新潟日報紙に「坂口安吾生誕120年」を祝う全面広告掲載さる。「共鳴する安吾とサティ」とNoism新作広告も♪

2026年4月24日(金)、新潟日報の朝刊、その25面に「坂口安吾生誕120年」を祝う全面広告が無事、掲載されました。その左肩部分に「共鳴する安吾とサティ」の文字があり、Noism0+Noism1坂口安吾生誕120年/エリック・サティ生誕160年「私は海をだきしめていたい」公演(同時上演・改訂版『春の祭典』)広告も♪

パチパチパチパチ!まずはその全面です。実におめでたい♪

そして次に、Noismの公演部分のクロースアップ♪井関さんと(恐らく)金森さん画像のかぐわしいコラージュからは、まさにサティの「ジムノペディ第1番」が聞こえてくるかのようです。(この「幻聴」、私がNHK「3マス」ピアノの放送以来、「60の手習い」でほぼ毎日、同曲の独習を続けているからではなく、明らかに、テレビでの同公演スポットCMの影響と考えます(笑)。嬉しさのあまり、のっけから脱線し、個人的な話をしてしまいました。失礼しました。)

更に、本ブログでも寄付のお願いをさせて頂いてましたので、今度は掲載されたご芳名部分です。臙脂バックに「新潟が生んだ文化を誇りに」、いいですね♪

ご協力、どうも有難うございました。本当に誇らしいですね、はい。

6月、7月の『私は海をだきしめていたい』+改訂版『春の祭典』という豪華な公演、新潟、埼玉ともチケット絶賛発売中です。よいお席はお早めに!

このところ、立て続けにメディアに登場している感のあるNoism Company Niigata。このブログでも、その話題をお届けする充実した日々になっています。

そしてこの日の全面広告を見て、一連の言葉たちがあたかも泡立つかのようにシンクロして浮かび上がってきます。「無頼派」、「マレビト」、「アウトサイダー」、「(音楽界の)異端児」、そして「東京の亜流になるな」。

金森さんとNoismの刻んで来た足跡に関して、今、思うところがあります。それを誤解を恐れず、ここで書いてみたいと思います。
2004年、何か未だ先の知れぬ運命が交錯し、謂わば「奇跡」的な出来事として、金森さんをりゅーとぴあ芸術監督に招聘することが選ばれ、この国で初めての公共劇場専属舞踊団がスタートしたとき、確かに私たちはそれを抱えることに決めた新潟市によって、Noismを与えて貰ったことは事実でしょう。しかし、その後、金森さんの傑出した芸術性とその惜しみない舞踊への献身によって産み落とされた舞台の素晴らしさを「発見」し続けてきたのは、他でもない私たち(新潟市民、及び観客)であって、私たちは今日に至るまでずっとNoismを「発見」し続けてきたのです。(そうした思いがあってこそ、金森さんに宛ててあの「希望書」を書いたりも出来たのだと今にして気付きます。)

然るに一方、ここまで自ら抱えた舞踊団への支援を続けてきた新潟市はといえば、市民に対して、ただ与えて奪える立場に留まり、およそ「発見」することを怠る日々を送ってきたのではないでしょうか。ですから、その価値に見合った正当な発信がなされることなど単に期待できなかったに過ぎません。前夕のBSN「ゆうなび」の特集内で金森さんが口にされた「そもそもりゅーとぴあで専属舞踊団を抱えていることが、この国のなかで、日本初だとか、日本唯一だとか言うけど、そのことの価値とか、判断を下す人たちはそう(充分には)捉えていない」は無理のないことだったのです。何も「発見」せずにきた訳ですから。

繰り返します。その出発点でNoismを与えて貰ったことは事実ですが、それを誇らしい「文化」にまで高めてきたのは、金森さんであり、私たち(新潟市民、及び観客)なのであり、決してそれを与えた新潟市ではなかったのです。専属舞踊団の設立というモーメント(契機)をもって、その後、東京の亜流ではない「文化」を創造してきたのは、金森さんであり、私たちだったのです。
ですから、新潟市が(そう言うと、語弊があるかもしれませんが、)勝手に拵えた「制度」のみを根拠に、私たちが築いてきた「文化」を勝手に奪おうとするなどは極めて専横的で、決して許されざる暴挙と言わざるを得ません。新潟市の将来の「文化」に資するよう、しなやかに、したたかに振る舞い、「制度」の修正や微調整を行うべきなのです。

新潟市には、この日の全面広告の中央を横に走る「新潟が生んだ文化を誇りに」の言葉を噛み締めて、今ここからの「最適解」を模索することを求めたいと思うものです。その「最適解」は容易に見つかるものと思われます。今度こそ、「発見」しそびれることなどなきよう。そして、今度こそ、私たちと一緒に「文化」を共創する意識を基に、真に行政が果たすべき役割を果たしてくれることを期待します。

全面広告が掲載された喜ばしい朝に。

(shin)

BSN「ゆうなび」が「Noism金森芸術監督 退任表明の理由~芸術と行政の埋まらない溝」を放送、…そして「市民への説明会(5/9)」のご案内(2026/04/23)

「芸術家と行政の間には『制度』という埋まらない溝がありました」、冒頭、大塩綾子アナウンサーの言葉です。この日の特集を一言に凝縮したものです。BSN「ゆうなび」での標記特集について、登場する「関係者」が語った言葉を中心に、かいつまんでご紹介させて頂きます。

「新レジデンシャル制度」という「市がルール化した枠組みのなかで継続されることになった」Noism。
「『7年で終わり』と見えているときに何に向かって活動すればいいんですかっていう話。単純にNoismは続いていきます。で、俺の任期がもう7年で無理なんです、は全然構わない。でも今の制度はそうじゃない。それを変えようとしている」
「勿論辞めたくないさ。辞めたくない。ここまで続けてきたからね」「(退任意向として表明された)この決断を俎上に挙げてでも訴えていかなければならない感じかな」と金森さん。

「この制度に期限を設けるというのは当然のこと」「金森監督が公の立場で退任の意向をお持ちだと表明されたので、Noismや監督に対してこれ以上どうこう言う話ではない」というのが中原八一新潟市長。

市民団体が新潟市に対して要望書を提出した際に、野島晶子新潟市副市長(当時)は、「(新潟市には)Noismに関する制度はない。レジデンシャル制度はありますし、金森監督とも契約していますけど」「(市は方向性を示すべき)立場にない。Noismに関して」と。

事業主体のりゅーとぴあ(新潟市芸術文化振興財団)榎本広樹事業企画部長はどうかというと、「原則論から申し上げると、私ども財団は制度に基づいて事業を行っている立場なので、制度自体の是非を論ずる立場にない」「(次の芸術監督を)どのように選定していくかということに関して、今、財団で協議を続けている状況」と話す。

Noismの活動に関心を寄せる新潟国際情報大学の越智敏夫学長は、「税金の使い方をどう検証するか。その検証の方法が社会の中で確立されていないところに問題がある。新潟を良くするという意味では、政治家も芸術家も目的は同じはず」と指摘。

「新潟からこの国の劇場文化を変えたいという芸術家の野望と制度の正統性を主張する行政。両者の間には埋まらない溝がありました」(黒崎貴之アナウンサーのナレーション)

「そもそもりゅーとぴあで専属舞踊団を抱えていることが、この国のなかで、日本初だとか、日本唯一だとか言うけど、そのことの価値とか、判断を下す人たちはそう(充分には)捉えていない」
「ただこの新潟市という自治体にもう俺の居場所はないのは分かったから、他に何ができるか模索するしかない」と金森さん。

…涙、涙です。金森さんにそんなことを言わせてしまうなんて…。でも、まだ諦めていませんけど。横たわるのは深そうに見えたとしても、単に、人が作った「溝」(「制度」)に過ぎません。即刻、埋めることを目指すべきです。新潟市の文化の将来を見据えながら。

と、そんなことを記していたところ、金森さんが「X」にて発信を行い、それと前後して、Noismスタッフの上杉晴香さんからそれ(市民への説明会)に関するメールを頂きました。ここからはそれをご紹介させて頂きます。

以下、頂いたメールの内容となります。(上の画像4枚と同内容です。)

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市民への説明会―金森穣芸術監督退任について昨年末から、新聞等のメディア、新潟市議会でも話題にあがった新潟市の「りゅーとぴあのレジデンシャル制度」芸術監督である金森穣の退任に関して、その経緯や現状についての説明会を開催いたします。
二部制の質問形式を予定しておりますので、Noism Company Niigataの今後をご心配いただいている方はもちろん、Noismに限らず、りゅーとぴあのレジデンシャル制度に関心をお持ちの方など、どなたでも広くご参加ください。
なお、この会でお話し、お答えするのは、金森芸術監督の意見となりますので、新潟市および、新潟市が定めたレジデンシャル制度に基づくレジデンシャル事業の実施主体である公益財団法人新潟市芸術文化振興財団の意見ではありません。また、いただいた質問についても市や財団へ確認してお答えするものでもありません。予めご了承ください。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時:2026年5月9日(土)
第1部      一問一答 13:00-16:00
第2部      座談会 17:00-終了時間未定
*22:00閉館
*質問がなくなり次第終了します。

会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈スタジオB〉
定員:100名
参加申込:事前の申込は必要ありません。
*座席の状況によってはご入場いただけない可能性もある旨ご了承ください。

*撮影について
第一部「一問一答」メディア関係者のみ可能です。
第二部「座談会」どなたもご遠慮ください。

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以上です。

「当日は、どなたでも事前の申込なしで無料でご参加いただける形で場を開きますので、ご都合が許すようでしたらぜひおこしいただけたら幸いです」と書き添えてくださった上杉さん。

惜しみのない時間設定。
新潟日報紙に掲載された「問いかけるNoism」「舞踊の十字路」インタビュー編〈下〉(2026/3/5)で、一般社団法人「芸術と創造」(東京)代表理事の綿江彰禅さんが語った「ただ、これだけの専属舞踊団を立ち上げたからには、やめるにしても続けるにしても、市として説明が必要だ。行政は思いつきで事業を立ち上げ、なし崩し的に終わるといったパターンを繰り返すことが多いと感じている」に呼応する、とても大きくて誠実な動きと言えます。

皆さん、金森さんに質問しながら、金森さんの思いを聞きに行きませんか。否、是非聞きに行きましょう。

(shin)





夕方の新潟ローカル「BSN NEWS ゆうなび」、特集にて「ノイズム海外公演密着」を放送♪(2025/10/22)

この秋一番の冷え込みとなった2025年10月22日(水)でしたが、Noism界隈では熱を帯びた気持ちで夕方18:15からの新潟ローカル番組が待たれていたことは間違いないものと思われます。

10月9日(木)と10日(金)の二日間、スロベニア国立劇場での「ヴィザヴィ・ゴリツィア・ダンス・フェスティバル」の舞台に立ったNoismの面々。それを伝えた各種SNS、ある一枚の画像に、テレビカメラを構えるBSN坂井悠紀ディレクターの姿を認めた日以来、「いつか放送してくれる筈」との確信を抱いて過ごしてきたのでしたが、昨日(10月21日)になって、Noism公式が正式にこの日の「BSN NEWS ゆうなび」について告知してくれたのでした。

一地方テレビ局に過ぎないBSN新潟放送が海外公演に密着すること自体、驚くべきことかもしれませんが、敢えてそれをさせてしまうほど、Noism Company Niigataが成し遂げていることの「凄さ」が知れようと言うものでしょう。まさにシビックプライド、新潟の誇りです!

特集「Noism 6年ぶり海外公演に密着 新潟から世界へ 国境の街で喝采」は18:37からの約10分間。

まずは「日本から飛行機を乗り継いで十数時間」のスロベニア、その南西部に位置する街ノヴァ・ゴリツァの紹介から。その街は面積280平方km、人口32,012人。

今回、Noismの滞在期間は公演日を含む実質6日間。劇場入り初日(10/6)にはフェスティバル側が企画した「Noismメソッドワークショップ」があり、プロを含む地元のダンサー十数名が参加、金森さんと井関さんは講師を務める様子が流されました。

「私たちは日本人であり、私たちの伝統には、西洋文化と完全に反対の身体の使い方があります。だから私たちのカンパニーではその両方を組み合わせようとしています」(”Since we’re Japanese, and in our tradition, we have this way of using our bodies, completely opposite to the Western culture. So in our company, we try to combine both, you know.”)(金森さん)

「動きのトレーニングとその背景にある哲学を組み合わせることができて本当に素晴らしかった」(”So it was really nice for me to combine the training of the movement with the philosophy behind. So it was very cool.”)(ワークショップの参加者)

「興味は持ってくれたような気がする。ただもどかしくて。経験を重ねれば重ねるほどより教えづらくなっているよね。難しさがわかるから」(金森さん)
「わかるからね。うん」(井関さん)


…このあたりのことは先日の「さわさわ会」誕生会・懇親会でも金森さんは口にされていました。ほんの一度きりではダメなのだと。

ノヴァ・ゴリツァの歴史。第二次世界大戦後にイタリアと旧ユーゴスラビアの間に国境線が引かれ、イタリアの一部だったゴリツィアは2つに分断されてしまう。従来の市街地はイタリアに残され、スロベニア側の国境付近に計画都市として作られたのがノヴァ・ゴリツァ(=新しいゴリツィア)。両都市間を自由に行き来することが出来るようになったのは2007年だそう。

2019年に始まったこのダンス・フェスティバルは、「歴史が長きにわたって分断してきたものをダンスの力で再び結び付けられる」という考えから、そのふたつの街で開催されているもの。そして「劇場は重要な砦」とも。(同フェスティバル芸術監督ヴァルテル・ムラモル氏)

今年、このフェスティバルに参加したのは欧州を中心に20あまりのカンパニー。そのなかでアジアから招かれたのはNoismのみ。

「今回(の『マレビトの歌』)に関してはまだ劇場でやったことがないので、新潟でその時間を過ごさずに、いきなりここでやっているから大変は大変ですね」(金森さん)

Noismはこれまで11か国22都市で公演をしてきたが、新型ウイルスや国際情勢を背景に、海外からの公演依頼を受けることができず、今回、2019年の露モスクワ公演以来の海外公演となった。

「言語を用いると、その『意味』をどうしても捉えがちだし、でも(ダンスは)そこにある『身体』しかなくて、それこそ世界共通言語なのだろうと思う」(井関さん)

「(芸術とは)国境を無効化するもの。やすやすと飛び越えるもの。民族(*)・文化・宗教、それらを超越したものを探求する営みのことを芸術って言うんじゃないの」(金森さん)

『マレビトの歌』鑑賞後の観客の感想
「とても美しかったです」
「さまざまな感情が立ち上がりました」
「彼らが一体となっているところが気に入りました。一つの大きなもののように感じられました」

そして、「会場も本当に満員で、まさに本日のパフォーマンスを通じて、日本とスロベニアの方々が繋がったと思います」(駐スロベニア大使・吉田晶子氏)

「だいぶディテールが抜けていっているので、もう一度、休み明け、全部、一から動きに関しては締め直す。とはいえ無事に終わって良かったです。お疲れさん」、そうメンバーに話した金森さん。同じようなことは、これも「さわさわ会」の宴のときに聞いていましたが、全く妥協のないところはやはりいつものぶれない金森さんです。

12月の新潟と埼玉での「凱旋公演」も楽しみ過ぎますが、同時に、BSN坂井悠紀ディレクターには、Noismの新作ドキュメンタリーも期待したいところです。片道十数時間の移動プラス正味6日間の滞在を密着した訳ですし、この「10分間」でおしまいってことはないですよね。2021年に文化庁芸術祭賞テレビ・ドキュメンタリー部門で大賞を受賞した『芸術の価値~舞踊家金森穣 16年の闘い』、そしてドイツの「ワールドメディアフェスティバル2024」でドキュメンタリー部門(Documentaries: Arts and Culture)金賞受賞の『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟(英題:On Stage)』に続くものが見たいです、切実に♪坂井さん、そこんところ、ヨロシクってことで。

【註】民族(*): この日の「BSN NEWS ゆうなび」放送中の字幕には、「民俗」と出ましたが、それは明らかに「民族」の間違いであろうと思われますので、ここではその理解に基づいてご紹介させて貰っております。

(shin)

『マレビトの歌』、スロベニア公演に先立つメディア向け公開リハーサルに唖然、そして吃驚♪

2025年9月30日(火)の新潟市は気持ちよい秋晴れ。そんな恵まれた空の下、『マレビトの歌』のスロベニア公演に先立って開催されるメディア向け公開リハーサル(12:00~13:00)に臨むため、りゅーとぴあを目指しました。

ご存じの通り、『マレビトの歌』は先日、利賀村での「SCOT サマー・シーズン2025』にて上演された作品で、スロベニアの「ヴィザヴィ・ゴリツィア・ダンス・フェスティバル」からの招聘を受けて、Noismにとって6年振りの海外公演(10/9、10)として踊られることになっていて、この日はそれに向けた公開リハーサルでした。

数日前に、金森さんは「X(旧ツイッター)」にて、舞台形状の違いから演出のし直しの必要性について触れておられましたから、少しは変えてくるのだろうと思っていました。予めそうした想定でいたものですから、少しくらいの変更には驚かない構えは出来ているつもりでした。しかし、しかしです!唖然、そして吃驚!見たことのない演出もひとつやふたつではありません。あまつさえ、『Fratres』部分もこれまで通りではありません。例をあげるなら、記憶では「ユニゾン」だった筈が、「カノン」になっている等々、かなり手が入っていて、異なる舞台に合わせたアジャストどころではなく、この機に、かなり創り変えられているように思われました。ドラマ性を増して迫ってくるようでした。

スロベニアに持って行く『マレビトの歌』を「通し」で見せて貰い、何度も驚きに襲われたこの日の公開リハーサルでしたが、囲み取材はなく、金森さんも敢えてほぼ何も話されようとしませんでした。ですから、私たちに提示されたのは、ただ、静謐から始まったのち、一転して、見る者に様々な情感を喚起させつつ踊る気迫の籠った身体のみ。「これを持って行きます」とばかりに、自信を窺わせて。

そんな公開リハーサル、ここからは多くの画像に語って貰うことに致します。

先ずは、「ダイジェスト」として、Noismスタッフの深作さんから提供を受けた画像です。迸る熱気、躍動する舞踊家の身体、その刹那がしっかり写されています。

次いで、この機に撮ってしまえるものは撮ってしまうおうという気持ちで私が撮った写真たちです。拙いものですけれど。そこは質より量ということで。「通し」に備えて、めいめい身体をほぐす場面からです。

やがて、金森さん、〈スタジオB〉に入ってくると、「この明るさで良いの?結構、暗い」と言って、自ら、床に据えられた照明器具の調整を行ってから、椅子に腰掛け、『マレビトの歌』が通されていきました。それを収めた画像たちを掲載します。雰囲気をお楽しみ頂けたらと思います。

音楽は全てアルヴォ・ペルト。しかし、その響きは様々です。そしてそれをバックに、否、それと一体化して踊られるNoismの舞踊もとても多彩で、そのレンジの広さに圧倒されてしまいます。

2023年に黒部で発表された『セレネ、あるいはマレビトの歌』は、今夏、利賀村で『マレビトの歌』になったかと思えば、この度、スロベニアへ行くに際して、またもや生まれ変わったとさえ言えるように思われます。果たしてそれは年末の新潟、そして埼玉ではどう変貌しているのか、とても興味深いものがあります。そんな思いを胸に、凱旋公演を楽しみに待ちたいと思います。

【追記】夕方の地元テレビ局BSNは、ニュース番組「ゆうなび」において、この公開リハーサルの模様に加えて、これに先立って同日午前中に開催された、「レジデンシャル事業(Noism Company Niigata)の活動評価に関する有識者会議」についても取り上げています。そちらは、芸術総監督・金森さんの任期をめぐって、今後の行方が気になります。

→そのBSN「ゆうなび」はこちらからどうぞ。

(shin)

「Noism0+Noism1『アルルの女』/『ボレロ』活動支援会員/視覚・聴覚障がい者 メディア向け公開リハーサル」+囲み取材に行ってきました♪

まだ「水無月」というのに、耐え難いほどの高温に閉口する日々が続くなかの2025年6月20日(金)、りゅーとぴあ〈劇場〉を会場に行われた「『アルルの女』/『ボレロ』活動支援会員/視覚・聴覚障がい者 メディア向け公開リハーサル」(12:15~13:15)とその後の囲み取材(13:15~13:30)に出掛けてきました。

スタッフからの入場案内が出て、〈劇場〉内に足を踏み入れると、先ず目に飛び込んできたのは、「プロセニアム・アーチ」然とした赤く細いフレームです。圧倒的な存在感を示すその四角いフレームに囲まれながら、動きの確認を行っている舞踊家たち。「これはフィクションだよ」、そう念押しされでもするかのような、なんとも非日常な光景です。

やがて、金森さんの合図があると、客席は暗くなり、一旦、緞帳が下りると、ビゼー作曲のあの聞き覚えのある音楽とともに、『アルルの女』の公開リハーサルが始まりました。「そう来るか」、冒頭すぐにも、かつての劇的舞踊『カルメン』との繋がりなども濃厚に見てとれるアイテムが、舞台を見詰める私たちの目に映ずることになります。

この日の公開リハーサルでは、『アルルの女』冒頭からの約30分を見せて貰いました。以下、画像をご覧頂き、その雰囲気を少しだけでもお楽しみ頂けたらと思います。

フレデリ(糸川さん)が母ローズ(井関さん)を振りほどき、穏やかならざる展開に差しかかろうとするところで、「OK!いいよ」と金森さん。「OK!よかったよ。もっと見てられたのに」と続けて、出来栄えに自信のほどを窺わせました。

そこから約30分は、金森さんの厳しいチェックが入り、様々な動きが順々にブラッシュアップされていきました。
「レディース、最初立っているとき、足6番で」
「背中で『アルル』しなさいよ!クソ真面目に立っているだけではダメなんだよ」
「君が主(しゅ)なんだから、佐和子や勇気に遠慮していたらムリ!」
「左足前の5番からパッセで4番」
「足が低い!すみれ姉さんの蹴り上げを見てみなよ」
「はける時の歩き方、踵から!後ろの膝を曲げない。後ろに体重が落ちているから、前へ行く動機がない。恥骨を立てて、膝じゃなくて、後ろの踵で押す!」等々、一点一画も疎かにしないダメ出しが続きました。

一通り、動きに細かなメスを入れ終えたところで、そろそろ囲み取材の時間が来ます。「こんなもんでいいんじゃない。『公開』終わり。じゃあ、次、2時半から」金森さんの言葉で公開リハーサルは終わりました。

続いてホワイエでの囲み取材に移っていきました。
先ず最初に、スタッフの方からキャストの変更について、三好さんが体調不良のため、降板し、兼述さんが代わりにフレデリの許嫁「ヴィヴェット」役を踊ることになった旨が告げられました。

そして芸術総監督・金森さんと国際活動部門芸術監督・井関さんが並んでの取材です。以下に、やりとりの内容をかいつまんでご紹介させて頂きます。

Q:今回の作品の意図は?
 -A: 「シンプルに『アルルの女』の原作を読んで面白かったこと。その物語が抱える問題が極めて現代的な問題にも通ずるものがあると感じた」(金森さん)

Q:物語があることについて
 -A: 「以前の『劇的舞踊』のように台本を書き、キッチリ物語を先に作って、それを舞台化する手順ではなくて、もっと抽象的な、もっと音楽と身体の関係性、緊張感みたいなものを。抽象度を保ったまま、物語の本質を届けることに興味がある。『アルルの女』の組曲版と劇付随版をミックスすることで唯一無二の、どこでも見たことのない『アルルの女』を届けることが出来るだろうと思った。新たな試み」(金森さん)

Q:訴えかけたい問題意識みたいなものは?
 -A: 「『家族』は逃れることが出来ない関係性のメタファー。人間は常に関係性のなかにあって、様々な思いの狭間で生きている。『関係性』を持たなければ生きていけない人間というものに今、興味がある」(金森さん)

Q:(井関さんに)芸術監督として、『アルルの女』が来たことをどう受け止めたか?
 -A: 「これが決まる前、1年ちょっと前に、穣さんは原作を読んで興味があると話していた。当時、組曲版しか知らなかったので、わかり易い音楽でもあり、正直、『これをやるのか?』『穣さんが目指しているところにこの音楽が合うのか?』と心配をした。とはいえ、信じているので、どう向き合って、どういう作品にしていくのか興味はあった」(井関さん)

Q:(井関さんに)ある意味、人間関係の「起点」とも言える「母親」をどう表現しようと思ったか?
 -A: 「リハーサルを重ねてくると、全ては『妄想』だなと思うようになった。フレデリは『アルルの女』の妄想に捕らわれているだけでなく、母親も息子(フレデリ)本人に向き合っているというよりは、『妄想』に向き合っている。人と人との関係性は本当に危ういものだなと感じている。本当に相手のことを考えているのか、ただの自己満足か、その曖昧な関係性のラインを変に見せようという気持ちはない。ある種の抽象度が含まれている故に、感じ取るものは個々に異なるものだろう。人間というものをどう感じたか、観終えた後に訊いてみたい」(井関さん)

Q:(井関さんに)今回の2作品の上演を決めたことについて
 -A: 「『アルルの女』は、新作として、穣さんが芸術家としてこの瞬間にやりたいものをと。50~55分という作品なので、少し短い。(音楽も色々トライアウトしていて、まだ完成版が決まっていないため、時間も伸び縮みしている。)で、昨年の『サラダ音楽祭』でやって好評だった『ボレロ』と併せるかたちで。こちらは15分と短いものだが、濃密な作品。まだ新潟の皆さんに見せていなかったので。物語モノと踊りに身を捧げるものと、ふたつ対称的なので、ちょうどいいかなと」(井関さん)

Q:「生と死」の対称性は結果的なもの?
 -A: 「全ての作品に生も死もあるが、この2つの作品を表すとしたら、その言葉がしっくりくるなと。過去の作品にも含まれていたエッセンスがより濃く、よりシンプルにドカンとくると思う」(金森さん)

Q:今回の『ボレロ』は、これまでの『ボレロ』と大きく異なるものなのか?
 -A: 「大きく異なる。先ずは空間が広く、それを活用している。そして演出的にも、オーケストラ版では出来なかったことをひとつやっている。印象はかなり違うと思う」(金森さん)

Q:今回の公演を観に来るお客さんにそれぞれひとことずつ
 -A: 「このようなキャッチーな音楽を用いても、自分の芸術性で勝負出来るっていうくらいなところに来た実感がある。若い頃には、引っ張られてしまったり、逆に、背を向けようとしたりもしたが、今は齢50にして、素晴らしい音楽と向き合いたいという気持ち。それを皆さんが知っていようが知っていまいが関係なく、自分の芸術性を表現出来ると思って選んでいる」(金森さん)
 -A: 「穣さんが色々経てきて、芸術家としての「核」の部分が凄く強くなってきていて、それが『アルルの女』とか『ボレロ』とか作品名に捕らわれない、Noismだからこそというものが出来るところに来ている。振付家と舞踊家がよいバランスで成熟してきている。全く違う2作品ではあるが、共通する部分も多い。是非、劇場に来て観て貰わないと勿体ない」(井関さん)
 -A: 「既成概念とか、出来上がっているイメージを壊す方が楽しい。『皆さん、知ってますよね、コレ。でも違いますよ』っていう、或いは、皆さんの価値観が変わるぐらいのことに興味がある。ぶっ壊しますよ(笑)、イメージを」(金森さん)

…以上で、この日の囲み取材の報告とさせて頂きます。早く観たい気持ちが募ってきちゃいました、私。公演まであと1週間!チケットは新潟公演(6/27~29)、埼玉公演(7/11~13)とも好評発売中とのこと。よいお席はお早めに。

そして、スタッフの方からは新潟での金森さんによるアフタートーク付き公演(6/28)とプレトーク付き公演(6/29)についても重ねての紹介がありました。この日、囲み取材でも期待値を「爆上げ」してくれた明晰な語り口の金森さんが、公演期間中に、何を話してくれるのか、そちらも興味が尽きません。皆さま、よろしければ、その両日、ご検討ください。

なお、この「公開リハーサル」の模様は、同日夕、BSNのローカルニュース番組「ゆうなび」内で、ほんの少し(1分強)取り上げられて、それ、ドキドキしながら見ましたけれど、う~む、本番がホント楽しみ過ぎます。皆さま、是非お見逃しなく♪
サポーターズも「Noism Supporters Information #12」を皆さまにお届けしようと準備中です。そちらもどうぞお楽しみに♪

(shin)
(photos by aqua & shin)

BSNテレビ特番『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟』上映会&トークショーに行ってきました♪

2024年6月14日(金)@りゅーとぴあ4Fギャラリー

BSN新潟放送制作のドキュメンタリー『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟(英題:On Stage)』が今年5月、ドイツの「ワールドメディアフェスティバル2024」でドキュメンタリー部門(Documentaries: Arts and Culture)金賞を受賞したことはご存じかと思います。
それを記念して開催された上映会と、金森さん×番組ディレクター坂井悠紀さんのトークショーに行ってきました!


最初は椅子が50席ほど用意されていましたが、どんどん椅子追加で、終わる頃には満席立ち見の大盛況でした♪
https://www.ohbsn.com/event/wmf-onstage/

まずは上映会です。
テレビでリアルタイムで見て録画もしてありますが、大画面はやはり違いますね!
ナレーションは石橋静河さん。2022年初演のNoism×鼓童『鬼』に関して、金森さんに密着したドキュメンタリーです。
あの頃はマスク必須でした。『鬼』を作曲した原田敬子さんのことや、新潟、埼玉、京都、愛知、山形の5会場での公演のこと等、懐かしく思い出しました。

続いてトークショーです。
すっかりおなじみ同士の金森さんと坂井さん。明るく楽しくいろいろなお話が繰り広げられました。

坂井さんは授賞式のため5月末にハンブルクに行き、3泊したそうです。
街の中心にある国立劇場で、ジョン・ノイマイヤー、ハンブルクバレエ団『ガラスの動物園』を鑑賞。
「どうだった?」ときく金森さんに、「セットが豪華だった」と答える坂井さん。
「踊りを観にいってセットが豪華って、そりゃダメでしょう!」とすかさず突っこむ金森さんでしたが、坂井さんには訳が。
坂井さんは「舞踊と言えばNoism」が沁み込んでいます。
「Noismは舞踊家たちの身体性が共通しているが、ハンブルクバレエ団は身体性が共通していなかった」そうで、動きの質がNoismより雑と感じたのだそうです。
この返答には金森さんもちょっと驚いたようでした。

ハンブルクバレエ団は公演数がすごく多く、スケジュールが過密で多忙なので、集団性よりも個々の魅力を重視しているのではとのことでした。金森さんは「他の一流の舞踊団を観るとNoismのこともよくわかるよね」と応じていました。

●ハンブルクバレエ団、日本人初のプリンシパル菅井円加さんへのインタビュー( by 坂井さん)
菅井さんは2019年からプリンシパルになったそうで現在29歳。国家公務員という立場。
ノイマイヤーが芸術監督をもうすぐ退くことになっているが、それまではバレエ団にいるし、その後は流れを見たい。
劇場の課題は、観客の高齢化。← これは世界的現象だそうで、若者向けの演目を上演するなど、対処しているそうです。
菅井さんは金森さん、井関さんの大ファンとのこと♪
この『劇場にて-舞踊家 金森穣と新潟』を見て、とても勉強になったそうです。

金森さん談:
ノイマイヤーもそうだが、20世紀の巨匠たちがやめると、そのあとがてんやわんやになる。
自分はその次の世代だが、そうならないようにどのように残して、世代交代していくか。
自分がいなくなってもNoismが今のように続いていくにはどうすればいいか、考えているが難しい。
舞台芸術が定着しているヨーロッパではなく、この国独自の専属舞踊団のあり方を考え出して、世界に貢献したいと思っている。
日本は、かつて経済に注いだ情熱を、今度は文化に注げば文化大国になれるのにもったいない。
★この番組が金賞を受賞したからには、全国放送をしてほしい。新潟でしか見られないというのはそれこそもったいない!(拍手)

そのほか、坂井さんは2019年1月『R.O.O.M.』の公開リハで初めて金森さんとNoismに出会ってビックリし、密着取材をしつこく申し込みましたが、断られ続けたこと。その後、モスクワまで(『カルメン』公演の取材に)来たら考えると言われたため、同年5月末にモスクワに行ったこと(モスクワの会場でお目にかかりました)。
ハンブルクでの授賞式・レセプションには審査員が誰も来ていなくて驚いたこと。等々々書ききれず、すみません。

4年前、文化庁芸術祭賞のテレビ・ドキュメンタリー部門で大賞を受賞したBSNスペシャル
『芸術の価値 舞踊家金森穣 16年の闘い』で、坂井さんは「新潟に金森穣がいることの意味」を撮りたかったそうですが、この度は「金森穣にとっての新潟」を意図したそうです。
番組中、昨年の関屋浜海岸清掃のシーンで金森さんが言った「この海の向こうには大陸があるんだよね」という言葉が坂井さんには印象深いそうです。新潟にいて、いつも世界のことを考えている人、なのでしょう。

最後に金森さんのひとこと、
「Noismで二つも賞を取ったのだから、BSNはそろそろNoismのオフィシャルスポンサーになれば!」
拍手喝采! あっという間の1時間、楽しいトークでした!
終了後は来場者と写真撮影♪
https://twitter.com/NoismPR/status/1801581021382721871

なお、6月28日(金)— 30日(日)
Noism 20周年記念「Amomentof」公演期間中も同番組が上映されます。

※28日(金)、29日(土)の上映はどなたでもご入場いただけます。
入場無料(申込不要/当日直接会場へ)
※30日(日)の上映は、会場が劇場ホワイエとなるため、当日の公演チケットをお持ちの方のみのご入場となります。なお、椅子のご用意はありませんので、ご了承ください。

6/28(金)17:30-18:25 4Fギャラリー
6/29(土)15:30-16:25 4Fギャラリー
6/30(日)14:00-14:55 劇場ホワイエ

公演&上映、ぜひどうぞ!

(fullmoon)

【追記】
坂井ディレクターによる授賞式を含むハンブルク訪問の様子は、6月12日(水)夕にBSN新潟放送『ゆうなび』内にて、「芸術の国 ドイツ・ハンブルク 現地リポート(Noismを知るトップダンサーにも取材)」として、10分の尺(!)をとって放送されました。その放送ダイジェストは次のリンクからご覧いただけます。併せてどうぞ。
https://news.infoseek.co.jp/article/bsn_1226246/#goog_rewarded 
(放送には映っていた授賞式での坂井ディレクターの尊いタキシード姿がこちらには載っていない点は誠に残念ですが…。)

(shin)