穣さん+佐和子さんが語る「公演後」(インスタライブvol.5)

2日間の『春の祭典』/『FratresIII』プレビュー公演(『Adagio Assai』を含む)を終えた翌日の2020年8月29日19:00、穣さん+佐和子さんによる第5回目のインスタライブが予定時間を延長して配信されました。今回のテーマは「公演後」。前もって質問を受け付けたりすることで、私たちが知りたい「直後」の様子などをお二人が寛いだ雰囲気のなか、あるところでは「夫婦漫才」みたいにユーモラスに、ホント腹蔵なく、時間を延長して、たっぷりと話してくれました。普段、アフタートークがあるときのそれとも違う、なかなかにレアなお話を聴くことができたと思います。

そのお話全体については、おふたりのインスタ・アカウントにアーカイヴ化されていますから、お聴きになりたい方はこちらからどうぞ。(今現在、最新のふたつがそれになります。)

ここでは、お話の内容をかいつまんでご紹介していきます。よろしければ、お付き合いください。

・最初は、昨日の夜に(=本番の夜に)やることも考えたんだそう。でも、さすがにやめようということで、今日になった。

・「『プレ公演』って、嘘でしょ」(佐和子さん)「万全な体制ではないんだけど、出来る限りのことをしようと、可能な限りのことをしようという思いでやったところ、結果としてちゃんとした公演通りにできた。スタッフは大変だったと思う。でも、劇場専属舞踊団だからこそできた公演」(穣さん)

・「来てくれた人たちもある種の覚悟を持って来てくれた。そのエネルギー、集中力は凄かった」(佐和子さん)「選んで、色々考えた末に『行くんだ』と覚悟を持って来てくれた人たち、その思いや気配が客席には満ちていた」(穣さん)

・「今回、スタンディングオベーション、嬉しかった。泣きそうになっちゃった。客席から来た圧は凄かった」(佐和子さん)

・「(最終日の)公演後は少しおかしくなっちゃう」(佐和子さん)「(佐和子さんは)公演後、ガクッてくるもんね。寝れないは最近かなと思うけど」(穣さん)「穣さんはならないね」(佐和子さん)「実演家としてはならないね。それは多分、作ってる側の脳があるからかな。先を夢見ている部分でバランスがとれているのかもしれない」(穣さん)「私は今しかないから、その今がなくなった瞬間に切れちゃう」(佐和子さん)

・(『春の祭典』について)「昨日、本番観ながら、何かが足りないと感じていたものに気付いた。来年、本番のときには実現させたい」(穣さん)

【質問1】「夫婦のみでの製作について」: 「24時間体制が更に濃くなる」(穣さん)「でもそんなに違いがあるとは考えていない」(佐和子さん+穣さん)

【質問2】「ビデオチェックは通して見るのか」: 「ものによる。今回、『Adagio Assai』と『FratresIII』は前(方向)から見ていないので、チェックしてダメ出しをノートにとったが、『春の祭典』は実際、客席から見たものを基に終演後、楽屋でダメ出しを書いたので楽だった」(穣さん)「『ロミジュリ(複)』は大変だった。長い上に俺(穣さん)も出ていたから。帰ってから、また2時間見なきゃだめだった」(穣さん)「2時間ものは夜がツラい」(佐和子さん)「私は何回も見ちゃう。1回目は作品を(見なくても良いのに)ぼーっと見る。2回目は自分とまわりのダメ出し。3回目は超個人的な拘り」(佐和子さん)「俺は基本的には見ない。ダメ出しはしないとだから、Ⅰ回は見るけど」(穣さん)「何回も見たがるが、見ると落ち込む。映像は嫌い」(佐和子さん)

・本番の後、寝られない人(佐和子さん)と爆睡の人(穣さん)、積み上げていく人(佐和子さん)と「子どもみたいな人」(穣さん)、ごちゃごちゃした楽屋(佐和子さん)と何もない楽屋(穣さん)←「舞踊家としては両極」(穣さん)

【質問3】「『春の祭典』は一番何を意識して作ったか」: 「楽譜を見て、まず、舞踊家ひとりひとりに楽器をあてがうコンセプトがあり、それに忠実でありたいというのがスタート。しかし、それに固執し過ぎるとダメ。コンセプチュアルな部分と破綻した野性性のバランスを実現させたくて拘った」(穣さん)「お陰でアキレス腱が痛い」(佐和子さん)「変拍子は昨日(楽日)ですら数えながら踊っていた。ユニゾンでは必死に数えていた」(佐和子さん)「ああいう緊張状態、集中状態での頭の回転の速さ、時間の流れの刻み方って凄いよね」(穣さん)「身体は現実を生きていて、脳はある種の非現実を生きている感じ」(佐和子さん)

【質問4】「『春の祭典』での襟を立てる、襟を開くに込めたもの」: 元々の衣裳のコンセプトが「患者性」(病院みたいな設定)→ボタンの開け閉めで多様な見え方がするという提案が衣裳のRATTA RATTARR・須長檀さんたちからあったもの。

・去年の利賀の舞台のことは一生忘れない。「あの時の感覚は『点』で思い出す」(佐和子さん)「どことも似ていない劇場。唯一無二だからね」(穣さん)

【質問5】「今回の公演の一番の目標と課題」: 「コロナ禍にあって、実演家もスタッフも無事に舞台を成立させること。それができて良かった」(穣さん)「それに尽きるね。でも、こんなこと言っちゃいけないのかもしれないけど、舞台に立つときに『コロナどころじゃないぞ』と思う自分がいた」(佐和子さん)「でも、それは当然と言えば当然。意識の持っていきようであって、そのとき、それよりももっと喫緊の、もっと緊急な事態っていうのがあって、それに直面したら向き合わなきゃならなくなる」(穣さん)「それぞれの職種、人それぞれの人生があって、その瞬間瞬間に向き合うことが異なるって感じ。そいうことを通っていろんな人の人生を見られるんだなぁって考えさせられた」(佐和子さん)  

【質問6】「公演が終わったあと、公演のとき、必ずすること」: 「本番の舞台で楽屋に入るとき、普段は聴かない美空ひばりさんを聴いたり、鈴木忠志さんの本を開いたりする」(佐和子さん)「俺、ない。舞台が好きで、『巨大な夢の庭』みたいなの、俺にとって」(穣さん)「劇場の舞台に負けそうになる自分がいて、鈴木さんの本とか、世阿弥の言葉とかを見て、『大丈夫、自分はいける筈』って確認する」(佐和子さん)

【質問7】「『Fratres』はまだ進化するのか: 「あれで完結です」(穣さん)

・週末(サラダ音楽祭)の生オケで踊る『FratresIII』では屑米は降らないのだそう。「降ったら大変なことになる」(穣さん)

・『火の鳥』について、佐和子さん、勇気さん、ニジンスキー、等々…

・公演後のクッションとしてのインスタライブ、恒例になるかも(佐和子さんの精神衛生上。そして、この状況では、アフタートークもなかなか難しくなりそうなので…)→来週も(公演翌日に)あるかも!?

・時間を延長し、エンドレスにどこまでも行きそうだった今回のインスタライブ、終わりのきっかけはさる方からのメッセージ♪それは…(笑)

…ここで拾えなかったお話もたくさんありますから、是非アーカイヴでご覧ください。きっと楽しい時間になると思いますよ。ではでは。

(shin)

 

「穣さん+佐和子さんが語る「公演後」(インスタライブvol.5)」への2件のフィードバック

  1. shinさま
    詳細、またまたありがとうございました!
    インスタアフタートークおもしろかったですね!!
    お二人が、そのまんま、でした♪

    サラダ音楽祭の翌日も楽しみ!
    (fullmoon

  2. fullmoon さま
    コメント、有難うございました。
    面白かったですねぇ、今回も。

    佐和子さんが「某振付家のシンドイ作品をいっぱい踊ってきた」と言い、穣さんが「俺はそんなに踊ってない」と続けた、謎の「某振付家」とはいったい誰なのでしょうねぇ。(笑)
    見当もつきませんねぇ。(笑)
    加えて、穣さんの、「作品と振付家は別」って認識も愉快でした。

    それから、「肌色全身タイツ」の勇気さんによる『火の鳥』は実現するのでしょうか。(笑)

    とにかく、緊張感から解放され、饒舌にして滑らか、楽しいことこの上ないトークでしたね。
    堪能いたしました。
    (shin)

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