「ランチのNoism」#3:ジョフォア・ポプラヴスキーさんの巻

メール取材日:2020/6/18(Thur.)

さてさて、ご好評いただいております(って、完全に言い切ってしまってますが、)「ランチのNoism」の第3回は、つい先日、Noism1メンバーとしての最後の舞台を汗だくで踊り終えたジョフォアさんのご登場です。名残惜しい気持ちは募りますが、それでも、こうして間に合って良かった♪

持ち前の明るさと剽軽さが感じられる回となりました。英語の質問シートを用いてやりとりをさせていただき、それを shin が日本語に訳したものでお届け致します。あと、おしまいには、サポーターズの皆さまへのメッセージもありますから、そちらも是非、お楽しみにってことで。では参りましょう。

ふぁいてぃん・ぴーす・あん・おけんろぉぉぉ…♪

りゅーとぴあ・スタジオBでの稽古に余念のない外国人舞踊家に昼がきたぁ!

いきなり、「らしさ」炸裂の
ジョフォアさん!

1 今日のランチを簡単に説明してください。

 ジョフォアさん「サラダとゆで卵2つ、そして納豆1パックのランチです」

両手に握られていた物体はゆで卵だったんですねぇ

 *「外国人は納豆が苦手」はもう古いのでしょうか。まあ、人によるんですよね。日本で見たって、関西人でも納豆が大好きって人、多いですからねぇ。

2 誰が作りましたか。(または、 主にどこで買ってくるのですか。)

 ジョフォアさん「前のシーズンではランチは自分で作っていたのですが、イトーヨーカ堂の近くに住んでいることもあり、今年に入ってからは、前日の晩に翌日分を買うようになりました」

 *故郷を離れた遠い国で、日々の稽古や公演に全力を注ぐ毎日な訳ですから、無理もありませんよね。イトーヨーカ堂、有り難いですね。

3 ランチでいつも重視しているのはどんなことですか。

 ジョフォアさん「大事にしているのは、筋肉の回復にとって充分で、ランチ後ずっと空腹を感じないで済むくらいのたんぱく質を摂るということです。また、量も減らしていて、より安くて、より美味しいことも重要です」(笑)

 *な~るほど。さすが舞踊家、やはり体のことを考えて食べてるんですね。それと、お値段の点でも、賢いお買い物を心掛けているんですねぇ。パッケージに貼られたシール、大事です。思いのほか、庶民的でホッとしました。(笑)

4 「これだけは外せない」というこだわりの品はありますか。

 ジョフォアさん「セブンイレブンのゆで卵です。とても塩味が利いているんです!!」

 *…って、驚きじゃないですか。セブンイレブンの食べたことがないのでわからないのですが、「塩味が利いている」んですか。これについてはご存知の方、教えて欲しいですぅ。

「塩味の利いたゆで卵」発言に
目が点になりますけれど…
殻ごと食べるから塩味が強い
って訳でもありませんよね。
…ってか、殻は食べないし!(笑)

5 毎日、ランチで食べるものは大体決まっている方ですか。それとも毎日変えようと考える方ですか。

 ジョフォアさん「サラダ以外はよく似たものを食べています」

 *もしかしたら、サラダは貼られた「シール」によっても変わるのかもしれませんね。…なんて言っちゃったら、怒られちゃいますよね、きっと。(汗)

6 公演がある時とない時ではランチの内容を変えますか。

 ジョフォアさん「公演がある日も似たものを食べていますが、普段と異なるのは、一度に詰め込み過ぎてしまわないように、一日中、拡げておいて、食べるようにしていることです」

 *自分の身体に耳を澄ましながら摂る食事、やはり気の使い方は半端ないんですね。

7 いつもどなたと一緒に食べていますか。

 ジョフォアさん「みんなから離れて、上の階にあがって、チャーリーと一緒に食べることが多いです」

8 主にどんなことを話しながら食べていますか。

 ジョフォアさん「一緒には食べるのですが、お互いが食べ終わるのを待って、午後のリハーサルに万全で臨めるように、出来るだけ早く仮眠をとりに行くって感じです。なので、ふたりとも、ランチの間に話すことにはあまり重要性を見出してはいません」

 *おっとぉ、基本的に話したりせず、なんですね。それじゃあ、あくまでもランチは稽古の合間にささっと、って感じですか。舞踊への献身振りが窺える、プロならではのお答えですね。恐れ入りました。m(_ _)m

9 おかずの交換などしたりすることはありますか。

 ジョフォアさん「誰かが枝豆を買って持ってきたような時だけですね。もしも私や彼のおかずに触れることが危険でなければ、私たちは気楽に手を伸ばすかもしれませんけど」

 *画像にある(前日の朝採り)枝豆はチャーリーさんとシェアしたってことですかね。「危険」という語が飛び出すあたり、いかにもユーモラスなジョフォアさんらしいお答えと理解しましたが、まさか、「新型コロナ」関係ってことじゃなくて、ユーモアですよね。「舞踊家のおかずに手を出すな!」って感じですかぁ。(笑)

10 いつもおいしそうなお弁当を作ってくるのは誰ですか。料理上手だと思うメンバーは誰ですか。

 ジョフォアさん「前のシーズンでは、私もチャーリーも毎日、ランチを作っていたのですが、そのときなら、私は、チャーリーが大抵、一番豪華なランチを持ってきていて、他のみんなも「今日彼は何を持ってくるのだろうか」と思っていた、そう言っていたに違いありません。でも、その彼もイトーヨーカ堂で「半額」の商品を見つけるに至り、もはや誰もそういうことは思わなくなりました…」

 *イトーヨーカ堂の(恐らく、夕方以降の)「破壊力」、恐るべしって、感じですかね。でも、食品廃棄が問題となる昨今、お財布に優しい上に、社会問題にも対処できているのですから、言うことはありませんね。そうしたイトーヨーカ堂情報は今後もメンバー間で引き継がれていくものと想像いたします。ジョフォアさん、お忙しいところ、楽しいご回答を有難うございました。

ランチに関するやりとりはここまでですが、冒頭にて触れましたジョフォアさんからのメッセージがございます。次の通りです。

 「サポーターズの皆さまは既にご存知かと思いますが、私はNoismを離れます。私にとって、日本文化と出会い、学べたことは光栄なことであり、素晴らしい機会となりました。私はこれからパートナーのもとに戻ります。それは『幸せな時間』の同義語でもありますが、同時に、私の心はとても重くもあり、こんなに早くカンパニーを離れていくことをとても悲しく感じています」

 「サポーターズの皆さま、私たちの人生をより輝かしいものにしていただき、私たちメンバーと私たちの芸術に対して関心を寄せていただいたことに感謝します。芸術はそれを愛したり、または反対に嫌ったりする人たちがいなければ存在し得ないものです。どうかこれからも関心を持ち続けてください!」

…宮河さん、吉﨑さんと続いた大柄の舞踊家の系譜に連なるジョフォアさん。三者三様ではありながら、前のふたりと同様、その心優しい人柄に加え、今回の取材でも存分に発揮された明るいキャラクターが前面に出ていらっしゃいましたよね。個人的には、昨日、配信された『R.O.O.M.』の公開リハーサルのときの様子やらがとても懐かしく思い起こされます。他にも様々な場面が今も鮮明に浮かんで参ります。

今後は、パートナーのお近くにて、時系列的には「after Noism」となるのでしょうが、「with Noism」たる舞踊を踊り続けてくださることを期待して止みません。ジョフォアさん、ご活躍を確信しております。どうぞお元気で。今回もお相手は shin でした。

(shin)

再始動!「ランチのNoism」#2:山田勇気さんの巻

メール取材日:2020/5/26(Tue.)

全国的に「緊急事態宣言」は解除されたものの、ウイルス感染の第2波、第3波を招かぬよう、所謂「新しい生活様式」を立ち上げるための模索が続く日々にあって、Noismの公演がお預けになるなど、寂しい思いでお過ごしの皆さま。ここに、漸く、前回ご好評を頂いた「ランチのNoism」の第2回をお届けできる運びになりました。直接りゅーとぴあにお伺いしての取材ではありませんが、こうしてご紹介を再開できるようになったことを嬉しく思います。前置きはこのくらいにして、そろそろ始めましょうか。

♫ファイティン・ピース・アン・ロケンロオー…

りゅーとぴあで稽古を重ねる舞踊家の昼ごはん、それが「ランチのNoism」!

今回は山田勇気さんのランチを覗いちゃいましょう。

って訳で、ズンっ。山田さんのお出ましです。

さわやか笑顔の山田さん
右手にこの日のお昼ごはん

1 今日のランチを簡単に説明してください。

 山田さん「フォカッチャサンドイッチです」

豪華なお昼ごはんをアップで!
「しあわせ」がはみ出してますねぇ

 *前回、井関さんが「おいしそう」と言っていたサンドイッチですね。う~ん、豪華で、見るからにおいしそうです。

2 誰が作りましたか。

 山田さん「パートナーの手作りです!」

 *「手作りです」に添えられた「!」が幸福感を存分に伝えてくれますね。こんなの毎日食べてたら、もう完全に、胃袋、捕まれちゃいますよね。羨ましいですぅ。

3 ランチでいつも重視しているのはどんなことですか。

 山田さん「重すぎず、軽すぎず」

 *な~るほど。動くためには大事ですよね、それ。

4 「これだけは外せない」というこだわりの品はありますか。

 山田さん「とくにないです」

 更に、「食のこだわり特になし。好き嫌い特になし。なんでも食べますっ」とのこと。

5 毎日、ランチで食べるものは大体決まっている方ですか。それとも毎日変えようと考える方ですか。

 山田さん「最近は毎日、日替わりフォカッチャサンドです!!」

 *今度は「!」が2つ!それにしても、「日替わり」なんて、ちょっと贅沢すぎません?

笑顔で頬張る山田さん
目が「しあわせ」を物語ってます

6 公演がある時とない時ではランチの内容を変えますか。

 山田さん「公演があるときは、おにぎりが多いです」

 *バタバタしてても簡便に食べられちゃいますもんね、おにぎり。聞けば、山田さん、よく選ぶのは、赤飯や、昆布、それから梅のおにぎりが多いんだとか。ちなみに、お味噌汁は、長ネギ派とのことです。

7 いつもどなたと一緒に食べていますか。

 山田さん「Noism2のリハーサルのときは一人で食べることが多いですが、最近は、Noism1,2合同のリハなので、JoさんとSawaさんの横で」

8 主にどんなことを話しながら食べていますか。

 山田さん「たわいもないこと、などです」

 *おおっとぉ、興味湧いちゃいますねぇ、Noism0的「たわいもないこと」!聞き耳を立てに行っちゃいたいですねぇ。あっ、「耳を立てる」と言っても、「Noismメソッド」ではないですよ。って、さすがにわかってますよね。(笑)

9 おかずの交換などしたりすることはありますか。

 山田さん「ないです」

 *割とキッパリ。でも、それもそうですね。井関さんが前回、(小麦粉の)パンはもう食べないって言ってましたもね。納得。

10 いつもおいしそうなお弁当を作ってくるのは誰ですか。

 山田さんタイロンのヴィーガンお弁当は気になります」

*「ヴィーガン」とは、卵や乳製品も含めて動物性食品を一切口にしない「完全菜食主義者」のこと。おやおや、それは気になりますね。この企画を続けていけば、今後、そのお弁当も拝見できるものと楽しみがまたひとつ増えました。

ってことで、今回の(メール)取材に基づく第2回はここまでです。山田さん、どうも有難うございました。

ところで、先日のインスタLIVEの折りに金森さんが「井関さんと山田さんの新作」に触れていましたよね。楽しみでなりません。このあいだの『夏の名残のバラ』も素敵過ぎましたし、期待は募ります。少し遠のいちゃいましたけれど、必ず観られるものと信じて待ちます。なにしろ、「Noismは裏切らない!」ですから。あっ、なんか、番組、違っちゃいました?でも、いいですよね、ホントのことですから。

では、「ランチのNoism」、今回はこのあたりで。どうもご馳走様でした。

(shin)

新企画!「ランチのNoism」#1:金森穣さん&井関佐和子さんの巻

取材日:2020/02/15(Sat.)

チョコレートを巡る賑わいも前日で一区切りを迎えた2月折り返しの土曜日、ランチを拝見しながら、お話を伺うという某テレビ局の人気番組に想を得た取材をしようと、fullmoonさんと一緒にりゅーとぴあに向かいました。

聞けば、Noismのお昼休みは13:30から14:30までなんだとか。そこで、13:15にNoismスタッフの堀川さんを訪ね、『春の祭典』の音楽が漏れてくるスタジオBのホワイエに移動して、そのときを待ちました。

誰にでも昼はくる。時計は13:30。りゅーとぴあ・スタジオBに昼がきた。

「ランチのNoism」第1回。ホワイエに出て来た金森さんと井関さんは勿論、稽古着姿。衝立を兼ねたホワイトボードのこちら側で、まず、手提げから取り出されたお弁当のタッパーを撮影させて貰って、ランチ取材開始です。

ランチはホワイエ内、衝立のこちら側で寛いで

*まずは、毎回、全員に尋ねる(予定の)「10の質問」から。

「10の質問」は共通質問シート

1 今日のランチを簡単に説明してください。

 井関さん「今日のランチ…、サラダ。『サラメシ』。いつもお昼は基本、サラダです」

 金森さん「そうだね。でも、グルテンフリーして…いつからだ?あなたが急にサラダを始めたのは…?」

 井関さん「1年半とか、2年とか」

 金森さん「でも、なんでサラダにしたの? 俺はただ出されたもの食ってるだけだから。理由、俺も知りたいんだけど」

 井関さん「Noism始まった当初はコンビニのパスタとか。そこからおにぎりに変わって。2個食べてたのが1個になって。でも、コンビニのおにぎりって1個だとお腹が張らないですよ。なのに、炭水化物を摂ると眠くなるんです。で、とりあえずタンパク質いっぱい摂りたいからサラダにした」

 金森さん「俺が踊り始めたから。今より5kgくらい太かったからね、当時は」

人参(オーガニック)・トマトは井関さんの実家・高知産
新潟のプチヴェールも最近のお気に入りなんだとか

2 作るのに時間はどれくらいかかりますか。

 井関さん「全然かからないですよ。朝、朝食の準備と一緒に」

 *なんでも、朝食は主に米粉パンとコーンフレークに珈琲で、お昼のお弁当には前日の余り物(この日は里芋)も入れて来るんだそう。

3 ランチでいつも重視しているのはどんなことですか。

 井関さん「お腹がいっぱいになって、重くなくって、タンパク質がメイン。1にタンパク質、2にタンパク質、3、4がなくて、(アマニ)オイル。それがしたくてサラダにしたので。凄いボリューミーですよ、おにぎりのときよりも」

 金森さん「炭水化物は血糖値がすぐ上がるけど、すぐ下がるので良くない、とこの人(井関さん)が言ってました」

 井関さん「正解!」

「写真、撮っておいた方がいい。重要」と井関さん
必殺アマニオイル、ハーブソルトほか
アマニオイルとハーブソルトをかけ、
タッパーを揺さぶって馴染ませてから、いただきます

4 ランチで「これだけは外せない」というものはありますか。

 井関さん「アマニオイルと、何でもいいけどタンパク質」

 金森さん「俺は味噌汁」

 井関さん「穣さんは味噌汁だよね。絶対に欠かせない。サラダなのに味噌汁」

 *ちなみに、味噌汁はコンビニで買うことも多いそうですが、この日はこれも前日の残りの豚汁。それを金森さんは美味しそうに頬張っていました。

左上が金森さんのお味噌汁
お弁当ふたつは「まったく同じもの」(井関さん)

5 サラダの内容は大体同じなのでしょうか。

 金森さん「ローテーションだね。今日はソーセージでしょ。卵が入っていたり、いなかったりとか、ベースがサラダなだけで色々変わるよ」

 井関さん「…チキンの日とか、ベーコンエッグみたいなのが載ってたりとか、上の具が変わりますね」

6 公演があるときのお昼は変わったりしますか。

 井関さん「公演があるときは、一週間前からサラダは止めようと。お腹が冷えるんで」

 金森さん「足りなくなる。劇場入りしたくらいからは炭水化物を摂るようにしてる」

「7 いつもどなたと一緒に食べていますか」は割愛しようとしたところ、

 井関さん「訊いてみてください」

 金森さん「ひとりです。『お互い、ひとりです』っていうのどう? ひとりとひとりが一緒に食べているだけで」(一同爆笑)

笑顔で応じてくれる金森さん、井関さん

8 主にどんなことを話していたりするんですか。

 金森さん・井関さん「何しゃべるんだろう? お昼、結構黙々と」

  お昼休みに入る直前の話はしたりしますか。

 金森さん・井関さん「あんまりしたくない。スタジオじゃない仕事の話はするかもしれないけど、今さっきやってたことを引き摺ることはあんまりない。うん、大事」

『9 おかずの交換などしたりすることはありますか』は訊けないし」にウケる二人。

 金森さん「交換はしないけど、この人(井関さん)が俺の方に入れてくる。『これ、好きでしょ』とか。交換とは言わないよね、俺、あげないもん。いやいや、あげたくない訳じゃないんだけど、この人が放り込んでくる」

 井関さん「穣さん、野菜好きなんですよ」

「おかず交換」ならぬ人参の移動は
井関さん→金森さんの「一方通行」
丁寧にオーガニックの人参を
摘まんで見せてくれる金森さん

10 いつも美味しそうなお弁当を持ってくるのは誰ですか。

 井関さん「(山田)勇気(さん)のサンドイッチ。フォカッチャの。私たちはもう食べないんですけどね、パンは。でも美味しそうだねって」

*ここからはランチ以外の質問です。

11 『春の祭典』のクリエイションはどのくらい進んでいますか

 金森さん「3割くらい。今、Noism2が(定期公演のクリエイションで)いないからね」

12 そのNoism2の方の進み具合はどうですか。

 金森さん「全然見てない。ギリギリまで見ないようにしてる。驚きがなくなるから」

13 『春の祭典』の音楽は誰の演奏を使う予定ですか。

 金森さん「色々あるからね。今、使っているのはアンドレア・バッティストーニ指揮の東京フィル」

 井関さん「若い指揮者ですね。穣さんが最初選んだやつ(ズービン・メータ)も良いんだけど。今、厄介なことやっていて、色んな音をとらなきゃいけないんですよ。今のところはこれ(バッティストーニ)が一番、各楽器が聴こえる」

 金森さん「各楽器が安定して聴こえるから、稽古はし易い。本番、どうするかわかんないけど。全部仕上ったところで、いろんなものをかけてみて選ぼうかと思っている。…指揮者が凄い個性を出すでしょ。それは今は要らないかなと。今はできるだけドライにいって欲しいんだよね」

 *気になるのは演奏の違いと踊りの関係なのですけれど、「楽譜と照らし合わせて作っているから、突拍子もないことは起きないんです」と井関さんが言えば、「なんだったら、『今、オケ、間違えたな』とかもわかる。このあいだ、言ってたじゃん。別のCD使っていたときに『おかしい、おかしい』って」と金森さん。音の入りがワンテンポ早くなっている箇所に気付いちゃったんだそうです。ちょっと凄いかも。新作「ハルサイ」では、メンバー毎に楽器が割り振られていて、井関さんが踊るのはファゴット。管楽器が鳴り出すと、音が全然消えちゃうから大変なんですって。お話を伺っているだけで、大いに興味を掻き立てられました。6月、楽しみです♪

今回の取材はここまでです。貴重なランチブレイクを20分も割いていただき、感謝しかありません。

お二人のやりとりが楽しくて、できるだけそのままの言葉のご紹介を心掛けました。お楽しみいただけたなら幸いです。

「意外と地味なお昼ごはんでしたね」とは井関さん。いえいえ、そんなことはありません。大切なお昼の時間にお邪魔させていただき、色々と有難うございました。

金森さん、井関さんのお弁当、ご馳走様でした。それでは今回はこのへんで。お相手は shin でした。(…って、記念すべき第1回、中井貴一を存分に意識しながら纏めてみました。そのあたり伝わりましたでしょうか。)次回もご期待ください。

(shin)

公開リハB日程は金森さん『クロノスカイロス1』、疾走再び!

2019年12月5日(木)12:45のりゅーとぴあ・劇場、メディア各社も多数駆け付けるなか、B日程の公開リハーサルが行われました。劇場内へ進むより以前に、ホワイエから既に、各社ともリハ後の囲み取材を念頭に、予め機材を構える位置を想定して準備を進めているなど、これまでにないほどの念の入れように映りました。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC_1467-300x169.jpg です

スタッフから場内へ促されるに際して、この日見せて貰えるのが、金森さんによる『シネマトダンス-3つの小品』のうち、Noism1出演の『クロノスカイロス1』と聞かされ、内心小躍りしたのは私だけではなかった筈です。先日の森さんの疾走する新作リハと併せて観ることが出来るのですから。

で、場内に入ると目に飛び込んで来たのは、濃淡はあるもののピンクで統一されたタイツ姿の舞踊家10人。

その10人、デジャヴかと見紛えるほどにこの日も疾走しているではありませんか。

バッハのチェンバロ協奏曲第1番ニ短調BWV1052。まずは林田さんとカイさん、そこに西澤さん、三好さん、鳥羽さん、チャーリーさん、スティーヴンさん、そして井本さん、池ヶ谷さん、ジョフォアさん。走って入ってきては踊って走り去る10人。挟まれた時間に示すソロ、デュオ、デュエットそして群舞のヴァリエイションが目を楽しませます。

この日は「映像、照明もなく、身体だけで、およそ3割~4割」(金森さん)とのこと。ラスト、音楽が止まったタイミングで、金森さんから「Are you alive?(どうだい、生きてるかい?)」と声がかかるほどの激しい「Run & Halt(駆け足と停止)」の連続。先週創作過程を見せていただいた森さんの『Farben』と併せて「ホントに大変そう!」とは思いましたが、彼らなら魅せてくれる筈、その確信に揺らぎはありません。そして、この2作、同じ「疾走」でも、その趣きやニュアンスなどを全く異にしていますから、楽しみで仕方ない訳です。

最後、金森さんからは走る姿勢やら、リフトの具合やら、ストップした際の頭の位置(向き)やら、主に英語で次々細かいチェックが入っていきました。動きの質がブラッシュアップされ、まだ見ぬ6割~7割が加わった「作品」は物凄いことになりそうです。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC_1471-300x169.jpg です

リハーサルの後、金森さんと森さんの囲み取材が行われました。畢竟、質問は活動継続に絡むものが多くなりがちでしたが、金森さんは「作品を発表する際には、先を見据えようとするのではなしに、常にこれが最後の作品になってしまうかもしれないと思っている」など、特段それを誇大視することなく、作り手普遍の思いを語ることで応じているのが印象的でした。

そして自身の新作3つそれぞれについて、『クロノスカイロス1』は消えゆく時間、『夏の名残のバラ』は齢を重ねて、老いと向き合う舞踊家、『FratresII』は自己と向き合い、どれだけ闘い続けるかがテーマであると紹介してくれたうえで、『クロノスカイロス1』は個々の舞踊家による振付を基にNoismらしい集団性の表現を目指したものであると語り、また、『夏の名残のバラ』に関しては、井関さんが「新潟の舞踊家」として15年間積み重ねてきた踊りを観る醍醐味を味わって欲しいとの思いに力を込めました。

また、今回招聘した森さんに関しては、同世代のライバルとしながら、「凄くエモーショナル。音楽が持つエモーションが森さんのなかで増幅されていく。彼の良さとして。端的に言えば金森穣とは違う。その違いを感じて欲しい」と語りました。

8年振りにゲスト振付家を招き、今までにない映像の使い方をしている等々、これまで観たことのないNoismが見られる、「Noism第二章」にふさわしい新作公演として、クリエイションも最終盤に差し掛かっている様子が和やかなうちに語られました。

新潟公演、埼玉公演ともにチケット好評発売中。また、新潟公演中日12月14日(土)の終演後にはサポーターズの交流会も開催致します。そちらもふるってご参加ください。

(shin)

金森さん「このタイミングでこのような体制で挑めることに感謝」(9/27記者会見)

2019年9月27日(金)午後2時半、「 りゅーとぴあ劇場専属舞踊団 Noism 第6期活動期間の更新『Noism1+Noism0  森優貴/金森穣 Double Bill』製作発表 記者会見」に参加してきました。

会場はりゅーとぴあ ・ 能楽堂のホワイエ、 出席者は中原八一新潟市長、金森さん、りゅーとぴあ支配人の仁多見浩さんの3名。傍らに井関さん・山田さんをはじめとするNoismメンバーが勢揃いするなか、中原市長の「よろしくお願いします」の言葉から会見は始まりました。

まず最初に、中原市長がこの一年間を「Noismの活動を理解する期間が必要だった」としながら、「Noismの活動に支障をきたさないように」これまで15年間の活動を検証し、さる8月24日、りゅーとぴあ及び金森さんに課題と方向性を伝えたところ、「本当に真摯に検討してくれた」と説明。Noism・りゅーとぴあと協力しながら、市民との関係を築き、レジデンシャル組織としての優良事例となること、新潟市の踊り文化に対し、好影響を与えることで、より一層の高評価を獲得していく期待を語りました。

仁多見支配人は、2022年までの活動を認めてもらったことに感謝しながら、課題には「身が引き締まる思いがする。りゅーとぴあとして真摯に受け止め、改善に取り組んでいきたい」と第一声。続けて、「意思疎通を図りながら、全国のモデルとなり得るよう努めていきたい」と。

金森さんは皮切りに、中原市長には、「難しい判断と決定」であっただろうことに思いを馳せて、そして仁多見支配人には、連携の重要性に鑑みて、「力強い協力」を申し出てくれたことに対して、ともに感謝を口にし、「このタイミングで、このような体制で挑めることに感謝します」とも。

次いで、まず、舞踊団の総称を、これまでの「Noism – RYUTOPIA Residential Dance Company」から「Noism Comapany Niigata」に改称する旨を発表。これは、国外での「RYUTOPIAとは?」と国内の「Residentialとは?」の疑問を一挙に解消しながら、より単刀直入に、「Niigata(新潟)」の名を国際的に発信することを可能にするもの、としました。

更に、新体制として、これまでのNoism1とNoism2に、プロフェッショナル選抜カンパニーNoism0を加えた、3部体制にすること、舞踊家とスタッフに関しては、舞踊家1名減、スタッフ1名増で臨むことが触れられました。

その後、「提言」を受けて纏められた「活動方針(案)」(文化政策課)に盛り込まれた6点の課題改善に向けた取り組みや方向性が説明されました。

①地域貢献のための活動: 市内の舞踊団体との連携(R2秋・新潟市洋舞踊協会合同公演における金森さんによる新作振付)、「Noismスクール(経験者向け・初心者向け)」の新規実施、「柳都会」・「公開リハーサル」等の継続実施、更に、市民へのスタジオBの提供等。

②国内他館との信頼関係・ネットワーク: 少数精鋭の選抜カンパニーNoism0(金森さん・井関さん・山田さん)は小規模の故、他館との連携のし易さというメリットがあり、連携には好都合と。

③Noism以外の舞踊の提供: 金森さん以外の振付家招聘公演として、年末からの『Noism1+Noism0 森優貴/金森穣 Double Bill』を実施。独・レーゲンスブルク歌劇場ダンスカンパニー芸術監督を辞し、帰国した森さんに帰国後1本目として、Noismへの振付を委嘱。

④コンプライアンス・意思疎通、⑤労務管理、⑥予算減の可能性: 規約等を再確認のうえ、適切に進める(④)、十分に協議のうえ、改善に努める(⑤⑥)、とされました。

金森さんの説明に続き、メンバーを代表して、井関さんと山田さんもこれからの活動について語りました。井関さんが自身の経験に重ねて、「若い世代の人たちにとって、時間・空間・人のサポートは重要。これからも与えていって欲しい」と語れば、山田さんも「(Noism2リハーサル監督という)責任ある立場として、遠い未来を見つめて、よりよい価値をつくっていきたい」と話しました。

その後、簡潔に、(極めて簡潔に、)『森優貴/金森穣 Double Bill』について触れられたあと、報道各社からの質疑応答に時間が割かれました。ここでは、それらを通して語られたことをまとめてご紹介します。

仁多見支配人: 公演を観ることが生き甲斐になったり、観ることで人生観が変わったり、町の賑わいにも繋がったりと、芸術活動の意味は大きい。公共劇場に課せられた責任の重さとともにやりがいを感じる。

Noismはりゅーとぴあ専属の舞踊団、それをどう支えていくかが課題解決に向けて最も重要なところ。職員全体がそういう意識を共有しながら進めていく。公演の度、スタッフには負担も大きい。実態に目を通しながら、金森さんと一緒に体制作りをしていきたい。

支配人になってから、初めてNoismの公演を観た。言葉にならない感動とはこういうものなんだなと知った。人生観も変わるくらい凄い。必ず感動します。まず一度観ていただきたい。

中原市長: 文化を創造し、世界に向けて発信していくところに予算を使う意味がある。「3年後」は正直、未定。レジデンシャルカンパニー制度が新潟市として持続可能か、全国的にも意味を持ち得るか、定期的な検証は必要。

今回、私が市長になって検討することになった。そのなかでも、金森さんはキチンとした話し方をされる。世界的にも評価される金森さんが真摯に受け止めてくれ、解決しようと決意してくれたことを有難く思う。こういう方から新たに色々取り組んでいただくのだから、必ず評価は高まっていくものと確信している。新たなファンも必ず生まれる筈。

名称も新たに「Noism第二幕」の開幕。芸術性の高い素晴らしい舞踊を楽しんでいただきたい。期待していただきたい。是非応援してくださいと言いたい。

金森さん: Noismの存在理念が討議されたのは今回が初めて。特別の感慨がある。それぞれの「課題」に対して驚きはなかったが、同時に、どれもNoismという一舞踊団だけで取り組める性質のものではない。支配人から「力強い協力」の言葉を得て、取り組めるんじゃないかと思うようになった。

「財政再建」問題は、新潟市民として「関係ない」と言って済ませられるものではない。粉骨砕身、頑張っていくことしかない。時間は大事だが、あればいいというものでもない。限られたなかで、成果を出していくことが問われている。具体的に動いて、適宜、その都度、改善していきたい。

かつて、芸術家の後ろにパトロンがいたものが、社会制度の中に落とし込んで劇場が成立するようになった。どのようなものを発信していけば地域のためになるのかという問題は、一芸術家としては相容れない部分もある。右目で新潟を、左目で世界を見て、その焦点に浮かび上がるものが自分の現実。

「新潟から世界へ」と言っても、誰も本気で信じてはくれなかったんじゃないかな。(笑)それから15年。今、それだけのレベルのものを地域に還元していきたい。

劇場の扉を開けて外に出ていくことをしながらも、本義は舞台表現。是非、観に来ていただきたい。

会見が始まると、すぐに固さはやわらぎ、終始、穏やかな表情で前向きに語る3人を目の前にして、課題は課題として、一致協力してそれに向き合おうとする新潟市とりゅーとぴあと金森さん(Noism)を認め、少しホッとし、漸く、あの「提言」に対して抱いた違和感も薄らぎました。

未だ、予算や市民貢献活動ほか、制約は多くありますが、「新生Noism Company Niigata」として新たなカンパニー・モデルを立ち上げていってくれるだろうこと、と同時に、支援の輪が広がり、「新たな金森ファン、Noismファン」(中原市長)に囲まれ、誰知らぬ者などない、揺るがぬ「新潟市の顔」となる日のことを思いました。それに向けて、私たちも頑張って支えて参りましょう。新たな一歩が踏み出されました。

終了は見事に予定時間ピッタリの午後3時半。日曜日の「柳都会」も楽しみです♪

(shin)

メディア向け公開リハ(DAY 3)は『Mirroring Memories』から

「15周年記念公演」の初日を8日後に控えた2019年7月11日(木)、薄曇りでやや風の強い午後、りゅーとぴあ・劇場を会場とするメディア向け公開リハーサル(DAY 3)および金森さんの囲み取材に出掛けてきました。

ここ数日、活動継続を巡るメディア露出が続くなかとあって、マスコミ関係者もいつになく大勢参加していました。

私はと言えば、運よく、一連の公開リハ3日間「皆勤」でしたので、「今日は何を見せてもらえるのだろう?」と少し余裕も感じていたのですが、スタッフの「『Mirroring Memories-それは尊き光のごとく』の一部をご覧いただきます」の声に、「3日間とも趣向が違うんだ」と思いながら、劇場への扉を通ると、すぐに舞台上でアップを続ける舞踊家たちの姿が目に飛び込んできて、いきなり、気分は上がりまくりでした。

この日は、導入部とエンディングを除き、「黒衣」に纏わる「黒い印象」を持つオムニバス部分を全て通して見せていただきました。本番の照明こそありませんでしたが、あの伝統的なイングランド民謡が流れ出すと、もうそこは「妖術」でも幅を利かす世界かと見まがうほど。でもそれ一色ではなしに、心を締め付け、涙腺を狙い撃ちするかのような場面も挿入されるしで、まさに目も眩むばかりの怒涛の展開。『ホフマン物語』『カルメン』『ASU』『ラ・バヤデール』…。抗うことなく、呑み込まれてしまうのが得策です。贅沢に感情を揺さぶられ続けることでしょう。

「OK, guys! Much better! Much better in every scene….(どの場面も随分よくなった)」金森さんの言葉が聞こえて、公開リハは終了。ついで、ホワイエでの囲み取材がもたれました。

いつも以上に、この日のマスコミ各社には色々尋ねてみようという思いがあったようでした。見たばかりの『Mirroring …』が比較的言語化しやすい作品に映ったことで、敢えてこの時期にぶつけてきたのかとの問いに、金森さん、「一年も前から会場(劇場)を押さえて準備してきているので、今のこの状況はわかる筈もなかった。文化的に価値のあるものをやるのであって、説得のためにやるのではない」とキッパリ。

『Mirroring…』の構成順に「上野の森バレエホリデイ」のときと異同がある点に関しては、ラストのワーグナー『夢』の前に井関さんのソロ(『痛み』)を追加したことで、そのままの順序とはいかず、一箇所シャッフルすることになったものとのこと。金森さんは今回の『Mirroring…』を「改訂版再演」とも「劇場版は初演」とも言っていましたから、上野でご覧になられている方も必見かと。

以下に、金森さんが質問に答えるかたちで語ったことを少し紹介してみます。

*** *** *** ***

『Mirroring …』、黒衣と鏡が印象的な作品。黒衣は場面毎に多義的であるが、総じて抗いようのない力、宇宙における「ダークマター」的な存在の象徴。一方の鏡、そのメタファー(隠喩)。各パートが乱反射し合って、記憶を構成する。その時間軸の体験を通して、「ああ、Noismだね」と理解されるものがあるとしたら嬉しい。

「15周年記念」という思いが強いのは、『Fratres I』の方。群舞であって、国籍も異なる皆でともに祈るように踊る。今の新潟で、今の現実は振り払おうとしてもできることではない。いつも以上に気合が入っているところもあるし、今まで通りに信じていること、踊りにしかできない表現を真摯に届けようという思いもある。

20世紀が「舞踊の世紀」(モーリス・ベジャール)なら、21世紀は「身体の世紀」。人間がもつ身体とは何かが問われる。頭で作られた国籍や性差などにどう向き合っていくか。

市民有志による「要望書」提出の動きには本当に感謝しかない。あらゆる対策を練らねばならない。この状況、ただひとり舞踊事業の問題にとどまるものではなく、自治体(新潟市)がりゅーとぴあ及び劇場文化政策をどう捉えているかが問われている。等々…。

*** *** *** ***

幕があがるまで、あと8日。今は幸福な「おあずけ」状態を一瞬一瞬ドキドキしながら過ごすことと致します。皆さま、劇場でお会いしましょう。

(shin)

Noism2定期公演vol.10公開リハーサル&囲み取材に行ってきました♪

つい先日、感動の幕を下ろしたばかりのNoism1の公演から僅か3週間弱で始まるNoism2の定期公演vol.10。

3日後に初日を控えた2019年3月12日(火)15時半、公開されたリハーサルとそれに続く囲み取材の模様をお伝えします。

この日、見せて貰ったのは、ゲスト振付家の平原慎太郎さんの手になる新作『BOW!!!』、その導入部分の一部(15分強)。約5~6分のプロローグに続くというその場面は、「私の皮膚…、つややかな皮膚…、その下の肉…」と、内容とは不釣り合いなアニメ声が延々語るなか、上手前方、門山楓さんが踊りだすところから始まりました。中央奥には立てて置かれた長い卓、その陰から鈴木夢生さんが奇しく、そして妖しく顔を覗かせています。

唯一の男性メンバー、カナール・ミラン・ハジメさんを含め、全員が黒い衣裳をまとい、裸足。舞台も黒で、照明は仄暗く、不穏な雰囲気がこれでもかと漂ってきます。

平原さん×Noism2と言えば、即座に、2017年の『よるのち』に魅了された記憶が蘇るというもの。「洋館」(新潟県政記念館)を舞台に、全員うら若き女性メンバーだけで踊られたゴシックロマンスを思わせるそれは、本人たちが充分に意識しているとは言い難い滲み出るかのような未成熟なエロティシズムを、ある意味、確信犯的に撒き散らす野心作でした。

昨夏の初めからノート(プロット)の下拵えを開始し、11月末から制作にとりかかったという今回の新作。この日、その全体像を一「望」することはできませんでしたが、フォーク、ナイフ、皿、ワインボトル、卓、そして灯りといった小道具、不吉に耳に響く哄笑などによって想起させられたのは、ある種のカニバリスム。グリーナウェイ×ナイマン『コックと泥棒、その妻と愛人』、或いはシーゲル×イーストウッド『白い肌の異常な夜』のような張り詰めたおどろおどろしさ、いかがわしさ、或いは、禍々しさ。メンバーの瑞々しい若さと完全にミスマッチなところに妙にそそられます。
更には、リハを止めて、音楽の指示を出す平原さんの口からは、ここはロシア、ここではドイツ、更には「オスマントルコのイメージなんだ」とぽんぽん国名が飛び出してくるので、猥雑で混沌とした雰囲気は弥が上にも色濃くなっていきました。まさに平原さんの独壇場かもしれません。今作もまた「茫」然と見詰めることになるのでしょう。待ち遠しい。早く全「貌」が観たいところです。

囲み取材は16時からでした。
続けて、そこでのやりとりのなかからご紹介しましょう。
まずは、新作『BOW!!!』についてです。
「表現者・ダンサーとしての爆発力を見たいと思う。みんな、僕(平原さん)がやるような表現は経験がない筈。バイタリティで昇華していく、そのプロセスが作品となる」(平原さん)

「作品には明確なストーリーはない。例えば、キュビズムのように、様々な側面があり、多角的。『忘』、『暴』、『紡』、『某』、『棒』など、タイトルの『BOW!!!』(ボウ)に纏わる様々なイメージを紡いでいく。散りばめられたそれらを見つけに来るだけでも楽しい筈。溢れる若さには見応えがある」(平原さん)

「(いつもと違って)とまどう部分もあったかとは思うが、いろんなことを自分の動きにして晒すことができるか。これを通して何が起こるか。変化と覚悟に期待している」(山田勇気さん)

「前回の『よるのち』のときのNoism2とはちがい、定期公演も初めてなら、振付家とのクリエイションも初めてと、まっさらな状態。わからないものもどう成立させていくか。覚悟を決めて、晒していくことを要求している」(平原さん)

併せて踊られる「金森穣振付Noismレパートリー」(『solo for 2』及び『Training Piece』からの抜粋)について山田さんは、
「難易度は高いが、全てやってみて、取捨選択した。同じドリルをやってどれだけいけるか。最初は『踊れる』と思っても、高いハードルであることがわかるところから始まる。鍛錬と心の中の自由のバランスをどう踊るか」と。

外から見た「Noism」の存在について問われた平原さん、
「いい意味で異質。しかしこの形こそがまとも。国内で唯一、プロを養成し、プロが踊るカンパニーも、世界基準で見れば、ごく普通。芸術文化の水準を上げている存在」と。
そして研修生カンパニーNoism2があることも「奥行きですもんね」と平原さん。その言葉をもって囲み取材は締め括られました。

研修生カンパニーNoism2を観ることには、Noism1を観る時とは異なる楽しみがあります。なかでも最たるものは、公演期間中にグングン伸びていく若い表現力を目撃する楽しみです。5名の新顔も眩しい定期公演vol.10。きっと熱いステージが繰り広げられることでしょう。チケットは絶賛発売中。皆さんそれぞれに、「推し」の若手舞踊家の卵を見つけに来てください。

Noism2定期公演vol.10・新作『BOW!!!』(演出振付:平原慎太郎)と金森穣振付Noismレパートリー(演出:山田勇気)、公演は3月15日(金)~17日(日)で、全5公演。(@新潟市りゅーとぴあ・スタジオB)
出演はNoism2:門山楓、岩城美桜、森加奈、森川真央、鈴木夢生、池田穂乃香、カナール・ミラン・ハジメ、杉野可林、長澤マリーヤ、橋本礼美。
乞うご期待!
(shin)

『R.O.O.M.』メディア向け 公開リハーサルを観てきました!

寒いながらも青空が見える、1月18日(金)、新潟市内に雪は全くありません。
先日の会員向け公開リハーサルに続き、メディア向け公開リハーサルを観てきました。

会場のスタジオBにはテレビカメラが3台。
新聞、雑誌等の記者さんたちもたくさん来ていました。
予定ではリハ公開は30分でしたが、なんと、通しで見せてくれるとのこと!
ちなみに今回は、『R.O.O.M.』45分、休憩15分、『鏡の中の鏡』20分の、
80分の公演となります。
舞台装置の箱(ROOM)は、天井や脇がふさがれ、先日の会員リハの時より、
かなり整いましたが、照明はまだです。

「始めましょう」という金森さんの声で、リハーサル開始!
会員リハの時より、ますます磨きがかかっています。

1番目の男性パートは、シャンユーさん以外は新メンバー。
2番目の女性パートは、よく見知っているメンバーなので、
『NINA』やロミジュリ、バヤデール、他、
彼女たちの出演場面がチラチラ脳裏をかすめます。

3番目は井関さんとジョフォアさんのデュエット。井関さんは無重力状態の軟体動物のようです。映画「2001年宇宙の旅」のようなイメージを持ちました。

しかし、やや平静でいられたのはここまで。
このあと次々と繰り広げられる、目まぐるしく、見たこともない凄い動きの連続シーンに、
目も心も奪われて、放心、陶然・・・
あっと気づいて、あと9つのシーンがあるのだと思い、なんとかメモを取ったのですが、
メモなんか取りたくなかったですね~
洪水のような身体の動きの量に、ただただ翻弄されていたかったです。
メモを取ったと言っても、ここで内容を書くようなことはしませんので、ご安心くださいね~
本番をぜひぜひお楽しみに。どうぞご期待ください!
素晴らしいですよ~!!

井関さんのポワント姿、よかった~♪
女性陣はポワントと靴下の両方で魅せますよ~
池ヶ谷さん、キレキレでした~
ロミジュリとはまた違った情報量の多さと、
ボレロのように盛り上がっていくノイズ音楽に、
観る者はノックアウトされることでしょう。

驚きの公開リハーサルの後は、金森さん囲み取材です。
金森さん自身、通しを見たのは、なんと、今日が初めてだそうで、
手応えを感じているようでした♪

以下に金森さんが話されたなかから少しご紹介しますと、…
・箱(ROOM)という制約された空間の中で創作し、新しい動きを実験、発見したい。
・『SHIKAKU』に通底するような実験的作品。初心に帰りたい。
  『NINA』に代わるような普遍的作品を創りたい。
・『R.O.O.M.』は物語性は全くなく、理数的、科学的に人間を捉えた。
・新潟市に限らず、財政難はどこも同じ。何が必要なのか、選択が問われている。
・新市長とはまだお会いしていない。お話ししたいと思っている。
・舞台装置は箱型だが、客席はフラットではなく雛段になる。
・公演後半の『鏡の中の鏡』は、箱の中で私と佐和子が踊る。
 … というようなお話でした。

プレスリリースもご覧ください。

https://noism.jp/wp2015/wp-content/uploads/e695f0f8bc62ae8aaeb8782277825ffe.pdf

本公演を、どうぞお見逃しなく!

新潟公演は、最初の3日間はチケット完売ですが、
1/31(木)~2/16(土)お席に余裕があります。
チケット情報:https://noism.jp/tks_room/

 お誘い合わせて、ぜひ何度もご覧くださいね!
(fullmoon)

『ROMEO & JULIETS』メディア向け公開リハ、目の当たりにしたのは溢れる野心

前夜、蹴球の世界最大イベントにおいて、
我が国代表が、フェアプレーを巡るレギュレーションで予選を勝ち上がったことに対し、
「そもそも蹴球におけるフェアプレーとは何か」を問う姿を装いつつ、
ありとあらゆる場所から湧き上がる毀誉褒貶に接して、
正直、少なからず、困惑を覚えながらも、
しかし同時に、この時代にあってなお「侍」と称される者たちが
少なくとももう一度「世界を驚かす」機会を手にし得たことには
安堵と喜びを感じるという、複雑な心持ちで迎えた2018年6月29日(金)午後3時、
りゅーとぴあ・劇場の舞台で、
Noism1×SPAC劇的舞踊Vol.4『ROMEO & JULIETS』のメディア向け公開リハーサルを見せて貰い、
引き続き、金森さんの囲み取材にも参加してきました。

有名な「4大悲劇」もあるお陰で、物騒にも「ひとごろしいろいろ」として記憶される、
1564年(生年)から1616年(没年)を生きたウィリアム・シェイクスピア。
世界的に知らぬ人のない彼の400年以上前の戯曲が、
彼の生地ストラトフォード・アポン・エイボン(エイボン川沿いのストラトフォード)ならぬ、信濃川沿いのりゅーとぴあから、
今、金森さん+Noism1+SPACによって新たな息吹を吹き込まれ、
全世界に向けて発信されようとしています。

この日、メディアに公開されたのは、
先日、活動支援会員およびサポーターズにも公開されたのと同じ第一幕。
もとの戯曲で言えば、「第二幕・第二場」として知られる、
有名な「バルコニー」の場面までとなります。
(もっとも、今回の翻訳テキストをものした河合祥一郎氏によれば、
緞帳などなかった時代のシェイクスピアその人は
幕場割りを設けたりしてはいなかったそうで、
そのため、舞台の流れは、変にリアリズムを追求することなく、もっと自由に
クロスオーバーしたり、ワープしたりなどしながら移り変わっていくのが常で、
近代劇に慣れた私たちの目には「大胆」に映るものであっただろうそうですが…。
*角川文庫「新訳・ロミオとジュリエット」の訳者あとがきを参照されたい。)

この日は、照明も入り、衣裳あり、装置や小道具ありで見せていただきました。
なにより、衣裳の別が明らかにするのは、モンタギューとキャピュレットの区別ではなく、
更に重要な「別の関係」の区別。
恐らく、一目で理解、納得できることでしょう。
閉鎖的な舞台設定。監視とそれに続く威嚇、或いは鎮圧。「大公」の存在。
音楽、身体のみならず、押し寄せる言葉、文字、映像…。
今回のリハを見ていると、
前回、ブログを書いたときにも既に頭にあったのですが、
ミシェル・フーコーが別の著作『監獄の誕生』で取り上げたベンサム
「一望監視装置(パノプティコン)」の印象がより強くなったことも書き記しておきます。

「古典だからと古典的にやることには違和感を感じる」(金森さん)
「現代に置き換えた表現の方が、私たちにはより切実で、創る意義がある。
新しいロミオとジュリエットを表現していくのが、私たちの野心であり、チャレンジ。
演劇であるのか、舞踊であるのか」とも語っておられました。

『ロミオとジュリエット』と精神病棟、その2者に関して、
金森さんは、「現代の監視社会(=病院=精神病棟)の方が先にくる。
そこの患者たちが演じている」というヒントを与えてくれたうえで、
「現代の新しい価値観、新しい感情の在り様、人間や社会の複雑さや多様性など、
難しさに向き合おうとしている」のだとも。
また、今回、手話を作中に取り入れていることに関しては、
「言語表現と身体表現の橋渡しをする身体動作とみている」と説明。

「驚いているあいだにことが過ぎてしまう。3回は観た方がいい」(金森さん)

前回の公開リハを見て書いた以上に「分厚い」印象です。
舞踊というだけでは言い尽くせないその「厚み」は、
更に「総合芸術」の名に相応しい舞台になっていると言い切りましょう。
身体よりも、物語なのか。しかし、身体あっての物語でもある。
いずれにしましても、『NINA』とは対極に位置する創作という印象が濃厚で、
まず、驚きをもって凝視する以外に術はなさそうです。

プロコフィエフの音楽と
七五調という日本語の特性を踏まえて、歌うように語る河合祥一郎訳のテキスト
の相性について、金森さん、
「単なるアイディアではなく、インスピレーション(霊感)で、全て合うと気付いた」

そして最大の謎である「ジュリエットたち」という複数形については、
「最初はジュリエットはひとりでと考えていた。
しかし、未だかつてないような形でやろうと思った。
そして、役者と舞踊家半々をつかって創るとき、
出てない人がいない、『(カンパニーの)みんなが生きる』形を考えたら、複数になった。
もし、Noismが20人だったら、また違ったものになっていただろう」と、そのあたりの事情の一端を明かしてくれました。

発話しないジュリエットという制約のもとで描き出されるロミオとの「デュエット」。
そのリリシズムは、今風に言えば、「ジュリエット(たち)、半端ないって!
そんなんできひんやん、普通!」って感じです。(笑)

極めて、今日的な問題意識を取り込むことで、
古典作品を相手に「攻めている」感も強く漂うのですが、
根源的でオーソドックスな情感で貫かれている点で、
意外に、古典としてみても破綻がない感じがしたことも記しておきましょう。
しかし、このあと、まだ見ぬ第二幕で、
金森さんはどのような着地点を見出そうというのでしょうか。
まさに真の野心作!
一日も早くその全貌を目の当たりにしたいところなのですが、
今は、日一日と近付いてくる
全く新しい「ロミジュリ(複)」世界初演の日まで、
身中募る一方の興奮と向き合いながら、
あれこれ想像しては、楽しんで過ごしていこうと思っています。

なお、この日、Noismスタッフから、
『ロミオとジュリエットたち』特設ページがオープンしたとの告知がありました。
初めて明示されるキャスト表など興味深い内容です。
どうぞそちらもご覧いただき、是非とも「3回」劇場に足を運んで頂けたらと思います。(笑)   (shin)

Noism2定期公演vol.9メディア向け公開リハ&囲み取材に参加してきました

ちょうど一週間前に新潟を襲った大変な雪も漸く落ち着きを見せ、
今度は一週間後に新しい年の「Noism初め」となるべきNoism2定期公演vol.9を控えた
2018年1月19日(金)の午後、
りゅーとぴあ・スタジオBを会場として開かれた
同公演のメディア向け公開リハーサルと囲み取材に参加してきました。

公開リハは、山田勇気さん演出による金森さん振付Noismレパートリー、
そして島地保武さん演出振付の新作『私を泣かせてください』の順に、
予定された時間を超過して観せて貰いました。

研修生カンパニーであるNoism2にとってのリベラルアーツ(一般教養)ともみなされ得る
過去の作品群からの抜粋を踊る演目と、
人(4)と魔女(4)、そしてその中間の存在(1)というキャラクター設定のもと、
舞踊家それぞれの「下の名前」がひらがな表記された人物として
ある種の物語を踊る演目。

ふたつはまったく逆向きのベクトルをもつ2作品と言えるでしょう。
山田さんが「今回の公演は面白いと思いますよ」と満面の笑みを浮かべて語るのも頷けます。
まあ、いつだって面白いのですけど…。(笑)

ここでは主に、囲み取材でのやりとりから、その一部をご紹介しようと思います。
まず、山田さん演出のレパートリーに関してですが、
金森さんからは、チョイスも、演出も、照明もすべて任されたそうで、
金森さんは、ある意味「モノ」として観てくれている様子。
山田さんが抜粋したのは、金森さん振付の6作品からの7シーンで、
気になる、その6作品とは、順不同で、
『SHIKAKU』『PLAY 2 PLAY −干渉する次元』
『Nameless Hands~人形の家』『ZONE~陽炎 稲妻 水の月』
『Nameless Poison~黒衣の僧』『ASU~不可視への献身』だそうです。

チョイスに際しては、特に深い意図があったという訳ではなく、
女性しかいないことと、音楽のまとまりを考慮しての選択だったとのことですが、
作品性というよりは、徐々に踊りの根源的な部分、神秘的な部分が抽出されてきて、
現在は、今のNoism2でしか出来ないものになっていると感じるそうです。
(振付家が)自分でチョイスする場合、客観視し切れないことが多く、
過度の思い入れがない方がドライに構成できて具合がよいこともあり、
それは自分で創っているときにも大切なことに思うとのことでした。

次に、島地さんの新作『私を泣かせてください』に関してです。
昨年末、金森さんに「通し」を観てもらった際は53分の長尺だったところ、
「30分にしてくれ」と言われ、今、「37分」になっているとのことで、
まだ削るかもしれないが、削らなくても良いものにしたいというせめぎあいもある。
通常、様々に受けてきた影響を自分で崩したいという思いで創作しているのだが、
そういう考え自体が固定観念かもしれず、
「影響を受けていることはしょうがない。
これもOK、あれもOK」と肯定するという、
普段やりたくないと思っていることをやった、とのお話でした。

それぞれに自由を求めて、人と魔女が敵対するという設定は、
図らずも、平原慎太郎さん演出振付の前作『よるのち』(少女と吸血鬼)とも似ていますし、
そちらをご覧になられた方は比べてみるという楽しみもありそうです。
いずれにしましても、快作が見られそうなこと請け合いです。
あと、島地さんが新潟にいると聴きたくなるというヘンデルのカチッとした音楽に加えて、
途中に挿入されるご自身が歌う歌も、要チェックということで。(笑)

また、この間のNoism2メンバーに関して、
山田さんが「なんだかんだ言って、みんな良くなる。
それを見る嬉しさがある」、
島地さんも「うまくなっている。本番、どうなるか見たい。
取り組んでいる姿はとても綺麗」と語るのを聞くに至っては、
一週間後への期待が否応なしに募っていきました。

☆★ ☆★ ☆★ ☆★ ☆
今回のNoism2定期公演vol.9ですが、
3日間、全4回公演のうち、
1/26(金)と27(土)は前売り完売(当日売りは現在未定とのこと)ながら、
28(日)の2公演はまだ少し残席があるそうです。
もうチケットはゲットされましたか。
是非、一緒に若き舞踊家の「今」を目撃しに行きましょう。
(shin)