今回は佐和子さん+穣さん…インスタLIVE Vol.8『食事と健康とダイエット』

大きな感動を呼んだ『銀の吹雪』(山田さん)と『畦道にて』(穣さん)の翌日(2020/10/5)の夜9時、敢えて、前日の舞台についてはほぼ触れずに行われたインスタLIVE Vol.8『食事と健康とダイエット』。ふたりの食事を預かる佐和子さんが中心となり、概ね以下のようなお話が聴けました。

おふたりが「グルテンフリー」の食事を実践されていることはよく知られていますが、全ては一冊の本からはじまったとのこと。その本、『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館)4年ほど前のこと。

佐和子さんがウィンブルドンにハマった夏、ロジャー・フェデラーの本を探していたところ、偶然にAmazonからの「お薦め」本だった。

小麦のグルテンを摂らない食事:「何か似ている気がした」佐和子さんに、拘りのない穣さんからの「やってみたら」で始まったのだそう。

試してみると、「本番後の疲れ方が違う。食後、眠くならない。身体が軽い」それが佐和子さん。かたや、「目覚めが違う」と感じたのは穣さんで、すぐに体重が2kgくらい落ちたのだとか。

「気をつけてない日はない」という佐和子さん、鏡の前での一日一回の身体チェックを始めてもう十数年。

「私の踊りで、太っていたら、絶対無理なの」と佐和子さん。舞踊家として、自分の最適な身体はわかっている。キープする必要があると考えている彼女。食べ過ぎると、疲労と同様、次の次の日に身体に出てくるのだそう。

遺伝子検査では、「バナナ型」判定の佐和子さんは、筋肉がつきにくい身体。(それは穣さんも同じ。)自分の身体にはたんぱく質が必要だと知る。

穣さん、人間ドックでは、内臓脂肪とコレステロールの値が高いのだそう。(驚)で、佐和子さんが糖質を抑える食事に切り替える。加えて、毎朝、数種類のサプリメントなども。

現在のコンテンポラリーダンス界「自信をもって身体を晒しているのかどうか。その瞬間までに賭けてきた全てが見える」(佐和子さん・穣さん)

「酢を炭酸で割って、おつまみわかめを摘まみながら、韓国ドラマを観る」のがおふたりの夜の過ごし方。→今度、「韓国ドラマについても話します」(穣さん)とか。(笑)

甘党の穣さん、更に松茸好きなことがわかったり、楽しく話すおふたりが印象的な回でした。

以上、簡単なレポートを終わりにします。おふたりのアカウントにはアーカイヴが残されています。こちらからどうぞお聴きください。

(shin)

穣さん+佐和子さんインスタLIVE Vol.7は『バレエ談義』♪

日差しも和らぎ、風は秋色。2020年9月19日(土)は4連休の初日。その夜、21時より、穣さん+佐和子さんによるインスタLIVE Vol.7が配信されました。

先ず公開されたのは凜々しいふたりの画像♪インスタ・アカウントからの転載です。

この日の配信は、穣さん+佐和子さんのアカウントではなく、穣さんのアカウントで行われましたので、最初、見つけられなかった方もいられたのではないでしょうか。かく言う私も、おふたりのアカウントへ行って待機していたものですから、「なかなか始まらないなぁ」と思っていたところ、連れ合いから「もう始まってるよ」と言われ、「えっ!?」ってなって、慌ててストーリーに戻り、まだ「傷も浅い」ところから視聴することが出来ました。

このインスタLIVE Vol.7『バレエ談義』は、穣さんのアカウントにアーカイヴがありますので、よろしければ、こちらからどうぞ。(約56分)

以下に少し、内容をご紹介しようと思いますが、もともと、バレエの素養がない私には手に余る部分、伝え切れない部分が、これまで以上に多くあります。その点、ご容赦いただき、アーカイヴをご覧になる参考程度にお考え頂けたらと思います。

*バレエを始めた頃: 佐和子さん3歳から17歳にベジャールの許に行くまでバレエ一筋。穣さんは6歳で踊りを始めるが、最初はジャズで、バレエは10歳から。

*バレエって世界の入り口(佐和子さんの場合): 「ずっと大好き。パリ・オペラ座に入るって思ってた。私にとってそれは(きらびやかな世界とかではなくて)『芸の道』みたいなもの。ドキュメンタリーとか、どういう道で上り詰めていくかに共感していた。キラキラしたチュチュが着たかったとか、そういうのは全然ないの。ただバレリーナたちがカッコイイと思っていた。カッコイイ人への憧れから、そういう人になりたいと思っていた」(佐和子さん)「初耳だね」(穣さん)

*バレエって世界の入り口(穣さんの場合): 「男の子ひとりでタイツ履いて、女の子のなかにいて、始めた当時はジャズの方が好きだった。バレエは『基礎だからやっとけ』と父に言われてやっていた部分があった」(穣さん)(上の写真は、穣さん14歳、バレエ団の公演に出て、『くるみ割り人形』でクララの兄・フリッツ役をやったときのプログラム用のもの、とのこと。)「普段の先生・先輩が全然別人みたいになってそこにいる、舞台芸術としてのバレエの世界観に魅了された」(穣さん)「自分はその世界観のなかに入っていく自分が楽しかった。自分が演じる、表現するってことに快感を覚えていた」(佐和子さん)

身体と向き合うこと: 「年を重ねてくると真摯になってくる。続けていれば、向き合う日々も増える。若い頃のように勢いではいけないから、考える。骨格、構造がバレエのなかにあることに気付いていって、『凄いな、バレエって』と改めて思う」(穣さん)「40代になって、子どもが読むようなバレエ本を買い漁って読んでいる。でも、西洋で生まれて、彼らの骨格に合った方法論。ディープに入っていかないと、『同じ』ってところは分かりづらい。今は自分の身体にバレエの基礎がどう働くのか考えられるようになったから、凄く楽しい。昔は力任せにやっていたから、身体を壊したりもした」(佐和子さん)「自分たちの頃は表面的な『かたち』という捉え方で教えられていた」(穣さん)「日本人のバレエダンサーが踊るときに『かたち』に囚われ過ぎて、本質が出てこないことが多く、『真似事』のような気がすることも」(佐和子さん)「成長過程の身体を理解した上で進めていくためには知識も歴史も必要。バレエは身体を変えなきゃいけないから、時間がかかる芸術」(穣さん)

*バレエの/と歴史(西洋の場合): 「科学技術の進歩、医学の進歩のうち、身体に纏わることが徹底して研究されてきた。バレエは、イタリアで発祥、フランスで成熟、花開いたのはロシア(旧ソ連)。で、旧ソ連において、社会制度とマッチしたことが重要。貴族が愛する芸術分野を脱して、バレリーナを社会制度として育成する道、その文化を担う専門家を育てる道を選んだ」(穣さん)「欧州やロシアには、骨格や解剖学的な基礎の、その先に、『表現として何があるか』っていうことを見ようとする成熟した知性をもつ人が多くて、カッコイイ」(佐和子さん)「フランスの『個の力』、凄い。しっかりした教育制度で育てていくんだけど、『個の力』がポンッて出ると、その人が持っている魅力を評価する。全く異なる個性をそれぞれ芸術的な価値として評価するフランスらしさ」(穣さん)

*日本のバレエ: 「日本もそろそろ日本のバレエ、日本のスタイルを生み出していって欲しい。そうなるためには当然、教育制度だし、そのシンボルは新国立劇場。そのバレエ団が日本のバレエとしてオリジナルなものを作って、世界ツアーをして欲しい。吉田都さんが率いる次のステージに期待している」(穣さん)

*国ごとに異なるバレエのスタイル: Q:「どれが好き?」(佐和子さん)-A:「やっぱり、アメリカン。でも、(ジョージ・)バランシンはネオ・クラで、次の時代に入ってるから、クラシックのスタイルということで、ユーラシアに絞ると、(オーギュスト・)ブルノンヴィル。やっぱり速い、切れのある感じが好き」(穣さん)-A:「私は、ロシア寄りのフランス。子どもの頃、写真で見るロシアは大っ嫌いだった。美しいのは、フランス、ブルノンヴィル。英・ロイヤルだったら、ヴィヴィアナ・デュランテ(伊)。Kバレエで熊川哲也さんと踊った『眠れる森の美女』は何百回も観た。超美しかった」(佐和子さん)「だから、スタイル、って言うより、やっぱり人なんじゃない。フランスって言っても、80%はシルヴィ(・ギエム)でしょ」(穣さん)「あと、(ウリヤーナ・)ロパートキナ(ミハイル・)バリシニコフとシンシア・ハーヴェイの『ドン・キホーテ』(ABT)」(佐和子さん)「バリシニコフ、大好きだった。彼の創作もののソロ、動きも表現力も凄くて、印象に残っている」(穣さん)「バリシニコフは女性の私でも憧れる。身体的には小さいのに、あのテクニックと表現力。ああいうのを子どもの頃に観ていたから、『こっちの世界』にいるんだと思う。『ホワイトナイツ/白夜』も凄く観た」(佐和子さん)「勿論、(ルドルフ・)ヌレエフもバレエダンサーとしての可能性を開いたけど、創作もので、バレエの領域を飛躍させたのはバリシニコフ。バレエダンサーって感じじゃなくて、天才的なダンサー」(穣さん)

*ダンサーの引退に関して: 「パリ・オペラ座の引退は男女とも同じになって42歳。私は今年で最後?(笑)アメリカで、一番身体に負荷がかかる職業のナンバー1はバレエダンサーと。本当にそうだと思う」(佐和子さん)「肉体にかかる負荷は物凄いのに、非自然なことを事もなげにやることによるマジック。背後に、凄い稽古と長年の鍛錬がなければできない。それこそ、生き様というか、それに賭けている人しか、そこには行けない」(穣さん)

森下洋子さん 「子どもの頃からずっと、漫画仕立ての彼女の本を読み続けてきた。彼女は人生を賭けて舞台に立ち、今なお表現することに喜びを感じていて、お客さんも彼女の生き様を観て、それで成立しているもの。私はいつまでも踊っていて欲しいと思う」(佐和子さん)「実演にはピークがある。それを観たお客さんのなかの『永遠なものにしておきたいという心理』も否定できない。それも引き受けて踊る必要がある」(穣さん)「絶対、引き受けていらっしゃる。それがわかる。」(佐和子さん)「勿論、勿論」(穣さん)「ただ、自分が好きだから踊っているじゃない。全てを引き受けて、なお、自分に可能性を感じているから踊っている。今なお、自分が進化していると彼女が思えていることは凄いこと」(佐和子さん)「そうだね」(穣さん)「自分も、明らかに25歳のときよりは、40歳になった今の方が、表現ということを措いても、身体的に進化している部分があることは分かるから、70歳の彼女の場合も、絶対にあることだと思う。毎日、自分の身体と向き合って、自分の可能性を見つけ続けられる限りはずっと踊っていて欲しい」(佐和子さん)

*穣さんの場合: 「30代後半、なんとなく身を引き始めて、そろそろ引退かなと思ったけれど、そこからまたスイッチを入れて踊りを再開したときに、『Noismメソッド』をやりながら、気付くことが明らかに増えた。若い頃は考えてなかった。20代って、ちょっとストリートダンス的な感じになっていて、もう「どこでも踊れます」「なんでも来い」みたいな感じだった」(穣さん)「復活し始めたときに、私が本を読んでいて、『こうだよ、ああだよ』って言うと、聞き入れたから…(笑)」(佐和子さん)「それまでは?」(穣さん)「聞・き・入・れ・ない!」(佐和子さん)(穣さん、大爆笑)「その頃から私が『ここ、こうだよ。だから、こうなんだよ』みたいに言うと、穣さんが『あれ?あれ?』ってなり始めた。目の前にいる穣さんのアライメント(骨の配列)がバレエダンサーになってきた」(佐和子さん)「40代にして!」(穣さん、再び大爆笑)

*バレエの基礎がもつ意味: 「今、もう一度、バレエの歴史を自分の身体を通して遡っている感じ」(穣さん)「ここから、皆さんは崩していったんだ、って感じ」(佐和子さん)「ギリギリ俺らの世代はそこに戻ろうという意識をまだ持てる世代。自分の後の世代にはもう戻る場所がなくなっているように思う」(穣さん)「私たちは戻る場所があったから、そこに行けたけど。もうバレエからも入らない人たちが大半。でも、何事にも基礎が必要」(佐和子さん)「踊りだけじゃなく、あらゆる身体表現、或いは表現のなかで、基礎と呼ばれるものが失われていると言われる。今の時代、新しい基礎が必要だろう。また、振付と稽古とは別物。稽古が大事。稽古を蔑ろにしたら、もう基礎なんてなくなり、単にスタイルの話になっていっちゃう」(穣さん)「戻る場所がないと、振付は、終わったら終わり」(佐和子さん)「戻ることが大事。行ったばっかりになってしまうと、もうどこにも行き着かない。コンテンポラリーダンスでは、もう結構、その臨界点が来ているように思う。今、基礎としてのバレエを大事にするんだったら、そこから日本のバレエ、新しいバレエを考えていく必要がある。伝統だけではガラパゴス化してしまい、それが好きな人たち以外に感動を与えたりすることは出来ない気がする」(穣さん)「でも、バレエは凄い。何万回も『白鳥の湖』をやっていて、今なお、お客さんが観続けている。私は舞台の舞踊を観て泣いたのはバレエ以外、記憶にない。酒井はなちゃんの『白鳥の湖』を観て泣いたし…。それって凄い力だと思う。ストーリーも何もかも分かっていて、それでも人は感動するっていう…。だから、古い体質の人が『バレエをやれ』って言うだけじゃない気がしている」(佐和子さん)「それはでも、マスターピース(傑作)を相手にしているからであって、バレエがどうこうじゃない。『白鳥の湖』っていうのは、(マリウス・)プティパのマスターピース、チャイコフスキーのマスターピースっていう部分があるよね」(穣さん)「そう。だから、あなたの作品も頑張って世界中のバレエ団でやればいいんじゃない、っていうので終わっていい?」(佐和子さん)「ああ、もう時間?」(穣さん)→ふたり、大爆笑。「やっぱり、日本で作られた新しいバレエ、世界のバレエ団がレパートリー化するようなものを作らなきゃダメ。そしてそれに見合う舞踊家たちが必要だし、それをプロダクションとして支える劇場文化も必要。そこまでいかないと日本のバレエが確立されたとは俺は思えないんだよね」(穣さん)

*「バレエ談義」がそもそも…: 「こういう話になる予定じゃなかった」(佐和子さん)「そうだよね」(穣さん)「全然、日本のバレエ界の話みたいな…、じゃなくて、ただ、私はバレエが好きみたいな…」(佐和子さん)→穣さん、みたびの大爆笑。「私のバレエ熱を、次はチュチュでも着て気分を上げて」(佐和子さん)「バレエ談義2?」(穣さん)「タイツとチュチュで」(佐和子さん)「俺、タイツ?」(穣さん)…

…と、まあ、そんな具合でしたかね。私自身がバレエに明るくない分、取捨選択することもままならず、当初は簡潔にいくつもりが、逆にダラダラ長くなっちゃいました。スミマセン。m(__)m

で、次に行われるのだろう『バレエ談義2』については、ラストで、穣さんが、佐和子さんの想定する流れにマッチするような「まだまだバレエは奥が深い」、「我々にとってバレエとは何か」なども挙げておられましたけれど、同時に、それと並んで、「抱えている課題も多いだろうし」とも仰り、またまた楽しく迷走する「談義」になる可能性も秘めています。スリリングで聞き逃せない道理ですね。ではまた。

(shin)

サラダ音楽祭について-公演翌日はもはや恒例(?)インスタライブvol.6

この度の台風10号により被災された多くの方々に心よりお見舞いを申し上げます。

さて、かずぼさんによる前日のサラダ音楽祭レポがあがったばかりのタイミングではありますが、「公演翌日トーク」は公演後の佐和子さんの精神衛生上必須ということで、「ならば止むなし」とばかり、こちらのブログも簡単に概略をアップすることに致します。かずぼさんの詳細な公演レポの「番外編」としてお楽しみ頂けましたら幸いです。

・穣さん、いきなりの「謝罪会見」は、舞い上がってやってしまった矢部さんとの「握手」について。そして、この後も時折、謝罪の言葉は繰り返されました。

・佐和子さん・穣さんともに昨日の一番の印象は、生オケのラストの一音が消えていく瞬間のこと。「生の残響が空間にまだ漂っている」(穣さん)「自らじゃない力で、更に静寂が閉じていく感じ、ホントに凄い。無音が音だと感じる」(佐和子さん)音楽が始まる前も客席は「ただ待っているだけじゃなくて、聴いている感じ」(穣さん)「音との向き合い方、また新しい何かを見つけた感じがする」(佐和子さん)

・「ラベルを初めてオケで練習した際、10分の作品が40分くらいに感じた。自分が知っている世界じゃないところに連れて行かれて、音楽が導いてくれて、砂漠を凄く長い旅をしているようなイメージだった」(佐和子さん)「一音と一音の間が録音よりもっと繊細で濃密」(穣さん)

・矢部さんの『フラトレス』、「まず驚いたのはクリアなこと。一音一音が粒立って全部聞こえる。濁りがない。繊細。これをどういうふうに自分の身体に落とし込んで踊るんだろう、どうやって矢部さんと対話していくんだろう、と思ったのが初日。2日目も矢部さんの音の純度に対して合うスピード感やタイミングを掴めてなかった。何かが違う」(穣さん)「表現として、どいうふうに作品を作り上げていくか」(佐和子さん)矢部さんと言葉でイメージを交換したのを機に「化学反応が起きた」(佐和子さん)「話したことで、動きながら矢部さんに何か送る感じになった。この方向性かも知れないと何か掴み始め、本番3時間前のゲネで、これが矢部さんと奏でる『フラトレス』なんだと確信を得た」(穣さん)「本番では、あの瞬間でしか生まれないものが生まれた」(佐和子さん)「ペルトの『フラトレス』を踊ったんじゃなくて、矢部さんと踊った、矢部さんで踊った感覚」(穣さん)

・オーケストラピットがなくて、背後にオーケストラを背負っていることの体験: オーケストラから、矢部さんから受ける熱い視線の体験、とても疲れた。「超見巧者に骨董を後ろから見られている感じ」(穣さん)

・スタンバイの穣さん: 「俺もオーケストラじゃん」で、オーケストラと一緒に入っていった。いつもの手を振る仕草、「やりおったな」(佐和子さん)「普段、幕の奥で必ずやっていること。自分の儀式として」(穣さん)

・対する佐和子さんはちょっと違うらしい: 「出て行くときから『入っていく』。人の作品という意識が結構あるから。作家がいる演者という感覚とあなたの場合の自らが作家の違いがある」(佐和子さん)「舞踊家としてのタイプの違いもある。俺は人の作品でも意外とやっちゃうタイプだから」(穣さん)「そうね、そうだね。ある、ある」(佐和子さん)

・感染対策、前4列空いている客席、正装した「黒」の団員→不思議な感覚、様々な「ゲスト感」、「『郷に入っては…』なんだけど、郷のやり方が全然分かんないんすけど、みたいな」(穣さん)

・音楽家に訊いてみたいこと(佐和子さん): 本番の緊張感、アドレナリンで身体が変わり、音がゆっくり聞こえたりして、いつもの時間がストレッチされる、イコール自分が俊敏になってくる状態に舞踊家はなりがち。音楽家はどうなんだろう。

・矢部さんの『フラトレス』と俺たちの『フラトレス』、江口さんのラベルと俺たちのラベル: 「実演に向けたコミュニケーションを深くとることも何か違うと思う部分がある。どう融合していくのか、共演して生まれる新しいものに出来ないか」(穣さん)「何か感じたかった。すぐに納得したくなかった」(佐和子さん)

・「Noism0に入りませんか」(穣さん)-「入ります」(矢部さん): 矢部さんとの(サイトウキネン以来)9年振りの共演は、矢部さんの猛アタックによって実現したもの。「サイトウキネンで得た何よりのものは矢部さんと出会えたこと。オーケストラの皆さんとも精神的に近付きたい。こういう機会、経験を積み重ねていきたい」(穣さん)

・Noismとしては、生で踊る機会が続く: オルガン(年末のりゅーとぴあ)、雅楽(年明けの京都)

・佐和子さんは公演後の割りに元気。「今回、興奮気味だったよね」(佐和子さん)「録音で踊っているときは『出した』という感覚になるのだが、今回は、矢部さんから貰って出している、ある種の触媒のように、何かが通過していったって感じ」(穣さん)

・矢部さんと佐和子さんふたりトークも実現したい、等々…

約55分弱、開放感たっぷり充実のインスタライブでした。以上で報告とします。

アーカイヴはこちらからどうぞ。

(shin)

穣さん+佐和子さんが語る「公演後」(インスタライブvol.5)

2日間の『春の祭典』/『FratresIII』プレビュー公演(『Adagio Assai』を含む)を終えた翌日の2020年8月29日19:00、穣さん+佐和子さんによる第5回目のインスタライブが予定時間を延長して配信されました。今回のテーマは「公演後」。前もって質問を受け付けたりすることで、私たちが知りたい「直後」の様子などをお二人が寛いだ雰囲気のなか、あるところでは「夫婦漫才」みたいにユーモラスに、ホント腹蔵なく、時間を延長して、たっぷりと話してくれました。普段、アフタートークがあるときのそれとも違う、なかなかにレアなお話を聴くことができたと思います。

そのお話全体については、おふたりのインスタ・アカウントにアーカイヴ化されていますから、お聴きになりたい方はこちらからどうぞ。(今現在、最新のふたつがそれになります。)

ここでは、お話の内容をかいつまんでご紹介していきます。よろしければ、お付き合いください。

・最初は、昨日の夜に(=本番の夜に)やることも考えたんだそう。でも、さすがにやめようということで、今日になった。

・「『プレ公演』って、嘘でしょ」(佐和子さん)「万全な体制ではないんだけど、出来る限りのことをしようと、可能な限りのことをしようという思いでやったところ、結果としてちゃんとした公演通りにできた。スタッフは大変だったと思う。でも、劇場専属舞踊団だからこそできた公演」(穣さん)

・「来てくれた人たちもある種の覚悟を持って来てくれた。そのエネルギー、集中力は凄かった」(佐和子さん)「選んで、色々考えた末に『行くんだ』と覚悟を持って来てくれた人たち、その思いや気配が客席には満ちていた」(穣さん)

・「今回、スタンディングオベーション、嬉しかった。泣きそうになっちゃった。客席から来た圧は凄かった」(佐和子さん)

・「(最終日の)公演後は少しおかしくなっちゃう」(佐和子さん)「(佐和子さんは)公演後、ガクッてくるもんね。寝れないは最近かなと思うけど」(穣さん)「穣さんはならないね」(佐和子さん)「実演家としてはならないね。それは多分、作ってる側の脳があるからかな。先を夢見ている部分でバランスがとれているのかもしれない」(穣さん)「私は今しかないから、その今がなくなった瞬間に切れちゃう」(佐和子さん)

・(『春の祭典』について)「昨日、本番観ながら、何かが足りないと感じていたものに気付いた。来年、本番のときには実現させたい」(穣さん)

【質問1】「夫婦のみでの製作について」: 「24時間体制が更に濃くなる」(穣さん)「でもそんなに違いがあるとは考えていない」(佐和子さん+穣さん)

【質問2】「ビデオチェックは通して見るのか」: 「ものによる。今回、『Adagio Assai』と『FratresIII』は前(方向)から見ていないので、チェックしてダメ出しをノートにとったが、『春の祭典』は実際、客席から見たものを基に終演後、楽屋でダメ出しを書いたので楽だった」(穣さん)「『ロミジュリ(複)』は大変だった。長い上に俺(穣さん)も出ていたから。帰ってから、また2時間見なきゃだめだった」(穣さん)「2時間ものは夜がツラい」(佐和子さん)「私は何回も見ちゃう。1回目は作品を(見なくても良いのに)ぼーっと見る。2回目は自分とまわりのダメ出し。3回目は超個人的な拘り」(佐和子さん)「俺は基本的には見ない。ダメ出しはしないとだから、Ⅰ回は見るけど」(穣さん)「何回も見たがるが、見ると落ち込む。映像は嫌い」(佐和子さん)

・本番の後、寝られない人(佐和子さん)と爆睡の人(穣さん)、積み上げていく人(佐和子さん)と「子どもみたいな人」(穣さん)、ごちゃごちゃした楽屋(佐和子さん)と何もない楽屋(穣さん)←「舞踊家としては両極」(穣さん)

【質問3】「『春の祭典』は一番何を意識して作ったか」: 「楽譜を見て、まず、舞踊家ひとりひとりに楽器をあてがうコンセプトがあり、それに忠実でありたいというのがスタート。しかし、それに固執し過ぎるとダメ。コンセプチュアルな部分と破綻した野性性のバランスを実現させたくて拘った」(穣さん)「お陰でアキレス腱が痛い」(佐和子さん)「変拍子は昨日(楽日)ですら数えながら踊っていた。ユニゾンでは必死に数えていた」(佐和子さん)「ああいう緊張状態、集中状態での頭の回転の速さ、時間の流れの刻み方って凄いよね」(穣さん)「身体は現実を生きていて、脳はある種の非現実を生きている感じ」(佐和子さん)

【質問4】「『春の祭典』での襟を立てる、襟を開くに込めたもの」: 元々の衣裳のコンセプトが「患者性」(病院みたいな設定)→ボタンの開け閉めで多様な見え方がするという提案が衣裳のRATTA RATTARR・須長檀さんたちからあったもの。

・去年の利賀の舞台のことは一生忘れない。「あの時の感覚は『点』で思い出す」(佐和子さん)「どことも似ていない劇場。唯一無二だからね」(穣さん)

【質問5】「今回の公演の一番の目標と課題」: 「コロナ禍にあって、実演家もスタッフも無事に舞台を成立させること。それができて良かった」(穣さん)「それに尽きるね。でも、こんなこと言っちゃいけないのかもしれないけど、舞台に立つときに『コロナどころじゃないぞ』と思う自分がいた」(佐和子さん)「でも、それは当然と言えば当然。意識の持っていきようであって、そのとき、それよりももっと喫緊の、もっと緊急な事態っていうのがあって、それに直面したら向き合わなきゃならなくなる」(穣さん)「それぞれの職種、人それぞれの人生があって、その瞬間瞬間に向き合うことが異なるって感じ。そいうことを通っていろんな人の人生を見られるんだなぁって考えさせられた」(佐和子さん)  

【質問6】「公演が終わったあと、公演のとき、必ずすること」: 「本番の舞台で楽屋に入るとき、普段は聴かない美空ひばりさんを聴いたり、鈴木忠志さんの本を開いたりする」(佐和子さん)「俺、ない。舞台が好きで、『巨大な夢の庭』みたいなの、俺にとって」(穣さん)「劇場の舞台に負けそうになる自分がいて、鈴木さんの本とか、世阿弥の言葉とかを見て、『大丈夫、自分はいける筈』って確認する」(佐和子さん)

【質問7】「『Fratres』はまだ進化するのか: 「あれで完結です」(穣さん)

・週末(サラダ音楽祭)の生オケで踊る『FratresIII』では屑米は降らないのだそう。「降ったら大変なことになる」(穣さん)

・『火の鳥』について、佐和子さん、勇気さん、ニジンスキー、等々…

・公演後のクッションとしてのインスタライブ、恒例になるかも(佐和子さんの精神衛生上。そして、この状況では、アフタートークもなかなか難しくなりそうなので…)→来週も(公演翌日に)あるかも!?

・時間を延長し、エンドレスにどこまでも行きそうだった今回のインスタライブ、終わりのきっかけはさる方からのメッセージ♪それは…(笑)

…ここで拾えなかったお話もたくさんありますから、是非アーカイヴでご覧ください。きっと楽しい時間になると思いますよ。ではでは。

(shin)

 

8/14インスタライブvol.4、穣さんが語る恩師ベジャールの思い出はきっと言葉による『Mirroring Memories』になる♪

お盆の入り直前(8/12)に、穣さんから突然の告知、ビッグプレゼントの報が届きました。

不定期のインスタライブvol.4が二日後の8/14(金)21:00から行われるとのこと。

テーマは恩師のベジャール。前回のvol.3で、佐和子さんとの間に相当な開きがあったルードラへの思い。vol.4はその穣さん版になるのでしょう。佐和子さんを聞き役に、穣さんがじっくり語る予定とのこと。穣さんが語る言葉による『Mirroring Memories』はまさに必聴!よいお盆になる予感。楽しみですね♪

【追記】おふたりのインスタアカウントにアップされた思い出の画像へのリンクを貼ります。こちらからどうぞ。

(shin)

予告あり!「近々すぐやります、インスタライブvol.3『留学時代(後編)』」とのこと♪

2020年8月1日(土)、21時から配信されたインスタライブvol.2はおふたりの「留学時代(前半)」。もうお話が盛り沢山で、一回では到底、時間が足りず、次回、後編の配信が予告されました。

で、予告された「留学時代(後編)」では、佐和子さんが髪をバッサリ切り、今の長さになったのはベジャールのときだというお話やら、同じくベジャールにまつわる、次のような謎の図についても語られるとのこと。

用意されたものの、語られずじまいだった謎過ぎる図…

「なんじゃ、こりゃあ?」(←別に「ジーパン刑事」故・松田優作風に読む必要もありませんけれど…、って、古っ!(笑))今回、辿り着かなかったものとして井関さんが取り出し、金森さんが「これ、ベジャールの…」と少し触れた途端、即座に井関さんが「ダメ、ダメ、今言っちゃダメ」と遮った謎の図。興味をかき立てられずにはいませんよね。その正体は?

… to be continued

今のところ、日時未定ですが、はっきりし次第、コメント欄にてお知らせするつもりです。楽しみに待ちましょう♪

なお、vol.2「留学時代(前半)」はこんな感じでした。ご参考まで。

(shin)

愈々、今夜!葉月劈頭に穣さん+佐和子さんインスタライブvol.2♪

愈々、今夜ですね。穣さんと佐和子さんのインスタライブの第2回♪

おふたりが17歳と16歳から始まる「留学時代」がテーマとのこと。単なる昔話にはとどまらず、「夢」を追い求める「若者」の実話として、様々な世代の人たちに興味深いお話が展開されること、間違いありませんね。今夜21時、必聴かと。

インスタの穣さんアカウントにはこちらの画像

そして佐和子さんの方にはこちらの画像

そして、トークが展開されるインスタのアカウントにはこんな素敵な画像も。トークにはこちらからもどうぞ。

只今、時刻は16時半過ぎ。あと、4時間半弱、「しばしお待ちを」って感じですかね。

(shin)

SNSに新展開! 穣さん+佐和子さんインスタ共同アカウント始動♪

矢継ぎ早に繰り出される、まさにコンテンポラリー(同時代)な動き!

今度はインスタグラムに穣さんと佐和子さん共同アカウント始動の報。そして不定期にインスタライブが届けられるとのこと。楽しみが増えて、嬉しい限りですね。

そのインスタライブ、記念すべき第1回(vol.1)は来る7月25日(土)21:00からとのこと。テーマは「同業夫婦」だそう。先日、佐和子さんと小㞍さんのライブを満喫したばかりというのに、同じ週内に、今度もまた、恐らく高知から届けられる至福の時♪

皆さん、要チェックですからね。

(shin)

今度の日曜日は井関さん(with 小㞍さん)♪ @DaBY talk Live vol.6

日曜日が待ち遠しい!

今度の日曜日(2020/7/19)の夜21時、井関さんが登場するインスタLIVEの報が届きました。5月23日(土)金森さんの回の楽しい記憶もまだ新しいなか、今度は井関さんのお話が聴けます。お相手は前回同様、DaBYダンスエバンジェリスト・小㞍健太さん。楽しい予感しかありません。今回も Dance Base Yokohama のTwitterからのお知らせです。

必聴♪ 日曜日の夜の計画、見直しが必要かもしれませんね。

(shin)

金森さん×「鼓童」船橋裕一郎代表オンライン対談@鼓童YouTubeチャンネル

新潟のアートシーンを背負うふたつのグループの代表による対談が実現しました。勿論、ひとりは我らが金森さん。そのお相手、もうおひとりは佐渡を拠点にこちらもワールドワイドな活動を展開してきた太鼓集団「鼓童」代表の船橋裕一郎さん。

対談のテーマは「新たな時代における芸術・文化の役割と可能性」。

「with Corona」時代、即ち、「3密」要素を退けつつ活動していくことを余儀なくされる「新しい生活様式」或いは「新しい日常」にあって、これまで東京という「中心」ではなく、新潟という所謂「周縁」で活動を展開してきたふたつのグループの代表ふたりのお話は、東京の「中心」性を異化し、その「中心」自体を書き換えるようなことも起こし得る、「周縁」が持つ動的なダイナミズムに満ちていて、もしかしたら、「この先」の舞台芸術を志向するうえでのアドバンテージとなりそうなものすら感じられるようでした。

30分弱にわたって展開された穏やかにして熱いオンライン対談「新潟から世界へ Noism×鼓童・代表対談」は、こちらからどうぞ。お話は以下のように進行していきます。

  • 2006年ぶりですね: 13年前の金森さんによるワークショップ
  • お互いのグループについて: お互いの変遷、代表としての思い
  • 若いメンバーの力: 「こういう時期だからこそ」のアイディア、「集団にとって必要なこと」、異なる年齢層・世代、或いは多国籍の豊かさ
  • 積み重ねての今: 継続(鼓童は来年40周年を迎える)、「いきなりそこには行けない」
  • 新型コロナウイルスの影響: 欧州ツアーの中断(鼓童)
  • 鼓童ヨーロッパツアーへの影響: 主催者側からのキャンセル
  • Noismへの影響は: 延期の判断と「どんな形であれ見せたい」思い、「できることをやるしかない」「なんとしても踊る場所を設けたい」
  • 鼓童の自宅待機: 世の中の状況も見ながら、初めて「音も出さずに過ごした一ヶ月半」稽古もやめてみた
  • 自宅待機期間~ここ最近の活動: 当たり前だった「叩いてこその筋肉」再認識、自分と向き合うことの気付き
  • この期間に得たもの: 「bright side」「怪我の功名」「自分の内側を見つめる良い機会」
  • やはり自宅だけでは…: 精神を含めた全身運動、複合的な連動、「広い空間で、空間を認識した上で、身体を大きく、空間的に使うこと」(Noism)「アンサンブル=他人(ひと)の音をどう聴くか、反応し合うこと」「お客さんがいる中でどういう反響・共鳴があるか」(鼓童)
  • (再び)新型コロナウイルスの影響: 「いつまでこれが続くのか」このなかで何ができるのか知恵を絞る必要がある
  • 今年のアース・セレブレーションは無観客&オンライン配信(鼓童): 様々なチャンネル・新しいチャレンジ
  • 動画配信と生の舞台(Noism): 生の舞台の何割減とはならない強度で「映像化するからこそできること」「ライヴとは違う舞踊の面白さ」を目指す配信用の舞踊作品を創作中。同時に「生の醍醐味」その普遍性も追求(Noism・鼓童)
  • Noismと鼓童で作品作りましょう: 「近い将来」(金森さん)、船一本で往来可能な「地の利を活かしたコラボレーション」(船橋さん)→新しい可能性、2022年春夏に何かが起こる?
  • パフォーマーの交換留学します?: 船橋さん提起→金森さん「お互い厳しくするという大前提で 。帰ってきたときに『ああ、ここで良かった』って思えるくらい厳しくするっていう前提で、送り合おうか」(笑)
  • ロベール・ルパージュさんとの新作〈NOVA〉(鼓童): 踏まえてきた40年の歴史と斬新さ
  • エア握手
  • 新潟から発信: 「プロフェッショナルなカンパニーとして、一緒に何か作り上げていく」(船橋さん)
  • 劇場文化の可能性: 「まだまだ日本の劇場文化には可能性がある」「一石を投じ続けて16年。という感じ」そして、新潟が理解してくれたこと、「新潟がその日本の可能性をある種証明している」(金森さん)
  • 活動を続けていくということ: 「支援のありがたみを感じる機会でもあった」「新潟に、ここまで志もあって、レベルの高いカンパニー(Noism)があることが心強い」(船橋さん)「有難うございま~す」(金森さん)

全編29分03秒。終始、寛いだ雰囲気で進行するお話は、聞きどころ満載です。是非お楽しみください♪

(shin)