『春の祭典』メディア向け公開リハーサルに行ってきました♪

2021年6月24日(木)の新潟市は日差しも強く、天気予報が予期させた以上に夏っぽい趣の一日。13時からの『春の祭典』メディア向け公開リハーサルに臨むべく、正午前に職場から、充分エアコンを効かせた車でりゅーとぴあへと向かいました。

県内のテレビ局各社のカメラセッティングが済んだ後、劇場の中へと進みます。舞台上に「あの」白い衣裳を纏った舞踊家たちがそれぞれに動きの確認をしている様子が見えてきます。その足許、リノリウムの雰囲気が昨年のプレビュー公演時と違います。また、アクティングエリアを区切る正面奥と両側の幕も異なります。「これが完成形」、そう金森さんは説明してくれましたが、特に彩色が施されたリノリウムは多義的な美しさを放っていました。

予定通りの13時。一旦、緞帳が下り、その手前に一列に並んだ椅子に腰掛けようと、まず井関さんが下手側から登場し、リハーサルが始まりました。やがて、21人の舞踊家にストラヴィンスキーの楽音が重なり、冒頭からの約20分間を見せて貰いました。

その20分間だけに限っても、リノリウムや三方の幕の存在感によってプレビュー公演のときとは随分と違ったものになって見えた印象です。

「OK! OK! Thank you! ちょっと舞台前に集まって貰っていい?」

ちょうど場面転換のところに差し掛かったとき、「OK! OK! Thank you!」と金森さん。続けて、「ちょっと舞台前に集まって貰っていい?」と舞台上の舞踊家を集めて英語で話し始めました。時間にして約10分。距離がありましたので、聞き耳を立ててもほとんど聞こえませんでしたが、「emotional complexity(感情の複雑さ)」なる表現を始め、端々に、「emotion」「emotional」なる単語が使われていたことだけは耳に届きました。その後の囲み取材の際に質問も出ましたが、内容は「トップシークレット!(笑)」(金森さん)とのことでした。

そして13:30からはホワイエで、その金森さんの囲み取材でした。以下に金森さんの答えを中心にいくつか拾い上げてみます。

  • Noismオリジナルの『春の祭典』について:「『生け贄』のテーマ性がどう表現されるのか、現代社会に何を訴えかけるのか、どなたにも感じて頂ける作品になっている」
  • 定員100%での上演について:「ちょっと複雑。舞台人としては客席が埋まった熱気のある舞台で実演したいが、来場頂くお客様には心理的な負担をお掛けするので申し訳ない思いもある」
  • プレビュー公演時との違い:「そんなに変わってないですよ。リノリウムが変わっただけ。印象がだいぶ違う。一年間期間をおくことによってより必然性をもってしまった。昨年よりも作品が重みを表現しなければならない、その重みを感じている。…『最後』が変わりました。作品の終わらせ方が変わりました。あまりにも現実の世の中が大変だし、あまりにも困難なので、舞台芸術を通して、何を最後に届けるか。混沌とした精神の痙攣のような作品の最後、お客様に届けるメッセージは変わりましたね。それは必然だった。稽古していてこれは違うねって。…『希望』というのとはちょっと違う。ある種の『願い』とか、『祈り』みたいなものがどうしても加わらざるを得ないっていうか。『絶望』を『絶望』のまま提示するのはちょっと…、劇場の外が『絶望的』過ぎるっていうか…」
  • コロナ禍における芸術家:「世の中と劇場の中の問題をこれだけ考えたことはなかった。戦後世代ですから、ここまで世界的な事象を日常生活で経験したことがない。そのなかで芸術に問われる意義とか価値は違ってきている」
  • コロナ禍、Noismの『春の祭典』が観客に届けるもの:「難しいですね。…難しいな」(しばし考えた末に)「何を感じて欲しいか、…『力』かな。『生きる力』かもしれないね。価値観とか、思考の産物じゃなくって、『生きる』っていう強さ。『生きる』って何だろうとか。人は誰しも一人では生きていない。『他者と生きる』ってどういうことかっていうことかな。上手く言えないけど」

囲み取材を終えて…。劇場の外にあった当たり前の「日常」が歴史的にも数えるほどの暗澹たる「非日常」へと反転してしまっている現在、金森さんとNoismは如何なる劇場的な《真正》「非日常」を見せてくれるのか、金森さんの言葉を聞いて期待は否応なく募ることになりました。言い換えるなら、それは、来月(7月)、傷を負った私たちの心に届き、私たちを鼓舞する「ハレ」なる舞台が観られることを確信するに充分な時間でもありました。

新潟から始まる今観るべき舞台、ストラヴィンスキー没後50年 Noism0+Noism1+Noism2『春の祭典』。チケットは絶賛発売中です。よいお席はお早めにお求め下さい。来るべき夏、Noismが示す「春」から目が離せません。

(shin)

Noism2定期公演vol.12 メディア向け公開リハーサルに行ってきました。

このところ暖かい日が続いていた新潟市ですが、今日は肌寒い小雨模様の一日となりました。そんな4月14日水曜日、Noism2定期公演『Complex』メディア向け公開リハーサルに行ってきました。本公演の会場はNoism2定期としては初の劇場ですが、リハーサル会場はスタジオBです。

スタジオBの指導者席には金森さんと井関さん。金森さんの細かいチェックを井関さんがノートに書き留めます。音出しはNoism2リハーサル監督の浅海さん。『Complex~旧作と新作の複合による』というタイトルなので、レパートリーと新作を別々に踊るのかと思っていたら、そうではなく、まさに複合! レパートリーと新作が交互に、あるいは続けて踊られ、一連の流れの作品となっていました。前後半約30分、休憩を入れて全体で75分とのことです。

今回は前半部分を見せていただいたと思われますが、それは本番のお楽しみ♪ まずは、白い衣裳の『Training Piece』、Noism2メンバーが現れますが、始まりの音楽が違います。それに床に横たわるのではなく立っています。そうか、この導入部分が新作なのかな。その後、本来の『Training Piece』の動きとなりますが、このNoismメソッドを表した基本の動きは簡単そうに見えて実は意外に難しくて苦しい。途中や終わりの方はアレンジされています。10分?ほどで金森監督からまさかのストップがかかります!

「ぬるい!」「このあと苦しくなるから計算して踊っているのか!」「やり直し!」という叱咤で、また最初からです。久しぶりの金森節を聞きましたが、二度目は緊張が解けたのか、メンバーは顔が上気し汗が滲み、動きもスムーズになりエネルギーが感じられます。その後は流れるように新作となる男性ソロに続き『ZONE』の「academic」へ、そして『R.O.O.M.』へと続きますが、作品の合間合間にソロ、デュオ、トリオ、ユニゾンの新作や旧作アレンジが怒涛のように続き繋がり繰り広げられます。あれよあれよという間に予定時間の30分+やり直し分=40分ほどが過ぎていきました。

見応えがありましたが、金森さんの最後の言葉は「ぬるい、弱い、汚い!」。さすが鬼の金森! Noism2の皆さん、これでも以前よりは優しい方ですよ。金森さんの罵声罵倒(=期待激励)を聞けてよかったですね。つらさ苦しさ悔しさをエネルギーに変えてがんばってください!

そして囲み取材は金森さんとNoism2リハーサル監督の浅海侑加さん。金森さんは、「技術的なことは急には上達しない。問題は気持ち。いかにエネルギーを出し続けることができるか。たとえば普段の練習で8、9割の力を出していたとしても、今日のように人前で踊ると緊張もあって5、6割になってしまう。見ている人たちのエネルギーに圧されてしまう。そして疲れてくるとまた難しい。これが本番だとますますどうなってしまうことか。だからいつも10割以上の力で稽古に臨んでほしい。それができるように最後まで引っ張っていきたい」と話されました。

囲み取材
金森さんと浅海さん

レパートリーの演目を選んだのは浅海さんだそうです。浅海さんは「作品の特徴や表現、表情がそれぞれ違うものを選んだ。違う作品だけれども、それが一つの作品となった時に見えてくる流れがあると思う。メンバー個々人のエネルギーを信じている。稽古の時でも本番でも、自分自身を超えていくことを期待している」と話されました。

公演は一週間後。4月22日(木)19:00、23日(金)19:00、24日(土)17:00の3公演で、全自由席。土曜は残席わずか。どうぞ木曜、金曜にお運びください。若き舞踊家たちのエネルギーの炸裂にご期待ください! https://noism.jp/npe/noism2_12/

(fullmoon)

1/15『Duplex』メディア向け公開リハーサルに行ってきました

本日1月15日(金)、小正月。この時期には珍しく晴天で、気温も上がり、雪も少しは消えたでしょうか。 りゅーとぴあスタジオBで、メディア向け公開リハーサルと囲み取材が行われました。

公開リハは、森優貴さん新作『Das Zimmer』の冒頭部分でした。 森さんが細かく細かく指示を出しながら少しずつ進み、短い区切りで通します。ピアノのメロディが印象的です。 ヨーロッパ調のシックな衣裳を身に纏ったNoism1メンバー。指示に応えて何度もやり直します。 森さんの思い描くドラマにどこまで肉薄できるのか! 3,4シーン進んだところで時間切れになり、囲み取材です。

囲み取材は森さんと金森さん。 質問に応えての内容は概ね次の通りです。

森さん

  • どこまでが真実で、どこまでが架空なのか。不安と希望の狭間を生きる人の思いや感情を表したい。
  • 言葉は大切。動き一つ一つが言語であり、ダンサーたちには話すように動いてほしいと思う。
  • 『Das Zimmer』は「部屋」という意味。舞踊には、空間、場所、人が集まることが必要だが、それはすべて「いけないこと」になってしまった。 しかし「部屋」は破壊されない限り、そこに残っている。そこに存在していたという事実を残したいという思いがある。
  • 自分が帰国して、Noismに振付した(『Farben』)のが約1年前。そして、その1年前から日本にも新型ウイルスが忍び寄ってきていた。それから全ては変わり、自分の中にも壁ができてしまった。今回、前と同じメンバーがいるのはうれしいが、前年に引き続きという気持ちはない。前は前、今は今。こうして りゅーとぴあという劇場が機能し、リハーサルができていることは奇跡に近い。

金森さん

  • 今回、武満徹さん作曲の雅楽『秋庭歌一具』で創作した新作『残影の庭』は、ロームシアター京都の事業(依頼)によるもの。ロームシアターでの初演は伶楽舎との共演であり、舞台も大きかったが、スタジオ公演では同じ作品でも趣は違ってくる。舞踊のエッセンスがより凝縮されたものになると思う。
  • 目に見えているものは過ぎ去りし時の名残り。それは、感染症がもつ特殊な性格と同じで、時間を遡っていくものであり、今をどう過ごすかが未来に現れる。
  • 雅楽との共演は手応えがあった。その成果を「その先の芸術」として将来の作品に反映できればと思う。
  • この時節、自分たちは恵まれている。今後の文化芸術に影響を与える作品を創っていきたい。
取材に応じる森優貴さん(左)
と金森さん

新型ウイルスの影響は、計り知れないものがあります。無事の開幕を祈ります。

*翌日(1/16)の活動支援会員対象公開リハーサルに関しては、こちらからどうぞ。

(fullmoon)

公開リハB日程は金森さん『クロノスカイロス1』、疾走再び!

2019年12月5日(木)12:45のりゅーとぴあ・劇場、メディア各社も多数駆け付けるなか、B日程の公開リハーサルが行われました。劇場内へ進むより以前に、ホワイエから既に、各社ともリハ後の囲み取材を念頭に、予め機材を構える位置を想定して準備を進めているなど、これまでにないほどの念の入れように映りました。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC_1467-300x169.jpg です

スタッフから場内へ促されるに際して、この日見せて貰えるのが、金森さんによる『シネマトダンス-3つの小品』のうち、Noism1出演の『クロノスカイロス1』と聞かされ、内心小躍りしたのは私だけではなかった筈です。先日の森さんの疾走する新作リハと併せて観ることが出来るのですから。

で、場内に入ると目に飛び込んで来たのは、濃淡はあるもののピンクで統一されたタイツ姿の舞踊家10人。

その10人、デジャヴかと見紛えるほどにこの日も疾走しているではありませんか。

バッハのチェンバロ協奏曲第1番ニ短調BWV1052。まずは林田さんとカイさん、そこに西澤さん、三好さん、鳥羽さん、チャーリーさん、スティーヴンさん、そして井本さん、池ヶ谷さん、ジョフォアさん。走って入ってきては踊って走り去る10人。挟まれた時間に示すソロ、デュオ、デュエットそして群舞のヴァリエイションが目を楽しませます。

この日は「映像、照明もなく、身体だけで、およそ3割~4割」(金森さん)とのこと。ラスト、音楽が止まったタイミングで、金森さんから「Are you alive?(どうだい、生きてるかい?)」と声がかかるほどの激しい「Run & Halt(駆け足と停止)」の連続。先週創作過程を見せていただいた森さんの『Farben』と併せて「ホントに大変そう!」とは思いましたが、彼らなら魅せてくれる筈、その確信に揺らぎはありません。そして、この2作、同じ「疾走」でも、その趣きやニュアンスなどを全く異にしていますから、楽しみで仕方ない訳です。

最後、金森さんからは走る姿勢やら、リフトの具合やら、ストップした際の頭の位置(向き)やら、主に英語で次々細かいチェックが入っていきました。動きの質がブラッシュアップされ、まだ見ぬ6割~7割が加わった「作品」は物凄いことになりそうです。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC_1471-300x169.jpg です

リハーサルの後、金森さんと森さんの囲み取材が行われました。畢竟、質問は活動継続に絡むものが多くなりがちでしたが、金森さんは「作品を発表する際には、先を見据えようとするのではなしに、常にこれが最後の作品になってしまうかもしれないと思っている」など、特段それを誇大視することなく、作り手普遍の思いを語ることで応じているのが印象的でした。

そして自身の新作3つそれぞれについて、『クロノスカイロス1』は消えゆく時間、『夏の名残のバラ』は齢を重ねて、老いと向き合う舞踊家、『FratresII』は自己と向き合い、どれだけ闘い続けるかがテーマであると紹介してくれたうえで、『クロノスカイロス1』は個々の舞踊家による振付を基にNoismらしい集団性の表現を目指したものであると語り、また、『夏の名残のバラ』に関しては、井関さんが「新潟の舞踊家」として15年間積み重ねてきた踊りを観る醍醐味を味わって欲しいとの思いに力を込めました。

また、今回招聘した森さんに関しては、同世代のライバルとしながら、「凄くエモーショナル。音楽が持つエモーションが森さんのなかで増幅されていく。彼の良さとして。端的に言えば金森穣とは違う。その違いを感じて欲しい」と語りました。

8年振りにゲスト振付家を招き、今までにない映像の使い方をしている等々、これまで観たことのないNoismが見られる、「Noism第二章」にふさわしい新作公演として、クリエイションも最終盤に差し掛かっている様子が和やかなうちに語られました。

新潟公演、埼玉公演ともにチケット好評発売中。また、新潟公演中日12月14日(土)の終演後にはサポーターズの交流会も開催致します。そちらもふるってご参加ください。

(shin)

メディア向け公開リハ(DAY 3)は『Mirroring Memories』から

「15周年記念公演」の初日を8日後に控えた2019年7月11日(木)、薄曇りでやや風の強い午後、りゅーとぴあ・劇場を会場とするメディア向け公開リハーサル(DAY 3)および金森さんの囲み取材に出掛けてきました。

ここ数日、活動継続を巡るメディア露出が続くなかとあって、マスコミ関係者もいつになく大勢参加していました。

私はと言えば、運よく、一連の公開リハ3日間「皆勤」でしたので、「今日は何を見せてもらえるのだろう?」と少し余裕も感じていたのですが、スタッフの「『Mirroring Memories-それは尊き光のごとく』の一部をご覧いただきます」の声に、「3日間とも趣向が違うんだ」と思いながら、劇場への扉を通ると、すぐに舞台上でアップを続ける舞踊家たちの姿が目に飛び込んできて、いきなり、気分は上がりまくりでした。

この日は、導入部とエンディングを除き、「黒衣」に纏わる「黒い印象」を持つオムニバス部分を全て通して見せていただきました。本番の照明こそありませんでしたが、あの伝統的なイングランド民謡が流れ出すと、もうそこは「妖術」でも幅を利かす世界かと見まがうほど。でもそれ一色ではなしに、心を締め付け、涙腺を狙い撃ちするかのような場面も挿入されるしで、まさに目も眩むばかりの怒涛の展開。『ホフマン物語』『カルメン』『ASU』『ラ・バヤデール』…。抗うことなく、呑み込まれてしまうのが得策です。贅沢に感情を揺さぶられ続けることでしょう。

「OK, guys! Much better! Much better in every scene….(どの場面も随分よくなった)」金森さんの言葉が聞こえて、公開リハは終了。ついで、ホワイエでの囲み取材がもたれました。

いつも以上に、この日のマスコミ各社には色々尋ねてみようという思いがあったようでした。見たばかりの『Mirroring …』が比較的言語化しやすい作品に映ったことで、敢えてこの時期にぶつけてきたのかとの問いに、金森さん、「一年も前から会場(劇場)を押さえて準備してきているので、今のこの状況はわかる筈もなかった。文化的に価値のあるものをやるのであって、説得のためにやるのではない」とキッパリ。

『Mirroring…』の構成順に「上野の森バレエホリデイ」のときと異同がある点に関しては、ラストのワーグナー『夢』の前に井関さんのソロ(『痛み』)を追加したことで、そのままの順序とはいかず、一箇所シャッフルすることになったものとのこと。金森さんは今回の『Mirroring…』を「改訂版再演」とも「劇場版は初演」とも言っていましたから、上野でご覧になられている方も必見かと。

以下に、金森さんが質問に答えるかたちで語ったことを少し紹介してみます。

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『Mirroring …』、黒衣と鏡が印象的な作品。黒衣は場面毎に多義的であるが、総じて抗いようのない力、宇宙における「ダークマター」的な存在の象徴。一方の鏡、そのメタファー(隠喩)。各パートが乱反射し合って、記憶を構成する。その時間軸の体験を通して、「ああ、Noismだね」と理解されるものがあるとしたら嬉しい。

「15周年記念」という思いが強いのは、『Fratres I』の方。群舞であって、国籍も異なる皆でともに祈るように踊る。今の新潟で、今の現実は振り払おうとしてもできることではない。いつも以上に気合が入っているところもあるし、今まで通りに信じていること、踊りにしかできない表現を真摯に届けようという思いもある。

20世紀が「舞踊の世紀」(モーリス・ベジャール)なら、21世紀は「身体の世紀」。人間がもつ身体とは何かが問われる。頭で作られた国籍や性差などにどう向き合っていくか。

市民有志による「要望書」提出の動きには本当に感謝しかない。あらゆる対策を練らねばならない。この状況、ただひとり舞踊事業の問題にとどまるものではなく、自治体(新潟市)がりゅーとぴあ及び劇場文化政策をどう捉えているかが問われている。等々…。

*** *** *** ***

幕があがるまで、あと8日。今は幸福な「おあずけ」状態を一瞬一瞬ドキドキしながら過ごすことと致します。皆さま、劇場でお会いしましょう。

(shin)

Noism2定期公演vol.10公開リハーサル&囲み取材に行ってきました♪

つい先日、感動の幕を下ろしたばかりのNoism1の公演から僅か3週間弱で始まるNoism2の定期公演vol.10。

3日後に初日を控えた2019年3月12日(火)15時半、公開されたリハーサルとそれに続く囲み取材の模様をお伝えします。

この日、見せて貰ったのは、ゲスト振付家の平原慎太郎さんの手になる新作『BOW!!!』、その導入部分の一部(15分強)。約5~6分のプロローグに続くというその場面は、「私の皮膚…、つややかな皮膚…、その下の肉…」と、内容とは不釣り合いなアニメ声が延々語るなか、上手前方、門山楓さんが踊りだすところから始まりました。中央奥には立てて置かれた長い卓、その陰から鈴木夢生さんが奇しく、そして妖しく顔を覗かせています。

唯一の男性メンバー、カナール・ミラン・ハジメさんを含め、全員が黒い衣裳をまとい、裸足。舞台も黒で、照明は仄暗く、不穏な雰囲気がこれでもかと漂ってきます。

平原さん×Noism2と言えば、即座に、2017年の『よるのち』に魅了された記憶が蘇るというもの。「洋館」(新潟県政記念館)を舞台に、全員うら若き女性メンバーだけで踊られたゴシックロマンスを思わせるそれは、本人たちが充分に意識しているとは言い難い滲み出るかのような未成熟なエロティシズムを、ある意味、確信犯的に撒き散らす野心作でした。

昨夏の初めからノート(プロット)の下拵えを開始し、11月末から制作にとりかかったという今回の新作。この日、その全体像を一「望」することはできませんでしたが、フォーク、ナイフ、皿、ワインボトル、卓、そして灯りといった小道具、不吉に耳に響く哄笑などによって想起させられたのは、ある種のカニバリスム。グリーナウェイ×ナイマン『コックと泥棒、その妻と愛人』、或いはシーゲル×イーストウッド『白い肌の異常な夜』のような張り詰めたおどろおどろしさ、いかがわしさ、或いは、禍々しさ。メンバーの瑞々しい若さと完全にミスマッチなところに妙にそそられます。
更には、リハを止めて、音楽の指示を出す平原さんの口からは、ここはロシア、ここではドイツ、更には「オスマントルコのイメージなんだ」とぽんぽん国名が飛び出してくるので、猥雑で混沌とした雰囲気は弥が上にも色濃くなっていきました。まさに平原さんの独壇場かもしれません。今作もまた「茫」然と見詰めることになるのでしょう。待ち遠しい。早く全「貌」が観たいところです。

囲み取材は16時からでした。
続けて、そこでのやりとりのなかからご紹介しましょう。
まずは、新作『BOW!!!』についてです。
「表現者・ダンサーとしての爆発力を見たいと思う。みんな、僕(平原さん)がやるような表現は経験がない筈。バイタリティで昇華していく、そのプロセスが作品となる」(平原さん)

「作品には明確なストーリーはない。例えば、キュビズムのように、様々な側面があり、多角的。『忘』、『暴』、『紡』、『某』、『棒』など、タイトルの『BOW!!!』(ボウ)に纏わる様々なイメージを紡いでいく。散りばめられたそれらを見つけに来るだけでも楽しい筈。溢れる若さには見応えがある」(平原さん)

「(いつもと違って)とまどう部分もあったかとは思うが、いろんなことを自分の動きにして晒すことができるか。これを通して何が起こるか。変化と覚悟に期待している」(山田勇気さん)

「前回の『よるのち』のときのNoism2とはちがい、定期公演も初めてなら、振付家とのクリエイションも初めてと、まっさらな状態。わからないものもどう成立させていくか。覚悟を決めて、晒していくことを要求している」(平原さん)

併せて踊られる「金森穣振付Noismレパートリー」(『solo for 2』及び『Training Piece』からの抜粋)について山田さんは、
「難易度は高いが、全てやってみて、取捨選択した。同じドリルをやってどれだけいけるか。最初は『踊れる』と思っても、高いハードルであることがわかるところから始まる。鍛錬と心の中の自由のバランスをどう踊るか」と。

外から見た「Noism」の存在について問われた平原さん、
「いい意味で異質。しかしこの形こそがまとも。国内で唯一、プロを養成し、プロが踊るカンパニーも、世界基準で見れば、ごく普通。芸術文化の水準を上げている存在」と。
そして研修生カンパニーNoism2があることも「奥行きですもんね」と平原さん。その言葉をもって囲み取材は締め括られました。

研修生カンパニーNoism2を観ることには、Noism1を観る時とは異なる楽しみがあります。なかでも最たるものは、公演期間中にグングン伸びていく若い表現力を目撃する楽しみです。5名の新顔も眩しい定期公演vol.10。きっと熱いステージが繰り広げられることでしょう。チケットは絶賛発売中。皆さんそれぞれに、「推し」の若手舞踊家の卵を見つけに来てください。

Noism2定期公演vol.10・新作『BOW!!!』(演出振付:平原慎太郎)と金森穣振付Noismレパートリー(演出:山田勇気)、公演は3月15日(金)~17日(日)で、全5公演。(@新潟市りゅーとぴあ・スタジオB)
出演はNoism2:門山楓、岩城美桜、森加奈、森川真央、鈴木夢生、池田穂乃香、カナール・ミラン・ハジメ、杉野可林、長澤マリーヤ、橋本礼美。
乞うご期待!
(shin)

『R.O.O.M.』メディア向け 公開リハーサルを観てきました!

寒いながらも青空が見える、1月18日(金)、新潟市内に雪は全くありません。
先日の会員向け公開リハーサルに続き、メディア向け公開リハーサルを観てきました。

会場のスタジオBにはテレビカメラが3台。
新聞、雑誌等の記者さんたちもたくさん来ていました。
予定ではリハ公開は30分でしたが、なんと、通しで見せてくれるとのこと!
ちなみに今回は、『R.O.O.M.』45分、休憩15分、『鏡の中の鏡』20分の、
80分の公演となります。
舞台装置の箱(ROOM)は、天井や脇がふさがれ、先日の会員リハの時より、
かなり整いましたが、照明はまだです。

「始めましょう」という金森さんの声で、リハーサル開始!
会員リハの時より、ますます磨きがかかっています。

1番目の男性パートは、シャンユーさん以外は新メンバー。
2番目の女性パートは、よく見知っているメンバーなので、
『NINA』やロミジュリ、バヤデール、他、
彼女たちの出演場面がチラチラ脳裏をかすめます。

3番目は井関さんとジョフォアさんのデュエット。井関さんは無重力状態の軟体動物のようです。映画「2001年宇宙の旅」のようなイメージを持ちました。

しかし、やや平静でいられたのはここまで。
このあと次々と繰り広げられる、目まぐるしく、見たこともない凄い動きの連続シーンに、
目も心も奪われて、放心、陶然・・・
あっと気づいて、あと9つのシーンがあるのだと思い、なんとかメモを取ったのですが、
メモなんか取りたくなかったですね~
洪水のような身体の動きの量に、ただただ翻弄されていたかったです。
メモを取ったと言っても、ここで内容を書くようなことはしませんので、ご安心くださいね~
本番をぜひぜひお楽しみに。どうぞご期待ください!
素晴らしいですよ~!!

井関さんのポワント姿、よかった~♪
女性陣はポワントと靴下の両方で魅せますよ~
池ヶ谷さん、キレキレでした~
ロミジュリとはまた違った情報量の多さと、
ボレロのように盛り上がっていくノイズ音楽に、
観る者はノックアウトされることでしょう。

驚きの公開リハーサルの後は、金森さん囲み取材です。
金森さん自身、通しを見たのは、なんと、今日が初めてだそうで、
手応えを感じているようでした♪

以下に金森さんが話されたなかから少しご紹介しますと、…
・箱(ROOM)という制約された空間の中で創作し、新しい動きを実験、発見したい。
・『SHIKAKU』に通底するような実験的作品。初心に帰りたい。
  『NINA』に代わるような普遍的作品を創りたい。
・『R.O.O.M.』は物語性は全くなく、理数的、科学的に人間を捉えた。
・新潟市に限らず、財政難はどこも同じ。何が必要なのか、選択が問われている。
・新市長とはまだお会いしていない。お話ししたいと思っている。
・舞台装置は箱型だが、客席はフラットではなく雛段になる。
・公演後半の『鏡の中の鏡』は、箱の中で私と佐和子が踊る。
 … というようなお話でした。

プレスリリースもご覧ください。

https://noism.jp/wp2015/wp-content/uploads/e695f0f8bc62ae8aaeb8782277825ffe.pdf

本公演を、どうぞお見逃しなく!

新潟公演は、最初の3日間はチケット完売ですが、
1/31(木)~2/16(土)お席に余裕があります。
チケット情報:https://noism.jp/tks_room/

 お誘い合わせて、ぜひ何度もご覧くださいね!
(fullmoon)

『ROMEO & JULIETS』メディア向け公開リハ、目の当たりにしたのは溢れる野心

前夜、蹴球の世界最大イベントにおいて、
我が国代表が、フェアプレーを巡るレギュレーションで予選を勝ち上がったことに対し、
「そもそも蹴球におけるフェアプレーとは何か」を問う姿を装いつつ、
ありとあらゆる場所から湧き上がる毀誉褒貶に接して、
正直、少なからず、困惑を覚えながらも、
しかし同時に、この時代にあってなお「侍」と称される者たちが
少なくとももう一度「世界を驚かす」機会を手にし得たことには
安堵と喜びを感じるという、複雑な心持ちで迎えた2018年6月29日(金)午後3時、
りゅーとぴあ・劇場の舞台で、
Noism1×SPAC劇的舞踊Vol.4『ROMEO & JULIETS』のメディア向け公開リハーサルを見せて貰い、
引き続き、金森さんの囲み取材にも参加してきました。

有名な「4大悲劇」もあるお陰で、物騒にも「ひとごろしいろいろ」として記憶される、
1564年(生年)から1616年(没年)を生きたウィリアム・シェイクスピア。
世界的に知らぬ人のない彼の400年以上前の戯曲が、
彼の生地ストラトフォード・アポン・エイボン(エイボン川沿いのストラトフォード)ならぬ、信濃川沿いのりゅーとぴあから、
今、金森さん+Noism1+SPACによって新たな息吹を吹き込まれ、
全世界に向けて発信されようとしています。

この日、メディアに公開されたのは、
先日、活動支援会員およびサポーターズにも公開されたのと同じ第一幕。
もとの戯曲で言えば、「第二幕・第二場」として知られる、
有名な「バルコニー」の場面までとなります。
(もっとも、今回の翻訳テキストをものした河合祥一郎氏によれば、
緞帳などなかった時代のシェイクスピアその人は
幕場割りを設けたりしてはいなかったそうで、
そのため、舞台の流れは、変にリアリズムを追求することなく、もっと自由に
クロスオーバーしたり、ワープしたりなどしながら移り変わっていくのが常で、
近代劇に慣れた私たちの目には「大胆」に映るものであっただろうそうですが…。
*角川文庫「新訳・ロミオとジュリエット」の訳者あとがきを参照されたい。)

この日は、照明も入り、衣裳あり、装置や小道具ありで見せていただきました。
なにより、衣裳の別が明らかにするのは、モンタギューとキャピュレットの区別ではなく、
更に重要な「別の関係」の区別。
恐らく、一目で理解、納得できることでしょう。
閉鎖的な舞台設定。監視とそれに続く威嚇、或いは鎮圧。「大公」の存在。
音楽、身体のみならず、押し寄せる言葉、文字、映像…。
今回のリハを見ていると、
前回、ブログを書いたときにも既に頭にあったのですが、
ミシェル・フーコーが別の著作『監獄の誕生』で取り上げたベンサム
「一望監視装置(パノプティコン)」の印象がより強くなったことも書き記しておきます。

「古典だからと古典的にやることには違和感を感じる」(金森さん)
「現代に置き換えた表現の方が、私たちにはより切実で、創る意義がある。
新しいロミオとジュリエットを表現していくのが、私たちの野心であり、チャレンジ。
演劇であるのか、舞踊であるのか」とも語っておられました。

『ロミオとジュリエット』と精神病棟、その2者に関して、
金森さんは、「現代の監視社会(=病院=精神病棟)の方が先にくる。
そこの患者たちが演じている」というヒントを与えてくれたうえで、
「現代の新しい価値観、新しい感情の在り様、人間や社会の複雑さや多様性など、
難しさに向き合おうとしている」のだとも。
また、今回、手話を作中に取り入れていることに関しては、
「言語表現と身体表現の橋渡しをする身体動作とみている」と説明。

「驚いているあいだにことが過ぎてしまう。3回は観た方がいい」(金森さん)

前回の公開リハを見て書いた以上に「分厚い」印象です。
舞踊というだけでは言い尽くせないその「厚み」は、
更に「総合芸術」の名に相応しい舞台になっていると言い切りましょう。
身体よりも、物語なのか。しかし、身体あっての物語でもある。
いずれにしましても、『NINA』とは対極に位置する創作という印象が濃厚で、
まず、驚きをもって凝視する以外に術はなさそうです。

プロコフィエフの音楽と
七五調という日本語の特性を踏まえて、歌うように語る河合祥一郎訳のテキスト
の相性について、金森さん、
「単なるアイディアではなく、インスピレーション(霊感)で、全て合うと気付いた」

そして最大の謎である「ジュリエットたち」という複数形については、
「最初はジュリエットはひとりでと考えていた。
しかし、未だかつてないような形でやろうと思った。
そして、役者と舞踊家半々をつかって創るとき、
出てない人がいない、『(カンパニーの)みんなが生きる』形を考えたら、複数になった。
もし、Noismが20人だったら、また違ったものになっていただろう」と、そのあたりの事情の一端を明かしてくれました。

発話しないジュリエットという制約のもとで描き出されるロミオとの「デュエット」。
そのリリシズムは、今風に言えば、「ジュリエット(たち)、半端ないって!
そんなんできひんやん、普通!」って感じです。(笑)

極めて、今日的な問題意識を取り込むことで、
古典作品を相手に「攻めている」感も強く漂うのですが、
根源的でオーソドックスな情感で貫かれている点で、
意外に、古典としてみても破綻がない感じがしたことも記しておきましょう。
しかし、このあと、まだ見ぬ第二幕で、
金森さんはどのような着地点を見出そうというのでしょうか。
まさに真の野心作!
一日も早くその全貌を目の当たりにしたいところなのですが、
今は、日一日と近付いてくる
全く新しい「ロミジュリ(複)」世界初演の日まで、
身中募る一方の興奮と向き合いながら、
あれこれ想像しては、楽しんで過ごしていこうと思っています。

なお、この日、Noismスタッフから、
『ロミオとジュリエットたち』特設ページがオープンしたとの告知がありました。
初めて明示されるキャスト表など興味深い内容です。
どうぞそちらもご覧いただき、是非とも「3回」劇場に足を運んで頂けたらと思います。(笑)   (shin)

Noism2定期公演vol.9メディア向け公開リハ&囲み取材に参加してきました

ちょうど一週間前に新潟を襲った大変な雪も漸く落ち着きを見せ、
今度は一週間後に新しい年の「Noism初め」となるべきNoism2定期公演vol.9を控えた
2018年1月19日(金)の午後、
りゅーとぴあ・スタジオBを会場として開かれた
同公演のメディア向け公開リハーサルと囲み取材に参加してきました。

公開リハは、山田勇気さん演出による金森さん振付Noismレパートリー、
そして島地保武さん演出振付の新作『私を泣かせてください』の順に、
予定された時間を超過して観せて貰いました。

研修生カンパニーであるNoism2にとってのリベラルアーツ(一般教養)ともみなされ得る
過去の作品群からの抜粋を踊る演目と、
人(4)と魔女(4)、そしてその中間の存在(1)というキャラクター設定のもと、
舞踊家それぞれの「下の名前」がひらがな表記された人物として
ある種の物語を踊る演目。

ふたつはまったく逆向きのベクトルをもつ2作品と言えるでしょう。
山田さんが「今回の公演は面白いと思いますよ」と満面の笑みを浮かべて語るのも頷けます。
まあ、いつだって面白いのですけど…。(笑)

ここでは主に、囲み取材でのやりとりから、その一部をご紹介しようと思います。
まず、山田さん演出のレパートリーに関してですが、
金森さんからは、チョイスも、演出も、照明もすべて任されたそうで、
金森さんは、ある意味「モノ」として観てくれている様子。
山田さんが抜粋したのは、金森さん振付の6作品からの7シーンで、
気になる、その6作品とは、順不同で、
『SHIKAKU』『PLAY 2 PLAY −干渉する次元』
『Nameless Hands~人形の家』『ZONE~陽炎 稲妻 水の月』
『Nameless Poison~黒衣の僧』『ASU~不可視への献身』だそうです。

チョイスに際しては、特に深い意図があったという訳ではなく、
女性しかいないことと、音楽のまとまりを考慮しての選択だったとのことですが、
作品性というよりは、徐々に踊りの根源的な部分、神秘的な部分が抽出されてきて、
現在は、今のNoism2でしか出来ないものになっていると感じるそうです。
(振付家が)自分でチョイスする場合、客観視し切れないことが多く、
過度の思い入れがない方がドライに構成できて具合がよいこともあり、
それは自分で創っているときにも大切なことに思うとのことでした。

次に、島地さんの新作『私を泣かせてください』に関してです。
昨年末、金森さんに「通し」を観てもらった際は53分の長尺だったところ、
「30分にしてくれ」と言われ、今、「37分」になっているとのことで、
まだ削るかもしれないが、削らなくても良いものにしたいというせめぎあいもある。
通常、様々に受けてきた影響を自分で崩したいという思いで創作しているのだが、
そういう考え自体が固定観念かもしれず、
「影響を受けていることはしょうがない。
これもOK、あれもOK」と肯定するという、
普段やりたくないと思っていることをやった、とのお話でした。

それぞれに自由を求めて、人と魔女が敵対するという設定は、
図らずも、平原慎太郎さん演出振付の前作『よるのち』(少女と吸血鬼)とも似ていますし、
そちらをご覧になられた方は比べてみるという楽しみもありそうです。
いずれにしましても、快作が見られそうなこと請け合いです。
あと、島地さんが新潟にいると聴きたくなるというヘンデルのカチッとした音楽に加えて、
途中に挿入されるご自身が歌う歌も、要チェックということで。(笑)

また、この間のNoism2メンバーに関して、
山田さんが「なんだかんだ言って、みんな良くなる。
それを見る嬉しさがある」、
島地さんも「うまくなっている。本番、どうなるか見たい。
取り組んでいる姿はとても綺麗」と語るのを聞くに至っては、
一週間後への期待が否応なしに募っていきました。

☆★ ☆★ ☆★ ☆★ ☆
今回のNoism2定期公演vol.9ですが、
3日間、全4回公演のうち、
1/26(金)と27(土)は前売り完売(当日売りは現在未定とのこと)ながら、
28(日)の2公演はまだ少し残席があるそうです。
もうチケットはゲットされましたか。
是非、一緒に若き舞踊家の「今」を目撃しに行きましょう。
(shin)

『NINA -物質化する生け贄』メディア向け公開リハーサル&囲み取材に行ってきました♪

今週火曜日の雪は殆ど融けてなくなったものの、
新潟公演前日まで並ぶ「雪だるまマーク」に備える風情の新潟市は
2017年12月8日、金曜日。
「実はまだ続いてるんですけど」(金森さん)というNIDF2017への参加作品
『NINA -物質化する生け贄』のメディア向け公開リハーサルへ行って参りました。

 

シンボルのクリスマスツリーのほか、幾つものリースがこの季節に花を添える
午後3時のりゅーとぴあ・劇場。
「じゃあいきましょうか」という金森さんの声がかかると、
それまで舞台上でアップをしていた舞踊家たちが両袖に消え、
客電が落ち、改めて緞帳が上がると、
温かみのある照明のもと、
5人の女性舞踊家それぞれの背後に5人の男性舞踊家がつき、
5組のペアを組みながら、「あの足運び」で前に出てくるところから、
作品の後半部分が踊られました。

女性舞踊家が纏う、廣川玉枝さんによって一新された今回の衣裳。
「第二の皮膚」たる衣裳の意匠も、
目を凝らして逐一じっくりご覧になることをお勧めします。

♪トンタ、トンタ、トタトタトタトタ
トンタ、トンタ、トタトタトタトタ…♪
トン・タッ・アンさんによる音楽も様々な場面を提出しながら、
それに隙なくシンクロする舞踊家の身体を一層際立たせていきます。

照明が変わり、衣裳や曲調も変わるなか、
終始、舞台に漲る張り詰める緊迫感だけは変わりません…。
30分間のリハーサルを身を乗り出して食い入るように眺めていたことは
言うまでもありません。

金森さんの「はいはい、OK。じゃあ公開はここまでになります」で客電が入り、
この日の公開リハーサルは終わりました。
…一言、酔いしれました。

   ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

続いて、ホワイエにて金森さんの囲み取材(15分間)です。
そこでのやりとりから少しご紹介いたします。
まず、今の出来栄えについて問われると、
「本音と建前とどちらがいい?」と最初はおどけて始めた金森さん。
しかし、答えの本質は常に大マジ。
「舞台芸術は一期一会。よくできましたと点がつくものじゃない。キリがないもの。」
「彼らが努力してきたのを見ているので、ある程度のところまできたと言いたい」と言ったのち、
自ら「や~さしい~」とツッコミを入れて、笑いをとったりもしましたけれど、
更に続けて、「頑張っているのは事実。しかし、客席から頑張っているように見えるのではなく、
エネルギーが空間に解き放たれ、客席を魅了する域までいく必要がある。
震えるほどのエネルギーを感じることができる、強度のある作品。
それが『NINA』なのだから」と。

また、廣川さんの衣裳についての質問には、
廣川さんが東アジアツアーはほぼ皆勤で同行され、
その都度、色味の変化を続けてくれたこと、
skinシリーズにはインスピレーションを感じていたので、いつか使いたいと思っていて、
今回、『NINA』をやることになったとき、
以前のレオタードから変えてみたいということで採用した、との答えが返ってきました。

『NINA』という作品そのものについては、
「30才のときの作品で、客観的に見て、演出の面では拙いな、と。
しかし、強度のある大切な作品だということも再認識した。
今回、彼らにアジャストする意味で、照明を少しいじっているし、
変えようと思えばいくらでも変えられるのだが、
『NINA』という作品を汚そうとは思っていない」
そして、「『NINA』はこれまで何度も踊り継がれてきた作品であるため、
舞踊家にとっては自由を感じにくい側面もあると思うが、
そもそも舞踊には広大な自由が拡がっているもの。
舞踊家は内側にエネルギーを宿しているが、
彼ら自身が自らを拘束してしまうのではなく、
踊ることの自由を感じることができるようであって欲しい。
そのためには頑張るしかないんだけど」という言葉のなかに、
舞踊家を率い、否、舞踊家をして現状に満足することなく、
絶えず更なる高みを追求せしめる揺るぎない姿勢の一端を垣間見る思いがしました。
また同時に、舞踊家にとって「『NINA』の場合、客席が埋まって、
そちら側から発せられるエネルギーも大切。
まだ観たことがないなら、一回くらいはこんな変なもの、観に来たらどうですかと
言いたい」という思いも口にされました。

最後に、井関さんのソロ『The Dream of the Swan』についての質問が出され、
「39才、今の井関佐和子を観に来て欲しい。
少し悲しい作品ではあるが、彼女の今の生き様を観て欲しい」
という金森さんの言葉をもって囲み取材は締め括られました。

その後、Noismスタッフの方に伺ったところによると、
『NINA -物質化する生け贄』は時間にして60分で、
新潟公演では、その前に、
井関さんのソロ『The Dream of the Swan』(15分)が置かれるのですが、
そのふたつは休憩なしで続けて踊られるのだそうです。
だとすると、現段階では井関さんのソロがあるとされていない埼玉公演とは、
かなり趣が異なるものになるかもしれず、
是非ともNoismのホーム・りゅーとぴあでの鑑賞をお勧めしたい所以です。

7,6,5,4,3,2,1…
「照明など、色々大変だった」(金森さん)という東アジアツアーを経て、
いよいよ『NINA -物質化される生け贄』新潟公演にむけての
ファイナル・カウントダウンが始まったという実感があります。
今のNoism1が名作『NINA』とどう対峙し、客席に何を放つのか、
しかと見届けたいと思います。
う~む、早く観たいぞ。
(shin)