個と社会の相克を描く、圧倒的な完成度(『春の祭典』5/23公開リハーサル)(サポーター レポート)

来週末5月30日、31日の富山県黒部市「黒部シアター2026春」に向けたNoism活動支援会員向けの『春の祭典』公開リハーサル。昨日に加えて、急きょ本日のスタジオBでのリハが追加開催され、約20名の会員が集まった。


いつに増して緊張が空間に漲るスタジオB。12時定刻、芸術総監督・金森穣さんのいつもの「はい、始めましょうか」の合図で、井関佐和子さんが能を思わせる摺り足で歩み始めてから、約50分間、息つく間もないほどの勢いで展開される音と心体の共振。昨日のリハーサルレポートでfullmoonさんが詳述された黒部公演のみの新作『ゾディアック』は、冒頭の摺り足始め、人形振り、支配と被支配などNoismが22年間表現してきたエッセンスが凝縮しており、様々に舞台の記憶が脳裏を駆け巡る。そして、この鮮やかな序曲を経ての改訂版『春の祭典』はその到達した高みに涙を禁じ得ないほどの仕上がりだった。詳細は黒部、そして6月末からの公演で確かめていただきたいが、新型コロナ禍の苦しみの中で創作され、個と社会の相克とそれをも凌駕する人智を超えたものに打ちのめされた初演・再演を超えて、金森さんは12名の舞踊家の心体による渾身、12脚の椅子、そしてストラヴィンスキーの楽曲の力を駆使して、人は本当に「自由」を希求し得るのか、異端を排するものとは誰なのかを冷徹なまでに突きつけてくる。終盤の改編には、息を呑み、鮮やかな終幕には打ちのめされた。

リハーサル後、金森さんは「これだけの仕上がりになっています。舞踊家たちは身を削って、ここまでに達しています。これもこの恵まれた環境あってのこと。そして、それも後一年」「バイトの合間に集まって練習していては、ここまでのレベルには届かない。比べてお見せしたいくらいだけど」と、Noismが置かれた苦境を踏まえつつ語った。
公演後、あまりの興奮にりゅーとぴあ屋上庭園で一服していると、「お疲れさまです!」と井関佐和子さんが声を掛けてくださった。二日続けての公開リハーサルだった為お疲れとのことだったが、改訂版に至るまでの初演・再演時の記憶含めて、お話することが出来た。コロナ禍中の初演時の公開リハーサルで、金森さんが見せた涙を思い返しつつ、この舞踊団が新潟で続けてきた「献身」は決して失われないし、その為に何が出来るかを、改めて思わされた。まずは来週末の黒部公演に心して臨みたい。

久志田渉(「月刊ウインド編集部」)

「個と社会の相克を描く、圧倒的な完成度(『春の祭典』5/23公開リハーサル)(サポーター レポート)」への1件のフィードバック

  1. 久志田さま
    心揺さぶられる力強いご寄稿、素晴らしいです。
    どうもありがとうございました!

    皆さま、今月末 5/30,31 はぜひ黒部へ!!
    黒部公演 詳細:https://kurobetheatre.com/ticket/

    (fullmoon)

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