大変なこの国の今、新潟から文化を発信すること

拡大の止まない疫病の猛威に、各所で我慢を強いられている感が強いこの頃、皆さま、お元気でお過ごしでしたでしょうか。かく言う私も「一斉休校」の大きな混乱の渦中に投げ込まれ、目も回る年度末を一日一日どうにかこうにかやり過ごしております。どうか皆さま、ご自愛ください。

さて、そんななか、タイトルにも記しましたように、ここ新潟から Noism Company Niigata が文化の香りをお届けするふたつのコンテンツをご紹介いたします。

いずれもTwitterからのご紹介ですが、以下をご覧ください。

BSNの特別番組は、新潟だけでなく、全国で視聴できるようになるといいのですが…。

そして、柳都会の方は5月半ば。その頃には混乱も収まっていて欲しいものです。

ともあれ、新潟から点される文化の灯火に是非ご期待ください。

(shin)

地元紙・新潟日報「窓」欄掲載、「ノイズム動画 一層活用を」

約1週間前に地元の新潟日報紙「窓」欄に宛てた投書が、本日(2020年2月3日)の朝刊に掲載されました。下に載せますので、まずはお読みください。

同紙への私の5回の投書はすべてNoismに関するもので、ここまでのところ、運よく、すべて掲載して頂いております。有難いことです。

それはさておき、昨秋の活動継続の決定に際し、課題に挙げられたものに「浸透度」も含まれていたのですが、それも舞踊家の顔が見えてこそと思う気持ちから綴ってみたものでした。

前日の「応援する会」記事へのコメントで、fullmoonさんが引いた鈴木良一さんの「…Noism Company Niigataよ、永遠なれ!…。」更に、同会で齋藤正行さんが話された「一人ひとり、自分ができることをやってNoismを支えていこう」との呼び掛け。それらと共鳴・共振するものとしての、私の中にある「周囲に向けて声をあげ続けていこう」という思いがとらせる振る舞いと言えるかと思います。

それというのも、再び、課題と成果の検証がなされることは間違いのないことだからです。私たちはNoismから多くの豊かなものを受け取っています。私たちからNoismに還していくものもなければならないのが現状でしょう。私たち一人ひとりの「Farben(色)」をもった様々な支援が必要な所以です。

Noismの「浸透度」に少しでも貢献できたら。そんな思いで投書しています。その点を感じ取っていただけましたら幸いです。

(shin)

如月にして春爛漫の趣き♪「Noism Company Niigataを応援する会」

時は2020年2月2日(日)、ところは新潟市のお洒落なレストラン・新潟 ジョイア・ミーア。各分野から130名を超える出席者を得て、「Noism Company Niigataを応援する会」が、賑々しく華やかに開催されました。雪のない新潟市が「冬らしくない」というのとは全く違った意味合いで、会場はまさに春爛漫の趣き。

会場前に立つ発起人代表・齋藤正行さん
会場は新潟ジョイア・ミーア
素敵な看板が
ステージを飾ります
こちらが当日の次第です

新潟市が誇るカンパニーの「第二章」をお祝いしようと集まった方々は、開会前からそこここに輪を作り、グラス片手に、笑顔で、名刺を交換して挨拶していたり、顔なじみ同士での語らいを始めていたりしました。

そんなさなか、おもむろに耳に届いてきたのは、詩人・鈴木良一さんがこの日のために作られた詩「喜びの歌 -ノイズム カンパニー ニイガタ讃江-」を朗読する声。 …未来と希望へ導き、永遠の命に連なる喜びを歌ってくれるであろう… 一同、その身中の思いを代弁する詩の一言一句に一気にぐいぐい引き込まれ、開宴です。時計に目もやらずにいたのですが、17時30分になっていたのですね。

そして、まず、のっけから「金森さんと凄く仲が良い訳じゃないし、…なかなか生意気で、私は生意気なのが好きなんですが」という自由過ぎる語りだしでいきなり笑いをとったのは、この会の発起人代表・齋藤正行さん。ユーモラスな中に愛情が感じられるご挨拶です。新潟市と踊りの歴史的な関係を俯瞰しながら、Noismを「必然」としたうえで、一人ひとり、自分ができることをやってNoismを支えていこうと語りました。

続いて、Noismメンバーが入場し、金森さんがひとりずつ紹介しました。

前列Noism0とNoism1の紹介
前列がしゃがみ、Noism2を紹介

引き続き、金森さん、「16年間頑張ってきたことの一番の成果はこのような会が催されるようになったこと。ご褒美であると思っています。これからも新潟を世界に発信するべく精進して参ります」とご挨拶されました。

次のご挨拶は在新潟ロシア連邦総領事のセルゲェーエフ・ミハイルさん。「新潟に来て1年半。Noismの公演は心に響いた。文化はみんなでサポートしなければならない。ロシアでも新潟のNoismを見せてください」と熱い思いが籠ったものでした。

続いてマイクの前には中原八一・新潟市長。「正直、検証委員会からの提案を、金森監督が引き受けてくれないのではないかと思っていたところ、快く受け入れてもらったことにお礼申し上げたい。検証期間のなかで、金森監督は芸術家として一流なだけでなく、人間としても一流の方であると確信させてもらった。高い志で、新潟の魅力を世界各地に発信してもらうことを期待しています」と力を込めて語られたのち、乾杯のご発声に移られました。

スマートな乾杯のご発声は
中原八一・新潟市長

会は激励メッセージの時間に進みます。まずは、篠田昭・前新潟市長。2004年当時のNoismとの出会いを、ある職員とのやりとりがきっかけだったとし、「レジデンシャルダンスカンパニーって何だ?コンテンポラリーダンス?で、映像を見たら、ますますわからなくなった。で、その職員に、下手すると私の首が飛ぶんだよ。『君は命を賭ける気があるのかね』と問うたら、彼が『賭けます』と言うから、一度、金森さんと会うことにした」で、30分ほどの面会。「金森さんの論旨は明快。この人間なら賭けても良いんじゃないかと思ってしまった」と舞台裏を明かしました。

熱いメッセージは続きます。尺八奏者の福島麗秋さんは「Noismはスパイスを与えてくれる存在。スパイスを与えてもらって、これからも楽しく刺激的に人生を歩みたいと思う」と話されました。

市議会議員であり、新潟市視覚障害者福祉協会会長でもある青木学さんは常々「一体どんな踊りなんだろう?」とNoismに強い関心を寄せており、視覚障害者向けのワークショップ実現に漕ぎつけて、自らも参加した際のお話し。「一時間半の間、井関さんとマンツーマンでペアを組み、90分間、井関さんと二人っきりの世界を過ごした。しかも井関さんの体全てに○○(一部伏字)させてもらい、これが人の体なのかと思うくらい驚いた。筋肉の動きがまるで違う。まさに『生きる彫刻』に感動した」と語り、羨望のヤジ(所謂「不規則発言」)が飛び交うなど、参加者の嫉妬心を煽るだけ、煽りました。(笑)

嫉妬にかられた齋藤さん、
マイクを奪いにいく図(?)(笑)

途中、錚々たる面々に混じって、私も指名を受けてしまい、いつからか、Noismの公演に関しては繰り返し観に行かないではいられない体になってしまった、そんなふうなことを金森さんと井関さんに目をやりながら、緊張して話したような次第です。(汗)蛇足でした。

滞りなく会は進み、Noismメンバーおよびスタッフにサプライズの薔薇の花が一輪ずつ贈られ、それに合わせて、会場中から大きな拍手が沸き起こり、雰囲気は最高潮に達しました。

それを境に、この日の淀みない久志田渉さんの司会が哀調を帯びて聞こえ出したのは、そろそろ閉会の時間が迫ってきたからに他なりません。そこでのご指名で「閉会」のご挨拶に立ったのは、新潟県洋舞踊協会の副会長・土佐まり子さん(土佐まり子モダンバレエ研究所主宰)。教え子たちがいつかNoismの作品に出られたらと夢想してきたので、今年10月の新潟市洋舞踊協会合同公演には喜びと期待を感じる胸の内を話されました。

大トリを飾る井関さんのために
マイクの高さを調節する金森さん

大詰め。司会の久志田さんが「副芸術監督の井関さん」と告げるが早いか、会場からは「佐和子さん!」の掛け声がかかり、井関さんがご挨拶をされました。

「16年間やってきたことを、ここで皆さんの顔を見て確信できた。皆さん、新潟市に支えられていることを実感できたので、幸せですし、感動しました。これからもどうぞよろしくお願いいたします」の言葉で、この日の華やかな宴を締め括ってくれました。

ホントにあっという間の時間に感じられ、閉会後もあちらこちらに生じた人の輪はなかなか解けません。皆さん、余韻に浸り、立ち去り難い思いの人たちばかりだった様子です。

名残惜しいのはやまやまですが、やがて、未練を断ち切って帰路につかねばならない時間になりました。このような素晴らしい機会に居合わせることが出来ただけで幸せだったというべきでしょう。「素敵な会でしたね」「また次の公演のときにお会いしましょう」など言いながら、ドアを出て、さして寒くはない夜の通りに立ち、お店を振り返りました。温かい思いを抱いて。

受付で渡された「新潟市文化・スポーツコミッション」のビニール袋の中には、こんな品々が入っていました。

Noismステッカーなどは勿体なくて使えないよなぁ、などと思ったりしています。

明けて節分。新しい春はすぐそこに来ています。

(shin)

2月「Noism Company Niigataを応援する会」開催♪

皆さま、新年明けましておめでとうございます。

昨秋、懸案だった活動延長も無事決まり、良い年越しができました。そして来る2月、その喜びのまま、標記の会が開催される運びとなりました。

新潟各界の方々にお声掛けしています。Noism活動支援会員、Noismサポーターズ会員、さわさわ会会員の方はどうぞご参加ください♪

詳細は以下の通りです。

「Noism Company Niigataを応援する会」

 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

 さて、このたび りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館が運営する、国内唯一の公共劇場専属舞踊団『Noism Company Niigata(ノイズム・カンパニー・ニイガタ)』の2022年8月までの活動継続が決まりました。

 つきましては、これをお祝いするとともに、Noismの活動の更なる発展を願い、下記のとおり「Noism Company Niigataを応援する会」を開催したいと存じます。

 当日は、金森穣Noism芸術監督をはじめ、ダンサー、専属スタッフの皆さんからご参加いただくとともに、Noismの活動継続を決断された中原市長からもご出席いただく予定となっておりますので、本会の趣旨にご賛同いただき、多くの皆さまからご参加いただきますよう心よりお願い申し上げます。

発起人:  さわさわ会 会長/新潟・市民映画館 シネ・ウインド 代表 齋藤 正行

新潟商工会議所 会頭 福田 勝之

新潟経済同友会 代表幹事 山本 善政

新潟総踊り祭実行委員会 副実行委員長 能登 剛史

NoismサポーターズUnofficial 事務局長(代表) 越野 泉

  • 日時  令和2年2月2日(日)午後5時30分
  • 場所  新潟 ジョイア・ミーア -Gioia Mia Niigata-  (新潟市中央区東堀通7番町1016-1)
  • 会費  5,000円(立食パーティー形式)

お申込み・お問い合わせ: お手数ながら、当ホームページお問い合わせフォームからご連絡ください。Contact:  https://noism-supporters-unofficial.info/contact/

・・・以上です。

「Noism第2章」の幕開けを盛大にお祝いしたいと存じます。どうぞご検討ください。

(fullmoon)

新潟日報「窓」欄掲載『ノイズム追い掛ける幸せ』(+鳥取行・補遺)

本日(2019/11/23・日)の新潟日報朝刊「窓」欄に、Noism1『Mirroring Memories -それは尊き光のごとく』鳥取公演を観に行った際の思い出を綴った拙文を掲載していただきました。(因みに投稿時の原題は『ノイズム追いかけ、車で鳥取』。)鳥取での画像ともどもアップ致します。お目汚しかと存じますが、お読みいただければ幸いです。

また、こちら(11/10の記事)もどうぞ併せてお読みください。

素ラーメン(スラーメン)その1
(武蔵屋食堂)
素ラーメン(スラーメン)その2
(居酒屋・小次郎)
名物(とうふちくわ、砂たまご)
と地ビールの夜
すげ笠御膳(鹿野町・夢こみち)
足湯付きバス停♪
(鹿野町・国民宿舎「山紫苑」前)
公演時間までゆったり過ごしたが、
バス停ながら時計は止まったまま…(汗)
バス停付き足湯なのか?(笑)

今は鳥取駅の反対側に
スタバもできてましたけど、
「鳥取」ゆえに先ずはこちらへ(笑)
「砂場」ならぬ砂丘、風紋、足跡、影…

今は「よく行ってこられたなぁ」とも思いますが、ハンドルを握っている間は不思議にハイテンションで、「なんとかなっちゃった」感じです。Noismを観るためならどこまでも運転できるのか、私?(←本当か?(笑))

極私的なゆる~い記事になりました。最後までお付き合いいただき、有難うございました。m(_ _)m

(shin)

「世界に繋がる新潟のシンボルでありたい」(金森さん@BSN「揺らぐ劇場 Noism継続問題の深層」)

この度の台風19号の被害に遭われた方々に対し、改めまして心よりお見舞い申し上げます。

(新潟日報10/19朝刊・テレビ欄より)

さて、先週の放送予定が延期となったBSNテレビのゆうなびスペシャル「揺らぐ劇場 Noism継続問題の深層」が、この日(10/19・土)放送されました。ご覧になられましたか。新潟県外の方にも放送内容をお知らせしたいと思い、かいつまんでレポートいたします。

「30分番組」は、9月の活動更新記者会見の模様から始まりました。『Fratres I』と『Mirroring Memories』からの場面が続き、5月の『カルメン』モスクワ公演の様子が流され、芸術性の高さが伝えられる一方、「地方の現実」として、税金を投入する以上、地域への貢献が求められる事情が示されました。相克、或いは止揚。Noismの存在をめぐって、「新潟は何を問われたのか」との番組テーマが掲げられます。

「りゅーとぴあ」: 市民活動は勿論、3部門(音楽・演劇・舞踊)を核に創造型事業を展開。市からの事業費補助は、Noismを含む舞踊部門に約5,000万円、音楽部門・演劇部門他に約1億4,400万円。(いずれも年間平均)

金森さん「東京の公演を買ってくることがメインの劇場文化は『中央集権』を助長するだけ。劇場は本来、文化による『地方分権』を成立させ得る拠点」 → 篠田昭前市長は「新潟から世界に発信していく」ビジョンに惹かれて惚れ込んだと話し、2004年、公共劇場がプロのダンスカンパニーを抱えるという国内初めての取り組みが始まった経緯を説明。しかし、前例のない挑戦を待ち受けていた厳しい現実。例えば、「時間と場所」。「Noismに独占されては困る」など、契約更新のたびに難題に直面してきた。「劇場はプロが作品をつくる場所」とする金森さん。生じる摩擦。舞踊団と行政とが互いに妥協点を見出しながら積み重ねてきた15年。

*ワレリー・シャドリンさん(チェーホフ国際演劇祭ゼネラルディレクター:5月に『カルメン』を招聘) 「日本の若い世代の演出家の中で金森さんほど才能がある人を私は知りません」 → 終了後、早速、次回(2021年)の出演を依頼。しかし、継続問題の渦中にあるため、返答できず。

*篠山紀信さん(写真家:Noismの15年間を撮り続ける) 「(『Fratres I』を評して)金森さん独特のストイシズム。そのことの感動だね」「金森さんがここ(新潟市)に来て、本当に良かったと思う。これ以上の待遇はなかっただろう。新潟の宝物だと思う、本当に」

*篠田昭前市長 「全国に『りゅーとぴあ』を知らしめているものは何かと言えば、そのほとんどがNoismの活動によるもの」 しかし、…

  • 昨年11月の市長交代期を挟み、基金の減少など厳しい財政状況を背景に、中原八一新市長が様々な事業の見直しを表明。=「Noism活動継続問題」
  • 6月の新潟市議会:Noismの活動継続を疑問視する声があがる。「存在すら知らない市民もいる」
  • 7月、市民有志が市長に活動継続の要望書を提出。
  • 同7月、文化政策の専門家を構成員とする「劇場専属舞踊団検証会議」が初めて開かれる。市の税金で支えていくことの意味が議論される。
  • 8月末、契約更新に向けた市の意向が金森さんに伝えられる。(地域貢献活動を含む6つの課題を提示し、改善への取り組みを条件とする。)

Noismの海外公演: これまで15年間で11か国、22都市、58公演。「欧米に敵うんだ。欧米の人が『すげぇ!』って言うものを創れる。しかも、中央からじゃなく、地方から。それが我々のやっていること」(金森さん)

「地域貢献」か「世界と繋がる芸術の創造」か。地方は芸術にどう関わっていくべきなのか。相克、否、止揚。

ひとつの答えを導き出した場所:富山県南砺市利賀村。1976年、主宰する劇団ごと東京から移転してきた演出家・鈴木忠志さんは、過疎の村を「演劇の聖地」に育て上げた。現在、村や県のみならず、国、政治・経済界を巻き込む支援を得ている。世界と繋がる芸術に地域が価値を見出し、共に歩む。活動の集大成とも言える国際演劇祭「シアター・オリンピックス」は、人口500人に届かない村に国内外から2万人を集める。

*鈴木忠志さんは「支援への還元」に関して、「本当の芸術活動、優れた芸術家は人類の財産になることを目指す。地域の利益のためにやっていたら利益誘導にしかならない」とし、金森さんについても「芸術的には今の日本で大変優れた仕事をしている。応援しなければいけない」と話し、地域全体で取り組むことの重要性を強調。

平田オリザさん(劇作家・演出家)「Noismの活動の価値は圧倒的なものがある。それをどう生かすかは新潟市の側の問題」

金森さんは「世界に繋がる新潟のシンボルでありたい。自分たちのこの街が世界と繋がっている。特に若い子たちはどんな仕事を志すにしろ、世界に対して広い視野を持って貰いたい。経済的に大変であっても、人や心の部分、文化の部分では国際的であって欲しい。自分はそのために呼ばれたと思っているからね」とあくまでもこの街(新潟市)に思いを馳せ、未来を見据えて語りました。

番組ラストのナレーションは「日本でただひとつの劇場専属舞踊団を抱くこの街は、何を目指し、どこへ向かうのか」 金森さんが唱えるブレることのない「劇場100年構想」を想起してみるなら、その答えは明白でしょう。私たち一人ひとりの豊かな人生、それを措いて他に何があるというのでしょう。

皆さんはどうご覧になりましたか。そして、拙いレポートではありますが、ご覧になれなかった方に内容の一端でもお届けできていたら幸いです。

(shin)

活動期間更新記者会見について、みたびの新潟日報「窓」

本日(10/12)の新潟日報「窓」欄に、過日の活動期間更新記者会見に臨んだ印象を綴る拙稿「『ノイズム第2章』に期待」を掲載していただきました。折しも、BSNゆうなびスペシャルで「揺らぐ劇場 Noism継続問題の深層」(17:00~)が放送される朝。

あの日、テレビや新聞では伝わり難かった「会見場」の雰囲気、その一端でもご紹介したいと考え、書いたものでした。真新しい内容ではありませんが、お読みいただけましたら幸いです。 

上で触れました本夕放送のBSNゆうなびスペシャルにつきましては、こちらも新潟日報から。

(新潟日報10/10朝刊より)
(朝日新聞10/12朝刊・テレビ欄より)

併せまして、よろしければ、こちら9/27の記事(金森さん「このタイミングでこのような体制で挑めることに感謝」(9/27記者会見))もご再読ください。

(shin)

【追記】「揺らぐ劇場 Noism継続問題の深層」は台風の影響から、この日は放送されず、一週間後に日を改めて放送されました。こちら10/19のレポートをご覧ください。

金森さん「このタイミングでこのような体制で挑めることに感謝」(9/27記者会見)

2019年9月27日(金)午後2時半、「 りゅーとぴあ劇場専属舞踊団 Noism 第6期活動期間の更新『Noism1+Noism0  森優貴/金森穣 Double Bill』製作発表 記者会見」に参加してきました。

会場はりゅーとぴあ ・ 能楽堂のホワイエ、 出席者は中原八一新潟市長、金森さん、りゅーとぴあ支配人の仁多見浩さんの3名。傍らに井関さん・山田さんをはじめとするNoismメンバーが勢揃いするなか、中原市長の「よろしくお願いします」の言葉から会見は始まりました。

まず最初に、中原市長がこの一年間を「Noismの活動を理解する期間が必要だった」としながら、「Noismの活動に支障をきたさないように」これまで15年間の活動を検証し、さる8月24日、りゅーとぴあ及び金森さんに課題と方向性を伝えたところ、「本当に真摯に検討してくれた」と説明。Noism・りゅーとぴあと協力しながら、市民との関係を築き、レジデンシャル組織としての優良事例となること、新潟市の踊り文化に対し、好影響を与えることで、より一層の高評価を獲得していく期待を語りました。

仁多見支配人は、2022年までの活動を認めてもらったことに感謝しながら、課題には「身が引き締まる思いがする。りゅーとぴあとして真摯に受け止め、改善に取り組んでいきたい」と第一声。続けて、「意思疎通を図りながら、全国のモデルとなり得るよう努めていきたい」と。

金森さんは皮切りに、中原市長には、「難しい判断と決定」であっただろうことに思いを馳せて、そして仁多見支配人には、連携の重要性に鑑みて、「力強い協力」を申し出てくれたことに対して、ともに感謝を口にし、「このタイミングで、このような体制で挑めることに感謝します」とも。

次いで、まず、舞踊団の総称を、これまでの「Noism – RYUTOPIA Residential Dance Company」から「Noism Comapany Niigata」に改称する旨を発表。これは、国外での「RYUTOPIAとは?」と国内の「Residentialとは?」の疑問を一挙に解消しながら、より単刀直入に、「Niigata(新潟)」の名を国際的に発信することを可能にするもの、としました。

更に、新体制として、これまでのNoism1とNoism2に、プロフェッショナル選抜カンパニーNoism0を加えた、3部体制にすること、舞踊家とスタッフに関しては、舞踊家1名減、スタッフ1名増で臨むことが触れられました。

その後、「提言」を受けて纏められた「活動方針(案)」(文化政策課)に盛り込まれた6点の課題改善に向けた取り組みや方向性が説明されました。

①地域貢献のための活動: 市内の舞踊団体との連携(R2秋・新潟市洋舞踊協会合同公演における金森さんによる新作振付)、「Noismスクール(経験者向け・初心者向け)」の新規実施、「柳都会」・「公開リハーサル」等の継続実施、更に、市民へのスタジオBの提供等。

②国内他館との信頼関係・ネットワーク: 少数精鋭の選抜カンパニーNoism0(金森さん・井関さん・山田さん)は小規模の故、他館との連携のし易さというメリットがあり、連携には好都合と。

③Noism以外の舞踊の提供: 金森さん以外の振付家招聘公演として、年末からの『Noism1+Noism0 森優貴/金森穣 Double Bill』を実施。独・レーゲンスブルク歌劇場ダンスカンパニー芸術監督を辞し、帰国した森さんに帰国後1本目として、Noismへの振付を委嘱。

④コンプライアンス・意思疎通、⑤労務管理、⑥予算減の可能性: 規約等を再確認のうえ、適切に進める(④)、十分に協議のうえ、改善に努める(⑤⑥)、とされました。

金森さんの説明に続き、メンバーを代表して、井関さんと山田さんもこれからの活動について語りました。井関さんが自身の経験に重ねて、「若い世代の人たちにとって、時間・空間・人のサポートは重要。これからも与えていって欲しい」と語れば、山田さんも「(Noism2リハーサル監督という)責任ある立場として、遠い未来を見つめて、よりよい価値をつくっていきたい」と話しました。

その後、簡潔に、(極めて簡潔に、)『森優貴/金森穣 Double Bill』について触れられたあと、報道各社からの質疑応答に時間が割かれました。ここでは、それらを通して語られたことをまとめてご紹介します。

仁多見支配人: 公演を観ることが生き甲斐になったり、観ることで人生観が変わったり、町の賑わいにも繋がったりと、芸術活動の意味は大きい。公共劇場に課せられた責任の重さとともにやりがいを感じる。

Noismはりゅーとぴあ専属の舞踊団、それをどう支えていくかが課題解決に向けて最も重要なところ。職員全体がそういう意識を共有しながら進めていく。公演の度、スタッフには負担も大きい。実態に目を通しながら、金森さんと一緒に体制作りをしていきたい。

支配人になってから、初めてNoismの公演を観た。言葉にならない感動とはこういうものなんだなと知った。人生観も変わるくらい凄い。必ず感動します。まず一度観ていただきたい。

中原市長: 文化を創造し、世界に向けて発信していくところに予算を使う意味がある。「3年後」は正直、未定。レジデンシャルカンパニー制度が新潟市として持続可能か、全国的にも意味を持ち得るか、定期的な検証は必要。

今回、私が市長になって検討することになった。そのなかでも、金森さんはキチンとした話し方をされる。世界的にも評価される金森さんが真摯に受け止めてくれ、解決しようと決意してくれたことを有難く思う。こういう方から新たに色々取り組んでいただくのだから、必ず評価は高まっていくものと確信している。新たなファンも必ず生まれる筈。

名称も新たに「Noism第二幕」の開幕。芸術性の高い素晴らしい舞踊を楽しんでいただきたい。期待していただきたい。是非応援してくださいと言いたい。

金森さん: Noismの存在理念が討議されたのは今回が初めて。特別の感慨がある。それぞれの「課題」に対して驚きはなかったが、同時に、どれもNoismという一舞踊団だけで取り組める性質のものではない。支配人から「力強い協力」の言葉を得て、取り組めるんじゃないかと思うようになった。

「財政再建」問題は、新潟市民として「関係ない」と言って済ませられるものではない。粉骨砕身、頑張っていくことしかない。時間は大事だが、あればいいというものでもない。限られたなかで、成果を出していくことが問われている。具体的に動いて、適宜、その都度、改善していきたい。

かつて、芸術家の後ろにパトロンがいたものが、社会制度の中に落とし込んで劇場が成立するようになった。どのようなものを発信していけば地域のためになるのかという問題は、一芸術家としては相容れない部分もある。右目で新潟を、左目で世界を見て、その焦点に浮かび上がるものが自分の現実。

「新潟から世界へ」と言っても、誰も本気で信じてはくれなかったんじゃないかな。(笑)それから15年。今、それだけのレベルのものを地域に還元していきたい。

劇場の扉を開けて外に出ていくことをしながらも、本義は舞台表現。是非、観に来ていただきたい。

会見が始まると、すぐに固さはやわらぎ、終始、穏やかな表情で前向きに語る3人を目の前にして、課題は課題として、一致協力してそれに向き合おうとする新潟市とりゅーとぴあと金森さん(Noism)を認め、少しホッとし、漸く、あの「提言」に対して抱いた違和感も薄らぎました。

未だ、予算や市民貢献活動ほか、制約は多くありますが、「新生Noism Company Niigata」として新たなカンパニー・モデルを立ち上げていってくれるだろうこと、と同時に、支援の輪が広がり、「新たな金森ファン、Noismファン」(中原市長)に囲まれ、誰知らぬ者などない、揺るがぬ「新潟市の顔」となる日のことを思いました。それに向けて、私たちも頑張って支えて参りましょう。新たな一歩が踏み出されました。

終了は見事に予定時間ピッタリの午後3時半。日曜日の「柳都会」も楽しみです♪

(shin)

『あわ雪』、「真なる美」に触れる3分間(@「国民文化祭」開会式)

2019年9月16日(月)の新潟市は、単に「敬老の日」であるだけでなく、「第34回国民文化祭・にいがた2019」及び「第19回全国障害者芸術・文化祭にいがた大会」の開会式が行われる日でもあり、天皇・皇后両陛下が来県され、同開会式にご出席されるとあって、新潟駅から会場の朱鷺メッセまでの通りは物々しい規制と混雑が予想されていました。

「自動車での接近は難しそう」と、新潟駅まで電車を利用したところ、遂に見ました車内モニターのNoism映像。先ず、「新潟から世界へ」の文字が映し出されたのち、『FratresI』のアノ場面、『R.O.O.M.』の稽古風景やら『ラ・バヤデール』、『NINA』をはじめ、様々な作品が短いながら次々に流れて、いい感じの回顧モードに、「こう来なくちゃ」って具合で、新作『あわ雪』への期待はいやが上にも高まります。電車を降りると、人出も多く、予想通りに物々しい新潟駅構内、そして東大通。徒歩で朱鷺メッセへと移動しました。

14時30分。臨んだ開会式は、天皇・皇后両陛下ご臨席のもと、NHK新潟放送局の山崎智彦アナウンサーと女優の星野知子さんが司会を担当され、執り行われました。

15時。式典に続いて、お待ちかねの「文化の丁字路 ~西と東が出会う新潟~」と題されたオープニングフェスティバルの幕開けです。こちらは、総合プロデューサーも務める作家の藤沢周さんが、子どもたちに向けて、火焔型土器の昔から、世阿弥、上杉謙信、良寛と辿りながら、新潟県の歴史語りをする体裁をとり、県内各地に伝わる郷土芸能の継承という側面と、「真なる美」(世阿弥)或いは「義」(上杉謙信)、はたまた人間存在の意味(良寛)を追い求める方向性とをふたつの大きな柱にして展開されていく、文字通り「ふっとつ」(新潟弁で「たくさん」「盛りだくさん」)な構成内容でした。

冒頭、鼓童による大太鼓で始まったのち、「真なる美」に触れる3分間はラスト近くの16時20分過ぎに訪れました。県内各地の伝統芸能がひとまず「佐渡おけさ」をもって締め括られると、張り出したステージの両端を奥から進み出てくるのは紛れもなく金森さんと井関さん。全く勾配がなくフラットなウェーブマーケットにあって、階段一段分にも満たない高さしかないステージでは、おふたりの肩より下は、大勢の人の頭の陰に隠れて見づらくなかったと言えば嘘になります。アベル・ガンス(仏)のサイレント映画『ナポレオン』(1927)を思い出させるかのような「トリプル・エクラン(3面マルチスクリーン)」の中央に、その両脇を静かに降る雪をイメージした映像に挟まれるかたちで投影される金森さんと井関さんの姿を、主に見上げているような場内でした。

『あわ雪』、金森さんも井関さんも白い衣裳を纏っています。タイトルからも容易に想像されるように、踊られるモチーフは「克雪」方向のそれではなく、春までの数か月、共に過ごすものの、やがては消えていく定めの雪。そして古来、この地に住む者の精神性に深く根をおろす類の、そんな雪。ピアノによる音楽のなか、音もなく舞う雪の如く、金森さんのリフトに優美に揺れる井関さん。ふたつの身体が絡まり合う様子など、まるで雪の結晶ででもあるかのように静謐な美しさを放っていました。やがて向こう向きに座ったかのような姿勢の金森さんが、更にその身の向こう側に井関さんを横たえて、動きが静止し、この上なく美しい3分は過ぎ去りました。静寂ののち、拍手をしながら後方を振り向くと、ロイヤルボックスの両陛下も柔らかな表情でしっかりと前をご覧になりながら拍手を送っておられました。その後、再び鼓童の太鼓の音が聞こえ出すと、両脇へと、それぞれ別方向にはけていく井関さんと金森さん。また別の機会に、再び『あわ雪』を楽しむ日が来ることを願って、否、信じて拍手しました。

途中に休憩もなく、トイレに立つことさえ許されない約3時間、そのなかのほんの3分間ではありましたが、その3分間が湛えるテンションは他とはかけ離れたもので、まったく異彩を放っていたと言うほかありませんでした。エピローグ、黒い洋服に着替えて登場した金森さんと井関さん。「りゅーとぴあでの本公演も観に来てください」という金森さんの言葉に、このなかから、その誘いに応える人たちが多く出てきて欲しいものだ、そう強く思いました。

話は変わりますが、入場時に手渡された紙の手提げはズシリと重く、「何が入っているのだろう?」

で、見てみると、重さの正体は新潟県の新しいブランド米「新之助」1kg。嬉しいサプライズでした。明日はそれを使っておにぎりを作ろうと家路についたのですが、帰りの電車でもまたNoism映像を目にすることができ、いい感じの締め括りになったことは言うまでもありません。そんな秋の祝日でした。

(shin)

新潟市が活動継続方針案を公表、ボールは市からNoism側へ

8月29日、新潟市はNoism活動継続を条件付きで、2022年8月末まで延長するとし、Noismの活動内容検証と今後の方針案を市のHPに公表しました。(以下のリンクからご覧いただけます。)

https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/shinko/bunkagyousei/buyodankensyo.html

Noism側はこの条件に同意するかどうか前向きに検討するとのことですが、正式決定は今後の協議に委ねられています。

■新潟市(文化スポーツ部 文化政策課)のHPより、「りゅーとぴあレジデンシャルカンパニーの今後の活動方針(案)」は次の通りです。

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【活動方針】

◎レジデンシャル制度の発展・成熟を図り、創造活動を行う国内他都市の公共ホールにも波及する優良な事例となるよう、レジデンシャル活動に取り組む。

レジデンシャル活動が、公共ホールに求められる役割を果たしているか、外部評価を含め毎年度成果を検証し、改善に取り組む。

【今後のNoism 活動】

◎Noism 設置目的の(2)及び(3)を達成するため、以下に掲げる改善すべき項目について合意がなされた場合、活動期間を2 年間延長し2022 年8 月までとする。

<専属舞踊団の設置目的>

(1) 新潟において、質の高い新たな舞踊作品を創造し、全国・世界に向けて発信する。

(2) 地方から大都市に向けての新たな舞台作品の創造・発信のネットワークを形成する。

(3) 活動を通して、新潟における舞踊の普及・育成などを図り、市民文化の振興に貢献する。

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①地域貢献のための活動を積極的に実施する。

例)洋舞踊協会や高校ダンス部等とのコラボレーション、小・中・高校等へのアウトリーチ(学校訪問)活動等

②国内他館との信頼関係を築き、ネットワークを拡大する。

③りゅーとぴあ舞踊部門としてNoism 以外の公演も市民に提供する。

④業務の進め方については、りゅーとぴあの規約等コンプライアンスを遵守し、十分に意思の疎通を図る。

例)プロデュース、マネジメント担当者の配置と活用

⑤超過勤務の縮減など、スタッフの労務管理に配慮する。

⑥Noism の予算額は、りゅーとぴあの文化事業全体のバランスで調整するため、減少する可能性がある。

【評価・検証】

◎改善項目の実施状況について、活動年度終了後に自己評価及び外部評価を実施する。

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高い芸術性は評価されましたが、めでたさも中くらい、とはこのことでしょうか。

示された多岐にわたる条件を全てクリアするには、市や財団の多大な協力と、更なる予算が必要不可欠と思います。金は出さぬが口は出す、みたいなことでは困る訳です。世界に冠たるカンパニーを抱える都市という側面も最大限考慮しながら協議を進めて欲しいものです。

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皆さま、この度、公表された活動方針案ほかについて、いかがお感じでしょうか。コメント欄にて皆さまの思いをお聞かせいただけましたら幸いです。

(fullmoon / shin)