2024年11月13日(水)11:00 – 12:00、秋晴れの新潟市。りゅーとぴあスタジオAで、「円環」記者発表が開催されました。
登壇者は、井関佐和子さん(Noism国際活動部門芸術監督)、金森穣さん(演出振付家、舞踊家)Noism芸術総監督、近藤良平さん(振付家、ダンサー)彩の国さいたま芸術劇場芸術監督、コンドルズ主宰、の3名です。
井関さん、近藤さん、金森さんの順でお話があり、そのあと会場参加者の質問、オンライン参加者の質問と続き、最後に写真撮影です。司会はNoism広報の谷内紫乃さん。
●井関さんのお話:
・「円環」は3作品の総合タイトルであり、20周年イヤーにふさわしいプログラムと思う。
・近藤さんをお呼びしたのはNoism1メンバーのため。近藤さんは「ダンサーはダンサーを演じることがある」と話されていたことがあり、自分でも知らないうちに行動が「ダンサー」になっていたりする。メンバーは自分自身と向き合い、近藤さんと一緒に感情の旅を楽しんでほしい。
・Noism0+今回のゲストは皆40歳を過ぎている。若手育成を担う年代でもあるが、円熟の力を発揮できる年代でもある。舞踊に限らず40代以上の人たちがますます活動的になっていくといいと思う。
・『過ぎゆく時の中で』では、私は出演せず、穣さんとNoism1メンバーが踊ります。(!!)(←金森さんは山田勇気さんが踊った役のようです)
●近藤良平さんのお話:
・19年ぶりだが、Noismは変わらずにいる、在る、という感じで、自分も「帰ってきたな~」と思っている。
・今、段ボールにハマっていて『にんげんしかく』は、段ボールと人が関わる作品になる。
・メンバーとは最近会い、今、クリエーション中で、刺激をもらっている。困るくらいやる気がある。身体に真面目に取り組んでいる。この作品では自分を磨くというよりは、作品に溶け込んでもらえればと思う。
・作品は段ボールを使った、段ボールとの作品なので、不思議な珍しい作品になると思う。ケガをしないで段ボールと格闘してほしい。
●金森さんのお話:
・『過ぎゆく時の中で』は2021年、サラダ音楽祭での作品。このころ、コロナ明けで外国人メンバーが一斉に帰国した。集団と個人、どちらかとなったら個人を選ぶ。コロナという特別な状況下とは言え、無常なる集団性を感じた。と同時に集団性の尊さを感じた。
メンバーは通り過ぎていく。これまでに156名。この事業の価値を信じてくれる関係者がいてNoismは継続できてきた。長い時の流れの中で今がある。
Noism1メンバーと間近で踊るのは初めてだと思う。井関も言っていたが、育成と同時に円熟した力を還元し、共有することで若いメンバーに届けられるものがある。
・Noism0新作『Suspended Garden-宙吊りの庭』は、あまり考えず、皆が集まってから創ったが、8日間であっという間にできた。それはゲストの身体性が前と変わっていなかったから。若い人や外部振付だと求める身体性から教えるので時間がかかる。(トン・タッ・)アンの音楽を含め、6人でこれから深めていきたい。
・『Suspended Garden-宙吊りの庭』とは、「劇場」が(も)メタファー。近藤さん的に言うと「段ボールの箱の中」。現実とは違う宙吊りの庭に舞踊家が集い、別れていく。(それは劇場だけではない)
お話は以上でこのあと質疑応答です。
ちなみに取材メディアは、NHK、BSN、TeNY、新潟日報、朝日新聞、月刊にいがた。
オンライン質問は、バレエチャンネル、チャコット、東北新社、埼玉新聞、ダンスマガジン。
と、錚々たるメディア陣で、Noism創設時とは隔世の感で感涙もの。。。
よくぞここまで大きく育ってくれました。(お母さんはうれしい、的)
ということで、たくさんの質問があり、とてもご紹介しきれません。いくつか。
●井関さん:
-Noism0新作で舞踊家としての実感は?
・『Suspended Garden-宙吊りの庭』で、十数年ぶりに宮河、中川に触れた。最初に触れる時、どう感じるのか、怖い・恥ずかしいという気持ちがあった。それは彼らも同じだったと言っていた。
しかし、触れた瞬間から、「あの時と同じ」、「変わらないものがある」と感じた。
20代の頃と感覚は変わらない。それぞれの「くせ」や、それに対して自分がどう思うかまで同じで、とても貴重だった。
-近藤さんの作品とNoism1の身体性について
・近藤さんの作品とNoism0のダブルビルでもよかったのだが、トリプルにしたのは、Noism1メンバーに多面的なものを自覚してほしいと思ったのと、観客の皆様にもNoism1の身体性の違いを見てほしいと思ったから。
●近藤さん:
-Noismへの思いは?
・Noismが20年続いている。続けている。存在している。知られていく。知られている。
ぐっと熱く、深くやりたい。
・Noism1メンバーはすごく踊れる方たち。自分の振りを5秒で取り込み再現する。取り込みがダントツに早い。自分は30分たつと自分の振りを忘れるので教えてもらっている。
-近藤さんにとって舞踊とは?
・模索しているが、解答は出ないと思う。舞踊というよりは、ダンス、踊る、舞う、と考えている。
特別なものではなく、自分としては「日常的」で身近なもの。日常の中にたくさんのものがあり、それがダンスになる。
-『にんげんしかく』の音楽は?
・内橋和久さんの音楽で、ダクソフォンという不思議な楽器を使った不思議な音。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E6%A9%8B%E5%92%8C%E4%B9%85
●金森さん:
-音楽は録音?
・『過ぎゆく時の中で』はサラダ音楽祭とは違い録音。ただ舞台は広く使えるので「劇場版スペシャル」になる。
・『Suspended Garden-宙吊りの庭』も録音。楽譜に書けるような音楽ではないが、メロディーがあり情感豊か。外界からふわっと聞こえてくる映画音楽のような。
-Noism1メンバーと踊ってみて
・若手と円熟では情報の量と質が違う。一緒に踊らなければ伝えられないものがある一方、こちらもメンバーの奔放な情報に刺激を受けている。
舞踊に限らず、若手と円熟の両輪を回していかなければならない。
-Noism0+ゲストについて
・一瞬をいかに生きるか。人間って何だろう。友情?友愛? 時を経て再び会う。
変らないもの、変わらないことへの愛。
お話たくさん。濃い記者発表でした!
ほか詳細、ぜひどうぞ!
▼公演詳細ページ
https://noism.jp/noism0-noism1-enkan/
▼公演プレスリリース
https://noism.jp/pressrelease_enkan_2024/
なお、メディア・活動支援会員対象の公開リハーサルは12/5(木)の予定だそうです。
「円環」公演、ますます楽しみです!!!
(fullmoon)
◎以下に、Noism公式から提供を受けたこの日の記者発表画像(15枚)を追加掲載します。是非、ご覧ください。
fullmoon さま
詳細なレポート、どうも有難うございました。
盛り沢山で、とても贅沢なトリプルビル公演であることがまざまざ実感されました。どの作品も楽しみでなりません。
貼って頂いたリンクも有難かったです。
『にんげんしかく』。プレスリリースほかで読める近藤良平さんの「安部公房の『箱男』は関係ない。」の言葉。そう言われてしまえば、逆に、どう関係ないのか、興味を掻き立てられてしまい、公演前に、久し振りに再読しなけりゃって気持ちになって、本棚の奥から取り出してきました。
(石井岳龍監督の映画『箱男』も未見なのが悔やまれますし。)
見渡せば、トランプ(恐らく、かの国で再選された大統領ではない)が目に入る部屋(!)に暮らし、「段ボールにハマっている」ことがどう作品に落とし込まれるのか、(プロフィールに「愛犬家」とある近藤さん、以前の振付作品は『犬的生活』だった訳ですし、)今回もNoismのイメージを粉々にしてくる奇想天外なものになりそうですよね。
また、先日のラジオ「NAMARA MIX」(11/5)では井関さん、その近藤さん作品(2005)では、「仲悪かった友だちと最悪な喧嘩をしていた時期に、コントを一緒にやって、それはもうなかなか辛かった」と語っています。
衝撃的な話だったため、「さわさわ会」のパーティー(11/10)で、井関さんにそのあたりのことを訊ねましたら、「舞台の前と後は、全く目も合わせず、口をきかなかった」とも。近藤さんはそうした事情を知ったうえで、ふたりをキャスティングしたのか質問したところ、「全然、気付いてなかったと思いますよ。そんなこと関心もないというか。でも、近藤さん、嗅覚が凄いから、もしかしたら…」と言って笑っておられました。
で、金森さんは「最近の若い子はホント喧嘩しないよね。相手に主張をぶつけない」と。
おっと、話が逸れ過ぎですね。いろんな意味でNoism1メンバーの新生面が見られる演目となりそうです。
Noism0新作『Suspended Garden-宙吊りの庭』。暗示に満ちたタイトルにもゾクゾクするものがありますし、何より宮河愛一郎さん、中川賢さんが出演されて、井関さん、山田勇気さんと一緒にトン・タッ・アンさんの音楽で、ってことに胸躍ります。金森さんも出てくれたらいいのに、そう思うのは私だけでしょうか。
レパートリー『過ぎゆく時の中で』。こちらで金森さんがNoism1と踊るのですね。しかし、井関さんは出ない!
そうして見ると、この3演目のなかだけでも、様々な繋がりが認められ、まさに「円環」が見てとれますね。(当然ながら。)
本当に今からドキドキを加速させられるような記者発表です。
fullmoonさま、詳報、有難うございました。
(shin)
shinさま
コメントありがとうございました!
内容濃いですね♪
はい、近藤さんの『にんげんしかく』、どうなることでしょう??
「Noismのイメージを粉々にする」のが近藤さん井関さんの狙いでしょうし、『過ぎゆく時の中で』でNoismらしさを表すのがまた狙い目でしょうね。
メンバーの健闘が楽しみです♪
Noism0新作『Suspended Garden-宙吊りの庭』では、確かに金森さんも出てほしいですよね。
今回の公演は金森さんは出演しないのかな~と残念に思っていたのですが、『過ぎゆく時の中で』に出ると聞いて嬉しい反面、井関さん、山田さんは『Suspended Garden-宙吊りの庭』のみ。
浅海侑加さんはNoism2リハーサル監督に専念。と、ちょっと寂しいです。
でも、そんな気持ちを上回る期待にドキドキします。
皆さま「円環」お見逃しなく!!
(fullmoon)