『アルルの女』/『ボレロ』新潟公演初日、「唯一無二」のNoismらしさで客席を圧する♪

2025年6月27日(金)、曇り空の新潟市はここ数日の厳しい暑さではなく、幾分かしのぎやすい一日で、ホッとひと息つける感じがしました。

それはそれぞれ身体のなかに滾る「期待感」の熱を宿していたから、であったかもしれません。その「期待感」が向かった先は、言うまでもなく、『アルルの女』/『ボレロ』の新潟公演初日に他ありません。世界初演の『アルルの女』と上演の度に刷新を繰り返してきて、今回、新たに「天が落ちるその前に」の副題が添えられた『ボレロ』、どちらも楽しみでない筈がなかった訳です。

開場時間の18:30になり、ホワイエに進むと、一目散にNoism2リハーサル監督の浅海侑加さんが待つ「Noism 20周年記念冊子スタンプコーナー」へ。「一番乗りですね」と浅海さん。で、2種類のスタンプを手にして、イメージトレーニングを重ねた通りに押してみたのですが、力の入れ具合、伝え加減が難しくて、「中抜け」状態になっちゃってちょっと失敗(涙)。でも、浅海さんから、「ああ、もう一度押し直したい!」とまで言って貰えましたし、スタンプ自体はシールに押したものを貰って上から貼ることにしました。(右下画像)

この記念冊子へのスタンプ、Noismの歩みに自分の手で「今」を足していく、とても素敵な企画ですね。この先もスタンプまみれの「唯一無二」のMy冊子にしていきたいものです。スタッフの方々、宜しくお願いします。

そしてサポーターズ仲間や友人、知人と色々話すうちに、開演時間が近づいてきます。(この先、ネタバレなしに書いていきますので、鑑賞前の方も安心してお読みください。)

客席に進むと、舞台の設えから、(先日の公開リハーサルの時にも感じたことでしたが、)過去に大興奮した劇的舞踊の「ある作品」を思い出させられることに。果たしてあの展開(演出)が待っているのか?(その作品名はネタバレに繋がるのを避けるため、ここでは書きませんが。)そんなことなどを思っていると、客電も落ち切らないうちから、音楽が聞こえてきます。『アルルの女』です。もうトップシーンからホント目が離せません。

ビゼーの音楽の、輪郭がはっきりとした、覚え易いメロディが進行していくさまは、降り注ぐ強い陽光がくっきり描き出す、どこか乾いていて、截然と「割り切れた」感じを漂わせるものと言えようかと思いますが、そこにNoismならではの舞踊が、そこはかとない深みある陰翳を加え、見詰める私たちの目に、実にスリリングな情感をもって迫ってきます。全編に漂うことになる不安感や悲劇性はまさに金森さんの独壇場と言えるものでしょう。極上の味わいに酔いしれること請けあいです。また、井関佐和子さん、山田勇気さんは言うに及ばず、その一家の兄弟を踊る糸川祐希さんの雄弁に語るような目、太田菜月さんのコミカルで物悲しい動きの数々なども長く忘れ得ないものとして記憶されることでしょう。

20分の休憩を挟んで、『ボレロ - 天が落ちるその前に』です。これまで色々なヴァージョンを観てきましたが、こちらはもう舞踊そのもの、圧巻の「ザ・ダンス」とでも言いたい演目でした。ベジャールさんの『ボレロ』へのオマージュが含まれていたり、金森さんの過去作『Fratres』は勿論、『Liebestod - 愛の死』に通ずるものが見てとれたり、様々な「系譜」が織り込まれた作品と言えますが、それ以上に、超克と伝播、そして委ねるさま、「今」を踊り切る舞踊家の身体が輝き出すのを目撃する約15分の持続に、胸打たれない者などいよう筈はありません。最後の一音が最高潮に達しつつ、全曲を締め括るが早いか、大興奮の客席からは、堰を切ったように、猛烈な拍手が湧き起こりました。高揚感は「ブラボー!」の掛け声やスタンディング・オベーションとなって広がっていきます。舞台上、カーテンコールに金森さんも加わると、一段と高まるその音量。すると、舞台にいる横一列の皆さんも客席に向けて拍手を返してくれましたし、その場にいた者はひとり残らず笑顔だった筈です。私も多幸感に震え、「こんな幸せ、そうそうない」、そんなふうに感じた次第です。

Noismでしか観ることの出来ない、圧倒的で、「唯一無二」の2作品、まさに素晴らし過ぎでした。私たちの大きな期待感さえ遥かに超えてきてくれたと言えます。
書いているうちに、日付を跨ぎましたので、今日は新潟公演の中日(なかび)。皆さま、くれぐれもお見逃しなく、です。

最後になりますが、皆さんの入場時に、Noismサポーターズからもチラシとともに、「Noism Supporters Information #12」をお渡しさせて貰っております。是非、ご覧ください。そして私たちサポーターズに加わって頂き、Noism Company Niigataを一緒に応援していって頂ける方がいらっしゃるようでしたら、望外の喜びでございます。

以上で新潟公演初日のレポートとさせて頂きます。

(shin)