動く照明によって、一気に舞台へと引き込まれる。3~4mほどの鉄パイプを駆使してのダンスや、反復される動きの連なりなど、樋浦さんの演出力が光る。若き4人の女性舞踊家各々の引き締まった肉体美が醸す健康的なエロス、ダイナミックさと軽やかさが同居する動きの連鎖(鉄パイプを滑り落ちる振りの楽しさ)。舞踊を観る醍醐味と演出のケレンが、見事に炸裂した。中村友美さんのニュアンス豊かな表情含めた表現力、兼述育見さんの伸びやかな身体を活かした働きを特筆したい。

2作目は三好綾音演出振付「French suite #5」(出演:井本星那、庄島さくら、庄島すみれ)。3人の女性舞踊家が無音で、ピシリと動きを合わせてゆく静謐の美。白地の衣装含め、東京バレエ団によるイリ・キリアン「ドリーム・タイム」を連想する、夢のように愛おしい一瞬。そして、バッハの旋律に載って展開する庄島すみれさんのソロ→パ・ド・トロワの、躍動感と矛盾なく立ち現れる穏やかな余韻。井本星那さんと庄島姉妹が織りなす調和も相まって、バッハの楽曲に真摯に向き合った三好演出を味わう。

3作目は坪田光演出振付「Nyx」-「Eris」-(出演:ジョフォア・ポプラヴスキー、杉野可林、横山ひかり、兼述育児、土屋景衣子、渡部梨乃、糸川祐希、太田菜月)。スモークと照明のコントラストが鮮烈な舞台から滲み出してくる黒衣の群れ。苦悶する彼・彼女たちからは、否応なく「現在」を生きる苦悩が浮かび上がる。一転、ドラムスの激しいビートにのって展開する群舞では、若き舞踊家たちが劇場の広々とした空間を縦横に駆け、跳躍し、観る者を圧倒する。ジョフォアさんの堂々たる体躯を活かしたダンスはもちろん、杉野可林さん、兼述育見さん始め、ダンサーの若々しい息吹の連なりに、アジアや韓国の伝統芸能を連想し、高揚感を覚えた。

休憩後の4作目は中尾洸太演出振付「ひふみよ」(出演:井本星那、杉野可林、横山ひかり、青木愛美、西川瑚子)。暗闇を蠢く井本さんの背後で、まるで天地を支えるように立つ4人の舞踊家(内3人は逆立ち)。グレゴリア聖歌は、何処か日本の声明を思わせ、5人のダンサーの衣装が日常的な色彩だからこそ、より深々と「日常の祈り」を連想する。舞台後方に開かれた空間から飛び降りてゆく4人と、微かな光を求めて前進する井本さんとの対比が印象的なラスト含め、やはり「現在」を意識させられる一作。

そしてトリを飾る5作目はジョフォア・ポプラヴスキー演出振付「Being there」(出演:中村友美、樋浦瞳)。劇場の大空間を使いつつ、敢えて二人の舞踊家によるパ・ド・ドゥに挑んだジョフォア演出は、高らかに愛を謳い上げることの出来ない「現代」を舞踊によって昇華する、痛切な美に充ちた作品として結実した。暗闇を多用し、互いを求めつつ、磁石のように引き離されてゆく二人(男女や肉親・恋愛といった狭義に留まらない豊かなニュアンスを伴って)。僅かな照明の元で手を伸ばそうとして、触れることが出来ず、影絵のように暗闇を彷徨う中村さんと樋浦さん。音楽の転調も相まって、二人が劇場を駆けつつ舞い踊るシークエンスでは、涙が溢れた。幕切れをブラッシュアップすれば、Noismのレパートリーたりえる傑作と思う。

全5作いずれも、劇場の広さに挑みつつ、見事に観客を驚かせ、高揚へと導く 「ケレン味」と真摯さが同居していた。魔術的な演出を見せる芸術監督・金森穣さんの精神が、若き舞踊家たちの中に脈々と受け継がれていることを強く認識させられた。一朝一夕には生まれえない Noism Company Niigata、その18年の蓄積が、若き舞踊家たちを羽ばたかせているのだ、と思う。

(久志田渉)

激しく胸射つ若き舞踊家たちの創意(サポーター 公演感想)

Noism1メンバー振付公演2022〈2022/2/5(Sat.)17:00〉

厳しい寒さに見舞われつつも、予報ほどの降雪とはならなかった2月5日の新潟市。 Noism1メンバー振付公演2022初日に駆けつけた友人知己始め観客は、皆凍えた様子で劇場に集まったが、公演後には、その身体の奥から沸き上がる高揚が滲むようだった。明日の楽日を前に、詳細や演者の配置は記載を避けるが、劇場の広々とした空間を如何に活用し、音楽・照明・演出とダンサーの身体で、観客の胸に刻まれる「何か」を生み出そうとするメンバー五人の創意が充ち溢れるような公演だった。 まるで通奏低音のように、「東洋の美」や「祈り」が各作品から香ったことも印象深い。

ダイナミックかつ軽やかな動きの連鎖と、女性ダンサー4名の健康的なエロスが炸裂する樋浦瞳作品。静謐さと愛らしさとが調和を見せる三好綾音作品。暗闇から鮮やかに展開する切れ味が見事な坪田光作品。彫像のように美しいダンサーたちの動きと、演出のケレンに唸る中尾洸太作品。そして、失礼を承知で書けば、そのイメージを裏切り、ストイックな迄の悲愴感と演出の妙で、息を呑む舞台空間を創り上げたジョフォア・ポブラヴスキー作品。 どの演目かは避けるが、中村友美さんの活躍、中村さんと樋浦さんのデュオの美、 Noism2メンバーの堂々たる存在感は特筆したい。各作品の妙味が連なり、終演後2度目のカーテンコールでは、思わずスタンディングオベーションしてしまった。

客席移動も可能との案内もあり、感染対策も万全なりゅーとぴあ。 Noism1の若き舞踊家たち渾身の舞台をどうか見逃さないでいただきたい。明日15時からの千秋楽の盛況を祈りたい。

(久志田渉)

「にいがた総おどり祭」20周年記念オンライン公演「天地-AMATSUCHI-」のNoism2

2021年9月20日(月・祝)15時から17時までの2時間にわたり、今年、20周年を迎えた「にいがた総おどり」が「明日を創る」をテーマに、万代シティの交差点から、オンライン舞台をLIVE配信しました。(視聴チケット:税込み4,000円)

参加したのは、響’連、太鼓芸能集団 鼓童、Noism2、NGT48、ばんにゃい、澪-mio-、万代太鼓 華龍、永島流新潟樽砧伝承会ほか、公募出演キャスト。(欲を言えば、出演者や演目のテロップやタイムテーブルなどが示されると良いなぁと思いました。)私はいつものメンバー(=連れ合い)と軽く飲食しながら、スマホの小さなモニターを覗き込むようにして観ました。

勿論、お目当ては、Noism2×永島流新潟樽砧伝承会による名作「赤降る校庭 さらにもう一度 火の花 散れ」の部分再演。初演は2015年の8月、薄暮の校庭に灯された篝火のなか、その炎のゆらめきが醸し出す情緒と、そこに重なる繊細かつ力強いばち捌きから繰り出されるリズムとの三位一体を成し遂げ、「伝説」と化した感のある名作です。そしてその後も、ことある毎に「また観たい」と口の端に上ることが多かった舞踊でもあります。

15時、鼓童によるオープニングから始まり、NGT48の『Awesome』などを挟んで迎えた15:50、見覚えのある「にいがた総おどり祭」のプロモーションビデオが流れると、やがてそれが振付を行った山田勇気さん、そして永島流新潟樽砧伝承会代表の岡澤花菜子さんのインタビュー動画に繋がっていき、そのときが来たことを知ります。

奇しくも左上方の「赤地にM」が
色的に妙に調和してたりします(笑)

後方に樽砧の叩き手を配し、その手前、赤い衣裳の女性5人(青木愛実さん・兼述育見さん・小林亜優さん・土屋景衣子・渡部梨乃さん)、黒い衣裳の男性1人(糸川祐希さん)のNoism2メンバーが、6年前から全員入れ替わっただけでなく、そもそも新潟市に伝わる独特な音色にその身を浸していきます。この10分間だけは、当然ながら、ほかの一世風靡セピア然とした「前略、道の上より」(古っ!)的な時間とは異次元なもので、明らかに異彩を放つものになっていました。敢えて言語化してみれば、それは「ハレ」の祝祭空間がもたらす興奮に身を委ねるといったベクトルとは真逆で、叩き手と踊り手の磨き上げられた技量が(リモートといえども)観る者に陶酔をもたらし、そこに祝祭空間が立ち現れてくる、そんなパフォーマンスだったとでも言えるかと思います。殊に、ダンサーとも遜色のない岡澤さんの踊るようなばち捌きが刻み出す細かなリズムに応えて舞われた兼述さんのソロ部分など、(リモートといえども)まるで「1対1の決闘」ででもあるかのようなヒリヒリ感さえ伝わってきました。

本日踊ったNoism2のメンバーたちが全員、県外出身であることを考え合わせるとき、こうしたダイレクトに新潟市の歴史や伝統に連なる「演目」を踊る意味にも大きなものがあると思います。そしてそれと同時に、ここ新潟の地で、洋々たる「明日を創る」人たちであって欲しいと思いました。

活躍を期待しています、Noism2。

(shin)

「金森さん、マジすか!?」衝撃の『春の祭典』活動支援会員対象公開リハーサル!

2021年6月26日(土)の新潟市は日差しが強く、気温も上昇し、梅雨などどこへやら、もう「夏」の到来を思わせるような一日でした。

蒼天の下のりゅーとぴあ屋上庭園

行ってきました、活動支援会員対象の公開リハーサル。入場時間14:30を念頭にりゅーとぴあの劇場入口付近へ。やがて、「暑いですね」「ホントに」そんなふうに言いながら、いつもの面々が、気温以上の期待の高まりをその身体から発散させつつ集まってきます。

この日の公開リハーサル、予定された時間は15時から16時までの1時間。そうなると、「尺」からいっても『春の祭典』を見せて貰うことになりそうなのは確実。先日のメディア向け公開リハーサル後の囲み取材で、金森さんは「作品の終わらせ方が変わりました」と言っていたことを受けて、「でも、さすがにラストは見せないですよね。『ハイ、今日はここまで』って」「ですよね。こちらも本番で観るのを楽しみにしていたいし」そんな会話を交わしながら、ドキドキしながら入場の案内を待ちました。

この日も2階席から見せて貰ったのですが、遠目から、まず、一目見て感じた「ん、違う?」横一直線に並べられた21脚の椅子の見え方が今までと違っています。少しして違っている点に気付きました。そういえば、2日前の取材時に「ここから美術的にも変わったりする」って言ってましたっけ、金森さん。

そして15時。なんの前触れもなく、舞台下手袖から井関さんが姿を現しました。この日は2日前と違って、マスクなし。もう本番モードの21人。そこに血潮をたぎらすようなストラヴィンスキーによる圧倒的な楽音が降ってくると、上からも扇情的な照明が落ちてきて、そこからはもう、瞬きするのも惜しいくらいの舞台が展開されていきました。その圧巻の密度たるや、リハーサルとは思えないほどでした。

そうして目を吸い付けられるようにして見詰めているあいだに、どんどんストラヴィンスキーの音楽は進行していきます。やがて、金森さんの「ストップ!」がかかるまでと…。

しかし、しかし、しか~し、いつもの席に座る金森さんからは止めようという気配は微塵も感じられません。やがて、「これは最後までいくな」そう思うようになり、その通り、コロナ禍の状況が「必然」と感じさせた新しい「ラスト」まで観てしまうことになるのです。ホント、予期せぬ「マジすか!?」的展開には驚くほかありませんでした。

ですが、すぐ、こうも思いました。「ラストを観ていようが、いまいが、大した差はない。ただ実演の精度を上げるのみ。そう金森さんは考えているのだ」と。太っ腹というか、肝が据わっているというか、恐るべし金森さん。

もともと昨年、プレビュー公演を経ているのであってみれば、本来、今年の本公演は「再演」にも似た位置付け(*註)だった訳ですし、「ラスト」に至るまでの一瞬一瞬、21人の舞踊家の身体が切り出す「刹那」の美を見詰めてきた目にとって、「ラスト」がどうかなど、占める比重もさしたるものではあるまいと。それどころか、この日、「ラスト」を観て、知ってしまってさえ、更に期待が募るのは、Noismがこれまで舞台上から見せてきてくれた「刹那」が真実なればこそ。もっと言えば、「ラスト」を観てしまったことで、金森さんの揺るぎない信念に触れ、身震いのようなものを感じた事実をこそ書き記しておかねばと思った次第です。常に「超えてくる」のが、金森さんとNoismですから。

*註:金森さんは自身のtwitterで、明確に「再演ではなく初演」と言い切っております。そうだとすれば、なおのこと、この日、惜しげもなく「ラスト」まで通して見せてくれたことの背景に作品全体を通しての強い自信を感じようというものです。

音楽が止んだとき、呆気にとられて、控えめな拍手しかできなかった私たちは口々に「凄い」と漏らすのみ。そのあちこちから聞こえる「凄い」という言葉を拾って、「凄いね」と当然のように笑む金森さん。「詰めるとこ、もうちょっと詰めて、言いたいところはこういうところなので…。ひとりでも多くの方に観て頂いて」と自信のほどを窺わせました。そして続けて、「今日(の公開リハ)は1時間でしたっけ。このあと、ダメ出しも観ていってください」とも。

そうして舞台上、様々な調整の様子を見詰めるうち、予定の16時を少し回った頃になり、スタッフから丁重に退席を促されると、舞台上の舞踊家たちが全員動きを止めて、こちらに向き直り、笑顔で私たちに視線を送ってくれているではありませんか。いやはや、何とも贅沢この上ない公開リハーサルでした。

そんな「完成形」のNoism版『春の祭典』を含む、全4作品を堪能できる贅沢すぎる公演は来週金曜日(7/2)から。圧倒的な舞台に完膚なきまでに蹂躙される準備を整えつつ待つのがよろしいかと。もう、「これ見逃したら後悔しますよ」レベルのもの凄さです。よいお席はお早めにお求め下さい。

(shin)

『春の祭典』メディア向け公開リハーサルに行ってきました♪

2021年6月24日(木)の新潟市は日差しも強く、天気予報が予期させた以上に夏っぽい趣の一日。13時からの『春の祭典』メディア向け公開リハーサルに臨むべく、正午前に職場から、充分エアコンを効かせた車でりゅーとぴあへと向かいました。

県内のテレビ局各社のカメラセッティングが済んだ後、劇場の中へと進みます。舞台上に「あの」白い衣裳を纏った舞踊家たちがそれぞれに動きの確認をしている様子が見えてきます。その足許、リノリウムの雰囲気が昨年のプレビュー公演時と違います。また、アクティングエリアを区切る正面奥と両側の幕も異なります。「これが完成形」、そう金森さんは説明してくれましたが、特に彩色が施されたリノリウムは多義的な美しさを放っていました。

予定通りの13時。一旦、緞帳が下り、その手前に一列に並んだ椅子に腰掛けようと、まず井関さんが下手側から登場し、リハーサルが始まりました。やがて、21人の舞踊家にストラヴィンスキーの楽音が重なり、冒頭からの約20分間を見せて貰いました。

その20分間だけに限っても、リノリウムや三方の幕の存在感によってプレビュー公演のときとは随分と違ったものになって見えた印象です。

「OK! OK! Thank you! ちょっと舞台前に集まって貰っていい?」

ちょうど場面転換のところに差し掛かったとき、「OK! OK! Thank you!」と金森さん。続けて、「ちょっと舞台前に集まって貰っていい?」と舞台上の舞踊家を集めて英語で話し始めました。時間にして約10分。距離がありましたので、聞き耳を立ててもほとんど聞こえませんでしたが、「emotional complexity(感情の複雑さ)」なる表現を始め、端々に、「emotion」「emotional」なる単語が使われていたことだけは耳に届きました。その後の囲み取材の際に質問も出ましたが、内容は「トップシークレット!(笑)」(金森さん)とのことでした。

そして13:30からはホワイエで、その金森さんの囲み取材でした。以下に金森さんの答えを中心にいくつか拾い上げてみます。

  • Noismオリジナルの『春の祭典』について:「『生け贄』のテーマ性がどう表現されるのか、現代社会に何を訴えかけるのか、どなたにも感じて頂ける作品になっている」
  • 定員100%での上演について:「ちょっと複雑。舞台人としては客席が埋まった熱気のある舞台で実演したいが、来場頂くお客様には心理的な負担をお掛けするので申し訳ない思いもある」
  • プレビュー公演時との違い:「そんなに変わってないですよ。リノリウムが変わっただけ。印象がだいぶ違う。一年間期間をおくことによってより必然性をもってしまった。昨年よりも作品が重みを表現しなければならない、その重みを感じている。…『最後』が変わりました。作品の終わらせ方が変わりました。あまりにも現実の世の中が大変だし、あまりにも困難なので、舞台芸術を通して、何を最後に届けるか。混沌とした精神の痙攣のような作品の最後、お客様に届けるメッセージは変わりましたね。それは必然だった。稽古していてこれは違うねって。…『希望』というのとはちょっと違う。ある種の『願い』とか、『祈り』みたいなものがどうしても加わらざるを得ないっていうか。『絶望』を『絶望』のまま提示するのはちょっと…、劇場の外が『絶望的』過ぎるっていうか…」
  • コロナ禍における芸術家:「世の中と劇場の中の問題をこれだけ考えたことはなかった。戦後世代ですから、ここまで世界的な事象を日常生活で経験したことがない。そのなかで芸術に問われる意義とか価値は違ってきている」
  • コロナ禍、Noismの『春の祭典』が観客に届けるもの:「難しいですね。…難しいな」(しばし考えた末に)「何を感じて欲しいか、…『力』かな。『生きる力』かもしれないね。価値観とか、思考の産物じゃなくって、『生きる』っていう強さ。『生きる』って何だろうとか。人は誰しも一人では生きていない。『他者と生きる』ってどういうことかっていうことかな。上手く言えないけど」

囲み取材を終えて…。劇場の外にあった当たり前の「日常」が歴史的にも数えるほどの暗澹たる「非日常」へと反転してしまっている現在、金森さんとNoismは如何なる劇場的な《真正》「非日常」を見せてくれるのか、金森さんの言葉を聞いて期待は否応なく募ることになりました。言い換えるなら、それは、来月(7月)、傷を負った私たちの心に届き、私たちを鼓舞する「ハレ」なる舞台が観られることを確信するに充分な時間でもありました。

新潟から始まる今観るべき舞台、ストラヴィンスキー没後50年 Noism0+Noism1+Noism2『春の祭典』。チケットは絶賛発売中です。よいお席はお早めにお求め下さい。来るべき夏、Noismが示す「春」から目が離せません。

(shin)

Noism2定期公演vol.12『Complex~旧作と新作の複合による』を観て(サポーター 公演感想)

☆Noism2定期公演vol.12『Complex~旧作と新作の複合による』(2021/4/24@りゅーとぴあ〈劇場〉)

先ずは、金森さんの受章おめでとうございます!! ますます勢いを増していくNoism Company Niigata 引き続き応援してまいります。

ひと月ほど前、行きつけのハチミツ専門店に寄ったら Noism2定期公演のフライヤが置いてありました。そこのマダムによると、近くに住んでいるメンバーがお店に時々来るのだが、本格的な一人暮らしは初めてというので気にかけているとのこと。私も実はサポーターズの一員で、市民向けのオープンクラスにも参加していてメンバーの方々にはお世話になっている、と告げていろいろ話が弾みました。いつもはハチミツ談義なのですが。

カンパニーが自然に街に溶け込んでいるのが感じられる良いひとときでした。

Noism2の公演を観るのは3年目。中日に行きました。旧作と新作の複合の『Complex』ですが、 Noism0,1による『Duplex』と韻を踏んでいて粋ですね!二つの公演が並列という気がしました。もちろん2は研修生で、そこから上に行くという図式ではあるのですが、今回は特に「Noism2ならではの個性」が感じられました。若さ、未熟さ、しなやかさ、勢い…などが混ざり合って醸し出す、今ここでしか発散できないエナジー。それらを総合してみると、0や1のメンバーによるパフォーマンスに匹敵するものがあると思います。(かなりボスにしごかれたようですが)

振付公演も含め、いろいろなカタチのNoism を観られるのは嬉しい。レジデンシャルカンパニーが新潟にある幸せを前にも増して感じられる今日この頃です。

(たーしゃ)