愛知に『鬼』降臨!(2022/7/23)

7月23日(土)、鬼に会いに名古屋に行ってきました!
本日の会場、愛知県芸術劇場 大ホールは、美術館とも一体となった、愛知県芸術文化センターの広々とした複合施設の中にあります。

地下には大きな画面で『鬼』トレーラーが!
2階の案内所にも♪

今日は大入りで、4階席他の追加席を販売とのことで、とても嬉しいです!

15時15分 開場、コラボグッズは3種類。
物販の脇には、原田さんの『鬼』の譜面コピー2枚が掲示されていましたが、これは撮影不可で残念!
サポーターズ・インフォメーションと、さわさわ会vol.8は置きチラシです♪

いよいよ16時開演!
私はいつも1、2階で観ていますが、今日は珍しく3階席です。
少し遠く感じますが、音響も照明も素晴らしい!
『お菊の結婚』は熟達の極み♪主役の井関さん、ジョフォアさんはもちろん、山田勇気さん、井本星那さん、光っています。
続く『鬼』は、何度聴いても、鼓童さんの初打音に衝撃!
客席からも、嘆声が漏れます。
そして全メンバー渾身の演舞!圧倒されます。更に井関さんの優美さ、妖しさ、山田勇気さんの熱演、そして山田さん、井関さん、金森さんの3者の絡み、クライマックスの全員の踊り、息もつかせぬ勢いの盛り上がりのあとの静けさ。
金森さん、井関さんの踊りはアクロバティック超絶技巧なのに、あの優雅さは一体何なのでしょう!?

幕が下りきるほんの少し前に大きな拍手が起こり、カーテンコールが続きます。
今回も素晴らしい舞台!
無事終演し、嬉しい限りです♪

終演後、コラボグッズは浮き星と佐渡番茶がSold Out、Tシャツも残り少ないようです♪

そして来週は早くも大千穐楽、山形公演です。鬼とお別れするのは寂しいです・・・
会場の荘銀タクト鶴岡で別れを惜しみたいと存じます。
(fullmoon)

山鉾巡行の日の千年の都に「スゴイ新潟」を示したNoism×鼓童『鬼』京都公演

2022年7月17日(日)の京都は、3年振りに祇園祭山鉾巡行(前祭)が戻って来た日。14万人超の人出が通りを埋めたと聞きました。伝統行事の再開が大いに人心を惹きつけたことは間違いありません。そしてこの日、新潟という「鄙(ひな)」から上洛した2団体がロームシアター京都を舞台に80分間に渡って人心を激しく揺さ振ったことも記しておかねばなりません。そのNoism×鼓童『鬼』京都公演、終演後の客席は見渡す限り、一様に上気した顔ばかりで、そのままそこからは、この日の音楽と舞踊とが、千年の都に伝承されてきた「鬼」とは性格を異にする異形を示し得たことがわかろうかというものです。

先を急ぎ過ぎました。

開演前のホワイエへと戻ります。物販コーナーでの売行きも好調そのもので、その品薄状態が今公演の注目度或いは満足度の高さを示しています。

その他、個人的には、またまた音楽の原田敬子さんと(少しですが)お話しをしたり、新潟からのサポーター仲間、京都のサポーター仲間ともやりとりしたりしながら、開演時間を待ちました。

3階席まで入った観客の様子はどことなしに「ホーム」新潟とも関東圏とも少し異なる雰囲気があるように感じました。(どこがと明瞭には言い難いのですが、少し寛ぎが感じられると言いますか、そんな感じですかね…。)

そして16時を少し回って、最初の演目『お菊の結婚』の始まりを告げるあのSEが聞こえてきて、客電が落ちます。この日もそこからの25分間はもう怒涛の人形振りが目を奪いました。人形たちの「無表情」のなか、最終盤に至り、相好を崩すあの人こそ、この演目にあっての「鬼」と言えるかと思いますが、愛知と山形でご覧になる方々がおられますので、はっきりとは書かずにおきます。一気呵成に踊られ、紡がれていく演目は眼福であり、かつ衝撃でもあると言いましょう。

そして15分の休憩後、『お菊の結婚』が初Noismだったりした向きには、続く演目『鬼』の冒頭ほんの一瞬で脳天を撃ち抜かれたように感じられた筈です。先刻形作られたばかりのNoism理解がいとも簡単に崩れ去ることになる訳ですから。

そこには鼓童の打音も大きな役割を果たしていました。冒頭の連打が、客席から不意を打たれたことによる驚きの発声を引き出したのです。同時に、関西圏のお客さんは「反応がダイレクト」という印象を持ちました。

そこからは金森さん曰く「音が良い」ロームシアター京都で、鼓童が繰り出す様々な音たち(それらは巡演を重ねることで、更に確信に満ち、深化が感じられます。この日は「サッ」や「スッ」が剣呑な殺気を伴って迫ってきました。)が炸裂し、結界が解かれ、人と異形が行き来する把捉が容易ではない時空が立ち現れました。その音をNoism Company Niigataが、同時に、身体で可視化していきます。それは容易に「悪鬼」として対象化できないような「鬼」ですが、見詰める両の目には確かな像を結び、そのありようが説得力を以て感得されていきます。もしかしたら千年の都にも姿を現さなかった類の鬼のありようが。それはあたかも「結界」が解かれるように、都が「鄙(ひな)」によって活性化される時空だったとも言えようかと思います。換言するなら、千年の都に対して侮ることの出来ない「スゴイ新潟」が示された、とも言えるでしょう。

ラストに至り、既に客席は拍手を送りたくてうずうずしているかのようでした。若干早めに響いた拍手も、場内に満ち満ちたそのうずうずに呑まれて静寂へと回収され、やがて一斉に割れんばかりの大きな拍手が沸き起こりました。そこから先、鳴り止まない拍手と、それに応えて繰り返されたカーテンコール(この日も客電が点って後も続きました)が辿り着く先はスタンディングオベーションしかありません。それも極めて自然な成り行きとしての。

で、冒頭に書いた通り、客席に、上気した顔ばかりが溢れるのを見ることになったのでした。密を避けるため、一斉退場は奨励されないのですが、そうではなく、公演の余韻に浸っていると思しき人たちが多かったように感じました。耳に入ってきたのは、「凄かった」や「面白かった」ばかりでしたから。

ホワイエに出てからの光景も同様です。物販コーナーにはお目当ての品を求めようとする人たちが並び、この日用意されたコラボTシャツが全サイズsold outになっていましたし、公演ポスターの前には、そのビジュアルを背景に写真撮影をしようとする人が笑顔でその順番を待っていました。Noismと鼓童によって心地よく圧倒された人たちが如何に多かったことかが窺えます。

立ち去り難い人たち、私もそのひとりでした。サポーターズ仲間や浅海侑加さんのお母様(わざわざ「まぜまぜくん」をいくつもお持ちくださいました。有難うございました。)とお話をしたり、中村友美さんとジョフォアさんに感激を伝えたり、「おめでとう♪」を言ったりしていました。その中村さんもそうですが、Noismには関西出身メンバーも多く、井本星那さん、杉野可林さんが身内や友人の方々と話す姿なども見られました。

そんなふうにして京都公演の幕はおりました。大好評のNoism×鼓童『鬼』ですが、あとは愛知と山形を残すのみとなりました。両会場でご覧になられる方々、あと少しです。どうぞお楽しみに♪

(shin)

「新潟はスゴイ」を見せつけた興奮の『鬼』埼玉公演楽日♪

2022年7月10日(日)、大きなワクワクを抱え、今公演のNoismと鼓童ダブルネーム入りTシャツを着込んで、真夏の新潟から真夏の埼玉へ向かいました。一昨日、埼玉公演初日を観たfullmoonさんのレポートに「舞台美術に変更アリ!?」などとあったものですから、『ROMEO & JULIETS』の映像差し替えの例に見るまでもなく、常にブラッシュアップの手を止めない金森さんのこと、どう変わっているのか、もう興味は募る一方でした。

そして、更に、個人的な事柄ではありますが、もうひとつ別の角度、音楽の原田敬子さんへの興味も日毎に大きなものになってきていました。
今公演の特設サイトで見られる「Noism×鼓童『鬼』Trailer原田敬子さんver.」において、「楽器或いは声で実演するための音楽」への拘りを語る原田さん。続けて、「人間の、演奏する人たちの身体を媒体として、音を媒体として、人間の身体と、それをコントロールする脳、精神の可能性を限界まで拓いていく」と自らの音楽を語っておられます。音楽の素養のない身にとっては、それら語られた言葉を、単なる語義を超えて、それが表わす深い部分までまるごと理解することなどできよう筈もありませんでした。新潟での3公演を観たことで、更に原田さんの音楽について知りたいと思うようになり、CDを求めて耳を傾ける日々が続きました。

お昼少し過ぎに大宮に連れて行ってくれる新幹線、移動中の座席では、原田さんの旧譜『響きあう隔たり』のライナーノーツを熟読して備えました。同ライナーノーツのなかに、彼女が折に触れて繰り返す「演奏の瞬間における演奏者の内的状態」という自身の志向性に関して、今公演に繋がるヒントとなるものを見つけたからです。
原田さんは語ります。「私のいう内的状態とは感情的なものではなく、拍の数え方・呼吸の仕方・音の聴き方等、演奏に不可欠な実際面での技術である。新しい音楽というものに、何か役割があるとすれば、それはこれまでの習慣だけではなく、少しでも新たなアイデアが加えられ、奏者のイマジネーションを刺激しつつ、実はそれを実現するための技術の部分に挑戦するというポジティヴな未来志向性を、身体を通して聴き手に提示することかも知れない」(CD『響きあう隔たり』ライナーノーツより)
この言葉、「音楽」に纏わる語を「舞踊」関連に置き換えて、名前を伏して示したならば、金森さんが言ったものと捉えてもおかしくない言葉たちではないでしょうか。まあ、優れた芸術家は通じ合うものと言ってしまえばそれまでですけれど、この度のコラボレーションの必然性が見えてくるように思えたのでした。

公演の詳細は書けないからといっても、前置きが長くなり過ぎました。

入場時間になり、ホワイエまで足を運ぶと、そこにはNoismスタッフ上杉さんと話す小林十市さんの姿があり、周囲に光輝を放っていました。それから、芸術監督の近藤良平さんに、評論家の乗越たかおさんもおられました。また、劇的舞踊で参加されていた俳優の奥野晃士や元Noism1メンバー・鳥羽絢美さんとは、それぞれ少しお話しすることができました。この日は関東地区での千穐楽でしたから、華やかさが際立っていたと言えます。
また、この日の物販コーナーでは、缶入りの浮き星に加えて、Noism×鼓童TシャツのSサイズも売り切れとなっていたことも記しておきます。こうしたことからも今公演が多くの方の心に届いているものとわかります。

開演時間が来ます。先ずは『お菊の結婚』です。ストラヴィンスキーの音楽に操られるようにして動く人形振りですが、動きは細部にわたって確信に満ち、練度が増しています。蔑みの眼差しで見詰められたオリエンタリズムのなか、拡大していく「歪み」が招来するものは…。淀みなく展開しながらも、「おもしろうて、やがて…」のような味わいは繰り返し観ても飽きることはありません。

休憩後は『鬼』です。緞帳があがり、櫓が顕わしになっただけで、ザワッとして、一瞬にして心を持って行かれてしまうのはいつもの通りです。そこから40分間、透徹した美意識が支配する演目です。fullmoonさんが触れた、ある場面での「舞台美術の変更」も、禍々しい効果を上げていました。
この演目、原田さんによる音楽を(1)鼓童が演奏し、(2)それを、或いはそれに合わせてNoismが踊るという、ある意味「2段階」を想定するのが普通の感覚なのでしょうが、鼓童の音とNoismの舞踊の間にはいささかも空隙などはなく、してみると、その当たり前のように成し遂げられた同調性が高いコラボレーションは、敢えて言えば、原田さんの楽譜を、(1)鼓童が演奏すると同時に、(1)金森さんもNoismを「演奏」しているかのような錯覚をきたすほどです。(無論、金森さんの演出振付を不当に矮小化しようというのでは毛頭ありません。)この演目、カウントで成立するものではないのですから、人間業とは思えない途方もないレベルの実演であることはいくら強調しても足りないほどです。「聴くこと」の重要性は原田さんが常に唱える事柄ですが、それが鍵を握る「共演」であることは言うまでもないでしょう。Noismと鼓童、恐ろしいほどに「新潟はスゴイ」(金森さん)を見せつけた興奮の埼玉楽日だったと思います。

終演後のカーテンコールでは、鳴り止まない拍手に、大勢のスタンディングオベーションが加わり、感動を介して、会場がひとつになった感がありました。繰り返されたカーテンコールはfullmoonさんがレポートしてくれた前日同様、客電が点いてからも続き、客席は温かい笑顔で応じました。そのときの多幸感たるやそうそう味わえるものではありませんでした。

今日は原田さんを中心に書いてきましたが、原田さん繋がりで、個人的なことをひとつ記して終わりにしようと思います。先日の「1.8倍」云々の件がありましたので、お見かけしたら、再びご挨拶せねばとの強い気持ちをもって埼玉入りした部分もありました。すると、開演前、この日も座席表付近で原田さんの姿を認めましたので、お声掛けしました。で、様々に感謝を告げようとするのですが、やはり緊張してしまい、この日も頭は真っ白に。にも拘わらず、笑顔で対して頂き、不躾なお願いでしたが、CDにサインも頂きました。感謝しかありません。その後、fullmoonさんと一緒に再度ご挨拶することもできました。

原田さん、度々突然お邪魔することになり、失礼しました。と同時に、重ね重ね有難うございました。この日も音楽を起点とする実演に圧倒されました。

諸々の高揚感のうちに、新幹線に乗って新潟へ戻ってきた訳ですが、ツアーはこの日でふたつ目の会場を終え、次は一週間後(7/17・日)の京都です。関西のお客様、お待ちどおさまでした。お待ちになられた分も、たっぷりとお楽しみください。

(shin)

『鬼』埼玉公演 初日に行ってきました!

7/8(金)、新潟も埼玉も暑いですが、夕方6時頃ともなると、気温も下がり、涼しい風もそよそよと〜♪
彩の国さいたま芸術劇場に到着すると、そこにはBSN新潟放送のヒーロー、坂井悠紀ディレクターが〜♪

会場ロビーには、プログラムセット、さわさわ会の新会報誌♡、そして物販コーナー。


物販は缶入り浮き星が早くも売り切れ!
東京の知人友人に挨拶していると間もなく開演。
チャイムが鳴ってから、そこそこの人数の観客が入場してきました。電車が遅れたのだそうです。皆さん間に合ってよかった!

『お菊の結婚』、ピエールの登場は、ステージの高さがあるので、舞台袖からでした。
ホント、コミカルなのに怖い演目ですが、照明がきれいですね〜♪
流れるように動きが進んで行きます。
続く『鬼』はガラッと雰囲気が変わります。
舞台美術に変更アリ!?
井関さんの鬼がますます禍々しいです!
この演目も本当に凄いですよね!!
鼓童さんの音も大迫力です!

大拍手で無事終演♪
ブラボーを言っちゃいけないそうですが、後ろの方から2、3回聞こえましたよ!

今回も素晴らしい公演でした♪
原田敬子さんのお姿もチラッとお見かけしました。
安倍元総理の衝撃のニュースがありましたが、公演は明日あさってと続きます。
どうぞお運びくださいね♪


(fullmoon)

2演目の振れ幅極大!贅沢なことこの上なし!『鬼』新潟公演初日

先月のうちに、稀に見る早さで梅雨が明け、迎えた文月、2022年7月1日(金)は、ですから「暑い」などと口にするのも既に無粋な振る舞いと化してしまったかのようでありながら、しかし、他に気の利いた言葉も思い浮かばず、つい口の端に乗せてしまうといった難儀な一日でした。

そんな難儀な日、Noism×鼓童『鬼』新潟公演の初日の幕があがりました。新潟公演のチケットは3日間とも発売開始時から売れ行きがよく、追加席まで含めて早々に完売。Noismと鼓童の初共演を待ちわびたお客さんたちがプラチナチケットを手にりゅーとぴあに集まってくる様子はいつもとは趣きを異にする印象でした。

今公演は物販コーナーも充実していますから、そちらを覗く時間もあるといいかと思います。Tシャツから、手ぬぐい、浮き星というお菓子(ダブルネームの缶入り!)に、佐渡番茶。そして原田敬子さんのCDと色々ありますが、初日だけでも、大勢の方がお買い求めになられていました。お目当ての品はお早めに。

そんな開演前のホワイエで、私もいつもの「ホーム」新潟の面々に加えて、東京・富山からの知人(友人)にも会い、それぞれと言葉を交わし、これから観ることになる演目への期待感を共有することで気持ちはあがる一方でした。

そうこうしているうちに開演予定時刻間近となり、慌ててトイレに行ってから客席に腰を下ろしました。

19:03、あるSE(効果音)が耳に届いてきて、最初の演目『お菊の結婚』が始まります。目に飛び込んできた舞台装置には、「そう来たか!」の思いが湧きました。この日に先立つ2度の公開リハーサルで、鼓童の奏者を配する『鬼』の基本セッティングを観ていたため、「どう繋ぐのだろう?」と思っていたのですが、何の違和感もないばかりか、「見事!」と唸るほかありませんでした。

限りなく奇天烈なストラヴィンスキーのバレエ・カンタータ『結婚』にのって、東洋に足を踏み入れた西洋人、その彼が身を以て体験する異文化の衝撃がコスチューム・プレイ的に展開していきます。蔑みの眼差しに対する共同体側からの排除。毒のあるカリカチュアは極めてアクの強い諧謔味を生み、これまでのNoismの舞台では目にしてこなかった新味に溢れています。人形振りの果てに目にすることになるのは…。先の読めない展開に目は釘付けにされました。外連味たっぷりの照明も印象的な演目です。

15分の休憩を挟んで、Noism×鼓童『鬼』です。前回の公開リハのレポートでも書いた通り、この日も「夏」であることを忘れてしまうような演目でした。鼓童の奏者たちの屹然たる姿からは彼らが繰り出す音が人為的なものにはつゆ思えず、その研ぎ澄まされた精神と肉体が太鼓(と他の楽器)をメディア(媒体)として宙からもたらす音と捉えた方が理に適っているようですし、それに即応するNoismメンバーの身体も人間業とは思えない点で一歩も引けを取りません。隅々まで行き届いた一体感が恐ろしい次元で達成されていることに身震いするほかないのでしょう。

そして配役表で見られる、山田勇気さんを除く、全てのキャストに振られた「鬼」の一文字ですが、それによって、一面的な「鬼」理解は蹴散らされてしまうほかないのですが、舞台上、鼓童によって響かせられた鋭い音とNoismの舞踊家によって可視化された多義的な身体とを受け止めていると、その「配役」に込められた意図に深く納得することになるでしょう。まさに、その都度、体感するべき演目と言えるかと思います。

終演後のカーテンコールにはNoismと鼓童に加え、世界初演とあって、衣裳の堂本教子さん、音楽の原田敬子さんも加わり、一段と大きな拍手とスタンディングオベーションが起こりました。何度目かのカーテンコールで、金森さんが満員の客席に向けて右手を差し出し、次いで拍手を返してくれるに至り、立ち上がって拍手する観客の数もどっと増えました。みんなそろって喜色満面、ツアーはまさに最高のスタートを切ったと言えます。

そんな振れ幅極大の2演目を、僅か1時間半足らずのうちに並べて観ることの贅沢さはどう言い表したらよいのでしょうか。「いやあ、凄かった」とか「良かったぁ」みたいな陳腐な言葉しか出て来ず、気の利いた感想など口に出来ない難儀な思いに直面することでしょう。ならば、かように圧倒され尽くした果てに、言葉を失い、無粋に同語反復的たらざるを得ない感覚を楽しむこと、それに尽きるかと。何しろ相手は「鬼」、勝ち目はなさそうです。これからご覧になられる方々、そんな難儀な思いを存分にお楽しみください。

(shin)