Noism2定期公演vol.15メディア向け公開リハーサル&囲み取材に行ってきました♪

2024年2月21日(水)13時、前日からガクンと気温が下がり、雨の降る悪天候のなか、りゅーとぴあスタジオBを会場にしたNoism2定期公演vol.15 メディア向け公開リハーサル&囲み取材に参加してきました。

この日、公開されたのは、Noism1の中尾洸太さんがNoism2のために振り付けた新作『水槽の中の仮面』のリハーサル風景でした。

13時になり、スタジオBの中に進みますと、演出振付家用の椅子は無人で、その奥、白いリノリウムの上に、Noism2の女性メンバー12人に混じって、決して大柄とは言えないその人の姿はありました。光沢のある青紫のダウンベストと黒いスウェットパンツ。中尾さんが穏やかな調子で、しかし妥協することなく、ひとつひとつ動きをチェックして、ブラッシュアップしていきます。

今作は、12人の女性メンバーが主に、デュオ(ふたり)×6組で踊られていく作品のようです。そして、各組ひとりずつ、タイトルにある「仮面」をつけているのが目に入ってくるでしょう。それも鋭利な刃によって裁断されたかのような、何やら曰くありげな、白い「仮面」です。更に、それに呼応するように、ふたりずつの関係性にも、引き裂かれたかのような、一筋縄ではいかない歪(いびつ)な感じが漂っています…。

この日、私たちが見せて貰ったのは、作品の冒頭部分でしょうか。中央で踊るふたりは春木有紗さんと与儀直希さん。音楽を流し、或いは、止めて、動きに中尾さんの細かいメスが入っていきます。言葉で伝えつつ、実際に踊ってみせながら、たおやかな回転が、頽(くずお)れる際の美しさが、確信に満ちた張りのある動きが目指され、何度もやってみては何度も頷き、そうして彼女たち12人の動きが変わってきます。歪さの果てに、何か美しいものが生まれ落とされつつある、そんな予感を抱いた30分の現場でした。来月初め、通して観る舞台が楽しみでなりません。

公開リハーサルを終えると、その場で、山田勇気さんと中尾洸太さんを囲んでの取材となりました。こちらでは、おふたりが語った内容からいくらかご紹介しようと思います。

*中尾洸太さんへの振付委嘱に関して
山田さん: 中尾さんのこれまでの振付作品を観て、一度、Noism2のために振付をして欲しいと思っていたところ、井関さんから話があり、タイミングなんだなぁと思った。
・内側から芸術家を輩出していくというのもひとつ大きなミッションであり、そのひとつの足掛かりとしての第1回でもある。
中尾さん: 井関さんから電話があったとき、すぐに「やります」と答えた。クリエイションが始まった昨年10月半ばころから、実感はあまりなく、お客さんの反応を見るまでは実感できないのだろうなと。

*新作『水槽の中の仮面』に関して
中尾さん: テーマは心と体、脳と体、頭と体。椎名林檎の楽曲『生きる』冒頭の歌詞「体と心とが離れてしまった/居直れ我が生命よ」が頭に残っていて膨らませていった部分があり、また、日頃生きているなかでの疑問符を作品に昇華しようという部分もある。
・Noismでの振付作品は4作目。作品を作る際、いつも前回の作品に関係のあるものを作っちゃう。今回も3作目を舞台に出したときに、ふと心と体が浮かんできた。三島由紀夫の本などを読んでいると、当時の人たちが自分の意志や表現を明確に出していたのに比べて、現代は心と体の乖離が大きくなっているように思う。時代を超えて今の自分のあり方を問われているように感じ、その影響もある。
・「デュオ」を用いたのは、何か制限が欲しかったから。そして、心と体といった本来、ひとりに宿るものを明瞭化するのに、定められた相手とだけ踊り続けていく「ふたり」から見える関係性の変化を考えた。

*Noism2への振付・指導に関して
中尾さん: (この日の穏やかな指導の様子は)う~ん、まあ、メディア効果(笑)。(全員大爆笑) 自分は細かいので、詰めたくなりがちで、多分、要求は凄く多い。大らかなときもあるし、大らかでないときもある(笑)。
・他人と接する領分や領域が拡がった。リハーサルを経て、僕の当たり前が当たり前じゃないと強く思い返した。(わかっていたつもりだったが。)

*金森穣さんのこと
中尾さん: 最初に所属したプロフェッショナル・カンパニーがNoism。今となっては、血も骨も肉も、無意識の領域までベースはNoismで作られた部分が大きい。パッと出す振りだったり、パッと思いつくものが、僕に「彼」のにおいを凄く感じさせる。「彼」の言語に共感して、そこに実感があるからこそ。クリエイションしているなかで、「彼」の残影はよく感じさせられている。

今回のブログは、見せていただいた中尾さん作品に関する内容ばかりとなりましたが、公演チラシによりますと、同時に上演される金森穣振付Noismレパートリーの方は電子音楽を中心とする「音楽縛りの5作品」(山田さん)で構成される「鋭利でエネルギッシュなダンスコレクション」とのこと。どうやら、対称的な2作品を楽しむ機会となることでしょう。チケットはまだ用意があるそうですから、くれぐれもお見逃しのなきよう!

(shin)
(photos by aqua & shin)





Noism×鼓童「鬼」再演:視覚・聴覚障がい者/メディア向け公開リハーサルに参加しました(2023/12/08)

新潟市はこの日、鈍色の曇天。雪は落ちてこないながら、重苦しい冬の空の色そのもの。そんな空の下、「鬼」再演を翌週に控えて開催されたメディア向け公開リハーサルのため、りゅーとぴあを目指しました。視覚・聴覚に障がいを持つ方々と一緒に舞台に向かいます。館内のモニターにはNoism1メンバーによる「鬼」再演のPR動画が流されていて、見入りました。

開始時間の13時少し前に受付を済まると、劇場ホワイエに入りました。新潟のテレビ局からも3局が参加。公開リハーサル後の囲み取材に向けて準備に余念がありません。

そして昂ぶる気持ちのままに劇場内へと誘導され、開始時間を待ちました。この日、私たちが見せて貰ったのは、鼓童さんとの演目である『鬼』。その冒頭からの約20分間でした。
場内が暗転した後、静寂、そしてややあっての強打。昨年同様、そのトップシーンから既になす術なく絡め取られてしまうようでした。また、その後やってくる「総奏(トゥッティ)」の音圧といったら!あたかも場内の空気全体が異様な密度をもつ「塊」と化したりでもしたかのよう。劇場の椅子に身を置きながら、押し潰されそうなほどの圧を感じました。しかし/ですから、思ったのは、更にその音を至近距離にて浴びながら踊る身体たちのこと。それが如何ばかりかと。想像もつきかねますけれど…。目と耳を圧して迫ってくる本作はやはりもの凄い演目であると再認識した次第です。

13時20分頃、前半部分の通しでのリハーサル鑑賞は終了。そこから、金森さんからのフィードバックにより、照明や動きの音楽との同調性、位置の精緻な調整が始まりました。
ある箇所、カウントが定まっていない原田敬子さんの音楽にあって、演奏者と舞踊家とが(原田さん的にはOKなのか案じながらも)最上の実演を求めて、互いにじっくり時間をかけてやりとりを重ねる姿を目にして、そんなふうにして妥協を排して具現化されていく舞台作りに尊さの思いがこみ上げてくるのを禁じ得ませんでした。

囲み取材が始まったのは、予定段階では終了時間とされていた13時45分頃のことでした。ここでは、その取材時に金森さんと井関さんが語った内容を中心に、そのご紹介を試みます。

○『鬼』再演に関して
金森さん: Noism設立から19年の昨年。初めて新潟をテーマに作ったもので、新潟にある舞踊団として大事な作品。鼓童さんとの初めてのコラボレーションということもあり、早く再演したいと思っていたところ、井関さんが早めに決めてくれ、嬉しい限り。 
井関さん: この作品に関して、昨年は早々に完売となり、観られなかったという人も多くいた。再演は常々やりたいと考えている。新作において新しい出会いがあるのは勿論だが、再演にあっても、舞踊家、演奏家、演出振付家にとってたくさんの出会いがある。そうやって作品を練り上げていくことで「名作」となる。それは必然。この作品に限らず再演はやっていきたい。
金森さん: 演出家にとって(所謂)「再演」は一個もない。全て、今この瞬間に生まれている作品。実演芸術はホントに一期一会。今回、再演にあたって、より際立って収斂されてきた。舞踊家の身体の深度も全然違っている。(経済や文明の時間軸が発展や進化で語られるのに対して)「文化」とは蓄積であり、成熟である。それを味わえることも劇場文化の価値と言える。再演はまさにその貴重な機会。この一年半のなかで演出家として磨いてきたエッセンスが、そして舞踊家と演奏家の一年半の経験値が盛り込まれていて、あらゆる方向でパワーアップしていると言える。手応えは充分。新潟市の舞踊団であり、テーマは新潟。ひとりでも多くの新潟市民に観て欲しい。
井関さん: まだまだこれから進化(深化)できる。舞台に立って稽古できる環境があることを幸せに感じている。まだまだいける。今回、鼓童メンバーと話していても深度が違う。「この作品は新潟をテーマに、新潟の舞踊団と太鼓集団による作品。絶対に世界に持っていきたい」と話していた。その始まりとして、この再演がある。多くの人に観て欲しい。

その後、進行にあたったNoismスタッフの方から、①新潟での3公演にはいずれも終演後に30分のアフタートークが予定されていて、チケットがあればそれを聴くことができることと、②現在、Noism20周年記念事業に際して広報活動の強化のためのクラウドファンディングに取り組んでいることとが紹介されました。(「クラファン」、私も少額ですが、寄附させて頂きました。)そんな囲み取材が終了したのは13時55分でした。

待ちに待ったNoism×鼓童「鬼」再演。本当に深化(進化)が感じられる公演、いよいよ来週末の開演。「もう幾つ寝たら」とか数えることすら必要ないほどに迫ってきました。まだまだお席に余裕があります。こぞって、あの音に、あの舞踊に、あの世界観に身悶えしに行こうではありませんか。りゅーとぴあ〈劇場〉で深化(進化)した「鬼」を目撃してください。

(shin)
(photos by aqua & shin)

「領域」マスコミ向け公開リハーサルに行ってきました!

2023年6月23日(金)。梅雨の晴れ間の薄曇りのお天気の中、りゅーとぴあ〈劇場〉で、マスコミ、視覚・聴覚障がいのある方、活動支援会員 対象の公開リハーサルが開催されました。

12時30分になると、視覚・聴覚障がいのある方と付き添いの方10数名は最前列の席に案内され、そのほかの人たちは2階席へ。

最初はNoism0『Silentium』です。20分間見せてくれるそうで、全編通しかな?とドキドキしますが、照明・衣裳はまだとのこと。
ステージには既に金森さんと井関さんが待機していました。ほどなく客席が暗くなり、美しい音楽が流れ、お二人が踊り始めます。

もう~「美しい」としか言いようがありません。
目が吸い寄せられて、極上の情景に瞬きもできません✨

しかし、この悦びは6分ほどで終了してしまいます。(涙)
動きを止めた金森さん・井関さんは、音楽も止めて、ステージ上であれこれ動きの確認を始めます。しばらくすると、ひとつの動きを何度も何度も何度も何度も繰り返しますが、納得がいかないようです。そうこうしているうちに予定の20分が過ぎ、リハーサルは終了しました。
これはもう、本番の楽しみが爆上がりですね!

その5分後にNoism1『Floating Field』リハーサル開始。こちらも20分間です。
スタジオBで先週見せていただきましたが、今回は衣裳を着用し、照明もできあがっていて、しかも劇場のステージ!

雰囲気が違うのも当然でしょう。
印象は「カッコいい!」です!
まあ~何やらキレが良くて素敵な場面が次々と繰り出されて、こちらも瞬きができません。
舞台装置も照明もシンプルながら幻惑されるような感覚があります。

スタジオBでは30分間見せていただきましたが今回は20分で、キリのいい所でリハーサル終了。
残り10分、超気になります!
こちらもいやが上にも期待が高まります!

リハーサル終了後、劇場ホワイエで、二見さん、金森さん、井関さんを囲んでの取材です。
テレビはBSN、新聞は新潟日報、どうぞご覧くださいね!
お話をかいつまんでご紹介します。

二見:
・舞台は特別な空間。身体、空間、時間が浮遊する領域。分断する境界線としてのシート。
・残響を感じながら空間性を表現したい。何か新しいものではなく「普遍性」を感じてもらえれば。
・振付はこちらに来てから、メンバーの皆さんをよく観察して現場で創った。
・普段は限られた時間の中で創っているが、今回は恵まれた素晴らしい環境の中で創作できた。一緒に食事もした。自分の舞踊人生の中で掛け替えのない経験になっ
た。

井関:
・二見さんをお呼びしてよかった。二見さんは穣さんと似ているところがある。メンバーに二見さんの作品を踊ってほしいと思った。
・『Floating Field』というタイトルは先に聞いていた。人は頭で理解しようとするが、無意識、皮膚感覚で感じてほしい。
・皆さんが思っている「領域」というイメージを壊したい。そしてメンバーが感じる領域とは!?

金森:
・『Silentium』は「空間」を先に決めた。それは黒部公演(野外)がきっかけ。人工的に手を加えられないものを劇場に創りたかった。
・ペルトの音楽を聴いて、男女が見えて、自分と佐和子がいいと思った。何かを感じる。
・二人がパートナーとして見られることは気にしない、気にならない。何かの前知識が作品を見るときの心境を左右するのは舞踊に限らず当たり前のこと。
・チケットまだあります。来てください。

今回も素晴らしいですよ!!
チケットが残っているなんてもったいない。何をおいてもぜひぜひ見てください!

来週末、りゅーとぴあ〈劇場〉でお会いしましょう♪

(fullmoon)
(photos by aqua & fullmoon)

『Noism2定期公演vol.14+Noism1メンバー振付公演2023』公開リハーサル及び囲み取材に行ってきました♪

前日の寒さから一転、春の陽光が指して気持ちのよい2023年4月19日(水)、標記のメディア&活動支援会員向けの公開リハーサル(+囲み取材)に行ってきました。会場はりゅーとぴあ〈劇場〉でした。まずは公開リハーサル、時間は13:30から約30分間。

4/14のときと同様、この日も見せて貰ったのは、『Noism2定期公演vol.14』の方からでした。で、現在のNoism2メンバーは全員が女性ということもあるからでしょうか、Noism1からの出演もあります。さてさて、誰が出るのかはお楽しみに♪

劇場へ入っていくと既に舞台にはメンバーたちがいて、それを客席から見詰める地域活動部門芸術監督・山田勇気さんは、主に照明の具合をスタッフとやりとりしながら試しています。公演当日まで「ベスト」を求めて、まだまだ練り上げられていきそうです。Noism2リハーサル監督・浅海侑加さんはビデオ撮影の準備をしています。そうこうしているうちに、Noism1メンバーも何名か入ってきて舞台に目をやり始めました。

見学する私たちが揃った頃合いで、山田さん、「じゃあグループのところから『クロノス(カイロス1)』まで通していきましょう。照明も入れていきます」と指示を出すと、まず、客電が落ちて、次に舞台上も暗転。そこを経てからの明転で、「オール・バッハ・プログラム」この日の公開リハーサルが始まりました。

まずは『ZONE』より academic から。

続いて『complex』よりデュエット、『愛と精霊の家』より冒頭シーンです。

そして色鮮やかな『クロノスカイロス1』より。

スクリーンに映し出されるのは初演時のNoism1メンバーの姿。ですから、それに対しても若き舞踊家たちの「挑戦」が見てとれるような案配です。

その後、スクリーンの画像や照明の微調整が行われます。山田さんからスタッフに「真ん中へん、ジョフ(旧メンバー)のところ。(画像の)秒数を3秒追加。ゆっくり」とか、「追っかけで8秒くらいかけて消す。みんなの灯り」とか、もう秒単位でのテクニカルなブラッシュアップです。踊るメンバーに向けては、「はけ切りまで走り切りたい」や「幸せそうに走りたい」など、細部の重要性を伝えていきます。

そうこうしているうちに、14時になり、そこからは場所をホワイエに移して、山田さんと浅海さんへの囲み取材の時間です。

主なやりとりを簡単にご紹介します。

Q:見どころは?
 -山田さん:「見てもらったのはNoism2の定期公演の部分だったが、前半の方にはNoism1メンバーの振付公演(4作品)があり、今回、一緒にやることでボリュームがあり、若手の振付家と若手の舞踊家によるフレッシュなエネルギー溢れる公演になる」
 -浅海さん:「振付公演に出るメンバーは定期公演を踊るときとはまた違った面が見られるの楽しみがある。違う作品を踊ることで表現や身体性が変わる。違う強さ、違う表情、違う面が見られる」

Q:J.S.バッハの曲を用いたレパートリーとした理由は?
 -山田さん:
「統一感があってもいいのかなと。バッハはNoismらしいし、バッハの音楽のシンプルな強さと、研修生(Noism2)がやるべきシンプルに身体を鍛えていくことが合致する。また、『挑戦』として、あの音楽に向き合って貰いたかった。やってみたら、音楽ごとに違う表現があるし、音楽がシンプルで抽象的であるため、身体性にフォーカスする難しさがあり、トライして欲しいと思った」

Q:振付公演での作品作りについて何か制約はあったのか?
 -山田さん:
「特にない。ただ、公演が全体で90分くらいなので、(4作品なので)ひとり10分程度に」

Q:メンバー振付公演の作品順はそうやって決めたのか?
 -山田さん
「見てみて、終わったときにどういう感覚が残るかを考えて決めた。音楽の『流れ』も考慮した」

…山田さんと浅海さんへのこれも新鮮だった囲み取材はここまでです。
で、その後、Noismスタッフからなされた告知として、両日とも終演後のアフタートークには、山田さんと浅海さんに加えて、Noism1メンバーの振付家4名が登壇予定とのこと。更に新鮮かつ、色々な面で面白いお話が聞ける機会になりそうですね。
とにかく楽しみな公演2日間。チケットは只今、絶賛発売中。よいお席はお早めに!

で、この日は囲み取材のあとの時間を利用して、なんと東京から(!)私たちNoismサポーターズを取材したい(!!)とのお申し入れを受けていたのでした。
その取材ですが、JR東日本の新幹線車内サービス誌「トランヴェール」の編集ディレクター・籔下純子さんとおっしゃる方からのもの。新幹線で前の座席の背面、あの網ポケットに入っている旅の雑誌ですよね、「トランヴェール」。
その6月号が、新潟のダンスシーンを特集掲載する予定だそうで、新潟の様々な踊りやダンスのコンテンツに混じって、私たちサポーターズについても取り上げたいということなのでした。籔下さん、Noism公演をご覧になられた際に、私たちNoismサポーターズについても興味を持たれたとおっしゃっていました。
fullmoonさんを通じて、acoさん、aquaさんと私、4人でNoismの魅力について、目をハートにしながら小一時間、お話しさせて貰いました。どんな記事に纏めてくださるか今から楽しみです。籔下さん、どうも有難うございました。
皆さま、6月号、是非お手にとってご覧いただけたらと思います。(その「トランヴェール」は、表紙のQRコードを読み込むことで、現在、発行と同時に読めるのだそうです。(期間限定です。)また、1ヶ月後、次の号が出るタイミングになりますと、上のリンクから「バックナンバー」として読めるようになります。)

でも、まずは今週末(4/22土、23日)に迫った、様々に新しさや若さが溢れる『Noism2定期公演vol.14+Noism1メンバー振付公演2023』です。お見逃しなく!

(shin)
(photos by aqua & shin)

『Der Wanderer-さすらい人』メディア・活動支援会員対象の公開リハーサルに行ってきました!

冬には珍しく、晴れて暖かな1日となった2023年1月12日(木)。
りゅーとぴあスタジオBでメディア及び活動支援会員対象の公開リハーサルが開催されました!
昨年11/26の活動支援公開リハに続き2回目です♪ 
舞台美術が配備され、いよいよ開幕間近となりました!

先回は前半部分を見せていただきましたが、今回は後半、15曲目からの4作品でした。
ひとつ終わるごとに、主に金森さんの振付指導が入ります。

うわ、何気に超絶技巧~、カッコイイ~、もっと見たいな~、なんという曲かな~
そう思ううちに、あっという間に30分が過ぎて、金森さん・井関さんの囲み取材です。
お二人揃っての囲み取材は初めて、ですよね。何か新鮮でした✨

・作品のテーマは「孤独」。 孤独とは何か、それは愛であり死である。
(金森さん永遠のテーマ)
・前半は愛、後半は死の楽曲で構成。
(上演時間70分、休憩なし)
・一人ひとりをイメージして選曲し、1対1でソロを創ることから始めた。
(曲目が公開されていますので、よかったらご覧くださいネ)
 *曲名を含めた詳細はこちらをどうぞ。:https://noism.jp/derwanderer/

その他の質問。
Q. 金森さんは指導が以前より優しくなったのでは?
A.金森さん:「これまでとは立ち位置が変わった。自分は創りたいものを創るだけで、最終的には佐和子が判断する。ゲスト振付家的な感覚に近づいている。ゲストで行くと優しいんですよ」
井関さん:「舞踊家と振付家は別々の存在。これまでは憑依してしまうようなところがあった」

Q. リハーサル作品中にNoism2メンバーが出ていたが、本番ではどうなのか?
A. 金森さん・井関さん:「基本的には1メンバーでやるが、2メンバーはいつでも出演できるようにアンダーとして付いている。そちらの方が作品が良くなるようなら2がやる場合もある」 ←判断するのは井関さんとのことです。

参加メディアも顔なじみとなり、和やかな雰囲気の囲み取材でした♪

1/15(日)は、視覚/聴覚障がい者及び活動支援会員対象の公開リハーサルがありますよ~!

(fullmoon)
(photos by aqua & fullmoon)

Noism×鼓童『鬼』メディア向け公開リハーサルに出掛けてきました♪

朝降った雨が空気中の湿度と化して身に纏わり付くようなじっとりとした暑さのもととなっている、そんな2022年6月23日(木)の13時。Noism×鼓童『鬼』のメディア向け公開リハーサルを観にりゅーとぴあの劇場まで出掛けてきました。

ホワイエの窓際に座って、劇場内に通されるのを待つ間、中の様子を確かめようとしたスタッフが少し扉を開けた瞬間、フォルテッシモの打音が音圧を伴って周囲を浸してしまうようなことがあり、これから物凄いものを体感することになるとの思いを抱きました。

予定時間を少し過ぎて、劇場内に通され、舞台に目をやると、先刻、大音量を発した太鼓をはじめ、楽器は全て鼓童の奏者ともども桟敷の上にあり、Noismメンバーはいつもの床の上にいました。奏でる者は踊る者に目をやる必要があり、かつ、踊る者のアクティングエリアを確保しようとするなら、これは必然の配置かと思われます。その美しき威容。踊る者たちは奏でる者たちが発する音(と音圧と)を頭上から浴びるかたちで踊ることになるでしょう。(『お菊の結婚』との間の舞台転換はどうなるのだろう。そこは当日のお楽しみですね。)

この日の公開リハーサルの前半では、「劇場入りして3日目」(金森さん)ということもあり、まずは太鼓の位置を調整することから始まり、次いで、演奏と踊りを合わせることにじっくり時間をかけながら、綿密のうえにも綿密に、ある「暗転」のタイミングを探ってる様子に目と耳とを凝らしました。口調はいつになく柔らかい金森さんと、更に穏やかな話し振りの鼓童・石塚充さんが客席から舞台上に言葉掛けを行いながら、「ピタリ」のその一瞬を探っていきます。その場面、太鼓の音が始まるタイミングは決まっていても、その後、叩かれる回数が一定ではないらしく、照明のキーのタイミングが掴み難いようでした。

全編にわたって、太鼓と舞踊の間に根源的に横たわる「共約不可能性」とでも呼ぶべきものを超えた「ピタリ」の一瞬を探ろうという双方からの挑戦ですから、容易な筈はありません。初日を迎えるまでブラッシュアップを続けていくことでしょう。そして、これまで観てきたNoismの舞台から明らかなことがひとつあるとすれば、私たちはその果ての達成に身震いするだろうということです。そのときが楽しみでなりません。

予定では終了時間と目されていた13:30、金森さんの「Bを頭からいってみましょうか」の言葉で、作品を一部見せて貰いました。そう、ほんの一部のみでしたが、見惚れました。

その後、13:40頃よりホワイエにて、金森さんと石塚さんへの囲み取材に移りました。少しですが、以下にご紹介を試みます。

*初共演に関して
金森さん: 過去にも鼓童との共演の話はあったが、実現に至らなかった。しかし、「いずれ、いずれ」と思っていたところ、昨年、鼓童の新代表・船橋裕一郎さんとの対談をきっかけに打診をし、快諾を得たもの。
石塚さん: (金森さん・船橋さん・石塚さん)3人とも同世代。共演したいと思っていた。新代表のもと、鼓童の体制や音楽性も変わっていくなかで、打診を受け、「今なら良い共演ができる」と思った。

*和太鼓の生演奏で踊ることに関して
金森さん: 単純に波動が違う。西洋の打楽器とも振動のレベルが違う。身体に強烈に響いてくる楽器。舞踊家はそれを力に変えたり、逆にそれを引っ張り出すような身体だったり、今まで味わったことのない感覚を味わっている。
実演家としては共演者が増えることで密度も濃くなり、単純に楽しい。

*Noismが踊るところで演奏することに関して
石塚さん: ただ音楽を奏でているのとは異なり、自分たちの音に反応して動く生命体が前にいることに、音に入るエネルギーや熱が変わっている感じがする。
曲自体が難しいのだが、それを曲だけで演奏していたときよりも、Noismが入ってからの方が曲に輪郭や命が込められて演奏しやすくなった実感がある。

*今公演の見所は
金森さん: 後にも先にもNoismと鼓童の共演。日本中探しても、このレベルのクオリティで舞台芸術を作っているところはそうはない。それがここ新潟で生まれている。それ以上の見所があるとは思えない。それが新潟の魅力であって欲しいし、それを全国各地、世界に届けたい。
石塚さん: 鼓童とNoism両者が音を出し、動いている空間が贅沢。その空間に身を投じに来て欲しい。

*原田敬子さんの音楽の難しさ
金森さん: 要するに決まってない。何回これやって、何小節行ったら終わりって決まってない。それを奏者たちがその瞬間に選んでいっている。即興性が含まれた楽曲に何とか合わせようとしているのが今の段階。
石塚さん: 今回、使っている楽器数は30以上で凄く多いうえ、細かく厳密な指定がなされている。

*新たな発見について
石塚さん: Noismの皆さんは自分たちの音楽を自分たち以上に聴いているというのがあって、自分たちの音楽でありながら、自分たちが意識していなかったところに命があることを知り、自分たちが持っている譜面が豊かなものに見えてきたことがある。
金森さん: 劇場入りした日に久し振りに鼓童さんの生音聴いたときに、「あれ、こんな感じだっけな?」と感じた。翌日はまた全然違っていて、「なんか音変わりましたよね」と訊いたところ、「自分たちが空間に慣れるように、楽器もその空間における響きに慣れるし、劇場の舞台構造(空間)も、その音を受け慣れる」との答えを得て、その視点を面白いと思った。じっくり時間をかけられる専属舞踊団としての強みを存分に発揮できるものと思う。

様々に興味深かったおふたりの囲み取材が終わったタイミングで、Noismスタッフから新潟3公演のチケット追加発売についてのお知らせがありました。
発売されるのは若干枚のみということですが、6月25日(土)11時よりオンラインもしくは電話にて受付が始まるとの告知がなされ、詳細はNoismの公式サイトにて発表とのことです。チケットの動きが「鬼」速かったためについ買いそびれてしまわれたという方、この機会にお求めください。

期待値がもろ「鬼」Maxに押し上げられたこの日のメディア向け公開リハーサルについてかいつまんでのご紹介でした。このあとは活動支援会員対象の公開リハーサル(6/25・土)後にまたレポートしようと思います。ではでは。

(shin)

Noism2定期公演vol.13 公開リハーサルに行ってきました♪

日時:5月13日(金)14:00~14:30 終了後 囲み取材14:30~14:45
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館〈スタジオB〉
対象:マスコミ、Noism活動支援会員

朝の雨はすっかりあがって薄日が差す中、気温も上がり蒸し暑いようなお天気です。そんな鬱陶しさを吹き飛ばすようなNoism2公開リハーサル!


本番(5/21、22)が来週に迫る中、『火の鳥』(約25分)を見せていただきました!

『火の鳥』は2011年に金森さんがNoism2のために、そして学校公演を視野に創作した作品で、再演を繰り返し、今回は6年ぶりの上演となります。
登場するのは少年と火の鳥、そして若者たち6名の、計8名。
少年と火の鳥はこれまでもダブルキャストの時がありましたが、今回もダブルキャストで、本日は〇〇さんと〇〇さん♪(あえて伏字)。
少年役は踊りもさることながら表情が素晴らしい! 火の鳥も伸びやかに舞います。

もう一組のキャストのお名前もお聞きしましたが、どうぞ当日のお楽しみに♪
土・日の二日間とも、ぜひお運びくださいね!
公演・作品について等、詳細はプレスリリースをご覧ください。

公開リハーサルには、Noism2リハーサル監督 浅海侑加さんはじめ、金森さん、井関さん、山田さん、そしてNoism1メンバーも参加して注視!
出演メンバーは緊張しますよね~。 Noism2メンバーの二人が体調不良とのことで、代わりにNoism1坪田光さんと準メンバー杉野可林さんが特別に出演します。
リハーサルが終わると、金森さんから若者たちへ、歩き方、立ち方の指導が入りました!
本番がますます楽しみです♪

リハは拍手で無事終了し、Noism2リハーサル監督 浅海侑加さんの囲み取材です。BSNで放送されると思いますのでご覧ください。
浅海さんのお話によると、公演の稽古は昨年末頃から始まったそうですが、メンバーが変わったりしたので、まとまってきたのは4月頃だそうです。
『火の鳥』は再演なので動画があり、それを見れば振りはわかりますが、できるだけ浅海さんから振りを渡すようにしたそうです。振りを自分のものにして表現してほしいと話されました。

難しいのは、全員が組んで踊る場面で、激しい動きの中でリフトして回転させたりするので、同じようになることは無く、難しさを痛感しているそうです。
少年、火の鳥、若者たちが、それぞれ影響しあい、変わっていくことが作品のテーマであり、人と人との関係性を感じてほしいと話されました。

私は歴代の『火の鳥』を観ていますが、やはり最後は泣けますね~。。。
そして、ストラヴィンスキーの音楽にぴったり合っていてすばらしい~♪

■上演予定作品
演出振付:金森穣 稽古監督:浅海侑加
・solo for 2 より 初演:2012 年
・R.O.O.M.より 初演:2019 年
・砕波 初演:2017 年
・Phychic 3.11 より 初演:2011 年
・Me/mento, 4 am ”ne” siac より 初演:2001 年
・火の鳥 初演:2011 年

上演作品、見どころ満載です!
5月21日(土)17:00、 22日(日)15:00 @りゅーとぴあ〈劇場〉
若さ溢れる舞踊家たちの輝きを観に、どうぞ劇場にお運びください♪

(fullmoon)
(撮影:aqua)

『境界』メディア向け公開リハーサルに行ってきました♪

12/9(木)久しぶりに晴れて、気持ちのいい一日となりました♪ りゅーとぴあ劇場で14時半~『境界』公演、山田うんさんの『Endless Opening』メディア向け公開リハーサルに行ってきました!

まず驚いたのは「台車」? ベッドのようにも棺のようにも見えますが、山田うんさんによると『身体(からだの象徴)』なのだそうです。

人は生まれるのも死ぬのもベッドの上で、生きている間は横たわっている時間がとても長い。生と死の象徴でもある、この台車(?)を自分の身体のように使いこなさなければならないのですが、ちょっと難しそう。『ロミオとジュリエットたち』の車椅子を思い出しましたが、それよりも難しいのでは。

でももちろん、ずっと台車と一緒にいるわけではなく、素晴らしいダンスを見せてくれます♪ 花のような風のような、見ていると優しい気持ちになります。「献花」「多幸感」「喜びの花束を渡したい」という、うんさんの言葉通りの踊りです。

音楽はボロディンの弦楽カルテット第2番 第1~4楽章で、とてもきれいな曲です。 衣裳は花のようにカラフルと聞いていますが、この日はまだ稽古着でした。本番が楽しみです♪

30分のリハーサルのあとは山田うんさんと金森さんの囲み取材。山田うんさんは「新潟はすべてが綺麗で美しく、食べ物も飲み物も美味しくて、最高!」と話されました。Noismメンバーについては、力強くしなやかな身体、素晴らしい躍動感、Noismは新潟の宝物であり財産であり、一緒に舞踊を創っていくのはとても光栄と褒めてくださいました。

対して金森さんは「ゲスト振付家のうんさんに褒めてもらったが、ダンサーはその言葉に応えなければいけない。私では引き出せないものを、うんさんから引き出してもらいたい」と話し、「ぜひ見てください!」を連呼しました。

また、ご自身の作品については「うんさんと全く同じ心境です」とし、井関佐和子さんのお祖父様が最近亡くなられたお話をしました。井関さんは「生きている間は特に思い出したりしないものだが、亡くなるとその人のことを考え、より身近に感じる」と話されていたそうです。まさに『Near Far Here』ですね。

NCNがクリスマスに贈るふたつの作品、どうぞ大切な人とご一緒にご覧ください。

Noism0 / Noism1 境界新潟公演 | Noism Web Site

(fullmoon)
(撮影:aqua)

【追記】
この日のリハーサルの模様を伝えるUX新潟テレビ21のニュース動画へのリンクを貼りますので、ご覧下さい。
 → UX新潟テレビ21「キーワードは『境界』…三途の川も表現」(12/9木20:39配信)

(shin)

『春の祭典』メディア向け公開リハーサルに行ってきました♪

2021年6月24日(木)の新潟市は日差しも強く、天気予報が予期させた以上に夏っぽい趣の一日。13時からの『春の祭典』メディア向け公開リハーサルに臨むべく、正午前に職場から、充分エアコンを効かせた車でりゅーとぴあへと向かいました。

県内のテレビ局各社のカメラセッティングが済んだ後、劇場の中へと進みます。舞台上に「あの」白い衣裳を纏った舞踊家たちがそれぞれに動きの確認をしている様子が見えてきます。その足許、リノリウムの雰囲気が昨年のプレビュー公演時と違います。また、アクティングエリアを区切る正面奥と両側の幕も異なります。「これが完成形」、そう金森さんは説明してくれましたが、特に彩色が施されたリノリウムは多義的な美しさを放っていました。

予定通りの13時。一旦、緞帳が下り、その手前に一列に並んだ椅子に腰掛けようと、まず井関さんが下手側から登場し、リハーサルが始まりました。やがて、21人の舞踊家にストラヴィンスキーの楽音が重なり、冒頭からの約20分間を見せて貰いました。

その20分間だけに限っても、リノリウムや三方の幕の存在感によってプレビュー公演のときとは随分と違ったものになって見えた印象です。

「OK! OK! Thank you! ちょっと舞台前に集まって貰っていい?」

ちょうど場面転換のところに差し掛かったとき、「OK! OK! Thank you!」と金森さん。続けて、「ちょっと舞台前に集まって貰っていい?」と舞台上の舞踊家を集めて英語で話し始めました。時間にして約10分。距離がありましたので、聞き耳を立ててもほとんど聞こえませんでしたが、「emotional complexity(感情の複雑さ)」なる表現を始め、端々に、「emotion」「emotional」なる単語が使われていたことだけは耳に届きました。その後の囲み取材の際に質問も出ましたが、内容は「トップシークレット!(笑)」(金森さん)とのことでした。

そして13:30からはホワイエで、その金森さんの囲み取材でした。以下に金森さんの答えを中心にいくつか拾い上げてみます。

  • Noismオリジナルの『春の祭典』について:「『生け贄』のテーマ性がどう表現されるのか、現代社会に何を訴えかけるのか、どなたにも感じて頂ける作品になっている」
  • 定員100%での上演について:「ちょっと複雑。舞台人としては客席が埋まった熱気のある舞台で実演したいが、来場頂くお客様には心理的な負担をお掛けするので申し訳ない思いもある」
  • プレビュー公演時との違い:「そんなに変わってないですよ。リノリウムが変わっただけ。印象がだいぶ違う。一年間期間をおくことによってより必然性をもってしまった。昨年よりも作品が重みを表現しなければならない、その重みを感じている。…『最後』が変わりました。作品の終わらせ方が変わりました。あまりにも現実の世の中が大変だし、あまりにも困難なので、舞台芸術を通して、何を最後に届けるか。混沌とした精神の痙攣のような作品の最後、お客様に届けるメッセージは変わりましたね。それは必然だった。稽古していてこれは違うねって。…『希望』というのとはちょっと違う。ある種の『願い』とか、『祈り』みたいなものがどうしても加わらざるを得ないっていうか。『絶望』を『絶望』のまま提示するのはちょっと…、劇場の外が『絶望的』過ぎるっていうか…」
  • コロナ禍における芸術家:「世の中と劇場の中の問題をこれだけ考えたことはなかった。戦後世代ですから、ここまで世界的な事象を日常生活で経験したことがない。そのなかで芸術に問われる意義とか価値は違ってきている」
  • コロナ禍、Noismの『春の祭典』が観客に届けるもの:「難しいですね。…難しいな」(しばし考えた末に)「何を感じて欲しいか、…『力』かな。『生きる力』かもしれないね。価値観とか、思考の産物じゃなくって、『生きる』っていう強さ。『生きる』って何だろうとか。人は誰しも一人では生きていない。『他者と生きる』ってどういうことかっていうことかな。上手く言えないけど」

囲み取材を終えて…。劇場の外にあった当たり前の「日常」が歴史的にも数えるほどの暗澹たる「非日常」へと反転してしまっている現在、金森さんとNoismは如何なる劇場的な《真正》「非日常」を見せてくれるのか、金森さんの言葉を聞いて期待は否応なく募ることになりました。言い換えるなら、それは、来月(7月)、傷を負った私たちの心に届き、私たちを鼓舞する「ハレ」なる舞台が観られることを確信するに充分な時間でもありました。

新潟から始まる今観るべき舞台、ストラヴィンスキー没後50年 Noism0+Noism1+Noism2『春の祭典』。チケットは絶賛発売中です。よいお席はお早めにお求め下さい。来るべき夏、Noismが示す「春」から目が離せません。

(shin)

Noism2定期公演vol.12 メディア向け公開リハーサルに行ってきました。

このところ暖かい日が続いていた新潟市ですが、今日は肌寒い小雨模様の一日となりました。そんな4月14日水曜日、Noism2定期公演『Complex』メディア向け公開リハーサルに行ってきました。本公演の会場はNoism2定期としては初の劇場ですが、リハーサル会場はスタジオBです。

スタジオBの指導者席には金森さんと井関さん。金森さんの細かいチェックを井関さんがノートに書き留めます。音出しはNoism2リハーサル監督の浅海さん。『Complex~旧作と新作の複合による』というタイトルなので、レパートリーと新作を別々に踊るのかと思っていたら、そうではなく、まさに複合! レパートリーと新作が交互に、あるいは続けて踊られ、一連の流れの作品となっていました。前後半約30分、休憩を入れて全体で75分とのことです。

今回は前半部分を見せていただいたと思われますが、それは本番のお楽しみ♪ まずは、白い衣裳の『Training Piece』、Noism2メンバーが現れますが、始まりの音楽が違います。それに床に横たわるのではなく立っています。そうか、この導入部分が新作なのかな。その後、本来の『Training Piece』の動きとなりますが、このNoismメソッドを表した基本の動きは簡単そうに見えて実は意外に難しくて苦しい。途中や終わりの方はアレンジされています。10分?ほどで金森監督からまさかのストップがかかります!

「ぬるい!」「このあと苦しくなるから計算して踊っているのか!」「やり直し!」という叱咤で、また最初からです。久しぶりの金森節を聞きましたが、二度目は緊張が解けたのか、メンバーは顔が上気し汗が滲み、動きもスムーズになりエネルギーが感じられます。その後は流れるように新作となる男性ソロに続き『ZONE』の「academic」へ、そして『R.O.O.M.』へと続きますが、作品の合間合間にソロ、デュオ、トリオ、ユニゾンの新作や旧作アレンジが怒涛のように続き繋がり繰り広げられます。あれよあれよという間に予定時間の30分+やり直し分=40分ほどが過ぎていきました。

見応えがありましたが、金森さんの最後の言葉は「ぬるい、弱い、汚い!」。さすが鬼の金森! Noism2の皆さん、これでも以前よりは優しい方ですよ。金森さんの罵声罵倒(=期待激励)を聞けてよかったですね。つらさ苦しさ悔しさをエネルギーに変えてがんばってください!

そして囲み取材は金森さんとNoism2リハーサル監督の浅海侑加さん。金森さんは、「技術的なことは急には上達しない。問題は気持ち。いかにエネルギーを出し続けることができるか。たとえば普段の練習で8、9割の力を出していたとしても、今日のように人前で踊ると緊張もあって5、6割になってしまう。見ている人たちのエネルギーに圧されてしまう。そして疲れてくるとまた難しい。これが本番だとますますどうなってしまうことか。だからいつも10割以上の力で稽古に臨んでほしい。それができるように最後まで引っ張っていきたい」と話されました。

囲み取材
金森さんと浅海さん

レパートリーの演目を選んだのは浅海さんだそうです。浅海さんは「作品の特徴や表現、表情がそれぞれ違うものを選んだ。違う作品だけれども、それが一つの作品となった時に見えてくる流れがあると思う。メンバー個々人のエネルギーを信じている。稽古の時でも本番でも、自分自身を超えていくことを期待している」と話されました。

公演は一週間後。4月22日(木)19:00、23日(金)19:00、24日(土)17:00の3公演で、全自由席。土曜は残席わずか。どうぞ木曜、金曜にお運びください。若き舞踊家たちのエネルギーの炸裂にご期待ください! https://noism.jp/npe/noism2_12/

(fullmoon)
(撮影:aqua)