メルマガ担当者のあおやぎです。私は新潟ではなく、北関東在住。バレエ・ダンス業界の縁辺域と接する立場に身を置いています。
昨年10月に新潟市長が交替したこともあって、Noism の契約更新が滞っています。新しく就任された中原市長は、今年の8月末までに来年9月以降の活動について決断すると市議会で明言なさった由、新潟日報モアで拝見しました。
また「強い支持がある一方、市民の理解度は不足していると認識している」と発言なさったとも。私として、この認識はまったく正しいと思います。
国内公立ホールの文化事業の対象として、クラシック音楽に対する舞踊ジャンルの割合は実に微々たるものです。個人的には音楽を1とすると舞踊は0.05、つまり二十分の一に届くか届かない位ではないかと感じます。
子供にバレエを習わせる人は多いですし、ジャズダンス教室に通う大人も多いようですが、興業としてのダンスを見に行く人は、残念ながら限られた数しかいないようです。特にコンテンポラリーダンスになると、私見ですが、首都圏でも客席にいるのは出演者の身内と業界関係者が約半数、どこでも見かける同じお客が二、三割、残りが数少ない一般客と言った有様です。市場規模が極めて小さいです。
そんな状況なのに、りゅーとぴあは開館当初から他館との差別化を図るために自主事業でダンスに注力したとか、職員が金森穣を舞踊部門の芸術監督にしようと当時の市長に進言したとか、金森穣が就任受諾の条件としてダンスカンパニーの創設を提案したら、予算の範囲内でやるならいいよとOKが出た (!!!) などと言うのは奇蹟的なことに思えてなりません。
しかも金森穣は天賦の才を存分に発揮して、日本を代表するどころか世界的にもトップクラスの成果を生み出すダンスカンパニーを新潟に作って維持し続けました。国内のダンスマーケットが首都圏に集中・偏在しているにもかかわらず、最高に輝かしい星が突如として新潟に生まれ、その輝きを保ち続けているのです。奇蹟です。
私が初めて新潟へ Noism を見に来たのは中越地震直後の「black ice」公演でしたが、客席を見ると首都圏の状況とはまったく異なり、一般市民、もちろん芸術分野にアンテナを張っておいでの敏感な方々なわけですが、そうした観客がほとんどなので驚きました。市内の高校生までいるじゃないですか。こんな状況、首都圏じゃまったく考えられません。
これは大変だ、と思いました。こんな凄い状況を作り出しているNoism を応援しないでダンスファンだと名乗れるか、みたいな。それで新潟へ通うようになり、ますます惹かれて行ったわけです。
新潟の皆様、Noism を大いに誇ってください。皆様は世界トップクラスのダンスカンパニーとダンサーをお持ちなんです。もしそれを失うようなことがあれば、文化的にもイメージ的にも、計り知れない損失になりますよ。私はよそ者ながら、そうならないようにと祈るばかりです。
(あおやぎ)