ウェブ「dancedition」にて好評連載中の「Noism20年 井関佐和子、全作品を語る(9)」がアップされた「2025年10月7日」の日付は、Noismがスロベニア滞在中ということで、(今回も)完全に油断していた以外の何物でもありませんでした。公開から2日経ってのご紹介となってしまってます。スミマセン。
それにしても、今回6年振りの海外公演があるにも拘わらず、その慌ただしさ、忙しさの最中、しっかり入稿締め切りを守る井関さんの律儀さには恐れ入ります。その貫かれた姿勢が可能にしてきた約2週間毎の公開、この先は心して待つことといたします。
では、ここから、その「第9回」のご紹介です。

先ずは、外部振付家招聘企画の第4弾、トリプルビルの「OTHERLAND」(初演:2011年5月27日・新潟、滋賀)です。演目は、アレッシオ・シルヴェストリン演出振付の『Orime no ue』、稲尾芳文&K.H.稲尾演出振付『Stem』、そして金森さん演出振付『Psychic 3.11』の3作品。いずれも作風や手法、そして味わいを異にする3作で、(当たり前のことに過ぎませんが、)「舞踊」の幅広さ・奥深さをまざまざ感じさせられる思いがしました。井関さんが語った言葉からも、そのあたりの三者三様振りが読み取れますね。
また、井関さんが「実際に起こっている出来事以上のものを感じる」とした『Orime no ue』、「動きたくなってしまう」舞踊家の性(さが)に向き合ったという『Stem』。そして、「ユニゾンを(金森さんと)二人で踊ると驚くほど合う」との言及を頷きながらも、興味深く読んだ『Psychic 3.11』。その3作をまた並べて観てみたい気持ちになりました。
で、個人的な事柄で恐縮ですけれど、当時、まだ「Noism歴」が浅かった私にとって、「初」ジェームズくんだったのが、この『Psychic 3.11』でした。で、舞台上に展開される追悼の舞踊を追いながらも、横倒しにされたままのジェームズくんが「そろそろ起き上がる筈」とばかり、何度も何度も目を向けては、その「動き」を待ったことを懐かしく思い出します(笑)。
続いて、「サイトウ・キネン・フェスティバル松本2011」でのオペラ『青ひげ公の城』op.11(小澤征爾・指揮)とバレエ『中国の不思議な役人』op.19(沼尻竜典・指揮)(初演:2011年8月21日・まつもと市民芸術館)です。
オペラ『青ひげ公の城』での「世界の小澤」描写は読んでいるだけでもその凄みが伝わってきますし、他にも様々な大変さはあったようですが、この先、金森さん演出振付のオペラもホント観てみたいです。
バレエ『中国の不思議な役人』は、その後(翌2012年)、観る機会に恵まれたのですが、他のNoism作品ではついぞ見ることのない(「スーパー歌舞伎」的な)大がかりな「外連(けれん)」が実に小気味よく、ぽか~んとしながら観ていたと思います。同時に美しくて、物悲しくて…。
そして、齋藤秀雄さんの門下生が集結したこの国のスーパー・ヴィルトゥオーゾ軍団と言うべき「サイトウ・キネン・オ-ケストラ」とのこの共演の機会は、同オーケストラでヴァイオリンを弾いていた矢部達哉さん(東京都交響楽団ソロ・コンサートマスター)とのその後の交流の端緒としても大きな意味を持つものと言えます。
そのあたりのことを井関さんとの「柳都会」vol.28(2024年2月4日)で、矢部さんが語っていますから、どうぞそちらも併せてお読みください。
そんなふうに、今回も多岐にわたって、興味深い事柄ばかりの「Noism20年 井関佐和子、全作品を語る(9)」はこちらからもどうぞ。
(先日の公開リハーサルの折に、井関さんにあの『ほいたらね』についてお伺いしたところ、使ったことはないとのことでしたので、その朝ドラも既に終わってしまっていますし、ここは普通に、)それではまた、ということで。
(shin)
shinさま
連載「第9回」ご紹介ありがとうございました!
ちょうどスロベニア公演、初日大成功の報が入ってきたところです!
https://x.com/jokanamori/status/1976370732235116674
よかった!!
明日もがんばって♪
さて今回は「OTHERLAND」『Orime no ue』『Stem』『Psychic 3.11』と、
「サイトウ・キネン・フェスティバル松本2011」『青ひげ公の城』『中国の不思議な役人』。
井関さんのお話、素晴らしいですね!!
「OTHERLAND」についてはshinさんのご感想がサポーターズ会報20号に載っているので、後ほどshinさんからご紹介してもらおうと思います♪
私の印象は、『折り目の上』きっちりしている。『Stem』和む、面白い。『Psychic 3.11』重い。微かな希望。といったところでしょうか。
当時のブログです。
「『OTHERLAND』『火の鳥』初日」
https://noism.exblog.jp/16038661/
「OTHERLAND」公演では最初にNoism2『火の鳥』が初演されました。
『火の鳥』は3.11の復興を願って創られた作品でもあるので、金森さんにとっては『Psychic 3.11』と繋がるのかなと、今になって思います。
サイトウキネンについては私ごときが何をかいわんや、です。
ただただ素晴らしくて物凄くて、圧倒されました。
舞台装置も凄かったです。田根さん大変だったことでしょう。
当時のブログより:
・「サイトウ・キネン・フェスティバル!!!」(2011.8.22)by acoさん(写真あります)
https://noism.exblog.jp/16452674/
・「サイトウキネン公演」(2011.8.25)by fullmoon
https://noism.exblog.jp/16462958/
サイトウキネン繋がり、井関さんと矢部さんの柳都会リンクもありがとうございました♪
(fullmoon)
fullmoon さま
この度もコメント並びに当時のブログへのリンク、有難うございました。サポーターの側面がプラスされ、より一層、客席側からの「当時」が思い出されます。
「サイトウ・キネン・フェスティバル松本2011」には赴きませんでしたが、後に観た『中国の不思議な役人』は篠山紀信さん撮影のビジュアルも相俟って、「役人」中川賢さんの立ち姿が今でもはっきり脳裏に浮かびます。そして『青ひげ公の城』、観たかったです。
Noismが同フェスティバルに呼ばれた経緯などはどんな風だったのでしょうか。興味があります。ご存知なら、教えて貰いたいです。
そして、「OTHERLAND」。fullmoonさんが書いてくれたお陰で、『火の鳥』も併せて上演されたことを思い出しました。以前にも増して、記憶もおぼつかなくなり、困ったことです(涙)。
そんな訳ですから、当時のことを書こうとすると、当時書いたもの頼りになってしまわざるを得ません。情けないことですが(涙)。で、fullmoonさんと管理人さんのお力添えのもと、サポーターズ会報に載せて貰った文章へのリンクを貼らせて頂きます。今、読み返しますと、穴があれば入りたい+書き直したい思いも強くありますが、そこは仕方ありません。よろしければ、お読みください。
*「リスペクト」の円環のなかにいたことの幸福 Noism1「OTHERLAND」&Noism2『火の鳥』(初出:「Noismサポーターズ会報」020号・2011.12.16)
fullmoonさん、管理人さん、どうも有難うございます。ひきつづきよろしくお願いします。
末筆になり、誠に恐縮ですが、スロベニア公演2日目(演劇・舞踊の専門学校生のための貸切公演!)も大好評を博した様子が各SNSから伝わってきます。(当然ですけれど。でも、)嬉しいですね、やはり。
(shin)
皆さま
ひとつ前のコメント欄にて、Noismが「サイトウ・キネン・フェスティバル松本2011」に呼ばれた経緯について知りたい旨、書きましたが、それに関して、fullmoonさんから金森さんの著書『闘う舞踊団』に関連する記述があると教えて貰い、早速、同書にあたってみました。
すると、確かにpp.245-246にそれを見つけました。(fullmoonさん、凄い記憶力!)
それによりますと、遡ること3年、2008年の同フェスティバルに参加した金森さんは小澤さんが指揮する作品で踊ったことがわかります。そしてその実演が目に留まり、(終演後すぐに!)2011年のフェスティバルでの演出振付の話に繋がったのだそうです。
そのあたりに関しましては、当ブログの左端「リンク」中の「Noism Batabase Unofficial(Noismの非公式データベース(個人サイト)」へ行って頂き、「5th Season」の「2008年8月26日-9月2日」をご覧ください。演目はヤナーチェク『利口な女狐の物語』で、「金森穣, 井関佐和子, 櫛田祥光, 中野綾子, 原田みのる (元メンバー), 平原慎太郎 (元メンバー) が個人参加」とあります。
また、検索エンジンで探しましたところ、「旅と音楽、旅と音」というブログがヒットしました。そこにも同演目について触れられていますので、そちらもよろしければどうぞ。
今度は2008年の参加経緯にも興味は湧くのですが、とりあえず、今はここまでとさせてください。
(shin)