『R.O.O.M.』/『鏡~』第2クール、快調な滑り出し♪(新潟公演4日目)

第1クール3日間から、中3日のインターバルをおいて迎える第2クールの4日間は、
期間中、最もバラエティに富んだ日程になっています。
お仕事の関係上、平日の方が観に来やすいという方々を念頭に組まれたもので、
木・金、そして日・月という4日間なのです。

そのクール初日・2019年1月31日(木)、みたびスタジオBに出向き、
『R.O.O.M.』/『鏡の中の鏡』を観てきました。
わかっていたこととは言え、ワタシ的には「なんと!」の木曜日な訳で、
仕事帰りのため、観ているうちに、うっかり意識が飛んでしまったら…、
そんな心配が頭をかすめ、「身体を甘やかしてはならぬ」とばかり、
敢えて腰にかかる負荷を求めて、(初日と同じ)最前列の席を選んで腰を下ろしました。
この日の客席には、元メンバーの真下恵さん、チェン・リンイさん、
そして、Noism2とのクリエーションで新潟入りしている平原慎太郎さんの姿もあり、
私たちと一緒に「矩形」を見つめていたことも書き記しておきます。

で、結果、「意識が飛ぶかも」なんてことは杞憂に過ぎず、ド迫力の熱演を満喫しました。
例えば、『R.O.O.M.』、12人が横一列に並ぶ場面では、「近っ!」ってな具合で、
彼らが揺り動かした空気がこちらの身体にまでビシバシ届いてきましたし、
汗の雫さえ飛んできそうでした。
そして例えば、『鏡の中の鏡』、井関さんの、或いは、金森さんの苦悩が
まるで自分のものであるかのように感じられるほどでした。

金森さん、やりましたね。第1クールの最終日にも飾られていたのでしょうか、毎日芸術賞の賞状。誇らしいです、実に。

そして、金森さん、やってくれましたね、『R.O.O.M.』。休演期間を挟んで、第1クールを観たときにはなかった、とても印象的な「映像」がこの日は追加されていたのです。

そうきたか!ならば、この後も変わる可能性は否定できない訳で、第3クール、第4クール、そして吉祥寺シアターと度毎に観なきゃ気が済まなくなるじゃありませんか。(汗)

とりあえず、第1クールをご覧になった方は、少なくとももう一度はご覧になった方がよろしいかと。

舞踊家一人ひとりの動きがこなれてきて、一層の確信に満ちて展開される、楽しさが実に半端ない『R.O.O.M.』。衣裳も女性と男性で色が異なるだけでなく、よく見ると、描かれたペイントも一様ではないことがわかりました。

他方、哀切ここに極まれり、もう凄みさえ感じさせずにはおかないくらいの深い境地で魅せる『鏡の中の鏡』。救いはあるのか。ふたりの視線からは一瞬たりと目が離せません。


この2作、新潟の寒い冬に震える身体を、
内側から、それもそれぞれに全く別の角度から温めてくれるかのようです。
その証拠に、この舞台を観終えた人は例外なく、少し積もった雪さえものともしない幸福そのものといった表情を浮かべているのですから。
ならば、敢えて言いましょう。それはまさしく「舞台の奇跡」、或いは、「奇跡の舞台」と。
はたまた、日常を活性化する劇場の非日常、その力とも。
そんなの大袈裟だとか思ってませんか。ホントなんだなぁ、これが。
見逃したらアカンやろ。(←何故、大阪弁?)
是非、このもの凄い2本立て公演を堪能しに来てください。きっと震えがきますから。
りゅーとぴあ・スタジオBがあなたをお待ちしております。
(shin)

世界と対峙する『R.O.O.M.』/『鏡~』新潟公演2日目

日本時間の2019年1月26日(土)の夕方は、多くの耳目が熱い南半球・豪州のメルボルン界隈にも注がれていたと思われますが、ほぼそれと同じ時刻、雪の降る新潟市のりゅーとぴあ・スタジオBでも、私たちの誇りである舞踊家たちが世界と対峙して、同様に相当熱かった訳です。

前日、初日を迎えた公演で圧倒され、「またすぐ観なきゃ」となり、当日券売り場に一番乗りで並んでいると、私を駆り立ててそういう心境にした張本人の金森さんが飲み物のカップ片手に向かい側のエレベーターに乗り込もうと通りかかりました。で、目が合い、私を認めると、笑顔で、空いたもう片方の手を振ってくれる金森さん。私も会釈を返しましたが、心の中では「あなたが呼び寄せたんでしょ。」と言いながら、その「特典」を嬉しく頂きました。

そして午後4時、無事、当日券も買えました。…安堵。

この日の雪については、少し遡ります。
前日まではまったくなかった雪ですが、日付が変わってから降り出し、
それから後はもう断続的に降り続いたため、
公演が始まる頃にはりゅーとぴあ付近は10センチ弱の積雪となっていたでしょうか。
そんななか、入場を待つホワイエでは、
快晴の東京・関東圏から、恐らくは「川端康成気分」でお越しの方々ともお会いし、
Noismが繋ぐ縁を楽しむひとときも持ちました。

開演。まずは『R.O.O.M.』から。
前日、初見では驚きっ放しのうちに過ぎた時間になんとか食らいつこうとしてみます。

金森さんが「舞踊家に法則性を与え、同じ法則に従って次の舞踊家が反復する」(1/23新潟日報朝刊)と語り、
Noism1メンバーの西岡ひなのさんが「物語がなく、身体とこの空間でのロジック、とても複雑ですが一つの規則性があります」(Noismサポーターズ(unofficial)会報・35号)と紹介してくれた、
「法則性」或いは「規則性」に少しでも迫りたかったからです。
前日は最前列から観たので、この日は全体を引いて観ることを考えて、
後ろから2列目の席を選んで鑑賞しました。

結果、やはり舞踊言語に不案内な身にとっては荷が重く、まったく歯が立たずに、
「脳内で疑似体験する」(金森さん・上掲紙)だけに留まってしまったのですが、
それでもその「疑似体験」を今回も堪能しました。

中断し、「脱臼」させられる連続。
その不連続の連なりは、微細に動きながら、(部分の総和ではない全体として)新たなゲシュタルト相を生成していくようですし、
そのことはとりもなおさず、一見、「箱」のなかの純粋なミクロを標榜するように見せながらも、常に不可視の「箱」外部を想起させずには措かない訳で、
とてもスリリングな視覚体験と言えるでしょう。
それにしても、観ているだけで充分楽しいのですけれど、
同時に、「目に徹して見る」、
ただそれだけのことが途方もなく難しいことなのだと改めて気付かせられもする、
そんな作品です。

15分の休憩を挟んで、井関さんと金森さんが踊る『鏡の中の鏡』です。『R.O.O.M.』でも踊った井関さんがこちらも踊ること、ただそれだけでも驚きな訳ですけれど。

この作品は『R.O.O.M.』と「合わせ鏡」的な性格を有するものと言えるでしょう。苦悩する二人の人間の姿からのアプローチで紡がれていきます。(個人的に殊更新鮮に映るのは、いつも確信に満ちている金森さんが苦悩する様子です。あまり目にしませんよね。)

苦悩、絶望の果ての…、そこから先は書けません。ただ、片時も目を離さぬようにとだけ。

どちらの作品にも、長く続く盛大な拍手と「ブラボー!」の声が飛んだことも書き記しておきます。
個人的な事柄ですが、「昨日の今日」で観に来てよかったと思いました。
新潟は残り11公演、まだまだ観るチャンスはありますし、
たとえ、前売り完売だったとしても、
この日の私のように、当日券が発売されることもあります。
とても深い境地を見せてくれる2作品、まだの方は是非一度。既に楽しまれた方はまたもう一度。その時々の楽しみ方がきっとある公演です。是非、お越しください。

この日、公演の間、雪はそれほど降っていなかったとみえましたが、
時間的には気温が下がり、公演後には路面凍結もありました。
ただ濡れているようにしか見えない、怖い怖い「ブラックアイスバーン」状態の路面を
注意のうえにも注意しながら車を運転して帰路につきました。

…この日の小屋がはねてから、ちょうど2時間後。
放たれた力強いサーヴィスが、
相手ラケットによって正確にヒットされることなく、
リターンされるべき黄色の球体がコート外に弾んだとき、
世界と対峙していた日本人女性・大坂なおみ選手が全米OPに続いて、全豪OPも制し、
同時に女子テニス世界ランキング1位に登り詰めることで、
日本テニス界の歴史に新たな輝かしい1頁が刻まれる瞬間を目にしたのでした。

そんな日本人として感じる誇らしさの「二重奏」のうちに、
2019年1月26日という1日は過ぎていきました。
(shin)

Noism1新作世界初演(初日)、手もなく蹂躙されるその至福

「雪」の予報は出ているものの、まったくその白いものが落ちてくる気配のない新潟市の2019年1月25日(金)午後7時。待ちに待ったNoism新作公演、その世界初演初日の幕が上がり、『R.O.O.M.』50分+『鏡の中の鏡』20分、まさに金森さんが仕掛けた通り、手もなく蹂躙され尽くしたというか、何というか…、感情の振り子が両極に大きく振られてしまったというか…、もう心ゆくまで堪能しました、そう言う以外なさそうです。

スタジオBへの入り口の脇には、
先日、井関さんが受賞されたニムラ舞踊賞の賞状とトロフィーが、
そしてその横には、丁度、この日が授賞式だった金森さん受賞の毎日芸術賞を伝えるパネルが並べられていました。(画像は井関さんのものだけです。悪しからず。)
それを横目にいざスタジオBへ。

期待感を募らせた観客たち。場内暗転。ノイズめいた音楽。
先ずは『R.O.O.M.』の幕開けです。
やがて目に飛び込んできたのは、奥、両脇、天井の4面に正方形の銀色がびっしり張り詰められ、光の反射具合から繊細な市松模様を描いて見える「箱」。ただ「箱」、その内側。それが今回50分間にわたって、何が起きるか、目を凝らして眺める「実験スペース」です。

そして、「えっ! えええっ!!」(絶句)

既に冒頭からやられてしまい、その後も次々やられまくりでした。
見たこともない光景、そして反対に、どこかで、何かの映画で見たことがあるような既視感を覚える光景。
いずれにしても、メンバーの身体を使って、可視化・形象化しようとする何たる強靭な意志であることか、金森さん。

身体?肉体?---否、私が目にしたように思うのは身体的でも、肉体的でもなく、
まったくの別物です。
しかし、たとえそれが単に私ひとりの個人的な印象であれ、
今はまだ初日を終えたばかりですし、
そのあたり、詳しく書くことは差し控えることに致します。

更に、ほぼシーン毎に色味の変わる照明の美しさはどう書いたらいいのでしょうか。
そんな12シーン、引きずり込まれるように観ました。

終演後は、愉悦の拍手喝采と「ブラボー!」の声がスタジオ内を満たしました。
続く15分間の休憩中、観客はひとりの例外もなく興奮を隠し切れない様子でした。

そして後半、遂に『鏡の中の鏡』がそのヴェールを脱ぐ時が来ました。
同じ「箱」を使って演じらるとは知らされていましたが、まったく同一ということはなく、タイトルにもある鏡や照明など、いくつかの細部はこの作品に合わせての仕様に変えられていました。
金森さんのソロ→井関さんのソロ→デュエットという構成で、色濃い不安感と孤独、そして…、お二人でなければなし得ない世界を現出させていました。
金森さんがひく心理学者・ユングの用語であるアニマとアニムスと今作のタイトルに含まれた二つ目の「鏡」とが繋がる世界観とみました。
またしても大きな拍手と飛び交う「ブラボー!」が木霊したことは言うまでもありません。

ほんの15分の休憩を挟んで、感情を両極に大きく振られる2作とは! 

ホント物凄い公演でした。これは絶対見逃したら損です。「もっと観たい!」 

新潟最初の3日間は前売り完売で、この期間、私が買っていたのは今日だけだったのですが、明日、公演1時間前に若干枚売り出される当日券を求めて並ぼうかとマジで考え始めたような次第です。

「掛け値なしに面白いから絶対観て!」、自信をもってそう言いたい、
否、大声で触れて回りたい2作。
明日1/26(土)は17:00開演、
明後日1/27(日)は15:00開演。
期待値のハードルは上げるだけ上げておいても、上げ過ぎということがない筈です。
乞うご期待!
(shin)

金森さん、第60回毎日芸術賞 受賞!

明けましておめでとうございます!
今年もご一緒に、金森穣Noismをますます応援してまいりましょう!

新年早々の吉報!
金森さんが第60回毎日芸術賞を受賞!!
おめでとうございます!!
https://mainichi.jp/articles/20190101/ddm/001/040/097000c

井関さんのニムラ舞踊賞受賞に続いての快挙!
春から縁起がいいですね~♪

そして今年のNoismスケジュールが一挙に発表されました!

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Noism1 実験舞踊vol.1『R.O.O.M.』/『鏡の中の鏡』

新潟公演: 1月25日(金)- 2月17日(日)※全13回 
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
(1月25,26,27日 前売完売)

東京公演: 2月21日(木)- 2月24日(日)※全5回
会場:吉祥寺シアター(前売完売)

◆Noism2定期公演vol.10
3月15日(金)- 17日(日)※全5回
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館

◆柳都会 vol.20 近藤一弥×金森穣
―グラフィックデザイナーの創造的知性
3月24日(日)15:00-17:00
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館

◆Noism2札幌公演
4月19日(金)- 20日(土)※全2回
会場:札幌文化芸術劇場 hitaru

チェーホフ国際演劇祭2019
Noism劇的舞踊『カルメン』ロシア・モスクワ公演
5月29日(水)- 31日(金)
会場:Helikon Opera

シビウ国際演劇祭2019
Noism1実験舞踊vol.1『R.O.O.M.』/『鏡の中の鏡』
ルーマニア・シビウ公演(予定)

6月中旬

◆Noism新作(予定)
新潟公演:7月19日(金)- 21日(日)
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸文化会館

東京公演:7月27日(土)- 28日(日)
会場:目黒パーシモンホール

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2度目となる、ルーマニア・シビウ公演や、7月のNoism1新作公演も!
9月には富山県でのシアター・オリンピックス招聘公演も予定されています。
亥年にふさわしい大活躍ですね!
私たちも、はりきって応援していきましょう♪

*閑話休題*

新年恒例、砂丘館での特別展示。
mikkyoz 013

Noism映像担当、遠藤龍さんの新作映像+音響作品(le)
mikkyoz(le+遠藤龍)13回目となる展示です。

開催期間:2019年 1月16日(水)~1月27日(日)
開館時間:9時~21時 (※1/16(水)~1/20(日)は9時~18時)
会場/砂丘館ギャラリー(蔵)
定休日:月曜日 
料金:観覧無料
主催:砂丘館
https://www.sakyukan.jp/2018/12/7197

こちらもどうぞお運びください♪

(fullmoon)