「市民のためのオープンクラス」を受講して(サポーター 感想)

☆市民のためのオープンクラス(2020年11月~12月)(@りゅーとぴあ・スタジオB)

11/1〜12/6までの各日曜、初級中級合わせて全6クラス。迷った末に全部受ける事にした。プレクラスが中止になった事もあり、可能な時にやりたいと思ったからだ。世の中の状況と自分の身体、次回などどうなるか分からない。

当方、年齢は一周プラス4年。クラシックバレエ歴はウン十年(大人の趣味クラス)。踊るのは好きだし、自分にいちばん合う健康法として続けて来た。

「市民のためのオープンクラス」チラシ

全てのクラスは「年齢不問」。中級も「舞踊経験5年以上」ということでノープロブレム!なのだが、真に受けていいのかなぁ?という余計な心配が…でもポジティブにゴーサイン。→正解でした。対象の範囲であればOKです。初心者の方も、無理をしない、出来なくても当然!という強い心を持てば大丈夫。

11/1 Noism バレエ体験(初級)(浅海侑加先生)

「未経験歓迎」といっても、何名かを除きほとんどが経験者のようでした。Noism2のメンバーさん達が大勢混じってくれました。 「耳を立てる」「両手の薬指に集中」「腕の位置はクラシックより真横に近い。上げるときは真上。耳の脇」 これで良いのかわからない時に侑加先生が「アゴを引いて」こうかな?「そうです!」嬉しくて、思わずニンマリ。 「大きな四番ポジションで移動」も徹底的にやった。片方の足をずずいと滑らせて前後左右に移動する。今までやった事が無いほど大きく動けた。快感♫

場所が持つオーラが確かにあった。『R.O.O.M.』など数々の作品が上演されたカンパニーの練習スタジオ。いつもは観客として居る場所。

数日後、髪をカットしに行く朝、急に思い付いて、さる御方の写真を持って行った。 「こんな雰囲気にして下さい」「了解です。この方カッコいいですよね!ブリーチもします?」「いやいや、石投げられるし、りゅーとぴあ行けなくなるから…」 もともとショートなのだが更に切ってもらい、今月はコンテンポラリーダンサーになり切ろうと思いました。まずはカタチから。

11/8 からだワークショップ(どなたでも)(山田勇気先生)

先生、ナイスです!良い方です! 受講者は年齢・経験も幅広く、私のように単独で来てる人、お友達同士で来てる人などさまざまでしたが、場の雰囲気を瞬時にやわらかくまとめ上げました。 「今日は、腕の位置はココ、というクラスじゃないから」と体を末端(手足指先)から揺らしてほぐしていくことから始まった。縛りが無いので身体も心も解放されていく感じが心地よい。”波及”という言葉がピッタリ。 背骨を一個一個意識してキャタピラみたいに使って腹筋を使わず起きる、というのがキツかった。

準備運動の後はペアを組んで、いくつかの動きをやった。お互い影響し合って動くというもの。 最初は、気功でやる両手で気のボールを作るのを2人でやるような動き。向かい合って、手のひらを空間を挟んで合わせる。片方が動いたらついて行く。どんな体勢になっても、気のボールをつぶしたり落としたりしないようにする。

Aさんと組んだのだが、私がリーダーになって、先に動いても、必ず彼女が先に先に行ってしまう。それでリーダー交代を提案。私がピッタリついて行くので、Aさん「チョー気持ちいい!」を連発。私もついて行くのが心地よかった。 しかし…これはどっちがリードしているのだろう?私が操ってるのでは?? どこかで見た様な…

最後の方にやった「パートナーに手を触れずに歩かせる」というのも、私は操られて歩く方が得意だった。これも「上手に操られるほど、操ってるつもりの人を操ってる感が増す」のだ。 黒子が人形を操ってるの図や『NINA』が浮かんできた。

どのクラスにも、アレにこんな部分あったよなーという気づき、実感がありました。より作品が身近になるのです。

勇気先生が「こんないろんな年代の人が集まって、こういう事をするという機会はあんまり無いので、貴重でした」と言われましたが、本当にそうでした。その場にいるメンツで雰囲気は変わりますから。まさに一期一会。楽しかったです!

11/15 レパートリー体験(初級)(浅海先生)

詳細はshinさんの「潜入レポート」をお読みください。AIか?と疑ってしまうほどの記憶力の持ち主でいらっしゃいます。 『ラ・バヤデール』の白い国のコールド。音楽を知ってるので、少し安心。男性陣がアタフタしてるのを見てやろう、なんて思ってたら、とんでもない、自分の事で精一杯。

クラシックはある程度は単語が分かるので、セットフレーズとして覚えられるのだが、コンテンポラリーは語彙がほとんどないので、全部丸覚えしなきゃないのだ。「ここまでで質問は?」とか聞かれても、どこが分からないのか分からない状態。マネしてやっても全然覚えてない。 「この部分が分かりません」と言える人はその前後は分かってる人なので一人前です。 必死で食らいついて行って、最後の通しでやっと流れがつかめた様な気がしました。

膝ゴリゴリで方向転換して進むハードなパート、打たない様に腹筋背筋めちゃくちゃ使って頑張った。スレて赤くなったけど、打身はまぬがれ、翌日は消えました。良かった〜。 印象的な片手で口を押さえる仕草。そう言えば、声の大きな者達に蹂躙される、もの言えぬ人々のストーリーだったな。観た時よりも演じた時の方が何か悲しかった。

11/22 Noism バレエ中級(井本星那先生)

コンテンポラリー言語を、ここで少しでも体験してから、レパートリー中級に臨もうと思っていましたが、親戚の葬儀が入ってしまい、泣く泣くキャンセルとなりました。 一抹どころでない不安が…

11/29 Noism バレエ初級(浅海先生)

初級2回目とあって、いろいろと考えてくださってレッスン形態がバージョンアップしていました。初級と言ってもいろんなレベルの人達が参加するので、教える方も難しいと思いますが、1回目よりもやる事をシンプルにしたり、メンバーが受講者の中にきちんと入ってくれたりと配慮されてる部分が多かったです。 経験者はシンプルな事でもより深く追求したり、完成度を高めたりできるので、今回は全員にとって良かったと言えるのではないでしょうか。 終わってからメンバーの方に腕のポジションについて質問して、直していただきました。とても丁寧に対応してくれました♪

耳を立てて道を歩いてみた。 口まわりと首の筋肉を使って。胸を起こして。 360度センサーが働いてる気がした。耳だけでなく、皮膚感覚、触覚も。 臨戦態勢だ。野性が目覚めた? 鏡で見ながらポーズを取っていたら、クラシックと違い、精悍にみえた。より動物のように、より生身の人間のように。

12/6 レパートリー中級(ジョフォア・ポプラヴスキー先生、林田海里先生)

いよいよ今期最後のクラス。スタジオBの雰囲気を味わっておこうと早めに行き、ストレッチ。今日はNoism0やNoism1のメンバーの方達もたくさんいらっしゃっていて、気分がアガる! ん?流れているのはあの曲ではないか?まさか今日やるのは…

曲を聴いてると、気功のポーズが取りたくなり(三十代の頃一年くらいやった)、音に身を任せてユラユラしていた。 先生方登場して集合。ジョフォア先生「今日は『Fratres』をやります。みたことあるひとー?」なんと、挙手したの私だけ!先生方と苦笑い。そういえば観たかも、という人が現れ、観た者3人(だったかな)が前に出された。ちょっとビビったが、お手本がすぐ目の前だし、いっぱい直してもらって、とても得した気分。

初めの部分はかなりの時間を蹲踞の姿勢でいる。視線は斜め前。公演時に、アレは辛いなと思って観てた部分だ。最初はどうなることかと思ったが、安定のポイントを見つけたら、わりと出来た。

動きにはみんな意味があるということをアタマとカラダで再確認。つま先を始め、身体が外に開いていれば自分を解放してるし、内向きな姿勢であれば内省的、閉じている状態。それが目まぐるしく移り変わる。パラレルは足の小指側、外側が平行なんだそうだ。そうすると、見た目は内向きになる。気功の立ち方である。

「祈り」「瞑想」「ほとばしる何か」 少林寺の修行僧になった気分。ジョフォア導師の掛け声が響く。「ぱぁらぁれぇるぅ〜!」上を見る時は「むねでみぃるぅ〜」などなど… ひらがなで聴こえてくる。

「ここまでOK?」と聞かれても… やっぱり分かるか分からないかが分からない。先生方のをチラ見して、時間差でしか演れない。でも最後の通しでは、わかるユニットや決めポーズっぽい部分は持てる力を100%出して表現しました!

メンバーの方達がたくさん見学してましたが、恥ずかしいという気持ちは全く起きず、応援されてるような気がしました。自分達がやった演目をアマチュアがひたむきにやってる姿は興味深かったのではないでしょうか。

持てるだけの日本語を駆使して、パワフルなレッスンをしてくださったジョフォア導師、通訳兼お手本を見せてくれた海里先生、どうもありがとうございました!

クラスを終えて…

やはり「年の功」はあるんだな、と思いました。クラシックバレエ経験だけではなく、ちょっとだけかじった気功、観た舞台、その他、今まで生きて来て経験した事全部に今回の体験がプラスされた。 振りのひとつひとつに意味があるのも、若い人たちより実感できる。振り写しの記憶力がもっとあればいいんだけどね。

私は踊りや音楽などを鑑賞するのが好きだけど、やはり自分でやる方が満足感を持てます。今回は、今まで観客でしかなかったのが 、Noism の表現を体験することによって少しだけ踏み込む事が出来て、大変嬉しく思います。 Noism との関わり方は、人それぞれ違いますが、これこそが私の関わり方だと思いました。

次回もぜひ受けたいと思います。 その為に毎日ムリのない程度に体を動かして整えています。 ムリをして「◯◯ヨリの◯◯ミズ」などと言われるのだけは避けたいなあ。

(たーしゃ)

「潜入レポ」(笑):大汗をかいたものの楽しかった「Noismレパートリー体験(初級)」

前週には数日、冬の前触れを告げる容赦ない冷え込みに襲われたものの、この週末、再び、セーターが不要なくらいの気持ちよい涼しさ加減に戻った新潟市界隈。11月15日(日)16:30。Noism Company Niigataによる「市民のためのオープンクラス」、この日は「Noismレパートリー体験(初級)」が催され、「参加」というより、「潜入」という風情で「体験」して参りました。

「体験」であり、「初級」であったため、蛮勇を奮い起こして申し込みをしたのですが、連れ合い(不参加)曰く、「『初級』といっても、経験者が謙遜してそこに参加するんだよ。よく申し込んだね」と呆れられる始末。何しろ、私、よく足の小指を柱や家具にぶつけているような身体感覚しかもたない身。なかでも、10年ほど前の夏の夜中のことですが、睡眠中に喉の渇きに襲われ、コップ一杯の水を求めて、ガバッと飛び起きてキッチンへ向かう途中、家具に右足の小指を「引っ掛けて」しまい、勢いのついている身体は進む、右足の小指は残るといった具合で、小指と薬指の間が裂けてしまい、あまりの痛みに押し当てた両手が生温かい血で染まり、翌日、4、5針縫ったような経験の持ち主。(今も左足の小指より、右足の小指の方が外側に大きく開くことが出来ます。(汗))

若干怖々、会場のスタジオBに着いてみると、知り合い(久志田さん、モンちゃさん、たーしゃさん)の姿を見掛け、ちょっぴり落ち着きはしましたが、男性参加者は久志田さんと私のみで、見たところ、ダンス経験をお持ちの方が多い様子に、場違いというか、アウェイ感たっぷり。まさに「潜入レポ」の風情で、「ミッション・インポッシブル」の音楽でも聞こえてきそうな心待ちでしたが、同時に、故・植村直己さんの「冒険とは生きて帰ること」の言葉が脳裏に浮かんできて、「ええい、ままよ」とばかり、一番踊れないながら、リタイヤせずに、「90分楽しんでやれ」と開き直って、開始時刻を迎えました。

この日の講師役は今季、Noism2リハーサル監督に就かれた浅海侑加さん。Noism2のメンバーも全員、加わってくれて、ホントに贅沢な時間が始まりました。まずは足裏を合わせて座る姿勢からの呼吸。しっかり時間をかけて行いました。「ゆっくり吐いて、ゆっくり吸って。全身に空気を届ける感じで。段々、身体が温かくなってくるでしょ」(浅海さん)まったく、その通りでした。その後、両肩を回し、前屈をやって、足首を回し、体側を伸ばし、アキレス腱を伸ばして、準備を整えました。

で、浅海さんから告げられたこの日の体験レパートリーは、劇的舞踊『ラ・バヤデール-幻の国』第2幕の「亡霊」の場面。あの幻想的で、優雅で、魅力的な踊り。なんという贅沢!参加者の目は確実に「ハート」型になっていた筈。両掌を身体の前で交差させて、一歩一歩前に出て、パッと横に開くを繰り返すあの動きです。「空気を前に押すようなイメージで」と浅海さん。つま先や踵の伸び具合とか、それ以前に身体をぐらつかせずに足を運ぶこととか、簡単そうに見えて、その実、そんな生やさしいものではありませんでした。何度も繰り返し練習しました。

そして「初級」の「体験」ですから、恐らく、参加者のほとんどが、その動きこそがこの日の中心と勘違いし始めた頃、浅海さんが「ここから踊りに入ります。ちょっと難しいですが」と言い、「ええっ?」と声があがる場面もありました。そうです。緩やかな前進+横への開きから始まり、横にユラユラに至るまでの濃密な約2分間。たうたうように、それでいて淀みなくうつろいゆく一連の動きがこの日の体験内容だった訳で、真似事で終わらない、本気の「体験」機会と言えるでしょう。

まず、全員で浅海さんから振りを細かく切りながら一通り教えて貰ったあと、「情報量が多いので」(浅海さん)と、15名の参加者は、5名ずつ3つのグループに分けられ、順番に2度ずつ、浅海さん、Noism2メンバーと一緒に踊る時間が設けられました。勿論、ひとつのグループが中央の鏡の前で踊っているあいだも、他のグループが脇で一緒に踊って練習している訳です。回転があり、正座姿勢から膝を送り出しての移動があり、手も足も、そして身体の重心の面でも、多種多様、多彩な動きを「体験」させて貰いました。重心の移動がスムーズであることが肝要。そして、身体は動けない方向には絶対に動けないという当たり前の事実。動きの流れをイメージ出来ないなら、もう踊りにはならないことも身をもって再確認したような次第です。私の場合、次はこれ、その次はあれと思い出しながら(ぎこちなく)動く感じに終始し、正直、「音楽を聴き、音楽に合わせて」という段階以前だったのですが、浅海さんはじめ、Noism2メンバーが丁寧に指導してくれたお陰で、自分なりの気付きもありました。

大鏡に映る自身の身体を見てさえ、どこが違っているのか、正確に掴むこともままならない私、身体の隅々まで神経が行き届いている感じから程遠く、全身のイメージを持てない私は、当然に悪戦苦闘。振りを覚えるのも大変でしたし、それを身体を使ってなぞろうとするようなレベルですので、踊りとは別物の、極めて不格好な動きになっていた筈です。汗をかいたのは、身体だけではありませんでした。これまで、小手先だけで小器用に生きようとしてきたんじゃないか、とか。

終始、皆さん、笑顔でしたし、私も例外ではありません。踊りとは無縁できた私が、「『バヤデール』のあの素敵な場面を直接、メンバーから教わって、踊ってみた」と言い得る機会に恵まれたのです。素晴らしい市民還元の機会だと言い切りましょう。金森さん曰く、欧州のカンパニーにも類を見ない「オープンクラス」を実践するNoism Company Niigata。これを「豊か」と言わずして、何と申しましょう。教えて下さった浅海さんはじめNoism2メンバーの皆さん、どうも有難うございました。楽しい90分間でした。

汗だくで帰宅して、すぐにお風呂に入り、湯船につかりながら、あちこち揉んだりしましたが、私の場合、筋肉痛が出てくるのは恐らく明後日くらいかなと思います。身体と心が元気になったように感じるのは気のせいではないでしょう。筋肉痛も身体が喜んでいる証拠かなとも。見た目、優雅にして、動きはハードな場面の実体験。そして感じる、今まで味わったことのない類いの満足感、充実感。90分、1000円は安すぎでしょう。そして、私でもこうして「生還」できたのですから、今回、二の足を踏んで見送ってしまわれた方々、「踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆なら踊らにゃ損、損」ですよ。次回、是非、是非♪ってところで、今回の決死の「潜入レポ」を締め括りたいと思います。どうもお目汚しでした。

(shin)