新潟日報「Noism 脱皮への次章」、地域貢献に期待する声を報じる

2021年12月29日(水)の新潟日報朝刊は、前日分(「上」)に続き、文化面に「Noism 脱皮への次章」を掲載しました。前日のブログにて、3回展開かと予想しましたが、この日の掲載分は「下」とのことで、なら、「前編」「後編」の方が良くないか、とか思いながらも、その気持ちは棚上げし、(←こうして書いてしまっては、「棚上げにならない」の声も聞こえてきそうですが、)とにかく、「下」をご紹介します。

新潟日報・2021年12月29日付け朝刊より

今回は、新「レジデンシャル制度」のひとつの眼目でもある、「地域活動部門」設置に関する記事構成となっています。端的に言えば、前回の活動継続期に「課題」との位置付けがなされた「市民還元」の取組みに梃子入れをして、更に浸透度を増そうという体制に関するものです。

触れられているのは、市山流宗家、にいがた総おどり、全国大会で上位に食い込む高校ダンス部の活躍等々、「舞踊のまち新潟」を印象づける数々。

そのなか、まず紙幅が割かれているのは、新潟市洋舞踊協会の第9回記念合同公演(2020/10/4)、井関さんのほか、当時のNoism1メンバーだった林田海里さん、チャーリー・リャンさん、カイ・トミオカさん、スティーヴン・クィルダンさんが新潟市内のバレエ教室に通う若者たちと共演したのでした。作品は『畔道にて~8つの小品』、金森さんが一から振り付けた完全な「新作」でした。勿論、当日、私も客席からその舞台を観ていたのですが、「これはひとつの大きなメルクマールになる」、そう思って目頭が熱くなったものでした。

次にこの日の記事で見逃せないのは、「今期は初めて、市内の高校ダンス部出身者がプロカンパニー『ノイズム1』のメンバーになった」の1文でしょう。勿論、それは奇しくも、前日、本ブログ「私がダンスを始めた頃」に掲載した樋浦瞳さんのことです。そうしたことからくる期待もあるにはあるでしょうが、それ以上に、もっと純粋に、先般の『Endless Opening』で見せたその伸びやかな踊りに新鮮な魅力を感じた方も多くいらっしゃる筈です。かく言う私もそのひとりですけれど。で、その樋浦さんなら、新潟市や新潟市民とのリンクの役割を果たすことに不足はありません。そう感じた次第です。

記事に戻ります。その締め括りに置かれた市舞踊協会の若林さんの言葉、「金森監督には、今後も新潟を文化都市として成熟させるという大きな目標に向かって進んでもらいたい」。同感です。
そうした思いとは裏腹に、行政サイドは、恐らく、Noismのこれまでの「17年」を長いとみた部分もあるのでしょうが、決してそんなことはありません。新「レジデンシャル制度」で設けられた「1期5年」乃至「2期10年」の上限で目指される「目標」は、果たして大きなものたり得るのでしょうか。「文化都市としての成熟」はもっと長い射程で捉えられるべきものではないのでしょうか。金森さんが常々唱える「劇場文化100年構想」こそまず議論され、そして共有されて欲しい理想と言えます。

勿論、「国際活動部門」路線も重要な訳です。世界的にリスペクトを集める「余人をもって代えがたい」芸術監督・金森さん。彼がいてくれる新潟市の未来は明るい筈。真に文化的な方向での刷新を旨とする(庵野秀明氏ばりの)「シン・レジデンシャル制度」を求める所以です。

(shin)

「にいがた総おどり祭」20周年記念オンライン公演「天地-AMATSUCHI-」のNoism2

2021年9月20日(月・祝)15時から17時までの2時間にわたり、今年、20周年を迎えた「にいがた総おどり」が「明日を創る」をテーマに、万代シティの交差点から、オンライン舞台をLIVE配信しました。(視聴チケット:税込み4,000円)

参加したのは、響’連、太鼓芸能集団 鼓童、Noism2、NGT48、ばんにゃい、澪-mio-、万代太鼓 華龍、永島流新潟樽砧伝承会ほか、公募出演キャスト。(欲を言えば、出演者や演目のテロップやタイムテーブルなどが示されると良いなぁと思いました。)私はいつものメンバー(=連れ合い)と軽く飲食しながら、スマホの小さなモニターを覗き込むようにして観ました。

勿論、お目当ては、Noism2×永島流新潟樽砧伝承会による名作「赤降る校庭 さらにもう一度 火の花 散れ」の部分再演。初演は2015年の8月、薄暮の校庭に灯された篝火のなか、その炎のゆらめきが醸し出す情緒と、そこに重なる繊細かつ力強いばち捌きから繰り出されるリズムとの三位一体を成し遂げ、「伝説」と化した感のある名作です。そしてその後も、ことある毎に「また観たい」と口の端に上ることが多かった舞踊でもあります。

15時、鼓童によるオープニングから始まり、NGT48の『Awesome』などを挟んで迎えた15:50、見覚えのある「にいがた総おどり祭」のプロモーションビデオが流れると、やがてそれが振付を行った山田勇気さん、そして永島流新潟樽砧伝承会代表の岡澤花菜子さんのインタビュー動画に繋がっていき、そのときが来たことを知ります。

奇しくも左上方の「赤地にM」が
色的に妙に調和してたりします(笑)

後方に樽砧の叩き手を配し、その手前、赤い衣裳の女性5人(青木愛実さん・兼述育見さん・小林亜優さん・土屋景衣子・渡部梨乃さん)、黒い衣裳の男性1人(糸川祐希さん)のNoism2メンバーが、6年前から全員入れ替わっただけでなく、そもそも新潟市に伝わる独特な音色にその身を浸していきます。この10分間だけは、当然ながら、ほかの一世風靡セピア然とした「前略、道の上より」(古っ!)的な時間とは異次元なもので、明らかに異彩を放つものになっていました。敢えて言語化してみれば、それは「ハレ」の祝祭空間がもたらす興奮に身を委ねるといったベクトルとは真逆で、叩き手と踊り手の磨き上げられた技量が(リモートといえども)観る者に陶酔をもたらし、そこに祝祭空間が立ち現れてくる、そんなパフォーマンスだったとでも言えるかと思います。殊に、ダンサーとも遜色のない岡澤さんの踊るようなばち捌きが刻み出す細かなリズムに応えて舞われた兼述さんのソロ部分など、(リモートといえども)まるで「1対1の決闘」ででもあるかのようなヒリヒリ感さえ伝わってきました。

本日踊ったNoism2のメンバーたちが全員、県外出身であることを考え合わせるとき、こうしたダイレクトに新潟市の歴史や伝統に連なる「演目」を踊る意味にも大きなものがあると思います。そしてそれと同時に、ここ新潟の地で、洋々たる「明日を創る」人たちであって欲しいと思いました。

活躍を期待しています、Noism2。

(shin)