会場を魅了! 『ラ・バヤデール ー幻の国』新潟公演2日目

2016年6月18日(土)、新潟市内某所で開催される大がかりなイヴェントと重なり、
その影響が心配された日だったのですが、さほどの混乱もなく、
前夜、平田オリザさんから「こちらの方が大事」と言って頂いた『ラ・バヤデール -幻の国』の新潟公演2日目は午後5時、無事にスタートしました。

二日続けての鑑賞でしたが、舞踊家も俳優も、動きが台詞が滑らかになった印象を持ちました。
細かな変更や小さなアクシデントもあったようですが、
舞台狭しと繰り広げられる群舞やパ・ド・ドゥに魅了されるうちに、
一幕50分、二幕45分、休憩を入れると110分という時間が嘘のように過ぎていきました。

中川さんのバートル(=ソロル)が、井関さんのミラン(=ニキヤ)が、
オリジナルのバレエ版『ラ・バヤデール』に欠けている「深み」を備えて、
あの環境下で「言葉」を持たない者、
為す術なく翻弄されるだけの者の悲哀を可視化して踊る点は
オリジナルを凌駕していると断言しましょう。

終盤、たきいみきさん演じるマランシュ帝国皇女フイシェンは言います。
「この国では誰も本当のことは言えない。」
中川さんの身体が、井関さんの身体が、あるいは全ての舞踊家の身体が示す深度や強度が、
更には俳優の示す存在感が、そして衣裳、音楽、照明、空間、美術、その他諸々が、
見事に渾然一体となって、この劇的舞踊における「本当のこと」を立ち上げていきます。

圧巻の分厚さで終演を迎えると、カーテンコールでは、
「ブラボー!」という掛け声があちらからもこちらからも飛び交いました。
なかには、金森さん曰く「Noism公演では珍しく」、
「(中川)さとしさ~ん!」という黄色い声援も含まれていました。
しかし、その気持ちは充分わかります。

アフタートークでは、前日の平田オリザさんの言葉とシンクロするかのように、
オリジナルの『ラ・バヤデール』を何度もご覧になられているお客様から
是非ともヨーロッパに持って行って欲しいとの声があがりました。

また、二幕冒頭の亡霊の群舞について、
「個人的には好きなシーン。悪くないんじゃないかな。」
「バレエの歴史のなかでも重要なシーンであり、
150年前のミンクスを21世紀にどう蘇らせるかが課題だった。
正直、ホッとした。」と金森さん。

更に、「マランシュ帝国の13年」と「13年目のNoism」という符合に関する質問には、
平田さんが下敷きにした史実からくる年数であると答えながらも、
「すぐ気付きましたよ。平田さんの脚本を見て、これ、Noismじゃん。ヤバイじゃん。」と
おどけて笑いながら話す金森さん。和やかさのうちにこの日のアフタートークは閉じられました。

新潟・りゅーとぴあ公演も残り一日。
前売り席は完売とのことですが、お得な見切れ席の当日販売はございます。
金森さんをはじめ、結集した全てのクリエイターたちの自信作『ラ・バヤデール -幻の国』。
お見逃しなく。

追記    19日(日)は、アフタートーク後 18:00頃~19:00 りゅーとぴあ展望ラウンジにて、
「公演感想を語り合いましょう!」の予定もあります。そちらも是非。   (shin)

「会場を魅了! 『ラ・バヤデール ー幻の国』新潟公演2日目」への4件のフィードバック

  1. shinさん、2日目もアップありがとうございました!
    2日目、ますますよかったですね!

    私は12列目で見ましたが、全体がよく見えたし、特に照明がよかったですね~♪
    一緒に行った友人も「全てに感動!」と感激していました。

    別の友人は最後列で、「すごくいい眺め」と言っていました。
    見切れ席の3階でも観てみたいですね。

    今回はいつもにも増して泣く人が多いようで、
    「井関さんの踊りを見て涙が出た」、
    shinさんも書いていた「フイシェンの言葉で泣けた」など、いろいろ聞きます。

    それで、この作品の舞台、マランシュ帝国は満州国の歴史を下敷きにしているようですね。
    満洲国は建国理念として日本人・漢人・朝鮮人・満洲人・蒙古人による五族協和と王道楽土を掲げたそうですが、13年で滅亡したそうです。

    私は最初EUのことかなと思っていたのですが、「ムラカミ」が話す言葉を聴くと、どうもそうではないですよね。
    「ムラカミ」名も日本人っぽいし。

    満州国の史実と、古典バレエ「ラ・バヤデール」を併せ含み、遥かに進化させた物語、劇的舞踊『ラ・バヤデール-幻の国』!
    金森さんのたくらみは全く凄いですね。

    初日のアフタートークの前に篠田昭新潟市長が挨拶し、この作品が今までになくわかりやすいと言ってお気に入りの様子でした。

    確かにわかりやすいですが、言葉の力、身体の力、を考えさせられる強固な作品です。
    そしてもちろん、衣裳の力、音楽の力、照明の力、空間の力、美術の力、等々、金森さんが何度も繰り返して話していた、同世代の一流クリエーターたちが、集う力。
    それぞれが役割を果たし、持てる力を結集させて創り上げていく。
    観て大納得!
    全く凄いことです。
    またしても金森穣にやられました。

    この贅沢な総合芸術の舞台が、新潟では会員料金S席3,600円、A席2,700円、見切れ席1,000円というありえない安さで観られるなんて!
    う~ん、新潟市、サービス良すぎです。
    市外在住の皆さん、ぜひ移住しましょう。
    (fullmoon)

    1. fullmoonさん、コメント有難うございました。
      で、この充実のコメントこそ、ブログの本体であるべきなんじゃないかと。
      入れ替えませんか。
      そのくらい、何かを語りたくなる舞台になっていますよね。
      新潟でのもう1日、是非とも多くの方に観ていただきたいものです。 (shin)

  2. バレエ以上にバレエだと感じたバヤデールでした。影の王国はすごく良かったので、何かの形で色々な方がご覧になったら面白いと思います。バヤデールをやったのですから、別の古典バレエもNoism作品として拝見したくなりました。

    1. M.Iさん、コメントありがとうございました。本当にその通りですね。
      バレエもそうですし、Noismはひとつのことに留まらず、こだわらず、幅のある作品創作がすばらしいですね。
      まさにNo Ismです。別の古典バレエも作品化されるといいですね。

      Shinさん、お申し出ありがとうございました。Shinさんが最初に書いてくださるから、そのあとに好きなことが書けるのでとてもありがたいです。
      今回は12列目と市長挨拶だけのつもりでしたが、書いているうちになぜか妄想が膨らみ・・・
      このままでお願いしますね。
      (fullmoon)

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