2020年1月22日(金)の新潟市、宙から降ってくるのは雪ではなく雨。それでも道路脇に高く固く積まれた雪の壁を融かすほどの雨量ではありません。正直、物足りない雨という感じでした。
しかしながら、18時半頃、りゅーとぴあ2Fの東玄関(新潟市音楽文化会館側)を入ったところに(距離を意識しつつ)集まってきた顔たちはどれも晴れ晴れとした笑顔ばかり。そう、この日は『Duplex』Noism0/Noism1新潟公演の初日。りゅーとぴあで全12公演、チケットはすべて「sold out」のロングランがスタートする日。皆さん、胸躍らせて駆けつけて来た訳です。
「密」を生み出さないために、4FのスタジオBへ上がっていくのも、券面に印刷された入場整理番号により、10人刻みで案内されます。勿論、一人ひとり、マスクの着用、検温に手指消毒等の感染拡大防止に向けた高い意識が求められることは言うまでもありません。私たちは自分たちが愛する芸術を守る責務もあるのです。

ところで、この2日前の1月20日(水)には、BSN新潟放送製作のドキュメンタリー「芸術の価値 舞踊家金森穣16年の闘い」が第75回文化庁芸術祭賞テレビ・ドキュメンタリー部門で大賞を受賞したことを記念して、同局が夜7時というゴールデンタイムでの再放送をしたばかりでした。それは通常ですと、新潟ローカルの人気番組『水曜見ナイト』の放送枠でもありましたから、多くの方がご覧になり、これまでにないくらいNoismへの関心が高まったと見え、放送後、りゅーとぴあの仁多見支配人のもとには「何故、チケットが手に入らないのか」との声が多数寄せられていると聞きました。しかし、「密」を避ける配慮から、座席が千鳥に割り振られたスタジオB公演の席数は、当初から各回ジャスト50席。それはそれで致し方のないことですが、これを機に私たちは一層強くNoismを待望しなければなりません。

で、公演についてですが、まだ初日を終えたばかりですので、多くは書きますまい。ネタバレもなしで、ごくごく簡単に。
Noism1が踊る森優貴さんの『Das Zimmer』と金森さん×Noism0の『残影の庭~Traces Garden』を併せて観るということが如何に贅沢なことであるかだけは書いておかねばなりません。この2作、ほとんど何から何まで異なる2作と言えるでしょう。世界初演『Das Zimmer』の35分と、先日の京都公演とも異なるという新潟ヴァージョンの『残影の庭~Traces Garden』35分。尺まで一緒なのに、休憩を挟んだだけで、同じ席にいながらにして、現出するまったく異なる時空に身を置く自分を体感することでしょう。その驚異に息をのむ私たち、僅か50人!

僅か50人で、その2作をすぐ目の前で息を詰めて見詰めることの興奮!その時間を贅沢と言わずして何と言えば良いのでしょうか。
その贅沢。そもそも劇場専属舞踊団というNoism Company Niigataの在りようが、「今」、この極めて困難な状況下でのロングラン公演を可能にしていることも忘れてはならない事実です。心身共に縮こまって、萎縮したようにして過ごす他なくなってしまった不自由な日常に穴を穿ち、大いなる解放が、非日常の感動がもたらされる35分×2であることに間違いはありません。
さあ、新潟公演の幕は上がりました。運良くチケットを手にされた方、圧倒される準備はできていますか。弛まぬ舞踊への献身が産み落とす果実を目撃し、心が共振する時間をお楽しみください。
(shin)
shinさま
ブログアップありがとうございました。
本当に贅沢な時間でしたね。
私も公演を鑑賞しながらも、
「なんという贅沢!」という気持ちが湧いていました。
眼前で演じ舞われる2作品、圧倒されました。
(fullmoon)
fullmoon さま
コメント、有難うございました。
そう、そう。もう贅沢の極みですよね、スタジオB♪
全く持ち味を異にするふたりの演出振付作品であり、
息遣いやら衣擦れやら、もう全てを耳にしながら、
舞踊家の肉体をあの距離感でガン見するのですから!
かぶりつきの最前列を選ばれたfullmoonさんは
きっともう眼福で、身悶えしているのではないかと
勝手に想像していましたが、外れてはないですよね。
私は全体を一望できる席を選びましたが、
それでも、井本さん(『Das Zimmer』)や、
井関さん、金森さん(『残影の庭』)と次々、バッチリ視線が合うことにドギマギしたりしたものでした。
「この時期」にあってさえ、あのクオリティの高さを示す、驚嘆を禁じ得ない公演において、僅か50分の1の観客となり、あの場に居合わせることができた幸福に浸り続けた宵でした。
(shin)
あのドキュメンタリーの再放送を経て、
関心の高まりも著しい『Duplex』ですが、
新潟公演のチケットは全て「sold out」。
そのあたりをめぐっては、金森さんもtwitterで呟いてましたね。
埼玉が終わって、時間が開いても、
「凱旋公演」とか打てたりするといいんですけどね。
面倒なことだらけなんでしょうけれど、
この際ですから、BSNさんも一緒になって実現させちゃうとか…。
…そんなこと、ひとり妄想中です。
(shin)
shinさま
凱旋公演、ぜひぜひ、やってほしいですね!
チケットが早々に売り切れ、残念な方々が多い中、公演を観られる幸福と幸運に感謝しております。
3日目の1/24は、友人へのチケット受け渡しのためにりゅーとぴあに足を運びました。私の分のチケットはありません。
ダメもとで空きを待っていたところ、なんと1名のみOKということで、入場することができました!
『Das Zimmer』は貴族の館か宮廷か!?
不穏な雰囲気、ひとときの華やぎ、すれ違う思い、異質の影、等々、
様々な 人の心が散りばめられた、気品高くミステリアス&ドラマティックな世界!
引き込まれます。
そして、『残影の庭』は、もう「神事」ですね!
有り難くて拝みたくなります。
その上、遊び心もあってさすがです♪
私は 初日の席は最前列で、すごい迫力でしたよ!
今回は後方上手で、全体が見渡せて、とてもいい感じでした♪
(fullmoon)