BSNテレビ特番『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟』上映会&トークショーに行ってきました♪

2024年6月14日(金)@りゅーとぴあ4Fギャラリー

BSN新潟放送制作のドキュメンタリー『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟(英題:On Stage)』が今年5月、ドイツの「ワールドメディアフェスティバル2024」でドキュメンタリー部門(Documentaries: Arts and Culture)金賞を受賞したことはご存じかと思います。
それを記念して開催された上映会と、金森さん×番組ディレクター坂井悠紀さんのトークショーに行ってきました!


最初は椅子が50席ほど用意されていましたが、どんどん椅子追加で、終わる頃には満席立ち見の大盛況でした♪
https://www.ohbsn.com/event/wmf-onstage/

まずは上映会です。
テレビでリアルタイムで見て録画もしてありますが、大画面はやはり違いますね!
ナレーションは石橋静河さん。2022年初演のNoism×鼓童『鬼』に関して、金森さんに密着したドキュメンタリーです。
あの頃はマスク必須でした。『鬼』を作曲した原田敬子さんのことや、新潟、埼玉、京都、愛知、山形の5会場での公演のこと等、懐かしく思い出しました。

続いてトークショーです。
すっかりおなじみ同士の金森さんと坂井さん。明るく楽しくいろいろなお話が繰り広げられました。

坂井さんは授賞式のため5月末にハンブルクに行き、3泊したそうです。
街の中心にある国立劇場で、ジョン・ノイマイヤー、ハンブルクバレエ団『ガラスの動物園』を鑑賞。
「どうだった?」ときく金森さんに、「セットが豪華だった」と答える坂井さん。
「踊りを観にいってセットが豪華って、そりゃダメでしょう!」とすかさず突っこむ金森さんでしたが、坂井さんには訳が。
坂井さんは「舞踊と言えばNoism」が沁み込んでいます。
「Noismは舞踊家たちの身体性が共通しているが、ハンブルクバレエ団は身体性が共通していなかった」そうで、動きの質がNoismより雑と感じたのだそうです。
この返答には金森さんもちょっと驚いたようでした。

ハンブルクバレエ団は公演数がすごく多く、スケジュールが過密で多忙なので、集団性よりも個々の魅力を重視しているのではとのことでした。金森さんは「他の一流の舞踊団を観るとNoismのこともよくわかるよね」と応じていました。

●ハンブルクバレエ団、日本人初のプリンシパル菅井円加さんへのインタビュー( by 坂井さん)
菅井さんは2019年からプリンシパルになったそうで現在29歳。国家公務員という立場。
ノイマイヤーが芸術監督をもうすぐ退くことになっているが、それまではバレエ団にいるし、その後は流れを見たい。
劇場の課題は、観客の高齢化。← これは世界的現象だそうで、若者向けの演目を上演するなど、対処しているそうです。
菅井さんは金森さん、井関さんの大ファンとのこと♪
この『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟』を見て、とても勉強になったそうです。

金森さん談:
ノイマイヤーもそうだが、20世紀の巨匠たちがやめると、そのあとがてんやわんやになる。
自分はその次の世代だが、そうならないようにどのように残して、世代交代していくか。
自分がいなくなってもNoismが今のように続いていくにはどうすればいいか、考えているが難しい。
舞台芸術が定着しているヨーロッパではなく、この国独自の専属舞踊団のあり方を考え出して、世界に貢献したいと思っている。
日本は、かつて経済に注いだ情熱を、今度は文化に注げば文化大国になれるのにもったいない。
★この番組が金賞を受賞したからには、全国放送をしてほしい。新潟でしか見られないというのはそれこそもったいない!(拍手)

そのほか、坂井さんは2019年1月『R.O.O.M.』の公開リハで初めて金森さんとNoismに出会ってビックリし、密着取材をしつこく申し込みましたが、断られ続けたこと。その後、モスクワまで(『カルメン』公演の取材に)来たら考えると言われたため、同年5月末にモスクワに行ったこと(モスクワの会場でお目にかかりました)。
ハンブルクでの授賞式・レセプションには審査員が誰も来ていなくて驚いたこと。等々々書ききれず、すみません。

4年前、文化庁芸術祭賞のテレビ・ドキュメンタリー部門で大賞を受賞したBSNスペシャル
『芸術の価値 舞踊家金森穣 16年の闘い』で、坂井さんは「新潟に金森穣がいることの意味」を撮りたかったそうですが、この度は「金森穣にとっての新潟」を意図したそうです。
番組中、昨年の関屋浜海岸清掃のシーンで金森さんが言った「この海の向こうには大陸があるんだよね」という言葉が坂井さんには印象深いそうです。新潟にいて、いつも世界のことを考えている人、なのでしょう。

最後に金森さんのひとこと、
「Noismで二つも賞を取ったのだから、BSNはそろそろNoismのオフィシャルスポンサーになれば!」
拍手喝采! あっという間の1時間、楽しいトークでした!
終了後は来場者と写真撮影♪
https://twitter.com/NoismPR/status/1801581021382721871

なお、6月28日(金)— 30日(日)
Noism 20周年記念「Amomentof」公演期間中も同番組が上映されます。

※28日(金)、29日(土)の上映はどなたでもご入場いただけます。
入場無料(申込不要/当日直接会場へ)
※30日(日)の上映は、会場が劇場ホワイエとなるため、当日の公演チケットをお持ちの方のみのご入場となります。なお、椅子のご用意はありませんので、ご了承ください。

6/28(金)17:30-18:25 4Fギャラリー
6/29(土)15:30-16:25 4Fギャラリー
6/30(日)14:00-14:55 劇場ホワイエ

公演&上映、ぜひどうぞ!

(fullmoon)

【追記】
坂井ディレクターによる授賞式を含むハンブルク訪問の様子は、6月12日(水)夕にBSN新潟放送『ゆうなび』内にて、「芸術の国 ドイツ・ハンブルク 現地リポート(Noismを知るトップダンサーにも取材)」として、10分の尺(!)をとって放送されました。その放送ダイジェストは次のリンクからご覧いただけます。併せてどうぞ。
https://news.infoseek.co.jp/article/bsn_1226246/#goog_rewarded 
(放送には映っていた授賞式での坂井ディレクターの尊いタキシード姿がこちらには載っていない点は誠に残念ですが…。)

(shin)  

2022年大晦日、胸熱のBSNスペシャル「劇場にて」

新年明けましておめでとうございます。今年も一緒にNoismを応援して参りましょう。

さて、新潟県内在住のサポーターズの皆様は、前日、2022年の大晦日(15:30~)に放送された新潟放送開局70周年BSNスペシャル「劇場にて 舞踊家 金森穣と新潟」をご覧になられたことと思います。「『私のからだには新潟が宿っている』。活動18年、『Noism』金森穣は今なぜ『新潟』を踊るのか?『鼓童』との初共演にカメラが密着。地方と芸術、その核心に迫る。」として制作・放送された新ドキュメンタリー、本当に胸熱な内容でした。見る者、誰にとってもであるのは言うまでもないことですが、とりわけ、新潟市と市民にとっては。

更にその前日(12/30)に再放送された「芸術の価値 舞踊家 金森穣 16年の闘い」(令和2年度 文化庁芸術祭賞 大賞受賞:初回放送は2020/3/28)中に取り上げられていた「継続問題」のその後を扱うものでもあり、併せて見てみると、(市からの補助金も5,010万円から4,810万円へと、微妙に減じていましたけれど、)市側の要望に応えるべく、市民還元を推し進めつつ、同時に「新潟」をテーマに据えた『鬼』に取り組む金森さんの姿は、紛れもなく私たちにとってのシビックプライドそのものでした。

また、『鬼』のクリエイションから公演まで、(『鬼』に関するなら、トップシーンやラストシーンまで見られましたし、)時間をかけて取り上げてくれた今回のドキュメンタリーは本当に見どころ満載で、まさに「年末ジャンボ」と言ってさえ良い趣があるもので、私など、年末の大掃除モードとは明らかに異質な時空の「非日常」へと連れ去って貰いました。そんな人も多かった筈です。

当ブログでは、『鬼』のクリエイション中の様々な場面で発せられた金森さんの言葉から印象的なものを少し紹介していこうと思います。

―まずは今回、「新潟」をテーマとすることについて…

*18年たって、ようやくその核心に自ら踏み込んだっていう感じ。「アイディアとしての新潟」というのじゃないところにたどり着けそうだなという直感がそうさせたんじゃない?俺はただ「これだ!」と思うものしか作れない。なんで「これだ!」と思うのかはわからない。

-そのあたり、『鬼』の音楽を担当した原田敬子さんは「私は(新潟への)リスペクトじゃないかと思ってはいます。…どうでしょうか」と。

*新潟にはホントに感謝しかない。日本で舞踊家としてこの17年間活動してきたのは新潟があるからですから。

*舞踊家としての30代、40代をあるひとつのところで過ごすということは、もうそれはほぼ自分の人生を捧げるということに等しい訳です。そういう思いをもって新潟で活動してきました。

*極論、身体感覚として感じられないものは生み出せないんじゃない?俺にとっては「今ここにいる」っていう、「この身体でもっている」っていうことが全てなんだよね。それ以上でも以下でもないっていうかさぁ。

*舞台芸術って、そこに居合わせた人にしか届けられないものだから、少なからず居てくださった人たちに何らかの影響を与えている訳で、その影響がこの街をどういうふうに豊かにしていってくれるかなとか、変えていってくれるかなとかってさ、彼らの未来が、ということに思いを馳せることでしかさ、「今」に懸けられないんだよな。言ったら。

-山形・鶴岡市での『鬼』ツアー大千穐楽公演終了の様子に続けて、ナレーションの石橋静河さんの次の言葉に、喜びの「えっ!」と声が出てしまいました。「ほどなくして、Noismと鼓童の『鬼』は再演されることが決まった」

*やっていることの価値とか意義とかって言ったら、それはもう「新潟、凄いよね」ってことじゃない?で、まあ、敢えて俺が言ってる訳だけど。でも、もし叶うならば、数年後に海外ツアーとかなってくれば、ホントにそれは実現されるんだろうし、されると信じているから作ったし。でもこれもホントにもう始まりに過ぎないんだよね。これで終わりじゃないから。こっから始まる。

…とまあそんなところを抜き出してみました。

「芸術の価値」と重なる部分もありながら、この「劇場にて」は『鬼』に関して、舞台映像が流れる尺も長く、見ているだけで一気に客席に身を置いた2022年夏に連れて行かれ、ゾクゾクする気持ちが蘇ってきました。そこに番組終盤に至り、「再演決定」の報がもたらされるというビッグなおまけつきです!思わず、「石橋静河さん、有難う!」みたいなお門違いな感情も湧いてきたりして…。(笑)

私は職場絡みで声をかけられる人たちに今放送についてお知らせしておいたのですが、もし見ていてくれたならば、Noismの素晴らしさが伝わったものと確信するものです。『鬼』再演時には新たな観客となって劇場に足を運んでくれる筈です。そして金森さんのからだに宿る「新潟」!まさにシビックプライドをくすぐる胸熱のドキュメンタリーに仕上がっていたと思います。何とか、新潟県外の方々にも見て貰いたいものです。BSNさん、そこんとこヨロシク!です。

(shin)