埼玉に降臨したNoism、客席を埋め尽くした観客を魅了♪(埼玉公演初日)

2026年7月25日(土)、ドキドキそわそわした一日。朝、待ちに待った彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉でのNoism0 + Noism1『私は海をだきしめていたい』/改訂版『春の祭典』を観るべく、ドキドキそわそわしながら、上越新幹線で新潟から大宮を目指しました。朝から既に暑い暑い一日。

乗車したのはいつもより少し遅めの新幹線で、大宮着は10:20。下車する少し前からこの日のドキドキそわそわは「2乗」になります。というのも、9月の利賀芸術公園、「SCOT SUMMER SEASON 2026」で上演されるNoism『水妖譚』の電話予約がこの日の10時からの受付開始だったからです。私が行けるのは週末の土曜日のみ、争奪戦必至な訳です。

下車準備をしておいて、10時を迎えると、デッキ部へ移動して、ガタゴト音のなか、スマホを操作します。繋がりません。大宮で下車して、早速、ホームでも。繋がりません。埼京線で宿泊予定の赤羽へ。そこからも何度もかけました。繋がりません。再度、埼京線で与野本町を目指し、到着後は公演会場の彩の国さいたま芸術劇場を目指し、(周囲の安全を確かめながら)一歩ごとの歩きスマホでした。繋がりません。劇場に着いてからは、Cafe Paletteで食事しながらの鬼電です。繋がりません。諦めきれず、何度も何度も。かけ直すこと、251回。(スマホはちゃんと回数を表示してくれるのです。)そして時間は13:15、「あっ!」と声が出そうになります。遂に繋がったからです。しかし、電話の向こうからは、無情にも、土曜日の公演は既に満席との由。撃沈でした(涙)。

ですが、そんな「傷心」さえ忘れてしまうほど、熱い感動で揺さぶってくれたもの、それこそ、この日、埼玉の大入りの舞台に降臨したNoismの2演目でした。

まだ明日、1公演を残していますから、ネタバレを避けつつ、その意味では、まだまだ「微妙な」ご紹介に留めさせて頂きます。開場すると、そこにサティの『ヴェクサシオン』が流れているのは新潟4公演と変わりありませんでしたが、探せども、ホワイエに「その人」の姿はなく、はや、開演時間が迫ってきます。5分前くらいになっていたでしょうか。客席後方の入り口付近に漸く「その人」を認めました。そこからは、新潟公演の初日と似た流れで、『私は海をだきしめていたい』に繋がっていきました。

その妖しくも謎めいた、心地よい迷宮のような赤と黒を目の前にしたならば、もう心はすっかり連れ去られてしまい、抜け殻のようになった身体でうっとり見詰める以外ないのではないでしょうか。(この新作については、明日、大千穐楽の幕がおりてから、ひとつの拙い考察の試みをアップさせて頂こうと考えております。)

15分の休憩を挟んで、改訂版『春の祭典』です。新潟4公演でも心を鷲掴みにされてきてはいたのですが、根がボンクラなもので、お恥ずかしながら、この日になって漸くピントがカッチリ合ったように思えました。危ういバランスで成立していた関係性が何かをきっかけに崩れ、様々に移ろっていく様子が恐ろしいが迄に可視化されていきます。描かれる危機感はまさに今日的なものであり、ヒリヒリする痛みの実感を伴う点で、リアルホラーと言っても過言ではないでしょう。

終演後、(新潟4公演と同様に)金森さんも登場するカーテンコールでは、盛大な拍手と「ブラボー!」の大音声が場内に長く谺したことは言うまでもありません。場内を埋め尽くした観客が贈る拍手に対し、やがて、金森さんが、そして、舞台上の舞踊家全員が拍手して返すに至るその瞬間、場内に漲る一体感は即、多幸感でもあり、一人残らず、埼玉の地で非日常の圧倒的な高揚感を味わい得たことでしょう。

暑い暑い(そして熱い熱い)一日の締め括り。感動に包まれながら、宿泊するホテルにチェックインし、「土用期間」ということで、こちらはなんとか手に入れることが出来た老舗名店の特上鰻弁当を頬張りつつ、この日のふたつの演目を回想する豊かさも噛み締めたことを書き留めておきます。

(shin)