「纏うNoism」#05:庄島すみれさん

メール取材日:2023/3/22(Wed.)&3/28(Tue.)

各方面、年度末・年度はじめのバタバタ時期かと思いますが、ご好評を頂いておりますこの連載をお届けできることを嬉しく思います。前回の庄島さくらさんからバトンを引き継いでご登場頂くのは双子の庄島シスターズのお姉さん・庄島すみれさんです。おふたりの「纒う」事情が今回で一層明瞭になるものと思います。「忙中閑あり」。いっとき、ゆるりとお楽しみください。

「ファッションは買うことができますが、スタイルはあなたが有するものです。そのスタイルの鍵となるのは、自分が何者なのかを学ぶことであり、それには何年もかかります。そして、そのスタイルを構築するための手引書などありません。そこには自己表現力と、何より態度がすべてとなるのです」(アイリス・アプフェル)

それではさっそく拝見いたしましょう。

纏う1:稽古着のすみれさん

稽古後のストレッチ画像ですかね
…リラックスした雰囲気です

 *落ち着いた色合いでまとめておられますね。この日の稽古着についてご説明願います。

 すみれさん「ユニクロのフリースが暖かいので気に入ってよく着ています!フリースの下には鼓童さんと共演した『鬼』のTシャツを着ています」

 *おおおっ!Noism×鼓童の新潟ツートップのダブルネームTシャツ!私も数枚求めましたよ。いいですよね、アレ。そしてユニクロのフリースですか。侮れませんよね、ユニクロ。でも、それも含めて色柄抑えめの稽古着がお好みなのでしょうか。そのあたり、どうですか。

 すみれさん「稽古着は黒や紺などが多いです。特に気付くと全身紺だったりします。レオタードは色んな色を持ってるので明るい色も着ています!なんとなくその日の気分で選んでいます」

 *そうなんですね。では、この連載のこのところの流れで靴下についてお訊きします。(笑)稽古の際に履く靴下はさくらさん同様、やはり adidas が多かったりするのでしょうか。

 すみれさん「私もadidasが多いです。まとめ買いして2人で分けて使っています!」

 *なるほど、なるほど。まったく理に適っているかと。

纏う2: すみれさん思い出の舞台衣裳

 *これまでの舞踊人生で大事にしている衣裳と舞台の思い出を教えてください。

華やかで煌びやかな「ふたり」
…同じ衣裳ですね…(汗)

 すみれさん「思い出の衣裳は沢山あって、選ぶのが難しいのですが、スロバキアのバレエ団で踊っていた『ドン・キホーテ』の衣裳は大事にしている思い出の衣裳の一つです!」 

 *おおっとぉ、きました。煌びやかで艶やかな衣裳!しかも、またまたの『ドン・キホーテ』!これで『纏うNoism』連載「3連チャン」ですね。やっぱり刺さる作品であり、衣裳なんですね。踊る側にとっても。
 *写真の『ドン・キホーテ』についていくつか伺いますが、まずは踊られた役名を教えてください。

 すみれさん「キトリの友人役です」

 *バジル(床屋)の恋人で宿屋の娘キトリの友人ですね。ところで、写真に写っているのはすみれさんとさくらさんですよね。どちらがすみれさんですか。そして、ふたりで一緒に同じ衣裳で出ていたのでしょうか。

 すみれさん「キトリの友人役は2人いて、さくらと2人で踊っていました!左下がさくらで右上がすみれです!」

 *息もぴったりの友人ふたりだったことでしょうね。そのときの舞台での思い出も教えてください。

 すみれさん「この『ドン・キホーテ』の舞台は私にとって思い出深い作品です!キトリの友人役を踊りたいと思っていたので踊るのが決まった時は嬉しかったです!ロシア人振付家の振り付けで、凄くテクニカルな事が沢山あって大変だったのですが、この『ドン・キホーテ』を踊った事で成長出来た気がします。初演が終わった時のあの達成感は忘れられません!」

 *「踊りたい」と思っていた気持ちがビンビン伝わってくる、よい表情を捉えた写真ですね。うん。そしておふたりともパッと咲いた2輪の花のようでとても美しいです。うん、うん。

纏う3: すみれさんにとって印象深いNoismの衣裳

 *Noismの公演で最も印象に残っている衣裳とその舞台の思い出を教えてください。

 すみれさん「それぞれの衣裳に思い入れがありますが、最近だと『Der Wanderer-さすらい人』の衣裳がとても印象に残っています。女性陣は皆違う色で、衣裳の花柄も、私と妹のさくらは同じ柄でしたが、他のメンバーは違う柄で、作品もそれぞれのソロがあって、個性が出ていたと思います!」

 *そうでしたね。それぞれメンバーの個性の違いが前面に出ていましたし、更に前半と後半とで、全く異なる心情を可視化することになるといった構成で、とても見応えある作品でした。何度も足を運んで観ましたが、観る度に唸ったものです。

 *Noism Web Site へのリンクを貼ります。
 2023年の『Der Wanderer-さすらい人』画像です。ご覧ください。

 *また観たいですね、『Der Wanderer-さすらい人』。すぐにでも♪

纏う4: 普段着のすみれさん

「スタイル」があります、すみれさんの「スタイル」♪

 *この日のポイントと普段着のこだわりを教えてください。

 すみれさん「まだ肌寒いので暖かい服を着ています!コートと中に着ているジャケットは母からのおさがりです。特に中に着ている赤いジャケットは母が私の歳より若い時からスキーをする時に着ていて、オーストリアのGEIGERというブランドのもので凄く暖かくて気に入っています!」

 *GEIGER(ガイガー社) ですか。ワタクシ、寡聞にして知らず、ですから調べてみました。すると、1906年創業の老舗で、創業以来100年以上に渡り、チロリアンの基本を取り入れながらも 現代のファッションシーンにマッチする服作りを行っているブランド、なのだと。そんなチロリアンジャケット、高品質で古びないデザインの逸品なんですね。
 *そして、そして、またまた「お母様からのおさがり」ということではありませんか。そのコートとジャケットですが、さくらさんとも共有されているのでしょうか。それとも、すみれさんが占有している2品なのでしょうか。

 すみれさん「お母さんからのおさがりの服は、さくらと共有して着ています!他の服も私が買った服をさくらが着たりもしますし、逆にさくらが買った服を私が着たりします」

 *うむ、うむ。そうすると、自分が着たときの様子をさくらさんの姿で目にするような感じも(また、その逆も)あるのかと。まあ、双子になったことがないので、想像してみるだけですけれど。(笑)そして蛇足ですが、普段、着ている物からおふたりを見分けることは困難だということもわかりました。(汗)
 *ではでは、着たいときが重なったりした際は、どうされているのでしょうか。早い者勝ちとか、「着る!」と言った者勝ちとかなのでしょうか。そのあたりを教えてください。

 すみれさん「もし着たいときが重なってしまったら、他の服を着ようかなとなります。お互い絶対この服!というこだわりは無いので、大体譲り合いになります」

 *なるほど。そうなのですね。喧嘩や争いごとにはならないと。何を着ても素敵ですものね、おふたりとも。ホント、おふたりの仲の良さやお母様との関係性などが伝わってきました。どうも有難うございました。

すみれさんからもサポーターズの皆さまにメッセージを頂きました。

■サポーターズの皆さまへのメッセージ

「いつもNoismを応援してくださり、ありがとうございます!サポーターズの皆様の応援が励みになっております。また劇場でお会いできるのを楽しみにしています。これからもよろしくお願いします!」

…以上、「纏うNoism」第5回、前回のさくらさんに引き続き、庄島すみれさんの回をお届けしました。すみれさん、改めて有難うございました。

当ブログでご紹介してきたすみれさんの他の記事も併せてご覧ください。

 「私がダンスを始めた頃」⑰(庄島すみれさん)
 「ランチのNoism」#16(庄島すみれさん)

という訳で、今回の「纏うNoism」はここまでです。お楽しみいただけましたら幸いです。次回もまた乞うご期待ということで♪
ではでは。

(shin)

「ランチのNoism」#16:庄島すみれさんの巻

メール取材日:2022/2/16(Wed.)

さあ、またまたやってきました「ランチのNoism」、今回が16回目。もうひとつの連載企画「私がダンスを始めた頃」の時と同様、前回の庄島さくらさんにつづいて、「庄島シスターズ」お姉さんのすみれさんランチをお届けします。さくらさんの回で色々ツッコミを入れてしまってましたから、ちょっぴりやりづらさもありますけれど、それはそれ。今回も好奇心の赴くままに深掘りさせて貰いたいなぁとか思ってます。ってことで、ではでは、行ってみますか。じゃじゃん、はじまり、はじまり♪

♫ふぁいてぃん・ぴーす・あん・ろけんろぉぉぉ…♪

りゅーとぴあ・スタジオB、春休み突入前の舞踊家たちに昼がきた♪「ランチのNoism」!(…因みに今は春休み中とのことです。)

*まずはランチのお写真から

前回のさくらさん同様、シンプルにして機能性重視、
考えて食べる系のランチですね、コレ。

1 今日のランチを簡単に説明してください。

 すみれさん「サラダチキンとブロッコリー、ゆで卵です」

 *これはまた量少なめで、身体のことを考えた機能性重視のランチですね。ドレッシングのかかったサラダチキンのブロックがとても美味しそうですねぇ♪

2 誰が作りましたか。普通、作るのにどれくらい時間をかけていますか。

 すみれさん「妹のさくら(=庄島さくらさん)と一緒に作っています。休みの日にスーパーでまとめ買いをして、時間がある時に作り置きをしています」

 *「スーパー」というのは、さくらさんによると、やはりイトーヨーカドー(丸大新潟店)ということでしたけれど、大袈裟に言えば、Noismメンバーの体組成に大きく関わるこちらの食品売り場(1F)、お手頃価格のお弁当やらお寿司やらも随分充実していて、あれこれと目移りしちゃうんですよね。県外からNoismを観に来られた方も、お時間があるようなときには足を運ばれたりしてみても面白いかも。ばったりメンバーと会ったり、なんてこともあるかもですし。りゅーとぴあからですと、徒歩15分で着きます。おっと、話し逸れ過ぎ、逸れ過ぎ。急いで立て直し、急いで立て直し、と…。(汗)で、前回のさくらさんのときから訊きたかったスロバキアにいた頃のこと訊いちゃいましょう。

 -スロバキアにおられた頃のランチも今と似た内容だったのでしょうか。
 すみれさん「スロバキアにいた時も似たようなランチでしたが、野菜をもっと食べていました。とても安かったので。特にセロリにはまっていて何も付けずボリボリ食べてました」(笑)

 *おっと、セロリですか!なんとそれもボリボリですか!もう一瞬にして脳内で、かつてのSMAP『セロリ』(1997)(作詞:山崎まさよし)の歌詞がぐるぐるリピート再生されちゃうのがイナメマセン。育ってきた環境の違いってやっぱり大きいですね、うん。(笑)

 -ランチに限らず、スロバキアの方がよく口にされる「ご当地食材・料理」などがあれば教えてください。
 すみれさん「カプスニツァという酢キャベツのスープやハルシュキというジャガイモでできたニョッキのような物に羊のチーズと玉ねぎとベーコンが入っている料理などが有名です。スロバキア人は食事の最初にスープを飲む習慣があるのでスープ料理は沢山あります!その中でもカプスニツァにサワークリームを入れて食べるのが大好きでした!」

 *そしてその(ちょっと言いにくい)カプスニツァですが、すみれさんから画像も送っていただきました。では皆さん、ご覧ください。カプスニツァ、どぉ~ん。サワークリーム、どぉ~ん。おまけに麦酒もどぉ~ん。

カプスニツァとサワークリーム
スロバキア料理、お初です♪

 *これはもう絶対に美味しいやつでしょう。ハード系のパンに合いそうですね。そしてその後ろの飲料(麦酒)にも合うこと、間違いありませんし。(笑)で、スロバキア料理、お初でしたので、もう少し訊いちゃいました。

 -スロバキアで食べていたもので、日本では手に入らなくなったようなものなんかもあったりしますか。
 すみれさん「よくチーズや生ハムなど大好きで食べていたのですが、日本では少し値段が高いと感じてしまい、食べる機会は減ったかなと思います。日本人からしたらスロバキアのチーズやハムの安さにはびっくりすると思います」(笑)

 *現地でびっくりしてみたいです!びっくりはしてみたいんですが、これ、「ランチのNoism」だけに、ランチの話で進めなきゃですね、ハイ。

3 ランチでいつも重視しているのはどんなことですか。

 すみれさん「タンパク質は摂るようにしています。ビタミンも摂りたいので、なるべく野菜や果物も食べられる時は食べるようにしています」

 *そのビタミンについて訊ねましたところ、「ビタミンCはサプリメントも利用しています。普段の食事で足りていないなと思うものはサプリメントの力を借りています」とのことでした。

4 「これだけは外せない」というこだわりの品はありますか。

 すみれさん「こだわりは特にありませんが、最近はまっているのは、『境界』高知公演で高知を訪れた際に買った柚子こしょう風味の甘酢をサラダチキンや野菜にかけて食べることです」

 *この日のサラダチキン画像にかかっているドレッシングがそれでしょうかねぇ。だとしたら、艶々してて美味しそうなんですけど。

5 毎日、食べるものは大体決まっている方ですか。それとも毎日変えようと考える方ですか。

 すみれさん「最近はサラダチキン、ゆで卵は必ず食べています。野菜や果物をその日によって変えたりしています」

 *そうそう、ゆで卵についても訊きたいことあったんでした。我慢は体に悪いので早速訊いちゃいますか。

 -ゆで卵はハードボイルド派ですか。それとも半熟派ですか。
 すみれさん「ずっと半熟派だったのですが、最近は固茹でも好きになってきました!卵の黄身の味をしっかり感じられる気がします」(笑)

 *想定もしていなかった丁寧なお答え、頂きました。にしても、しっかり味わって食べられているとしたら、ゆで卵も本望というものでしょうね。(笑)

6 公演がある時とない時ではランチの内容を変えますか。どう変えますか。

 すみれさん「基本的には公演のある日もランチの内容はあまり変わりません」

 *そうなんですね。変えないこと、一択なんですね。公演日であるにせよ、ないにせよ、基本、舞踊家がランチに求めるものは「変化」ではないということは理解できてきましたから、私どもも、ハイ。

7 いつもどなたと一緒にランチタイムを過ごしていますか。

 すみれさん「いつも妹のさくらと一緒にランチを食べています」

 *一緒に作って、一緒に食べる。仲良しなんですよね、ホント。そしてお互いによくわかっているから、落ち着くんですよね、きっと。食事の相手にはそういうのって大事ですね。

8 主にどんなことを話していますか。

 すみれさん「公演やリハーサルの事なども話しますが、大体は他愛もない話をしています」

 *他愛もない話、聞き耳立ててみたいです。

9 おかずの交換などしたりすることはありますか。誰とどんなものを交換しますか。

 すみれさん「あまりおかずの交換はしませんが、星那ちゃん(=井本星那さん)が飴やチョコレートをくれる事があり、疲れている時など本当にこの一口が嬉しすぎて元気が出ます」

 *スイーツの効果、偉大ですよね。血糖値の上昇が疲労回復に繋がるだけでなく、脳内にセロトニンが作られることで、リラックスできるのだそう。でも、「一口」でやめることが難しかったりするのが玉に瑕ですけれどね。強い意志が必要な訳で…。(汗)

10 いつも美味しそうなお弁当を作ってくるのは誰ですか。料理上手だと思うメンバーは誰ですか。

 すみれさん「割とメンバーのみんなは、軽めのランチの印象なんですが、私は休みの日以外はあまりお米を食べないので、ランチにおにぎりなど持って来てるメンバーを見ると美味しそうだなーと密かに思っています」(笑)

 *ホントにみんな「軽め」なんですよね。大丈夫か?ってくらいに。この「ランチのNoism」を始める前には、みんな、あれだけガンガン躍っているのだから、もっとガッツリ食べてるのかと思っていた訳でしたけれど。今はもうスッカリ認識も新たになりました。でも、せっかくの「こめどころ」新潟ですからね、お米も「密かに」召し上がってくださいね。

最後に、すみれさんから頂いたメッセージをお読みください。

サポーターズの皆さまへのメッセージ

「いつもNoismを応援してくださり、ありがとうございます。サポーターズの皆さまのおかげでリハーサルや公演に専念することが出来ています。
公演で皆さまの心に響く踊りをお届けできるように精進して参りますので、これからも応援よろしくお願いします」

この度は、前回のさくらさんに続き、すみれさんランチをご紹介することで、おふたりのまた別の日の「タンパク質+ビタミン」ランチを覗かせて頂くかたちになりました。ご馳走様でした。しかしそれに止まらず、すみれさんにはランチ以外の質問にも、丁寧なお答えを頂き、本当に感謝しかありません。どうも有難うございました。ってことで、「ランチのNoism」第16回はここまで。今回もお相手は shin でした。次回をお楽しみに。

(shin)

「私がダンスを始めた頃」⑰ 庄島すみれ

 私が6歳の時にクラシックバレエを始めたのは、内股歩きだったのを心配した母が医者に相談し、バレエを勧められたのがきっかけです。母に「バレエやってみる?」と聞かれ、「やる!」と言ったのを今でも覚えています。

 最初は近所の公民館で少人数でのクラスで、友達に会いに行く様な感覚でバレエ教室に通い始めました。その後本部に行くことになり、踊ることに段々のめり込んでいきました。恥ずかしがり屋で自分の感情を表に出すのが苦手でしたが、不思議と踊ることは好きでした。

 中高校生になってからは、ただバレエが好きという訳にもいかず、コンクールで悔しい思いをしたり、自信を失ったりすることも多々ありました。それでも、発表会やコンクールなどで人前で踊ることは私にとってとても特別なことで喜びでした。

 高校卒業後の進路はとても悩みました。バレエを続けたい気持ちとバレエの道へ進む事への不安で葛藤していました。しかし、バレエの先生からの勧めと、今までバレエの事にあまり口を出さなかった母が「留学してみたら?」と言ってくれたのが大きなきっかけとなり、スイスのバレエ学校に留学することを決心しました。バレエ留学してからは、プロのダンサーになる! と初めてはっきりとした目標を持てた気がします。

 その後、スロバキアのバレエ団に入団する事が決まりプロのダンサーとしての活動が始まりました。私のプロのダンサーとしての道は沢山の人達の支えがあって切り開かれたんだなと改めて思いました。

(しょうじますみれ・1990年福岡県生まれ)