『Duplex』の埼玉公演を終え、佐和子さんの芸術選奨文部科学大臣賞受賞が発表された翌日、2021年3月4日(木)の20時から、穣さんと佐和子さんによるテンションMAXのインスタライヴが届けられました。その模様を少しだけ採録致します。
*佐和子さん、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞
- 穣さん「やっと言えた。我慢するのがしんどい。人目につかないところで小躍りしていた。はしゃぎ過ぎ、オレ」
- 佐和子さん「新潟公演の休演日にニュースが入ってきた。穣さんが数十倍喜んでくれた」
- 穣さん「努力って報われるんだな」「これだけやったら届くんだな」「見ててくれる人いるんだな」
- 佐和子さん「恩返しが出来るという意味で、賞は嬉しい」「私のことを自分以上に早くから認めてくれていた(共にお亡くなりになった)浦野さん、山野さんの凄いエネルギーが降ってきたんじゃないか」
- 佐和子さん「受賞理由のなかの『新潟発の日本を代表する舞踊家』は本当に嬉しかった。ここ(りゅーとぴあ・スタジオB)がなければ、日本で踊っている可能性は凄く少なかった。17年間」
- 穣さん「金森穣の作品を体現するだけでなく、振付家・金森穣を触発するミューズ」
- 佐和子さん「ド根性で穣さんの背中を追いかけているだけじゃなく、ここ最近は、穣さんの背中を見つつも、自分の道を行かなければならないという思いになってきた」「踊ること、創作することが違うベクトルを走り始めた感じ」「受賞で、ここから突き詰めて良いんだなという自信が得られた。何も守らなくていいんだと思えた」
*『残影の庭』埼玉公演(4日間で5公演)
- 天井の高さ・客席形状の違いから、照明を作り直さざるを得なくなり、ゲネプロがやれなくなってしまった。
- 穣さん「照明によって、世界観が全く違っちゃう」「小さいホールほど、照明は緻密な計算が必要」
- 「テクラン」という名の通し稽古を入れて6回踊った埼玉。
- 2回公演の日は精神的に大変だっただけでなく、関節が柔らかくなり過ぎて止まれない、身体に小さなブレを体験。
*今回の作品『残影の庭』本番直前のタイミングの話
- 佐和子さん: 本番3分前、最後に水を飲む。本番1分前、穣さんと勇気さんの全身をチェックする。←気になって、自分の集中力が削がれないように。
- 穣さん「せめて、3分前にして。1分前に何かあったら、めっちゃ動揺するから」
- 佐和子さん「3分前は『水』だから」(笑)
*『残影の庭』の羽衣衣裳について
- 堂本教子さんによる衣裳、発案は穣さん。
- その軽さに3人とも一度はパニックになったことがあるとのこと。
- いつか展示できたら、触れて頂きたいとのこと。
- 3人とも2着ずつあるのだが、2着とも、その繊細さのため、完全に一緒にはなり得ない。練習用と本番用とで感覚に違いがある。
- 衣裳を着けなければスルスル楽な動きも、衣裳を着るとそうはいかなくなる。衣裳のお陰で、3人のなかで無言の会話をしていた。3人で踊っていたのではなく、6人で踊っていた感じ。リッチな体験だった。
*そのほか、『残影の庭』について
- 佐和子さん「作品を通して一番難しかった動きは、その場で立ち止まって、ただ回る、ただ方向を変えることだった」
- 穣さん「能の凄さを実感した」
- また、能を模した6m四方のリノリウムに関しても、素材がゴムのため、若干広くなってしまうのだが、その僅か増した広さに身体が順応したことのほか、まじまじと見ずとも、そのリノリウムの黄色を視野角に収めて動いていたことなど繊細な体感の話も。
- 再演したい。息の長いレパートリーになる。海外にも持って行きたい。(佐和子さんは屋外でもやりたいのだそう。)伶楽舎さんとまた「生」でやりたい。
*これから
- 穣さん「埼玉の芸術監督に近藤良平さんが就任し、新国立は吉田都さん。舞踊の力をこの国で、社会に浸透させていけるよう精進したい」
ライヴのラストは、再び佐和子さんの受賞の話に戻り、穣さんから「最後にもう一度大きな拍手」が贈られて、ふたり大笑いのうちにジ・エンドとなりました。
いつもにも増して、終始ハイテンションで展開されていったこの日のインスタライヴ。細部にはこちらでは取り上げなかった楽しい話も盛り沢山。まだご覧になっていない方はアーカイヴでどうぞ。こちらからもご覧頂けます。
それではまた。
(shin)