『境界』新潟公演2日目 - 想像力/創造力で遠くへ連れて行ってくれるクリエイターが近くにいること

2021年12月18日(土)17時、この日も至極当たり前のことのように、Noism0 / Noism1 『境界』新潟公演2日目の舞台に臨みました。

ホワイエに入ってみると、「ちょっとこれ見て」と教えてくれる友人がいて、目にしたのがこちら。この日の公演、Noism1の中尾洸太さんが怪我で出演されないということを知りました。

中尾さん、昨日、初日の舞台も怪我を押して出ていた模様です。心配していたところ、2階客席の最上段付近にお姿を認めましたので、お声掛けしたところ、笑顔で対して貰いました。幸い重傷ではない様子。一日も早い回復をお祈りします。

代役はNoism1準メンバーの横山ひかりさん。地元・新潟出身の方で、公開リハーサルの際、舞台上手(かみて)側、直近の場所から、真剣に舞台上に目をやる姿が印象に残っています。舞台で踊る姿はこの日初めて観ることになります。

やはり、舞台は「生もの」なのですね。私事で恐縮ですが、これを書いている私もこの日はアレルギーからか、右目のあたりが腫れて調子がよくありません。踊れるか/踊れないか。観られるか/観られないか。演者にとっても、観客にとっても、その日の舞台公演が「成立」するか否かは当然のことの範疇にはない訳です。有難いことと再認識しました。

山田うんさん×Noism1『Endless Opening』、冒頭から途中までは前日よりひとり少ない8人のメンバーが踊りました。振付や出番の変更もあったのでしょうが、まだ2回目でしたので、詳細はわかりませんでした。しかし、この日は前日の硬さがとれて、滑らかな印象。オフバランスの美しさに浸りました。

印象的なアイテム、台車のシーンからラストまでが横山さんを含む9人で踊られました。期せずしてのNoismデビューとなった横山さん、メンバー写真で観ていただけでしたが、小さな(と言って良いかと思われますが、)身体をフルに使って、他の8人に食い込んでいく赤い衣裳に、「頑張れ」との思いも抱きました。

山田うんさんのこちらの作品では、見やすいところで言えば、まず、性別の「境界」を廃棄していく、越境が挙げられようかと思います。女性性や男性性を超え出るかたちで目指された中性的な身体の躍動が見ものかと。激しく踊り通されるのに、爽やかな印象を残すのも宜(むべ)なるかなといったところでしょうか。花々と涼風を観る思いが致します。

20分の休憩を挟み、金森さん演出振付のNoism0『Near Far Here』。或る効果音が耳に届き、緞帳があがっても、暗い舞台。そこに浮かび上がる井関さん。私は『夜叉ヶ池』(篠田正浩監督作品・1979)坂東玉三郎のビジュアルを想起しますが、瞬時にして、休憩前とは別の時空に引っ張り出されたことを知らされるオープニングです。

そこからはもう手練れの3人による達人芸の世界。バロックの「歪な真珠」感も手伝って、当たり前の日常との「境界」を越え出た、非現実感が極まる時空は重厚感を備えたものです。もう圧倒的な想像力と創造力とで遠くへ連れ出される観客。その点で言えば、観客は舞台が発する途方もない引力に惹き込まれながらも、舞台と客席の「境界」を意識させられる部分もある筈です。

しかし、金森さんの演出が最も冴えるのは、パフォーマンスが否応なしにもたざるを得ない時間的な「境界」を曖昧化しつつ、同時に、舞台上と客席の「境界」さえ破棄してしまうラストの斬新さにあるのでしょうが、ここではこれ以上書けません。是非、ご自身でご体感ください。

想像力/創造力で観る者を限りなく遠くへ連れて行ってくれるクリエイターが近くにいること、そしてそのアートが身近な「ここ」から世界に向けて放たれること、その豊かさを実感した『境界』新潟公演2日目でした。

本日、新潟公演は楽日を迎えます。現在、雪が舞う新潟市界隈ですが、観る者の心に永く、爽やかな、或いは馥郁たる「花」を残すNoism0 / Noism1『境界』、お見逃しなく!

【追記】
この度の公演に合わせまして、私どもサポーターズUnofficialは「Information #5」を作成し、入場時、各種チラシと一緒にお手許にお届けしております。ご鑑賞前、ご鑑賞後、ご覧いただくことで、Noismをより身近に感じて頂けたらと思います。是非、お楽しみください。
また、私どもサポーターズは随時ご入会を受け付けております。そちらもご検討頂けましたら幸いです。

サポーターズ・インフォメーション5号・表面

(shin)

「これはもう!」詳しく書けないのがツラい『境界』新潟公演初日

2021年12月17日、数日前から天気予報が新潟の大雪を告げていた金曜日、りゅーとぴあへ向かう道すがら、猛烈な風があらぬ方向から叩きつけてきたのはその時点では雪ならぬ雨。荒れた天候のなか、混雑した12月の道路の移動はかなりの時間を要し、「近くて遠い」感が致しましたが、それでも、この先、「多幸感」に浸れることを確信しつつ、胸を躍らせて車を走らせました。そしてそれは裏切られることがなかっただけでなく、それ以上に、眼前に展開された多彩さに終始、蹂躙され通しだった、Noism0 / Noism1 『境界』新潟公演初日。「これはもう!」書けないのがツラいレベルの、かつて見たこともないダブルビル公演でした。

19時を少し回った頃、山田うんさん演出振付のNoism1『Endless Opening』の幕が上がりました。とすぐに、荒天のなか大変な思いをした移動が早くも報われたように感じられることに。そう、様々な生きづらさに満ちた「現実」を傍らにさせてくれるような、咲き誇る色彩に富んだ若い花々を思わせる舞踊のギフトは、可憐でありながら激しく、これまで見てきたNoismとはひと味違う新鮮さに満ちたものでした。

例えば、「こんなジョフォアさん、見たことがない」ってくらい楽しみながら踊っていることを伝えてくる表情が印象的だったりしました。それは井本星那さんも三好綾音さんも同様です。更に、新メンバーに関するなら、目で追いかけるようにして観た「庄島シスターズ」、さくらさんとすみれさん、何とか見分けがつくようになりましたので、更にこれからは踊りの特徴を捉えられるようになりたいと思いましたし、また、決して大きくない身体の中村友美さんが、踊ると随分大きく見えることにはとても驚きました。

最初の1音からボロディンに合わせて、Noism1の9人が舞踊で織りなす「花束」の目に鮮やかだったこと。同時に、緞帳がおりたときに、その奥から聞こえてきた荒い息遣いも忘れられません。カーテンコールに及んで、井本さんが左右のカーテン奥を目で探し、ジョフォアさんが連れ出してきた山田うんさん。10人で一緒に大きな拍手を浴びる様子を見ながら、今回のクリエイションは確実にNoism1の新しい扉を開いたのだろうことを感じていました。

そこから20分の休憩を挟んで、金森さん演出振付、Noism0の『Near Far Here』です。これまでにない程、広くとったアクティング・エリアにぽつんぽつんと3人。茫漠とした「ここ」とはいったいどこなのか。この世なのか。それとも…。そのあたり、印象的な照明も相俟って、まったく判然としない程に作り込まれています。冒頭からラストまで、極めて実験的でありながら、同時に、言葉で言い表せないほどの圧倒的なヴィジュアルで展開されていく美し過ぎる作品には、身震いしながら没入する他ない、驚愕の視覚体験が約束されていると言っても過言ではないでしょう。この美しさはヤバイ。こんな表現があるのか、どうやったらこんなものが生み出せるのか、口あんぐりで陶酔するより他にありませんでした。そして余韻がまた相当ヤバイ。観終えてからもう数時間が経っているというのに、相も変わらずに夢見心地なのです。繰り返しになりますが、書けないのがツラいレベルとすることに一切誇張はありません。この到達点にはまったく身震いを禁じ得ません。是非、多くの方に身を以て味わって欲しいと思う次第です。

新潟市の雨は夜更け過ぎに雪へと変わりました。予報通りだとすれば、このあと、夜明けまでにはかなりの積雪を見ることになるのかもしれません。でもしかし、このダブルビル公演に関しては、安易に見逃す選択をすべきではないと思います。窓の外、唸りを上げる風の音もこの日の2作品が心に運んで来た「多幸感」を損なうことなどできよう筈もないからです。今はただ、Noism0 / Noism1『境界』、一言、必見です、とだけ。

(shin)

支援の思い新た!活動支援会員対象『境界』公開リハからのインスタライヴ(2021/12/11)

雪到来前の2021年12月11日(土)は、Noismまみれで過ごすことになった一日。先ずは、15時30分から16時50分までが活動支援会員対象で開かれた『境界』の公開リハーサルで、その後、21時からは金森さんと井関さんのインスタライヴがありました。そんなふたつを続けて堪能したら、このところの「芸術監督の任期」を巡って気を揉むもやもやした時間をちょっと傍らにすることができたように感じました。現在進行形のNoismの「今」に向き合うことは即ち、豊穣な時間に身を浸すことなのであって、見詰めつつ、耳を傾けつつ、支援の思いを新たにしたような次第です。

◇活動支援会員対象『境界』公開リハーサル
15時30分、りゅーとぴあ・劇場に進むことを許され、2F客席に身を沈めようとする以前から、白と黒の引き締まった舞台上には、金森さん(黒)と井関さん(白)、そして山田勇気さん(黒)の姿があり、主に井関さんをリフトする動きの試行錯誤が続いていました。Noism0による『Near Far Here』のクリエイションが真っ最中でした。
その後、バロックの音楽と舞台装置も入れて、通して見せてくれる場面もありましたが、そこでも、時折、金森さんがストップをかけては、より流れるような身体の捌き方を求めて、動きが再検証・再検討され、妥協することなく調整を続ける3人の姿を目にすることになりました。そうやって、動きが今まさに作り出されようとしている様子は、「産みの苦しみ」などという紋切り型の表現からはほど遠いもので、(汗をかき、呼吸はあがって、水分補給をする際も苦しそうではありましたが、)気心知れた同士が、じっくり話し合って、色々試しながら動きを獲得していく作業は、どうしてどうして、「いい時間」が過ごされているようで、ホントに楽しそうに見えました。もう期待感しかない道理です。

30分が過ぎたところで、3人のリハ公開は終了。金森さんが客席に向けて、次のように挨拶してくださいました。「え~、日頃より有難うございます。ご覧いただいたように稽古に励んでおります。俗に、『3本の矢は折れない』と言いますが、3人体制になって、今まで以上に活動していきます。これからも宜しくお願いしま~す」とどこまでも明るい調子でした。そして、最後に金森さん、もう一言、「衣裳を脱ぐにも、(3人)お互いが必要なんで…」などと言って笑いをとりながら、Noism0の3人は劇場を離れていきました。

そこから、20分の舞台転換の時間を挟んで、16時20分から、今度は山田うんさんの『Endless Opening』、Noism1の方のリハーサルを30分間見せて貰いました。
主にユニゾンで踊る箇所を見せて貰いました。フォーメイションとしては、一番前に中村友美さん、二列目に庄島すみれさん・さくらさん、三列目には中尾洸太さん、三好綾音さん、井本星那さん、そして最後列に坪田光さん、樋浦瞳さん、ジョフォア・ポプラヴスキーさんというのが基本形のようです。
シンボリックな「台車」、見ました。しかし、衣裳は本番までのお楽しみ。
誕生と死とに挟まれたいっとき、束の間の「花束」然として、ピタリ決まるユニゾンはNoism1ならではなのでしょうが、同時に、一人ひとりの個性を楽しむことが出来る作品ともお見受けしました。SMAP『世界に一つだけの花』や、或いは小林秀雄『当麻』のなかの「美しい『花』がある、『花』の美しさという様なものはない」などを想起しながら、舞台上、留め置くこと能わず、刹那に輝く9輪からなる「花束」を見る体験になりそうだとの思いを抱きました。
山田うんさん、ある場面で、歩く動作の「歩数」が気になり、変更しようかどうか、色々試すのを見詰めるうちに、公開終了時刻となりました。時間が許す限り、細部まで貪欲に動きを練り上げようとする姿は金森さんと変わらないなと思いながら劇場を後にしてきました。

今回のダブルビル公演、初日は来週の金曜日、12月17日。それぞれの創作過程をちょっと見せて貰ったら、もう楽しみで楽しみで仕方なくなってしまいました。

◆金森さん+井関さんインスタライヴ
顔をパグに変えちゃうような悪戯もやりながら始まったこの日のインスタライヴ、お話しは多岐に渡りましたが、ここでは『境界』公演に絞ってご紹介を試みたいと思います。
・『境界』公演の『Near Far Here』、創作も佳境。Noism0はいつもギリギリになる。バロック音楽に感動、全編バロック音楽の小品9曲を使用し、合わせたら繋がりができた。
・バロック音楽の時代、日本は江戸時代。キリシタン信仰が渡来。弾圧、隠れキリシタン。元来、信仰と密接な音楽であり、自分にとっての「信仰」とは何かということになっちゃった。何のために生まれて生きるのか。この世の不条理等々。
・衣裳も和モノとバロックの時代の洋のモノのハイブリッド。境界線を模索する、または融合するポイントを見つける作業。美しい作品ができた。
・バロック音楽のカウント、「3」のリズムが多いのが心地よい。「3」はキリスト教にとっても大切な数字(=三位一体)。今回、3人で踊ることも「3」繋がり。
・りゅーとぴあ・劇場をこれだけ大きく使ったのは初めて。大空間を移動する身体、実演は久し振りで、最初、距離感が掴めなかったが、楽しい。大空間を自分の美意識でコントロールできるようになりたい。
・演出的にも、空間的にも、照明的にも、衣裳も、あらゆる部分で初めての挑戦をしていて、その意味では実験的なのだけれど、最終的にひとつになっていく。
・テーブルでの場面。3人で振りを作っていって、それぞれ所作を解体、バラバラにして、スピードを速くしたり、スペース変えたり、高低差をつけたり、ダイメンション変えたりもした。→作り方的にはコンテンポラリー的だが、同時に、極めてバッハ的。構造を数学的に音楽にしていくこと、バロックに括れないバッハの特性だと思う。
・今回、映像も使っているし、物も使っている。なかでも、アクリル板。井関さんと山田勇気さんとのパ・ド・トロワ(3人の踊り)を作った。アンコントローラブルな(制御できない)不確定要素を盛り込むことで何を見出すか、何が生まれるか見てみたい。(『夏の名残のバラ』でのキャメラもそう。)今の世の中のアクリル板に、目の前にいるのに触れられない悲しみを感じる。
・しかし、今回の『Near Far Here』はネガティヴな作品ではない。今ここにいることの僥倖、有難さ、幸福、奇跡みたいなものを共有したい。エンディングでは我々なりの愛を届けたい。
・今回の衣裳、ひとりでは着られないので、3人一列になって、お互いに後ろを締めて貰っている。井関さんのは中世のドレス然としていて、コルセットが苦しい。金森さんと山田勇気さんの衣裳は、和(=和服、袴)と洋(=僧侶、宣教師)のハイブリッド、かつ、ふたり併せて一人分になる、斜めのファスナーが多用された、どこで割るかっていう複雑なもの。
・今回の照明、所謂、舞台照明ばかりではなく、反射した光、プロジェクターの明かりを使ったり、実験的なことをしながら、美しい明かりになる。
・山田うんさんの『Endless Opening』、同じ「境界」をテーマにしながら、出てくるものが違う点で面白い、多幸感溢れる作品。うんさんの人柄が出ていて、「色」などは対称的だが、どちらもクリスマスに観るにはいい作品。 …等々。

と、そんなあたりをご紹介させて頂きました。全部通してご覧になりたい向きは、アーカイヴでご覧になれます。こちらからどうぞ。

とりあえず、来年9月からの5年間、新潟市での活動継続が決まったNoism Company Niigata、その決定後の最初の公演です。「ちょっとだけでも今までやったことがないことにチャレンジしたい」と語る金森さんは、(奇妙な言い方になりますが、)私たちを常に裏切りつつ、その「裏切り続ける」という点においてはまったく裏切ることのない稀有な芸術監督と言えます。公演の度に私たちの日常を活性化してくれる訳ですから。

そんな金森さんが「自信作」と力を込めて語るNoism0『Near Far Here』、そして、Noism1が山田うんさんとの間で化学変化を見せること必至の『Endless Opening』、大いに圧倒される心づもりで、いざりゅーとぴあ・劇場へ。クリスマス期に放たれる刺激的な贈り物2作、『境界』新潟公演は来週金曜日にその幕が上がります。よいお席はお早めにお求めください。

(shin)

『境界』メディア向け公開リハーサルに行ってきました♪

12/9(木)久しぶりに晴れて、気持ちのいい一日となりました♪ りゅーとぴあ劇場で14時半~『境界』公演、山田うんさんの『Endless Opening』メディア向け公開リハーサルに行ってきました!

まず驚いたのは「台車」? ベッドのようにも棺のようにも見えますが、山田うんさんによると『身体(からだの象徴)』なのだそうです。

人は生まれるのも死ぬのもベッドの上で、生きている間は横たわっている時間がとても長い。生と死の象徴でもある、この台車(?)を自分の身体のように使いこなさなければならないのですが、ちょっと難しそう。『ロミオとジュリエットたち』の車椅子を思い出しましたが、それよりも難しいのでは。

でももちろん、ずっと台車と一緒にいるわけではなく、素晴らしいダンスを見せてくれます♪ 花のような風のような、見ていると優しい気持ちになります。「献花」「多幸感」「喜びの花束を渡したい」という、うんさんの言葉通りの踊りです。

音楽はボロディンの弦楽カルテット第2番 第1~4楽章で、とてもきれいな曲です。 衣裳は花のようにカラフルと聞いていますが、この日はまだ稽古着でした。本番が楽しみです♪

30分のリハーサルのあとは山田うんさんと金森さんの囲み取材。山田うんさんは「新潟はすべてが綺麗で美しく、食べ物も飲み物も美味しくて、最高!」と話されました。Noismメンバーについては、力強くしなやかな身体、素晴らしい躍動感、Noismは新潟の宝物であり財産であり、一緒に舞踊を創っていくのはとても光栄と褒めてくださいました。

対して金森さんは「ゲスト振付家のうんさんに褒めてもらったが、ダンサーはその言葉に応えなければいけない。私では引き出せないものを、うんさんから引き出してもらいたい」と話し、「ぜひ見てください!」を連呼しました。

また、ご自身の作品については「うんさんと全く同じ心境です」とし、井関佐和子さんのお祖父様が最近亡くなられたお話をしました。井関さんは「生きている間は特に思い出したりしないものだが、亡くなるとその人のことを考え、より身近に感じる」と話されていたそうです。まさに『Near Far Here』ですね。

NCNがクリスマスに贈るふたつの作品、どうぞ大切な人とご一緒にご覧ください。

Noism0 / Noism1 境界新潟公演 | Noism Web Site

(fullmoon)
(撮影:aqua)

【追記】
この日のリハーサルの模様を伝えるUX新潟テレビ21のニュース動画へのリンクを貼りますので、ご覧下さい。
 → UX新潟テレビ21「キーワードは『境界』…三途の川も表現」(12/9木20:39配信)

(shin)

2021/11/20東京バレエ団『かぐや姫』マチソワ in 新潟♪

2021年11月20日(土)の新潟市はこの時期らしからぬ穏やかな晴天。2週間前の上野がそうだったように、この日も竹藪に分け入るのにはうってつけの日だったかと。そんなふうに天をも味方につけて、東京バレエ団による『ドリーム・タイム』と『かぐや姫』のダブルビル公演がマチソワで新潟市・りゅーとぴあの観客に届けられました。

運良くどちらのチケットも買うことが出来たために、マチネ・ソワレ両方とも楽しむことが出来ました。そのどちらのホワイエの光景も普段のNoism公演のときとは趣が若干異なり、華やぎが何割か増しのうえ、お子さん連れ、家族連れの観客も多めで、「やはりバレエだなぁ」と感じたような塩梅でした。開演間近を報せる「1ベル」もなにやらチャイム仕立てでいつもと違ってるなと思いました。

ここではマチネとソワレとを合わせたかたちで書かせていただきます。

最初の演目はイリ・キリアン振付の『ドリーム・タイム』、東京は上野での初日の舞台を観たときから本当に魅了された作品です。同時に、内容充実の公演プログラムに、オーストラリアやらアボリジニやらのワードを目にして、「ん?何で?」と思うところがあり、ちょっと調べてみました。すると、大修館のジーニアス英和辞典第5版(「G5」)によれば、「Dreamtime」とは、《オーストラリアのアボリジニにとっての天地創造の時;alcheringaともいう》とあるではありませんか。他もあたってみると、祖先が創造された至福の時代を指すのだとも。ただ単に夢見ている時間ではなかったのだと知った驚き。浅学に過ぎました。それでこその武満徹の響き、合点がいきました。ホリゾントに浮かぶイメージも見事にマッチして見えてきます。

冒頭は女性3人(沖香菜子さん・三雲友里加さん・金子仁美さん)が無音のなかシンクロして踊るところから始まり、やがて、武満の音楽が被さってくるでしょう。それは個と言うより、民族としての堆積した記憶、その古層から浮かび上がってくるかのような夢。編まれつつも解かれていき、浮遊するかのように捉えどころのない、連続にして不連続。そうした非現実的な「時」が宮川新大さんと岡崎隼也さんによる超絶技巧的なリフトなどを駆使して現前化されていきます。そうしたリフトのなかには、金森さんに引き継がれているものも少なくないように感じられました。そして、レム睡眠がノンレム睡眠に取って代わられることで、夢に一区切りが入るように、ラスト、女性3人のたおやかな身体が描く美しい曲線、その3つのシルエットの余韻を残したまま緞帳が下りました。

20分間の休憩。ホワイエに出ると、見知った顔の集まりができました。「いいですねぇ」「好きです、これ」想定内でしかないような、そんな言葉が交わされました、マチネのときも、ソワレのときも。

そして金森さんの『かぐや姫』です。上野の東京文化会館のときとは若干の変更が認められました。映像が違っている印象でしたし、下手(しもて)の装置も最後までずっと顕わしになっている点も異なっていました。なにより、舞台のスケールがしっくりぴったり収まっているように思えたのは、やはり金森さんにとって、りゅーとぴあがホームだからでしょう。

「かぐや姫」と「道児」を踊るのは、マチネが秋山瑛さんと柄本弾さん、ソワレが足立真里亜さんと秋元康臣さん。東京の初日で秋山さん+柄本さんを観ていますが、ソワレのおふたりは初めて観ることになります。ほかには「童たち」もそれぞれ別キャストです。興味は募りました。

和の響きのようなドビュッシーの楽音から、桜舞い散る映像に「KAGUYAHIME」の英文字。やがて、夜明け前の青色は海。もう陶酔感しかないコールドに目は吸い寄せられます。そして、緑の竹の形象へ。この間に連発されるパドブレによるフォーメーションの変化はもう美の極み。そこに加わる、衣が繊細に翻るかのような、細波が時間差で拡がっていくかのような振付も金森さんの独壇場。そしてそれらを極上のスキルで可視化する東京バレエ団、まだ始まったばかりだというのに、もう既に眼福でしかない時間が私たちを一瞬のうちに虜にしてしまうでしょう。

そこに黒衣であり、影絵的仕掛けやら、「降ってくるモノ」すらあり、と金森さん的な話法が随所に顔を覗かせる訳ですから、観ていて楽しいことこのうえありません。

体重など全く感じさせず、ゴム鞠のように跳ねる秋山さんの「かぐや姫」に対し、憂いのテイストを感じさせる、やや年長感漂う足立さんの「かぐや姫」。一日のうちにどちらも観ることができて、その個性の違いを存分に楽しみました。

マチネもソワレも、どちらも40分などあっという間で、するすると過ぎ去り、一旦これで見納めということならば、早くも次の第2幕が、そして第3幕の結末が待ち遠しくなってもうどうしようもありません。きっと客席はそんな人たちばかりだったと見え、「かぐや姫」を失い、悄然とした「道児」をひとり残して緞帳が下りると、割れんばかりの拍手が場内に谺しました。その後、繰り返されたカーテンコール、何度も何度も。それは客電が点ってからも続きました。この日、ソワレの方には金森さんも登場し、すると更に一層大きな拍手が送られ、スタンディングオベーションもドッとその数を増しました。東京での2公演に加えて、新潟でも2公演。練度はあがり、表現が深まっていることは一目瞭然でしたし、当たり前の反応にしか過ぎなかった訳です。

その後、呼びかけられた規制退場のアナウンスに従い、ホワイエに出ると、東京からの、京都からの、出会う顔という顔がもう一様に笑顔でしかなく、満足感に浸る者たちばかりだとわかりました。この作品、言葉を超え、年齢を超え、誰にも届くものに仕上がっていると言い切りたいと思います。

あの人ともこの人ともひとしきり話し終え、漸くりゅーとぴあを後にしようとしたとき、さっきまでのあの物語を引きずるかのように、ほぼ満月が輝いているのを見上げました。2023年の4月も10月もきっと同じように月が輝いていることだろう、そんな根拠のない確信とともに、心躍らせながら駐車場を目指しました。

photo by tak_104981

(shin)

金森穣×東京バレエ団『かぐや姫』記者会見インスタライヴ♪

10月27日(水)17:45から30分間、東京バレエ団の主催で『かぐや姫』について、金森さんへの記者会見インスタライヴが行われました。この日は、かぐや姫 足立真里亜さん・道児 秋元康臣さんによる、初めての通しリハーサルがあったようで、記者の方たちはそのリハーサルをご覧になってからの会見のようです。質疑応答の中には若干、物語のネタバレも含まれていますのでご注意ください。

Q(記者) 以前、信頼している方にリハーサルを見てもらった時に、ダメ出しをされたそうですが、どんなことを言われたのですか?

-A(金森さん) ダメ出しの内容はあまり言いたくないものなのですが(笑)。まだそれほど出来上がっていない時点で、自分も客観性が無く、本来であれば踊りの質とか呼吸、情感、表現を考えなければいけないのに、つい技術的なことにフォーカスしてしまい、振付を早く覚えてほしいとか、そんな気持ちが先に立ってしまったので、それは当然のことながら「舞台芸術としてどうなのか」と言われますよね。はい、その通りですというしかありませんでした。

Q コロナ禍において、Noismの作品がどのように変わったと思いますか?

-A 何を届けるか、でしょうか。自分は本来ネガティブというか暗いので、悲哀、痛み、苦悩、悲しみを表現することが多かったのですが、コロナ禍で世の中が暗いのに、その上にまた暗い作品ではどういうものかと思い、暗い中でも少しポジティブに、希望や愛、人と愛し合うということを届けたいと思いました。

Q 『かぐや姫』の主役の二人やバレエ団について、どんな感じをお持ちでしょうか?

-A 『かぐや姫』はかぐや姫と道児の二人が主役で、ダブルキャストです。今日はBキャストの足立真里亜と秋元康臣の通しを始めて見ました。とてもよかったです。二人が『かぐや姫』の世界に生きていて嬉しかったです。群舞は時間をさいてやったので、こちらもよかったと思います。初日のAキャストの秋山瑛と柄本弾は明日通しをします。

Q 道児と、欲が深い翁のキャラクターの発想は?

-A 道児は高畑勲作品に登場しています。かぐや姫の相手として、境遇が違う二人を組み合わせたいと思いました。二人は貧しい村に住んでいますが、道児はもっと貧しい。でも虐げられながらも懸命に生きています。そんな道児が明るくお転婆で天真爛漫なかぐや姫に惹かれる。そんな女の子が泣いているんですよ。月を見て。今回は1幕のみの上演ですが、かぐや姫が都に行ってしまう2幕、3幕では道児がどうなっていくかも描かれます。

 翁は欲深というか、人間ってこういうところあるよね、という感じでしょうか。翁はかぐや姫を溺愛しています。かわいがっていて、ずっと自分のものにしておきたい。でも子どもは他者ですから思い通りにはならない。それを許容できない父親が翁です。親子喧嘩をして、行ってはいけない夜の竹藪に行くと、何かが光っている。金銀財宝を見つけて、翁は金持ちになって、かぐや姫を連れて都に行くのですが、それでかぐや姫が苦しむのです。

Q ダブルキャストの、二人のかぐや姫と道児のそれぞれの魅力は?

-A 道児は弾と康臣ですが、今日の康臣には驚きました。これまでにない彼がいた。この作品を通して、彼が今まで出してこなかった面を生ききってほしいと思います。弾の方が元々役に合っていると思いますが、今日の康臣を見て弾がどう感じたか。その影響も楽しみです。瑛と真里亜は最初似ていると思ったのですが、性格も踊り方も踊りで魅せる魅せ方も全然違いました。主役によって作品に新しい感情や視座が加わります。だからぜひ2回観てほしいですね。

Q 1幕の最後のシーンでかぐや姫はトゥシューズ(ポワント)になりますが?

-A はい、2幕は都に行くので、その前段階として最後にバレエシューズからトゥ
シューズになります。2幕の宮廷の女性は高貴なので皆ポワントです。高貴なふるま
いをしなければならないかぐや姫は、本当はポワントを脱ぎたい。裸足になりたいのです。

Q 群舞がとても効果的です。全てポワントですが?

-A 群舞は自然を表しています。前半は海、それから竹を表しています。自然は俗世とはかけ離れた超常的な存在で、緑の精として表されます。東京バレエ団では、ポワントの群舞と、男性の群舞をやりたかった。Noismではできませんからね。ポワントで、竹の硬質なスッとした感じを出したかったです。

Q 翁にだけ黒衣が付きますが?

-A 翁には飯田先生(飯田宗孝、東京バレエ団団長 特別出演)に無理にお願いしてやっていただいています。小林十市さんもそうですが、齢を重ねて、今だからこその経験値と存在感があります。黒衣を付けたのは能でいうところの「後見」というか。もし何かあったとしても大丈夫なようにというか…(笑)。

…と、ここまで順調なインスタライヴでしたが、なぜか18:09~音声が途切れ、映像も切れましたが、会見は続いています。18:12頃に復活しました。

Q (使用楽曲のドビュッシーの音楽についてのようです)

-A ・・・ドビュッシーの音楽は「海」や「月の光」など自然を表す曲が多く、情感があります。何より色彩が見える。もう3幕まで、使う楽曲を選んであります。(ほおーという感嘆の声)

Q キリアンの作品にも「かぐや姫」がありますが意識しましたか?

-A いや、こちらは物語ですし、キリアンの方は抽象度が高いので、ほとんど考えませんでした。

Q 金森さんはベジャールとキリアンに学ばれましたが、二人の巨匠に学んだことは何ですか?

-A 話すと長いですよ。時間がかかります(笑)。学んだことが『かぐや姫』に
ギュッと出ていると思います。作品に二人の影響があることを感じてもらえると嬉しいです。若い時は自分自分でしたが、私もそういうことを嬉しく感じられる年になりました。

Q 東京公演は、金森さん、ベジャール、キリアンの作品が上演されますね。

-A はい、『かぐや姫』、『中国の不思議な役人』、『ドリームタイム』のトリプルビルです。縁を感じますね。

 ありがとうございました。

…終始和やかな雰囲気のインスタライヴでした♪ 新潟公演では『かぐや姫』と『ドリームタイム』のダブルビルです。お話を聞いていたら『かぐや姫』1幕はもちろんですが、2幕、3幕も早く観たくなりました。 皆様どうぞお見逃しなく♪

東京公演:11/6(土)14時 11/7(日)14時(@東京文化会館)  
新潟公演:11/20(土)13時、17時(@りゅーとぴあ)
https://www.nbs.or.jp/stages/2021/kaguyahime/index.html

(fullmoon)

Noism1埼玉公演 無事終了!  さわさわ会 埼玉懇親会♪

埼玉公演、大好評で無事終了しました!
私は埼玉でも3公演鑑賞し、幸福な3日間でした♪

公演については賞賛のSNSの嵐ですね!
公式ウェブサイトにもレポートが掲載されるそうで楽しみです。

私はただただもう、作品世界に浸りました。
新潟を離れ、日常を離れ、夢のような3日間でした。

初日の『Liebestod―愛の死』カーテンコールには、金森さんと衣裳の宮前義之さんが登壇!
井関さん、吉﨑さんと4人での豪華なカーテンコールがうれしい♪
歓声が響きます。

この日、横浜の友人は埼玉に行くために休みを取ったそうで、東京の友人も、もしもに備えて仕事を1時間早退したそうです。
平日に埼玉まで来るのに19時開演は少しキツイそうで、脇や後方に空席があったのがちょっと残念でした。

2日目は超満員!
この日の私の席は少し後方で、全体が見えてとてもよかったです♪

そして、関東圏 久々のアフタートーク。
八嶋智人さんを迎えて金森さんとのお話が盛り上がりました。

八嶋さんはNoism0『愛と精霊の家』で感涙されたそうで、今回も『Liebestodー愛の死』にやられたそうです。
金森さん、そして井関さん、吉﨑さんのまっすぐなエネルギーにうたれて大感涙。。。とのこと。

2作品について、舞台人ならではのご感想をたくさん話されました。

金森さんも、言葉では表せないないものをどう表現するか、舞台で生き、死ぬとはどういうことか、心の震えを表現したい等々、話されました。

また『愛の死』について、この作品は全自分を出していて、それは非常に怖いことであり、観る人に受け入れられなければ自分が全否定されるのと同じということ、
でもどうしてもこの作品を創りたかったこと、
18才の時からずっと温めてきたが、この25年間は経験を積むという意味で必要だったこと、等を話されました。

金森さんは、客席からの質問に応え、原作の神話性は踏襲していないこと、音楽から受けた感銘で普遍的な愛と死を表現したかったことを話されました。
また、観客からの金の幕が波打ち波紋のように見えたという感想に応え、ワーグナーの「音楽は海、旋律は波」という言葉を金森さんが紹介し、アフタートークは終了しました。

3日目もたくさんの観客でした♪
この日は上手ブロック席で観ましたが、特に『Painted Desert』の見え方が中央寄りとは違い、とても面白かったです。
やはりいろいろな席で観るといいことあるなあと思いました。

最終日ということもあり、観る方も思わず力が入ります。
いろいろなシーンが連続して繰り広げられる『Painted Desert』。
現れては消える人間模様が身体性のクオリティの高さに裏付けられ美しくざわめき鮮烈な印象。
盲目のパ・ドゥ・ドゥウも圧巻で、あっという間の50分です。

『Liebestod―愛の死』は神話性はないと言いつつも、もはや「神」の領域。
暗闇の中、音もなく幕が上がり、音楽が流れ、吉﨑さんがスポットで浮かび上がり、続いて井関さんが照明で浮かびます。
見つめ合う二人。
そして輝くばかりの神々しい舞台上での井関さん、吉﨑さんのデュエット。
技術的に難しいことをしているのに、本当にうっとりします。

そして井関さんのソロ。
二人のデュオをなぞって一人踊る井関さん。
切なさが胸にこみあげます。

何度観ても美しい。素晴らしい。
金森さんが感動を届けたいと言った、ラブレターのような作品。
井関さんと吉﨑さんが観客にしっかり届けてくれました。
本当に、ありがとうとしか言いようのない作品です。

そして終演後は、さわさわ会さいたま懇親会です♪
会場脇のレストラン・ペペロネで参加者15名。
斎藤正行会長から井関さんに花束が渡され、会食では佐和子さんが『愛と死』の裏話(?)を話してくれました。

金森さんが、井関さん、吉﨑さんと3人きりで3ヶ月過ごして創ったというお話は聞いていましたが、それ以上に、プライベートでも内弟子のような状態でもあったということで驚きました。

吉﨑さんは27才ですが、17才の気持ちでやればぐっと伸びると金森さんからアドバイスされたそうで、事実進境著しい吉﨑さんにはびっくりしました。
佐和子さんも、最初の頃はリフトなど、なかなか思うようにいかなかったそうですが、本番にはもう、自分に羽が生えたように軽く浮いて、気持ちがよかったと話されていました。

また、あの金幕が落ちる所や、落ちてからの膨らみ具合なども、調整がなかなか難しいそうで、裏方さんたちはご苦労されたようです。
等々、お話は尽きません。
サインや写真撮影もあり、楽しい懇親会でした♪

個人的には、昔の同級生で、Noism初めての人たちが2日目と3日目に来てくれました♪
2日目は東京在住の人が娘さんと一緒に来て、とてもよかったからこの次も観ると言ってくれました♪
そして3日目は、私は川崎に住んでいる人と一緒に観たのですが、『Painted Desert』は「え、もう終わり? すごく面白い」という感想で、『愛の死』は感涙。。本人曰く「あろうことか大泣きするとは。。。」とのこと。サポーターズにも入会してくれました♪

次のNoism1公演は富山『Painted Desert』。
そしてNINA。
NINAは東アジア公演もあります!

Noism2公演は今月末6月23,24,25日。
楽しみですね♪
(fullmoon)

Noism1埼玉公演6月2,3,4日! サポーターズ会報31号  新潟日報ホームページ「モア」

今日から6月、いよいよ明日、埼玉公演開幕です!
ありとあらゆる情報が山盛りですね。
ぜひぜひご自身の目で舞台をご鑑賞ください。

会場ではNoismサポーターズUnofficial会報31号とさわさわ会会報誌vol.4が無料配布されます。
こちらもどうぞお楽しみに♪

サポーターズ会報31号は会員に送付、及び新潟公演で配布済みですが、誤りがありましたので訂正いたします。

4ページのチャン・シャンユーさんのインタビューの中に、『Scared Monster』という作品名があるのですが、正しくは『Sacred Monsters』です。
申し訳ありませんでした。
お詫びして訂正いたします。

埼玉公演ワクワクですね。
どうぞお運びください♪

追記:

井関佐和子さんのブログが掲載されていた、新潟日報「モア」が、本日ホームページをリニューアルし、動画などの独自コンテンツを強化したそうです。

その中で、篠山紀信さんが、新潟初演2日前に舞台リハーサルを撮影した様子を、密着取材した「ミニ・ドキュメンタリー」が公開されています!

「メディア初公開! 篠山紀信 ノイズムを撮る」

Noismの撮影をメディアに公開するのは初めて。
そのミニ・ドキュメンタリーは約11分。

篠山紀信さんの貴重なお話を中心に、篠山さんが舞台リハーサルを撮影されている様子等々々が、動画で見られます♪

また、先日の公開リハーサルの映像も公開しています。
どなたでも視聴できますので、どうぞご覧くださいね!。
(fullmoon)

新潟3デイズに幕、感動の舞台は埼玉へ

2017年5月28日(日)夕刻、正確には17時半過ぎ。
今回はいきなりその時刻の心境から書き出します。

その時刻、・・・
はや1時間も前に、Noism1ダブルビル・新潟公演(全3公演)は、
客席からの鳴りやまぬ大きな拍手と
飛び交う「ブラボー!」の掛け声をもって、
感動のうちに楽日の幕を下ろしてしまっていた、そんな時刻。

アフタートークを終えてさえ、なお日は高かったものの、
既に先刻、羨望の的たる「世界の中心」が
新潟から埼玉へとシフトしてしまったという思いを抱えつつ、
場所を移して座った、さるカフェの屋外ベンチ。
珈琲のカップを傾ける者たちの上に注がれていたのは、
まったく艶を欠いた日光であり、
その抜け殻のような光を照り返す街の姿もやはりどこか虚ろで、
それらは全て、心の中の寂寥感のなせる業。
感動と感傷、否、感動から感傷へ。
他でもない、早くも、所謂「Noismロス」に陥ってしまっていたに違いありません・・・。

   ☆   ★   ☆   ★   ☆

新潟3デイズを終えて(寂しさと共に)振り返る
感動のダブルビル公演、
全く趣きを異にする2作とも見えますが、
初日のアフタートークでの客席からの感想にもあったように
大きな共通点を有する2作ともとれました。

異なるベクトル。
間断なく耳をいらだたせるノイズ群に合わせて、
脱中心化され、拡散する印象の身体と
甘美にうねることで心を揺さぶるワーグナーの旋律へと
一分の隙もなく収斂していく雄弁な身体。

しかし、観点をずらすと見えてくるものも変わります。

両作品に共通するもの。
抗いようにも抗い得ない物理的な事実と、
如何に抗い得ないとしても、それでもなお抗うよりない身体。

人など卑小な存在に過ぎませんが、それでもなお抗う、
その身体が内側から発光するさまを目撃すること。
刹那の輝きという共通点。
そしてそれがまさに刹那のものであるがゆえに、
心は揺さぶられずにはいないのだと言い切りましょう。

「見る」という特に何の変哲もない営為を通してではありながら、
どのように作品にコミットするかが大きく分かれる2作。
舞踊の多彩さの一端に触れるのが
観客としての最も豊かな振る舞いであることは言を俟ちません。

ここまで書いてきて、はたと気付くのは、
どんなに言葉を費やしても、「良いものは良い、ただ見詰めるのみ。
そして感じるだけ」と言うのと何ら大差がないという事実。
私のような者が語っても、端から同語反復の徒労に終わる他ないのでしょうが、
新潟3デイズを終えた今に至り、
見終えて、こんなにも寂寥感を掻き立てる感動の舞台を、
埼玉でも、是非とも多くの方にご覧頂きたいとの思いから、
非力を顧みず書いてきたような次第です。

今回、埼玉へ行くことが叶わない者にとっては、
感動が大きかった分、ぽっかり空いた穴も大きい訳ですが、
所詮、相手は刹那なるもの。
ここは気持ちを切り替えて、
網膜を通して刻まれた記憶を愛撫し、或いは咀嚼しながら、
また再びNoism1にまみえる日を待つことにします。

埼玉公演は今週末の全3公演。
圧巻の舞台をご堪能ください。 (shin)

快調!Noism1ダブルビル新潟2日目、そしてサポーターズ懇親会

2017年5月27日(土)、突然、一時的に雨が落ちてきたり、
風が強くて、体感気温も低く感じられる街を移動して、
りゅーとぴあに着くと、
そこは硝子張りの劇場ホワイエ、
風は遮られ、太陽光だけが差し込む空間では軽装が正解。
17時の公演を待つ気持ちの昂ぶりと相俟って熱気が感じられる空間でした。

まずは山田勇気さん振付のレパートリー『Painted Desert』。
美しく移り変わる照明と、印象深いシルエットが、
耳に届く不穏な音響を更に際立たせていきます。

8人の舞踊家が息づく場所、
何物も根付かせることのないトポス、「砂漠」。
安らぎをもたらすかのように映じたとしても、それは蜃気楼かもしれず、
徹底して起承転結を欠き、人を弄ぶ「砂漠」。
そして何人(なんぴと)といえども座ることを拒む椅子。それもまた「砂漠」。

突出する身体、しかしそれも消えゆく定めから逃れられることなどない、まさに刹那。
「砂漠」の悠久に対して、人が刹那を彩る、「painted desert」。
ラスト、セピアの照明を浴びて談笑する8人のうち、
ひとり客席を向いて、口を動かし、しかし、音声にはせず、
「何か」を伝えてくる池ヶ谷さんを目にするまで、
50分間、「作品の強度」(金森さん)と8人の強靱な身体に目は釘付けです。

そして金森さんの新作『Liebestod – 愛の死』。
ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』が流れ出すと、
いとも易々と作品世界のなかに投げ込まれてしまう感じは前日と変わりません。
二日続けて観るので、幾分か落ち着いた心持ちではいられましたが、
ふたりの舞踊家が流麗に、あくまで流麗に可視化していく「愛と死」、
そして「その後」に、身を乗り出すようにして見入っていると、
心を鷲づかみにされて、
自然と鼓動が速くなり、
耳たぶが、目頭が熱をもち、
遂には、涙腺が崩壊寸前になってしまう他ありません。

この感動は言葉では伝えきれない類いのものですし、
敢えて言葉にしてみても陳腐なだけで、
到底、この20分間の何物も伝わったりはしませんから、
観る以外にない、何度も観たくなるとしか書けません。

アフタートークを終えてから、
サポーターズとしても初の試み、懇親会(19:30~)が開催されました。
場所は、白山神社近くのオリエントイタリアン「Iry(イリィ)」。
参加した18名のなかには、遠く京都、横浜からお越しの会員も含まれ、
美味しいお料理と飲み物を肴に「Noism愛」が繋ぐ絆を堪能し、
和気藹々のうちに、楽しい夜は更けていきました。
またの機会がありましたら、是非多くの方からご参加頂き、
Noismについての熱い思いを交換して頂けたら、と思います。 

本日は、ダブルビル新潟公演の最終日、
感動の待つりゅーとぴあ・劇場へ是非。
(shin)