MIYAKE ISSEY展トークイベント、4/9(土)14:00-15:30 国立新美術館 講堂で開催。会場ステージの大きなスクリーンに宮前さんが衣裳を担当した『ASU』の『Training Piece』の写真画像が映し出されています。
金森さん、宮前さんが登壇し、まずご自身のこれまでを自己紹介。それぞれの来歴や仕事のことのほか、宮前さんは以前からNoismのファンだったこと、金森さんは20代の頃、自分のお金で三宅一生の服を買ってイキがっていたことなども話されて、和やかにスタート。
金森さんが『Training Piece』はNoismメソッド・バレエを作品化したもので、Noismメソッドについてはあとでデモンストレーションをします、と言ったので、「え!?金森さんがやるの?」と不審に思っていたところ、なんと井関佐和子さんが登場!!びっくりしました。聴講の皆さんも「あっ!」という感じです。まさかのうれしいサプライズ♪
佐和子さんは黒のノースリーブと黒のパンツ姿、ステージの上に横たわり、金森さんの指示で身体を微妙に動かします。垂直の動き、水平の動きとは聞いていましたが、実際に見て、おおー、こういうことなのか!とわかりました。とは言っても簡単にできるようなものではありません。相反する動きを体内で同時に行う、というような感じなのです。
佐和子さんは金森さんの指示でそのあと仰向けと横向きを繰り返し、だんだんNINA状態になっていきます。そして仰向けから金森さんが首を支えて軽く持ち上げると、マネキンのようにスッと直立NINAになり、会場はおおっというどよめきが!
このような動きは『NINA』の舞台では見ているのですが、改めてすごいと思いました。
立ち上がると、今度は立った状態での動きをいろいろ見せてくれました。腕を上げるだけにしても、肩から肘までは内向き、肘から手首までは外向き、手首から先は内向き、とか、クラシックバレエの動きとの違い(西洋人と日本人・東洋人の違い)とか、根本は「スパイラル」とか、樹木を想起とか、拮抗と開放とか、耳を立てるとか、
金森さんが説明し、佐和子さんが実際にやって見せてくれて、『ASU』や『Training Piece』の他の画像を見て確認をしたりとか、驚きの連続でした。
佐和子さんの柔らかくも強靭で、常人ならぬ動きはこの鍛錬のたまものと納得。それにしても佐和子さんの身体は美しいですね。ノースリーブなので腕を広げた時の筋肉のつき方などがよく見えて、きれいで感嘆しました!
先日のNoism活動更新会見で、金森さんは「今のNoismメソッドとバレエを一本化し、体系化したNoismメソッドを、新たな更新期間中に創り上げ、世界的に共有できる世界の財産として、舞踊文化、身体文化に貢献したい」、「台湾でNoismメソッドを教える予定がある」と話されました。
そういうこともあり、今回こんなふうに見せてくれたのかなと思いました。
さて、専門性にかけては宮前さんも負けていません。宮前さんは、新たなストレッチ素材としてプリーツと織りを組み合わせた「3D スチーム ストレッチ」を開発しました。それが『ASU』の衣裳にもなったわけですが、更にそれを立体的に発展させ、最近のパリコレで発表したそうです。
この新素材の開発と商品化が当然ながらなかなか大変だったそうで、映像を交えていろいろ説明してくださいました。
皆が新しいものを待っているが、だいたいのことは先代がやっている、そんな中で今までやってきたことを踏まえつつ、どれだけ挑戦できるか。
お二人の話を聴いていて、金森さんと宮前さんは分野は違えどクリエーターとして相通じるというか、共通の認識を持っていると感じました。
そしてそれは金森さんにとっては宮前さんだけでなく、平田オリザさんや田根剛さん他、今回『バヤデール』で集う、一流の専門家たちとも通底するものがあり、同時代の仲間として互いにリスペクトし合えるということのようです。
濃くて楽しい1時間半でした。もっといろいろなお話や映像上映もあったのですが、とても書ききれません。
会場では新潟、東京のサポーターズ会員さんたちに会えてうれしかったです♪(fullmoon)