メール取材日:2023/1/20(Fri.)
『Der Wanderer-さすらい人』新潟公演が人気沸騰中の現在ですが、その忙しい日程を縫って、Noism1中尾洸太さんが「纏うNoism」の第3回の取材に応じてくださいました。纏う中尾さん、気になりますよね。
「服を着る喜びは芸術です」(ジョン・ガリアーノ)
それでは中尾さんの回、お楽しみください。
纏う1: 稽古着の中尾さん


でも、狭いんですって…
*「ロミジュリ(複)」Tシャツ着用で、狭小な舞台裏みたいな場所でも輝きを放つ中尾さん、いっぺんで周囲の雰囲気を変えてしまうこの登場画像。凄っ!
そこで、本題なのですけれど、今日の稽古着のポイントを教えてください。
中尾さん「このパンツはカイ(・トミオカさん)から貰ったもので、動きやすくてよく着ています。裸足で踊る時には大抵半ズボンを、靴下で踊る時は長ズボンを履きます。靴下のおすすめはファミマの靴下です。厚みがしっかりあり、暖かいのとしっかり足にフィットする感じがとても好きです」
*そのパンツはどんないきさつでカイさんから「貰った」のですか。
中尾さん「カイが、日本を離れる前に荷物整理をしていて、『これ、こうたの方が似合いそうだからあげる』と言われて貰いました」
*NoismのDNAと共に引き継がれたパンツなんですね、大袈裟に言うと。(笑)
で、もうひとつ。稽古着ではないんですけれど、ポーズをきめてくれたその狭い場所ってどこなんですか。
中尾さん「スタジオBの裏通路です」
*なんとぉ!「裏」感がハンパなくビシバシ伝わってきますぅ。で、で、で、右側に立て掛けられているのって、アレですよね。今やってるアレのアレ。
中尾さん「『Der Wanderer―さすらい人』の舞台美術です」
*ですよね、ですよね。一目でわかっちゃいましたよ。でも、ちょっとお話が着る物から逸れまくっちゃいましたので、戻しますね。
纏う2: 中尾さん思い出の舞台衣裳
*これまでの舞踊人生で大事にしている衣裳と舞台の思い出を教えてください。

中尾さん「思い出に残っているのは『ドン・キホーテ』のバジルをコンクールで踊った時の衣裳です。
この時は確か14歳くらいでコンクールとかは全く出ていなかったのですが、東京で留学のスカラシップがあるコンクールがあると聞いて、一人で東京に行き、そこでドイツの留学を決めました。予選、決戦とあったのですが、予選でスタッフさんがキッカケを間違えてしまって、もう一度やり直しになったのをよく覚えています」(笑)
*クラシックバレエでよく見かける格好いい跳躍の画像♪小さいものですが、オーラがあって、存在感は大きいってやつですね。格好よすぎて、大きい画像だったりしたら、もう悶絶ものかもしれませんね、コレ。14歳にして、それくらい格好いいなと。
*で、それはそうと、これは訊かなきゃと思ったのは、「やり直し」ってなっちゃったときの心境なのですが、どんなでしたか。そのあたり。
中尾さん「特に動揺はした覚えはなく、『あー、間違えている』と思って、袖幕のスタッフさんを見ながら、もう一回やるのかな、どうするのかなと思っていました」
*何と冷静な!コンクールですよ。「動揺もなし」とはやはり大物だぁ!と。
纏う3: 中尾さんにとって印象深いNoismの衣裳
*Noismの公演で最も印象に残っている衣裳とその舞台の思い出を教えてください。
中尾さん「Noismに入ってから印象に残っているのは『Fratres』の衣裳です。なぜかという明確な理由は特にありませんが、とても魅力的な不思議なパワーがある衣裳に感じます」
*Noism Web Site へのリンクを貼ります。
2021年のストラヴィンスキー没後50年 Noism0+Noism1+Noism2『春の祭典』公演における『Fratres III』画像です。ご覧ください。
*この衣裳、ストイックな集団の、その集合的な祈りの力が漲っているように感じますよね、観ている側としても。ああ、また観たくなってしまいました、『Fratres』のシリーズ♪
纏う4: 普段着の中尾さん

*この日のポイントと普段着のこだわりを教えてください。
中尾さん「私服ですが、今は冬なのでとにかく暖かく、下着の上には腹巻きをして、ズボンは2枚、靴下も2枚履くこともあるくらい、なるべく寒くないように心がけてます。ただ勘違いしてほしくないのが、僕は四季のなかで冬が1番好きだということです」
*ホントに気を使っているのですね。そこまでとは想像してませんでした。舞踊家たるもの寒冷地仕様の完全防備なんですね。でも、とてもいい感じ。全体が黒のところ、袖口と裾の白と赤も良い味出してますしね。膨らんだ両のポケットには手袋でも入ってるんですかね。あとはこれに帽子が加われば、もう「私は最強」!ってやつですね。
で、「冬が1番好き」ということに関してですが、もう少しお訊きします。
まず、冬のどんなところが好きなのですか。
中尾さん「冬の朝のキリッとした空気がすごく好きです。あと、雪の上を歩いているときの音とか踏み心地が好きです」
*おっと、なんと詩的なお答え!
もうひとつ訊いちゃいますね。(あ)故郷・愛媛の冬、(い)留学されたドイツの冬、(う)現在の新潟の冬、それぞれ、中尾さんにはどんなふうに映っていますか。教えてください。
中尾さん「(あ)愛媛の冬ですが、僕が住んでいたところでは、雪が降ることはなく、気温もマイナスにいくことはなかったので、今思うと暖かかったのだなと思います。愛媛にいた頃、冬はあまり好きではありませんでした。
(い)ドイツの冬は新潟と似ていて、キリッとした朝の空気があって、朝の通学途中にパン屋に寄って、クロワッサンとコーヒーを買って、ゆっくり歩いて行くのが日課でした。
(う)新潟の冬でドイツと違うところは、朝はとても似ているのですが、夜風の強さは新潟でしか体験してないですね。橋を渡るのも一苦労な感じは、自然の強さをより感じます」
*留学されていたドイツの頃の冬の描写がとてもお洒落で、画が浮かんできますね。勿論、その中心には格好いい中尾さんがいて。
新潟の冬の夜風に逆らって萬代橋とか昭和大橋とか渡るのはもう大変なんてもんじゃないですよね、ハイ。わかります、わかります。(汗)私は到底、好きにはなれませんけど。でも、さすらい人の冬の旅ならば、画像の中尾さんのようないでたちはマストですよね、うん。
中尾さんからもサポーターズの皆さまにメッセージを頂いております。
■サポーターズの皆さまへのメッセージ
「いつも温かいご声援ありがとうございます。
Noismに入って3年目、年を増すごとにサポーターズの皆さんの存在の有り難さを感じます。月並みな言葉ではございますが、これからも温かいサポートをよろしくお願いします」
…「纏うNoism」第3回、中尾さんの回はここまでとなります。キレキレな身のこなしの中尾さん、着こなしのほか、笑顔も素敵で、そちらも一緒にお届けできたものと思います。中尾さん、『Der Wanderer―さすらい人』公演真っ只中のお忙しいところ、色々とどうも有難うございました。
なお、当ブログでご紹介してきた中尾さんの他の記事も併せてご覧ください。
「私がダンスを始めた頃」⑮(中尾洸太さん)
「ランチのNoism」#14(中尾洸太さん)
それでは今回はこのへんで。また次回をどうぞお楽しみに♪
(shin)