2024年6月28日(金)、雨予報が出ていた新潟市の空模様でしたが、どうにかこうにか持ちこたえるかたちで20周年記念公演の開演を迎えることとなりました。
この日はコンサートホールでのピアニスト反田恭平さん出演のコンサートとまる被りだったため、駐車場が混む前にと早めにりゅーとぴあ入りしておいて、まずは17:30からの4Fギャラリー『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟』上映会(入場無料)に足を運び、Noismが醸し出す空気感を先取りして身に纏い、記念公演に臨んだような案配でした。
18:30開場。ホワイエに進むと、入り口を入ってすぐのところに私たちサポーターズからの花があり、お祝いムードに色を添えることが出来ていて、嬉しく思いました。
見上げると横一列にこれまで20年間の公演ポスターがずらり。色々な思い出も蘇ってきます。
その下、いつものサポーターズ仲間たちとやりとりしたほか、この日が初Noismとなる友人夫妻とも談笑しながら携えてきた期待感をパンパンに膨らませて開演を待ちました。
19:00を少しまわって、客電が落ちると、緞帳があがり、舞台上に銀色のバレエバーが見えてきます。『Amomentof』世界初演の幕が上がりました。しばしの無音からやがて聞こえてくるマーラー。その大きくうねるような音楽に乗って総勢25人が紡ぎ出すのは、あたかも「地層」のように積み重ねられていく一日一日の弛まぬ稽古に始まり、舞踊家の心の揺れもみせながら、矜持と献身が結実に至る様子。積分され、やがて再び微分されていくNoismが刻んだ20年という時間。この作品を通して、目にしかと映じるのはその年月が常に刹那の積み重ねとして(稽古場で、或いは舞台上で)意志をもって生きられてきたという疑いようのなさに尽きるでしょう。
今日までそうした刹那の献身を一瞬毎、目撃してきた私たち。そんな私たちの涙腺を狙い撃ちにした金森さんによる感動的な仕掛けについては書かずにおきます。是非ご自身でまるごとご体感ください。
20分間の休憩後、今度は劇場版の『セレネ、あるいは黄昏の歌』です。前月、黒部の前沢ガーデン屋外ステージで観たときには、その圧倒的なランドスケープを味方につけたスケールの大きさが印象的だった訳ですが、そこはやはり金森さん、今度は有限な劇場空間において、装置と照明とにより、濃密な肌触りを醸し出したばかりか、幽玄な拡がりまで可視化されていました。そうした手捌きの見事さは、これまでにも巡演先の舞台形状の違いから大きく異なるヴァージョンで上演された『ROMEO & JULIETS』といった例もありましたが、今回もその例に漏れません。
開花、生気に満ちる若さ、暴力、老、死、呪術的な振る舞い、そして再生。巡る四季も、金森さんにあっては牧歌的な範疇では描かれません。悲喜、正邪、清濁、聖俗、その振れ幅の大きさに観る者の心は激しく揺さぶられることでしょう。
カーテンコールは二つ目の演目『セレネ、あるいは黄昏の歌』が終わってから。割れんばかりの拍手と大勢のスタンディングオベーション、そして飛び交う「ブラボー!」の声、声、声。りゅーとぴあ〈劇場〉内にはただただ笑顔のみ。身を浸すは多幸感。そこはもう感動した観客と熱演した舞踊家のみんなでNoismの20周年をお祝いする祝祭空間と化していました。カーテンコールは何度も何度も繰り返され、もうホント永遠に続くのじゃないかと思われたほどでした。
おめでとう20周年! 有難うNoism Company Niigata! そしてこれからもずっとNoismのある新潟市で!
そしてかく言う私たちNoismサポーターズも20周年なのです!「サポーターズ・インフォメーション#10」も是非ご覧ください。
そしてそして買いました、買いました。Tシャツとクリアファイル、もう嬉しい、嬉しい。(でも、残念ながら、既に黒TシャツのSサイズは売り切れとのことです。ご注意ください。)
明日(気分的にそう書きましたが、もう随分前に日付を跨いでおりますので、正確には「今日」ですが)、このTシャツを着ていこうかな、そんなふうに考えていることを記しながら初日レポの締め括りと致します。
この情感豊かで圧倒的な記念公演、新潟はもう2公演あります。まだまだお席はお求めになれる様子。皆さま、くれぐれもお観逃しなく!ですよ。
(shin)